有価証券報告書-第78期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の動向や英国のEU離脱問題などにより、先行きの不透明感が高まったものの、景気は緩やかな回復が続きました。米国では所得減税の効果もあり、個人消費や設備投資が増加するなど、景気の回復が続きました。欧州では消費は底堅く推移したものの、輸出や生産が弱含むなど、景気の回復は緩やかなものになりました。一方、中国では米中貿易摩擦の影響もあり、消費や生産の伸びが低下するなど、景気の減速傾向が見られました。わが国経済におきましては、個人消費や設備投資が持ち直すなど、景気は緩やかな回復が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界では、データセンターを中心とするメモリー需要の増加に伴い、メモリーメーカーにおける設備投資が拡大しました。また、サーバー向け需要を背景に、ロジックメーカーにおいて積極的な設備投資が行われるとともに、ファウンドリーにおいても微細化投資が継続しました。FPD業界では、スマートフォン用の中小型ディスプレー向け投資が堅調であったことに加え、テレビ用ディスプレーの大型化・高精細化に伴い、大型液晶パネル向け投資も高水準で行われました。
このような状況の中、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金や保有株式の時価下落に伴い投資有価証券が減少した一方で、売上債権、たな卸資産および有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ150億4千1百万円(4.1%)増加し、3,809億1千5百万円となりました。
負債合計は、仕入債務が減少した一方で、転換社債型新株予約権付社債の発行や借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ67億8千8百万円(3.5%)増加し、2,017億8千1百万円となりました。
純資産合計は、保有株式の時価下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少や配当金の支払いの一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ82億5千3百万円(4.8%)増加し、1,791億3千3百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、47.0%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は3,642億3千4百万円と前期に比べ、248億6千5百万円増加しました。しかしながら、利益面につきましては、主に半導体製造装置事業における変動費率の上昇や海外拠点の強化・増産対応に伴う人件費等の固定費増加などにより、前期に比べ、営業利益は130億7千9百万円減少の296億4千5百万円、経常利益は120億4千9百万円減少の292億7千9百万円となりました。また、特別損失として減損損失を計上したことやグラフィックアーツ機器事業において事業構造改善費用を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は104億4千8百万円減少し180億5千9百万円となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(半導体製造装置事業:SE)
半導体製造装置事業では、前期に比べメモリー向けやロジック向けの売上が増加するとともに、ファウンドリー向けの売上も堅調に推移しました。製品別では、バッチ式洗浄装置が減少しましたが、枚葉式洗浄装置やコーターデベロッパーの売上が増加しました。地域別では、台湾向けの売上は減少しましたが、中国向けや国内向け、北米向けの売上が増加しました。その結果、当セグメントの売上高は2,525億1千3百万円(前期比11.1%増)となりました。営業利益は、売上は増加したものの、変動費率の上昇や売上拡大に伴う人件費等の固定費増加などにより、258億4千2百万円(前期比28.8%減)となりました。
(グラフィックアーツ機器事業:GA)
グラフィックアーツ機器事業では、海外におけるPOD装置の売上やインクなどのポストセールスの売上は増加したものの、CTP装置の売上が減少したことなどにより、当セグメントの売上高は、482億1千7百万円(前期比9.7%減)、営業利益は11億3千9百万円(前期比62.8%減)となりました。
(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)
ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、大型パネル用製造装置の売上は減少したものの、中小型ディスプレー用製造装置の売上が増加しました。その結果、当セグメントの売上高は492億5千4百万円(前期比8.8%増)となりました。営業利益は、売上は増加したものの、固定費の増加やたな卸資産評価損などにより、37億7千4百万円(前期比17.9%減)となりました。
(プリント基板関連機器事業:PE)
プリント基板関連機器事業では、韓国や中国向けの売上は減少したものの、台湾向けの売上が増加したことから、当セグメントの売上高は123億4千4百万円(前期比1.2%増)となりました。営業利益は売上が増加したものの、固定費の増加などにより、7億7千万円(前期比24.0%減)となりました。
(その他事業)
