有価証券報告書-第44期(2023/04/01-2024/03/31)
当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(注1)2023年9月末の同社発行済株式総数(自己株式を除く)1,025,234,000株に基づき算出しています。
(注2)外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。
(注3)連結キャッシュ・フロー計算書で計上された金額です。
(注4)連結キャッシュ・フロー計算書の「投資の取得による支出」に含まれるソフトバンクグループ㈱および主要な100%子会社による支出額(米国債への投資を除く)に、Berkshire Grey, Inc.(2023年7月)およびBalyo SA(2023年10月)の子会社化に伴う外部株主への支出額と両社が保有していた現金及び現金同等物との差額を加えた金額です。
(注5)本ハイブリッドローンは、㈱日本格付研究所およびS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より資本性の認定(借入実行額の50%)を受けています。
<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>1. アーム株式のグループ内取引
①取引概要
アームの新規株式公開(以下「本新規株式公開」)に先立つ2023年8月、当社100%子会社はSVF1が保有していたアームの普通株式(発行済株式総数の24.99%相当)の実質的に全て(注6)を161億米ドル(以下「本取引対価」)で取得(以下「本取引」)しました。本取引対価は、当事者間の従前の契約上の条件を参照して決定されたものです。本取引対価は4分割で支払うこととなっており、2023年8月の取引完了時に第1回目の41億米ドルを支払い済みで、2025年8月までの2年間にわたって残りの3回分を支払う予定です。SVF1においては、第1回目の手取金41億米ドル全額を借入金の返済に充当しました。第2回目以降の手取金については、リミテッド・パートナーシップ・アグリーメントに定められた配分方法に基づき、当社を含むリミテッド・パートナーへの支払いなどに充当されます。
本取引対価の分割払いの支払タイミングおよび支払額の内訳
なお、本取引に併せて、過去にアームからスピンアウトしたArm Technology (China) Co., Ltd.(以下「Arm China」)とTreasure Data, Inc.(以下「Treasure Data」)の持分の取得も合意しており、この両社の持分を含めたグループ内取引の対価は総額164億米ドルです。
(注6)本新規株式公開に先立つアームの組織再編完了後、SVF1はArm Limitedの完全親会社であるArm Holdings plcの普通株式1株を引き続き保有しています。
②連結財務諸表への主な影響
本取引対価の2023年8月時点の割引現在価値は151億米ドルです。SVF1では、この151億米ドルから投資額82億米ドルを差し引いた69億米ドルが2023年8月時点の投資利益となります。161億米ドルと151億米ドルの差額については、2025年8月までの2年間にわたって投資利益として計上します。
セグメント情報のソフトバンク・ビジョン・ファンド事業では、当期において「SVF事業からの投資利益」に、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。ただし、本取引はグループ内で行われた当社子会社株式の譲渡のため、これらの投資利益は連結上消去します。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益は、投資利益のうち外部投資家に帰属する利益が控除されています。外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書にも計上されています。
セグメント情報と連結損益計算書の差異 (単位:百万円)
2. アームの新規株式公開
①取引概要
2023年9月14日、アームは本新規株式公開においてティッカーシンボル「ARM」でNasdaq Global Select Marketへの上場を果たしました。本新規株式公開においては、当社100%子会社がアームの普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)102,500,000ADS(発行済株式総数の10%)を1ADS当たり51.00米ドルの公開価格で売り出しました(以下「本売出し」)。
②連結財務諸表への主な影響
本売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、本売出しによる売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額674,370百万円(46.5億米ドル)を計上しました。また、連結キャッシュ・フロー計算書において、財務活動によるキャッシュ・フローの「非支配持分への子会社持分の一部売却による収入」に手取金745,082百万円(51.2億米ドル)を計上しました。
なお、アームは引き続き当社の子会社であり、連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上されません。
<条件付対価の条件充足に伴う、Tモバイル株式48.8百万株の無償での取得>①取引概要
当社は、T-Mobile US, Inc.、当社およびDeutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)の間で締結された2020年2月20日付のレターアグリーメントに基づき、2020年4月1日に完了したT-Mobile US, Inc.と当社米国子会社であったスプリントの合併取引(以下「本合併取引」)の対価の一部として、一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株(以下「本株式」)を無償で取得できる権利を受領していました(以下「条件付対価」)。2023年12月22日に当該条件が充足されたことに伴い、2023年12月28日に本株式(7,744百万米ドル(1,098,435百万円)相当)を無償で取得しました。
②連結財務諸表への主な影響
2020年4月1日の本合併取引完了時、当社は条件付対価の公正価値1,825百万米ドル(196,313百万円)をスプリント売却益の一部として連結損益計算書に計上するとともに、「デリバティブ金融資産」として連結財政状態計算書に計上しました。その後、公正価値の変動を連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に計上してきました。
本株式の取得日である2023年12月28日に当該デリバティブ金融資産(同日の公正価値:7,744百万米ドル(1,098,435百万円))の認識を中止するとともに、本株式を「投資有価証券」として同額で連結財政状態計算書に計上しました。当期においては、連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に227,012百万円の利益を計上しました。このほか、従来から保有するTモバイル株式と合わせて「持株会社投資事業からの投資損益(投資の未実現評価損益)」に154,538百万円の利益を計上しました。このうち2023年12月28日に受領した本株式に係る投資の未実現評価利益は31,440百万円です。
2023年11月6日、SVFの投資先であるWeWork Inc.(以下「WeWork」)が米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請しました。同社に対する投資および財務サポートに関連して当期において連結損益計算書に計上した損益は以下の通りです(当第3四半期累計期間における計上額と同一)。
当第3四半期末時点で、SVF1および2が保有する同社株式およびワラント、ならびにSVF2が保有する同社債券の帳簿価額は0円まで引き下げています。また、金融機関から同社への支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートについては、当第2四半期末までに支払保証枠の未履行分も含めた全額を金融保証契約損失評価引当金として計上し、当第3四半期に保証を履行しました。なお、2024年6月11日に、WeWorkは米国連邦破産法11条に基づく手続きを完了したと発表しました。
(単位:百万円)
為替換算レート
