有価証券報告書-第41期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。
(1)経営成績
為替換算レート
期中平均レート
期末日レート
<連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更>当期において、以下の通り連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更を行っています。前期における連結損益計算書および報告セグメントも同様に組み替えて表示しています。
連結損益計算書の表示の変更
「営業利益」の表示取りやめと「投資損益」の新規表示
ソフトバンクグループ㈱は、直接(子会社を通じた投資を含む)または投資ファンド(例えば、SVF1)を通じて多数の企業に投資を行い、その投資ポートフォリオを管理する戦略的投資持株会社です。2020年4月1日にスプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引が完了し、同日からスプリントが当社の子会社ではなくなったことにより、当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期より連結損益計算書の表示を変更しました。
具体的には、連結損益計算書において「営業利益」の表示を取りやめる一方で、連結業績における投資の成果を明示するために新たに「投資損益」を表示しています。従前の「営業利益」には「SVF1およびSVF2等からの投資損益」に含まれる投資損益以外の投資損益が含まれておらず、戦略的投資持株会社としての連結業績を適切に表示するには有用でないと判断したためです。新たに設けた「投資損益」には、①投資有価証券(FVTPLの金融資産)および持分法で会計処理されている投資の売却による実現損益、②FVTPLの金融資産の未実現評価損益、③投資先からの受取配当金、④FVTPLの金融資産などの投資に係るデリバティブ関連損益が含まれています。なお、上記の投資損益に含まれないデリバティブ関連損益は、「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として表示しています。また、投資先の純損益に対する当社持分を認識する持分法による投資損益については、従前と同様に「持分法による投資損益」として表示しています。
なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取りやめに伴い、報告セグメントの利益は「税引前利益」に変更しました。
ブライトスターの非継続事業への分類
2020年9月17日(米国時間)、当社はBrightstar Global Group Inc.(以下「ブライトスター」)の全株式の売却取
引1に合意し、同取引は2020年10月22日(米国時間)に完了しました。これを踏まえて、連結損益計算書における当該取引完了までの同社の純損益は、継続事業と区分して「非継続事業からの純利益」として表示し、前期における同社の純損益についても遡及修正が行われ、「非継続事業からの純利益」として表示しています。
報告セグメントの変更
「持株会社投資事業」の新設
前述の通り当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期から、「持株会社投資事業」を新たに設けました。同事業の概要については「b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業 <事業概要>」をご参照ください。
「ブライトスター事業」の除外
ブライトスターの非継続事業への分類に伴い、当第2四半期から「ブライトスター事業」を報告セグメントから除きました。
当期末現在、当社の報告セグメントは「持株会社投資事業」、「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つです。
<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>ソフトバンクグループ㈱は2020年3月23日、自己株式取得と負債削減等を通じた財務改善のために4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針を発表しました。売却または資金化で得られた資金のうち最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向けるものです(以下「4.5兆円プログラム」と総称)。このうち、保有資産の売却または資金化については、当第2四半期末までに、目標額の4.5兆円を達成して完了しました。2020年4月から9月までの6カ月間における資産の売却または資金化額は5.6兆円にのぼります。一方、最大2兆円の自己株式取得については、2020年5月から7月にかけて計2兆円の自己株式の取得枠を設定した後、2021年5月12日までに累計2兆円を取得して終了しました。また、負債削減については、当期末までに国内社債および外貨建て社債の買入れのほか、シニアローンおよびコミットメントラインによる借入金の返済により合計1兆円の負債を削減しています。そして、その他の手取金は、さらなる財務改善のために資産運用子会社SB Northstarを通じて流動性の高い上場株式で運用しながら投資機会に備える資金として保持する形で、本プログラムは終了しました。
SB Northstarによる上場株式への投資の状況は「b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
2020年4月~9月の資産の売却または資金化
(注)2020年6月末日までに完了した取引は1米ドル=107.74円、同9月末日までに完了した取引は1米ドル=105.80円で換算しています。
1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等
① スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了
2020年4月1日、当社米国子会社であったスプリントとT-Mobile US, Inc.の全ての対価を株式とする合併による取引(以下「本合併取引」)が完了しました。当社は、本合併取引の対価としてTモバイルの株式304,606,049株と一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株を無償で取得できる権利(以下「条件付対価」)を取得しました。同日から、スプリントは当社の子会社ではなくなり、統合後の新会社であるTモバイルが、株式の24.7%を当社が保有する持分法適用関連会社となりました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記6.非継続事業(1)スプリント」をご参照ください。
② Tモバイル株式の一部売却
さらに当社は保有するTモバイルの普通株式304,606,049株のうち、2020年6月26日に173,564,426株(以下「本一部売却の内容」の(a)および(b))、2020年7月16日に5,000,000株(同(c))、2020年8月3日に19,750,000株(同(d))を当社子会社を通じてTモバイルに売却しました(以下「本一部売却」)。Tモバイルは当社子会社から購入した株式を米国内における公募、現金強制転換証券(Cash Mandatory Exchangeable Trust Securities)を発行する信託を通じた私募、同社取締役のマルセロ・クラウレ(ソフトバンクグループ㈱副社長 執行役員 COO)への売却および株主割当による株式募集を通じて処分し、その手取金は当社子会社に引渡されました。
なお、2020年6月26日の株式売却に伴う議決権比率の低下によりTモバイルに対する重要な影響力がなくなったため、同日をもってTモバイルは当社の持分法適用関連会社から除外されました。
本一部売却の内容
また、Deutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)は、本一部売却後に当社が引き続き保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプション(以下「ドイツテレコムの株式購入オプション」)2を受領しました。
(i) 上記101,491,623株のうち44,905,479株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、1株当たり103.00米ドルです。また、ドイツテレコムはオプション付与日以降いつでも権利行使可能です。
(ⅱ)上記101,491,623株のうち56,586,144株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、行使に先立つ20取引日のTモバイル株式市場株価の加重平均価額の平均です。また、ドイツテレコムは、上記(i)の権利行使後もしくは2020年10月2日以降、権利行使可能です。
本一部売却前後の当社が保有するTモバイル株式
③ Tモバイル株式を活用した借入れ
2020年7月30日、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社が、保有するTモバイル株式を担保に、43.8億米ドルの借入れ(マージン・ローン)を行いました。本マージン・ローンについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しているため、当該保証債務の上限枠(資金化時点において20.8億米ドル)を控除した23.0億米ドルを4.5兆円プログラムに基づく資産の資金化額としています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該マージン・ローンの担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
2.先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化
2020年4月から8月にかけて、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるWest Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings LimitedおよびTigress 2020 Holdings Limitedが、保有するアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結し、総額で154億米ドルを調達しました。なお本取引後もアリババは継続して当社の持分法適用関連会社です。
なお、2020年4月から8月にかけて締結した上記株式先渡売買契約のうち、2020年10月および11月において、カラー契約について決済株価のキャップ(上限)およびフロア(下限)の設定を見直したほか、先渡契約について決済株価にキャップおよびフロアを設定するカラー契約へと変更しました。また同時に、前期に締結したアリババ株式を使った株式先渡売買契約(カラー契約)についても決済株価のキャップおよびフロアの設定を見直しています。これらの見直しは、当時のアリババ株価の上昇に対応して、さらなる株価上昇局面でのアップサイドを確保することを意図して行われました。またカラー契約の一部については、アリババ株価の現在の水準を考慮し2021年4月に早期解約を行いました。これらの詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債」をご参照ください。
3.ソフトバンク㈱株式の一部売却
2020年5月および9月、ソフトバンクグループ㈱は、ソフトバンクグループジャパン㈱を通じて、保有する子会社ソフトバンク㈱の普通株式3,182,919,470株のうち合計1,268,061,400株を以下の通り売却し、合計1.5兆円を受領しました。
①2020年5月:240,000,000株(所有割合:5.0%)を3,102億円で売却
②2020年9月:1,028,061,400株(所有割合:21.7%)を1.2兆円で売却
これらの売却後もソフトバンク㈱は引き続き当社の子会社であり、当社グループにおけるその戦略的な重要性は変わりません。また、その重要性に鑑み、当社およびソフトバンクグループジャパン㈱はソフトバンク㈱株式を追加で売却する意向はなく、これらの売却後の所有株式を中長期的に継続保有する方針です。
なお、これらの売却後もソフトバンク㈱は引き続きソフトバンクグループ㈱の子会社であるため、当該売却における売却益相当額(税金考慮後)は、連結財政状態計算書上、「資本剰余金」として計上されています。これに加え、これらの取引で生じた課税所得について、繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用したことなどにより、法人所得税が利益方向に256,060百万円計上されました。
4.5兆円プログラムに基づく自己株式の取得
2021年5月12日現在
4.5兆円プログラムに基づく負債削減
ソフトバンクグループ㈱は、当期末までに以下の通り合計1兆円の負債削減を行い、4.5兆円プログラムに基づく負債削減を終了しました。
①国内無担保社債1,676億円(額面総額)を買入れ(2020年7月)
②シニアローン3,000億円(借入額面総額)を期限前返済(2020年9月)
③外貨建普通社債9.78億米ドルおよび8.98億ユーロ(額面総額、合計2,249億円)を買入れ(2021年3月)
④コミットメントラインによる借入金3,100億円の返済(2021年3月)
<アーム全株式の売却契約の締結>2020年9月13日(米国時間)、当社100%子会社であるSoftBank Group Capital Limited(以下「SBGC」)およびSVF1が保有する当社100%子会社アームの全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporation(以下「NVIDIA」)に対して取引価値を最大400億米ドル(約4.2兆円)と評価した取引で売却すること(以下「本取引」)について、SBGC、SVF1およびNVIDIAの間で最終的な契約(以下「最終契約」)の締結に至りました。本取引は、英国、中国、EUおよび米国を含む必要な規制当局の承認、その他のクロージング要件の充足を条件とします。本取引の完了までには最終契約の締結から約18カ月かかると見込んでいます。なお、ISG(Internet-of-Things Services Group;IoTに関連するサービスグループ)事業は本取引の対象外であるため、アームから分離され、それ以外のアーム事業とは別に管理することが当第4四半期に決定されました。同事業のアームからの移管は2021年12月までに行われるとアームは見込んでいます。これに伴い、当期のアーム事業はISG事業を除くアームの業績を表示するとともに、ISG事業の業績は「その他」に含めて表示しています。前期の業績についても同様に遡及修正を行っています。
本取引の完了をもってアームは当社の子会社に該当しないこととなり、当社の連結対象から除外されますが、本取引完了の蓋然性が非常に高いと見なされるまでの間、当社連結財務諸表においてアームは引き続き継続事業として扱われます。また、本取引の完了後、SBGCおよびSVF1は合計でNVIDIAの発行済み株式(自己株式を除きます。)の約6.7~8.1%を保有することになると見込んでいます(最終的なアーンアウト(詳細は以下をご参照ください)の金額により変動します。)。本取引の完了後もNVIDIAは当社の子会社や関連会社に該当しません。
本取引の取引価値の内訳は下表の通りです。
(単位:億米ドル)
(注1)①および②ならびに③(もしあれば)の受領対価は、SBGCおよびSVF1が、アーム株式保有割合に応じてそれぞれ75.01%および24.99%の割合で受領します。なお、SVF1の手取金は所定の分配順位(ウォーターフォール)に基づいて当社を含むSVF1のリミテッド・パートナーに分配されます。
(注2)②および③における取引価値は、NVIDIA株式を1株当たり484.6007米ドルで算定(2020年9月10日に終了した連続した30取引日の同社普通株式終値の平均(小数第5位を切り上げ))
① 現金120億米ドル
(a) 20億米ドル
最終契約締結(2020年9月13日)に伴い、SBGCおよびアームは現金合計20億米ドルを受領しました。このうち12.5億米ドルはSBGCが売却対価の前受金として受領(本取引の完了までの間、所定の条件下でNVIDIAに払い戻す義務があり、本取引の完了後は払戻し不要)、7.5億米ドルはアームが最終契約と同時にNVIDIAと締結したライセンス契約の対価として受領したものです。
(b) 100億米ドル
本取引のクロージング時、SBGCおよびSVF1は現金合計100億米ドルを受け取ります。
② NVIDIA株式215億米ドル相当(4,437万株)
SBGCおよびSVF1は、本取引のクロージング時にNVIDIA普通株式44,366,423株を受け取ります。これは1株当たり484.6007米ドル(2020年9月10日に終了した連続した30取引日の同社普通株式終値の平均(小数第5位を切り上げ))に基づき決定されています。なお、このうち2,063,554株は、本取引の最終契約におけるSBGCおよびSVF1が負担し得る一定の補償義務の履行のためにエスクローの対象となります。
受領する株式はクロージング時にFVTPLの金融資産として公正価値で計上され、以降は毎四半期末の公正価値の変動が純損益として認識される予定です。
③ アーンアウト最大50億米ドル(現金またはNVIDIA株式1,032万株)
2022年3月31日に終了する会計年度のアームの売上高およびEBITDA(それぞれ一定の調整を受け、かつISG事業への帰属分を除きます。)が最終契約で規定された目標値を達成することを条件に、SBGCおよびSVF1は、クロージング時、アーンアウトとして最大50億米ドルの現金またはNVIDIA普通株式最大10,317,772株(2020年9月10日に終了した連続した30取引日の同社普通株式終値の平均(小数第5位を切り上げ))である1株当たり484.6007米ドルに基づく)を受け取ります。アームの業績が合意されたフロア値を超え当該目標値を下回る場合は達成度に応じた割合でアーンアウトを受け取り、当該フロア値に満たない場合はアーンアウトは得られません。
同アーンアウトをNVIDIA株式で受領する場合、当該株式はクロージング時にFVTPLの金融資産として公正価値で計上され、以降は毎四半期の公正価値の変動が純損益として認識される予定です。
④ アームの従業員への15億米ドル相当のNVIDIA株式報酬
本取引のクロージング時、アームの従業員がNVIDIAから15億米ドル相当の同社株式報酬を受領します。
なお、アームは当社の子会社であるため、SVF1が保有するアーム株式の公正価値の変動により計上される未実現評価損益およびアームからの受取配当金は、セグメント利益において「SVF1およびSVF2等からの投資損益」に含めていますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF1およびSVF2等からの投資損益」には含めていません。
<スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引およびTモバイル株式の一部売却による当期の連結財務諸表への主な
影響>スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引による影響
① 連結損益計算書への影響
スプリントの支配喪失利益7,208億円を「非継続事業からの純利益」に計上
② 連結財政状態計算書への影響
資産の部
・本合併取引の対価として受領したTモバイル株式を公正価値2.7兆円で「持分法で会計処理されている投資」に計上(以下のTモバイル株式の一部売却の結果、引き続き保有するTモバイル株式は公正価値で「投資有価証券」に振替え)
・本合併取引の対価として受領した条件付対価4,607億円を「デリバティブ金融資産」に計上しました。本合併取引時に公正価値1,963億円で計上した後、当期末までに2,644億円の公正価値の上昇を認識したものです(当該上昇はデリバティブ関連利益として「持株会社投資事業からの投資損益」で認識)。
Tモバイル株式の一部売却取引による影響
① 連結損益計算書への影響
投資損益
Tモバイル株式売却関連利益4,218億円を「持株会社投資事業からの投資損益」に計上:
関連会社株式売却益2,803億円、引き続き保有するTモバイル株式の再評価益2,960億円、ドイツテレコムの株式購入オプションに係るデリバティブ関連損失1,545億円、Tモバイル株式の売却による実現損失31億円、デリバティブ負債の認識の中止に伴う利益30億円
② 連結財政状態計算書への影響
資産の部
引き続き保有するTモバイル株式を公正価値で「投資有価証券」に計上(当期末:1兆4,744億円)。なお、引き続き保有するTモバイル株式は毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書上、「持株会社投資事業からの投資損益」に計上します。2020年6月26日から当期末までの期間に認識したTモバイル株式に係る投資の評価益は2,196億円です。
負債の部
ドイツテレコムの株式購入オプションを公正価値で「デリバティブ金融負債」に計上(当期末:2,048億円)。なお、ドイツテレコムの株式購入オプションは毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」にデリバティブ関連損益として計上します。
③ 連結キャッシュ・フロー計算書への影響
投資活動によるキャッシュ・フロー
Tモバイル株式売却の手取金2.1兆円を「投資の売却または償還による収入」に計上
<新型コロナウイルス感染拡大の市場および当社事業への主な影響>当期の世界の経済状況は新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな影響を受け、その影響は今なお継続しています。世界各国の政府が新型コロナウイルスの感染拡大による経済的影響に対処するために財政出動や金融緩和を実施していることや、一部の国でのワクチン接種の進展による経済活動活性化への期待感により、下半期において市場は全体的に急激に回復しており、新規資金の流入が続いています。特に、当社が投資活動の力点を置いているテクノロジー分野は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するためにデジタルサービスの導入が加速度的に進んでいることのプラス影響を受けており、当期、S&P500情報技術株指数は73%上昇しました。これらの要因により、当期、SVF1およびSVF2を中心に投資のパフォーマンスは好調に推移し、当社の投資損益合計は7,529,006百万円に達しました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響に関する不確実性等を考慮すると、現在の好影響が持続する保証はなく、また、その影響の度合いも投資先ごとに異なる可能性があります。
当期、特にSVF1においては、上場投資先の株価が好調に推移したほか、上場の決定や資金調達ラウンドのあった投資先やコロナ下で顧客のサービス利用が増加した投資先などの未上場投資先の公正価値が上昇し、合計で5,478,148百万円の未実現評価利益(純額)を計上しました。イーコマースやエンターテインメント、ヘルスケア、教育、食料デリバリー、法人向けソリューションなどのセクターにおける事業は、デジタルサービスの導入が加速度的に進んでいることからプラスの影響を受けており、これらのセクターに属するSVF1の投資先の多くが、前ラウンドよりも高い評価額で新規および既存投資家からの追加資金調達に成功していることは、各社の底堅い事業成長を反映しているものと考えられます。一方、旅行・ホスピタリティーなどのセクターでは、業績回復のペースは比較的鈍いものとなっています。
a.経営成績の概況
(注)当期において、継続事業と非継続事業を区分して表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前期においても同様に組み替えて表示しています。
以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業とアーム事業はいずれも増収となりました。
B 持株会社投資事業からの投資損益
スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併およびその後のTモバイル株式一部売却に関連して、Tモバイル株式売却関連利益421,755百万円、引き続き保有するTモバイル株式に係る未実現評価益219,608百万円、条件付対価の公正価値上昇に伴うデリバティブ関連利益264,395百万円をそれぞれ計上した一方、上場株式等への投資で232,856百万円の投資損失を計上しました。なお、前期には、アリババ株式先渡売買契約決済益1,218,527百万円を計上していました。詳細は「b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C SVF1およびSVF2等からの投資損益
SVF1が、保有銘柄の一部について、株式の全部(関係投資先株式との株式の交換を含む)または一部を売却したことにより、投資の売却による実現益423,683百万円(純額)を計上しました。また、Coupang, Inc.(以下「Coupang」)やDoorDash, Inc.(以下「DoorDash」)、Uber Technologies, Inc.(以下「Uber」)などの好調な株価を反映し上場投資先について合計4,285,133百万円の未実現評価益(純額)を計上したほか、未上場投資先について上場の決定や資金調達ラウンドなどによる公正価値上昇を反映し1,193,015百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。また、SVF2が、KE Holdings Inc.(以下「KE Holdings」)をはじめとする上場投資先の好調な株価推移などを反映し、未実現評価益490,255百万円(純額)を計上しました。詳細は「b. セグメントの経営成績(b)SVF1等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。
主にBおよびCの結果、投資損益合計は7,529,006百万円の利益となりました。
D 財務費用
持株会社投資事業で20,069百万円、ソフトバンク事業で4,167百万円、それぞれの支払利息が増加した一方、SVF1等SBIAの運営するファンド事業で支払利息が13,128百万円減少しました。
E 持分法による投資損益
アリババに係る持分法投資利益は572,516百万円3でした。当期も本業は引き続き好調だったものの、2019年9月にアリババが保有する知的財産の一部をAnt Small and Micro Financial Services Group Co., Ltd.(現Ant Group Co., Ltd.、以下「Ant Financial」)およびその子会社へ譲渡し、その対価をもってAnt Financialの新規発行株式(33%の持分)を取得する取引を行った結果、前期において当社のアリババに係る持分法投資利益が286,473百万円増加していたことなどから、前期から87,626百万円(13.3%)減少しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として当期に計上したため、アリババに係る持分法投資利益が74,270百万円押し下げられました。
F デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
2019年11月および2020年4月から8月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連損失504,048百万円を計上しました(2020年10月および11月に行った契約の一部変更による影響を含む)。
主にA~Fの結果、税引前利益は前期比5,620,418百万円増加の5,670,456百万円となりました。
G 法人所得税
ソフトバンク㈱やヤフー㈱で法人所得税を計上しているほか、Tモバイル株式の売却に伴う法人所得税を計上しています。また、アリババ株式先渡売買契約の変更に伴う繰延税金費用を計上しています。なお、ソフトバンクグループジャパン㈱によるソフトバンク㈱株式の一部売却(「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>3. ソフトバンク㈱株式の一部売却」ご参照)で生じた課税所得について、繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用したことなどにより、法人所得税が利益方向に256,060百万円計上されました。
H 非継続事業からの純利益
スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の完了によりスプリントが当社の子会社でなくなったことに伴い、同社に係る支配喪失利益720,842百万円を計上しました。
主にA~Hの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は4,987,962百万円となりました。
b.セグメントの経営成績
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当期末現在、「持株会社投資事業」、「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つを報告セグメントとしています。当期における連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更の詳細は「<連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更>」をご参照ください。なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取りやめに伴い、報告セグメントの利益を「税引前利益」に変更しました。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
(a)持株会社投資事業
(注)4.5兆円プログラムに基づく資産の売却または資金化、自己株式の取得、負債削減等を通じた財務改善については、「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>」をご参照ください。