その他事業の外部顧客への売上高は20億4千7百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ198億9千5百万円減少し、309億2千2百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少、法人税等の支払い、売上債権の増加およびたな卸資産の増加などの支出項目が、税金等調整前当期純利益などの収入項目を上回ったことから、375億3千4百万円の支出(前期は288億7千8百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、新工場建設や研究開発設備等の有形固定資産を取得したことなどにより190億2千万円の支出(前期は112億3千万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いの一方で、転換社債型新株予約権付社債の発行や借入金の増加などにより、367億6千万円の収入(前期は115億1千2百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売予定価格によっております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 各セグメントの金額には、セグメント間取引を含んでおります。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の
とおりであります。
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする繰延税金資産、貸倒引当金、製品保証引当金、たな卸資産の評価、固定資産の減損、退職給付に係る会計処理などについては、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積りおよび判断をしております。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 経営成績等
(売上高)
当連結会計年度における当社グループの売上高は3,642億3千4百万円と前連結会計年度に比べ、248億6千5百万円(7.3%)増加しました。
セグメント別の売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
売上は増加したものの、主に半導体製造装置事業における変動費率の上昇や海外拠点の強化・増産対応に伴う人件費等の固定費増加などにより、営業利益は前連結会計年度に比べ、130億7千9百万円(30.6%)減少の296億4千5百万円となりました。
(経常利益)
営業外損益は、固定資産除却損が増加したものの、固定資産売却益が増加したことや為替差損が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ10億3千万円改善しました。
以上の結果、経常利益は120億4千9百万円減少の292億7千9百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
特別損失に減損損失を計上したことやグラフィックアーツ機器事業における事業構造改善費用を計上したことなどにより、特別損益は前連結会計年度に比べ21億7千1百万円悪化しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は142億2千1百万円減少の277億3千万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、税金等調整前当期純利益が減少したことや、税効果会計において次期からの連結納税制度の適用を前提とした会計処理を行った結果、前連結会計年度より37億9千4百万円減少し、96億7千7百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、104億4千8百万円減少の180億5千9百万円となりました。
財政状態の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におきまして、当社は、設備資金に充当するため転換社債型新株予約権付社債を発行し、総額301億5千万円を調達いたしました。また、短期借入金として180億円(純額)の調達を行い、運転資金等に充当いたしました。なお、将来の資金安定確保を目的として、総額300億円のコミットメントライン契約を複数の金融機関との間で締結しております。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2018年3月期~2020年3月期におきまして、中期3カ年経営計画「Challenge 2019」に取り組んでおります。なお、中期3カ年経営計画の進捗状況および指標の達成状況につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
e. セグメント別の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
(半導体製造装置事業:SE)
半導体製造装置事業では、2019年3月期は、前期比でメモリーとロジック向けの売上が増加するとともに、ファウンドリー向けも堅調に推移し、増収を確保いたしました。利益面では、生産が急拡大する中、サプライチェーン・マネジメント(SCM)に混乱が生じ、コストダウン活動が進まず変動費率の悪化を招いたことや、海外サービス拠点の強化に伴う固定費増加などにより、営業利益は大幅に悪化いたしました。
2020年3月期につきましては、調達コスト管理の立て直しや組立・構内物流の改善などSCMを強化するとともに、自動化設備を導入した新工場の活用や設計のさらなる標準化、ポストセールスの強化などを推し進め、利益率向上を図ってまいります。
また、今後の成長に向け、海外の研究機関や大学との共同開発のほか、国内の大学ともデータサイエンス分野における連携・協定を締結し、相互人材育成や共同研究を推進しております。
現状の市場の見通しは厳しく、直近ではメモリー投資抑制の影響により調整局面ではあるものの、中長期的には成長すると見込まれております。このような環境の中、微細化が進む最先端プロセス、IoTデバイス対応向けなどのあらゆるデバイス分野で、お客さまの幅広いニーズに対応し、品質と生産性の向上に寄与することで、市場平均を上回る成長率を目指してまいります。
(グラフィックアーツ機器事業:GA)
グラフィックアーツ機器事業では、2019年3月期は、POD装置の直接販売やインク売上などが増加した一方、CTP装置とPOD装置のOEM販売が減少し、減収減益となりました。