a.連結経営成績の状況
以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業およびアーム事業はいずれも増収となりました。詳細は「b. セグメントの業績概況」の「(c)ソフトバンク事業」および「(d)アーム事業」をご参照ください。
B 持株会社投資事業からの投資損益
持株会社投資事業からの投資損失は459,045百万円となりました。これは主に、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値の上昇に伴うデリバティブ関連利益や同株式の未実現評価益などTモバイル株式関連で371,108百万円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失959,935百万円が大きく上回ったことによるものです。詳細は「b. セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C SVF事業からの投資損益
SVF事業からの投資損失は167,290百万円となりました。その内訳は、SVF1で37,903百万円の損失、SVF2で231,329百万円の損失、LatAmファンドで73,862百万円の利益、その他で28,080百万円の利益です。
SVF1においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式の売却1により投資の実現益19,892百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資の未実現評価損失77,693百万円(純額)を計上しました。当期末に保有する投資のうち、公開投資先については株価上昇に伴い合計42,648百万円の未実現評価益(純額)を計上した一方、未公開投資先についてはBytedance Ltd.を含む一部の投資先の公正価値が増加したものの、主に業績の低迷を反映して他の投資先の公正価値が減少したことに伴い合計120,341百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。
SVF2においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式などの売却1により投資の実現損失107,912百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資について、2023年11月に米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請したWeWork株式および債券の公正価値を0円まで引き下げたことに加え、主に業績の低迷を反映して未公開投資先の公正価値が減少した結果、合計261,865百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。
LatAmファンドにおいては、主に公開投資先の株価上昇により、合計67,227百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。
なお、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」には、SVFからアームやPayPay㈱などの当社子会社への投資に係る投資損益は含まれません。
詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。
D その他の投資損益
その他の投資利益は66,985百万円となりました。当社100%子会社が2023年7月に取得したSymbotic Inc.(以下「Symbotic」)株式の株価上昇に伴う評価益などです。
主にB~Dの結果、投資損益合計は559,350百万円の損失となりました。
E 財務費用
ソフトバンクグループ㈱2の支払利息が前期比6,781百万円増の403,021百万円となりました。これは主に、前期第2四半期にアリババ株式を活用したマージンローンの全額返済、前期第3四半期に外貨建普通社債の買入れ、当第1四半期に外貨建普通社債の満期償還をそれぞれ行ったことにより、これらに係る支払利息が減少した一方、ベース金利の上昇および為替換算レートの円安進行の影響でアーム株式を活用したファイナンスに係る支払利息が増加したことによるものです。
F 為替差損益
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,122百万円(純額)を計上しました。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど機能通貨が外貨(主に米ドル)の在外子会社・関連会社の純資産については、為替換算レートが円安となったことにより円換算後の価値が増加しましたが、そのプラス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の増加額2,009,461百万円として計上されています。
G 持分法による投資損益
前期にはアリババに係る持分法投資損失25,394百万円3が計上されていましたが、同社は前期第2四半期に当社関連会社から除外されています。
H デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。
なお、デリバティブ関連損益のうち、株式の取得や売却などの投資活動に係るデリバティブから生じる損益は「投資損
益」に含まれています。例えば、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値変動に伴うデリバティブ関連損益がこれに該当します。一方で、投資活動以外のもの、特に資金調達に伴うデリバティブから生じる損益は「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」に含まれています。例えば、アリババ株式やTモバイル株式を活用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連損益がこれに該当します。
I SVFにおける外部投資家持分の増減額
「SVFにおける外部投資家持分の増減額」は、SVFの投資損益から当社100%子会社である運営会社が受領する管理報酬や成功報酬、SVFの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された、外部投資家に帰属する損益です。連結損益計算書においては、通常、SVFにおいて投資利益を計上した場合には外部投資家に帰属する利益が外部投資家持分の増加額として費用方向(マイナス)に、投資損失を計上した場合には外部投資家に帰属する損失が外部投資家持分の減少額として利益方向(プラス)に寄与します。
しかし、当期においては、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」が167,290百万円の損失となったにもかかわらず、「SVFにおける外部投資家持分の増減額」が390,137百万円のマイナスになりました。これは主に、2023年8月にSVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社に売却した結果、SVFにおいて807,320百万円の投資利益を計上したことによるものです。本取引は当社子会社株式のグループ内譲渡のため、当該投資利益は連結消去されます。一方で、当該投資利益のうち外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書に計上されています。
詳細は、「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>1. アーム株式のグループ内取引」をご参照ください。
J その他の損益
当社100%子会社であったSBエナジー㈱株式の85%を売却した結果、同社に対する支配を喪失したことに伴い、子会社の支配喪失利益108,832百万円を計上しました。また、主に米ドル建預金の金利上昇に伴いソフトバンクグループ㈱の受取利息が前期比62,171百万円増の130,854百万円となりました。その他の内訳は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。
主にA~Jの結果、税引前利益は前期比526,928百万円改善の57,801百万円の利益となりました。
K 法人所得税