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SBGC、ソフトバンクグループジャパン㈱および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、WeWork Inc.(以下「WeWork」)(注)など約110社と、SB Northstarからの投資先であり、持分法適用関連会社(例えばアリババ)のほか、FVTPLの金融資産として認識されるものがあります。持分法適用関連会社に該当する投資先の業績は、持分に応じて損益が「持分法による投資損益」に計上されます。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
(注)SVF1が保有するWeWork株式に係る投資損益は「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」に含まれています。
資産運用子会社からの上場株式等への投資
当社は、当第1四半期から、保有資産の多様化と余剰資金の運用を目的として、従来から掲げているLTV(Loan to Value、保有資産に対する負債の割合)や手元流動性に関する財務方針を堅持しつつ、流動性の高い上場株式への投資を行っています。当第1四半期においてはソフトバンクグループ㈱がこうした投資を行っていましたが、当第2四半期からは資産運用子会社であるSB Northstarが上場株式等の取得および売却、上場株式に関連するデリバティブ取引および信用取引を行っています。なお、上場株式等への投資の規模は、ソフトバンクグループ㈱の資金需要、手元現金の状況、および保有資産の状況により変動します。
SB Northstarにおける持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長 兼 社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。なお、ソフトバンクグループ㈱がSB Northstarに対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。
<業績全般>(単位:百万円)
A 投資利益:946,107百万円
・Tモバイル株式売却関連利益421,755百万円を計上しました。これは、①2020年6月26日に保有するTモバイル株式304,606,049株のうち173,564,426株を売却したことに伴う関連会社株式売却益280,341百万円、②Tモバイルの持分法適用除外時に引き続き保有する同社株式に係る再測定益296,013百万円、③ドイツテレコムが受領した当社が保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプションに関するデリバティブ関連損失154,491百万円、④2020年7月16日に保有するTモバイル株式5,000,000株、2020年8月3日に同19,750,000株を売却したことに伴う投資の売却による実現損失3,122百万円およびデリバティブ負債の認識の中止に伴うデリバティブ関連利益3,014百万円から成ります。
・資産運用子会社からの投資の売却による実現損失20,537百万円、資産運用子会社からの投資の未実現評価利益134,237百万円をそれぞれ計上しました。これはSB Northstarが上場株式等への投資を行ったことによるものです。
・資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関連損失610,690百万円を計上しました。これはSB Northstarにおいて主に上場株式に係るコールオプションや売建株価指数先物取引に係る損失を計上したことによるものです。
・投資の売却による実現利益222,161百万円、投資の未実現評価利益608,448百万円をそれぞれ計上しました。前者については、主にソフトバンクグループ㈱からの上場株式への投資により222,009百万円の実現利益を計上したことによるものです。後者については、2020年6月26日から当期末までの期間に認識したTモバイル株式に係る投資の評価利益219,608百万円を計上したことに加え、公正価値上昇を反映してSocial Finance, Inc.、Lemonade, Inc.、Berkshire Grey Inc.4への投資に係る未実現評価益をそれぞれ124,420百万円、72,994百万円、49,462百万円計上したことなどによるものです。そのほかに、ソフトバンクグループ㈱による上場株式への投資により42,288百万円の未実現評価益も計上しました。
・投資に係るデリバティブ関連利益185,769百万円を計上しました。これは主に、スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の対価として受領した一定の条件を満たした際にTモバイル株式を無償で取得できる権利の公正価値の上昇額264,395百万円を当該利益として計上したことによるものです。
B 財務費用:218,604百万円(前期比20,069百万円増加)
・ソフトバンクグループ㈱の支払利息5が12,406百万円増の210,649百万円となりました。これは主に、2020年4月から8月にかけて資金調達を行う100%子会社がアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結して資金調達を行った結果、有利子負債が増加したことによるものです。
C 持分法による投資利益:601,364百万円(前期比55,868百万円減少)
・アリババに係る持分法投資利益は572,516百万円でした。当期も本業は引き続き好調だったものの、2019年9月にアリババが保有する知的財産の一部をAnt Financialおよびその子会社へ譲渡し、その対価をもってAnt Financialの新規発行株式(33%の持分)を取得する取引を行った結果、前期において当社のアリババに係る持分法投資利益が286,473百万円増加していたことなどから、前期から87,626百万円(13.3%)減少しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として当期に計上したため、アリババに係る持分法投資利益が74,270百万円押し下げられました。
・2020年4月1日から同年6月25日までの期間におけるTモバイルに係る持分法投資利益24,736百万円を計上しました(前期は計上なし)。
D デリバティブ関連損失(投資損益を除く):477,536百万円
・2019年11月および2020年4月から8月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に関するデリバティブ関連損失504,048百万円を計上しました(2020年10月および11月に行った契約の一部変更による影響を含む)。

資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響(注1)
2021年3月31日現在
(単位:百万円)
(注1)ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社を経由してSB Northstarへ現物出資したアリババ株式の影響およびSB NorthstarからSBIA US子会社のSPACへの投資の影響を除いたSB Northstarの財政状態計算書を、当社連結財政状態計算書への同社の影響を示すための参考情報として記載しています。
(注2)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額
(非支配持分の計算)
(単位:百万円)
(注3)表中Bの3分の1
(純資産(上記C)に対する持分)
(単位:百万円)
資産の状況
2021年3月31日現在
① 現物株式等
(単位:百万米ドル)
(注1)SBIA US子会社のSPAC3社への投資は、連結決算では内部取引として消去されます。
(注2)NVIDIA Corporation株式はソフトバンクグループ㈱が保有しています。
② デリバティブ
(単位:百万米ドル)
当事業における主な有利子負債
(注1)資金調達を行う100%子会社による借入れはソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。ただし、Tモバイル株式を活用した借入れについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しています。

(b)SVF1等SBIAの運営するファンド事業
(注1)累計投資利益(グロス)は外部投資家持分および税金等の控除前の金額です。
<事業概要>当事業の業績には、主に、金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた当社の英国100%子会社SBIAが運営するソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)とソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)の投資および事業活動の結果が含まれています。
SVF1は、「ユニコーン(投資時において企業価値が10億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AIを活用した成長可能性の大きな企業への投資を保有しており、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。同ファンドの投資期間は2019年9月12日に終了しましたが、合弁会社への投資を含む既存投資先への追加投資や固定分配、ファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。2回の1年延長オプションをSBIAが行使した場合を除き、SVF1の存続期間は原則として2029年11月20日までです。
SVF2は、テクノロジーを活用して各市場をリードする成長企業への投資を通じて、AI革命を持続的に加速することを目的に、2019年10月にソフトバンクグループ㈱から出資コミットメントを取得して設立されました。当期末現在、SVF2はソフトバンクグループ㈱のみがリミテッド・パートナーとして参画し、200億米ドルの出資をコミットしています(なお当該コミットメントは2021年6月23日現在400億米ドルに増額されています。)。
また、当期において、当社の上場および非上場企業への投資を補完し、私募ファンドとして定められた投資範疇を超えたより広範な投資機会の追求を実現するため、SBIA USはSPACを用いた投資を開始しました。当第4四半期、SBIA US子会社のSPACであるSVF Investment Corp.が2021年1月に、SVF Investment Corp. 2とSVF Investment Corp. 3が2021年3月にNASDAQに新規上場(株式公開)し、これにより合計11.5億米ドルの資金を調達しました。各SPACは、上場時点では特定されていない1社以上の事業者との合併、株式交換、資産取得、株式取得、組織再編、またはこれらに類する企業結合を目的として設立された投資ビークルであり、それぞれの新規株式公開による払込資金の決済日から2年以内にこれらの企業結合を行うことを目指しています。当社の国際的な存在感と各地域に根差したネットワークから生じる多くの魅力的な投資機会へのアクセスを生かし、テクノロジーの駆使により成長が見込まれる分野において投資先となる企業を特定し、買収および運営することを図っています。なお、企業結合後、結合会社はSBIA USの子会社ではなくなる見込みです。
SPACに関する詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。
当事業における主なファンドの概要
2021年3月31日現在
(注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の25億米ドルを含みます。
(注2)2021年6月23日現在、SVF2への当社の出資コミットメントは、400億米ドルに増額されています。
SVF1の資金の状況
2021年3月31日現在
(単位:億米ドル)
(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の25億米ドルを含みます。
当期末現在、ソフトバンクグループ㈱はSVF2に対する出資コミットメントのうち、68億米ドルを履行済みです。
<業績全般>(単位:百万円)
(注1)当期に売却した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の売却による実現損益」に振り替えています。
当期において、SVF1は、既存投資先およびその合弁会社へ合計47億米ドルの追加投資7を行った一方、投資先8銘柄7の全株式および5銘柄の一部株式を、合計48億米ドルの当初取得額に対し合計88億米ドル8で売却しました。またSVF2は、合計47億米ドルの新規および追加の投資を行いました。
セグメント利益
A SVF1およびSVF2等からの投資利益:6,357,462百万円
・SVF1
-投資先8銘柄7の全株式および5銘柄の一部株式を売却したことにより、投資の売却による実現益424,215百万円を計上しました。
-当期末に保有する投資について未実現評価益5,523,149百万円(52,186百万米ドル、純額)を計上しました(内訳は以下「SVF1の投資の状況」をご参照ください)。このうち、上場投資先について、当期に上場したCoupangおよびDoorDash、ならびにUberなどの投資先の株価の好調な推移により、合計40,507百万米ドルの未実現評価益を計上しました。また、非上場株式について、上場が決定した投資先や資金調達ラウンドがあった投資先の公正価値が上昇したことなどにより、合計11,679百万米ドルの未実現評価益を計上しました。
・SVF2
-未実現評価益490,255百万円(4,633百万米ドル、純額)を計上しました。これは主に、当期に上場したKE Holdingsなどの株価の好調な推移を反映し上場株式について合計4,671百万米ドルの未実現評価益を計上したことによるものです。その他の内訳は以下「SVF2の投資の状況」をご参照ください。
B 財務費用:10,419百万円(前期比13,128百万円減少)
主に、SVF1が投資の資本効率向上などのために設定した借入枠を利用した借入れ(以下「ファンド・レベル・ファシリティー」)および保有株式の一部の資金化を目的とした借入れ(以下「ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティー」)について、返済に伴う借入残高の減少により支払利息が減少しました。
C SVF1における外部投資家持分の増減額:△2,246,417百万円
SVF1からの投資損益からSBIAに支払われる管理報酬および成功報酬、SVF1の営業費用ならびにその他の費用を控除した金額を、持分に応じて外部投資家に分配した成果分配額および固定分配額の合計です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記9.SVF1等SBIAの運営するファンド事業(2)SVF1における外部投資家持分」をご参照ください。
なお、当期末現在、SVF2はソフトバンクグループ㈱のみが出資しているため、外部投資家持分はありません。
SVF1の投資の状況
2021年3月31日現在
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
(別掲)
②エグジットした投資
③投資に係るデリバティブ関連損益
④投資先からの受取配当金
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
(注3)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
SVF2の投資の状況
2021年3月31日現在
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②)
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
②エグジットした投資
(注1)税金等の控除前
(注2)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。
投資先の上場実績および公表済の上場予定
2021年3月31日現在;投資時に上場済みのものを除く
(c)ソフトバンク事業
(単位:百万円)
(注1)主にPayPay㈱に係る持分法投資損失です。ソフトバンク㈱においては、PayPay㈱は持分法適用会社に分類されていますが、ソフトバンクグループ㈱においては、PayPay㈱は2018年6月の設立から一貫して子会社として連結されており、その業績は「その他」に含まれています。このため、ソフトバンク事業で認識したPayPay㈱に係る持分法投資損失はセグメント情報の「調整額」で消去されています。
<業績全般>セグメント利益は、Zホールディングス㈱や法人向け事業が好調に推移したことなどにより、前期比32,316百万円(4.0%)増加の847,933百万円となりました。一方、WeWork Japan合同会社における持分法投資の減損損失の計上や、投資損益の悪化などのマイナス影響がありました。
Zホールディングス㈱は主に2019年11月の㈱ZOZO子会社化および既存イーコマース事業の増収の影響で増益となりました。また、法人向け事業は、モバイル売上の増加に加えて、新型コロナウイルス感染拡大を受けてテレワーク関連商材の需要が伸びたことでクラウドサービスやセキュリティソリューションの売上が増加し、増益となりました。なおコンシューマ向け事業は、主に販売手数料が減少したことや、「半額サポート」13に係る契約負債の取り崩しを売上に計上したことがそれぞれ利益に貢献した結果、増益となりました。
Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合が完了
2021年3月1日にZホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合が完了しました。ソフトバンク㈱はこの統合を、「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出しながら企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。統合後のZホールディングス㈱は、データやAIを活用し、満たされていないお客さまのニーズを把握しながら社会課題の解決に挑みます。
(d)アーム事業
(単位:百万円)
(注1)当第4四半期に、アーム全株式のNVIDIAへの売却契約の対象外であるISG(Internet-of-Things Services Group;IoTに関連するサービスグループ)事業は、それ以外のアーム事業とは別に管理することが決定されました。これに伴い、当期のアーム事業はISG事業を除くアームの業績を表示し、前期の業績についても同様に遡及修正を行っています。
(注2)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は48,108百万円、前期は50,544百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。現在アームは既存市場でのシェアの維持・獲得および新規市場でのシェア獲得に向けて新技術の開発を目指しており、技術関連人員の増強により研究開発投資を加速することで、技術力の強化を図っています。
市場の動向とその影響
アームの業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあります。半導体市場は現在、貿易摩擦や特定企業への制裁などの外部要因に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の変動による影響にさらされています。今後、これらの影響により、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷数が弱含んだ場合にはロイヤルティー収入の押し下げ要因となる可能性があるほか、収入減に直面したライセンシーが新規ライセンス契約の締結を延期する動向が生じた場合にはライセンス収入も押し下げられる可能性があります。しかしながら、このような事象がいつ発生し、半導体業界全体やアームにどのような影響を及ぼすかを見通すことは困難です。
足元でこうしたリスクは残るものの、市場環境が上向くにつれ、アームは成長を続けていくものと見込んでいます。さらに今後テクノロジーの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は長期的に拡大していくと期待しています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
(単位:百万米ドル)
当期の売上高は、テクノロジー・ロイヤルティー収入の増加により、前期から171百万米ドル(9.5%)増加しました。
テクノロジー・ロイヤルティー収入
テクノロジー・ロイヤルティー収入は前期から183百万米ドル(16.7%)増加しました。ライセンシーによる5Gスマートフォンの出荷と5G基地局へのネットワーク機器の導入が大幅に増加したことに加えて、サーバー向けチップの出荷増加も増収に寄与しました。
テクノロジー・ロイヤルティー以外の収入
テクノロジー・ロイヤルティー以外の収入(ライセンス収入およびソフトウエア・サービス収入)は前期から12百万米ドル(1.7%)減少しました。主に、当第1四半期において新型コロナウイルス感染症の影響による先行きの不透明感があった中、顧客によるライセンス契約が低迷したことによるものです。一方、半導体販売の堅調な推移が明らかになるにつれ、当第2四半期以降はアームのテクノロジーに対する需要が回復し、当該収入は前年同期を上回り続けています。当社による買収以降アームが研究開発投資を強化してきた結果、アームは、サーバーや車載エレクトロニクス、AIアクセラレーションなどに最適化されたプロセッサーをも含む、幅広いテクノロジー・ポートフォリオを持つに至りました。これにより、より多様な顧客がアームのテクノロジー・ライセンス契約を締結し、既存の顧客はより多くのアームのテクノロジーを選択することが可能となり、ライセンス収入をけん引しています。これらのライセンスには、サーバーチップ用やスマートフォン、ネットワーク機器、産業用ロボットや自動運転車などの自律型操作システム用途のプロセッサーに関するものが含まれています。
セグメント利益
セグメント利益は、前期から22,768百万円悪化し、33,873百万円の損失となりました。アーム全株式のNVIDIAへの売却契約の締結に伴いアームの従業員に付与済みの株式報酬の公正価値が上昇したことおよび権利確定日の前倒しを見込んだことによる費用(一時的な費用を含む)を計上したことなどによるものです。
なお、アームは研究開発体制の強化に引き続き取り組み、技術関連人員を中心に従業員の採用を進めており、アームの当期末の従業員数は前期末から7.9%増加しました。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット14
(単位:億個)
2020年1~12月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は250億個となり、過去最高の年間出荷数となりました。アームが関連する半導体市場のチップ出荷数が前年同期から6.7%15増加する中、アームのロイヤルティー・ユニットの出荷数は12.7%増加しました。
<技術開発>アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業におけるテクノロジーの開発に取り組んでいます。
重点投資分野と主な進捗
(e)その他
(単位:百万円)
(注)当期より、アームのISG事業の業績を含めて表示しています。また、前期についても同様に遡及修正して表示しています。
その他のセグメント利益は92,625百万円となりました。ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドおよびFortress Investment Group LLC(以下「フォートレス」)の税引前利益がそれぞれ188,883百万円、57,107百万円となった一方、PayPay㈱の税引前損失が72,650百万円となりました。
これらの業績および事業の概況は以下の通りです。
・ラテンアメリカにおけるファンド事業
ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの投資先の公正価値が前期末から上昇したことにより投資利益が196,556百万円となり、188,883百万円の税引前利益を計上しました。当期末における同ファンドの保有投資銘柄数は37銘柄、累計投資額は2,605百万米ドル、公正価値は合計4,013百万米ドルとなりました。なお、当第4四半期に、ラテンアメリカにおけるファンド事業子会社がスポンサーとして設立したSPAC1社がNASDAQに新規上場しました。
・フォートレス
同社が保有する投資の公正価値が上昇したことにより投資利益が88,411百万円となり、57,107百万円の税引前利益を計上しました。当期において、同社の子会社である5社のSPACが新規上場し、そのうち1社は事業会社と合併し連結対象から除外されました。また、1社は事業会社との合併計画を発表しました。SPACに関する詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。
・PayPay㈱
日本でスマートフォン決済サービスを手掛ける同社は、ユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンやサービス利用可能店舗の拡大に引き続き取り組んだことなどにより72,650百万円の税引前損失を計上しました。なお、同社の決済サービスは、当期の決済回数が20.39億回(前期比2.5倍)に達するなど、順調に拡大を続けています。
「その他」に含まれるPayPay㈱の業績
(単位:百万円)
(2)財政状態
(注1)スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併およびTモバイル株式の一部売却取引の詳細については、「(1)経営成績 <4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等」をご参照ください。
(注2)詳細は「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
(注3)アームは当社の子会社であるため、同社への投資はSVF1からの投資に含まれません。
(単位:百万円)
(a)資産
(単位:百万円)
主な科目別の増減理由
(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物
(単位:百万円)
(注1)資金調達を行う100%子会社であるスカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings Limited、Tigress 2020 Holdings Limited、ムーンライトファイナンス合同会社およびDelaware Project 6 L.L.C.を含みます。
(注2)ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
(注3)㈱ジャパンネット銀行(現PayPay銀行㈱)を含みます。同社の現金及び現金同等物の当期末残高は306,599百万円でした。
(b)負債
(単位:百万円)
主な科目別の増減理由
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(単位:百万円)
(注1)スカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings Limited、Tigress 2020 Holdings Limited、ムーンライトファイナンス合同会社およびDelaware Project 6 L.L.C.の有利子負債を記載しています。これらのうち、Delaware Project 6 L.L.C.の有利子負債以外はソフトバンクグループ㈱に対して全額がノンリコースです。Delaware Project 6 L.L.C.の有利子負債43.8億米ドルは例外的にソフトバンクグループ㈱が20.2億米ドルを上限に保証しています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該借入れの担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
(注2) ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
前期末からの主な会社別の増減理由
ソフトバンクグループ㈱/資金調達を行う100%子会社/SB Northstar
ソフトバンクグループ㈱
・借入金
シニアローン3,924億円(借入額面総額、うち期限前返済※分3,000億円)を返済しました。また、2021年3月にコミットメントラインによる借入金3,100億円を返済※しました。一方、手元資金の拡充を目的に当第4四半期に5,400億円の短期借入れを行いました。
・社債
国内無担保社債1,676億円(額面総額)および外貨建て社債9.8億米ドルおよび9.0億ユーロ(額面総額、合計2,249億円)を買入れた※ほか、国内無担保社債合計1,500億円を満期償還しました。一方、リファイナンスを目的に国内ハイブリッド社債1,770億円を新規発行しました。
・コマーシャル・ペーパー
1,405億円増加しました。
※4.5兆円プログラムに基づく負債削減の一環として実行
(資金調達を行う100%子会社)
スカイウォークファイナンス合同会社
・アリババ株式を活用した借入れ(マージン・ローン)として、2020年7月に94.4億米ドルを返済した後、2021年3月に81.3億米ドルを借入れました。
West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings Limited、Tigress 2020 Holdings Limited
・2020年4月から8月にかけて、保有するアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結したことに伴い、前期契約分を含めて当期末において株式先渡契約金融負債3,085,739百万円を計上しました。なお、当第3四半期に契約の一部(前期契約分も含む)について契約変更を行ったことに伴い、変更された契約に係る株式先渡契約金融負債1,382,751百万円の認識を中止する一方、新たに締結した契約について株式先渡契約金融負債2,179,156百万円を計上しています。詳細については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債(1)有利子負債の内訳(注5)」をご参照ください。
Delaware Project 6 L.L.C.
