四半期報告書-第41期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当第1四半期末において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
為替換算レート
期中平均レート
期末日レート
連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更
ソフトバンクグループ㈱は、直接(子会社を通じた投資を含む)または投資ファンド(例えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を通じて多数の企業に投資を行い、その投資ポートフォリオを管理する戦略的投資持株会社です。2020年4月1日にスプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引が完了し、同日からスプリントが当社の子会社ではなくなったことにより、当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期より連結損益計算書の表示を変更しました。
具体的には、連結損益計算書において「営業利益」の表示を取り止める一方で、連結業績における投資の成果を明示するために新たに「投資損益」を表示しています。従前の「営業利益」には「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益」に含まれる投資損益以外の投資損益が含まれておらず、戦略的投資持株会社としての連結業績を適切に表示するには有用でないと判断したためです。新たに設けた「投資損益」には、①投資有価証券(FVTPLの金融資産)および持分法で会計処理されている投資の売却による実現損益、②FVTPLの金融資産の未実現評価損益、③投資先からの受取配当金、④FVTPLの金融資産などの投資に係るデリバティブ関連損益が含まれています。なお、上記の投資損益に含まれないデリバティブ関連損益は、「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として表示しています。また、投資先の純損益に対する当社持分を認識する持分法による投資損益については、従前と同様に「持分法による投資損益」として表示しています。前年同期における連結損益計算書も同様に組み替えて表示しています。
また、前述の通り当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期よりセグメント管理区分も変更し、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ブライトスター事業」の5つを報告セグメントとしています。新たに設けた「持株会社投資事業」の概要については「b.セグメントの業績概況 (a)持株会社投資事業 <事業概要>」をご参照ください。なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取り止めに伴い、報告セグメントの利益は「税引前利益」に変更しました。前年同期におけるセグメント情報も同様に変更後の報告セグメントに組み替えて表示しています。
<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)について>ソフトバンクグループ㈱は2020年3月23日、自己株式取得と負債削減のために4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針を発表しました。売却または資金化で得られた資金のうち最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向けるものです(以下「4.5兆円プログラム」と総称)。このうち、4.5兆円の保有資産の売却または資金化については、下表の通り2020年8月3日までに4.3兆円の資産の売却または資金化を行いました。一方で、最大2兆円の自己株式取得については、2020年3月23日の発表から4四半期にわたって行うことを予定していましたが、市場動向などの不確実性等に鑑み、取得の終了が2021年4月以降となる可能性があります。
なお、ソフトバンクグループ㈱は、新型コロナウイルスの感染拡大の第2波、第3波が警戒される現在の状況に鑑み手元資金のさらなる拡充が必要と考えています。自己株式の取得や負債の削減に充当するまでの間の調達資金およびその他の余剰資金に関しては、現預金で保有するだけでなく、従来から掲げているLTV(Loan to Value、保有資産に対する負債の割合)や手元流動性に関する財務方針を堅持しつつ、流動性の高い優良有価証券等で運用を行っています。
4.5兆円プログラムに基づく資産の売却または資金化
2020年8月3日現在
1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等について
① スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了
当社米国子会社であったスプリントとT-Mobile US, Inc.の全ての対価を株式とする合併による取引(以下「本合併取引」)が、2020年4月1日、完了しました。当社は、本合併取引の対価としてTモバイルの株式304,606,049株と一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株を無償で取得できる権利(以下「条件付対価」)を取得しました。同日から、スプリントは当社の子会社ではなくなり、統合後の新会社であるTモバイルが、株式の24.7%を当社が保有する持分法適用関連会社となりました。詳細は「第4 経理の状況、1 要約四半期連結財務諸表、要約四半期連結財務諸表注記 5.非継続事業」をご参照ください。
② Tモバイル株式の一部売却
さらに当社は保有するTモバイルの普通株式304,606,049株のうち、2020年6月26日に173,564,426株(以下「本一部売却の内容」の(a)および(b))、2020年7月16日に5,000,000株(同(c))、2020年8月3日に19,750,000株(同
(d))を当社子会社を通じてTモバイルに売却しました(以下「本一部売却」)。Tモバイルは当社子会社から購入した株式を米国内における公募、現金強制転換証券(Cash Mandatory Exchangeable Trust Securities)を発行する信託を通じた私募、同社取締役のマルセロ・クラウレ(ソフトバンクグループ㈱取締役副社長COO)への売却および株主割当による株式募集を通じて処分し、その手取金は当社子会社に引渡されました。
なお、2020年6月26日の株式売却に伴う議決権比率の低下によりTモバイルに対する重要な影響力がなくなったため、同日をもってTモバイルは当社の持分法適用関連会社から除外されました。
本一部売却の内容
また、Deutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)は、本一部売却後に当社が引き続き保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプション(以下「ドイツテレコムの株式購入オプション」)1を受領しました。
(i) 上記101,491,623株のうち44,905,479株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、1株当たり103.00米ドルです。また、ドイツテレコムはオプション付与日以降いつでも権利行使可能です。
(ⅱ)上記101,491,623株のうち56,586,144株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、行使に先立つ20取引日のTモバイル株式市場株価の加重平均価額の平均です。また、ドイツテレコムは、上記(i)の権利行使後もしくは2020年10月2日以降、権利行使可能となります。
本一部売却前後の当社が保有するTモバイル株式
③ Tモバイル株式を活用した借入れ
ソフトバンクグループ㈱の100%子会社は2020年7月30日に、保有するTモバイル株式を担保に、43.8億米ドルの借入れ(マージン・ローン)を行いました。本マージン・ローンについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しているため、当該保証債務の上限枠(20.8億米ドル)を控除した23.0億米ドルを4.5兆円プログラムに基づく資産の資金化額としています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該マージン・ローンの担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
2.先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化
ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるWest Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、およびSkylark 2020 Holdings Limitedが、2020年4月から6月にかけて、保有するアリババ株式を利用した、複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結し、総額で137億米ドルを調達しました。なお本取引後もアリババは継続して当社の持分法適用関連会社です。
さらに、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるScout 2020 Holdings Limitedが、2020年7月に、保有するアリババ株式を利用した先渡売買契約を金融機関との間で締結し、9億米ドルを調達しました。
3.ソフトバンク㈱株式の一部売却
2020年5月22日、ソフトバンクグループ㈱は、ソフトバンクグループジャパン㈱を通じて保有する子会社ソフトバンク㈱の普通株式3,182,919,470株の一部である240,000,000株を複数の証券会社を通じて3,102億円で売却しました。なお、本売却後もソフトバンク㈱は引き続きソフトバンクグループ㈱の子会社であるため、本売却における売却益相当額(税金考慮後)は、要約四半期連結財政状態計算書の資本剰余金として計上されています。これに加え、本取引によって、ソフトバンクグループジャパン㈱において繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用できる課税所得が生じる可能性が高まったと判断したことなどにより、法人所得税が利益方向に計上されています。
4.5兆円プログラムに基づく自己株式取得
2020年8月3日現在
4.5兆円プログラムに基づく負債削減
当第1四半期には4.5兆円プログラムの一環として実施した負債の削減はありませんでしたが、当第1四半期末以降に以下を行いました。
①国内無担保社債の買入れ
ソフトバンクグループ㈱は、2020年7月22日、国内無担保社債1,676億円(買入額面総額)の買入れを完了しました。
②アリババ株式を活用した借入れの返済
当社の100%子会社であるスカイウォークファイナンス合同会社は2020年7月、アリババ株式を活用した借入れ(マージン・ローン)全額94億米ドルを返済しました。
<スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引およびTモバイル株式の一部売却による当第1四半期の要約四半期連結財務諸表への主な影響>スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引による影響
①要約四半期連結損益計算書への影響
スプリントの支配喪失利益7,364億円を「非継続事業からの純利益」に計上
②要約四半期連結財政状態計算書への影響
資産の部
・本合併取引の対価として受領したTモバイル株式の公正価値2.7兆円を「持分法で会計処理されている投資」に計上(以下のTモバイル株式の一部売却の結果、引き続き保有するTモバイル株式は公正価値で「投資有価証券」に振替え)
・本合併取引の対価として受領した条件付対価の公正価値1,963億円を「デリバティブ金融資産」に計上。なお、条件付対価は毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」に計上します。当第1四半期に計上した条件付対価に係るデリバティブ関連利益は1,296億円です。
Tモバイル株式の一部売却取引による影響
①要約四半期連結損益計算書への影響
投資損益
Tモバイル株式売却関連利益4,219億円を「持株会社投資事業からの投資損益」に計上:
関連会社株式売却益2,803億円、引き続き保有するTモバイル株式の再評価益2,960億円、ドイツテレコムの株式購入オプションに係るデリバティブ関連損失1,545億円
②要約四半期連結財政状態計算書への影響
資産の部
引き続き保有するTモバイル株式を公正価値で「投資有価証券」に計上(当第1四半期末:1.5兆円)。なお、引き続き保有するTモバイル株式は毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」に計上します。2020年6月26日から同年6月30日までの期間に認識したTモバイル株式に係る投資の評価損失は148億円です。
負債の部
ドイツテレコムの株式購入オプションを公正価値で「デリバティブ金融負債」に計上(当第1四半期末:1,475億円)。なお、ドイツテレコムの株式購入オプションは毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」にデリバティブ関連損益として計上します。
③要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書への影響
投資活動によるキャッシュ・フロー
Tモバイル株式売却の手取金1.8兆円を「投資の売却または償還による収入」に計上
<新型コロナウイルスの感染拡大の影響について>新型コロナウイルスの感染拡大は収束の兆しが未だに見えていません。米国のジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、2020年8月2日には世界の累計感染者数が1,800万人を超えました。米国やインド、ブラジルなどの国で感染が増え続けています。こうした中、2020年2月下旬から急落した世界の株式相場は急落前の水準を回復しつつあるものの、感染拡大の第2波、第3波への懸念から引き続き不安定な動きを続けています。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおいては、公開株式市場の復調により上場投資先を中心に公正価値が回復し、当第1四半期におけるソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資損益は直前四半期から1.4兆円改善し296,577百万円の利益となりました。新型コロナウイルスの感染拡大による影響は投資先企業の属するセクターにより大きく異なっており、イーコマースや食品デリバリーなどのオンライン事業においては顧客エンゲージメント(顧客によるサービスの利用やその定着)の高まりが見られる一方、旅行・ホスピタリティーなどの事業には引き続きマイナスの影響が及んでおり、今後も投資先ごとに異なる影響をきたすことが予想されます。
a.連結経営成績の概況
(注)前期において、継続事業と非継続事業を区分して表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前年同期においても同様に組み替えて表示しています。
以下、要約四半期連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業とアーム事業はいずれも増収となったものの、ブライトスター事業は減収となりました。
B 持株会社投資事業からの投資損益
Tモバイル株式売却関連利益421,863百万円を計上しました。なお、前年同期には、アリババ株式先渡売買契約決済益1,218,527百万円を計上していました。詳細は「b.セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資損益
ソフトバンク・ビジョン・ファンドが上場投資先4銘柄の一部株式および非上場投資先3銘柄の全株式を売却(関係投資先株式との株式の交換を含む)したことにより、投資の売却による実現益111,425百万円を計上したほか、当第1四半期末に保有する投資86銘柄について未実現評価益258,056百万円(純額)を計上しました。詳細は「b.セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。
主にBおよびCの結果、投資損益合計は前年同期比664,081百万円(40.3%)減少の982,952百万円の利益となりました。
D 財務費用
持株会社投資事業で2,039百万円、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業で2,699百万円、ソフトバンク事業で2,243百万円、それぞれの支払利息が増加しました。
E 持分法による投資損益
2020年4月1日から同年6月25日までの期間におけるTモバイルに係る持分法投資利益24,736百万円を計上しました(前年同期は計上なし)。一方で、アリババに係る持分法投資損益は107,586百万円悪化し、18,472百万円の損失となりました。これは主に、2020年3月31日に終了した3カ月間2において、新型コロナウイルスの感染拡大による株式相場の急落に伴う同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資損失の計上によるものです。
F デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
2019年11月および2020年4月から6月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連損失179,471百万円を計上しました。
主にA~Fの結果、税引前利益は前年同期比861,961百万円(50.9%)減少の833,047百万円となりました。
G 法人所得税
ソフトバンク㈱やヤフー㈱に係る法人所得税を計上しているほか、Tモバイル株式の売却に係る税金費用を計上しています。なお、ソフトバンク㈱株式の一部売却(前述の「3.ソフトバンク㈱株式の一部売却」ご参照)によって、ソフトバンクグループジャパン㈱において繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用できる課税所得が生じる可能性が高まったと判断したことなどにより、法人所得税が利益方向に58,147百万円計上されました。
H 非継続事業からの純利益
スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の完了によりスプリントが当社の子会社でなくなったことに伴い、同社に係る支配喪失利益736,429百万円を計上しました。
主にA~Hの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前年同期比133,993百万円(11.9%)増加の1,255,712百万円となりました。
b.セグメントの業績概況
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期よりセグメント管理区分を変更し、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ブライトスター事業」の5つを報告セグメントとしています。なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取り止めに伴い、報告セグメントの利益を「税引前利益」に変更しました。
前期までは、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ブライトスター事業」の4つを報告セグメントとしていました。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
(a)持株会社投資事業
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱および、SoftBank Group Capital Limitedやソフトバンクグループジャパン㈱(以下「SBGJ」)などの投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、The We Company(以下「WeWork」)(注)など約120社で、持分法適用関連会社(例えばアリババ)のほか、FVTPLの金融資産として認識されるものがあります。持分法適用関連会社に該当する投資先の業績は、持分に応じて損益が「持分法による投資損益」に計上されます。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
(注)ソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有するWeWork株式に係る投資損益は「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」に含まれています。
<業績全般>(単位:百万円)
A 投資利益:650,493百万円
・Tモバイル株式売却関連利益421,863百万円を計上しました。これは、①2020年6月26日に保有するTモバイル株式304,606,049株のうち173,564,426株を売却したことに伴う関連会社株式売却益280,341百万円、②Tモバイルの持分法適用除外時に引き続き保有する同社株式に係る再測定益296,013百万円、③ドイツテレコムが受領した当社が保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプションに関するデリバティブ関連損失154,491百万円から成ります。
・投資に係るデリバティブ関連利益133,349百万円を計上しました。これは主に、スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の対価として受領した一定の条件を満たした際にTモバイル株式を無償で取得できる権利の公正価値の増加額129,649百万円を当該利益として計上したことによるものです。
・投資の売却による実現利益65,445百万円を計上しました。これは主に、4.5兆円プログラムの調達資金およびその他の余剰資金を使って流動性の高い上場株式への投資を行ったことによるものです。
B 財務費用:53,150百万円(前年同期比2,039百万円増)
・ソフトバンクグループ㈱の支払利息3が1,993百万円増の53,102百万円となりました。
C 持分法による投資利益:4,103百万円(前年同期比84,780百万円減少)
・2020年4月1日から同年6月25日までの期間におけるTモバイルに係る持分法投資利益24,736百万円を計上しました(前年同期は計上なし)。
・アリババに係る持分法投資損益は107,586百万円悪化し、18,472百万円の損失となりました。これは主に、2020年3月31日に終了した3カ月間2において、新型コロナウイルスの感染拡大による株式相場の急落に伴う同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資損失の計上によるものです。
D デリバティブ関連損失:176,189百万円
・2019年11月および2020年4月から6月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に関するデリバティブ関連損失179,471百万円を計上しました。
E その他の利益:55,928百万円
・当社による金融機関からWeWorkへの支払保証枠に対するクレジットサポート、および当社100%子会社によるWeWorkの無担保債券の買い受けについて、2020年3月31日に終了した3カ月間(前期第4四半期)に損失評価引当金繰入額をそれぞれ52,349百万円、90,210百万円を計上しましたが、同社の信用リスクが改善したことなどにより、それぞれ3,472百万円、43,485百万円の戻し入れを行いました。
<当第1四半期の主な活動>4.5兆円プログラムに基づく資産の売却または資金化、自己株式の取得、負債の削減については、前述の「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)について>」をご参照ください。
<当事業における主な有利子負債>
(注)資金調達を行う100%子会社による借入れはソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業
(注1)「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルによる投資成果は含みません。
(注2)投資先株式に係るデリバティブ関連損益を含みます。累計投資利益(グロス)は外部投資家持分および税金等の控除前の金額です。
<事業概要>当事業の業績には、主に、金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた当社の英国100%子会社SBIAが運営するソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資および事業活動の結果が含まれています。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、「ユニコーン(投資時において企業価値が10億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AIを活用した成長可能性の大きな企業への投資を保有しており、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。同ファンドの投資期間は2019年9月12日に終了しましたが、合弁会社への投資を含む既存投資先への追加投資や固定分配、ファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。存続期間は原則として2029年11月20日までです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響
新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済および金融市場に影響を及ぼす中、ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおいては投資先企業の属するセクターにより大きく異なる影響を受けています。イーコマースや食品デリバリーなどのオンライン事業においては顧客エンゲージメント(顧客によるサービスの利用やその定着)の高まりが見られる一方、旅行・ホスピタリティーなどの事業には引き続きマイナスの影響が及んでいます。当社要約四半期連結財務諸表における投資先の公正価値評価は、新型コロナウイルスによる投資先固有の影響の当第1四半期末時点での見込みや各社の手元流動性、市場および類似企業の状況、上昇した市場ボラティリティーなどの要素に基づいて行われていますが、新型コロナウイルスの感染拡大は今後も各投資先ごとに異なる影響を及ぼすことが予想されます。
このような状況下で、SBIAは各投資先企業と協力して、回復へのロードマップを個別に策定し、コスト削減や世界各地域別の回復アプローチの検討、柔軟性の維持、グローバルサプライチェーンの混乱に備えたシナリオ策定、顧客行動の変化の分析などに関する助言を行っています。業界によって、SBIAによる支援活動は、成長機会の活用に向けた投資先との連携から、現預金残高の最適化に向けたより慎重な事業運営の指導まで、多岐にわたります。一方、業種や地域にかかわらず、SBIAはすべての投資先企業に対し、この期間をコスト構造の見直し、事業の最適化・合理化、事業の柔軟性の保持、明確な危機管理計画の維持に充てるよう推奨しています。新型コロナウイルス感染拡大の収束時期を予測することは困難であるものの、SBIAは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先企業がこの危機を乗り越えるための支援に注力しており、投資先企業の多くが、困難な状況の克服後には、ベストプラクティスを備えたより強固な存在となることを期待しています。
当事業における主なファンドの概要
2020年6月30日現在
(注)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドの資金の状況
2020年6月30日現在
(単位:十億米ドル)
(注)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。
<業績全般>(単位:百万円)
(注)当期に売却した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の売却による実現損益」に振り替えています。
当第1四半期において、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、既存投資先およびその合弁会社へ合計12.7億米ドルの追加投資5を行った一方、上場投資先4銘柄の一部株式および非上場投資先3銘柄5の全株式を、合計10.7億米ドルの当初取得額に対し合計21.0億米ドル6で売却しました。
セグメント利益
投資利益:296,577百万円
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが上場投資先4銘柄の一部株式および非上場投資先3銘柄の全株式を売却5したことにより、投資の売却による実現益111,425百万円を計上しました。
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが当第1四半期末に保有する投資86銘柄について未実現評価益258,056百万円(2,395百万米ドル、純額)を計上しました。内訳は以下「ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資の状況」をご参照ください。上場投資先について、公開株式市場の復調などに伴う株価回復により、合計1,387百万米ドルの未実現評価益を計上しました。また、非上場株式についても、主にエンターテインメントやイーコマースなど、新型コロナウイルス感染拡大局面において顧客エンゲージメント(顧客によるサービスの利用やその定着)の高まりが見られるオンライン事業を営む投資先の公正価値の増加に伴い合計1,008百万米ドルの未実現評価益を計上しました。
外部投資家持分の増減額:△147,643百万円
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドの投資損益から当社英国100%子会社SBIAに支払われる管理報酬および成功報酬、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドの営業費用ならびにその他の費用を控除した金額を、持分に応じて外部投資家に分配した成果分配額および固定分配額の合計です。詳細は「第4 経理の状況、1 要約四半期連結財務諸表、要約四半期連結財務諸表注記 7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける外部投資家持分」をご参照ください。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資の状況
2020年6月30日現在
(単位:十億米ドル)
①エグジット前の投資(当第1四半期末に保有する投資)
(別掲)
②エグジットした投資
③投資に係るデリバティブ関連損益
合計(①+②+③)
(注1)当社からソフトバンク・ビジョン・ファンドへの移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
(注2)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
(注3)外部投資家持分および税金等の控除前
(c)ソフトバンク事業
(単位:百万円)
(注)主にPayPay㈱に係る持分法投資損失です。ソフトバンク㈱においては、PayPay㈱は持分法適用会社に分類されていますが、ソフトバンクグループ㈱においては、PayPay㈱は2018年6月の設立から一貫して子会社として連結されており、その業績は「その他」に含まれています。このため、ソフトバンク事業で認識したPayPay㈱に係る持分法投資損失はセグメント情報の「調整額」で消去されています。
<業績全般>セグメント利益は、前年同期比2,447百万円(0.9%)減少の259,249百万円となりました。Zホールディングス㈱と法人向け事業が下支えしたものの、コンシューマ向け事業の減益や投資利益の減少、持分法投資損失の増加などのマイナス影響を補いきれませんでした。
Zホールディングス㈱は主に2019年11月の㈱ZOZO子会社化および既存イーコマース事業の増収の影響で、また法人向け事業は主に新型コロナウイルス感染拡大を受けたテレワークの広がりによりクラウドサービスやセキュリティソリューションの売上が伸びた影響で、いずれも増益となりました。一方、コンシューマ向け事業は、スマートフォンの累計契約数が引き続き順調に拡大したものの、料金プランの割引施策などの影響により減益となりました。
Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合
Zホールディングス㈱とLINE㈱は、2019年12月にソフトバンク㈱とNAVER Corporationを含む4社間で経営統合(以下「本経営統合」)に関する最終契約を締結しました。本経営統合後の上場統合会社であるZホールディングス㈱は、当社およびソフトバンク㈱の子会社となる予定です。2020年8月3日、ソフトバンク㈱およびNAVER Corporationの完全子会社は、本経営統合を実現するための取引の一環として、日本および米国においてLINE㈱株式を対象とした公開買付けを開始することを決定し、同月4日から公開買付けを開始しました。この決定に伴い、本経営統合の完了時期は2021年3月頃と想定しています。
(d)アーム事業
(単位:百万円)
(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当第1四半期は12,215百万円、前年同期は12,868百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。現在アームは既存市場でのシェアの維持・獲得および新規市場でのシェア獲得に向けて新技術開発を目指しており、技術関連人員の増強により研究開発投資を加速することで、技術力の強化を図っています。
市場の動向とその影響