法人所得税は、151,416百万円のマイナス(利益)となりました。これは主に、ソフトバンク㈱などの事業会社で当期税金費用429,070百万円を計上した一方で、繰延税金費用を利益方向に580,486百万円計上したことによるものです。
繰延税金費用を利益方向に計上したのは、主に、資金調達を目的とした当社100%子会社であるSkybridge LLCにおいて2021年10月以降段階的に実施してきたアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済が2024年1月に全て完了したことに伴い、当該アリババ株式および関連するデリバティブに係る将来の課税見込みに基づき前期末に計上していた繰延税金負債を取り崩したことによるものです。
主にA~Kの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比742,498百万円改善の227,646百万円の損失となりました。
b.セグメントの業績概況
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当期末現在、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つを報告セグメントとしています。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
(注1)当第1四半期よりソフトバンク事業の管理区分の名称を一部見直し、「コンシューマ」、「法人」、「流通」、「ヤフー・LINE」、「金融」から「コンシューマ」、「エンタープライズ」、「ディストリビューション」、「メディア・EC」、「ファイナンス」へ変更しています。
(注2)2024年5月14日、ソフトバンクグループ㈱は、子会社を通じて保有するFortress Investment Group LLCの全持分をMubadala Investment Company PJSCの子会社に売却しました。本取引の完了をもって、同社はソフトバンクグループ㈱の子会社でなくなりました。
(a)持株会社投資事業
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SoftBank Group Capital Limited、ソフトバンクグループジャパン㈱、ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなどであり、そのほとんどがFVTPLの金融資産として認識されるものです。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
アリババ
当社が保有するアリババ株式については、FVTPLの金融資産に分類しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。また、アリババ株式を利用した先渡売買契約等について、デリバティブ金融資産・負債を認識しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として連結損益計算書に計上しています。
資産運用子会社からの上場株式や社債等への投資
SB Northstarはソフトバンクグループ㈱の余剰資金を用いて上場株式や社債等の取得および売却を行っています。当期における資産運用子会社に係る投資損失は696億円(活動開始来の累計投資損失:9,620億円)(注)、当期末における投資残高は3,477億円(うち、社債:2,649億円)です。社債は主に残存年数が短い投資適格債に投資しています。
同社における持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。ソフトバンクグループ㈱が同社に対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。
(注)累計投資損失は、SB NorthstarからSB Investment Advisers (US) Inc.子会社のSPAC(特別買収目的会社)3社への投資の影響を含まない金額です。
<業績全般>
(注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
(注2)投資の未実現評価損益は当該評価損益が生じた四半期の平均為替レートを用いて換算する一方、投資の実現損益は当該株式を処分した四半期の平均為替レートを用いて換算します。「為替換算影響額」は、未実現評価損益と実現損益の換算に使用する為替レートの差により生じた金額です。
A 持株会社投資事業からの投資損失:459,045百万円
・投資の未実現評価損失611,627百万円を計上しました。これは主に、Tモバイルの株価上昇に伴い同株式に係る未実現評価利益154,538百万円を計上した一方、アリババの株価下落に伴い同株式に係る未実現評価損失913,156百万円を計上したことによるものです。
・投資に係るデリバティブ関連利益226,050百万円を計上しました。これは主に、条件付対価に係るデリバティブ関連利益227,012百万円を計上したことによるものです。
B 財務費用:473,811百万円(前期比75,270百万円増加)
ソフトバンクグループ㈱2のグループ外への支払利息は前期比6,781百万円増の403,021百万円とほぼ横ばいに留まったものの、2023年8月に行ったSVF1からのアーム株式の取得の対価のうち未払金に係る償却原価67,390百万円を計上しました。なお、当該償却原価は連結上、消去されています。
C 為替差損:703,438百万円
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,438百万円(純額)を計上しました。
D デリバティブ関連利益(投資損益を除く):1,500,015百万円
アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。
(参考情報)資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響
(注1)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額
(非支配持分の計算)
(注2)表中Bの3分の1
(純資産(上記C)に対する持分)
当事業における主な有利子負債およびリース負債
(注)資金調達を行う100%子会社による借入はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
(注1)累計リターンおよび投資損益は外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。以下本項の累計パフォーマンスの表示において同じです。
(注2)売却額等+保有投資の公正価値。以下同じです。
(注3)当第4四半期中に実行した投資と売却による変動を除いた公正価値(米ドルベース)の増減率です。なお、投資先の公開/未公開の区分は、当第4四半期末時点の状態に基づいており、当第4四半期中に公開/未公開の区分が変更になった投資先については、当第3四半期末の状態を当第4四半期末時点の状態に合わせた上で比較を行っています。以下本項における四半期末に保有する投資の公正価値の増減において同じです。
(注4)公開投資先は証券取引所および店頭市場で取引される株式を、未公開投資先は公開投資先に該当しない投資先を指します。以下同じです。
(注5)「エグジットした投資」の当期損益計上額は、当該投資のエグジット金額から投資額を差し引いた金額です。過年度または当期第3四半期までに計上した当該投資に係る未実現評価損益については、「当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替」に表示しています。そのため、「エグジット前の投資」の当期第3四半期までの決算において開示した各四半期の損益計上額と、上記「当期1~3月」の損益計上額との合計は、上記「当期累計」の損益計上額と一致しない場合があります。
(注6)投資額は、デリバティブについてはデリバティブ原価を表します。リターンは、エグジットした投資についてはエグジット金額を、エグジット前の投資については公正価値を、デリバティブについては既決済契約の決済額または未決済契約の公正価値を、受取利息または配当金については各受領額を指します。
<事業概要>当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド(LatAmファンド)における投資および事業活動の結果が含まれています。
当事業における主なファンドの概要
2024年3月31日現在
