訂正有価証券報告書-第84期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2022/09/09 15:52
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91項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
①経営成績の概要
当連結会計年度の世界の経済情勢は、米国と中国による貿易摩擦が激しさを増し、中国での景気の減速が明確になりました。米国は良好な雇用環境が継続したものの、景気見通しが徐々に悪化しました。また、欧州は通商問題を抱える中で製造業の低迷により経済が軟化しました。さらに年度の終わりにかけて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって世界各地域で経済活動が停滞し、世界経済に悪影響を及ぼしました。
当社グループが属するエレクトロニクス市場は、5G(第5世代移動通信システム)関連の需要が拡大しましたが、電子機器の生産調整や電子部品の在庫調整もあり、幅広い用途で需要に弱さが見られました。カーエレクトロニクス向けは自動車の販売台数が減少した一方で、環境対応や安全性の向上により部品搭載点数増加のトレンドは継続しました。
そのような中、当連結会計年度の売上高は、基地局向けやカーエレクトロニクス向けで積層セラミックコンデンサが増加したものの、スマートフォン向けで樹脂多層基板やリチウムイオン二次電池、積層セラミックコンデンサが減少し、為替変動(前連結会計年度比2円16銭の円高)の影響もあり、前連結会計年度比2.6%減の1,534,045百万円となりました。
利益につきましては、コストダウン活動による増益要因はあったものの、操業度低下や製品価格の値下がり、減価償却費の増加に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社グループ海外生産拠点の稼働停止などの減益要因により、営業利益は前連結会計年度比5.1%減の253,247百万円、税引前当期純利益は同5.0%減の254,032百万円、当社株主に帰属する当期純利益は同11.6%減の183,012百万円となりました。
「中期構想2021」において重視する経営指標としてROIC(Return on Invested Capital)(税引前)を掲げております。当連結会計年度のROIC(税引前)は、中長期的な電子部品需要の増加を見据えて、建物や生産能力増強のための設備投資により投下資本が増加したほか、営業利益が減少したことにより、前連結会計年度比2.8ポイント減の16.1%となりました。
前連結会計年度
(2018年4月1日~2019年3月31日)
当連結会計年度
(2019年4月1日~2020年3月31日)
増 減
金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)増減率(%)
売上高1,575,026100.01,534,045100.0△40,981△2.6
営業利益266,80716.9253,24716.5△13,560△5.1
税引前当期純利益267,31617.0254,03216.6△13,284△5.0
当社株主に帰属する
当期純利益
206,93013.1183,01211.9△23,918△11.6
ROIC(税引前) (%)18.9-16.1-△2.8-
対米ドル平均為替レート(円)110.91-108.75-△2.16-
対ユーロ平均為替レート(円)128.40-120.83-△7.57-

(注)ROIC(税引前)=営業利益/投下資本(固定資産+たな卸資産+売上債権-仕入債務)
事業別セグメントについては、コンポーネントは、リチウムイオン二次電池がスマートフォン向けや電動工具向けで減少したほか、コンデンサが幅広い用途で需要が減少したことにより、売上高が1,098,320百万円(前連結会計年度比3.7%減)で事業利益(※)が249,651百万円(同20.0%減)、モジュールは、通信機器用モジュールがスマートフォン向けで大きく伸長したことにより、売上高が478,630百万円(同2.6%増)で事業利益が49,431百万円(同241.6%増)、その他は売上高が59,234百万円(同42.2%減)で事業利益が5,717百万円(同46.0%減)となりました。
(※)「事業利益」は売上高から事業に直接帰属する費用を控除した利益であります。
②製品別の売上高概況
当連結会計年度の製品別の売上高を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より製品別の区分を見直し、従来区分表示しておりました「通信モジュール」と「電源他モジュール」をまとめた区分として「モジュール」のみとしております。なお、増減比較のため前連結会計年度比についても製品区分を組替えた後の金額を用いて算出しております。
[コンデンサ]
この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。
当連結会計年度は主力の積層セラミックコンデンサについて、5G(第5世代移動通信システム)導入が牽引する基地局向けや、カーエレクトロニクス向けに売上が増加しましたが、電子機器の生産調整や電子部品の在庫調整の影響を受けて幅広い用途で需要に弱さが見られました。
その結果、コンデンサの売上高は前連結会計年度に比べ2.6%減の559,438百万円となりました。
[圧電製品]
この区分には、表面波フィルタ、発振子、圧電センサなどが含まれます。
当連結会計年度は表面波フィルタが値下げの進行によりスマートフォン向けで減少しました。
その結果、圧電製品の売上高は前連結会計年度に比べ6.7%減の129,254百万円となりました。
[その他コンポーネント]
この区分には、リチウムイオン二次電池、コイル、EMI除去フィルタ、センサ、コネクタ、サーミスタなどが含まれます。
当連結会計年度は、コイルがスマートフォン向けやPC向けで増加したものの、リチウムイオン二次電池がスマートフォン向けや電動工具向けで振るいませんでした。