アームの業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあります。半導体市場は現在、貿易摩擦や特定企業への制裁などの外部要因に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動縮小の影響にさらされています。当期は、これらの影響により、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷数が力強さを欠いたまま推移した場合にはロイヤルティー収入の押し下げ要因となる可能性があるほか、収入減に直面したライセンシーが新規ライセンス契約の締結を延期する動向が継続した場合にはライセンス収入も押し下げられる可能性があります。しかしながら、現時点で半導体業界全体、またはアームへの悪影響を見通すことは困難です。
足元でこうしたリスクは残るものの、今後、市場環境が改善するにつれて、アームは再度成長軌道に転じるものと見込んでいます。さらに今後テクノロジーの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は長期的に拡大していくと期待しています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
(単位:百万米ドル)
当第1四半期の売上高は前年同期から39百万米ドル(9.3%)増加しました。テクノロジー・ライセンス収入は前年同期から3百万米ドル(2.4%)減少した一方、テクノロジー・ロイヤルティー収入は前年同期から42百万米ドル(17.5%)増加しました。
テクノロジー・ライセンス収入
テクノロジー・ライセンス収入は前年同期から3百万米ドル(2.4%)減少しました。新型コロナウイルスの感染拡大による半導体市場の先行き不透明感を受けながらも、当第1四半期の新規ライセンス契約締結数は42件と堅調に推移しました。一部の顧客が契約の締結を延期する動きが見られたものの、そのほとんどは今後経済状況が改善するにつれて締結を再開していくとアームは見込んでいます。
テクノロジー・ロイヤルティー収入
テクノロジー・ロイヤルティー収入は前年同期から42百万米ドル(17.5%)増加しました。ライセンシーによる5G向けスマートフォンおよびネットワーク機器用チップの出荷の増加が増収に寄与しました。
ソフトウエアおよびサービス収入
ソフトウエアおよびサービス収入は前年同期から横ばいとなりました。
セグメント利益
セグメント利益は、前年同期から2,167百万円悪化し、13,340百万円の損失となりました。これは、研究開発体制の強化に伴い技術関連人員を中心に従業員の採用を進めていることにより、人件費が増加したことによるものです。なお、アームの従業員数は前年同期末から744人(12.3%)増加し、当第1四半期末現在6,808人となっています。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット7
2020年1~3月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は55億個となりました。アームが関連する半導体市場のチップ出荷数が前年同期から4.3%8の増加となる中、アームのロイヤルティー・ユニットの出荷数は前年同期から14.6%増加しました。一方、通期では、前述の「市場の動向とその影響」にて記述の通り、新型コロナウイルスの感染拡大などの要因が当期のロイヤルティー・ユニット出荷数を押し下げる可能性があります。このような影響を受けつつも、引き続きアームのテクノロジーの利用が進むことにより、ターゲットとなる最終製品市場におけるシェアを維持・拡大することを見込んでいます。
<技術開発>アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業におけるテクノロジーの開発に取り組んでいます。
重点投資分野と主な進捗:
(e)ブライトスター事業
(単位:百万円)
(f)その他
(単位:百万円)
その他のセグメント利益は合計8,689百万円の損失となりました。主に、日本でスマートフォン決済サービスを手掛けるPayPay㈱が、ユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンやサービス利用可能店舗の拡大に引き続き取り組んだことなどにより15,811百万円の税引前損失を計上したことによるものです。
ラテンアメリカのファンド事業においては、前期末から投資の公正価値が一部回復したことにより、22,373百万円の税引前利益を計上しました。なお、同ファンド事業の当第1四半期末現在の累計投資額は1,659百万米ドル、公正価値は1,426百万米ドルです。
「その他」に含まれるPayPay㈱の業績
(単位:百万円)
c. 財政状態の概況
(注1)スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併およびTモバイル株式の一部売却取引の詳細については、前述の「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)について>1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等について」をご参照ください。
(注2)アームは当社の子会社のため、同社への投資はソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資に含まれません。
(単位:百万円)
(a)資産
(単位:百万円)
主な科目別の増減理由
(b)負債
(単位:百万円)
主な科目別の増減理由
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(単位:百万円)
(注1)アリババ株式を活用した借入れを行うスカイウォークファイナンス合同会社、アリババ株式の先渡売買契約を締結しているWest Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limitedおよびソフトバンク㈱株式を活用した借入れを行うムーンライトファイナンス合同会社の有利子負債を記載しています。これらの有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(注2)ヤフー㈱の有利子負債およびリース負債を含めて記載しています。
前期末からの主な会社別の増減理由
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社
ソフトバンクグループ㈱
・国内普通社債1,000億円を償還しました。
・コマーシャル・ペーパーを610億円(純額)返済しました。
(資金調達を行う100%子会社)
West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited
2020年4月~6月、複数の資金調達を行う100%子会社において、保有するアリババ株式を利用した、複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結したことに伴い、当第1四半期末において株式先渡契約金融負債1,738,128百万円を計上しました。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、投資の資本効率向上などのために設定した借入枠(以下「ファンド・レベル・ファシリティー」)を利用した借入れについて、30.8億米ドルを返済しました。当第1四半期末における借入残高はありません。
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、保有株式の一部の資金化を目的とした借入れ(以下「ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティー」)のうち、7.9億米ドルを返済しました。
ソフトバンク事業
ソフトバンク㈱
通信債権の流動化および通信設備のセール・アンド・リースバックなどにより、借入金が増加しました。
Zホールディングス㈱
国内普通社債を合計2,000億円発行しました。
(c)資本
(単位:百万円)
主な科目別の増減理由
(2)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
(注)非継続事業からのキャッシュ・フローが含まれています。非継続事業からのキャッシュ・フローについては、「第4 経理の状況、1要約四半期連結財務諸表、要約四半期連結財務諸表注記 5.非継続事業」をご参照ください。
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期の法人税の支払額には、前期に発生したヤフー㈱からZホールディングス㈱への配当に係る源泉所得税102,100百万円の支払いが含まれています。なお、当該源泉所得税は2020年7月に還付されています。前年同期の法人税の支払額には、SBGJで発生したソフトバンク㈱株式売却益などに対する法人税およびSBGJが行ったソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税が含まれています。なお、後者の源泉所得税は2019年7月に還付されました。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(注)借入れによる収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が220,746百万円、支出が△718,365百万円、それぞれ含まれています。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期における研究開発費は39,103百万円です。
(6)主要な設備の状況
当第1四半期において、スプリントは当社の子会社ではなくなりました。そのため、当第1四半期において、スプリントに係る設備は、当社の主要な設備ではなくなりました。
(7)従業員の状況
当社の従業員数は前期末から25,265名減少し、当第1四半期末において55,644名となりました。これは主に、当第1四半期において、スプリントが当社の子会社でなくなったことに伴い、スプリント事業の従業員数が26,937名減少したことによるものです。なお、従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は除いています。
(1)財政状態及び経営成績の状況
1.4.5兆円の資産の売却または資金化の進捗 ◆ Tモバイル株式の一部売却および同株式を活用した借入れ、先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化、およびソフトバンク㈱株式の一部売却により、2020年8月3日までに4.3兆円の資産を売却または資金化 ◆ 2020年5月から7月にかけて合計2兆円の自己株式取得を決定し、このうち2020年6月末までに1,017億円、その後8月3日までに3,983億円の自己株式を取得 ◆ 2020年7月、国内無担保社債1,676億円(買入額面総額)の買入れを完了 ◆ 2020年7月、アリババ株式を活用した借入れ(マージン・ローン)全額94億米ドルを返済 2.スプリントへの投資の成果 ◆ 2020年4月1日にスプリントがT-Mobile US, Inc.と合併完了 ◆ 2020年6月から8月にかけて保有するTモバイルの株式の約3分の2を売却 (取引の詳細および当第1四半期の要約四半期連結財務諸表への主な影響は後述) 3.業績ハイライト ◆ 投資利益9,830億円 -持株会社投資事業からの投資利益6,505億円:このうちTモバイル株式売却関連利益4,219億円。前年同期にはアリババ株式先渡売買契約決済益1.2兆円を計上 -ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資利益2,966億円:投資の売却による実現益(純額)1,114億円を計上したほか、公開株式市場復調により上場投資先を中心に未実現評価益を計上 ◆ 税引前利益8,330億円(前年同期比8,620億円減少) -財務費用781億円* -デリバティブ関連損失(投資損益を除く)1,763億円* -ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドにおける外部投資家持分の増減額△1,476億円* (*:費用の当第1四半期計上額) ◆ 親会社所有者に帰属する純利益1.3兆円(前年同期比1,340億円増加) -非継続事業からの純利益7,364億円:スプリントに係る支配喪失利益 |
為替換算レート
期中平均レート
2020年3月期 | 2021年3月期 | ||||
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 第1四半期 | |
1米ドル | 110.00円 | 107.70円 | 108.98円 | 109.22円 | 107.74円 |
期末日レート
2020年 | 2020年 | ||||
3月31日 | 6月30日 | ||||
1米ドル | 108.83円 | 107.74円 |
連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更
ソフトバンクグループ㈱は、直接(子会社を通じた投資を含む)または投資ファンド(例えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を通じて多数の企業に投資を行い、その投資ポートフォリオを管理する戦略的投資持株会社です。2020年4月1日にスプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引が完了し、同日からスプリントが当社の子会社ではなくなったことにより、当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期より連結損益計算書の表示を変更しました。
具体的には、連結損益計算書において「営業利益」の表示を取り止める一方で、連結業績における投資の成果を明示するために新たに「投資損益」を表示しています。従前の「営業利益」には「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益」に含まれる投資損益以外の投資損益が含まれておらず、戦略的投資持株会社としての連結業績を適切に表示するには有用でないと判断したためです。新たに設けた「投資損益」には、①投資有価証券(FVTPLの金融資産)および持分法で会計処理されている投資の売却による実現損益、②FVTPLの金融資産の未実現評価損益、③投資先からの受取配当金、④FVTPLの金融資産などの投資に係るデリバティブ関連損益が含まれています。なお、上記の投資損益に含まれないデリバティブ関連損益は、「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として表示しています。また、投資先の純損益に対する当社持分を認識する持分法による投資損益については、従前と同様に「持分法による投資損益」として表示しています。前年同期における連結損益計算書も同様に組み替えて表示しています。
また、前述の通り当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期よりセグメント管理区分も変更し、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ブライトスター事業」の5つを報告セグメントとしています。新たに設けた「持株会社投資事業」の概要については「b.セグメントの業績概況 (a)持株会社投資事業 <事業概要>」をご参照ください。なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取り止めに伴い、報告セグメントの利益は「税引前利益」に変更しました。前年同期におけるセグメント情報も同様に変更後の報告セグメントに組み替えて表示しています。
<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)について>ソフトバンクグループ㈱は2020年3月23日、自己株式取得と負債削減のために4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針を発表しました。売却または資金化で得られた資金のうち最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向けるものです(以下「4.5兆円プログラム」と総称)。このうち、4.5兆円の保有資産の売却または資金化については、下表の通り2020年8月3日までに4.3兆円の資産の売却または資金化を行いました。一方で、最大2兆円の自己株式取得については、2020年3月23日の発表から4四半期にわたって行うことを予定していましたが、市場動向などの不確実性等に鑑み、取得の終了が2021年4月以降となる可能性があります。
なお、ソフトバンクグループ㈱は、新型コロナウイルスの感染拡大の第2波、第3波が警戒される現在の状況に鑑み手元資金のさらなる拡充が必要と考えています。自己株式の取得や負債の削減に充当するまでの間の調達資金およびその他の余剰資金に関しては、現預金で保有するだけでなく、従来から掲げているLTV(Loan to Value、保有資産に対する負債の割合)や手元流動性に関する財務方針を堅持しつつ、流動性の高い優良有価証券等で運用を行っています。
4.5兆円プログラムに基づく資産の売却または資金化
2020年8月3日現在
売却または資金化額 | |||
2020年 6月末まで | 2020年 7月以降 | 合計 | |
1.Tモバイル株式の一部売却および同株式を活用した借入れ | 1.9兆円 | 0.5兆円 | 2.4兆円 |
2.先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化 | 1.5兆円 | 0.1兆円 | 1.6兆円 |
3.ソフトバンク㈱株式の一部売却 | 0.3兆円 | - | 0.3兆円 |