2019年3月期には、損益分岐点引き下げを目的として人員削減や拠点集約など事業構造改革を実施し、固定費の削減などにより、2020年3月期より利益向上に寄与する見込みであります。
2020年3月期は、売上増加が続くPOD装置の製品競争力強化・ラインアップ拡充による直接販売の拡大やポストセールスのさらなる増加により、収益力を高めてまいります。
(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)
ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、2019年3月期は、OLEDを中心とした中小型向けの売上が増加し、成膜装置などの新規ビジネスも通期売上の10%強(前期比1.5倍以上に増加)と増収を確保したものの、固定費増加やたな卸資産評価損などにより減益となりました。
今後につきましては、リチウムイオン電池や燃料電池の製造装置といったエネルギー事業関連の規模拡大を進めるとともに、タッチセンサーパネルやフレキシブル用途といったディスプレー事業の裾野を拡げることにより新規ビジネスの売上拡大を目指し、持続可能な事業ポートフォリオへの変革を目指してまいります。
既存事業は価格競争が非常に厳しい状況ですが、生産システムや生産拠点の整備などにより、原価低減活動を推進してまいります。また、大きな市場である中国では、販売・サービス拠点を拡充するなど、製品販売に加えポストセールスについても注力してまいります。
(プリント基板関連機器事業:PE)
プリント基板関連機器事業では、2019年3月期は、期の後半にスマートフォン関連投資の減速の影響を受けたものの、前期比では増収を確保し、2期連続で100億円を超える売上を達成いたしました。利益面では、売上は増加したものの、固定費の増加などにより減益となりました。
現状、スマートフォン関連市場は厳しいものの、今後は車載向けや5G向けに直接描画装置やAI機能搭載の検査装置の需要の拡大が見込まれます。このような環境の中、顧客ニーズに合った製品開発を進め、プリント基板市場の次の成長期に備えて製品力を高めてまいります。
(その他事業)
検査計測やライフサイエンスの分野につきましては、顧客基盤を固めながら、製品ラインアップの拡充により、売上拡大を目指してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の動向や英国のEU離脱問題などにより、先行きの不透明感が高まったものの、景気は緩やかな回復が続きました。米国では所得減税の効果もあり、個人消費や設備投資が増加するなど、景気の回復が続きました。欧州では消費は底堅く推移したものの、輸出や生産が弱含むなど、景気の回復は緩やかなものになりました。一方、中国では米中貿易摩擦の影響もあり、消費や生産の伸びが低下するなど、景気の減速傾向が見られました。わが国経済におきましては、個人消費や設備投資が持ち直すなど、景気は緩やかな回復が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界では、データセンターを中心とするメモリー需要の増加に伴い、メモリーメーカーにおける設備投資が拡大しました。また、サーバー向け需要を背景に、ロジックメーカーにおいて積極的な設備投資が行われるとともに、ファウンドリーにおいても微細化投資が継続しました。FPD業界では、スマートフォン用の中小型ディスプレー向け投資が堅調であったことに加え、テレビ用ディスプレーの大型化・高精細化に伴い、大型液晶パネル向け投資も高水準で行われました。
このような状況の中、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金や保有株式の時価下落に伴い投資有価証券が減少した一方で、売上債権、たな卸資産および有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ150億4千1百万円(4.1%)増加し、3,809億1千5百万円となりました。
負債合計は、仕入債務が減少した一方で、転換社債型新株予約権付社債の発行や借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ67億8千8百万円(3.5%)増加し、2,017億8千1百万円となりました。
純資産合計は、保有株式の時価下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少や配当金の支払いの一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ82億5千3百万円(4.8%)増加し、1,791億3千3百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、47.0%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は3,642億3千4百万円と前期に比べ、248億6千5百万円増加しました。しかしながら、利益面につきましては、主に半導体製造装置事業における変動費率の上昇や海外拠点の強化・増産対応に伴う人件費等の固定費増加などにより、前期に比べ、営業利益は130億7千9百万円減少の296億4千5百万円、経常利益は120億4千9百万円減少の292億7千9百万円となりました。また、特別損失として減損損失を計上したことやグラフィックアーツ機器事業において事業構造改善費用を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は104億4千8百万円減少し180億5千9百万円となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(半導体製造装置事業:SE)