その結果、その他コンポーネントの売上高は前連結会計年度に比べ7.4%減の363,029百万円となりました。
[モジュール]
この区分には、近距離無線通信モジュール、樹脂多層基板、多層モジュール、通信機器用モジュール、電源モジュール、多層デバイスなどが含まれます。
当連結会計年度は、樹脂多層基板や近距離無線通信モジュールがハイエンドスマートフォン向けで減少したものの、通信機器用モジュールがスマートフォン向けで大きく伸長しました。
その結果、モジュールの売上高は前連結会計年度に比べ2.6%増の478,619百万円となりました。
③用途別の売上高概況
当連結会計年度の用途別の売上高を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。
[AV]
当連結会計年度は、デジタルカメラ向けで近距離無線通信モジュールやリチウムイオン二次電池が減少しました。
その結果、AV用途の売上高は前連結会計年度に比べ12.2%減の61,046百万円となりました。
[通信]
当連結会計年度は、基地局向けで積層セラミックコンデンサが大きく増加しました。また、スマートフォン向けで樹脂多層基板やリチウムイオン二次電池、積層セラミックコンデンサが減少したものの、通信機器用モジュールが増加しました。
その結果、通信用途の売上高は前連結会計年度に比べ4.1%増の792,165百万円となりました。
[コンピュータ及び関連機器]
当連結会計年度は、タブレットPC向けでリチウムイオン二次電池や樹脂多層基板が減少したほか、プリンター向けで電源モジュールが減少しました。
その結果、コンピュータ及び関連機器用途の売上高は前連結会計年度に比べ7.5%減の230,469百万円となりました。
[カーエレクトロニクス]
当連結会計年度は、自動車の販売台数は減少したものの、部品点数増加のトレンドは継続したことにより車載用積層セラミックコンデンサの売上が増加しました。
その結果、カーエレクトロニクス用途の売上高は前連結会計年度に比べ2.5%増の263,533百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
イ)生産実績
当連結会計年度の製品別の生産実績は、下表のとおりであります。
生産実績
(2019年4月1日~2020年3月31日)
金額(百万円)構成比(%)前連結会計
年度比(%)
コンデンサ544,30336.2△19.5
圧電製品121,9978.1△13.2
その他コンポーネント358,28823.9△10.4
コンポーネント計1,024,58868.2△15.8
モジュール478,44631.81.9
1,503,034100.0△10.8

(注)1.金額は、販売価格で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.以下の製品別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。
4.当連結会計年度より製品別の区分を見直し、従来区分表示しておりました「通信モジュール」と「電源他モジュール」をまとめた区分として「モジュール」のみとしております。なお、増減比較のため前連結会計年度比についても製品区分を組替えた後の金額を用いて算出しております。
ロ)受注実績
当連結会計年度の製品別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。
受注高
(2019年4月1日~2020年3月31日)
受注残高
(2020年3月31日現在)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前連結会
計年度比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
前連結会
計年度比
(%)
コンデンサ538,52935.7△2.2109,36345.5△16.1
圧電製品132,2208.8△2.520,5248.616.9
その他コンポーネント362,60024.1△7.060,95025.4△0.7
コンポーネント計1,033,34968.6△4.0190,83779.5△8.8
モジュール473,70031.40.249,31920.5△9.1
1,507,049100.0△2.7240,156100.0△8.8

(注)1.金額は、販売価格で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ)販売実績
当連結会計年度の製品別の販売実績は、下表のとおりであります。
販売実績
(2019年4月1日~2020年3月31日)
金額(百万円)構成比(%)前連結会計
年度比(%)
コンデンサ559,43836.6△2.6
圧電製品129,2548.4△6.7
その他コンポーネント363,02923.7△7.4
コンポーネント計1,051,72168.7△4.8
モジュール478,61931.32.6
1,530,340100.0△2.6

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ニ)用途別販売実績
当連結会計年度の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。
販売実績
(2019年4月1日~2020年3月31日)
金額(百万円)構成比(%)前連結会計
年度比(%)
AV61,0464.0△12.2
通信792,16551.84.1
コンピュータ及び関連機器230,46915.0△7.5
カーエレクトロニクス263,53317.22.5
家電・その他183,12712.0△22.1
1,530,340100.0△2.6