合計 | 3.7兆円 | 0.6兆円 | 4.3兆円 |
1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等について
① スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了
当社米国子会社であったスプリントとT-Mobile US, Inc.の全ての対価を株式とする合併による取引(以下「本合併取引」)が、2020年4月1日、完了しました。当社は、本合併取引の対価としてTモバイルの株式304,606,049株と一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株を無償で取得できる権利(以下「条件付対価」)を取得しました。同日から、スプリントは当社の子会社ではなくなり、統合後の新会社であるTモバイルが、株式の24.7%を当社が保有する持分法適用関連会社となりました。詳細は「第4 経理の状況、1 要約四半期連結財務諸表、要約四半期連結財務諸表注記 5.非継続事業」をご参照ください。
② Tモバイル株式の一部売却
さらに当社は保有するTモバイルの普通株式304,606,049株のうち、2020年6月26日に173,564,426株(以下「本一部売却の内容」の(a)および(b))、2020年7月16日に5,000,000株(同(c))、2020年8月3日に19,750,000株(同
(d))を当社子会社を通じてTモバイルに売却しました(以下「本一部売却」)。Tモバイルは当社子会社から購入した株式を米国内における公募、現金強制転換証券(Cash Mandatory Exchangeable Trust Securities)を発行する信託を通じた私募、同社取締役のマルセロ・クラウレ(ソフトバンクグループ㈱取締役副社長COO)への売却および株主割当による株式募集を通じて処分し、その手取金は当社子会社に引渡されました。
なお、2020年6月26日の株式売却に伴う議決権比率の低下によりTモバイルに対する重要な影響力がなくなったため、同日をもってTモバイルは当社の持分法適用関連会社から除外されました。
本一部売却の内容
取引内容 | 売却株式数 | 売却価額の総額 |
(a)Tモバイルによる米国内における公募 | 154,147,026株 | 15,877百万米ドル |
(b)Tモバイルによる信託を通じた私募 | 19,417,400株 | 1,667百万米ドル |
(c)Tモバイルによる同社取締役のマルセロ・クラウレへの売却 | 5,000,000株 | 515百万米ドル |
(d)Tモバイルによる株主割当による株式募集 | 19,750,000株 | 2,034百万米ドル |
また、Deutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)は、本一部売却後に当社が引き続き保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプション(以下「ドイツテレコムの株式購入オプション」)1を受領しました。
(i) 上記101,491,623株のうち44,905,479株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、1株当たり103.00米ドルです。また、ドイツテレコムはオプション付与日以降いつでも権利行使可能です。
(ⅱ)上記101,491,623株のうち56,586,144株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、行使に先立つ20取引日のTモバイル株式市場株価の加重平均価額の平均です。また、ドイツテレコムは、上記(i)の権利行使後もしくは2020年10月2日以降、権利行使可能となります。
本一部売却前後の当社が保有するTモバイル株式
(a)本一部売却前の保有株式数 | 304,606,049株 |
(b)本一部売却株式数(2020年8月3日時点) | 198,314,426株 |
(c)本一部売却後の保有株式数 (a)-(b) | 106,291,623株 |
(d)ドイツテレコムの株式購入オプションの対象株式数 | 101,491,623株 |
(e)ドイツテレコムの株式購入オプションが全て行使された場合の 所有株式数 (c)-(d) | 4,800,000株 |
(f)条件付対価で取得できる株式数 | 48,751,557株 |
(g)条件付対価で株式を取得した場合の所有株式数 (e)+(f) | 53,551,557株 |
③ Tモバイル株式を活用した借入れ
ソフトバンクグループ㈱の100%子会社は2020年7月30日に、保有するTモバイル株式を担保に、43.8億米ドルの借入れ(マージン・ローン)を行いました。本マージン・ローンについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しているため、当該保証債務の上限枠(20.8億米ドル)を控除した23.0億米ドルを4.5兆円プログラムに基づく資産の資金化額としています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該マージン・ローンの担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
2.先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化
ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるWest Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、およびSkylark 2020 Holdings Limitedが、2020年4月から6月にかけて、保有するアリババ株式を利用した、複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結し、総額で137億米ドルを調達しました。なお本取引後もアリババは継続して当社の持分法適用関連会社です。
さらに、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるScout 2020 Holdings Limitedが、2020年7月に、保有するアリババ株式を利用した先渡売買契約を金融機関との間で締結し、9億米ドルを調達しました。
1 | 早期終了をもたらす一定の事象が発生しない限り、2024年6月22日に行使期限が到来します。 |
3.ソフトバンク㈱株式の一部売却
2020年5月22日、ソフトバンクグループ㈱は、ソフトバンクグループジャパン㈱を通じて保有する子会社ソフトバンク㈱の普通株式3,182,919,470株の一部である240,000,000株を複数の証券会社を通じて3,102億円で売却しました。なお、本売却後もソフトバンク㈱は引き続きソフトバンクグループ㈱の子会社であるため、本売却における売却益相当額(税金考慮後)は、要約四半期連結財政状態計算書の資本剰余金として計上されています。これに加え、本取引によって、ソフトバンクグループジャパン㈱において繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用できる課税所得が生じる可能性が高まったと判断したことなどにより、法人所得税が利益方向に計上されています。
4.5兆円プログラムに基づく自己株式取得
2020年8月3日現在
取締役会決議日 | 取得可能株式数 | 取得価額総額 | 取得期間 |
2020年5月15日 | 81,940,400株 (取得済) | 5,000億円 (取得済) | 2020年6月17日 ~2020年8月3日 |
2020年6月25日 | 上限115百万株 | 上限5,000億円 | 2020年6月26日 ~2021年3月31日 |
2020年7月30日 | 上限240百万株 | 上限1兆円 | 2020年7月31日 ~2021年7月30日 |
(参考:4.5兆円プログラム以前に決定された自己株式の取得状況) | |||
2020年3月13日 | 107,679,300株 (取得済) | 5,000億円 (取得済) | 2020年3月16日~2020年6月15日 |
4.5兆円プログラムに基づく負債削減
当第1四半期には4.5兆円プログラムの一環として実施した負債の削減はありませんでしたが、当第1四半期末以降に以下を行いました。
①国内無担保社債の買入れ
ソフトバンクグループ㈱は、2020年7月22日、国内無担保社債1,676億円(買入額面総額)の買入れを完了しました。
②アリババ株式を活用した借入れの返済
当社の100%子会社であるスカイウォークファイナンス合同会社は2020年7月、アリババ株式を活用した借入れ(マージン・ローン)全額94億米ドルを返済しました。
<スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引およびTモバイル株式の一部売却による当第1四半期の要約四半期連結財務諸表への主な影響>スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引による影響
①要約四半期連結損益計算書への影響
スプリントの支配喪失利益7,364億円を「非継続事業からの純利益」に計上
②要約四半期連結財政状態計算書への影響
資産の部
・本合併取引の対価として受領したTモバイル株式の公正価値2.7兆円を「持分法で会計処理されている投資」に計上(以下のTモバイル株式の一部売却の結果、引き続き保有するTモバイル株式は公正価値で「投資有価証券」に振替え)
・本合併取引の対価として受領した条件付対価の公正価値1,963億円を「デリバティブ金融資産」に計上。なお、条件付対価は毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」に計上します。当第1四半期に計上した条件付対価に係るデリバティブ関連利益は1,296億円です。
Tモバイル株式の一部売却取引による影響
①要約四半期連結損益計算書への影響
投資損益
Tモバイル株式売却関連利益4,219億円を「持株会社投資事業からの投資損益」に計上:
関連会社株式売却益2,803億円、引き続き保有するTモバイル株式の再評価益2,960億円、ドイツテレコムの株式購入オプションに係るデリバティブ関連損失1,545億円
②要約四半期連結財政状態計算書への影響
資産の部
引き続き保有するTモバイル株式を公正価値で「投資有価証券」に計上(当第1四半期末:1.5兆円)。なお、引き続き保有するTモバイル株式は毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」に計上します。2020年6月26日から同年6月30日までの期間に認識したTモバイル株式に係る投資の評価損失は148億円です。
負債の部
ドイツテレコムの株式購入オプションを公正価値で「デリバティブ金融負債」に計上(当第1四半期末:1,475億円)。なお、ドイツテレコムの株式購入オプションは毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」にデリバティブ関連損益として計上します。
③要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書への影響
投資活動によるキャッシュ・フロー
Tモバイル株式売却の手取金1.8兆円を「投資の売却または償還による収入」に計上
<新型コロナウイルスの感染拡大の影響について>新型コロナウイルスの感染拡大は収束の兆しが未だに見えていません。米国のジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、2020年8月2日には世界の累計感染者数が1,800万人を超えました。米国やインド、ブラジルなどの国で感染が増え続けています。こうした中、2020年2月下旬から急落した世界の株式相場は急落前の水準を回復しつつあるものの、感染拡大の第2波、第3波への懸念から引き続き不安定な動きを続けています。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおいては、公開株式市場の復調により上場投資先を中心に公正価値が回復し、当第1四半期におけるソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資損益は直前四半期から1.4兆円改善し296,577百万円の利益となりました。新型コロナウイルスの感染拡大による影響は投資先企業の属するセクターにより大きく異なっており、イーコマースや食品デリバリーなどのオンライン事業においては顧客エンゲージメント(顧客によるサービスの利用やその定着)の高まりが見られる一方、旅行・ホスピタリティーなどの事業には引き続きマイナスの影響が及んでおり、今後も投資先ごとに異なる影響をきたすことが予想されます。
a.連結経営成績の概況
(単位:百万円) |
6月30日に終了した3カ月間 | |||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | ||
継続事業 | |||||
売上高 | 1,480,292 | 1,450,055 | △30,237 | △2.0% | A |
売上総利益 | 667,561 | 707,820 | 40,259 | 6.0% | |
投資損益 | |||||
持株会社投資事業からの投資損益 | 1,226,250 | 650,493 | △575,757 | △47.0% | B |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資損益 | 414,419 | 296,577 | △117,842 | △28.4% | C |
その他の投資損益 | 6,364 | 35,882 | 29,518 | 463.8% | |
投資損益合計 | 1,647,033 | 982,952 | △664,081 | △40.3% | |
販売費及び一般管理費 | △457,370 | △513,875 | △56,505 | 12.4% | |
財務費用 | △71,822 | △78,132 | △6,310 | 8.8% | D |
持分法による投資損益 | 91,573 | 6,416 | △85,157 | △93.0% | E |
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | 2,575 | △176,257 | △178,832 | - | F |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドにおける外部投資家持分の増減額 | △184,488 | △147,643 | 36,845 | △20.0% | |
その他の損益 | △54 | 51,766 | 51,820 | - | |
税引前利益 | 1,695,008 | 833,047 | △861,961 | △50.9% | |
法人所得税 | △506,813 | △253,055 | 253,758 | △50.1% | G |
継続事業からの純利益 | 1,188,195 | 579,992 | △608,203 | △51.2% | |
非継続事業 | |||||
非継続事業からの純利益 | △10,716 | 736,429 | 747,145 | - | H |
純利益 | 1,177,479 | 1,316,421 | 138,942 | 11.8% | |
親会社の所有者に帰属する純利益 | 1,121,719 | 1,255,712 | 133,993 | 11.9% | |
包括利益合計 | 747,172 | 1,136,007 | 388,835 | 52.0% | |
親会社の所有者に帰属する包括利益 | 706,799 | 1,073,486 | 366,687 | 51.9% |
(注)前期において、継続事業と非継続事業を区分して表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前年同期においても同様に組み替えて表示しています。
以下、要約四半期連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業とアーム事業はいずれも増収となったものの、ブライトスター事業は減収となりました。
B 持株会社投資事業からの投資損益
Tモバイル株式売却関連利益421,863百万円を計上しました。なお、前年同期には、アリババ株式先渡売買契約決済益1,218,527百万円を計上していました。詳細は「b.セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資損益
ソフトバンク・ビジョン・ファンドが上場投資先4銘柄の一部株式および非上場投資先3銘柄の全株式を売却(関係投資先株式との株式の交換を含む)したことにより、投資の売却による実現益111,425百万円を計上したほか、当第1四半期末に保有する投資86銘柄について未実現評価益258,056百万円(純額)を計上しました。詳細は「b.セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。
主にBおよびCの結果、投資損益合計は前年同期比664,081百万円(40.3%)減少の982,952百万円の利益となりました。
D 財務費用
持株会社投資事業で2,039百万円、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業で2,699百万円、ソフトバンク事業で2,243百万円、それぞれの支払利息が増加しました。
E 持分法による投資損益
