有価証券報告書-第51期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 10:58
【資料】
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【項目】
149項目
(1) 経営成績等の業績の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
a. 財政状態
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末比1,128億41百万円減の1兆5,124億99百万円となりました。これは、現金及び預金が2,012億94百万円減少したことが主な要因です。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末比305億60百万円減の1,496億34百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が95億93百万円、未払法人税等が57億37百万円減少したことが主な要因です。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末比822億81百万円減の1兆3,628億65百万円となりました。これは、自己株式が367億82百万円増加、利益剰余金が293億17百万円減少したことが主な要因です。
b. 経営成績
当期における当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦の影響により、中国市場を中心に設備投資に慎重な動きとなるなど、総じて厳しい状況となりました。さらに、当期の期末には新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、極めて不透明で厳しい事業環境となっております。
このようななか、当社グループは、中長期的な視点に立った経営を継続すべく、「one FANUC」、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」および「サービス ファースト」をキーワードに、信頼性・保守性に優れた商品開発の推進、高品質・短納期を実現する生産体制の構築、お客様の生産活動を支えるサービス体制の強化などの重要テーマに、グループ一丸となって取り組みました。
同時に、現在の厳しい市場環境に対処すべく、全社で経費と時間の削減および業務の合理化に取り組み、優先度に応じて設備の導入計画を見直すなど、地道に企業体質の強化を図りました。
2019年度における連結業績は、売上高が5,082億52百万円(前期比20.0%減)、経常利益が1,028億16百万円(前期比44.0%減)、当期純利益が733億71百万円(前期比52.4%減)となりました。
(注)[事業の状況]における「当期純利益」は、連結損益計算書における「親会社株主に帰属する当期純利
益」を指します。
なお、当期におきまして、アームにケーブルを内装し、デザインと機能を両立させた「ファナック ロボット R-2000iD/210FH」が「2019年日刊工業新聞社十大新製品賞 本賞」および「2019年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞しました。また、経済産業省 特許庁が表彰する「知財功労賞」において、知的財産権制度活用優良企業(オープンイノベーション推進企業)として「経済産業大臣賞」を受賞しました。加えて、当社のロボショット(電動射出成形機)による超精密小型プラスチック成形部品市場への貢献が高く評価され、財団法人大河内記念会より、「超精密小型プラスチック部品用全電動式射出成形機の開発」として「2019年度大河内記念生産特賞」を受賞しました。
なお、当社グループは、CNCシステムとその応用商品を提供する企業グループとして、単一セグメントの事業を営んでおりますが、商品部門別の状況は以下のとおりです。
[FA部門]
CNCシステムの主要顧客であります工作機械業界におきまして、米中貿易摩擦の影響等を受け、中国市場での機械需要が落ち込んだほか、中国市場に大きく依存している台湾でも機械需要が落ち込みました。日本国内および欧州につきましても、設備投資抑制の動きを受け、需要が落ち込みました。また、韓国や前期堅調であったインドでも、内需の弱さ等により低調に推移しました。世界的に、機械需要への影響が大きい自動車関連への投資が冷え込んでいる状況です。これらの結果、当社グループのCNCシステムの売上高は前年度に比べ減少しました。
レーザにつきましては、拡販に努めましたが、海外メーカとの競争がさらに厳しさを増しております。
FA部門の連結売上高は、1,432億47百万円(前期比32.1%減)、全連結売上高に対する構成比は28.3%となりました。
[ロボット部門]
ロボット部門につきましては、米州では堅調に推移しました。国内では自動車産業向けが若干増加し、一般産業向けが若干減少しました。中国および欧州では、自動車産業向けおよび一般産業向けともに売上が低調でした。これらの結果、ロボット部門全体の売上高は前年度に比べ減少しました。
ロボット部門の連結売上高は、2,024億91百万円(前期比6.9%減)、全連結売上高に対する構成比は39.8%となりました。
[ロボマシン部門]
ロボマシン部門につきましては、ロボドリル(小型切削加工機)では、IT関係の一時的需要がほぼなくなりましたが、自動車部品市場への拡販に注力しました。しかしながら、自動車関連も当期後半から減速したため、売上が減少しました。ロボショット(電動射出成形機)では、自動車部品、IT関係、医療市場向けを中心に粘り強く拡販に努めましたが、売上は若干減少しました。ロボカット(ワイヤカット放電加工機)でも、中国市場を中心に売上が減少しました。
ロボマシン部門の連結売上高は、749億12百万円(前期比34.9%減)、全連結売上高に対する構成比は14.7%となりました。
[サービス部門]
サービス部門につきましては、「サービス ファースト」をキーワードに、サービス体制の強化、IT技術の積極的な導入による効率アップ、サービス技術の向上、サービスツールの充実などを進めました。世界中に260以上のサービス拠点を置き、108ヶ国をカバーする体制を構築し、お客様の工場でのダウンタイムを最小限にすべく、迅速なサービス活動を行っております。