・Tモバイル株式を活用して43.8億米ドルの借入れ(マージン・ローン)を行いました。
SB Northstar
・上場株式取得を目的とした短期借入金が1,203,925百万円増加しました。
・アリババ株式を活用して60.0億米ドルを借入れました(マージン・ローン)。
SVF1等SBIAの運営するファンド事業
・SVF1のファンド・レベル・ファシリティーによる借入金が、返済により30.8億米ドル減少しました。当期末における借入残高はありません。
・SVF1のポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーによる借入金が、返済により10.3億米ドル減少しました。
・当第4四半期にSVF1が28.0億米ドルを借り入れました。同借入れは、SVF1が保有するアーム株式のNVIDIAへの売却完了時の受領対価が返済に充当される予定です。
ソフトバンク事業
ソフトバンク㈱
・通信設備のセール・アンド・リースバックを通じた資金調達などにより、借入金が増加しました。
・国内普通社債を合計2,200億円発行しました。
Zホールディングス㈱
・Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に伴い、支配獲得日にLINE㈱17の有利子負債244,248百万円を認識しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記10.企業結合 LINE㈱の取得およびLINEグループとZホールディングス㈱の経営統合」をご参照ください。
・Zホールディングス㈱が短期借入金を返済した一方、国内普通社債を合計2,000億円発行しました。
(c)資本
(単位:百万円)
主な科目別の増減理由
(3)キャッシュ・フロー
(単位:百万円)
(注)非継続事業からのキャッシュ・フローが含まれています。非継続事業からのキャッシュ・フローについては、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記6.非継続事業」をご参照ください。
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは前期から560,629百万円減少しました。これは主に、法人所得税の支払額が前期から613,371百万円減少したものの、前期に641,013百万円のキャッシュ・イン・フローを計上していたスプリントが当期首に連結から除外されたことに加え、当期から事業を開始した資産運用子会社SB Northstarが主にデリバティブへの投資における実現損失に伴うキャッシュ・アウト・フローを509,249百万円(連結会社間の取引消去前)計上したことによるものです。
なお、法人所得税の支払額の減少は、前期に、主に2019年3月期に発生したソフトバンク㈱株式売却益などに対し法人税321,290百万円をソフトバンクグループジャパン㈱が支払ったこと、およびソフトバンクグループジャパン㈱が行ったソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税422,648百万円を納付したことによるものです。後者の源泉所得税は2019年7月に還付されました。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(注)アーム全株式売却の最終契約締結時に受領した合計20億米ドルのうち前受金12.5億米ドルは、投資活動によるキャッシュ・フローのその他に含まれています。
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(注1)短期有利子負債の収支には、IFRSにおける「純額によるキャッシュ・フローの報告」の要件を満たした財務活動によるキャッシュ・フローを記載しています。
(注2)借入れによる収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が2,378,859百万円、支出が△2,823,336百万円、それぞれ含まれています。
(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報
i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源
ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)または投資ファンド(例えば、SVF1やSVF2)を通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの保有資産を資金化することで回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や財務改善にも振り向けています。このほか、金融機関からの借入れや社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金や負債の返済原資として資金調達をしています。
保有資産の資金化においては、ソフトバンクグループ㈱および子会社や投資ファンドを通じて保有する投資資産の価値はアリババやソフトバンクなどの上場株式が占める比率が高く、ソフトバンクグループ㈱はそれらの上場株式の高い流動性を活かし柔軟に資金化することができます。例えば、保有資産の売却だけではなく、株式先渡売買契約(当期末時点においてはアリババ株式を活用)や、上場株式(当期末時点においてはアリババ、Tモバイル、ソフトバンク)を担保にした借入れ(マージン・ローン)など多様な手段を活用し、保有資産の機動的な資金化を実現しています。また、特にSVF1およびSVF2を通じ数多く行っている未上場株式への投資についても、株式上場を通じてその流動性が高まることにより、売却および資金化の機会の広がりが期待されます。
また、社債の発行においては、円建シニア社債だけではなく米ドルやユーロ建シニア社債、ハイブリッド社債など異なる商品性の債券を発行することで、国内外の様々な市場からの資金調達の機会を確保し、安定的な調達を図っています。
ii.4.5兆円の資産の売却または資金化(4.5兆円プログラム)
ソフトバンクグループ㈱は、2020年3月に株主還元と負債削減などを通じた財務改善のための4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針(「4.5兆円プログラム」)を決定した後、2020年9月末までに5.6兆円の資産の売却および資金化を完了するなど、当期において速やかに実行に移しました。詳細は「(1)経営成績 <4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>」をご参照ください。
iii.当期における主な投資
当期において、SVF1に対し7億米ドルの出資コミットメントを履行(当期末におけるSVF1に対する出資コミットメント残高は38億米ドル)し、SVF2に対し48億米ドルの出資コミットメントを履行(当期末におけるSVF2に対する出資コミットメント残高は132億米ドル(注))しました。SVF1および SVF2の投資活動の詳細は「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(b)SVF1等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。
この他、当期から、保有資産の多様化と余剰資金の運用を目的として、流動性の高い上場株式への投資を資産運用子会社であるSB Northstarを中心に行っています。詳細は「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業 資産運用子会社からの上場株式等への投資」をご参照ください。
(注)2021年6月23日現在、SVF2への当社の出資コミットメントは、400億米ドルに増額されています。
(4)生産、受注および販売の状況
当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針および見積りについては、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記5.重要な判断および見積り」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。
(1)経営成績
1.業績ハイライト ◆ 投資利益7兆5,290億円 -SVF1およびSVF2等からの投資利益6兆2,920億円 ・SVF1:主にGuardant Health(一部)やOSIsoft、Uber(一部)などの投資の売却により実現益(純額)4,237億円を計上。上場投資先で合計4兆2,851億円の未実現評価益を計上(このうちCoupangで2兆5,978億円、DoorDashで6,611億円の利益)。未上場投資先で合計1兆1,930億円の未実現評価益(純額)を計上 ・SVF2:KE Holdingsをはじめとする上場投資先の好調な株価推移などにより未実現評価益(純額)4,903億円を計上 -持株会社投資事業からの投資利益9,459億円:スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併およびその後のTモバイル株式一部売却に関連して、Tモバイル株式売却関連利益4,218億円、引き続き保有するTモバイル株式に係る未実現評価益2,196億円、条件付対価の公正価値上昇に伴うデリバティブ関連利益2,644億円をそれぞれ計上。一方で上場株式等への投資に係る投資損失2,329億円を計上 ◆ 税引前利益5兆6,705億円(前期比5兆6,204億円増加) -財務費用3,073億円* -デリバティブ関連損失(投資損益を除く)4,803億円* -SVF1における外部投資家持分の増減額△2兆2,464億円* (*:費用の当期計上額) ◆ 親会社所有者に帰属する純利益4兆9,880億円(前期比5兆9,495億円増加) -非継続事業からの純利益7,112億円:主にスプリントに係る支配喪失利益 2.投資事業の好調が続く ◆ SVF1:当第4四半期にAUTO1、Coupang、Viewの3社が上場し、当期の累計上場社数は6社に。当期末に保有する全投資先81社のうち、11社が上場済み ◆ SVF2:当第4四半期にQualtricsが上場。当期末に保有する全投資先44社のうち、3社が上場済み ◆ SPAC:当第4四半期にSBIA USの子会社3社を含む7社の子会社SPAC(特別買収目的会社)が上場し、当期末現在で累計9社が上場済み。このうち1社は事業会社との合併が完了 3. 4.5兆円プログラムが終了 ◆ 資産売却または資金化:Tモバイル、アリババおよびソフトバンク㈱の株式の一部売却または資金化により、2020年4~9月の6カ月間で5.6兆円の資産売却・資金化を実現 ◆ 自己株式取得:合計2兆円の自己株式取得枠を設定。このうち、2021年3月末までに累計1兆7,422億円、2021年5月12日までに累計2兆円の自己株式を取得して終了 ◆ 負債削減:国内社債および外貨建て社債の買入れならびにシニアローンおよびコミットメントラインによる借入金の返済により、当期末までに合計1兆円の負債を削減 ◆ その他の手取金は上場株式で運用しながら投資機会に備えた資金として保持 4. 当期の年間配当は1株当たり44円 5. 2021年3月1日付でZホールディングス㈱とLINE㈱が経営統合 |
為替換算レート
期中平均レート
2020年3月期 | 2021年3月期 | |||||||
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | |
1米ドル | 110.00円 | 107.70円 | 108.98円 | 109.22円 | 107.74円 | 105.88円 | 104.45円 | 106.24円 |
期末日レート
2020年 | 2021年 | ||||||
3月31日 | 3月31日 | ||||||
1米ドル | 108.83円 | 110.71円 |
<連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更>当期において、以下の通り連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更を行っています。前期における連結損益計算書および報告セグメントも同様に組み替えて表示しています。
連結損益計算書の表示の変更
「営業利益」の表示取りやめと「投資損益」の新規表示
ソフトバンクグループ㈱は、直接(子会社を通じた投資を含む)または投資ファンド(例えば、SVF1)を通じて多数の企業に投資を行い、その投資ポートフォリオを管理する戦略的投資持株会社です。2020年4月1日にスプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引が完了し、同日からスプリントが当社の子会社ではなくなったことにより、当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期より連結損益計算書の表示を変更しました。
具体的には、連結損益計算書において「営業利益」の表示を取りやめる一方で、連結業績における投資の成果を明示するために新たに「投資損益」を表示しています。従前の「営業利益」には「SVF1およびSVF2等からの投資損益」に含まれる投資損益以外の投資損益が含まれておらず、戦略的投資持株会社としての連結業績を適切に表示するには有用でないと判断したためです。新たに設けた「投資損益」には、①投資有価証券(FVTPLの金融資産)および持分法で会計処理されている投資の売却による実現損益、②FVTPLの金融資産の未実現評価損益、③投資先からの受取配当金、④FVTPLの金融資産などの投資に係るデリバティブ関連損益が含まれています。なお、上記の投資損益に含まれないデリバティブ関連損益は、「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として表示しています。また、投資先の純損益に対する当社持分を認識する持分法による投資損益については、従前と同様に「持分法による投資損益」として表示しています。
なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取りやめに伴い、報告セグメントの利益は「税引前利益」に変更しました。
ブライトスターの非継続事業への分類
2020年9月17日(米国時間)、当社はBrightstar Global Group Inc.(以下「ブライトスター」)の全株式の売却取
引1に合意し、同取引は2020年10月22日(米国時間)に完了しました。これを踏まえて、連結損益計算書における当該取引完了までの同社の純損益は、継続事業と区分して「非継続事業からの純利益」として表示し、前期における同社の純損益についても遡及修正が行われ、「非継続事業からの純利益」として表示しています。
報告セグメントの変更
「持株会社投資事業」の新設
前述の通り当社の連結業績全体に占める投資活動の重要性が一層高まったことを踏まえて、当第1四半期から、「持株会社投資事業」を新たに設けました。同事業の概要については「b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業 <事業概要>」をご参照ください。
「ブライトスター事業」の除外
ブライトスターの非継続事業への分類に伴い、当第2四半期から「ブライトスター事業」を報告セグメントから除きました。
当期末現在、当社の報告セグメントは「持株会社投資事業」、「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つです。
1 | 本取引の対価の一部として、当社はブライトスターの全株式を取得したBrightstar Capital Partnersの子会社の25%(完全希薄化後)の持分を受領しています。本取引の完了に伴いブライトスターを当社の子会社から除外しました。 |
<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>ソフトバンクグループ㈱は2020年3月23日、自己株式取得と負債削減等を通じた財務改善のために4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針を発表しました。売却または資金化で得られた資金のうち最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向けるものです(以下「4.5兆円プログラム」と総称)。このうち、保有資産の売却または資金化については、当第2四半期末までに、目標額の4.5兆円を達成して完了しました。2020年4月から9月までの6カ月間における資産の売却または資金化額は5.6兆円にのぼります。一方、最大2兆円の自己株式取得については、2020年5月から7月にかけて計2兆円の自己株式の取得枠を設定した後、2021年5月12日までに累計2兆円を取得して終了しました。また、負債削減については、当期末までに国内社債および外貨建て社債の買入れのほか、シニアローンおよびコミットメントラインによる借入金の返済により合計1兆円の負債を削減しています。そして、その他の手取金は、さらなる財務改善のために資産運用子会社SB Northstarを通じて流動性の高い上場株式で運用しながら投資機会に備える資金として保持する形で、本プログラムは終了しました。
SB Northstarによる上場株式への投資の状況は「b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
2020年4月~9月の資産の売却または資金化
売却または資金化額 | |||
2020年 4~6月 | 2020年 7~9月 | 合計 | |
1.Tモバイル株式の一部売却および同株式を活用した借入れ | 1.9兆円 | 0.5兆円 | 2.4兆円 |
2.先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化 | 1.5兆円 | 0.2兆円 | 1.7兆円 |
3.ソフトバンク㈱株式の一部売却 | 0.3兆円 | 1.2兆円 | 1.5兆円 |
合計 | 3.7兆円 | 1.9兆円 | 5.6兆円 |
(注)2020年6月末日までに完了した取引は1米ドル=107.74円、同9月末日までに完了した取引は1米ドル=105.80円で換算しています。
1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等
① スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了
2020年4月1日、当社米国子会社であったスプリントとT-Mobile US, Inc.の全ての対価を株式とする合併による取引(以下「本合併取引」)が完了しました。当社は、本合併取引の対価としてTモバイルの株式304,606,049株と一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株を無償で取得できる権利(以下「条件付対価」)を取得しました。同日から、スプリントは当社の子会社ではなくなり、統合後の新会社であるTモバイルが、株式の24.7%を当社が保有する持分法適用関連会社となりました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記6.非継続事業(1)スプリント」をご参照ください。
② Tモバイル株式の一部売却
さらに当社は保有するTモバイルの普通株式304,606,049株のうち、2020年6月26日に173,564,426株(以下「本一部売却の内容」の(a)および(b))、2020年7月16日に5,000,000株(同(c))、2020年8月3日に19,750,000株(同(d))を当社子会社を通じてTモバイルに売却しました(以下「本一部売却」)。Tモバイルは当社子会社から購入した株式を米国内における公募、現金強制転換証券(Cash Mandatory Exchangeable Trust Securities)を発行する信託を通じた私募、同社取締役のマルセロ・クラウレ(ソフトバンクグループ㈱副社長 執行役員 COO)への売却および株主割当による株式募集を通じて処分し、その手取金は当社子会社に引渡されました。
なお、2020年6月26日の株式売却に伴う議決権比率の低下によりTモバイルに対する重要な影響力がなくなったため、同日をもってTモバイルは当社の持分法適用関連会社から除外されました。
本一部売却の内容
取引内容 | 売却株式数 | 売却価額の総額 |
(a)Tモバイルによる米国内における公募 | 154,147,026株 | 15,877百万米ドル |
(b)Tモバイルによる信託を通じた私募 | 19,417,400株 | 1,667百万米ドル |
(c)Tモバイルによる同社取締役のマルセロ・クラウレへの売却 | 5,000,000株 | 515百万米ドル |
(d)Tモバイルによる株主割当による株式募集 | 19,750,000株 | 2,034百万米ドル |
また、Deutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)は、本一部売却後に当社が引き続き保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプション(以下「ドイツテレコムの株式購入オプション」)2を受領しました。
(i) 上記101,491,623株のうち44,905,479株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、1株当たり103.00米ドルです。また、ドイツテレコムはオプション付与日以降いつでも権利行使可能です。
(ⅱ)上記101,491,623株のうち56,586,144株を対象とする株式購入オプションの行使価額は、行使に先立つ20取引日のTモバイル株式市場株価の加重平均価額の平均です。また、ドイツテレコムは、上記(i)の権利行使後もしくは2020年10月2日以降、権利行使可能です。
本一部売却前後の当社が保有するTモバイル株式
(a)本一部売却前の保有株式数 | 304,606,049株 |
(b)本一部売却株式数 | 198,314,426株 |
(c)本一部売却後の保有株式数 (a)-(b) | 106,291,623株 |
(d)ドイツテレコムの株式購入オプションの対象株式数 | 101,491,623株 |
(e)ドイツテレコムの株式購入オプションが全て行使された場合の所有株式数 (c)-(d) | 4,800,000株 |
(f)条件付対価で取得できる株式数 | 48,751,557株 |
(g)条件付対価で株式を取得した場合の所有株式数 (e)+(f) | 53,551,557株 |
③ Tモバイル株式を活用した借入れ
2020年7月30日、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社が、保有するTモバイル株式を担保に、43.8億米ドルの借入れ(マージン・ローン)を行いました。本マージン・ローンについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しているため、当該保証債務の上限枠(資金化時点において20.8億米ドル)を控除した23.0億米ドルを4.5兆円プログラムに基づく資産の資金化額としています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該マージン・ローンの担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
2.先渡売買契約によるアリババ株式の一部資金化
2020年4月から8月にかけて、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるWest Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings LimitedおよびTigress 2020 Holdings Limitedが、保有するアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結し、総額で154億米ドルを調達しました。なお本取引後もアリババは継続して当社の持分法適用関連会社です。
なお、2020年4月から8月にかけて締結した上記株式先渡売買契約のうち、2020年10月および11月において、カラー契約について決済株価のキャップ(上限)およびフロア(下限)の設定を見直したほか、先渡契約について決済株価にキャップおよびフロアを設定するカラー契約へと変更しました。また同時に、前期に締結したアリババ株式を使った株式先渡売買契約(カラー契約)についても決済株価のキャップおよびフロアの設定を見直しています。これらの見直しは、当時のアリババ株価の上昇に対応して、さらなる株価上昇局面でのアップサイドを確保することを意図して行われました。またカラー契約の一部については、アリババ株価の現在の水準を考慮し2021年4月に早期解約を行いました。これらの詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債」をご参照ください。
2 | 早期終了をもたらす一定の事象が発生しない限り、2024年6月22日に行使期限が到来します。 |
3.ソフトバンク㈱株式の一部売却
2020年5月および9月、ソフトバンクグループ㈱は、ソフトバンクグループジャパン㈱を通じて、保有する子会社ソフトバンク㈱の普通株式3,182,919,470株のうち合計1,268,061,400株を以下の通り売却し、合計1.5兆円を受領しました。
①2020年5月:240,000,000株(所有割合:5.0%)を3,102億円で売却
②2020年9月:1,028,061,400株(所有割合:21.7%)を1.2兆円で売却
これらの売却後もソフトバンク㈱は引き続き当社の子会社であり、当社グループにおけるその戦略的な重要性は変わりません。また、その重要性に鑑み、当社およびソフトバンクグループジャパン㈱はソフトバンク㈱株式を追加で売却する意向はなく、これらの売却後の所有株式を中長期的に継続保有する方針です。
なお、これらの売却後もソフトバンク㈱は引き続きソフトバンクグループ㈱の子会社であるため、当該売却における売却益相当額(税金考慮後)は、連結財政状態計算書上、「資本剰余金」として計上されています。これに加え、これらの取引で生じた課税所得について、繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用したことなどにより、法人所得税が利益方向に256,060百万円計上されました。
4.5兆円プログラムに基づく自己株式の取得
2021年5月12日現在
取締役会決議日 | 取得株式数 | 取得総額 | 取得期間 |
2020年5月15日 | 81,940,400株 | 5,000億円 | 2020年6月17日 ~2020年8月3日 |
2020年6月25日 | 70,579,400株 | 5,000億円 | 2020年9月15日 ~2020年12月11日 |
2020年7月30日 | 106,661,500株 | 1兆円 | 2020年12月14日 ~2021年5月12日 |
合計 | 259,181,300株 | 2兆円 | |
(参考:4.5兆円プログラム以前に決定された自己株式の取得) | |||
2020年3月13日 | 107,679,300株 | 5,000億円 | 2020年3月16日~2020年6月15日 |
4.5兆円プログラムに基づく負債削減
ソフトバンクグループ㈱は、当期末までに以下の通り合計1兆円の負債削減を行い、4.5兆円プログラムに基づく負債削減を終了しました。
①国内無担保社債1,676億円(額面総額)を買入れ(2020年7月)
②シニアローン3,000億円(借入額面総額)を期限前返済(2020年9月)
③外貨建普通社債9.78億米ドルおよび8.98億ユーロ(額面総額、合計2,249億円)を買入れ(2021年3月)
④コミットメントラインによる借入金3,100億円の返済(2021年3月)
<アーム全株式の売却契約の締結>2020年9月13日(米国時間)、当社100%子会社であるSoftBank Group Capital Limited(以下「SBGC」)およびSVF1が保有する当社100%子会社アームの全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporation(以下「NVIDIA」)に対して取引価値を最大400億米ドル(約4.2兆円)と評価した取引で売却すること(以下「本取引」)について、SBGC、SVF1およびNVIDIAの間で最終的な契約(以下「最終契約」)の締結に至りました。本取引は、英国、中国、EUおよび米国を含む必要な規制当局の承認、その他のクロージング要件の充足を条件とします。本取引の完了までには最終契約の締結から約18カ月かかると見込んでいます。なお、ISG(Internet-of-Things Services Group;IoTに関連するサービスグループ)事業は本取引の対象外であるため、アームから分離され、それ以外のアーム事業とは別に管理することが当第4四半期に決定されました。同事業のアームからの移管は2021年12月までに行われるとアームは見込んでいます。これに伴い、当期のアーム事業はISG事業を除くアームの業績を表示するとともに、ISG事業の業績は「その他」に含めて表示しています。前期の業績についても同様に遡及修正を行っています。