2020年4月1日から同年6月25日までの期間におけるTモバイルに係る持分法投資利益24,736百万円を計上しました(前年同期は計上なし)。一方で、アリババに係る持分法投資損益は107,586百万円悪化し、18,472百万円の損失となりました。これは主に、2020年3月31日に終了した3カ月間2において、新型コロナウイルスの感染拡大による株式相場の急落に伴う同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資損失の計上によるものです。
F デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
2019年11月および2020年4月から6月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連損失179,471百万円を計上しました。
主にA~Fの結果、税引前利益は前年同期比861,961百万円(50.9%)減少の833,047百万円となりました。
G 法人所得税
ソフトバンク㈱やヤフー㈱に係る法人所得税を計上しているほか、Tモバイル株式の売却に係る税金費用を計上しています。なお、ソフトバンク㈱株式の一部売却(前述の「3.ソフトバンク㈱株式の一部売却」ご参照)によって、ソフトバンクグループジャパン㈱において繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用できる課税所得が生じる可能性が高まったと判断したことなどにより、法人所得税が利益方向に58,147百万円計上されました。
H 非継続事業からの純利益
スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の完了によりスプリントが当社の子会社でなくなったことに伴い、同社に係る支配喪失利益736,429百万円を計上しました。
主にA~Hの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前年同期比133,993百万円(11.9%)増加の1,255,712百万円となりました。
2 | アリババとの契約などにより、同社の報告期間を統一することが実務上不可能であるため、連結損益計算書上、報告期間が3カ月相違した同社の連結財務諸表に持分法を適用しています。ただし、アリババが公表した当該期間差における重要な取引または事象については、必要な調整を行っています。 |
b.セグメントの業績概況
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期よりセグメント管理区分を変更し、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ブライトスター事業」の5つを報告セグメントとしています。なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取り止めに伴い、報告セグメントの利益を「税引前利益」に変更しました。
前期までは、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ブライトスター事業」の4つを報告セグメントとしていました。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
セグメント名称 | 主な事業の内容 | 主な会社 | |
報告セグメント | |||
持株会社投資事業 | ・ソフトバンクグループ㈱およびその子会社による投資事業 | ソフトバンクグループ㈱ SoftBank Group Capital Limited ソフトバンクグループジャパン㈱ | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業 | ・ソフトバンク・ビジョン・ファンドによる投資事業 | SB Investment Advisers (UK) Limited SoftBank Vision Fund L.P. | |
ソフトバンク事業 | ・日本国内での移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドなど固定通信サービスの提供 ・インターネット広告やイーコマースサービスの提供 | ソフトバンク㈱ Zホールディングス㈱ | |
アーム事業 | ・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン ・ソフトウエアツールの販売、ソフトウエアサービスの提供 | Arm Limited | |
ブライトスター事業 | ・海外での携帯端末の流通事業 | Brightstar Corp. | |
その他 | ・スマートフォン決済事業 ・オルタナティブ投資の資産運用事業 | PayPay㈱ Fortress Investment Group LLC | |
・ラテンアメリカにおけるファンド事業 ・福岡ソフトバンクホークス関連事業 | 福岡ソフトバンクホークス㈱ |
(a)持株会社投資事業
1.Tモバイル株式売却関連利益4,219億円を計上 関連会社株式売却益2,803億円、引き続き保有する同社株式の再評価益2,960億円、デリバティブ関連損失1,545億円を計上 2.Tモバイル株式の一部売却、アリババ株式を活用した先渡売買契約およびソフトバンク㈱株式の一部売却により、当第1四半期に合計3.6兆円の手取金を受領 |
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱および、SoftBank Group Capital Limitedやソフトバンクグループジャパン㈱(以下「SBGJ」)などの投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、The We Company(以下「WeWork」)(注)など約120社で、持分法適用関連会社(例えばアリババ)のほか、FVTPLの金融資産として認識されるものがあります。持分法適用関連会社に該当する投資先の業績は、持分に応じて損益が「持分法による投資損益」に計上されます。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
(注)ソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有するWeWork株式に係る投資損益は「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」に含まれています。
<業績全般>(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | |||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | ||
投資損益 | 1,226,250 | 650,493 | △575,757 | △47.0% | A |
Tモバイル株式売却関連損益 | - | 421,863 | 421,863 | - | |
アリババ株式先渡売買契約決済益 | 1,218,527 | - | △1,218,527 | - | |
投資の売却による実現損益 | 1,738 | 65,445 | 63,707 | - | |
投資の未実現評価損益 | 15,188 | 28,515 | 13,327 | 87.7% | |
投資に係るデリバティブ関連損益 | △11,082 | 133,349 | 144,431 | - | |
その他 | 1,879 | 1,321 | △558 | △29.7% | |
販売費及び一般管理費 | △18,322 | △22,288 | △3,966 | 21.6% | |
財務費用 | △51,111 | △53,150 | △2,039 | 4.0% | B |
持分法による投資損益 | 88,883 | 4,103 | △84,780 | △95.4% | C |
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | 2,113 | △176,189 | △178,302 | - | D |
その他の損益 | △633 | 55,928 | 56,561 | - | E |
セグメント利益(税引前利益) | 1,247,180 | 458,897 | △788,283 | △63.2% |
A 投資利益:650,493百万円
・Tモバイル株式売却関連利益421,863百万円を計上しました。これは、①2020年6月26日に保有するTモバイル株式304,606,049株のうち173,564,426株を売却したことに伴う関連会社株式売却益280,341百万円、②Tモバイルの持分法適用除外時に引き続き保有する同社株式に係る再測定益296,013百万円、③ドイツテレコムが受領した当社が保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプションに関するデリバティブ関連損失154,491百万円から成ります。
・投資に係るデリバティブ関連利益133,349百万円を計上しました。これは主に、スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の対価として受領した一定の条件を満たした際にTモバイル株式を無償で取得できる権利の公正価値の増加額129,649百万円を当該利益として計上したことによるものです。
・投資の売却による実現利益65,445百万円を計上しました。これは主に、4.5兆円プログラムの調達資金およびその他の余剰資金を使って流動性の高い上場株式への投資を行ったことによるものです。
B 財務費用:53,150百万円(前年同期比2,039百万円増)
・ソフトバンクグループ㈱の支払利息3が1,993百万円増の53,102百万円となりました。
C 持分法による投資利益:4,103百万円(前年同期比84,780百万円減少)
・2020年4月1日から同年6月25日までの期間におけるTモバイルに係る持分法投資利益24,736百万円を計上しました(前年同期は計上なし)。
・アリババに係る持分法投資損益は107,586百万円悪化し、18,472百万円の損失となりました。これは主に、2020年3月31日に終了した3カ月間2において、新型コロナウイルスの感染拡大による株式相場の急落に伴う同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資損失の計上によるものです。
D デリバティブ関連損失:176,189百万円
・2019年11月および2020年4月から6月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に関するデリバティブ関連損失179,471百万円を計上しました。
E その他の利益:55,928百万円
・当社による金融機関からWeWorkへの支払保証枠に対するクレジットサポート、および当社100%子会社によるWeWorkの無担保債券の買い受けについて、2020年3月31日に終了した3カ月間(前期第4四半期)に損失評価引当金繰入額をそれぞれ52,349百万円、90,210百万円を計上しましたが、同社の信用リスクが改善したことなどにより、それぞれ3,472百万円、43,485百万円の戻し入れを行いました。
3 | ソフトバンクグループ㈱の支払利息は、資金調達を行う100%子会社(スカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limitedおよびムーンライトファイナンス合同会社)の有利子負債に係る支払利息を含めて表示しています。なお、これらの有利子負債にはソフトバンクグループ㈱による保証は付されておらず、ソフトバンクグループ㈱に対してはノンリコースです。 |
<当第1四半期の主な活動>4.5兆円プログラムに基づく資産の売却または資金化、自己株式の取得、負債の削減については、前述の「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)について>」をご参照ください。
<当事業における主な有利子負債>
借入者 | 種別 | 2020年6月30日 要約四半期連結 財政状態計算書残高 |
ソフトバンクグループ㈱ | 借入金 | 1兆3,348億円 |
社債 | 4兆9,390億円 | |
コマーシャル・ペーパー | 450億円 | |
(資金調達を行う100%子会社(注)) | ||
West Raptor Holdings, LLC West Raptor Holdings 2, LLC Skybridge LLC Skylark 2020 Holdings Limited | アリババ株式を活用した複数の株式先渡売買契約(先渡契約、フロア契約、カラー契約およびコールスプレッド) | 1兆9,331億円 |
スカイウォークファイナンス合同会社 | アリババ株式を活用した借入れ | 1兆153億円 |
ムーンライトファイナンス合同会社 | ソフトバンク㈱株式を活用した借入れ | 4,977億円 |
(注)資金調達を行う100%子会社による借入れはソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業
1.投資利益(純額)2,966億円となり直前四半期から1.4兆円改善。外部投資家持分増減額を控除したセグメント利益は1,296億円に ◆ ソフトバンク・ビジョン・ファンド(注1) -投資の売却による実現益(純額)1,114億円:上場投資先4銘柄の一部株式などを売却 -当第1四半期末に保有する投資の未実現評価益(純額)2,581億円:株式市場復調により上場投資先で1,494億円、コロナ禍において顧客によるサービス利用が増加した投資先の公正価値上昇により未上場投資先でも1,087億円を計上 2.ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資および運営の状況 ◆ 当第1四半期末現在、86銘柄を保有:投資額合計752億米ドルに対し、公正価値合計715億米ドル。 エグジットした銘柄を含めた活動開始来の累計投資利益(グロス)は20億米ドルに(注2) ◆ 投資先のうち2020年7月16日にRelay Therapeutics, Inc.が上場 ◆ 新型コロナウイルスの感染拡大に対し、事業回復に向けたロードマップを投資先個別に策定するなど、引き続き事業運営の支援や戦略への指導を提供 |
(注1)「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルによる投資成果は含みません。
(注2)投資先株式に係るデリバティブ関連損益を含みます。累計投資利益(グロス)は外部投資家持分および税金等の控除前の金額です。
<事業概要>当事業の業績には、主に、金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた当社の英国100%子会社SBIAが運営するソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資および事業活動の結果が含まれています。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、「ユニコーン(投資時において企業価値が10億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AIを活用した成長可能性の大きな企業への投資を保有しており、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。同ファンドの投資期間は2019年9月12日に終了しましたが、合弁会社への投資を含む既存投資先への追加投資や固定分配、ファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。存続期間は原則として2029年11月20日までです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響
新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済および金融市場に影響を及ぼす中、ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおいては投資先企業の属するセクターにより大きく異なる影響を受けています。イーコマースや食品デリバリーなどのオンライン事業においては顧客エンゲージメント(顧客によるサービスの利用やその定着)の高まりが見られる一方、旅行・ホスピタリティーなどの事業には引き続きマイナスの影響が及んでいます。当社要約四半期連結財務諸表における投資先の公正価値評価は、新型コロナウイルスによる投資先固有の影響の当第1四半期末時点での見込みや各社の手元流動性、市場および類似企業の状況、上昇した市場ボラティリティーなどの要素に基づいて行われていますが、新型コロナウイルスの感染拡大は今後も各投資先ごとに異なる影響を及ぼすことが予想されます。
このような状況下で、SBIAは各投資先企業と協力して、回復へのロードマップを個別に策定し、コスト削減や世界各地域別の回復アプローチの検討、柔軟性の維持、グローバルサプライチェーンの混乱に備えたシナリオ策定、顧客行動の変化の分析などに関する助言を行っています。業界によって、SBIAによる支援活動は、成長機会の活用に向けた投資先との連携から、現預金残高の最適化に向けたより慎重な事業運営の指導まで、多岐にわたります。一方、業種や地域にかかわらず、SBIAはすべての投資先企業に対し、この期間をコスト構造の見直し、事業の最適化・合理化、事業の柔軟性の保持、明確な危機管理計画の維持に充てるよう推奨しています。新型コロナウイルス感染拡大の収束時期を予測することは困難であるものの、SBIAは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先企業がこの危機を乗り越えるための支援に注力しており、投資先企業の多くが、困難な状況の克服後には、ベストプラクティスを備えたより強固な存在となることを期待しています。