半導体製造装置事業では、前期に比べメモリー向けやロジック向けの売上が増加するとともに、ファウンドリー向けの売上も堅調に推移しました。製品別では、バッチ式洗浄装置が減少しましたが、枚葉式洗浄装置やコーターデベロッパーの売上が増加しました。地域別では、台湾向けの売上は減少しましたが、中国向けや国内向け、北米向けの売上が増加しました。その結果、当セグメントの売上高は2,525億1千3百万円(前期比11.1%増)となりました。営業利益は、売上は増加したものの、変動費率の上昇や売上拡大に伴う人件費等の固定費増加などにより、258億4千2百万円(前期比28.8%減)となりました。
(グラフィックアーツ機器事業:GA)
グラフィックアーツ機器事業では、海外におけるPOD装置の売上やインクなどのポストセールスの売上は増加したものの、CTP装置の売上が減少したことなどにより、当セグメントの売上高は、482億1千7百万円(前期比9.7%減)、営業利益は11億3千9百万円(前期比62.8%減)となりました。
(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)
ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、大型パネル用製造装置の売上は減少したものの、中小型ディスプレー用製造装置の売上が増加しました。その結果、当セグメントの売上高は492億5千4百万円(前期比8.8%増)となりました。営業利益は、売上は増加したものの、固定費の増加やたな卸資産評価損などにより、37億7千4百万円(前期比17.9%減)となりました。
(プリント基板関連機器事業:PE)
プリント基板関連機器事業では、韓国や中国向けの売上は減少したものの、台湾向けの売上が増加したことから、当セグメントの売上高は123億4千4百万円(前期比1.2%増)となりました。営業利益は売上が増加したものの、固定費の増加などにより、7億7千万円(前期比24.0%減)となりました。
(その他事業)
その他事業の外部顧客への売上高は20億4千7百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ198億9千5百万円減少し、309億2千2百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少、法人税等の支払い、売上債権の増加およびたな卸資産の増加などの支出項目が、税金等調整前当期純利益などの収入項目を上回ったことから、375億3千4百万円の支出(前期は288億7千8百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、新工場建設や研究開発設備等の有形固定資産を取得したことなどにより190億2千万円の支出(前期は112億3千万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いの一方で、転換社債型新株予約権付社債の発行や借入金の増加などにより、367億6千万円の収入(前期は115億1千2百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
SE | 217,102 | +14.6 |
GA | 22,755 | △19.1 |
FT | 36,214 | +19.3 |
PE | 3,630 | △6.0 |
その他事業 | 284 | +32.5 |
合計 | 279,987 | +11.1 |
(注)1 金額は販売予定価格によっております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
SE | 226,438 | △15.2 | 84,300 | △23.6 |
GA | 47,472 | △11.5 | 4,344 | △14.7 |
FT | 32,258 | △49.1 | 42,794 | △28.4 |
PE | 9,700 | △30.7 | 744 | △78.0 |
合計 | 315,870 | △20.7 | 132,183 | △26.0 |
(注)上記金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
SE | 252,513 | +11.1 |
GA | 48,217 | △9.7 |
FT | 49,254 | +8.8 |
PE | 12,344 | +1.2 |
その他事業・調整額 | 1,903 | +47.5 |
合計 | 364,234 | +7.3 |
(注)1 各セグメントの金額には、セグメント間取引を含んでおります。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の
とおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd. | 48,131 | 14.2 | 40,593 | 11.1 |
3 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする繰延税金資産、貸倒引当金、製品保証引当金、たな卸資産の評価、固定資産の減損、退職給付に係る会計処理などについては、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積りおよび判断をしております。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 経営成績等
(売上高)
当連結会計年度における当社グループの売上高は3,642億3千4百万円と前連結会計年度に比べ、248億6千5百万円(7.3%)増加しました。
セグメント別の売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
売上は増加したものの、主に半導体製造装置事業における変動費率の上昇や海外拠点の強化・増産対応に伴う人件費等の固定費増加などにより、営業利益は前連結会計年度に比べ、130億7千9百万円(30.6%)減少の296億4千5百万円となりました。
(経常利益)
営業外損益は、固定資産除却損が増加したものの、固定資産売却益が増加したことや為替差損が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ10億3千万円改善しました。