本取引の完了をもってアームは当社の子会社に該当しないこととなり、当社の連結対象から除外されますが、本取引完了の蓋然性が非常に高いと見なされるまでの間、当社連結財務諸表においてアームは引き続き継続事業として扱われます。また、本取引の完了後、SBGCおよびSVF1は合計でNVIDIAの発行済み株式(自己株式を除きます。)の約6.7~8.1%を保有することになると見込んでいます(最終的なアーンアウト(詳細は以下をご参照ください)の金額により変動します。)。本取引の完了後もNVIDIAは当社の子会社や関連会社に該当しません。
本取引の取引価値の内訳は下表の通りです。
(単位:億米ドル)
取引価値 | 受領時期 | |||
当社の 受領対価 | ①現金 | 120 | (a) 20 | 2020年9月受領 (うち7.5億米ドルはアームがライセンス契約対価として受領) |
(b) 100 | クロージング時 | |||
②NVIDIA株式 | 215 (44.37百万株) | クロージング時 | ||
③アーンアウト (現金またはNVIDIA株式) | 最大50 (または10.32百万株) | クロージング時 (アーンアウト対象アーム業績が一定の財務指標を達成することが条件) | ||
④アーム従業員への NVIDIA株式報酬 | 15 | クロージング時 (アームの従業員が受領) | ||
合計 | 最大400 |
(注1)①および②ならびに③(もしあれば)の受領対価は、SBGCおよびSVF1が、アーム株式保有割合に応じてそれぞれ75.01%および24.99%の割合で受領します。なお、SVF1の手取金は所定の分配順位(ウォーターフォール)に基づいて当社を含むSVF1のリミテッド・パートナーに分配されます。
(注2)②および③における取引価値は、NVIDIA株式を1株当たり484.6007米ドルで算定(2020年9月10日に終了した連続した30取引日の同社普通株式終値の平均(小数第5位を切り上げ))
① 現金120億米ドル
(a) 20億米ドル
最終契約締結(2020年9月13日)に伴い、SBGCおよびアームは現金合計20億米ドルを受領しました。このうち12.5億米ドルはSBGCが売却対価の前受金として受領(本取引の完了までの間、所定の条件下でNVIDIAに払い戻す義務があり、本取引の完了後は払戻し不要)、7.5億米ドルはアームが最終契約と同時にNVIDIAと締結したライセンス契約の対価として受領したものです。
(b) 100億米ドル
本取引のクロージング時、SBGCおよびSVF1は現金合計100億米ドルを受け取ります。
② NVIDIA株式215億米ドル相当(4,437万株)
SBGCおよびSVF1は、本取引のクロージング時にNVIDIA普通株式44,366,423株を受け取ります。これは1株当たり484.6007米ドル(2020年9月10日に終了した連続した30取引日の同社普通株式終値の平均(小数第5位を切り上げ))に基づき決定されています。なお、このうち2,063,554株は、本取引の最終契約におけるSBGCおよびSVF1が負担し得る一定の補償義務の履行のためにエスクローの対象となります。
受領する株式はクロージング時にFVTPLの金融資産として公正価値で計上され、以降は毎四半期末の公正価値の変動が純損益として認識される予定です。
③ アーンアウト最大50億米ドル(現金またはNVIDIA株式1,032万株)
2022年3月31日に終了する会計年度のアームの売上高およびEBITDA(それぞれ一定の調整を受け、かつISG事業への帰属分を除きます。)が最終契約で規定された目標値を達成することを条件に、SBGCおよびSVF1は、クロージング時、アーンアウトとして最大50億米ドルの現金またはNVIDIA普通株式最大10,317,772株(2020年9月10日に終了した連続した30取引日の同社普通株式終値の平均(小数第5位を切り上げ))である1株当たり484.6007米ドルに基づく)を受け取ります。アームの業績が合意されたフロア値を超え当該目標値を下回る場合は達成度に応じた割合でアーンアウトを受け取り、当該フロア値に満たない場合はアーンアウトは得られません。
同アーンアウトをNVIDIA株式で受領する場合、当該株式はクロージング時にFVTPLの金融資産として公正価値で計上され、以降は毎四半期の公正価値の変動が純損益として認識される予定です。
④ アームの従業員への15億米ドル相当のNVIDIA株式報酬
本取引のクロージング時、アームの従業員がNVIDIAから15億米ドル相当の同社株式報酬を受領します。
なお、アームは当社の子会社であるため、SVF1が保有するアーム株式の公正価値の変動により計上される未実現評価損益およびアームからの受取配当金は、セグメント利益において「SVF1およびSVF2等からの投資損益」に含めていますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF1およびSVF2等からの投資損益」には含めていません。
<スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引およびTモバイル株式の一部売却による当期の連結財務諸表への主な
影響>スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引による影響
① 連結損益計算書への影響
スプリントの支配喪失利益7,208億円を「非継続事業からの純利益」に計上
② 連結財政状態計算書への影響
資産の部
・本合併取引の対価として受領したTモバイル株式を公正価値2.7兆円で「持分法で会計処理されている投資」に計上(以下のTモバイル株式の一部売却の結果、引き続き保有するTモバイル株式は公正価値で「投資有価証券」に振替え)
・本合併取引の対価として受領した条件付対価4,607億円を「デリバティブ金融資産」に計上しました。本合併取引時に公正価値1,963億円で計上した後、当期末までに2,644億円の公正価値の上昇を認識したものです(当該上昇はデリバティブ関連利益として「持株会社投資事業からの投資損益」で認識)。
Tモバイル株式の一部売却取引による影響
① 連結損益計算書への影響
投資損益
Tモバイル株式売却関連利益4,218億円を「持株会社投資事業からの投資損益」に計上:
関連会社株式売却益2,803億円、引き続き保有するTモバイル株式の再評価益2,960億円、ドイツテレコムの株式購入オプションに係るデリバティブ関連損失1,545億円、Tモバイル株式の売却による実現損失31億円、デリバティブ負債の認識の中止に伴う利益30億円
② 連結財政状態計算書への影響
資産の部
引き続き保有するTモバイル株式を公正価値で「投資有価証券」に計上(当期末:1兆4,744億円)。なお、引き続き保有するTモバイル株式は毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書上、「持株会社投資事業からの投資損益」に計上します。2020年6月26日から当期末までの期間に認識したTモバイル株式に係る投資の評価益は2,196億円です。
負債の部
ドイツテレコムの株式購入オプションを公正価値で「デリバティブ金融負債」に計上(当期末:2,048億円)。なお、ドイツテレコムの株式購入オプションは毎四半期末に公正価値で測定し、その変動額は連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益」にデリバティブ関連損益として計上します。
③ 連結キャッシュ・フロー計算書への影響
投資活動によるキャッシュ・フロー
Tモバイル株式売却の手取金2.1兆円を「投資の売却または償還による収入」に計上
<新型コロナウイルス感染拡大の市場および当社事業への主な影響>当期の世界の経済状況は新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな影響を受け、その影響は今なお継続しています。世界各国の政府が新型コロナウイルスの感染拡大による経済的影響に対処するために財政出動や金融緩和を実施していることや、一部の国でのワクチン接種の進展による経済活動活性化への期待感により、下半期において市場は全体的に急激に回復しており、新規資金の流入が続いています。特に、当社が投資活動の力点を置いているテクノロジー分野は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するためにデジタルサービスの導入が加速度的に進んでいることのプラス影響を受けており、当期、S&P500情報技術株指数は73%上昇しました。これらの要因により、当期、SVF1およびSVF2を中心に投資のパフォーマンスは好調に推移し、当社の投資損益合計は7,529,006百万円に達しました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響に関する不確実性等を考慮すると、現在の好影響が持続する保証はなく、また、その影響の度合いも投資先ごとに異なる可能性があります。
当期、特にSVF1においては、上場投資先の株価が好調に推移したほか、上場の決定や資金調達ラウンドのあった投資先やコロナ下で顧客のサービス利用が増加した投資先などの未上場投資先の公正価値が上昇し、合計で5,478,148百万円の未実現評価利益(純額)を計上しました。イーコマースやエンターテインメント、ヘルスケア、教育、食料デリバリー、法人向けソリューションなどのセクターにおける事業は、デジタルサービスの導入が加速度的に進んでいることからプラスの影響を受けており、これらのセクターに属するSVF1の投資先の多くが、前ラウンドよりも高い評価額で新規および既存投資家からの追加資金調達に成功していることは、各社の底堅い事業成長を反映しているものと考えられます。一方、旅行・ホスピタリティーなどのセクターでは、業績回復のペースは比較的鈍いものとなっています。
a.経営成績の概況
(単位:百万円) |
3月31日に終了した1年間 | |||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | ||
継続事業 | |||||
売上高 | 5,238,938 | 5,628,167 | 389,229 | 7.4% | A |
売上総利益 | 2,654,665 | 2,874,929 | 220,264 | 8.3% | |
投資損益 | |||||
持株会社投資事業からの投資損益 | 484,308 | 945,944 | 461,636 | 95.3% | B |
SVF1およびSVF2等からの投資損益 | △1,844,867 | 6,292,024 | 8,136,891 | - | C |
その他の投資損益 | △49,594 | 291,038 | 340,632 | - | |
投資損益合計 | △1,410,153 | 7,529,006 | 8,939,159 | - | |
販売費及び一般管理費 | △2,060,080 | △2,271,497 | △211,417 | 10.3% | |
財務費用 | △293,897 | △307,250 | △13,353 | 4.5% | D |
持分法による投資損益 | 624,015 | 616,432 | △7,583 | △1.2% | E |
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | 15 | △480,251 | △480,266 | - | F |
SVF1における外部投資家持分の増減額 | 540,930 | △2,246,417 | △2,787,347 | - | |
その他の損益 | △5,457 | △44,496 | △39,039 | - | |
税引前利益 | 50,038 | 5,670,456 | 5,620,418 | - | |
法人所得税 | △792,655 | △1,303,168 | △510,513 | 64.4% | G |
継続事業からの純利益 | △742,617 | 4,367,288 | 5,109,905 | - | |
非継続事業 | |||||
非継続事業からの純利益 | △58,143 | 710,948 | 769,091 | - | H |
純利益 | △800,760 | 5,078,236 | 5,878,996 | - | |
親会社の所有者に帰属する純利益 | △961,576 | 4,987,962 | 5,949,538 | - | |
包括利益合計 | △1,290,339 | 5,578,244 | 6,868,583 | - | |
親会社の所有者に帰属する包括利益 | △1,425,587 | 5,482,739 | 6,908,326 | - |
(注)当期において、継続事業と非継続事業を区分して表示しています。この表示方法の変更を反映させるため、前期においても同様に組み替えて表示しています。
以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業とアーム事業はいずれも増収となりました。
B 持株会社投資事業からの投資損益
スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併およびその後のTモバイル株式一部売却に関連して、Tモバイル株式売却関連利益421,755百万円、引き続き保有するTモバイル株式に係る未実現評価益219,608百万円、条件付対価の公正価値上昇に伴うデリバティブ関連利益264,395百万円をそれぞれ計上した一方、上場株式等への投資で232,856百万円の投資損失を計上しました。なお、前期には、アリババ株式先渡売買契約決済益1,218,527百万円を計上していました。詳細は「b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C SVF1およびSVF2等からの投資損益
SVF1が、保有銘柄の一部について、株式の全部(関係投資先株式との株式の交換を含む)または一部を売却したことにより、投資の売却による実現益423,683百万円(純額)を計上しました。また、Coupang, Inc.(以下「Coupang」)やDoorDash, Inc.(以下「DoorDash」)、Uber Technologies, Inc.(以下「Uber」)などの好調な株価を反映し上場投資先について合計4,285,133百万円の未実現評価益(純額)を計上したほか、未上場投資先について上場の決定や資金調達ラウンドなどによる公正価値上昇を反映し1,193,015百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。また、SVF2が、KE Holdings Inc.(以下「KE Holdings」)をはじめとする上場投資先の好調な株価推移などを反映し、未実現評価益490,255百万円(純額)を計上しました。詳細は「b. セグメントの経営成績(b)SVF1等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。
主にBおよびCの結果、投資損益合計は7,529,006百万円の利益となりました。
D 財務費用
持株会社投資事業で20,069百万円、ソフトバンク事業で4,167百万円、それぞれの支払利息が増加した一方、SVF1等SBIAの運営するファンド事業で支払利息が13,128百万円減少しました。
E 持分法による投資損益
アリババに係る持分法投資利益は572,516百万円3でした。当期も本業は引き続き好調だったものの、2019年9月にアリババが保有する知的財産の一部をAnt Small and Micro Financial Services Group Co., Ltd.(現Ant Group Co., Ltd.、以下「Ant Financial」)およびその子会社へ譲渡し、その対価をもってAnt Financialの新規発行株式(33%の持分)を取得する取引を行った結果、前期において当社のアリババに係る持分法投資利益が286,473百万円増加していたことなどから、前期から87,626百万円(13.3%)減少しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として当期に計上したため、アリババに係る持分法投資利益が74,270百万円押し下げられました。
F デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
2019年11月および2020年4月から8月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連損失504,048百万円を計上しました(2020年10月および11月に行った契約の一部変更による影響を含む)。
主にA~Fの結果、税引前利益は前期比5,620,418百万円増加の5,670,456百万円となりました。
G 法人所得税
ソフトバンク㈱やヤフー㈱で法人所得税を計上しているほか、Tモバイル株式の売却に伴う法人所得税を計上しています。また、アリババ株式先渡売買契約の変更に伴う繰延税金費用を計上しています。なお、ソフトバンクグループジャパン㈱によるソフトバンク㈱株式の一部売却(「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>3. ソフトバンク㈱株式の一部売却」ご参照)で生じた課税所得について、繰延税金資産を認識していなかった繰越欠損金を使用したことなどにより、法人所得税が利益方向に256,060百万円計上されました。
H 非継続事業からの純利益
スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の完了によりスプリントが当社の子会社でなくなったことに伴い、同社に係る支配喪失利益720,842百万円を計上しました。
主にA~Hの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は4,987,962百万円となりました。
3 | アリババとの契約などにより、同社の報告期間を統一することが実務上不可能であるため、連結損益計算書上、報告期間が3カ月相違した同社の連結財務諸表に持分法を適用しています(2020年12月末のアリババに対する当社の経済的持分比率: 25.02%)。ただし、アリババが公表した当該期間差における重要な取引または事象については、必要な調整を行っています。 |
b.セグメントの経営成績
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当期末現在、「持株会社投資事業」、「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つを報告セグメントとしています。当期における連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更の詳細は「<連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更>」をご参照ください。なお、連結損益計算書における「営業利益」の表示の取りやめに伴い、報告セグメントの利益を「税引前利益」に変更しました。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
セグメント名称 | 主な事業の内容 | 主な会社 | |
報告セグメント | |||
持株会社投資事業 | ・ソフトバンクグループ㈱およびその子会社による投資事業 | ソフトバンクグループ㈱ SoftBank Group Capital Limited ソフトバンクグループジャパン㈱ SB Northstar LP | |
SVF1等SBIAの運営するファンド事業 | ・SVF1およびSVF2による投資事業 | SB Investment Advisers (UK) Limited SoftBank Vision Fund L.P. SoftBank Vision Fund II-2 L.P. | |
ソフトバンク事業 | ・日本国内での移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドなど固定通信サービスの提供 ・インターネット広告やイーコマースサービスの提供 | ソフトバンク㈱ Zホールディングス㈱ | |
アーム事業 | ・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン ・ソフトウエアツールの販売および関連サービスの提供 | Arm Limited | |
その他 | ・スマートフォン決済事業 | PayPay㈱ | |
・オルタナティブ投資の資産運用事業 | Fortress Investment Group LLC | ||
・ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドによる投資事業 | SoftBank Latin America Fund L.P. | ||
・福岡ソフトバンクホークス関連事業 | 福岡ソフトバンクホークス㈱ |
(a)持株会社投資事業
1.Tモバイル株式売却関連利益4,218億円、引き続き保有するTモバイル株式に係る未実現評価益2,196億円、条件付対価の公正価値上昇に伴うデリバティブ関連利益2,644億円をそれぞれ計上 2.4.5兆円プログラムを終了(注) 3.上場株式等への投資で2,329億円の投資損失を計上(ソフトバンクグループ㈱およびSB Northstarの投資損益合計) |
(注)4.5兆円プログラムに基づく資産の売却または資金化、自己株式の取得、負債削減等を通じた財務改善については、「<4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>」をご参照ください。
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SBGC、ソフトバンクグループジャパン㈱および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、WeWork Inc.(以下「WeWork」)(注)など約110社と、SB Northstarからの投資先であり、持分法適用関連会社(例えばアリババ)のほか、FVTPLの金融資産として認識されるものがあります。持分法適用関連会社に該当する投資先の業績は、持分に応じて損益が「持分法による投資損益」に計上されます。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
(注)SVF1が保有するWeWork株式に係る投資損益は「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」に含まれています。
資産運用子会社からの上場株式等への投資
当社は、当第1四半期から、保有資産の多様化と余剰資金の運用を目的として、従来から掲げているLTV(Loan to Value、保有資産に対する負債の割合)や手元流動性に関する財務方針を堅持しつつ、流動性の高い上場株式への投資を行っています。当第1四半期においてはソフトバンクグループ㈱がこうした投資を行っていましたが、当第2四半期からは資産運用子会社であるSB Northstarが上場株式等の取得および売却、上場株式に関連するデリバティブ取引および信用取引を行っています。なお、上場株式等への投資の規模は、ソフトバンクグループ㈱の資金需要、手元現金の状況、および保有資産の状況により変動します。
SB Northstarにおける持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長 兼 社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。なお、ソフトバンクグループ㈱がSB Northstarに対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。
<業績全般>(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間 | |||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | ||
投資損益 | 484,308 | 946,107 | 461,799 | 95.4% | A |
Tモバイル株式売却関連損益 | - | 421,755 | 421,755 | - | |
アリババ株式先渡売買契約決済益 | 1,218,527 | - | △1,218,527 | - | |
資産運用子会社からの投資の売却に よる実現損益 | - | △20,537 | △20,537 | - | |
資産運用子会社からの投資の未実現 評価損益 | - | 134,237 | 134,237 | - | |
資産運用子会社からの投資に係る デリバティブ関連損益 | - | △610,690 | △610,690 | - | |
投資の売却による実現損益 | 17,777 | 222,161 | 204,384 | - | |
投資の未実現評価損益 | △690,669 | 608,448 | 1,299,117 | - | |
投資に係るデリバティブ関連損益 | △66,343 | 185,769 | 252,112 | - | |
その他 | 5,016 | 4,964 | △52 | △1.0% | |
販売費及び一般管理費 | △75,099 | △102,276 | △27,177 | 36.2% | |
財務費用 | △198,535 | △218,604 | △20,069 | 10.1% | B |
持分法による投資損益 | 657,232 | 601,364 | △55,868 | △8.5% | C |
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | △1,886 | △477,536 | △475,650 | - | D |
その他の損益 | 47,720 | 11,872 | △35,848 | △75.1% | |
セグメント利益(税引前利益) | 913,740 | 760,927 | △152,813 | △16.7% |
A 投資利益:946,107百万円
・Tモバイル株式売却関連利益421,755百万円を計上しました。これは、①2020年6月26日に保有するTモバイル株式304,606,049株のうち173,564,426株を売却したことに伴う関連会社株式売却益280,341百万円、②Tモバイルの持分法適用除外時に引き続き保有する同社株式に係る再測定益296,013百万円、③ドイツテレコムが受領した当社が保有するTモバイル株式101,491,623株を対象とする株式購入オプションに関するデリバティブ関連損失154,491百万円、④2020年7月16日に保有するTモバイル株式5,000,000株、2020年8月3日に同19,750,000株を売却したことに伴う投資の売却による実現損失3,122百万円およびデリバティブ負債の認識の中止に伴うデリバティブ関連利益3,014百万円から成ります。
・資産運用子会社からの投資の売却による実現損失20,537百万円、資産運用子会社からの投資の未実現評価利益134,237百万円をそれぞれ計上しました。これはSB Northstarが上場株式等への投資を行ったことによるものです。
・資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関連損失610,690百万円を計上しました。これはSB Northstarにおいて主に上場株式に係るコールオプションや売建株価指数先物取引に係る損失を計上したことによるものです。
・投資の売却による実現利益222,161百万円、投資の未実現評価利益608,448百万円をそれぞれ計上しました。前者については、主にソフトバンクグループ㈱からの上場株式への投資により222,009百万円の実現利益を計上したことによるものです。後者については、2020年6月26日から当期末までの期間に認識したTモバイル株式に係る投資の評価利益219,608百万円を計上したことに加え、公正価値上昇を反映してSocial Finance, Inc.、Lemonade, Inc.、Berkshire Grey Inc.4への投資に係る未実現評価益をそれぞれ124,420百万円、72,994百万円、49,462百万円計上したことなどによるものです。そのほかに、ソフトバンクグループ㈱による上場株式への投資により42,288百万円の未実現評価益も計上しました。
・投資に係るデリバティブ関連利益185,769百万円を計上しました。これは主に、スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の対価として受領した一定の条件を満たした際にTモバイル株式を無償で取得できる権利の公正価値の上昇額264,395百万円を当該利益として計上したことによるものです。
B 財務費用:218,604百万円(前期比20,069百万円増加)
・ソフトバンクグループ㈱の支払利息5が12,406百万円増の210,649百万円となりました。これは主に、2020年4月から8月にかけて資金調達を行う100%子会社がアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結して資金調達を行った結果、有利子負債が増加したことによるものです。