サービス部門の連結売上高は、876億2百万円(前期比4.7%減)、全連結売上高に対する構成比は17.2%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末比927億6百万円減の5,150 億8百万円となりました。
(各キャッシュ・フローの状況)
営業活動の結果得られた資金は、前年同期比328億66百万円減の1,448億72百万円であり、これは主に税金等調整前当期純利益が減少したことによるものです。
投資活動の結果使用した資金は、前年同期比390億24百万円減の843億19百万円であり、これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
財務活動の結果使用した資金は、前年同期比321億42百万円減の1,407億26百万円であり、これは主に配当金の支払額が減少したことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
(当連結会計年度)
生産高(百万円)前期比(%)
417,624△23.4

(注) 1 生産高は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
(当連結会計年度)
受注高(百万円)前期比(%)
505,471△15.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
(当連結会計年度)
販売高(百万円)前期比(%)
508,252△20.0

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産、負債および偶発債務ならびに会計期間における収益、費用に影響を与える見積りを必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
中でも連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりであります。
(退職給付債務)
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、減損の兆候が見られる固定資産については将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額等に基づいて減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
将来キャッシュ・フローや回収可能価額の見積りの前提となる将来の収益性の低下や時価の下落等により、減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5.経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載の通りです。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
2019年度における連結業績は、売上高が5,082億52百万円(前期比20.0%減)、経常利益が1,028億16百万円(前期比44.0%減)、当期純利益が733億71百万円(前期比52.4%減)となりました。
当期における当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦の影響により、中国市場を中心に設備投資に慎重な動きとなるなど、総じて厳しい状況となりました。さらに、当期の期末には新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、極めて不透明で厳しい事業環境となっております。
このようななか、当社グループは、中長期的な視点に立った経営を継続すべく、「one FANUC」、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」および「サービス ファースト」をキーワードに、信頼性・保守性に優れた商品開発の推進、高品質・短納期を実現する生産体制の構築、お客様の生産活動を支えるサービス体制の強化などの重要テーマに、グループ一丸となって取り組みました。
同時に、現在の厳しい市場環境に対処すべく、全社で経費と時間の削減および業務の合理化に取り組み、優先度に応じて設備の導入計画を見直すなど、地道に企業体質の強化を図りました。
(財政状態)
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末比1,128億41百万円減の1兆5,124億99百万円となりました。これは、現金及び預金が2,012億94百万円減少したことが主な要因です。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末比305億60百万円減の1,496億34百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が95億93百万円、未払法人税等が57億37百万円減少したことが主な要因です。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末比822億81百万円減の1兆3,628億65百万円となりました。これは、自己株式が367億82百万円増加、利益剰余金が293億17百万円減少したことが主な要因です。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前年同期比328億66百万円減の1,448億72百万円であり、これは主に税金等調整前当期純利益が減少したことによるものです。
投資活動の結果使用した資金は、前年同期比390億24百万円減の843億19百万円であり、これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
財務活動の結果使用した資金は、前年同期比321億42百万円減の1,407億26百万円であり、これは主に配当金の支払額が減少したことによるものです。
以上のキャッシュ・フローの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額△125億33百万円を加算し、連結キャッシュ・フローは、△927億6百万円となりました。
(資本の財源)
当期の所要資金は全て自己資金により充当し、外部からの調達は行っておりません。