当事業における主なファンドの概要
2020年6月30日現在
ソフトバンク・ビジョン・ファンド | |
主なリミテッド・パートナーシップ | SoftBank Vision Fund L.P. |
出資コミットメント総額 | 986億米ドル(当社:331億米ドル、外部投資家:655億米ドル) |
ジェネラル・パートナー | SVF GP (Jersey) Limited(当社海外100%子会社) |
投資期間 | 2019年9月12日に終了 |
存続期間 | 2029年11月20日まで(原則) |
(注)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドの資金の状況
2020年6月30日現在
(単位:十億米ドル)
合計 | 当社 | 外部投資家 | ||
出資コミットメント(A) | 98.6 | 33.1 | 65.5 | |
払込資金4(B) | 84.1 | 28.4 | 55.7 | |
払込資金返還額(再コール不可)(C) | 5.9 | 0.9 | 5.0 | |
払込資金残高(D)=(B)-(C) | 78.2 | 27.5 | 50.7 | |
コミットメント残額(E)=(A)-(B) | 14.5 | 4.7 | 9.8 |
(注)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。
4 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける払込資金は、払込後に投資計画の変更等によりリミテッド・パートナーへ返還された金額を差し引いています。 |
<業績全般>(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | ||||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |||
投資損益 | 414,419 | 296,577 | △117,842 | △28.4% | ||
投資の売却による実現損益 | - | 111,425 | 111,425 | - | ||
投資の未実現評価損益 | 408,514 | 178,114 | △230,400 | △56.4% | ||
当期計上額 | 408,514 | 258,056 | △150,458 | △36.8% | ||
過年度計上額のうち実現損益への振替額(注) | - | △79,942 | △79,942 | - | ||
投資先からの受取配当金 | 5,905 | 2,888 | △3,017 | △51.1% | ||
投資に係るデリバティブ関連損益 | - | 815 | 815 | - | ||
為替換算影響額 | - | 3,335 | 3,335 | - | ||
販売費及び一般管理費 | △16,795 | △14,342 | 2,453 | △14.6% | ||
財務費用 | △1,901 | △4,600 | △2,699 | 142.0% | ||
外部投資家持分の増減額 | △184,488 | △147,643 | 36,845 | △20.0% | ||
その他の損益 | 829 | △362 | △1,191 | - | ||
セグメント利益(税引前利益) | 212,064 | 129,630 | △82,434 | △38.9% |
(注)当期に売却した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の売却による実現損益」に振り替えています。
当第1四半期において、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、既存投資先およびその合弁会社へ合計12.7億米ドルの追加投資5を行った一方、上場投資先4銘柄の一部株式および非上場投資先3銘柄5の全株式を、合計10.7億米ドルの当初取得額に対し合計21.0億米ドル6で売却しました。
セグメント利益
投資利益:296,577百万円
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが上場投資先4銘柄の一部株式および非上場投資先3銘柄の全株式を売却5したことにより、投資の売却による実現益111,425百万円を計上しました。
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが当第1四半期末に保有する投資86銘柄について未実現評価益258,056百万円(2,395百万米ドル、純額)を計上しました。内訳は以下「ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資の状況」をご参照ください。上場投資先について、公開株式市場の復調などに伴う株価回復により、合計1,387百万米ドルの未実現評価益を計上しました。また、非上場株式についても、主にエンターテインメントやイーコマースなど、新型コロナウイルス感染拡大局面において顧客エンゲージメント(顧客によるサービスの利用やその定着)の高まりが見られるオンライン事業を営む投資先の公正価値の増加に伴い合計1,008百万米ドルの未実現評価益を計上しました。
外部投資家持分の増減額:△147,643百万円
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドの投資損益から当社英国100%子会社SBIAに支払われる管理報酬および成功報酬、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドの営業費用ならびにその他の費用を控除した金額を、持分に応じて外部投資家に分配した成果分配額および固定分配額の合計です。詳細は「第4 経理の状況、1 要約四半期連結財務諸表、要約四半期連結財務諸表注記 7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける外部投資家持分」をご参照ください。
5 | 株式の交換を含みます。当第1四半期において、既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換しました。当該株式の交換は、投資のエグジット(売却)および新規投資の取得として取り扱い、売却額および交換先の株式取得額をそれぞれグロスで算入するとともに、当初保有株式の取得額と売却額(交換先の株式の取得額)との差額を投資の実現損益として計上しています。 |
6 | 売却手数料等の控除後 |
ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資の状況
2020年6月30日現在
(単位:十億米ドル)
①エグジット前の投資(当第1四半期末に保有する投資)
セクター | 銘柄数 | 投資額 A1 | 公正価値 A2 | 累計 未実現損益 (注1)A3 | 未実現損益 当期計上額 Q1 | ||
a | コンシューマー | 14 | 11.5 | 13.7 | 2.2 | 0.9 | |
b | エンタープライズ | 8 | 2.2 | 2.9 | 0.7 | △0.0 | |
c | フィンテック | 11 | 4.9 | 4.9 | △0.0 | 0.0 | |
d | フロンティアテック | 10 | 10.8 | 10.4 | △0.4 | △0.0 | |
e | ヘルステック | 10 | 2.3 | 4.5 | 2.2 | 0.6 | |
f | リアルエステート&コンストラクション | 9 | 9.7 | 4.6 | △5.1 | △0.1 | |
g | トランスポーテーション&ロジスティクス | 24 | 33.8 | 30.5 | △3.3 | 1.0 | |
合計 | 86 | 75.2 | 71.5 | △3.7 | 2.4 |
(別掲)
上場株式(注2) | 8 | 8.9 | 10.0 | 1.1 | 1.4 | ||
b | Slack | 0.0 | 0.1 | 0.1 | 0.0 | ||
c | OneConnect | 0.1 | 0.1 | △0.0 | 0.0 | ||
c | ZhongAn Insurance | 0.5 | 0.4 | △0.1 | 0.1 | ||
e | 10x Genomics | 0.0 | 0.1 | 0.1 | 0.0 | ||
e | Guardant Health | 0.2 | 1.1 | 0.9 | 0.2 | ||
e | PingAn Good Doctor | 0.2 | 0.4 | 0.2 | 0.2 | ||
e | Vir Biotechnology | 0.2 | 0.9 | 0.7 | 0.2 | ||
g | Uber | 7.7 | 6.9 | △0.8 | 0.7 | ||
非上場株式 | 78 | 66.3 | 61.5 | △4.8 | 1.0 | ||
合計 | 86 | 75.2 | 71.5 | △3.7 | 2.4 |
②エグジットした投資
銘柄数 | 投資額 B1 | 売却額 B2 | 累計 実現損益 (注3)B3 | 実現損益 当期計上額 Q1 | ||
一部エグジット | - | 0.8 | 2.8 | 2.0 | 1.4 | |
全部エグジット5 | 6 | 6.3 | 8.5 | 2.2 | △0.4 | |
合計 | 6 | 7.1 | 11.3 | 4.2 | 1.0 |
③投資に係るデリバティブ関連損益
デリバティブ原価 C1 | 公正価値 または決済額 C2 | 累計デリバテ ィブ関連損益 C3 | ||||
未決済 | △0.0 | △0.0 | 0.0 | |||
既決済 | 0.0 | 1.5 | 1.5 | |||
合計 | 0.0 | 1.5 | 1.5 |
合計(①+②+③)
累計投資銘柄数 | 累計投資額 A1+B1+C1 | 累計リターン A2+B2+C2 | 累計損益(注3) A3+B3+C3 | |||
92 | 82.3 | 84.3 | 2.0 |
(注1)当社からソフトバンク・ビジョン・ファンドへの移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
(注2)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
(注3)外部投資家持分および税金等の控除前
(c)ソフトバンク事業
1. セグメント利益は前年同期比0.9%減少:Zホールディングス㈱と法人向け事業が下支えも、コンシューマ向け事業の減益が影響 2. Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合:2020年8月4日、LINE㈱株式を対象とした公開買付けを開始 |
(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 1,164,586 | 1,172,322 | 7,736 | 0.7% |
セグメント利益(税引前利益) | 261,696 | 259,249 | △2,447 | △0.9% |
減価償却費及び償却費 | △164,949 | △173,134 | △8,185 | 5.0% |
投資損益 | 9,373 | 4,116 | △5,257 | △56.1% |
財務費用 | △14,013 | △16,256 | △2,243 | 16.0% |
持分法による投資損益(注) | △3,458 | △9,006 | △5,548 | - |
(注)主にPayPay㈱に係る持分法投資損失です。ソフトバンク㈱においては、PayPay㈱は持分法適用会社に分類されていますが、ソフトバンクグループ㈱においては、PayPay㈱は2018年6月の設立から一貫して子会社として連結されており、その業績は「その他」に含まれています。このため、ソフトバンク事業で認識したPayPay㈱に係る持分法投資損失はセグメント情報の「調整額」で消去されています。
<業績全般>セグメント利益は、前年同期比2,447百万円(0.9%)減少の259,249百万円となりました。Zホールディングス㈱と法人向け事業が下支えしたものの、コンシューマ向け事業の減益や投資利益の減少、持分法投資損失の増加などのマイナス影響を補いきれませんでした。
Zホールディングス㈱は主に2019年11月の㈱ZOZO子会社化および既存イーコマース事業の増収の影響で、また法人向け事業は主に新型コロナウイルス感染拡大を受けたテレワークの広がりによりクラウドサービスやセキュリティソリューションの売上が伸びた影響で、いずれも増益となりました。一方、コンシューマ向け事業は、スマートフォンの累計契約数が引き続き順調に拡大したものの、料金プランの割引施策などの影響により減益となりました。
Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合
Zホールディングス㈱とLINE㈱は、2019年12月にソフトバンク㈱とNAVER Corporationを含む4社間で経営統合(以下「本経営統合」)に関する最終契約を締結しました。本経営統合後の上場統合会社であるZホールディングス㈱は、当社およびソフトバンク㈱の子会社となる予定です。2020年8月3日、ソフトバンク㈱およびNAVER Corporationの完全子会社は、本経営統合を実現するための取引の一環として、日本および米国においてLINE㈱株式を対象とした公開買付けを開始することを決定し、同月4日から公開買付けを開始しました。この決定に伴い、本経営統合の完了時期は2021年3月頃と想定しています。
(d)アーム事業
1. 売上高が前年同期比7.1%増の一方、研究開発投資強化に伴いセグメント損失は悪化 ◆ 5G用スマートフォンおよびネットワーク機器の出荷増が牽引し、ロイヤルティー収入が前年同期比17.5%増(米ドルベース)。ライセンス収入は、新型コロナウイルスの感染拡大による半導体市場の先行き不透明感を受けつつも、前年同期比2.4%減にとどまる(米ドルベース) ◆ 研究開発の強化に伴う従業員数の増加により、セグメント損失は前年同期比22億円悪化 2. 研究開発強化が徐々に結実 ◆ アームのサーバー向けテクノロジーを搭載した「富岳」が、スーパーコンピューターの計算速度を競う世界ランキング「TOP500」で第1位を獲得 ◆ ウェアラブル端末やIoT、サーバー、ゲーム端末などの成長分野において、将来収益につながる新規ライセンス契約を締結 |
(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 45,931 | 49,202 | 3,271 | 7.1% |
セグメント利益(税引前利益) | △11,173 | △13,340 | △2,167 | - |
(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当第1四半期は12,215百万円、前年同期は12,868百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。現在アームは既存市場でのシェアの維持・獲得および新規市場でのシェア獲得に向けて新技術開発を目指しており、技術関連人員の増強により研究開発投資を加速することで、技術力の強化を図っています。
市場の動向とその影響
アームの業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあります。半導体市場は現在、貿易摩擦や特定企業への制裁などの外部要因に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動縮小の影響にさらされています。当期は、これらの影響により、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷数が力強さを欠いたまま推移した場合にはロイヤルティー収入の押し下げ要因となる可能性があるほか、収入減に直面したライセンシーが新規ライセンス契約の締結を延期する動向が継続した場合にはライセンス収入も押し下げられる可能性があります。しかしながら、現時点で半導体業界全体、またはアームへの悪影響を見通すことは困難です。
足元でこうしたリスクは残るものの、今後、市場環境が改善するにつれて、アームは再度成長軌道に転じるものと見込んでいます。さらに今後テクノロジーの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は長期的に拡大していくと期待しています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
(単位:百万米ドル)
2020年3月31日に終了した1年間 | 2021年3月31日に終了する1年間 | ||||||
前年同期比 | |||||||
Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | Q1 | 増減 | 増減率 | |
テクノロジー・ライセンス 収入 | 125 | 87 | 130 | 240 | 122 | △3 | △2.4% |
テクノロジー・ロイヤルティー収入 | 240 | 254 | 312 | 275 | 282 | 42 | 17.5% |
ソフトウエアおよびサービス 収入 | 53 | 55 | 63 | 64 | 53 | 0 | 0.0% |
売上高合計 | 418 | 396 | 505 | 579 | 457 | 39 | 9.3% |