4 | 2021年3月にBerkshire Grey Inc.株式はSVF2へ移管されました。 |
5 | ソフトバンクグループ㈱の支払利息は、資金調達を行う100%子会社(スカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings Limited、Tigress 2020 Holdings Limited、ムーンライトファイナンス合同会社およびDelaware Project 6 L.L.C.)の有利子負債に係る支払利息を含めて表示しています。 |
C 持分法による投資利益:601,364百万円(前期比55,868百万円減少)
・アリババに係る持分法投資利益は572,516百万円でした。当期も本業は引き続き好調だったものの、2019年9月にアリババが保有する知的財産の一部をAnt Financialおよびその子会社へ譲渡し、その対価をもってAnt Financialの新規発行株式(33%の持分)を取得する取引を行った結果、前期において当社のアリババに係る持分法投資利益が286,473百万円増加していたことなどから、前期から87,626百万円(13.3%)減少しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として当期に計上したため、アリババに係る持分法投資利益が74,270百万円押し下げられました。
・2020年4月1日から同年6月25日までの期間におけるTモバイルに係る持分法投資利益24,736百万円を計上しました(前期は計上なし)。
D デリバティブ関連損失(投資損益を除く):477,536百万円
・2019年11月および2020年4月から8月にかけて締結したアリババ株式の先渡売買契約に関するデリバティブ関連損失504,048百万円を計上しました(2020年10月および11月に行った契約の一部変更による影響を含む)。

資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響(注1)
2021年3月31日現在
(単位:百万円)
2021年 3月31日 | ||
現金及び現金同等物 | 221,281 | |
資産運用子会社からの投資 | 755,250 | |
資産運用子会社における担保差入有価証券 | 1,427,286 | |
資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産 | 188,056 | |
その他の金融資産 | 126,472 | |
その他 | 14,407 | |
資産合計 | 2,732,752 | |
有利子負債 | 1,866,521 | |
資産運用子会社におけるデリバティブ金融負債 | 14,673 | |
その他 | 19,226 | |
負債合計 | 1,900,420 | |
Delaware子会社(以下に定義)からの出資(注2) | 1,348,963 | |
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への現金出資相当額 | 39,786 | |
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への貸付相当額 (ソフトバンクグループ㈱からの運用委託金) | 1,289,284 | |
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 | 19,893 | A |
利益剰余金 | △506,265 | B |
為替換算差額 | △10,366 | |
純資産 | 832,332 | C |
(注1)ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社を経由してSB Northstarへ現物出資したアリババ株式の影響およびSB NorthstarからSBIA US子会社のSPACへの投資の影響を除いたSB Northstarの財政状態計算書を、当社連結財政状態計算書への同社の影響を示すための参考情報として記載しています。
(注2)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額
(非支配持分の計算)
(単位:百万円)
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 | 19,893 | A |
非支配持分損益(注3) | △168,714 | |
為替換算差額 | △4,043 | |
非支配持分(孫 正義の持分) | △152,864 | D |
(注3)表中Bの3分の1
(純資産(上記C)に対する持分)
(単位:百万円)
ソフトバンクグループ㈱の持分 | 985,196 | |
非支配持分(孫 正義の持分) | △152,864 | D |
純資産 | 832,332 | C |
資産の状況
2021年3月31日現在
① 現物株式等
(単位:百万米ドル)
当期末 公正価値 | |
株式 | |
AbCellera Biologics Inc. | 265 |
Adobe Inc. | 10 |
Alphabet Inc. Class C Capital Stock | 575 |
Amazon.com, Inc. | 6,211 |
Facebook, Inc. | 3,182 |
Microsoft Corporation | 1,030 |
Netflix, Inc. | 382 |
Pacific Biosciences of California, Inc. | 328 |
PayPal Holdings, Inc. | 1,180 |
salesforce.com, inc. | 385 |
Sana Biotechnology, Inc. | 88 |
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited ADR | 1,320 |
4D Molecular Therapeutics, Inc. | 15 |
SPAC16社 | 441 |
うち、SBIA US子会社のSPAC3社(注1) | 54 |
その他 | 3,481 |
NVIDIA Corporation(注2) | 140 |
その他 | |
転換社債 | 876 |
合計 | 19,907 |
(注1)SBIA US子会社のSPAC3社への投資は、連結決算では内部取引として消去されます。
(注2)NVIDIA Corporation株式はソフトバンクグループ㈱が保有しています。
② デリバティブ
(単位:百万米ドル)
当期末公正価値 (△は負債) | 想定元本 (△は売建) | |
上場株式に係る買建コールオプション | 1,595 | 13,386 |
上場株式に係る売建コールオプション | △84 | △2,691 |
上場株式に係るトータル・リターン・スワップ取引 | 15 | 2,534 |
上場株式に係るフォワード契約 | 39 | 75 |
合計 | 1,565 | 13,304 |
当事業における主な有利子負債
借入者 | 種別 | 当期末 連結財政状態 計算書残高 |
ソフトバンクグループ㈱ | 借入金 | 1兆1,529億円 |
社債 | 4兆7,455億円 | |
リース負債 | 134億円 | |
コマーシャル・ペーパー | 2,465億円 | |
(資金調達を行う100%子会社(注1)) | ||
West Raptor Holdings, LLC West Raptor Holdings 2, LLC Skybridge LLC Skylark 2020 Holdings Limited Scout 2020 Holdings Limited Tigress 2020 Holdings Limited | アリババ株式を活用した複数の株式先渡売買契約(フロア契約およびカラー契約) | 3兆857億円 |
スカイウォークファイナンス合同会社 | アリババ株式を活用した借入れ | 8,941億円 |
ムーンライトファイナンス合同会社 | ソフトバンク㈱株式を活用した借入れ | 4,987億円 |
Delaware Project 6 L.L.C. | Tモバイル株式を活用した借入れ | 4,813億円 |
SB Northstar | 借入金 | 1兆8,665億円 |
(注1)資金調達を行う100%子会社による借入れはソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。ただし、Tモバイル株式を活用した借入れについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しています。
WeWorkへの投資 フレキシブルオフィスを展開する、当社関連会社であるWeWorkに対しては、SVF1以外の当社100%子会社(以下「WeWorkへの投資」において、WeWorkへの投資またはWeWorkとの契約の当事者である当社100%子会社を総称して「WeWork投資用100%子会社」と呼びます。)が投資を行っているほか、SVF1が同社および同社の関係会社に投資を行っています。当期末現在、これらのWeWork株式および同社の関係会社株式への投資の累計額は108.30億米ドル(2021年4月に完了した総額9.22億米ドルのWeWork株式の公開買付けを含まない)です。当期末現在、当社評価におけるWeWork株式全体の公正価値は38億米ドルです。 なお、2021年3月25日、WeWorkはSPAC(特別買収目的会社)であるBowX Acquisition Corp.(以下「BowX」)との合併を通じてNASDAQまたはニューヨーク証券取引所に上場すること(以下「本合併取引」)について、同社と最終的な契約を締結しました。本合併取引は、BowXの株主の承認やその他の一般的なクロージング要件の充足を条件に、2021年7~9月に完了する予定です。本合併取引においては、合併により誕生する新会社(以下「合併会社」)のプレマネーの企業価値は総額約90億米ドルと見積もられており、本合併取引完了時に約13億米ドルの資金を調達し(PIPE(Private investment in public equity;上場企業の私募増資)による出資コミットメント8億米ドルを含む)、成長計画に充てる予定です。本合併取引に関する詳細は、2021年3月26日付のWeWorkとBowXの共同プレスリリース「WeWork to Become Publicly Traded Via SPAC Merger with BowX Acquisition Corp.」をご参照ください。本合併取引完了後、当社の合併会社に対する経済的持分比率(完全希薄化後;SVF1の持分を含む)は約56%となる見込みです。ただし、合併会社の定款の規定により、いずれの株主総会においても行使された議決権証券の49.9%を超える議決権を行使することが制限されており、また、当社およびSVF1は合併会社の取締役会において9名のうち合計4名の取締役を指名する権利を有しています。したがって、当社は同社を支配できないため、同社は当社の子会社とはならず、関連会社となる予定です。 2019年10月22日および当期に当社とWeWorkが合意した内容(具体的にはマスター・トランザクション・アグリーメント、以下「MTA」)とその進捗は以下の通りです。 (1)既存コミットメントの行使価格の引き下げおよび早期支払い MTAに基づき、WeWork投資用100%子会社が当初2020年4月に払い込みを予定していた15億米ドル分の既存コミットメントについて、行使価格を1株当たり110.00米ドルから11.60米ドルに引き下げた上で、2019年10月30日に全額を払い込みました。この投資の前払い金のうち、2億米ドル分は2019年11月に、残りの13億米ドル分は2020年4月に、それぞれWeWork優先株式に転換済みです。 (2)公開買付け MTAに基づき、WeWork投資用100%子会社が、当社以外の一部の株主を対象として1株当たり19.19米ドルで最大30億米ドル分のWeWorkの普通株式および優先株式の公開買付け(以下「本公開買付け」)を開始することで合意しました。WeWork投資用100%子会社は2019年11月に本公開買付けを開始したものの、当該合意に基づく期限である2020年4月1日までに完了に必要な条件のうち複数が充足されなかったとして、当該時点で本公開買付けを取りやめました。これを受けて、2020年4月および5月にWeWork取締役会の特別委員会(以下「特別委員会」)による指図を受けたWeWork、およびWeWorkの創業者であり元CEOであるアダム・ニューマン氏が自らおよび同氏の関係持株会社であるWe Holdings LLCを通じて、それぞれ当社およびSVF1に対して本公開買付けの完了、またはその代替として本公開買付けの取りやめにより生じた損害の賠償を求めて、裁判所に訴訟(以下あわせて「本訴訟」)を提起しました。 本訴訟に関して、2021年2月、当社とWeWork、We Holdings LLCおよびアダム・ニューマン氏は和解契約(以下「本和解契約」)を締結しました。本和解契約に基づき、WeWork投資用100%子会社は①We Holdings LLCから2021年2月に実施した相対取引により、および②その他の一部WeWork株主から2021年3月に開始し同年4月に完了した公開買付けにより、WeWorkの普通株式および優先株式を1株当たり19.19米ドルで買い取ることに同意しました。これらの買取総額は15億米ドルに達しました。これをもって、本訴訟は終結しました。 We Holdings LLCからの普通株式の買い取りについては、取得額と取得時における公正価値との差額54,277百万円の減損損失を計上しました。その後、WeWorkとBowXが合併契約を締結したことに伴い保有する普通株式の公正価値が上昇したため、21,634百万円の減損損失戻入益を計上しました。 本和解契約に基づき2021年3月に開始した公開買付けはフォワード契約のデリバティブとして会計処理し、取得見込みの普通株式および優先株式の評価額と取得予定額との差額76,823百万円を、当期末の連結財政状態計算書上、「デリバティブ金融負債(流動)」に計上しました。また、当期において、取得見込みの普通株式の評価額と取得予定額との差額17,594百万円、取得見込みの優先株式の評価額と取得予定額との差額56,127百万円を、連結損益計算書上、「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」および「持株会社投資事業からの投資損益」にそれぞれ損失として計上しました。 (3)クレジットサポートおよび債券の買い受け MTAにおいて、当社が(a)金融機関によるWeWorkへの17.5億米ドルの支払保証枠(レターオブクレジットファシリティー)に対するクレジットサポートを行ったほか、WeWork投資用100%子会社がWeWorkの発行する(b)最大22億米ドルの無担保債券および(c)最大11億米ドルの担保付シニア債券の買い受け、またはアレンジを行うことで合意しました。 このうち、当社と金融機関は(a)に関する契約を2019年12月に締結しました。当該契約においては、当社はWeWorkと連帯して債務を負担しますが、当社が返済を行った場合にはWeWorkへ求償可能となる契約を別途締結しています。また、WeWork投資用100%子会社とWeWorkは(b)に関する契約を2019年12月に締結しました。当期末現在、当該無担保債券については18億米ドルをWeWork投資用100%子会社が買い受けています。(a)と(b)に関する契約の締結により、その対価として当社は1株当たり0.01米ドルでWeWork優先株式を取得可能なワラントを受領しています。当該ワラントについては、当期末現在、取得可能な優先株式136百万株のうち130百万株を取得済です。 (c)については、本公開買付けの完了を前提および条件としていたため、本公開買付けの取りやめに伴い、MTAに基づく係る債券の買い受けまたはアレンジを行う義務がなくなりましたが、WeWork投資用100%子会社とWeWorkは(c)に関する契約を2020年8月に締結しました。当期末現在、当該担保付シニア債券の発行実績はありません。 なお、2021年3月25日のWeWorkとBowXの本合併取引に関する合意に合わせて、当社は、WeWork投資用100%子会社が保有するWeWork優先株式をBowXとの合併時に合併会社の普通株式に転換・交換することに加え、(a)については当社がWeWorkとともに金融機関と交渉した結果として金融機関が延長に応じることを前提に、連帯債務者としてのクレジットサポートを2024年2月まで1年間延長すること、ならびに(c)については最大5.5億米ドルに修正した上で、2023年2月12日(または本合併取引完了から18カ月間のいずれか早い日)まで担保付シニア債券をWeWork投資用100%子会社が買い受けることについて、WeWorkおよびBowXと合意しました。この優先株式から普通株式への転換および(a)の連帯債務者としてのクレジットサポートを延長することの対価として、優先株式から普通株式への当該転換・交換時および(a)の変更契約締結時に、当社は1株当たり0.01米ドルで(然るべき調整がなされる場合があります)合併会社の普通株式を取得可能なワラントをそれぞれ受領する予定です。 (a)の金融機関によるWeWorkへの17.5億米ドルの支払保証枠に対するクレジットサポートは金融保証契約に該当します。また、(b)の最大22億米ドルの無担保債券の買い受けは、市場金利を下回る金利で貸付金を提供するコミットメント(ローンコミットメント)に該当します。当該金融保証契約およびローンコミットメントの予想信用損失に対する損失評価引当金を、当初認識した金融負債の額から償却累計額を控除した金額と予想信用損失の金額とのいずれか高い方で測定しています。前期末において、金融保証契約およびローンコミットメントに係る損失評価引当金を、連結財政状態計算書上、「その他の金融負債(流動)」にそれぞれ89,202百万円、145,133百万円計上しています。当期末において、金融保証契約および未使用のローンコミットメントに係る損失評価引当金を、連結財政状態計算書上、「その他の金融負債(流動)」にそれぞれ24,381百万円、10,218百万円計上しています。 (4)WeWork ChinaおよびWeWork Asia株式のWeWork優先株式への交換 MTAにおいて、SVF1が保有するWeWork Greater China Holding Company B.V(以下「WeWork China」)およびWeWork Asia Holding Company B.V(以下「WeWork Asia」)の全株式をWeWorkの優先株式に交換することで合意していました。このうち、WeWork Asia株式は1株当たり11.60米ドルで2020年4月にWeWork優先株式に交換されました。一方、WeWork China株式のWeWork優先株式への交換については取りやめられました。 |

(b)SVF1等SBIAの運営するファンド事業
1.投資利益(純額)6兆3,575億円。外部投資家持分増減額を控除したセグメント利益は4兆268億円に ◆ SVF1 -投資の売却による実現益(純額)4,242億円 Guardant Health(一部)、OSIsoft、Uber(一部)などの投資を売却 -当期末に保有する投資の未実現評価益(純額)5兆5,231億円 ・上場投資先に係る評価益4兆2,851億円 すべての上場投資先で株価が好調に推移。Coupangで2兆5,978億円、DoorDashで6,611億円の評価益を計上 ・未上場投資先に係る評価益(純額)1兆2,380億円 ◆ SVF2 -未実現評価益(純額)4,903億円 ・好調な株価を反映し、KE Holdingsをはじめとする上場投資先で合計4,941億円の評価益を計上 2.投資の状況 ◆ SVF1 -エグジット前の投資:当期末現在、81銘柄を保有(うち、上場投資先11社)。投資額合計749億米ドルに対し、保有投資先公正価値合計1,207億米ドル -累計実現益72億米ドル、累計デリバティブ関連利益15億米ドルおよび累計受取配当金5億米ドルを含めた、活動開始来の累計投資利益(グロス)は550億米ドルに(注1) ◆ SVF2 -当期末現在、44銘柄を保有(うち、上場投資先3社)。投資額合計67億米ドルに対し、保有投資先公正価値合計112億米ドル ◆ その他 -当第4四半期にSBIA US子会社のSPAC3社が上場 |
(注1)累計投資利益(グロス)は外部投資家持分および税金等の控除前の金額です。
<事業概要>当事業の業績には、主に、金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた当社の英国100%子会社SBIAが運営するソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)とソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)の投資および事業活動の結果が含まれています。
SVF1は、「ユニコーン(投資時において企業価値が10億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AIを活用した成長可能性の大きな企業への投資を保有しており、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。同ファンドの投資期間は2019年9月12日に終了しましたが、合弁会社への投資を含む既存投資先への追加投資や固定分配、ファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。2回の1年延長オプションをSBIAが行使した場合を除き、SVF1の存続期間は原則として2029年11月20日までです。
SVF2は、テクノロジーを活用して各市場をリードする成長企業への投資を通じて、AI革命を持続的に加速することを目的に、2019年10月にソフトバンクグループ㈱から出資コミットメントを取得して設立されました。当期末現在、SVF2はソフトバンクグループ㈱のみがリミテッド・パートナーとして参画し、200億米ドルの出資をコミットしています(なお当該コミットメントは2021年6月23日現在400億米ドルに増額されています。)。
また、当期において、当社の上場および非上場企業への投資を補完し、私募ファンドとして定められた投資範疇を超えたより広範な投資機会の追求を実現するため、SBIA USはSPACを用いた投資を開始しました。当第4四半期、SBIA US子会社のSPACであるSVF Investment Corp.が2021年1月に、SVF Investment Corp. 2とSVF Investment Corp. 3が2021年3月にNASDAQに新規上場(株式公開)し、これにより合計11.5億米ドルの資金を調達しました。各SPACは、上場時点では特定されていない1社以上の事業者との合併、株式交換、資産取得、株式取得、組織再編、またはこれらに類する企業結合を目的として設立された投資ビークルであり、それぞれの新規株式公開による払込資金の決済日から2年以内にこれらの企業結合を行うことを目指しています。当社の国際的な存在感と各地域に根差したネットワークから生じる多くの魅力的な投資機会へのアクセスを生かし、テクノロジーの駆使により成長が見込まれる分野において投資先となる企業を特定し、買収および運営することを図っています。なお、企業結合後、結合会社はSBIA USの子会社ではなくなる見込みです。
SPACに関する詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。
当事業における主なファンドの概要
2021年3月31日現在
ソフトバンク・ビジョン・ファンド1 | ソフトバンク・ビジョン・ファンド2 | |
主なリミテッド・パートナーシップ | SoftBank Vision Fund L.P. | SoftBank Vision Fund II-2 L.P. |
出資コミットメント総額 | 986億米ドル | 200億米ドル |
当社:331億米ドル(注1) 外部投資家:655億米ドル | 当社:200億米ドル(注2) | |
ジェネラル・パートナー | SVF GP (Jersey) Limited (当社海外100%子会社) | SVF II GP (Jersey) Limited (当社海外100%子会社) |
投資期間 | 2019年9月12日に終了 | 今後外部投資家の参画により変動する可能性があるため開示を控えています。 |
存続期間 | 2029年11月20日まで(原則) |
(注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の25億米ドルを含みます。
(注2)2021年6月23日現在、SVF2への当社の出資コミットメントは、400億米ドルに増額されています。
SVF1の資金の状況
2021年3月31日現在
(単位:億米ドル)
合計 | 当社 | 外部投資家 | ||
出資コミットメント(A) | 986 | 331 | 655 | |
払込資金6(B) | 854 | 293 | 561 | |
払込資金返還額(再コール不可)(C) | 138 | 8 | 130 | |
払込資金残高(D)=(B)-(C) | 716 | 285 | 431 | |
コミットメント残額(E)=(A)-(B) | 132 | 38 | 94 |
(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の25億米ドルを含みます。
当期末現在、ソフトバンクグループ㈱はSVF2に対する出資コミットメントのうち、68億米ドルを履行済みです。
<業績全般>(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間 | |||||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | ||||
SVF1およびSVF2等からの投資損益 | △1,844,867 | 6,357,462 | 8,202,329 | - | A | ||
投資の売却による実現損益 | 58,340 | 419,640 | 361,300 | 619.3% | |||
投資の未実現評価損益 | △1,917,694 | 5,897,059 | 7,814,753 | - | |||
当期計上額 | △1,877,682 | 6,013,404 | 7,891,086 | - | |||
過年度計上額のうち実現損益への振替額 (注1) | △40,012 | △116,345 | △76,333 | - | |||
投資先からの受取配当金 | 12,848 | 29,849 | 17,001 | 132.3% | |||
投資に係るデリバティブ関連損益 | 145 | 1,091 | 946 | 652.4% | |||
為替換算影響額 | 1,494 | 9,823 | 8,329 | 557.5% | |||
販売費及び一般管理費 | △86,484 | △74,194 | 12,290 | △14.2% | |||
財務費用 | △23,547 | △10,419 | 13,128 | △55.8% | B | ||
SVF1における外部投資家持分の増減額 | 540,930 | △2,246,417 | △2,787,347 | - | C | ||
その他の損益 | 1,394 | 391 | △1,003 | △72.0% | |||
セグメント利益(税引前利益) | △1,412,574 | 4,026,823 | 5,439,397 | - |
(注1)当期に売却した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の売却による実現損益」に振り替えています。
6 | SVF1における払込資金は、払込後に投資計画の変更等によりリミテッド・パートナーへ返還された金額を差し引いています。 |
当期において、SVF1は、既存投資先およびその合弁会社へ合計47億米ドルの追加投資7を行った一方、投資先8銘柄7の全株式および5銘柄の一部株式を、合計48億米ドルの当初取得額に対し合計88億米ドル8で売却しました。またSVF2は、合計47億米ドルの新規および追加の投資を行いました。
セグメント利益
A SVF1およびSVF2等からの投資利益:6,357,462百万円
・SVF1
-投資先8銘柄7の全株式および5銘柄の一部株式を売却したことにより、投資の売却による実現益424,215百万円を計上しました。
-当期末に保有する投資について未実現評価益5,523,149百万円(52,186百万米ドル、純額)を計上しました(内訳は以下「SVF1の投資の状況」をご参照ください)。このうち、上場投資先について、当期に上場したCoupangおよびDoorDash、ならびにUberなどの投資先の株価の好調な推移により、合計40,507百万米ドルの未実現評価益を計上しました。また、非上場株式について、上場が決定した投資先や資金調達ラウンドがあった投資先の公正価値が上昇したことなどにより、合計11,679百万米ドルの未実現評価益を計上しました。
・SVF2
-未実現評価益490,255百万円(4,633百万米ドル、純額)を計上しました。これは主に、当期に上場したKE Holdingsなどの株価の好調な推移を反映し上場株式について合計4,671百万米ドルの未実現評価益を計上したことによるものです。その他の内訳は以下「SVF2の投資の状況」をご参照ください。
