有価証券報告書-第123期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 14:19
【資料】
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【項目】
173項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績等という。)の概要は次のとおりである。
①経営成績
科目前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比
(百万円)
前期比(%)
売上高378,140402,45024,3106.4
営業利益7,35813,8916,53388.8
経常利益6,7209,4292,70940.3
親会社株主に
帰属する当期純利益
5,4452,197△3,248△59.7

当連結会計年度の経済情勢は、海外では、中国及び欧州において一部弱さは見られるものの、米国経済の着実な回復により、全体としては緩やかに回復したが、年明け以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行により急激に失速した。国内でも、雇用情勢の着実な改善等が見られ、景気は緩やかに回復したが、海外と同様に、年度末にかけて大幅に下振れする状況になった。一方、先行きについては、新型コロナウイルス感染症が世界経済に与える影響に留意する必要がある。
こうした中で、当社グループでは、2017年度からスタートした中期経営計画「Change & Growth」のもと、事業基盤の再構築と生産性向上、グループ総合力の発揮及びポートフォリオ・マネジメントの推進を基本戦略として、各種重点施策を鋭意推進してきた。
当連結会計年度の経営成績について、売上高は、環境・プラント部門等で増加したことにより、前連結会計年度に比べ24,310百万円(6.4%)増加の402,450百万円となった。
損益面について、営業利益は、インフラ部門で悪化したものの、海外子会社の赤字縮小及び国内大口工事のコスト削減等、主として環境・プラント部門でセグメント利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べ6,533百万円(88.8%)増加の13,891百万円となった。経常利益は、納期遅延損害金の増加及び受取保険金の減少等に伴い営業外損益が悪化したものの、営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ2,709百万円(40.3%)増加の9,429百万円となった。特別利益として固定資産売却益を計上したものの、特別損失として投資有価証券評価損、海外事業関連損失及び減損損失を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3,248百万円(59.7%)減少の2,197百万円となった。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、一部の海外案件で工事進捗に遅れが見られたが、当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響は限定的である。また、国内案件では大口工事の進捗に大きな遅れは見られなかった。
②財政状態
科目前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比
(百万円)
前期比(%)
連結総資産429,040409,531△19,509△4.5
流動資産253,193243,106△10,087△4.0
固定資産175,734166,335△9,399△5.3
負債の部308,630290,030△18,600△6.0
純資産の部120,410119,500△910△0.8

当連結会計年度末の財政状態について、連結総資産は前連結会計年度末に比べ19,509百万円減少の409,531百万円となった。このうち、流動資産は、前連結会計年度末の253,193百万円から10,087百万円(4.0%)減少し、243,106百万円となった。これは、主として売上債権の減少によるものである。固定資産は、前連結会計年度末の175,734百万円から9,399百万円(5.3%)減少し、166,335百万円となった。これは、主として土地の売却及び投資有価証券の減損によるものである。
負債の部は、前連結会計年度末の308,630百万円から18,600百万円(6.0%)減少し、290,030百万円となった。これは、主として有利子負債の減少によるものである。
純資産の部は、前連結会計年度末の120,410百万円から910百万円(0.8%)減少し、119,500百万円となった。これは、主として為替換算調整勘定の減少によるものである。
③キャッシュ・フローの状況
科目前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー△5,42832,80838,236
投資活動によるキャッシュ・フロー△7,5746,17913,753
財務活動によるキャッシュ・フロー14,982△31,364△46,346
現金及び現金同等物の期末残高34,39441,5957,201

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び投資活動により獲得した資金が、財務活動により使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ7,201百万円(20.9%)増加の41,595百万円となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は32,808百万円となった(前連結会計年度は5,428百万円の資金の使用)。これは、主として売上債権が回収されたことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により獲得した資金は6,179百万円となった(前連結会計年度は7,574百万円の資金の使用)。これは、有形固定資産の売却による収入が増加したこと等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は31,364百万円となった(前連結会計年度は14,982百万円の資金の獲得)。これは、営業活動及び投資活動により獲得した資金を、長短借入金の返済に充てたことを反映したものである。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
環境・プラント258,5579.1
機械122,1904.2
インフラ37,233△24.2
その他16,725△16.6
合計434,7062.6