AIを活用した成長可能性の大きな企業へ投資し、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。SVF1の投資期間は終了しましたが、固定分配やファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。
(注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
(注2)2023年9月27日から、SVF2の出資コミットメント残額は、40億米ドルを上限として運営会社であるSBGAの裁量でLatAmファンドに配分することが可能となりました。係る配分がなされた場合、SVF2の出資コミットメント総額は減少することとなります。
(注3)SVF2およびLatAmファンドには当社経営陣による共同出資プログラムが導入されており、経営陣の投資エンティティであるMASA USA LLC(以下「MgmtCo」)が参画しています。当社連結財務諸表上、MgmtCoの出資持分は外部投資家持分として扱われています。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記45.関連当事者(1)関連当事者との取引 a.配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。
SVFにおける借入
SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、レバレッジの活用や手元流動性の確保などを目的として、ソフトバンクグループ㈱にはノンリコースの借入を独自に行うことがあります。このような借入には、例えばリターンの向上およびリミテッド・パートナーへの分配を目的とした保有資産を活用するアセットバック・ファイナンスがあります。
投資先の公正価値評価
SVF1、SVF2およびLatAmファンドはIFRS第13号「公正価値測定」に従い、SBIA Global Valuation PolicyおよびInternational Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines(IPEVガイドライン)に基づいて、毎四半期末日における投資先の公正価値を算定しています。公開投資先のうち、証券取引所で取引される株式については相場価格を用いて、店頭市場で取引される株式については相場価格および観察可能なその他のインプットを単一もしくは複数用いて公正価値を算定しています。未公開投資先の公正価値算定については、公開類似企業の情報を用いたマーケット・アプローチ、予想される将来キャッシュ・フローを用いたインカム・アプローチに加えて、直近の資金調達ラウンドや類似取引の価格を用いた取引事例法などの評価手法を単一もしくは複数用いています。
<業績全般>
(注1)SVFによる当社子会社(主にアーム、PayPay㈱)への投資に係る投資損益は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益において「SVF事業からの投資損益」に含まれますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれません。
(注2)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
SVF1およびSVF2の投資・売却実績
(注)投資額は、新規および既存投資先への追加投資を含みます。
セグメント利益
A SVF事業からの投資利益:724,341百万円
当期の「当社子会社等への投資に係る投資損益」には、主にアームへの投資に係る投資利益807,320百万円(56億米ドル)が含まれています。2023年8月に、SVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社へ売却したことにより、当事業において、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。当該売却の詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>」をご参照ください。
B SVFにおける外部投資家持分の増減額:△390,137百万円
各ファンドからの投資損益から、①SBIAがSVF1から受領する管理報酬および成功報酬、②SBGAがSVF2から受領する管理報酬および業績連動型管理報酬、③SBGAがLatAmファンドから受領する管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬、④各ファンドの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された外部投資家に帰属する損益です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 (2)SVFにおける外部投資家持分」をご参照ください。
投資の状況
2024年3月31日現在
SVF1
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
(参考)
①エグジットした投資
②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注5)
③デリバティブ
④投資先からの利息および配当金
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。Uber Advanced Technologies GroupとAurora Innovation Inc.、PT TokopediaとPT GoTo Gojek Tokopedia Tbk、Grofers International Pte. Ltd.とZomato Limited、Zymergen, Inc.とGinkgo Bioworks Holdings, Inc.、Candy Digital, Inc.とFanatics Holdings, Inc.(既存投資先)の株式交換が含まれます。なお、SVF1は過年度において既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換したため、当項目において該当する投資の取得額および処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。
(注3)既存投資先からの現物配当として受領した投資について投資件数から控除しています。アームから受領した2銘柄(Treasure DataおよびAcetone Limited(Arm China株式の約48%を保有する中間持株会社))およびReef Global Inc.から受領した2銘柄(REEF Proximity Aggregator LLCおよびParking Aggregator LLC)が含まれます。
(注4)株式交換および投資先の組織再編による処分(売却)を含みます。
(注5)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。
(注6)公開株式には店頭市場で取引されているDiDi Global Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。
(注7)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
SVF2
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
(参考)
①エグジットした投資
②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注4)
③デリバティブ
④投資先からの利息および配当金
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)2019年10月の当社とWeWorkの合意に基づきSVF2が買い受けた同社担保付シニア債券(当第1四半期に同社が償還済み)(i)、2023年3月のWeWorkと主要な債券投資家およびSVF2等における同社の債務リストラクチャリングに対するサポートに係る合意に基づきSVF2が保有する転換社債(ii、iii)ならびに額面3.0億米ドルの債券(iv)を投資件数から控除しています。
(注3)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。当第2四半期にSVF2が保有していたXCOM Labs, Inc.の株式の一部をGlobalstar, Inc.の株式に交換し、当第4四半期にSVF2が保有していたODA Group Holding ASの株式をMathem Holdings ABの株式に交換しました。