(注)1.当社推計値に基づいております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、主に有形固定資産の増加により、前連結会計年度末に比べ201,337百万円増加し、2,250,230百万円となりました。主に建物の投資とコンデンサを中心とした生産能力増強のための投資を実行したことによるものです。負債は、社債の増加やオペレーティングリース負債の計上により前連結会計年度末に比べ111,070百万円増加し、555,423百万円となりました。主に中長期的な電子部品需要を見据えた設備投資を行うために社債を発行し資金を調達したことによるものです。資本は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ90,267百万円増加し、1,694,807百万円となりました。株主資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.0ポイント低下の75.3%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
①キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加が14,481百万円、未払税金の減少が9,631百万円となりましたが、キャッシュ・フローの源泉となる当期純利益が182,982百万円、減価償却費が140,267百万円となったことなどにより、350,334百万円のキャッシュ・インとなりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ70,492百万円の増加となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資項目の償還及び売却が30,666百万円となりましたが、建物や生産能力増強を中心とした有形固定資産の取得による支出が285,935百万円、有価証券及び投資項目の購入が27,018百万円となったことなどにより、284,431百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ19,310百万円の増加となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが59,926百万円となりましたが、設備投資を行うための資金調達を目的とした社債の発行による増加が49,889百万円、短期借入金の増加が27,993百万円となったことなどにより、17,650百万円のキャッシュ・インとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ33,896百万円の減少となりました。
②資本の財源及び資金の流動性
イ)財務戦略と経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、健全な財務体質と高い資本効率を両立することを目指し、市場環境・競争環境に応じた最適な経営資源配分を行ってまいります。
財務体質については、事業環境の変化に機敏に対応し、持続的な利益成長を達成するとともに、厳しい環境下においても経営の安定を維持し、金融市場の市況悪化等のリスクへ備えるため自己資本の充実に努めております。また、信用格付は「AA(信用力は極めて高く、優れた要素がある)」(格付投資情報センターによる)を維持し、資金調達が必要な場合に円滑且つ低コストの調達を可能としております。
資本効率については、ROIC(税引前)20%を目標としております。この目標を実現するため、経営資源の配分についてはポートフォリオ経営を実践し、「中期構想2021」において5G導入でさらに成長する通信市場、電装化が進展する自動車市場を基盤事業と位置付け、経営資源を集中してまいります。また、当連結会計年度末における当社グループの資本コスト(WACC)は7.4%となっており、税引後ベースの比較においても安定的にROICが資本コストを上回る構造を維持しております。
株主還元についても重視しており、長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、1株当たり利益を増加させることにより、配当の安定的な増加に努めることを基本方針とし、中期的に30%程度の配当性向の実現を目指しております。また、次事業年度以降につきましては、配当の安定的な増加に努めるという基本方針の一層の実践を図るため、単年度の業績の影響を受けにくいDOE(株主資本配当率)を株主還元指標として採用し、中期的に配当性向30%程度を目安にDOE4%以上を実現することといたします。
ロ)資金調達と手許流動性
当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、事業の成長に向けた投資や運転資金のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部から調達することとしており、現時点においては銀行からの借入及び国内普通社債発行による資金調達を実施しております。健全な財務体質を維持し、また主要な取引先金融機関と良好な関係を構築しており、今後の事業資金の調達に関して問題はないと認識しております。
完全子会社の資金需要に対しては、原則として銀行など外部からの資金調達を行なわず、当社及び関係会社からのグループファイナンスにより対応しており、資金調達の一元化と資金効率の向上を図っております。
また、当社グループは、事業活動による資金需要への機動的な対応と金融市場の市況悪化等のリスクを最小限に抑えるため、必要な資金流動性を確保しております。当連結会計年度における現金及び預金、短期投資、有価証券の流動性資金の残高は376,160百万円となり月平均売上高2.9ヶ月相当の流動性を確保しております。事業投資の原資として手許資金を保有しているため、投機目的の運用は行わず、信用リスクが小さいと考えられる銀行への預金など、安全性の高い金融商品に分散して資金を保有しております。なお、当連結会計年度における社債及び借入金等の有利子負債の残高は201,474百万円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は302,320百万円となっております。
(4)重要な会計方針及び見積
当社グループの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。ただし、関連当事者情報については、連結財務諸表規則に従って開示しております。