(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。
2.上記の金額には、消費税等を含んでいない。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高
(百万円)
前期比(%)
環境・プラント289,468△8.0598,5076.2
機械114,27113.496,10212.7
インフラ39,66943.844,63516.0
その他10,711△10.8217△75.1
合計454,121△0.2739,4637.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。
2.受注残高の前期比の算出にあたっては、為替レート変動による影響額を前期末受注残高において修正している。
3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
環境・プラント254,29011.4
機械103,287△3.1
インフラ33,5075.2
その他11,3650.0
合計402,4506.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。
2.主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対し10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略している。
3.上記の金額には、消費税等を含んでいない。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。
また、工事進行基準による完成工事高及び完成工事原価の計上、貸倒引当金、保証工事引当金及び工事損失引当金等の重要な引当金の計上、固定資産の減損ならびに繰延税金資産の回収可能性の判断などの見積りについては、それぞれ合理的な基準に基づいて実施している。
なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積り等に及ぼした影響については、「第5 経理の状況 (1) 連結財務諸表 追加情報」に記載している。
②当連結会計年度の経営成績の分析
a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、期初時点の見通しと比較して、売上高は計数目標を達成することが出来たが、海外子会社の大幅な収益悪化、国内では原動機、プロセス機器、精密機械等、ものづくり事業の収益低迷により、利益項目は大幅未達となった。
一方で、SDGs(持続可能な開発目標)の概念が世界的に広がり、持続可能な開発・循環型社会の実現に向けて社会は動き出している。この動きは、事業・製品を通じてサステナブル(持続可能)で、安全・安心な社会の実現に貢献するという当社グループの事業の方向性と一致している。
こうした状況を踏まえ、当社は、2020年度から3か年の中期経営計画「Forward 22」を策定した。
詳細は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針、経営戦略等」に記載している。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループは、流動性の確保と財務体質の強化を基本方針として掲げている。
流動性の確保については、営業キャッシュ・フローの底上げ、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮による資金効率の向上を目指すとともに、資本市場へのアクセスの継続等により、長期安定資金の確保に対応している。
また、財務体質の強化として、中長期的には自己資本比率40%を目指し、信用格付の向上とリスク耐久力の強化に努めている。
(経営資源の配分に関する考え方)
当社グループは、適性な手元現預金の水準を設定しており、2020年度より開始する中期経営計画「Forward 22」においては、売上高1.5ヶ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とする方針である。また、国内金融機関において、計30,000百万円のコミットメントラインを設定しており、マーケット環境の一時的な変化等不測の事態にも対応できる体制を整えている。
こうした資金を、営業キャッシュ・フローの範囲で「Forward 22」の基本方針である製品・サービスの付加価値向上に資するものに重点的に配分していく方針であり、株主還元についても、自己資本の充実と企業価値向上とのバランスを取りながら、安定的に継続していく方針である。
(資金調達に関する考え方)
当社グループは、事業戦略上必要な投資を、投資規模、将来収益等を勘案しながら判断しているが、その資金は主に自己資金及び外部資金より充当している。外部資金については、流動性の確保と資金調達の多様化を目的とし、金融機関からの借入及び社債発行による調達を行っている。
安定的な資金調達を目的とし、国内2社の格付機関から信用格付を取得している。
主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、当社事業の維持拡大、運転資金及び投資資金の調達に関して特段の問題はないと判断している。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、中期経営計画「Forward 22」にて、2020年度の収益目標として、売上高400,000百万円、営業利益11,000百万円を計画している。
なお、新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響に関して、環境・プラント部門及びインフラ部門では、公共工事の割合が大きく、また豊富な受注済案件及び継続的事業により、現時点では受注の落込みは見られていない。一方、機械部門では、舶用原動機、自動車用プレス機械及び精密機械等、民需を中心としているため、既に受注の落込みが予想されている。こうした予想を踏まえ、2020年度の収益目標は、現時点まで及び現時点で予想されている影響を織り込んで作成されている。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響が今後さらに拡大する、もしくは影響が長期化するといった状況になれば、収益目標の達成にマイナスの影響が生じるリスクがあるものの、現時点ではそうした影響を織り込んでいない。
d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメント前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前期比
(百万円)
売上高営業利益売上高営業利益売上高営業利益
環境・プラント228,3525,636254,29015,83525,93810,199
機械106,570△282103,287△1,183△3,283△901
インフラ31,8521,27233,507△1,5721,655△2,844
その他11,36573311,3658620129
セグメント計378,1407,359402,45013,94124,3106,582
調整額-△0-△49-△49
合計378,1407,358402,45013,89124,3106,533

(環境・プラント)
売上高は、国内で京都市、茨城県水戸市、東京都日野市浅川清流環境組合向け、海外で英国(ウェストヨークシャー州)向けごみ焼却発電施設建設工事等が完工したため、前連結会計年度に比べ25,938百万円(11.4%)増加の254,290百万円となった。
セグメント利益は、海外子会社の赤字縮小及び国内大口工事のコスト削減等により、前連結会計年度に比べ10,199百万円(181.0%)増加の15,835百万円となった。
(機械)
売上高は、国内外造船所向け舶用原動機、フィルタープレス、水電解装置等の産業装置が増加したものの、自動車用プレス機械、プロセス機器、プラスチック機械等の精密機械が減少し、前連結会計年度に比べ3,283百万円(3.1%)減少の103,287百万円となった。
セグメント損失は、プロセス機器の採算悪化等により、前連結会計年度に比べ901百万円悪化し1,183百万円の損失計上となった。
(インフラ)
売上高は、中部地方整備局向け中部縦貫新張高架橋鋼上部工事、岩手県向け海底設置型フラップゲート式水門の設置工事、シールド掘進機等大型案件の順調な進捗により、前連結会計年度に比べ1,655百万円(5.2%)増加の33,507百万円となった。
セグメント損益は、コストダウン等により収益が改善した工事があるものの、補償工事費の発生等により、前連結会計年度に比べ2,844百万円減少し、1,572百万円の損失計上となった(前連結会計年度は1,272百万円のセグメント利益)。
(その他)
売上高は前連結会計年度と同程度の11,365百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ129百万円(17.6%)増加の862百万円となった。
なお、上記金額には消費税等は含まれていない。