以上の結果、経常利益は120億4千9百万円減少の292億7千9百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
特別損失に減損損失を計上したことやグラフィックアーツ機器事業における事業構造改善費用を計上したことなどにより、特別損益は前連結会計年度に比べ21億7千1百万円悪化しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は142億2千1百万円減少の277億3千万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、税金等調整前当期純利益が減少したことや、税効果会計において次期からの連結納税制度の適用を前提とした会計処理を行った結果、前連結会計年度より37億9千4百万円減少し、96億7千7百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、104億4千8百万円減少の180億5千9百万円となりました。
財政状態の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におきまして、当社は、設備資金に充当するため転換社債型新株予約権付社債を発行し、総額301億5千万円を調達いたしました。また、短期借入金として180億円(純額)の調達を行い、運転資金等に充当いたしました。なお、将来の資金安定確保を目的として、総額300億円のコミットメントライン契約を複数の金融機関との間で締結しております。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2018年3月期~2020年3月期におきまして、中期3カ年経営計画「Challenge 2019」に取り組んでおります。なお、中期3カ年経営計画の進捗状況および指標の達成状況につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
e. セグメント別の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
(半導体製造装置事業:SE)
半導体製造装置事業では、2019年3月期は、前期比でメモリーとロジック向けの売上が増加するとともに、ファウンドリー向けも堅調に推移し、増収を確保いたしました。利益面では、生産が急拡大する中、サプライチェーン・マネジメント(SCM)に混乱が生じ、コストダウン活動が進まず変動費率の悪化を招いたことや、海外サービス拠点の強化に伴う固定費増加などにより、営業利益は大幅に悪化いたしました。
2020年3月期につきましては、調達コスト管理の立て直しや組立・構内物流の改善などSCMを強化するとともに、自動化設備を導入した新工場の活用や設計のさらなる標準化、ポストセールスの強化などを推し進め、利益率向上を図ってまいります。
また、今後の成長に向け、海外の研究機関や大学との共同開発のほか、国内の大学ともデータサイエンス分野における連携・協定を締結し、相互人材育成や共同研究を推進しております。
現状の市場の見通しは厳しく、直近ではメモリー投資抑制の影響により調整局面ではあるものの、中長期的には成長すると見込まれております。このような環境の中、微細化が進む最先端プロセス、IoTデバイス対応向けなどのあらゆるデバイス分野で、お客さまの幅広いニーズに対応し、品質と生産性の向上に寄与することで、市場平均を上回る成長率を目指してまいります。
(グラフィックアーツ機器事業:GA)
グラフィックアーツ機器事業では、2019年3月期は、POD装置の直接販売やインク売上などが増加した一方、CTP装置とPOD装置のOEM販売が減少し、減収減益となりました。
2019年3月期には、損益分岐点引き下げを目的として人員削減や拠点集約など事業構造改革を実施し、固定費の削減などにより、2020年3月期より利益向上に寄与する見込みであります。
2020年3月期は、売上増加が続くPOD装置の製品競争力強化・ラインアップ拡充による直接販売の拡大やポストセールスのさらなる増加により、収益力を高めてまいります。
(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)
ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、2019年3月期は、OLEDを中心とした中小型向けの売上が増加し、成膜装置などの新規ビジネスも通期売上の10%強(前期比1.5倍以上に増加)と増収を確保したものの、固定費増加やたな卸資産評価損などにより減益となりました。
今後につきましては、リチウムイオン電池や燃料電池の製造装置といったエネルギー事業関連の規模拡大を進めるとともに、タッチセンサーパネルやフレキシブル用途といったディスプレー事業の裾野を拡げることにより新規ビジネスの売上拡大を目指し、持続可能な事業ポートフォリオへの変革を目指してまいります。
既存事業は価格競争が非常に厳しい状況ですが、生産システムや生産拠点の整備などにより、原価低減活動を推進してまいります。また、大きな市場である中国では、販売・サービス拠点を拡充するなど、製品販売に加えポストセールスについても注力してまいります。
(プリント基板関連機器事業:PE)
プリント基板関連機器事業では、2019年3月期は、期の後半にスマートフォン関連投資の減速の影響を受けたものの、前期比では増収を確保し、2期連続で100億円を超える売上を達成いたしました。利益面では、売上は増加したものの、固定費の増加などにより減益となりました。
現状、スマートフォン関連市場は厳しいものの、今後は車載向けや5G向けに直接描画装置やAI機能搭載の検査装置の需要の拡大が見込まれます。このような環境の中、顧客ニーズに合った製品開発を進め、プリント基板市場の次の成長期に備えて製品力を高めてまいります。
(その他事業)
検査計測やライフサイエンスの分野につきましては、顧客基盤を固めながら、製品ラインアップの拡充により、売上拡大を目指してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。