(注4)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。
(注5)公開株式には店頭市場で取引されているPear Therapeutics, Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。
(注6)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。
LatAmファンド
当期末現在、LatAmファンドは累計投資額74億米ドルに対し累計リターンは63億米ドルとなり、活動開始来累計損失は11億米ドルとなりました。このうち当期の投資損益は5億米ドル(739億円)の利益です。
資金の状況
2024年3月31日現在
SVF1
(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
(注1)当期末現在、外部投資家の拠出額残高の292億米ドルのうち、133億米ドルはプリファード・エクイティ出資です。
SVF2
(注)コミットメント残額には再コール可能な払込資金返還額を含みます。
(参考:2024年3月31日現在 出資コミットメントの内訳)
(注)当期末現在、MgmtCoによる出資額の支払いは実施されていません。
(注1)SVF2 LLC(SVF II Investment Holdings LLC)はSVF2の傘下に設立された当社の子会社であり、共同出資プログラムの対象となる投資を間接的に保有しています。
当期末現在、LatAmファンドに対する出資コミットメント総額は78億米ドル、拠出額は74億米ドルです。
(c)ソフトバンク事業
<事業概要>当事業の業績には、ソフトバンク㈱および同社子会社が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスや広告サービス、コマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれています。「Beyond Carrier」戦略の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、通信以外の領域の拡大を目指しています。
<業績全般>セグメント利益は、前期比242,294百万円(40.9%)増加の835,076百万円となりました。これは、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益だったことに加えて、コンシューマ事業も増益に転じたことによるものです。その他の損益が大きく改善したことも寄与しました。なお、ソフトバンク㈱は前期第3四半期にPayPay㈱の子会社化に係る企業結合に伴う再測定益294,843百万円を計上しましたが、ソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表においてはPayPay㈱は従前より一貫して子会社であるため当該再測定益は計上していません。
コンシューマ事業は、主に物販売上やモバイルサービス売上、ブロードバンドサービス売上の増収効果で増益となりました。このうちモバイルサービス売上は、2021年春に実施した通信料値下げの影響が縮小傾向にある中、スマートフォン契約数が増加したことなどにより3期ぶりに増収となりました。メディア・EC事業は、コマース売上の増加やアカウント広告の成長に伴うメディア売上の増加に加えて、販売促進費や広告宣伝費の減少などにより増益となりました。エンタープライズ事業は、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスなどの売上が拡大したことなどにより増益となりました。
その他の損益の改善は、主に、日本郵政グループから受注した通信回線敷設工事等を巡る訴訟に関連し前期に計上していた引当金繰入額19,176百万円について、ソフトバンク㈱に賠償金等の支払いを命じた第一審判決が2024年3月の控訴審判決により破棄されたことに基づき当期に全額を戻し入れたことや、持分法適用関連会社であるWebtoon Entertainment Inc.などの持分変動利益20,299百万円を当期に計上したことによるものです。このほか、㈱出前館に係る持分法投資の減損損失を前期に31,304百万円、当期に22,345百万円それぞれ計上しました。その他の損益の詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。
なお、PayPay㈱およびPayPayカード㈱は主に決済取扱高の拡大に伴う売上の増加や、リボ払い残高の拡大に伴う金利収入の増加により損失が縮小しました。一部の残高チャージ方法(「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」)において新たに手数料を設定したことや、キャンペーン対象者の絞り込みなどにより費用が減少したことも損失縮小に寄与しました。
2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびに同社の中核完全子会社であるLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編に関する手続きを予定通り完了するとともに、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。今後、よりプロダクトファーストの組織体制の下で、経営統合によるシナジーの拡大の加速を目指します。
(d)アーム事業
(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は65,581百万円、前期は61,467百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。
アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。市場の売上高はその成長に応じて増加し、アームのロイヤルティー収入の増加をもたらします。また、市場の成長はアームの顧客による活発な製品設計活動を促す可能性があり、アームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、ライセンスおよびその他の収入の増加につながります。
アームは、コンピューティングの未来を築くため、研究開発投資を継続して強化しています。CPUや、グラフィックスプロセッサー、AIアクセラレーターおよび統合サブシステムなどの関連技術を開発することで、顧客が次世代のコンピューティングデバイスを開発できるようサポートしています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
(注)当第1四半期より、売上区分の名称を「テクノロジー・ロイヤルティー収入」および「非ロイヤルティー収入」から、それぞれ「ロイヤルティー収入」および「ライセンスおよびその他の収入」に変更しています。なお、集計方法については従来から変更ありません。
売上高は、前期から381百万米ドル(13.6%)増加しアーム史上最高となりました。
ロイヤルティー収入
ロイヤルティー収入は過去最高を記録した前期にわずかに及ばず、16百万米ドル(0.9%)減少しました。上期は、前期から続く世界的な半導体市場縮小の影響を受けて、特にスマートフォンおよびその他のコンシューマー・エレクトロニクス分野でロイヤルティー収入が伸び悩んだものの、下期は半導体市場全体の回復に加えて、アームの最新世代テクノロジーでありより高いロイヤルティー単価を見込める「Armv9」の普及を背景にロイヤルティー収入が力強く成長しました。当第4四半期は、四半期ベースのロイヤルティー収入がアーム史上最高となりました。WSTS(世界半導体市場統計)は2024年の世界半導体売上高は前年対比で13.1%増加すると予測しています6。市場の回復はアームのロイヤルティー収入を増加させるとともに、アームの注力分野である自動車やクラウド・サーバーでの市場シェア拡大、「Armv9」やアームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)といった最新技術の普及が、今後のロイヤルティー収入の一層の原動力となることが見込まれます。
ライセンスおよびその他の収入