連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債の計上金額、偶発資産・負債の開示情報及び収益・費用の計上金額に影響する見積や仮定を使用する必要があります。
当社グループは、連結財務諸表の作成において以下のものを重要な会計方針と考えておりますが、全ての会計方針の包括的な記載を目的としたものではありません。当社グループの重要な会計方針については連結財務諸表注記事項Ⅰに記載しております。
なお、当社グループを取り巻く環境や状況の変化により、これらの見積や仮定が実際の結果と異なる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響は不透明ではありますが、新型コロナウィルスの感染拡大が上期中に収束し、下期から需要が回復に向かうことを前提として、中長期的に軽微であると判断しており、見積や仮定に与える影響は限定的であります。
イ)たな卸資産
当社グループは、たな卸資産を主として総平均法による低価法により評価しております。たな卸資産の売却可能性や劣化度合いを定期的に見直しており、需要動向及び市況の変化に基づく過剰や長期滞留、陳腐化を考慮して評価減を行っております。実際の需要動向や市況が想定した見積より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
ロ)有価証券及び投資有価証券
当社グループは、市場性がなく容易に決定できる公正価値のない持分証券は、同一発行体の同一又は類似取引などの観察できる価格の変動を加減算することで測定、評価損益を純損益に計上しております。売却可能負債証券は、公正価値が取得原価又は償却原価を一定割合又は一定期間下回った場合、価格の下落が一時的でないと判断し、減損処理を行っております。また、未実現損失が一定期間を超えて発生した場合、公正価値が回復するまでに売却する予定や必要性及び発行体の格付などを考慮して、減損処理の必要性を判断しております。発行体の経営状態が悪化した場合、もしくは市場において悪影響を与える事象が発生した場合には、追加の評価損や減損処理が必要となる可能性があります。
ハ)長期性資産の減損及び処分
当社グループは、必要に応じて、事業別資産グループごとの保有及び使用中の長期性資産の帳簿価額と割引前将来見積キャッシュ・フローを比較することにより、減損の要否を判定しております。長期性資産の帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が公正価値を超える金額を減損損失として認識しております。また、除却対象の長期性資産については、除却予定時期を期限として耐用年数の見直しを行い、売却予定の長期性資産については、帳簿価額又は売却に要する費用控除後の公正価値のうちいずれか低い価額で評価されます。割引前将来見積キャッシュ・フロー、除却予定時期及び公正価値の変更を要した場合には、追加の損失が発生する可能性があります。
ニ)のれん及びその他の無形資産
当社グループは、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却を行わず、年1回及び減損の可能性を示す事象の発生又は状況の変化が生じた時点で減損テストを行うこととしております。全てののれんは、企業結合のシナジー効果から便益を享受する報告単位に配分されます。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分されたのれんの帳簿価額を限度とし、当該差額をのれんの減損損失として認識しております。報告単位の公正価値は、主として割引キャッシュ・フロー法により社内で評価しておりますが、必要に応じ、第三者による評価を活用しております。この手法は、将来の見積キャッシュ・フロー、報告単位ごとのリスクを反映した割引率、永久成長率等多くの見積り及び前提を使用しております。また、将来の見積キャッシュ・フローに使用される前提は、当社グループが決定した事業計画に基づいており、過去の経験、製品及び技術動向、市場データ、現在及び見込まれる世界経済の状況を考慮しております。当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積は合理的であると考えておりますが、事業遂行上予測不能の変化に起因して将来キャッシュ・フロー及び公正価値が当初の見積を下回った場合には、のれんの減損損失を追加計上する可能性があります。
ホ)退職給付
当社グループは、従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算を行う際に使用する基礎率に基づいて算出しております。基礎率には、割引率及び年金資産の長期運用利回りや、最新の統計データに基づく退職率・死亡率・昇給率が含まれます。割引率は長期国債の利回りを参考に決定しております。また、年金資産の長期運用利回りは、投資対象資産の資産区分ごとの将来収益に対する予測や過去の運用実績に加えて、長期国債の利回りなどを考慮して決定しております。基礎率の変更は、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与えます。割引率の低下は、退職給付債務を増加させ、数理計算上の差異の償却により翌期以降の退職給付費用を増加させます。また、年金資産の長期運用利回りの低下は、期待運用収益の減少により退職給付費用を増加させます。
へ)繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、その実現可能性を将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的なタックス・スケジュール等を検討することで判断しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、相応の評価性引当金を計上しております。将来の利益計画が実現できない等の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性が低下した場合、評価性引当金の追加計上が必要となる可能性があります。