当第1四半期の売上高は前年同期から39百万米ドル(9.3%)増加しました。テクノロジー・ライセンス収入は前年同期から3百万米ドル(2.4%)減少した一方、テクノロジー・ロイヤルティー収入は前年同期から42百万米ドル(17.5%)増加しました。
テクノロジー・ライセンス収入
テクノロジー・ライセンス収入は前年同期から3百万米ドル(2.4%)減少しました。新型コロナウイルスの感染拡大による半導体市場の先行き不透明感を受けながらも、当第1四半期の新規ライセンス契約締結数は42件と堅調に推移しました。一部の顧客が契約の締結を延期する動きが見られたものの、そのほとんどは今後経済状況が改善するにつれて締結を再開していくとアームは見込んでいます。
テクノロジー・ロイヤルティー収入
テクノロジー・ロイヤルティー収入は前年同期から42百万米ドル(17.5%)増加しました。ライセンシーによる5G向けスマートフォンおよびネットワーク機器用チップの出荷の増加が増収に寄与しました。
ソフトウエアおよびサービス収入
ソフトウエアおよびサービス収入は前年同期から横ばいとなりました。
セグメント利益
セグメント利益は、前年同期から2,167百万円悪化し、13,340百万円の損失となりました。これは、研究開発体制の強化に伴い技術関連人員を中心に従業員の採用を進めていることにより、人件費が増加したことによるものです。なお、アームの従業員数は前年同期末から744人(12.3%)増加し、当第1四半期末現在6,808人となっています。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット7
2019年 | 2020年 | ||||
1~3月期 | 4~6月期 | 7~9月期 | 10~12月期 | 1~3月期 | |
ロイヤルティー・ユニット出荷数 (ライセンシーからの報告に基づく実績ベース) | |||||
48億個 | 56億個 | 64億個 | 60億個 | 55億個 | |
成長率 (前年同期比) | △9.4% | 0.2% | 3.2% | 11.1% | 14.6% |
2020年1~3月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は55億個となりました。アームが関連する半導体市場のチップ出荷数が前年同期から4.3%8の増加となる中、アームのロイヤルティー・ユニットの出荷数は前年同期から14.6%増加しました。一方、通期では、前述の「市場の動向とその影響」にて記述の通り、新型コロナウイルスの感染拡大などの要因が当期のロイヤルティー・ユニット出荷数を押し下げる可能性があります。このような影響を受けつつも、引き続きアームのテクノロジーの利用が進むことにより、ターゲットとなる最終製品市場におけるシェアを維持・拡大することを見込んでいます。
<技術開発>アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業におけるテクノロジーの開発に取り組んでいます。
重点投資分野と主な進捗:
モバイルコンピューティング | ||||
オポチュニティー | : | モバイル端末用メインチップの市場シェアは既に95%超ロイヤルティー単価が長年にわたり上昇傾向 | ||
当第1四半期 | : | ハイエンドスマートフォン向けに、プロセッサー、機械学習アクセレレーター、グラフィック・プロセッサーを含む新テクノロジーシリーズを発表 | ||
インフラ | ||||
オポチュニティー | : | ネットワークインフラの市場シェアが拡大、データセンター用サーバーの市場シェアも確立中 | ||
当第1四半期 | : | ・アームのサーバー向けテクノロジーを搭載した理化学研究所と富士通㈱共同開発のスーパーコンピューター「富岳」が、スーパーコンピューターの計算速度を競うランキング「TOP500」で世界第1位を獲得 ・Amazon Web Services Inc.が、アームのテクノロジーを搭載した同社Graviton2で、コンピューティングおよびメモリ集約型アプリケーションに最適化した2つの新サービスを提供開始 |
自動車 | ||||
オポチュニティー | : | 自動車のスマート化に伴い高度処理能力の需要が上昇する中、アームのテクノロジーは省電力性で好位置に付け、多くの自動車向けチップ開発企業とライセンス契約を締結済み | ||
当第1四半期 | : | インフォテインメントやダッシュボードなどの車載アプリケーション間でグラフィック・プロセッサーが共有できるソフトウエアの新規開発を発表。AUDI AGとSamsung Electronics Co., Ltd.などが2022年に発売予定の自動車にアームのグラフィックスIPを導入予定 | ||
IoT | ||||
オポチュニティー | : | IoTの真価発揮に不可欠な安全性や耐久性を追求し、IoT機器ネットワーク内での安全なデータ管理用テクノロジーを開発 |
7 | ロイヤルティー・ユニット(アームのテクノロジーを含んだチップ)の出荷実績は、出荷の発生から1四半期遅れでライセンシーから報告を受けるため、本項におけるロイヤルティー・ユニットは、2020年1~3月期までの出荷実績を掲載しています。一方、ロイヤルティー収入は、出荷が発生する四半期に見積りに基づいて計上しています。 |
8 | World Semiconductor Trade Statisitcs(WSTS)、2020年7月時点。プロセッサー技術を含まないメモリーおよびアナログチップを除く。同データはWSTS Inc.のヒアリングに協力をした半導体企業からの情報を元に作成されています。 |
(e)ブライトスター事業
(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 233,370 | 172,763 | △60,607 | △26.0% |
セグメント利益(税引前利益) | △2,863 | △1,063 | 1,800 | - |
(f)その他
(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | ||||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |||
売上高 | 42,898 | 63,354 | 20,456 | 47.7% | ||
セグメント利益(税引前利益) | △23,110 | △8,689 | 14,421 | - | ||
減価償却費及び償却費 | △9,751 | △12,807 | △3,056 | 31.3% | ||
投資損益 | △3,203 | 31,734 | 34,937 | - | ||
財務費用 | △3,356 | △3,870 | △514 | 15.3% | ||
持分法による投資損益 | 1,319 | 2,809 | 1,490 | 113.0% |
その他のセグメント利益は合計8,689百万円の損失となりました。主に、日本でスマートフォン決済サービスを手掛けるPayPay㈱が、ユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンやサービス利用可能店舗の拡大に引き続き取り組んだことなどにより15,811百万円の税引前損失を計上したことによるものです。
ラテンアメリカのファンド事業においては、前期末から投資の公正価値が一部回復したことにより、22,373百万円の税引前利益を計上しました。なお、同ファンド事業の当第1四半期末現在の累計投資額は1,659百万米ドル、公正価値は1,426百万米ドルです。
「その他」に含まれるPayPay㈱の業績
(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 540 | 5,667 | 5,127 | 949.4% |
税引前損失 | △16,206 | △15,811 | 395 | - |
c. 財政状態の概況
1. スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了(注1) スプリントの支配喪失に伴い、前期末時点で売却目的保有に分類された処分グループに係る資産、負債、資本を除外 2. 当第1四半期における資産売却および資金化 以下①~③の取引の結果、手取金を合計3兆6,223億円受領 (この他の主な影響) ①Tモバイル株式の一部売却(注1) 売却後に引き続き保有する同社株式1兆4,704億円(当第1四半期末時点)を投資有価証券に計上 ②アリババ株式を活用した複数の先渡売買契約の締結 株式先渡契約金融契約負債1兆7,381億円(当第1四半期末時点)を計上 ③ソフトバンク㈱株式の一部売却 支配継続子会社に対する持分変動194,721百万円(資本剰余金の増加) 3. ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資の帳簿価額は6.8兆円(前期末比1,360億円増)(注2) 公開株式市場復調により上場投資先を中心に公正価値が回復 |
(注1)スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併およびTモバイル株式の一部売却取引の詳細については、前述の「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)について>1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等について」をご参照ください。
(注2)アームは当社の子会社のため、同社への投資はソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資に含まれません。
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2020年 6月30日 | 増減 | 増減率 | |
資産合計 | 37,257,292 | 33,563,348 | △3,693,944 | △9.9% |
負債合計 | 29,884,375 | 25,986,568 | △3,897,807 | △13.0% |
資本合計 | 7,372,917 | 7,576,780 | 203,863 | 2.8% |
(a)資産
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2020年 6月30日 | 増減 | ||
現金及び現金同等物 | 3,369,015 | 6,181,315 | 2,812,300 | A |
営業債権及びその他の債権 | 2,072,326 | 2,257,461 | 185,135 | B |
その他の金融資産 | 313,487 | 262,857 | △50,630 | |
棚卸資産 | 185,097 | 183,805 | △1,292 | |
その他の流動資産 | 460,970 | 485,611 | 24,641 | |
売却目的保有に分類された資産 | 9,236,048 | - | △9,236,048 | C |
流動資産合計 | 15,636,943 | 9,371,049 | △6,265,894 | |
有形固定資産 | 1,264,516 | 1,324,370 | 59,854 | |
使用権資産 | 1,293,692 | 1,199,484 | △94,208 | D |
のれん | 3,998,167 | 4,013,284 | 15,117 | |
無形資産 | 1,985,972 | 1,951,311 | △34,661 | |
契約獲得コスト | 212,036 | 215,914 | 3,878 | |
持分法で会計処理されている投資 | 3,240,361 | 3,245,974 | 5,613 | |
FVTPLで会計処理されているソフトバンク・ビジョン・ ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資 | 6,892,232 | 7,039,042 | 146,810 | E |
(うち)ソフトバンク・ビジョン・ファンド | 6,681,671 | 6,817,661 | 135,990 | |
投資有価証券 | 1,211,511 | 3,175,696 | 1,964,185 | F |
デリバティブ金融資産 | 59,278 | 554,430 | 495,152 | G |
その他の金融資産 | 1,100,694 | 1,114,517 | 13,823 | |
繰延税金資産 | 221,371 | 197,103 | △24,268 | |
その他の非流動資産 | 140,519 | 161,174 | 20,655 | |
非流動資産合計 | 21,620,349 | 24,192,299 | 2,571,950 | |
資産合計 | 37,257,292 | 33,563,348 | △3,693,944 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
流動資産 | |
A 現金及び現金同等物 | 主に4.5兆円プログラムに基づく資産売却および資金化により増加しました。詳細については、「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 |
B 営業債権及びその他の債権 | 4.5兆円プログラムの調達資金およびその他の余剰資金を使った流動性の高い上場株式への投資の売却に係る未収入金242,653百万円を計上しました。 |
C 売却目的保有に分類された資産 | スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了により、スプリントが当社の子会社ではなくなったことに伴い、同社の資産が除外されました。 |
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
非流動資産 | |
D 使用権資産 | ソフトバンク㈱が使用権資産の規則的な償却を行いました。 |
E FVTPLで会計処理されているソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおいて、公開株式市場復調により上場投資先を中心に公正価値が回復し、当第1四半期末に保有する投資の公正価値が24億米ドル(純額)増加しました。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、既存投資先およびその合弁会社へ追加投資を行った一方、保有投資先のうち4銘柄の一部および1銘柄の全株式を売却しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。 |
F 投資有価証券 | ・Tモバイル株式の一部売却後に引き続き保有する同社株式1,470,434百万円を計上しています。詳細は前述の「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)について>1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等について」をご参照ください。 ・4.5兆円プログラムの調達資金およびその他の余剰資金を使った流動性の高い上場株式への投資により、365,203百万円増加しました。 |
G デリバティブ金融資産 | ・スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の対価として受領した、一定の条件を満たした場合に、当社が無償でTモバイル株式を取得できる権利について、デリバティブ金融資産325,962百万円を計上しました。 ・アリババ株式を利用した複数の先渡売買契約に係るデリバティブ金融資産113,966百万円を計上しました。 |
(b)負債
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2020年 6月30日 | 増減 | ||
有利子負債 | 3,845,153 | 3,525,262 | △319,891 | |
リース負債 | 378,383 | 357,220 | △21,163 | |
銀行業の預金 | 873,087 | 982,225 | 109,138 | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの 運営するファンドにおける外部投資家持分 | 24,691 | 58,080 | 33,389 | |
営業債務及びその他の債務 | 1,585,326 | 1,604,379 | 19,053 | |
デリバティブ金融負債 | 9,267 | 157,628 | 148,361 | A |
その他の金融負債 | 248,010 | 203,094 | △44,916 | |
未払法人所得税 | 164,298 | 217,330 | 53,032 | |
引当金 | 11,448 | 28,606 | 17,158 | |
その他の流動負債 | 596,499 | 491,255 | △105,244 | B |
売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債 | 6,454,971 | - | △6,454,971 | C |
流動負債合計 | 14,191,133 | 7,625,079 | △6,566,054 | |
有利子負債 | 9,286,729 | 11,281,105 | 1,994,376 | |
リース負債 | 761,943 | 705,522 | △56,421 | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの 運営するファンドにおける外部投資家持分 | 4,559,728 | 5,175,360 | 615,632 | |