ライセンスおよびその他の収入は前期から397百万米ドル(38.5%)増加し、過去最高となりました。これは、アームの顧客がAI技術への投資を増やしていることや、これらの顧客がサブスクリプション・モデルへ移行していることによるものです。顧客は、サブスクリプション・モデルへ移行することにより、より高いライセンス料を支払うことで、単一の技術のライセンスを得るのではなくより広範なアームの技術へアクセスすることが可能となります。当期において、アームは次世代スマートフォン、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション向けチップを開発する大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結しました。現在の旺盛なライセンス需要は、今後開発され数年後に市場に投入されるチップからのロイヤルティー収入の基盤となります。
セグメント利益
セグメント利益は、前期から81,878百万円悪化し、33,215百万円の損失となりました。これは主に、株式報酬費用の増加や、急速な研究開発体制の強化に伴い技術関連人員を中心に従業員の採用を進めたため、人件費が増加したことによるものです。当期において、アームの従業員数は1,133人(19%)増加し、新規採用の80%以上が技術関連人員でした。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット7
ライセンシーから報告された12カ月累計のロイヤルティー・ユニットの出荷数(2023年1~12月の出荷実績)は286億個となり、前年比6.5%減となりました。これは主に、2023年のスマートフォンの世界販売台数が前年から約4.7%減少8したことによるものです。一方、ハイエンドのスマートフォン向けに「Armv9」ベースのCPUの普及が進んだことや、自動車アプリケーションおよびクラウド・サーバー分野でアームの市場シェアが拡大したことが、スマートフォンの販売台数減少による影響を補ったことから、ロイヤルティー収入は前期比でほぼ横ばいとなりました。
<技術開発>当期、アームおよびライセンシー企業は技術開発に関する以下の発表を行いました。なお、各技術開発の詳細については、発表各社のウェブサイトに掲載されているプレスリリースをご参照ください。
・アームは、モバイルアプリケーションプロセッサー向けの「Arm Total Computeソリューション2023(TCS23)」を発表(2023年5月)。プレミアムモバイルコンピューティング向けプラットフォームである「TCS23」が、没入感あふれるゲーム、リアルタイム3D体験、次世代のAIアプリケーションを実現
・NVIDIA Corporationは、NVIDIA Grace CPU Superchipを搭載したスーパーコンピューターを発表(2023年5月)。当該コンピューターは、「Arm Neoverse」プラットフォームをベースとしたエネルギー効率に優れたスーパーコンピューターの新たな一角に
・NVIDIA Corporationとソフトバンク㈱は、生成AIと5G/6Gに向けた次世代プラットフォームの構築に向けて協業を発表(2023年5月)。当該プラットフォームはNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipがベースになっており、ソフトバンク㈱は今後構築する日本各地の新しい分散型AIデータセンターへの導入を予定
・アームは、「Arm Neoverse」プラットフォームの事前統合・検証済みの構成として「Arm Neoverse Compute Subsystems(CSS)」を発表(2023年8月)。サーバーやネットワーク機器向けのチップを開発する顧客は、開発コストを低減し、市場投入期間の短縮が可能に
・ルネサス エレクトロニクス㈱は、業界初となる「Arm Cortex-M85」コアを搭載した高性能マイクロコントローラーRA8シリーズを発表(2023年10月)。「Arm Helium」テクノロジーにより機械学習の処理性能が従来比4倍向上し、端末機器で優れたAI性能を実現
・MediaTek Inc.は、フラッグシップスマートフォン向けチップDimensity 9300を発表(2023年11月)。同チップは「Arm Cortex-X4」と「Arm Cortex-A720」をそれぞれ4基搭載した唯一のオールビッグコア設計に加え、「Arm Immortalis-G720」を採用。大規模言語モデルに対応し、デバイス上での生成AI処理性能を大幅に向上
・Microsoft Corporationは、サーバー向けの初の自社開発チップであるAzure Cobalt CPUを発表(2023年11月)。同CPUは128個の「Arm Neoverse」プロセッサーをベースにしており、現行世代のAzureサーバーチップと比較してワットあたりのパフォーマンスを40%向上
・アームは、AIインフラストラクチャーに必要なデータセンター、スーパーコンピューターおよびネットワーク機器向けのAI半導体チップの開発を加速する技術として、最新のプロセッサーコア「Neoverse V3」および「Neoverse N3」ならびにサブシステム「Arm Neoverse CSS V3」および「Arm Neoverse CSS N3」を発表(2024年2月)
・アームは、完全自動運転車の開発を加速する一連の新技術を発表(2024年3月)。車載用途に特化した「Armv9」ベースのプロセッサー群およびサブシステムに加えて、自動車の開発期間を最大2年短縮可能なバーチャル開発環境を提供
また、当期末以降に以下の技術開発に関する発表が行われました。
・Google LLCは、同社初となる自社開発のデータセンター向けアームベースCPU、Google Axionを発表(2024年4月)。同等の現行世代のx86ベースCPUと比較して最大50%の性能向上と、最大60%の高いエネルギー効率を実現
c.財政状態の状況
(注1)「SVFからの投資(FVTPL)」には、SVFが保有する当社の子会社への投資(主にPayPay㈱)および当社から移管後引き続き持分法を適用している投資(後者は「持分法で会計処理されている投資」に計上)を含みません。
(注2)期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことによる帳簿価額の増加を含みます。
(a)資産
主な科目別の増減理由
(注)米ドルに対する現地通貨高の影響を含みます。
(注1)このほか、SVF2が保有するSymbotic株式は「SVFからの投資(FVTPL)」に、SB Northstarが保有する同株式は「その他の金融資産(流動)」にそれぞれ含まれています。
(注2)ドイツテレコム株式は当社米国子会社が保有するため、米ドルに対するユーロ安の影響を含みます。
(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物
連結上の現金及び現金同等物は前期末比7,383億円減少の6兆1,869億円となり、そのうちソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社等の現金及び現金同等物は1兆610億円減少の3兆240億円となりました。詳細については「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(注1)2023年9月21日付で、当社の100%子会社であった汐留事業9号合同会社を吸収合併しました。当該吸収合併に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注2)2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編を完了し、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。当該グループ内再編に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注3)PayPay銀行㈱の現金及び現金同等物の当期末残高は248,298百万円です。
(注4)従前「その他」に含めて表示していた「アーム事業」について独立した項目として表示し、前期末についても遡及修正して表示しています。
(b)負債
主な科目別の増減理由