B 財務費用:10,419百万円(前期比13,128百万円減少)
主に、SVF1が投資の資本効率向上などのために設定した借入枠を利用した借入れ(以下「ファンド・レベル・ファシリティー」)および保有株式の一部の資金化を目的とした借入れ(以下「ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティー」)について、返済に伴う借入残高の減少により支払利息が減少しました。
C SVF1における外部投資家持分の増減額:△2,246,417百万円
SVF1からの投資損益からSBIAに支払われる管理報酬および成功報酬、SVF1の営業費用ならびにその他の費用を控除した金額を、持分に応じて外部投資家に分配した成果分配額および固定分配額の合計です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記9.SVF1等SBIAの運営するファンド事業(2)SVF1における外部投資家持分」をご参照ください。
なお、当期末現在、SVF2はソフトバンクグループ㈱のみが出資しているため、外部投資家持分はありません。
7 | 株式の交換を含みます。当期において、既存投資先3社の株式をその関係会社株式に交換しました。当該株式の交換は、投資のエグジット(売却)および新規投資の取得として取り扱い、売却額および交換先の株式取得額をそれぞれグロスで算入するとともに、当初保有株式の取得額と売却額(交換先の株式の取得額)との差額を投資の実現損益として計上しています。 |
8 | 売却手数料等の控除後 |
SVF1の投資の状況
2021年3月31日現在
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
累計投資銘柄数 | 累計投資額 A1+B1+C1 | 累計リターン A2+B2 +C2+D2 | 累計損益(注1) A3+B3 +C3+D3 | |||
92 | 85.7 | 140.7 | 55.0 |
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
セクター | 銘柄数 | 投資額 A1 | 公正価値 A2 | 累計 未実現 評価損益 (注2)A3 | 未実現 評価損益 当期計上額 | ||
a | コンシューマー | 12 | 10.6 | 42.6 | 32.0 | 30.6 | |
b | エドテック | 1 | 0.7 | 1.1 | 0.4 | 0.4 | |
c | エンタープライズ | 7 | 1.6 | 1.9 | 0.3 | 0.0 | |
d | フィンテック | 11 | 4.4 | 2.7 | △1.7 | △1.9 | |
e | フロンティアテック | 9 | 11.0 | 11.7 | 0.7 | 1.1 | |
f | ヘルステック | 8 | 2.0 | 4.8 | 2.8 | 1.9 | |
g | ロジスティクス | 14 | 8.5 | 18.0 | 9.5 | 9.0 | |
h | プロップテック | 9 | 10.1 | 6.2 | △3.9 | 1.1 | |
i | トランスポーテーション | 10 | 26.0 | 31.7 | 5.7 | 10.0 | |
合計 | 81 | 74.9 | 120.7 | 45.8 | 52.2 |
(別掲)
上場株式(注3) | 11 | 13.0 | 54.0 | 41.0 | 40.5 | ||
a | Coupang | 2.7 | 28.0 | 25.3 | 24.5 | ||
d | OneConnect | 0.1 | 0.1 | △0.0 | 0.0 | ||
d | ZhongAn Insurance | 0.2 | 0.2 | △0.0 | 0.1 | ||
f | Guardant Health | 0.1 | 0.9 | 0.8 | 0.5 | ||
f | Relay Therapeutics | 0.3 | 1.0 | 0.7 | 0.7 | ||
f | Vir Biotechnology | 0.2 | 1.2 | 1.0 | 0.4 | ||
g | DoorDash | 0.7 | 8.3 | 7.6 | 6.3 | ||
h | Opendoor | 0.4 | 1.5 | 1.1 | 1.2 | ||
h | View | 1.2 | 0.5 | △0.7 | 0.1 | ||
i | AUTO1 | 0.7 | 2.3 | 1.6 | 1.8 | ||
i | Uber | 6.4 | 10.0 | 3.6 | 4.9 | ||
非上場株式 | 70 | 61.9 | 66.7 | 4.8 | 11.7 | ||
合計 | 81 | 74.9 | 120.7 | 45.8 | 52.2 |
②エグジットした投資
銘柄数 | 投資額 B1 | 売却額 B2 | 累計 実現損益 (注1)B3 | 実現損益 当期計上額 | ||
一部エグジット | - | 2.4 | 4.7 | 2.3 | 2.0 | |
全部エグジット7 | 11 | 8.4 | 13.3 | 4.9 | 2.0 | |
合計 | 11 | 10.8 | 18.0 | 7.2 | 4.0 |
③投資に係るデリバティブ関連損益
デリバティブ 原価 C1 | 決済額 C2 | 累計 デリバティブ関連損益 C3 | デリバティブ 関連損益 当期計上額 | |||
合計(既決済) | 0.0 | 1.5 | 1.5 | 0.0 |
④投資先からの受取配当金
受取配当金 D2 | 累計損益 D3 | 受取配当金 当期計上額 | ||||
合計 | 0.5 | 0.5 | 0.3 |
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
(注3)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
SVF2の投資の状況
2021年3月31日現在
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②)
累計投資銘柄数 | 累計投資額 A1+B1 | 累計リターン A2+B2 | 累計損益(注1) A3+B3 | |||
44 | 6.7 | 11.2 | 4.5 |
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
会社名 | 銘柄数 | 投資額 (注2)A1 | 公正価値 (注2)A2 | 累計 未実現 評価損益 A3 | 未実現 評価損益 当期計上額 | ||
上場株式 | 3 | 1.6 | 6.2 | 4.6 | 4.7 | ||
KE Holdings | 1.4 | 6.0 | 4.6 | 4.6 | |||
Seer | 0.2 | 0.2 | 0.0 | 0.1 | |||
Qualtrics | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | |||
非上場株式 | 41 | 5.1 | 5.0 | △0.1 | △0.1 | ||
合計 | 44 | 6.7 | 11.2 | 4.5 | 4.6 |
②エグジットした投資
銘柄数 | 投資額 B1 | 売却額 B2 | 累計 実現損益 (注1)B3 | 実現損益 当期計上額 | ||
一部エグジット | - | 0.0 | 0.0 | △0.0 | △0.0 | |
合計 | - | 0.0 | 0.0 | △0.0 | △0.0 |
(注1)税金等の控除前
(注2)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。
投資先の上場実績および公表済の上場予定
2021年3月31日現在;投資時に上場済みのものを除く
ファンド | 会社名 | 上場日 | 上場方式 |
SVF1 | エグジット前の投資 | ||
ZhongAn Insurance | 2017年9月28日 | IPO | |
Guardant Health | 2018年10月4日 | IPO | |
Uber | 2019年5月10日 | IPO | |
Vir Biotechnology | 2019年10月11日 | IPO | |
OneConnect | 2019年12月13日 | IPO | |
Relay Therapeutics | 2020年7月16日 | IPO | |
DoorDash | 2020年12月9日 | IPO | |
Opendoor | 2020年12月21日 | SPACとの合併 | |
AUTO1 | 2021年2月4日 | IPO | |
View | 2021年3月9日 | SPACとの合併 | |
Coupang | 2021年3月11日 | IPO | |
Compass | 2021年4月1日 | IPO | |
WeWork | 2021年7~9月(予定) | SPACとの合併9、10 | |
エグジット済みの投資 | |||
Ping An Good Doctor | 2018年5月4日 | IPO | |
Slack | 2019年6月20日 | ダイレクトリスティング | |
10x Genomics | 2019年9月12日 | IPO | |
SVF2 | エグジット前の投資 | ||
KE Holdings | 2020年8月13日 | IPO | |
Seer | 2020年12月4日 | IPO | |
Qualtrics | 2021年1月28日 | IPO | |
Berkshire Grey | 2021年4~6月(予定) | SPACとの合併10、11 | |
eToro | 2021年7~9月(予定) | SPACとの合併10、12 |
9 | 2021年3月26日(米国時間)にWeWorkとSPACであるBowXとの合併が発表されました。詳細は「(a)持株会社投資事業 WeWorkへの投資」をご参照ください。 |
10 | これらの合併は、それぞれのSPACの株主の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を条件とします。2021年5月12日現在、これらの合併は未了です。 |
11 | 2021年2月24日(米国時間)にBerkshire Grey, IncとSPACであるRevolution Acceleration Acquisition Corpとの合併が発表されました。 |
12 | 2021年3月16日(米国時間)にeToro Group Ltd.とSPACであるFinTech Acquisition Corp. Vとの合併が発表されました。 |
(c)ソフトバンク事業
1.セグメント利益が前期比4.0%増加:Zホールディングス㈱と法人向け事業が好調に推移 2.2021年3月1日付でZホールディングス㈱とLINE㈱が経営統合 |
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 4,862,484 | 5,204,350 | 341,866 | 7.0% |
セグメント利益(税引前利益) | 815,617 | 847,933 | 32,316 | 4.0% |
減価償却費及び償却費 | △701,984 | △729,914 | △27,930 | 4.0% |
投資損益 | 9,720 | 1,433 | △8,287 | △85.3% |
財務費用 | △60,155 | △64,322 | △4,167 | 6.9% |
持分法による投資損益(注1) | △41,839 | △45,048 | △3,209 | - |
デリバティブ関連損益 (投資損益を除く) | △20 | 410 | 430 | - |
(注1)主にPayPay㈱に係る持分法投資損失です。ソフトバンク㈱においては、PayPay㈱は持分法適用会社に分類されていますが、ソフトバンクグループ㈱においては、PayPay㈱は2018年6月の設立から一貫して子会社として連結されており、その業績は「その他」に含まれています。このため、ソフトバンク事業で認識したPayPay㈱に係る持分法投資損失はセグメント情報の「調整額」で消去されています。
<業績全般>セグメント利益は、Zホールディングス㈱や法人向け事業が好調に推移したことなどにより、前期比32,316百万円(4.0%)増加の847,933百万円となりました。一方、WeWork Japan合同会社における持分法投資の減損損失の計上や、投資損益の悪化などのマイナス影響がありました。
Zホールディングス㈱は主に2019年11月の㈱ZOZO子会社化および既存イーコマース事業の増収の影響で増益となりました。また、法人向け事業は、モバイル売上の増加に加えて、新型コロナウイルス感染拡大を受けてテレワーク関連商材の需要が伸びたことでクラウドサービスやセキュリティソリューションの売上が増加し、増益となりました。なおコンシューマ向け事業は、主に販売手数料が減少したことや、「半額サポート」13に係る契約負債の取り崩しを売上に計上したことがそれぞれ利益に貢献した結果、増益となりました。
Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合が完了
2021年3月1日にZホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合が完了しました。ソフトバンク㈱はこの統合を、「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出しながら企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。統合後のZホールディングス㈱は、データやAIを活用し、満たされていないお客さまのニーズを把握しながら社会課題の解決に挑みます。
13 | 対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラム |
(d)アーム事業
1.将来のプロセッサー・ファミリーの基盤となる新テクノロジーを発表 ◆ 当第4四半期に、今後リリースするプロセッサー・ファミリーの基盤となる「Armv9」アーキテクチャーを発表。スマートフォンやコンシューマー・エレクトロニクス、エンタープライズ向け製品に対して、より高い性能と強固なセキュリティやプライバシー、機密性を提供。前世代からの大幅な進化が価格引き上げの機会をもたらし、短期的にはライセンス収入、「Armv9」ベース製品の出荷開始後にはロイヤルティー収入のけん引を期待 2.テクノロジー・ポートフォリオの広がりが業績に貢献 ◆ 売上高が前期比6.5%増 -ロイヤルティー収入が前期比16.7%増(米ドルベース):主に5G用スマートフォンやネットワーク機器向けチップの出荷の大幅増加が貢献、サーバー向けチップの出荷増も寄与 -ロイヤルティー以外の収入が前期比1.7%減(米ドルベース):期初、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う先行き不透明感によりライセンス契約が一時的に低迷するも、買収以降に拡充したアームのテクノロジー・ポートフォリオに対する需要が堅調に推移 ◆ セグメント損失が前期から拡大:アーム全株式のNVIDIAへの売却契約締結に伴い株式報酬費用が増加 |
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 197,066 | 209,848 | 12,782 | 6.5% |
セグメント利益(税引前利益) | △11,105 | △33,873 | △22,768 | - |
(注1)当第4四半期に、アーム全株式のNVIDIAへの売却契約の対象外であるISG(Internet-of-Things Services Group;IoTに関連するサービスグループ)事業は、それ以外のアーム事業とは別に管理することが決定されました。これに伴い、当期のアーム事業はISG事業を除くアームの業績を表示し、前期の業績についても同様に遡及修正を行っています。
(注2)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は48,108百万円、前期は50,544百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。現在アームは既存市場でのシェアの維持・獲得および新規市場でのシェア獲得に向けて新技術の開発を目指しており、技術関連人員の増強により研究開発投資を加速することで、技術力の強化を図っています。
市場の動向とその影響
アームの業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあります。半導体市場は現在、貿易摩擦や特定企業への制裁などの外部要因に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の変動による影響にさらされています。今後、これらの影響により、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷数が弱含んだ場合にはロイヤルティー収入の押し下げ要因となる可能性があるほか、収入減に直面したライセンシーが新規ライセンス契約の締結を延期する動向が生じた場合にはライセンス収入も押し下げられる可能性があります。しかしながら、このような事象がいつ発生し、半導体業界全体やアームにどのような影響を及ぼすかを見通すことは困難です。
足元でこうしたリスクは残るものの、市場環境が上向くにつれ、アームは成長を続けていくものと見込んでいます。さらに今後テクノロジーの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は長期的に拡大していくと期待しています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
(単位:百万米ドル)
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
テクノロジー・ロイヤルティー収入 | 1,095 | 1,278 | 183 | 16.7% |
テクノロジー・ロイヤルティー以外の収入 | 714 | 702 | △12 | △1.7% |
売上高合計 | 1,809 | 1,980 | 171 | 9.5% |
当期の売上高は、テクノロジー・ロイヤルティー収入の増加により、前期から171百万米ドル(9.5%)増加しました。
テクノロジー・ロイヤルティー収入
テクノロジー・ロイヤルティー収入は前期から183百万米ドル(16.7%)増加しました。ライセンシーによる5Gスマートフォンの出荷と5G基地局へのネットワーク機器の導入が大幅に増加したことに加えて、サーバー向けチップの出荷増加も増収に寄与しました。
テクノロジー・ロイヤルティー以外の収入
テクノロジー・ロイヤルティー以外の収入(ライセンス収入およびソフトウエア・サービス収入)は前期から12百万米ドル(1.7%)減少しました。主に、当第1四半期において新型コロナウイルス感染症の影響による先行きの不透明感があった中、顧客によるライセンス契約が低迷したことによるものです。一方、半導体販売の堅調な推移が明らかになるにつれ、当第2四半期以降はアームのテクノロジーに対する需要が回復し、当該収入は前年同期を上回り続けています。当社による買収以降アームが研究開発投資を強化してきた結果、アームは、サーバーや車載エレクトロニクス、AIアクセラレーションなどに最適化されたプロセッサーをも含む、幅広いテクノロジー・ポートフォリオを持つに至りました。これにより、より多様な顧客がアームのテクノロジー・ライセンス契約を締結し、既存の顧客はより多くのアームのテクノロジーを選択することが可能となり、ライセンス収入をけん引しています。これらのライセンスには、サーバーチップ用やスマートフォン、ネットワーク機器、産業用ロボットや自動運転車などの自律型操作システム用途のプロセッサーに関するものが含まれています。
セグメント利益
セグメント利益は、前期から22,768百万円悪化し、33,873百万円の損失となりました。アーム全株式のNVIDIAへの売却契約の締結に伴いアームの従業員に付与済みの株式報酬の公正価値が上昇したことおよび権利確定日の前倒しを見込んだことによる費用(一時的な費用を含む)を計上したことなどによるものです。
なお、アームは研究開発体制の強化に引き続き取り組み、技術関連人員を中心に従業員の採用を進めており、アームの当期末の従業員数は前期末から7.9%増加しました。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット14
(単位:億個)
12月31日に終了した1年間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
ロイヤルティー・ユニット出荷数 (ライセンシーからの報告に基づく実績ベース) | 222 | 250 | 28 | 12.7% |
2020年1~12月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は250億個となり、過去最高の年間出荷数となりました。アームが関連する半導体市場のチップ出荷数が前年同期から6.7%15増加する中、アームのロイヤルティー・ユニットの出荷数は12.7%増加しました。
14 | ロイヤルティー・ユニット(アームのテクノロジーを含んだチップ)の出荷実績は、出荷の発生から1四半期遅れでライセンシーから報告を受けるため、本項におけるロイヤルティー・ユニットは、2020年1~12月期までの出荷実績を掲載しています。一方、ロイヤルティー収入は、出荷が発生する四半期に見積りに基づいて計上しています。 |
15 | World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)、2021年4月時点。プロセッサー技術を含まないメモリーおよびアナログチップを除く。同データはWSTS Inc.のヒアリングに協力をした半導体企業からの情報を元に作成されています。 |
<技術開発>アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業におけるテクノロジーの開発に取り組んでいます。
重点投資分野と主な進捗
モバイルコンピューティング | ||||
オポチュニティー | : | モバイル端末用メインチップの市場シェアは既に95%超ロイヤルティー単価が長年にわたり上昇傾向 | ||
当第1四半期 | : | ハイエンドスマートフォン向けに、プロセッサー、機械学習アクセレレーター、グラフィックプロセッサーを含む新テクノロジーシリーズを発表 | ||
当第2四半期 | : | 2022年に顧客へ納入予定の2つの新プロセッサーを発表。AIアルゴリズムや拡張現実への最適化やセキリュティー機能の強化により、パフォーマンスの向上を実現 | ||
当第3四半期 | : | ・Qualcomm Technologies, Inc.が、アームの「Cortex-X1」プロセッサーをベースにした次世代5Gスマートフォン向けSnapdragon 888チップを発表 ・MediaTek Inc.が、アームの「Cortex-A78」プロセッサーと「Mali G57」グラフィックプロセッサーをベースに、Chromebookなどの次世代モデル向けに設計されたMT8195チップセットを発表 | ||
当第4四半期 | : | ・将来のプロセッサー用の最新アーキテクチャー「Armv9」を発表。 ・MediaTek Inc.が、「Armv9」の採用と、同テクノロジーを初搭載したチップが2021年後半に発売され、2022年に出荷されるスマートフォンから搭載可能であることを発表 | ||
インフラ | ||||
オポチュニティー | : | ネットワーク・インフラの市場シェアが拡大、データセンター用サーバーの市場シェアも確立中 | ||
当第1四半期 | : | ・アームのサーバー向けテクノロジーを搭載した理化学研究所と富士通㈱共同開発のスーパーコンピューター「富岳」が、スーパーコンピューターの計算速度を競うランキング「TOP500」で世界第1位を獲得 ・Amazon Web Services Inc.が、アームのテクノロジーを搭載した同社Graviton2で、コンピューティングおよびメモリー集約型アプリケーションに最適化した2つの新サービスを提供開始 | ||
当第2四半期 | : | 2つの新プロセッサーを発表。高性能コンピューティングをターゲットとした「Neoverse V1」と、電力効率に優れたデータセンターやエッジ・コンピューティング向けの「Neoverse V2」 | ||
当第3四半期 | : | Amazon Web Services Inc.が、同社Graviton2を基に、アームのテクノロジーを使用しない前世代から価格性能比で最大40%向上した、ネットワーキングアプリケーションに最適化した新サービスを提供開始 | ||
当第4四半期 | : | NVIDIAが、同社のGPUテクノロジーとアームのCPUテクノロジーを組み合わせた新チップGraceと、スイス国立スーパーコンピューティングセンターによる同新チップを活用したスーパーコンピューター構築を発表 |
自動車 | ||||
オポチュニティー | : | 自動車のスマート化に伴い高度処理能力の需要が上昇する中、アームのテクノロジーは省電力性で好位置に付け、多くの自動車向けチップ開発企業とライセンス契約を締結済み | ||
当第1四半期 | : | インフォテインメントやダッシュボードなどの車載アプリケーション間でグラフィックプロセッサーが共有できるソフトウエアの新規開発を発表。AUDI AGやSamsung Electronics Co., Ltd.などが2022年発売予定の自動車にアームのグラフィックスIPを導入予定 | ||
当第2四半期 | : | 3つの新プロセッサーを発表。産業用ロボットや自動運転車などの自律型操作システムの安全性・信頼性向上に向けて開発された「Cortex-A78AE」、「Mali-G78AE」、「Mali-C71AE」 | ||
当第3四半期 | : | 自動車向けテクノロジーの大手プロバイダーTelechips Inc.が、同社の次世代車載向けチップへの「Mali-G78AE」グラフィックプロセッサー、「Cortex-A76」プロセッサー、「Ethos-N78」AIプロセッサーなどのアームのテクノロジーの採用を発表 | ||
IoT | ||||
オポチュニティー | : | IoTの真価発揮に不可欠な安全性や堅牢性を追求し、IoT機器ネットワーク内での安全なデータ管理用テクノロジーを開発 | ||
当第2四半期 | : | IoT端末とネットワークをつなぐIoTゲートウェイやエッジサーバーを実現する新市場分野であるコンピュテーショナル・ストレージ16専用に設計された「Cortex-R82」プロセッサーの導入を発表 | ||
当第3四半期 | : | NXP Semiconductors N.V.が、同社の産業用およびIoTエッジ向けの製品群i.MXをアームの「Ethos」AIプロセッサーを実装して拡充することを発表 | ||
当第4四半期 | : | STMicroelectronics N.V.とSilicon Laboratories Inc.が、IoTネットワークのサイバー攻撃に対する堅牢性を高める、アームのテクノロジーを搭載したIoT機器向け高セキュリティチップを発表 |
16 | 演算機能を搭載したデータ記憶装置 |
(e)その他
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間 | ||||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |||
売上高 | 205,772 | 238,591 | 32,819 | 15.9% | ||
セグメント利益(税引前利益) | △299,703 | 92,625 | 392,328 | - | ||
減価償却費及び償却費 | △46,587 | △42,954 | 3,633 | △7.8% | ||
投資損益 | △59,626 | 289,241 | 348,867 | - | ||
財務費用 | △17,018 | △16,621 | 397 | △2.3% | ||
持分法による投資損益 | △30,169 | 21,578 | 51,747 | - | ||
デリバティブ関連損益 (投資損益を除く) | 2,594 | △3,972 | △6,566 | - |
(注)当期より、アームのISG事業の業績を含めて表示しています。また、前期についても同様に遡及修正して表示しています。
その他のセグメント利益は92,625百万円となりました。ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドおよびFortress Investment Group LLC(以下「フォートレス」)の税引前利益がそれぞれ188,883百万円、57,107百万円となった一方、PayPay㈱の税引前損失が72,650百万円となりました。
これらの業績および事業の概況は以下の通りです。
・ラテンアメリカにおけるファンド事業
ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの投資先の公正価値が前期末から上昇したことにより投資利益が196,556百万円となり、188,883百万円の税引前利益を計上しました。当期末における同ファンドの保有投資銘柄数は37銘柄、累計投資額は2,605百万米ドル、公正価値は合計4,013百万米ドルとなりました。なお、当第4四半期に、ラテンアメリカにおけるファンド事業子会社がスポンサーとして設立したSPAC1社がNASDAQに新規上場しました。