デリバティブ金融負債 | 128,075 | 124,734 | △3,341 | |
その他の金融負債 | 77,207 | 116,898 | 39,691 | |
引当金 | 88,791 | 85,408 | △3,383 | |
繰延税金負債 | 711,216 | 798,001 | 86,785 | |
その他の非流動負債 | 79,553 | 74,461 | △5,092 | |
非流動負債合計 | 15,693,242 | 18,361,489 | 2,668,247 | |
負債合計 | 29,884,375 | 25,986,568 | △3,897,807 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
流動負債 | |
A デリバティブ金融負債 | ドイツテレコムが受領した当社が保有するTモバイル株式を対象株式とする株式購入オプションについて、デリバティブ金融負債147,497百万円を計上しました。 |
B その他の流動負債 | 前期に発生したヤフー㈱からZホールディングス㈱への配当に係る源泉所得税102,100百万円を納付しました。 |
C 売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債 | スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了により、スプリントが当社の子会社ではなくなったことに伴い、同社の負債が除外されました。 |
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(単位:百万円)
2020年3月31日 | 2020年6月30日 | 増減 | ||
ソフトバンクグループ㈱および 資金調達を行う100%子会社(注1) | 8,247,063 | 9,764,920 | 1,517,857 | |
ソフトバンクグループ㈱ | 6,528,734 | 6,318,830 | △209,904 | |
借入金 | 1,388,240 | 1,334,806 | △53,434 | |
社債 | 5,034,494 | 4,939,024 | △95,470 | |
コマーシャル・ペーパー | 106,000 | 45,000 | △61,000 | |
資金調達を行う100%子会社(注1) | 1,718,329 | 3,446,090 | 1,727,761 | |
借入金 | 1,522,228 | 1,513,025 | △9,203 | |
株式先渡契約金融負債 | 196,101 | 1,933,065 | 1,736,964 | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業 | ||||
ソフトバンク・ビジョン・ファンド | 581,543 | 159,072 | △422,471 | |
借入金 | 581,543 | 159,072 | △422,471 | |
SBIA | 535 | 425 | △110 | |
リース負債 | 535 | 425 | △110 | |
ソフトバンク事業 | ||||
ソフトバンク㈱ | 3,828,904 | 4,226,386 | 397,482 | |
借入金 | 2,856,027 | 3,292,854 | 436,827 | |
社債 | 40,000 | 40,000 | - | |
リース負債 | 832,877 | 764,432 | △68,445 | |
コマーシャル・ペーパー | 100,000 | 129,100 | 29,100 | |
Zホールディングス㈱(注2) | 839,042 | 949,324 | 110,282 | |
借入金 | 463,598 | 376,739 | △86,859 | |
社債 | 354,327 | 553,747 | 199,420 | |
リース負債 | 21,117 | 18,838 | △2,279 | |
その他の子会社 | 413,127 | 397,785 | △15,342 | |
その他 | ||||
その他の有利子負債 | 259,801 | 265,939 | 6,138 | |
リース負債 | 102,193 | 105,258 | 3,065 | |
合計 | 14,272,208 | 15,869,109 | 1,596,901 |
(注1)アリババ株式を活用した借入れを行うスカイウォークファイナンス合同会社、アリババ株式の先渡売買契約を締結しているWest Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limitedおよびソフトバンク㈱株式を活用した借入れを行うムーンライトファイナンス合同会社の有利子負債を記載しています。これらの有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(注2)ヤフー㈱の有利子負債およびリース負債を含めて記載しています。
前期末からの主な会社別の増減理由
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社
ソフトバンクグループ㈱
・国内普通社債1,000億円を償還しました。
・コマーシャル・ペーパーを610億円(純額)返済しました。
(資金調達を行う100%子会社)
West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited
2020年4月~6月、複数の資金調達を行う100%子会社において、保有するアリババ株式を利用した、複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結したことに伴い、当第1四半期末において株式先渡契約金融負債1,738,128百万円を計上しました。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、投資の資本効率向上などのために設定した借入枠(以下「ファンド・レベル・ファシリティー」)を利用した借入れについて、30.8億米ドルを返済しました。当第1四半期末における借入残高はありません。
・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、保有株式の一部の資金化を目的とした借入れ(以下「ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティー」)のうち、7.9億米ドルを返済しました。
ソフトバンク事業
ソフトバンク㈱
通信債権の流動化および通信設備のセール・アンド・リースバックなどにより、借入金が増加しました。
Zホールディングス㈱
国内普通社債を合計2,000億円発行しました。
(c)資本
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2020年 6月30日 | 増減 | ||
資本金 | 238,772 | 238,772 | - | |
資本剰余金 | 1,490,325 | 1,666,102 | 175,777 | A |
その他の資本性金融商品 | 496,876 | 496,876 | - | |
利益剰余金 | 3,945,820 | 5,155,983 | 1,210,163 | B |
自己株式 | △101,616 | △686,497 | △584,881 | C |
その他の包括利益累計額 | △362,259 | △338,799 | 23,460 | |
売却目的保有に分類された資産に直接関連する その他の包括利益累計額 | 205,695 | - | △205,695 | D |
親会社の所有者に帰属する持分合計 | 5,913,613 | 6,532,437 | 618,824 | |
非支配持分 | 1,459,304 | 1,044,343 | △414,961 | E |
資本合計 | 7,372,917 | 7,576,780 | 203,863 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
A 資本剰余金 | ソフトバンク㈱株式の一部売却に伴い、支配継続子会社に対する持分変動194,721百万円を計上しました。 |
B 利益剰余金 | 親会社の所有者に帰属する純利益1,255,712百万円を計上しました。 |
C 自己株式 | ・取得総額5,000億円を上限とする自己株式取得に関する2020年3月13日の取締役会決議に基づき、当第1四半期に4,840億円で102,960千株(前期に160億円で4,720千株)を取得しました。 ・取得総額5,000億円を上限とする自己株式取得に関する2020年5月15日の取締役会の決議に基づき、当第1四半期に1,017億円で18,717千株を取得しました。 |
D 売却目的保有に分類された資産に直接関連するその他の包括利益累計額 | スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了により、スプリントが当社の子会社ではなくなったことに伴い、同社のその他の包括利益累計額が除外されました。 |
E 非支配持分 | スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了により、スプリントが当社の子会社ではなくなったことに伴い、同社の非支配持分424,746百万円(前期末時点)が除外されました。 |
(2)キャッシュ・フローの状況
4.5兆円プログラムに基づく資産の売却・資金化および自己株式の取得が進捗 ◆ Tモバイル株式の一部売却、アリババ株式を活用した先渡売買契約の締結、ソフトバンク㈱株式の一部売却により、当第1四半期に合計3兆6,223億円を受領 ◆ 自己株式を1,017億円で取得(4.5兆円プログラム以前の決定分と合わせ、当第1四半期に自己株式を合計5,857億円で取得) |
(単位:百万円)
6月30日に終了した3カ月間 | |||
2019年 | 2020年 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | △547,191 | 154,024 | 701,215 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,367,991 | 1,241,103 | 2,609,094 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 1,026,301 | 1,415,375 | 389,074 |
(注)非継続事業からのキャッシュ・フローが含まれています。非継続事業からのキャッシュ・フローについては、「第4 経理の状況、1要約四半期連結財務諸表、要約四半期連結財務諸表注記 5.非継続事業」をご参照ください。
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期の法人税の支払額には、前期に発生したヤフー㈱からZホールディングス㈱への配当に係る源泉所得税102,100百万円の支払いが含まれています。なお、当該源泉所得税は2020年7月に還付されています。前年同期の法人税の支払額には、SBGJで発生したソフトバンク㈱株式売却益などに対する法人税およびSBGJが行ったソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税が含まれています。なお、後者の源泉所得税は2019年7月に還付されました。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 |
投資の取得による支出 △1,100,223百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、4.5兆円プログラムの一環として調達した資金やその他の余剰資金1兆60億円で流動性の高い上場株式を取得しました。 |
投資の売却または償還による収入2,452,522百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱が、上記の上場株式の一部を売却し5,649億円を受領しました。 ・ソフトバンクグループ㈱が、子会社を通じて保有するTモバイル株式の一部を売却し1兆8,304億円を受領しました。 |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドによる投資の取得による支出 △120,091百万円 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドが既存投資先およびその合弁会社へ追加投資を行いました。 |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドによる投資の売却による収入 197,591百万円 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、上場投資先4銘柄の一部株式および非上場投資先1銘柄の全株式を売却しました。 |
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 △149,661百万円 | ソフトバンク㈱が5G向けを含む通信設備を取得しました。 |
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 | |
短期有利子負債の収支(純額) 268,170百万円 | ソフトバンク㈱が通信債権の流動化による借入れ2,980億円(純額)を行いました。 | |
有利子負債の収入 2,143,570百万円 | ||
借入れによる収入 461,854百万円(注) | ・Zホールディングス㈱が1,095億円の短期借入れを行いました。 ・ソフトバンク㈱が、割賦債権の売却により1,083億円、通信設備のセール・アンド・リースバックにより849億円を借入れました。 | |
社債発行による収入 200,000百万円 | Zホールディングス㈱が2,000億円の国内普通社債を発行しました。 | |
株式先渡売買契約に基づく資金 調達による収入 1,481,716百万円 | 資金調達を行う複数の当社100%子会社が、保有するアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結し、総額で1兆4,817億円(137億米ドル)を調達しました。 | |
有利子負債の支出 △1,017,864百万円 | ||
借入金の返済による支出 △917,864百万円(注) | ・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ファンド・レベル・ファシリティーによる借入金30.8億米ドル、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーによる借入金7.9億米ドルを返済しました。 ・Zホールディングス㈱とソフトバンク㈱が、借入金を2,100億円、1,480億円それぞれ返済しました。 | |
社債の償還による支出 △100,000百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、国内普通社債1,000億円を満期償還しました。 | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドにおける外部投資家からの払込による収入 764,660百万円 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、キャピタル・コールに対する資金を外部投資家から受領しました。 | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドにおける外部投資家に対する分配額・返還額 △217,367百万円 | ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、外部投資家への分配および返還を行いました。 | |
非支配持分への子会社持分の一部売却による収入310,200百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、子会社を通じて保有するソフトバンク㈱株式の一部を3,102億円で売却しました。 | |
自己株式の取得による支出 △585,699百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、2020年3月13日の取締役会決議に基づき4,840億円、2020年5月15日の取締役会決議に基づき1,017億円でそれぞれ自己株式を取得しました。 |
(注)借入れによる収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が220,746百万円、支出が△718,365百万円、それぞれ含まれています。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期における研究開発費は39,103百万円です。
(6)主要な設備の状況
当第1四半期において、スプリントは当社の子会社ではなくなりました。そのため、当第1四半期において、スプリントに係る設備は、当社の主要な設備ではなくなりました。
(7)従業員の状況
当社の従業員数は前期末から25,265名減少し、当第1四半期末において55,644名となりました。これは主に、当第1四半期において、スプリントが当社の子会社でなくなったことに伴い、スプリント事業の従業員数が26,937名減少したことによるものです。なお、従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は除いています。