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(注1)資金調達を行う100%子会社の有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(注2)2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編を完了し、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。当該グループ内再編に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注3)PayPay銀行㈱の銀行業の預金は、有利子負債には含まれていません。
(注4)従前「その他」に含めて表示していた「アーム事業」について独立した項目として表示し、前期末についても遡及修正して表示しています。
前期末からの主な会社別の増減理由
(c)資本
主な科目別の増減理由
(2)キャッシュ・フローの状況
<重要な非資金取引>当期において、アリババ株式先渡売買契約の一部を現物決済しました。また、条件付対価の条件充足に伴いTモバイル株式48.8百万株を無償で取得しました。いずれの取引も非資金取引に該当するため、連結キャッシュ・フローへの影響はありません。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記44.連結キャッシュ・フロー計算書の補足情報(13)重要な非資金取引」をご参照ください。
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
法人所得税885,617百万円の支払いやSB Northstarにおける余剰資金運用を目的とした社債(主に残存年数が短い投資適格債)の取得による支出があったものの、営業活動によるキャッシュ・フローは250,547百万円のキャッシュ・イン・フロー(純額)となりました。
法人所得税の支払額には、ソフトバンクグループ㈱による法人所得税の支払368,632百万円が含まれます。これは主に、アリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済などに伴い生じた前期の課税所得に対する法人所得税を当第1四半期に支払ったことや、当第3四半期に法人所得税118,026百万円を中間納付したことによるものです。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(注1)短期有利子負債の収支には、IFRSにおける「純額によるキャッシュ・フローの報告」の要件を満たした財務活動によるキャッシュ・フローを記載しています。
(注2)借入による収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が1,813,733百万円、支出が1,721,319百万円、それぞれ含まれています。
(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報
i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源
ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)または投資ファンド(例えば、SVF1およびSVF2ならびにLatAmファンド)を通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの保有資産を資金化することで、回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や財務改善にも振り向けています。このほか、負債の返済原資等に充当する目的で社債の発行や金融機関からの借入を実施しています。
保有資産の資金化においては、保有資産の売却だけではなく、多様なアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約やマージンローンなど、保有資産を活用した資金調達)により、機動的な資金化を実現しています。また、SVFを通じた投資についても、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、投資先の上場を通じて資金化を行っています。
また、社債の発行においては、円建シニア社債だけではなく米ドルやユーロ建シニア社債、ハイブリッド社債など異なる商品性の債券を発行することで、国内外の様々な市場からの資金調達の機会を確保し、安定的な調達を図っています。
ii.当期における資本の財源と資金の流動性の分析
当期は、前期に大幅に抑制していた投資活動を徐々に再開し、ソフトバンクグループ㈱および100%子会社からの戦略投資およびSVFを通じた投資を行いました。財務活動においては、アリババ株式を利用した先渡売買契約による調達やアームの新規株式公開時の売り出しなど、引き続き保有資産の資金化を進めました。また、2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債や、国内普通社債などのリファイナンスも着実に実行しました。
主にこうした投資活動と財務活動の結果、当期末においても当社の手元流動性は今後2年間の社債償還に必要な資金を大幅に上回る水準を維持しています。
(3)生産、受注および販売の状況
当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「(1)財政状態及び経営成績の状況 b.セグメントの業績概況」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり必要となった重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記5.重要な判断および見積り」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
1.アームがNasdaq Global Select Marketへ上場 -2023年9月14日、アームが新規株式公開でNasdaq Global Select Marketへ上場。本新規株式公開において、当社100%子会社がアームの普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)102,500,000ADS(発行済株式総数の10%(注1))を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領 -本売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額6,744億円(46.5億米ドル)を計上 2.条件付対価の条件充足に伴い、Tモバイル株式48.8百万株を無償で取得 2020年4月1日に完了したT-Mobile USと当社米国子会社であったスプリントの合併取引の対価の一部として当社が受領した条件付対価の条件が2023年12月22日に充足されたことにより、2023年12月28日にTモバイル株式48.8百万株(77.4億米ドル(1.1兆円)相当)を無償で取得 3.業績ハイライト ◆ 投資損失5,594億円(前期の投資損失:8,351億円) -持株会社投資事業からの投資損失4,590億円 ・Tモバイル株式関連で3,711億円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円を補えず (アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円は、同株式を利用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1兆5,174億円(別科目「デリバティブ関連利益(投資損益を除く)」に計上)で相殺) -SVF事業からの投資損失1,673億円(当社子会社への投資に係る投資利益を含まない)(セグメント情報におけるSVF事業からの投資利益7,243億円は、SVFによる当社子会社(主にアーム)への投資に係る投資利益を含む) ・ByteDance、Coupang、DoorDashを含む一部の投資先の公正価値は増加したものの、WeWork株式および債券をはじめとする他の投資の公正価値の減少を補えず、未実現評価損失を計上 ・活動開始来累計損益はSVF1で167億米ドルのプラス、SVF2で193億米ドルのマイナス(注2) ※アームやソフトバンク㈱などの子会社は連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上せず ◆ 税引前利益578億円(前期比5,269億円改善) -財務費用5,560億円 -為替差損7,031億円:主にソフトバンクグループ㈱において米ドル建負債が米ドル建現預金・貸付金を上回っている中、円安となった影響により損失を計上 -デリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆5,023億円:アリババ株式の株価下落に伴い、同株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益を計上。