・フォートレス
同社が保有する投資の公正価値が上昇したことにより投資利益が88,411百万円となり、57,107百万円の税引前利益を計上しました。当期において、同社の子会社である5社のSPACが新規上場し、そのうち1社は事業会社と合併し連結対象から除外されました。また、1社は事業会社との合併計画を発表しました。SPACに関する詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。
・PayPay㈱
日本でスマートフォン決済サービスを手掛ける同社は、ユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンやサービス利用可能店舗の拡大に引き続き取り組んだことなどにより72,650百万円の税引前損失を計上しました。なお、同社の決済サービスは、当期の決済回数が20.39億回(前期比2.5倍)に達するなど、順調に拡大を続けています。
「その他」に含まれるPayPay㈱の業績
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 9,159 | 29,986 | 20,827 | 227.4% |
税引前損失 | △82,217 | △72,650 | 9,567 | - |
(2)財政状態
1.4.5兆円プログラムと主な影響 ◆ 資産売却および資金化 ①Tモバイル株式の一部売却および資金化(注1) -売却後に引き続き保有する同社株式1兆4,744億円(当期末時点)を投資有価証券に計上 -同社株式を担保に43.8億米ドルの借入れ(マージン・ローン)を実施。 うち、23億米ドルを4.5兆円プログラムによる手取金に算入 ②アリババ株式を活用した複数の先渡売買契約の締結 -2020年4月から8月にかけて同社株式を利用した複数の先渡売買契約を締結後、2020年10月および11月に先渡売買契約の契約変更を実施。前期契約分と合わせ株式先渡契約金融負債を合計3兆857億円(当期末時点)計上 ③ソフトバンク㈱株式の一部売却 -支配継続子会社に対する持分変動9,324億円(資本剰余金の増加) ◆ 負債の削減 ソフトバンクグループ㈱がシニアローン3,000億円の期限前返済およびコミットメントラインによる借入金3,100億円を返済したほか、国内無担保社債1,676億円(額面総額)および外貨建て社債9.8億米ドルおよび9.0億ユーロ(額面総額、合計2,249億円)を買入れ ◆ 自己株式の取得 当期に自己株式を合計2兆2,262億円取得(うち、4.5兆円プログラムに基づく取得額1兆7,422億円) 2. 資産運用子会社に係る主な投資および資金調達の状況(注2) -上場株式投資:資産運用子会社からの投資 6,582億円 資産運用子会社における担保差入有価証券 1兆4,273億円 -デリバティブ投資:資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産 1,881億円 資産運用子会社におけるデリバティブ金融負債 147億円 -資金調達:アリババ株式を担保に60.0億米ドルを借入れ(マージン・ローン) 3. FVTPLで会計処理されているSVF1およびSVF2からの投資の帳簿価額は13兆6,468億円(前期末比6兆7,545億円増加)(注3) 投資先の公正価値上昇などにより、SVF1からの投資の帳簿価額は前期末比5兆7,216億円、SVF2からの投資の帳簿価額は前期末比1兆329億円、それぞれ大幅に増加 4. Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合 支配獲得日においてLINE㈱17に係るのれん6,171億円および識別可能な無形資産(顧客基盤と商標権)合計4,070億円を計上 |
(注1)スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併およびTモバイル株式の一部売却取引の詳細については、「(1)経営成績 <4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等」をご参照ください。
(注2)詳細は「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
(注3)アームは当社の子会社であるため、同社への投資はSVF1からの投資に含まれません。
17 | 子会社を含みます。 |
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2021年 3月31日 | 増減 | 増減率 | |
資産合計 | 37,257,292 | 45,750,453 | 8,493,161 | 22.8% |
負債合計 | 29,884,375 | 33,794,860 | 3,910,485 | 13.1% |
資本合計 | 7,372,917 | 11,955,593 | 4,582,676 | 62.2% |
(a)資産
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2021年 3月31日 | 増減 | |||
現金及び現金同等物 | 3,369,015 | 4,662,725 | 1,293,710 | A | |
営業債権及びその他の債権 | 2,072,326 | 2,216,434 | 144,108 | B | |
資産運用子会社からの投資 | - | 658,227 | 658,227 | C | |
資産運用子会社における担保差入有価証券 | - | 1,427,286 | 1,427,286 | D | |
資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産 | - | 188,056 | 188,056 | E | |
その他の金融資産 | 313,487 | 1,055,222 | 741,735 | F | |
棚卸資産 | 185,097 | 126,830 | △58,267 | ||
その他の流動資産 | 460,970 | 446,739 | △14,231 | ||
売却目的保有に分類された資産 | 9,236,048 | 38,647 | △9,197,401 | G | |
流動資産合計 | 15,636,943 | 10,820,166 | △4,816,777 | ||
有形固定資産 | 1,264,516 | 1,668,578 | 404,062 | H | |
使用権資産 | 1,293,692 | 1,147,020 | △146,672 | ||
のれん | 3,998,167 | 4,684,419 | 686,252 | I | |
無形資産 | 1,985,972 | 2,308,370 | 322,398 | J | |
契約獲得コスト | 212,036 | 246,996 | 34,960 | ||
持分法で会計処理されている投資 | 3,240,361 | 4,349,971 | 1,109,610 | K | |
FVTPLで会計処理されているSVF1およびSVF2からの投資 | 6,892,232 | 13,646,774 | 6,754,542 | L | |
SVF1 | 6,681,671 | 12,403,286 | 5,721,615 | ||
SVF2 | 210,561 | 1,243,488 | 1,032,927 | ||
投資有価証券 | 1,211,511 | 3,706,784 | 2,495,273 | M | |
デリバティブ金融資産 | 59,278 | 908,660 | 849,382 | N | |
その他の金融資産 | 1,100,694 | 1,919,262 | 818,568 | O | |
繰延税金資産 | 221,371 | 206,069 | △15,302 | ||
その他の非流動資産 | 140,519 | 137,384 | △3,135 | ||
非流動資産合計 | 21,620,349 | 34,930,287 | 13,309,938 | ||
資産合計 | 37,257,292 | 45,750,453 | 8,493,161 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
流動資産 | |
A 現金及び現金同等物 | 主に4.5兆円プログラムに基づく資産売却および資金化により増加しました。詳細については、下記「(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物」および「(3)キャッシュ・フロー」をご参照ください。 |
B 営業債権及びその他の債権 | ・㈱ジャパンネット銀行(現PayPay銀行㈱)の債権(銀行業のコール・ローンや貸出金)およびワイジェイカード㈱の営業債権が増加しました。 ・前期末にブライトスターの営業債権143,000百万円が計上されていましたが、当期に同社は子会社から除外されました。 |
C 資産運用子会社からの投資 | SB Northstarが当期末に保有する上場株式の公正価値を計上しました。 |
D 資産運用子会社における担保差入有価証券 | SB Northstarの当期末における担保差入有価証券を別掲して表示しています。 |
E 資産運用子会社における デリバティブ金融資産 | SB Northstarが当期末に保有する上場株式に係る買建コールオプションなどの公正価値を計上しました。 |
F その他の金融資産 | ・アリババ株式を活用した先渡契約のうちカラー契約の一部を2021年4月に早期解約するにあたり、当期末において当該契約に係る当該解約手続きに必要な資金361,355百万円を拘束性預金として計上しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債」をご参照ください。また、契約期限が1年以内となった契約に係るデリバティブ金融資産を非流動資産から振替え、359,115百万円を計上しました。 ・SB Northstarは借入を利用した投資の取得取引、売建信用取引およびトータル・リターン・スワップ取引において、担保を差し入れています。当期末に差入証拠金14,685百万円、拘束性預金111,787百万円を計上しました。 |
G 売却目的保有に分類された資産 | ・前期末にスプリントを売却目的保有に分類された処分グループに分類し、同社の資産を区分して表示していましたが、当期首において同社を子会社から除外しました。 ・当期にBoston Dynamics, Inc.を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の資産を区分して表示しています。 |
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
非流動資産 | |
H 有形固定資産 | ・ソフトバンク㈱が5G向けを含む通信設備を取得しました。 ・海外で自然エネルギー発電事業を展開する子会社が、発電所建設を進めました。 |
I のれん | ・Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に伴い、支配獲得日にLINE㈱17に係るのれん617,077百万円を認識しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記10.企業結合 LINE㈱の取得およびLINEグループとZホールディングス㈱の経営統合」をご参照ください。 ・米ドルの為替換算レートが円安となったことにより、アームののれんが78,619百万円増加しました。 |
J 無形資産 | ・Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に伴い、支配獲得日にLINE㈱17に係る識別可能な無形資産406,964百万円(顧客基盤と商標権の合計)を認識しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記10.企業結合 LINE㈱の取得およびLINEグループとZホールディングス㈱の経営統合」をご参照ください。 ・規則的な償却などにより、アームのテクノロジーや顧客基盤などの無形資産が減少しました。 |
K 持分法で会計処理されている投資 | アリババの持分法投資利益を計上しました。 |
L FVTPLで会計処理されているSVF1およびSVF2からの投資 | ・SVF1が、当期末に保有する投資の公正価値の上昇を反映して、未実現評価益5,478,148百万円(純額)を計上しました。 ・SVF2が、合計47億米ドルの新規および追加の投資を行ったほか、当期末に保有する投資の公正価値の上昇を反映して未実現評価益490,255百万円(純額)を計上しました。 SVF1およびSVF2における投資の状況の詳細は「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(b)SVF1等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。 |
M 投資有価証券 | ・Tモバイル株式の一部売却後に引き続き保有する同社株式1,474,356百万円を計上しました(2020年6月26日の当初認識後、当期末までに同社株式の公正価値が219,608百万円上昇)。詳細は「(1)経営成績 <4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>1.スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了、およびTモバイル株式の一部売却等」をご参照ください。 ・ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの投資の帳簿価額が、保有する投資先の公正価値上昇ならびに新規および追加投資により、327,537百万円増加しました(当期末残高:441,008百万円)。 ・Social Finance, Inc.およびLemonade, Inc.への投資の公正価値上昇を反映し、未実現評価益をそれぞれ124,420百万円、72,994百万円計上しました。 |
N デリバティブ金融資産 | ・スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併取引の対価として受領した、一定の条件を満たした場合に当社が無償でTモバイル株式を取得できる権利について、デリバティブ金融資産460,709百万円を計上しました(本合併取引時から当期末までに公正価値が264,395百万円上昇)。 ・アリババ株式を利用した複数の先渡売買契約に係るデリバティブ金融資産が339,550百万円増加しました。詳細については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債」をご参照ください。 |
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
O その他の金融資産 | ・当社子会社がスポンサーとして設立したSPAC(当期末までに上場し、かつ事業会社との合併が未了のもの)が新規上場により調達した資金について、当期末におけるMoney Market Fundでの運用残高が含まれています。詳細については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。 ・㈱ジャパンネット銀行(現PayPay銀行㈱)において、住宅ローン債権が増加しました。 ・WeWork投資用100%子会社が買い受けたWeWorkの無担保債券について、11.7億米ドルを長期貸付金として計上しました。詳細については「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業 WeWork投資用100%子会社からWeWorkへの投融資」をご参照ください。 |
(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2021年 3月31日 | 増減 | ||
ソフトバンクグループ㈱/資金調達を行う100%子会社等 (注1)/SB Northstar | 1,461,291 | 2,202,730 | 741,439 | |
ソフトバンクグループ㈱ | 1,455,385 | 1,948,177 | 492,792 | |
資金調達を行う100%子会社等(注1) | 5,906 | 33,272 | 27,366 | |
SB Northstar | - | 221,281 | 221,281 | |
SVF1等SBIAの運営するファンド事業 | ||||
SVF1 | 186,028 | 67,580 | △118,448 | |
SVF2 | 1,193 | 63,470 | 62,277 | |
SBIA | 38,517 | 25,895 | △12,622 | |
ソフトバンク事業 | ||||
ソフトバンク㈱ | 148,127 | 302,539 | 154,412 | |
Zホールディングス㈱(注2) | 242,977 | 420,941 | 177,964 | |
その他(注3) | 752,704 | 861,412 | 108,708 | |
その他 | 538,178 | 718,158 | 179,980 | |
合計 | 3,369,015 | 4,662,725 | 1,293,710 |
(注1)資金調達を行う100%子会社であるスカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings Limited、Tigress 2020 Holdings Limited、ムーンライトファイナンス合同会社およびDelaware Project 6 L.L.C.を含みます。
(注2)ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
(注3)㈱ジャパンネット銀行(現PayPay銀行㈱)を含みます。同社の現金及び現金同等物の当期末残高は306,599百万円でした。
(b)負債
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2021年 3月31日 | 増減 | ||
有利子負債 | 3,845,153 | 7,735,239 | 3,890,086 | |
リース負債 | 378,383 | 307,447 | △70,936 | |
銀行業の預金 | 873,087 | 1,109,240 | 236,153 | |
SVF1における外部投資家持分 | 24,691 | - | △24,691 | |
営業債務及びその他の債務 | 1,585,326 | 1,970,275 | 384,949 | |
資産運用子会社におけるデリバティブ金融負債 | - | 14,673 | 14,673 | |
デリバティブ金融負債 | 9,267 | 322,213 | 312,946 | A |
その他の金融負債 | 248,010 | 51,285 | △196,725 | |
未払法人所得税 | 164,298 | 391,930 | 227,632 | B |
引当金 | 11,448 | 24,939 | 13,491 | |
その他の流動負債 | 596,499 | 952,443 | 355,944 | C |
売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債 | 6,454,971 | 11,271 | △6,443,700 | D |
流動負債合計 | 14,191,133 | 12,890,955 | △1,300,178 | |
有利子負債 | 9,286,729 | 10,777,736 | 1,491,007 | |
リース負債 | 761,943 | 727,554 | △34,389 | |
SVF1における外部投資家持分 | 4,559,728 | 6,601,791 | 2,042,063 | |
デリバティブ金融負債 | 128,075 | 32,692 | △95,383 | |
その他の金融負債 | 77,207 | 415,407 | 338,200 | E |
引当金 | 88,791 | 110,586 | 21,795 | |
繰延税金負債 | 711,216 | 2,030,651 | 1,319,435 | F |
その他の非流動負債 | 79,553 | 207,488 | 127,935 | |
非流動負債合計 | 15,693,242 | 20,903,905 | 5,210,663 | |
負債合計 | 29,884,375 | 33,794,860 | 3,910,485 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
流動負債 | |
A デリバティブ金融負債 | ドイツテレコムが受領した、当社が保有するTモバイル株式を対象とする株式購入オプションについて、デリバティブ金融負債204,821百万円を計上しました。 |
B 未払法人所得税 | 主にソフトバンク㈱株式の一部売却に伴い、売出人のソフトバンクグループジャパン㈱で生じた売却益などに対する未払税金相当額を計上しました。 |
C その他の流動負債 | ・ソフトバンクグループジャパン㈱からのソフトバンクグループ㈱への配当に係る源泉所得税の支払見込額245,053百万円を計上しました。 ・アーム全株式売却に係る前受金12.5億米ドルを計上しました。アーム全株式の売却契約の詳細は「(1)経営成績 <アーム全株式の売却契約の締結>」をご参照ください。 |
D 売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債 | ・前期末にスプリントを売却目的保有に分類された処分グループに分類し、同社の負債を区分して表示していましたが、当期首において同社を子会社から除外しました。 ・当期にBoston Dynamics, Inc.を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の負債を区分して表示しています。 |
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
非流動負債 | |
E その他の金融負債 | 当社子会社がスポンサーとして設立したSPAC(当期末までに上場し、かつ事業会社との合併が未了のもの)に係るスポンサー以外の出資者の持分が含まれています。詳細については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。 |
F 繰延税金負債 | ソフトバンクグループ㈱において、繰延税金負債が増加しました。 |
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(単位:百万円)
2020年3月31日 | 2021年3月31日 | 増減 | ||
ソフトバンクグループ㈱/資金調達を行う100%子会社(注1)/SB Northstar | 8,247,063 | 12,984,650 | 4,737,587 | |
ソフトバンクグループ㈱ | 6,528,734 | 6,158,350 | △370,384 | |
借入金 | 1,388,240 | 1,152,934 | △235,306 | |
社債 | 5,034,494 | 4,745,549 | △288,945 | |
リース負債 | - | 13,367 | 13,367 | |
コマーシャル・ペーパー | 106,000 | 246,500 | 140,500 | |
資金調達を行う100%子会社(注1) | 1,718,329 | 4,959,779 | 3,241,450 | |
借入金 | 1,522,228 | 1,874,040 | 351,812 | |
株式先渡契約金融負債 | 196,101 | 3,085,739 | 2,889,638 | |
SB Northstar | - | 1,866,521 | 1,866,521 | |
借入金 | - | 1,866,521 | 1,866,521 | |
SVF1等SBIAの運営するファンド事業 | ||||
SVF1 | 581,543 | 444,227 | △137,316 | |
借入金 | 581,543 | 444,227 | △137,316 | |
SBIA | 535 | 363 | △172 | |
リース負債 | 535 | 363 | △172 | |
ソフトバンク事業 | ||||
ソフトバンク㈱ | 3,828,904 | 4,166,323 | 337,419 | |
借入金 | 2,856,027 | 3,037,229 | 181,202 | |
社債 | 40,000 | 260,000 | 220,000 | |
リース負債 | 832,877 | 706,393 | △126,484 | |
コマーシャル・ペーパー | 100,000 | 162,701 | 62,701 | |
Zホールディングス㈱(注2) | 839,042 | 1,030,980 | 191,938 | |
借入金 | 463,598 | 442,406 | △21,192 | |
社債 | 354,327 | 543,992 | 189,665 | |
リース負債 | 21,117 | 44,582 | 23,465 | |
その他 | 413,127 | 494,747 | 81,620 | |
その他 | ||||
その他の有利子負債 | 259,801 | 334,917 | 75,116 | |
リース負債 | 102,193 | 91,769 | △10,424 | |
合計 | 14,272,208 | 19,547,976 | 5,275,768 |
(注1)スカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings Limited、Tigress 2020 Holdings Limited、ムーンライトファイナンス合同会社およびDelaware Project 6 L.L.C.の有利子負債を記載しています。これらのうち、Delaware Project 6 L.L.C.の有利子負債以外はソフトバンクグループ㈱に対して全額がノンリコースです。Delaware Project 6 L.L.C.の有利子負債43.8億米ドルは例外的にソフトバンクグループ㈱が20.2億米ドルを上限に保証しています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該借入れの担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
(注2) ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
前期末からの主な会社別の増減理由
ソフトバンクグループ㈱/資金調達を行う100%子会社/SB Northstar
ソフトバンクグループ㈱
・借入金
シニアローン3,924億円(借入額面総額、うち期限前返済※分3,000億円)を返済しました。また、2021年3月にコミットメントラインによる借入金3,100億円を返済※しました。一方、手元資金の拡充を目的に当第4四半期に5,400億円の短期借入れを行いました。
・社債
国内無担保社債1,676億円(額面総額)および外貨建て社債9.8億米ドルおよび9.0億ユーロ(額面総額、合計2,249億円)を買入れた※ほか、国内無担保社債合計1,500億円を満期償還しました。一方、リファイナンスを目的に国内ハイブリッド社債1,770億円を新規発行しました。
・コマーシャル・ペーパー
1,405億円増加しました。
※4.5兆円プログラムに基づく負債削減の一環として実行
(資金調達を行う100%子会社)
スカイウォークファイナンス合同会社
・アリババ株式を活用した借入れ(マージン・ローン)として、2020年7月に94.4億米ドルを返済した後、2021年3月に81.3億米ドルを借入れました。
West Raptor Holdings, LLC、West Raptor Holdings 2, LLC、Skybridge LLC、Skylark 2020 Holdings Limited、Scout 2020 Holdings Limited、Tigress 2020 Holdings Limited
・2020年4月から8月にかけて、保有するアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結したことに伴い、前期契約分を含めて当期末において株式先渡契約金融負債3,085,739百万円を計上しました。なお、当第3四半期に契約の一部(前期契約分も含む)について契約変更を行ったことに伴い、変更された契約に係る株式先渡契約金融負債1,382,751百万円の認識を中止する一方、新たに締結した契約について株式先渡契約金融負債2,179,156百万円を計上しています。詳細については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債(1)有利子負債の内訳(注5)」をご参照ください。
Delaware Project 6 L.L.C.
・Tモバイル株式を活用して43.8億米ドルの借入れ(マージン・ローン)を行いました。
SB Northstar
・上場株式取得を目的とした短期借入金が1,203,925百万円増加しました。
・アリババ株式を活用して60.0億米ドルを借入れました(マージン・ローン)。
SVF1等SBIAの運営するファンド事業
・SVF1のファンド・レベル・ファシリティーによる借入金が、返済により30.8億米ドル減少しました。当期末における借入残高はありません。
・SVF1のポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーによる借入金が、返済により10.3億米ドル減少しました。
・当第4四半期にSVF1が28.0億米ドルを借り入れました。同借入れは、SVF1が保有するアーム株式のNVIDIAへの売却完了時の受領対価が返済に充当される予定です。
ソフトバンク事業
ソフトバンク㈱
・通信設備のセール・アンド・リースバックを通じた資金調達などにより、借入金が増加しました。
・国内普通社債を合計2,200億円発行しました。
Zホールディングス㈱
・Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に伴い、支配獲得日にLINE㈱17の有利子負債244,248百万円を認識しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記10.企業結合 LINE㈱の取得およびLINEグループとZホールディングス㈱の経営統合」をご参照ください。
・Zホールディングス㈱が短期借入金を返済した一方、国内普通社債を合計2,000億円発行しました。
(c)資本
(単位:百万円)
2020年 3月31日 | 2021年 3月31日 | 増減 | ||
資本金 | 238,772 | 238,772 | - | |
資本剰余金 | 1,490,325 | 2,618,504 | 1,128,179 | A |
その他の資本性金融商品 | 496,876 | 496,876 | - | |
利益剰余金 | 3,945,820 | 8,810,422 | 4,864,602 | B |
自己株式 | △101,616 | △2,290,077 | △2,188,461 | C |
その他の包括利益累計額 | △362,259 | 338,329 | 700,588 | D |
売却目的保有に分類された資産に直接関連する その他の包括利益累計額 | 205,695 | 267 | △205,428 | E |
親会社の所有者に帰属する持分合計 | 5,913,613 | 10,213,093 | 4,299,480 | |
非支配持分 | 1,459,304 | 1,742,500 | 283,196 | F |
資本合計 | 7,372,917 | 11,955,593 | 4,582,676 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
A 資本剰余金 | ・ソフトバンク㈱株式の一部売却に伴い、支配継続子会社に対する持分変動932,388百万円を計上しました。 ・Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に伴い、統合後の新会社に対する持分が減少したことにより、支配継続子会社に対する持分変動245,147百万円を計上しました。 |
B 利益剰余金 | 親会社の所有者に帰属する純利益4,987,962百万円を計上しました。 |
C 自己株式 | ・2020年3月13日の取締役会決議に基づき、483,971百万円(102,960千株)取得しました。なお同決議に基づき前期に16,028百万円(4,720千株)取得されています。 ・2020年5月15日および6月25日の取締役会決議に基づき、合計1,000,000百万円(合計152,520千株)取得しました。 ・取得総額1,000,000百万円を上限とする自己株式取得に関する2020年7月30日の取締役会決議に基づき742,223百万円(80,681千株)取得しました。 |
D その他の包括利益累計額 | 海外を拠点とする子会社・関連会社を円換算する際に生じる在外営業活動体の為替換算差額が、主要な通貨の為替換算レートが円安となったことにより、651,960百万円増加しました。 |
E 売却目的保有に分類された資産に直接関連するその他の包括利益累計額 | ・前期末にスプリントを売却目的保有に分類された処分グループに分類し、同社のその他の包括利益累計額を区分して表示していましたが、当期首において同社を子会社から除外しました。 ・当期にBoston Dynamics, Inc.を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社のその他の包括利益累計額を区分して表示しています。 |
F 非支配持分 | ・Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に伴い、支配獲得日においてLINE㈱17に係る非支配持分264,257百万円を認識したほか、統合後の新会社に対する持分が減少したことにより、非支配持分が434,371百万円増加しました。 ・ソフトバンク㈱株式の一部売却に伴い、非支配持分が134,413百万円増加しました。 ・当期首において、スプリントとT-Mobile US, Inc.の合併完了によりスプリントが当社の子会社ではなくなったことに伴い、同社の非支配持分424,746百万円(前期末時点)を除外しました。 ・SB Northstarが純損失を計上したことなどに伴い、非支配持分が152,864百万円減少しました。 |
(3)キャッシュ・フロー
1.4.5兆円プログラムが終了 ◆ Tモバイル、アリババ、ソフトバンク㈱の株式の一部売却または資金化を行い、2020年4~9月の6カ月間で5.6兆円の資産売却または資金化を実施 ◆ 自己株式を2021年3月末までに累計1兆7,422億円取得(4.5兆円プログラム以前の決定分と合わせ当期に自己株式を累計2兆2,262億円取得)。負債削減では、国内社債および外貨建て社債の買入れならびにシニアローンおよびコミットメントラインによる借入金の返済により、当期末までに合計1兆円の負債を削減 2.投資ファンドによる投資活動 ◆ SVF1およびSVF2による投資の取得による支出8,566億円、SVF1による投資の売却による収入8,564億円 ◆ ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドによる投資の取得による支出989億円 3.当期から保有資産の多様化と余剰資金の運用を目的に上場株式等への投資を実施 ◆ 当初はソフトバンクグループ㈱が直接投資、当第2四半期から資産運用子会社SB Northstarが受け継いで活動 ◆ ソフトバンクグループ㈱による投資は投資活動によるキャッシュ・フローに計上 投資の取得による支出△2兆7,054億円、投資の売却または償還による収入6,757億円 ◆ SB Northstarは主たる事業として有価証券の売買を繰り返し行うため、同社による投資は主に営業活動によるキャッシュ・フローに計上 |
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間 | |||
2020年 | 2021年 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,117,879 | 557,250 | △560,629 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △4,286,921 | △1,468,599 | 2,818,322 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 2,920,863 | 2,194,077 | △726,786 |
(注)非継続事業からのキャッシュ・フローが含まれています。非継続事業からのキャッシュ・フローについては、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記6.非継続事業」をご参照ください。
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは前期から560,629百万円減少しました。これは主に、法人所得税の支払額が前期から613,371百万円減少したものの、前期に641,013百万円のキャッシュ・イン・フローを計上していたスプリントが当期首に連結から除外されたことに加え、当期から事業を開始した資産運用子会社SB Northstarが主にデリバティブへの投資における実現損失に伴うキャッシュ・アウト・フローを509,249百万円(連結会社間の取引消去前)計上したことによるものです。
なお、法人所得税の支払額の減少は、前期に、主に2019年3月期に発生したソフトバンク㈱株式売却益などに対し法人税321,290百万円をソフトバンクグループジャパン㈱が支払ったこと、およびソフトバンクグループジャパン㈱が行ったソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税422,648百万円を納付したことによるものです。後者の源泉所得税は2019年7月に還付されました。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 |
投資の取得による支出 △4,186,663百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱が、保有資産の多様化と余剰資金の運用を目的に、当第2四半期に資産運用子会社SB Northstarが受け継いで活動する前に流動性の高い上場株式を2,705,425百万円で取得しました。 ・ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドが合計98,886百万円の新規および追加の投資を行いました。 ・Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合の一環として、ソフトバンク㈱がLINE㈱株式取得のために支出した金額は、純額で175,313百万円です。ただし、LINE㈱の子会社化前にソフトバンク㈱とLINE㈱の間で実施した取引は、連結キャッシュ・フロー計算書上、「投資の取得による支出」と「投資の売却または償還による収入」にそれぞれ総額で表示しています。「投資の取得による支出」には、ソフトバンク㈱が共同公開買付けおよび株式の併合を用いたスクイーズアウト手続きによりLINE㈱株式を取得するための支出269,134百万円のほか、LINE㈱がZホールディングス㈱株式の公開買付けのために発行した社債(以下「LINE社債」)をソフトバンク㈱が引き受けるための支出739,628百万円が含まれています。 |
投資の売却または償還による収入 3,845,787百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱が、上記の流動性の高い上場株式の一部を売却し675,688百万円を受領しました。 ・ソフトバンクグループ㈱が、子会社を通じて保有するTモバイル株式の一部を売却し2,099,746百万円を受領しました。 ・上記のLINE㈱の子会社化前にソフトバンク㈱とLINE㈱の間で実施した取引として、「投資の売却または償還による収入」には、ソフトバンク㈱がLINE㈱株式の株式併合を用いたスクイーズアウト手続き等により、LINE㈱株式を売却して得た収入93,821百万円が含まれています。また、ソフトバンク㈱が引き受けたLINE社債が売却または償還されたことによる収入739,628百万円が含まれています。 |
SVF1およびSVF2による投資の取得による支出 △856,608百万円 | ・SVF1が既存投資先およびその合弁会社へ合計41億米ドルの追加投資を行いました。 ・SVF2が合計40億米ドルの新規および追加の投資を行いました。 |
SVF1による投資の売却による収入 856,408百万円 | SVF1がOSIsoft、Uber(一部)、Guardant Health(一部)などの投資を売却しました。 |
有形固定資産及び無形資産の 取得による支出 △646,888百万円 | ・ソフトバンク㈱が5G向けを含む通信設備を取得しました。 ・海外で自然エネルギー発電事業を展開する子会社が、発電所建設を行いました。 |
拘束性預金の預入による支出 △351,343百万円 | 保有するアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約のうち、カラー契約の一部の2021年4月の早期解約に先立ち、当該解約手続きに必要な資金33億米ドルを拘束性預金に計上しました。なお、当該早期解約は2021年4月に29億米ドルが支払われ決済されました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債」をご参照ください。 |
SPACにおける信託口座への預入による支出 △350,990百万円 | 当社子会社がスポンサーとして設立したSPACが新規上場により調達した資金合計33.0億米ドルが信託口座に預託されました。当該資金は出資条件に基づき、SPACが合併を完了するまでの期間信託口座に預託され、流動性の高い金融商品による運用のみに利用が制限されています。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。 |
(注)アーム全株式売却の最終契約締結時に受領した合計20億米ドルのうち前受金12.5億米ドルは、投資活動によるキャッシュ・フローのその他に含まれています。
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 | |
短期有利子負債の収支(純額) 1,575,327百万円(注1) | ・SB Northstarによる上場株式取得を目的とした短期借入金が1,144,502百万円(純額)増加しました。 ・ソフトバンク㈱の短期借入金が255,591百万円(純額)増加しました。 | |
有利子負債の収入 7,965,114百万円 | ||
借入れによる収入 5,707,162百万円(注2) | ・ソフトバンクグループ㈱が1,040,100百万円の短期借入れを行いました。 ・スカイウォークファイナンス合同会社が、アリババ株式を活用して81.3億米ドルを借入れました(マージン・ローン)。 ・Delaware Project 6 L.L.C.が、Tモバイル株式を活用して43.8億米ドルを借入れました(マージン・ローン)。 ・SB Northstarが、アリババ株式を活用して60.0億米ドルを借入れました(マージン・ローン)。 ・SVF1が、28.0億米ドルを借入れたほか、ファンド・レベル・ファシリティーにより19.0億米ドルを借入れました。なお、同ファシリティーは融資極度額を14.8億米ドルと設定し、その範囲内での借入れを可能とする融資形態であり、当期においてSVF1は同ファシリティーから複数回の借入れおよび返済を行っています(下記「借入金の返済による支出」参照)。 ・ソフトバンク㈱が648,700百万円の短期借入れおよび756,661百万円の借入れを行いました。また、Zホールディングス㈱が231,800百万円の短期借入れおよび150,000百万円の借入れを行いました。 | |
社債発行による収入 597,000百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱が国内ハイブリッド社債を1,770億円新規発行しました。 ・ソフトバンク㈱とZホールディングス㈱が、国内普通社債をそれぞれ2,200億円および2,000億円発行しました。 | |
株式先渡売買契約に基づく 資金調達による収入 1,660,952百万円 | 資金調達を行う複数の当社100%子会社が、保有するアリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結し、総額で154億米ドルを調達しました。 |
科目 | 主な内容 | |
有利子負債の支出 △5,790,901百万円 | ||
借入金の返済による支出 △5,223,271百万円(注2) | ・ソフトバンクグループ㈱が、短期借入金863,250百万円、シニアローン392,380百万円(うち期限前返済分300,000百万円)を返済しました。 ・スカイウォークファイナンス合同会社が、アリババ株式を活用した借入金(マージン・ローン)94.4億米ドルを返済しました。 ・SVF1が、ファンド・レベル・ファシリティーによる借入金49.8億米ドル、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーによる借入金10.3億米ドルを返済しました。 ・ソフトバンク㈱が短期借入金592,000百万円および借入金832,676百万円、Zホールディングス㈱が短期借入金605,270百万円をそれぞれ返済しました。 | |
社債の償還による支出 △567,630百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、国内無担保社債合計1,500億円(額面総額)を満期償還したほか、国内無担保社債1,676億円(額面総額)および外貨建普通社債9.8億米ドルおよび9.0億ユーロ(額面総額、合計2,249億円)を買入れました。 | |
SVF1における外部投資家からの払込による収入 979,266百万円 | SVF1が、キャピタル・コールに対する資金を外部投資家から受領しました。 | |
SVF1における外部投資家に対する分配額・返還額 △1,362,066百万円 | SVF1が、外部投資家への分配および返還を行いました。 | |
償還オプション付非支配持分からの払込による収入 345,466百万円 | 当社子会社がスポンサーとして設立したSPACが、新規上場により外部投資家から合計32.5億米ドルを調達しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記8.当社が設立したSpecial Purpose Acquisition Company」をご参照ください。 | |
非支配持分への子会社持分の一部売却による収入 1,552,957百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、ソフトバンクグループジャパン㈱を通じて保有するソフトバンク㈱株式の一部を2020年5月および9月に売却しました。 | |
自己株式の取得による支出 △2,226,229百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、2020年3月13日および5月15日、6月25日、7月30日の各取締役会決議に基づき自己株式を取得しました。 |
(注1)短期有利子負債の収支には、IFRSにおける「純額によるキャッシュ・フローの報告」の要件を満たした財務活動によるキャッシュ・フローを記載しています。
(注2)借入れによる収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が2,378,859百万円、支出が△2,823,336百万円、それぞれ含まれています。
(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報
i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源
ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)または投資ファンド(例えば、SVF1やSVF2)を通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの保有資産を資金化することで回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や財務改善にも振り向けています。このほか、金融機関からの借入れや社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金や負債の返済原資として資金調達をしています。
保有資産の資金化においては、ソフトバンクグループ㈱および子会社や投資ファンドを通じて保有する投資資産の価値はアリババやソフトバンクなどの上場株式が占める比率が高く、ソフトバンクグループ㈱はそれらの上場株式の高い流動性を活かし柔軟に資金化することができます。例えば、保有資産の売却だけではなく、株式先渡売買契約(当期末時点においてはアリババ株式を活用)や、上場株式(当期末時点においてはアリババ、Tモバイル、ソフトバンク)を担保にした借入れ(マージン・ローン)など多様な手段を活用し、保有資産の機動的な資金化を実現しています。また、特にSVF1およびSVF2を通じ数多く行っている未上場株式への投資についても、株式上場を通じてその流動性が高まることにより、売却および資金化の機会の広がりが期待されます。
また、社債の発行においては、円建シニア社債だけではなく米ドルやユーロ建シニア社債、ハイブリッド社債など異なる商品性の債券を発行することで、国内外の様々な市場からの資金調達の機会を確保し、安定的な調達を図っています。
ii.4.5兆円の資産の売却または資金化(4.5兆円プログラム)
ソフトバンクグループ㈱は、2020年3月に株主還元と負債削減などを通じた財務改善のための4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針(「4.5兆円プログラム」)を決定した後、2020年9月末までに5.6兆円の資産の売却および資金化を完了するなど、当期において速やかに実行に移しました。詳細は「(1)経営成績 <4.5兆円の資産の売却または資金化の方針(4.5兆円プログラム)>」をご参照ください。
iii.当期における主な投資
当期において、SVF1に対し7億米ドルの出資コミットメントを履行(当期末におけるSVF1に対する出資コミットメント残高は38億米ドル)し、SVF2に対し48億米ドルの出資コミットメントを履行(当期末におけるSVF2に対する出資コミットメント残高は132億米ドル(注))しました。SVF1および SVF2の投資活動の詳細は「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(b)SVF1等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。
この他、当期から、保有資産の多様化と余剰資金の運用を目的として、流動性の高い上場株式への投資を資産運用子会社であるSB Northstarを中心に行っています。詳細は「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績(a)持株会社投資事業 資産運用子会社からの上場株式等への投資」をご参照ください。
(注)2021年6月23日現在、SVF2への当社の出資コミットメントは、400億米ドルに増額されています。
(4)生産、受注および販売の状況
当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「(1)経営成績 b. セグメントの経営成績」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針および見積りについては、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記5.重要な判断および見積り」をご参照ください。