上記の通り、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失を相殺 ◆ 親会社の所有者に帰属する純損失2,276億円(前期比7,425億円改善) -法人所得税1,514億円のマイナス(利益) -非支配持分に帰属する純利益4,369億円 4.資産の資金化と新規投資を継続 ◆ 資産の資金化 -アリババ株式を利用した先渡売買契約により43.9億米ドルを調達 -アームの新規株式公開に際して同社発行済株式総数10%相当の持分を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領 -SVFによる投資の売却で合計63.3億米ドルを受領(当社子会社へのアーム株式などの売却の対価を連結消去後)(注3) ◆ 新規投資 -SVFによる投資の取得で合計15.0億米ドルを支出(当社子会社への投資額を連結消去後)(注3) -ソフトバンクグループ㈱および100%子会社で戦略投資を中心に合計3,488億円を投資(注4) |
5.社債のリファイナンスを実行 ◆ 米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債のリファイナンスを完了 2023年4月に国内ハイブリッド社債2,220億円を発行し、同年5月のハイブリッドローン531億円(注5)の借入実行とあわせて、2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(20億米ドル)のリファイナンスを完了。また、2023年9月に、同月に初回任意償還日を迎えた国内ハイブリッド社債(154億円)のリファイナンスを完了 ◆ 国内普通社債のリファイナンスを実行 2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円を償還し、同年3月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円を発行。当期末以降、2024年4月に機関投資家向け国内普通社債1,000億円、同年6月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円をそれぞれ発行し、同年6月に満期を迎えた国内普通社債4,500億円を償還 |
(注1)2023年9月末の同社発行済株式総数(自己株式を除く)1,025,234,000株に基づき算出しています。
(注2)外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。
(注3)連結キャッシュ・フロー計算書で計上された金額です。
(注4)連結キャッシュ・フロー計算書の「投資の取得による支出」に含まれるソフトバンクグループ㈱および主要な100%子会社による支出額(米国債への投資を除く)に、Berkshire Grey, Inc.(2023年7月)およびBalyo SA(2023年10月)の子会社化に伴う外部株主への支出額と両社が保有していた現金及び現金同等物との差額を加えた金額です。
(注5)本ハイブリッドローンは、㈱日本格付研究所およびS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より資本性の認定(借入実行額の50%)を受けています。
<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>1. アーム株式のグループ内取引
①取引概要
アームの新規株式公開(以下「本新規株式公開」)に先立つ2023年8月、当社100%子会社はSVF1が保有していたアームの普通株式(発行済株式総数の24.99%相当)の実質的に全て(注6)を161億米ドル(以下「本取引対価」)で取得(以下「本取引」)しました。本取引対価は、当事者間の従前の契約上の条件を参照して決定されたものです。本取引対価は4分割で支払うこととなっており、2023年8月の取引完了時に第1回目の41億米ドルを支払い済みで、2025年8月までの2年間にわたって残りの3回分を支払う予定です。SVF1においては、第1回目の手取金41億米ドル全額を借入金の返済に充当しました。第2回目以降の手取金については、リミテッド・パートナーシップ・アグリーメントに定められた配分方法に基づき、当社を含むリミテッド・パートナーへの支払いなどに充当されます。
本取引対価の分割払いの支払タイミングおよび支払額の内訳
第1回目 | 第2回目 | 第3回目 | 第4回目 | |
支払タイミング | 2023年8月 | 2024年8月 | 2025年2月 | 2025年8月 |
支払額 | 41億米ドル | 41億米ドル | 41億米ドル | 38億米ドル |
なお、本取引に併せて、過去にアームからスピンアウトしたArm Technology (China) Co., Ltd.(以下「Arm China」)とTreasure Data, Inc.(以下「Treasure Data」)の持分の取得も合意しており、この両社の持分を含めたグループ内取引の対価は総額164億米ドルです。
(注6)本新規株式公開に先立つアームの組織再編完了後、SVF1はArm Limitedの完全親会社であるArm Holdings plcの普通株式1株を引き続き保有しています。
②連結財務諸表への主な影響
本取引対価の2023年8月時点の割引現在価値は151億米ドルです。SVF1では、この151億米ドルから投資額82億米ドルを差し引いた69億米ドルが2023年8月時点の投資利益となります。161億米ドルと151億米ドルの差額については、2025年8月までの2年間にわたって投資利益として計上します。
セグメント情報のソフトバンク・ビジョン・ファンド事業では、当期において「SVF事業からの投資利益」に、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。ただし、本取引はグループ内で行われた当社子会社株式の譲渡のため、これらの投資利益は連結上消去します。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益は、投資利益のうち外部投資家に帰属する利益が控除されています。外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書にも計上されています。
セグメント情報と連結損益計算書の差異 (単位:百万円)
(セグメント情報) ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | 調整額 | 連結損益計算書 | |||
SVF事業からの投資損益 | 724,341 | △891,631 | △167,290 | ||
子会社等に係る投資損益 | 891,631 | △891,631 | - | ||
うち、アーム株式に係る投資損益 | 807,320 | △807,320 | - | ||
子会社等以外に係る投資損益 | △167,290 | - | △167,290 | ||
SVFにおける外部投資家持分の増減 | △390,137 | - | △390,137 |
2. アームの新規株式公開
①取引概要
2023年9月14日、アームは本新規株式公開においてティッカーシンボル「ARM」でNasdaq Global Select Marketへの上場を果たしました。本新規株式公開においては、当社100%子会社がアームの普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)102,500,000ADS(発行済株式総数の10%)を1ADS当たり51.00米ドルの公開価格で売り出しました(以下「本売出し」)。
②連結財務諸表への主な影響
本売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、本売出しによる売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額674,370百万円(46.5億米ドル)を計上しました。また、連結キャッシュ・フロー計算書において、財務活動によるキャッシュ・フローの「非支配持分への子会社持分の一部売却による収入」に手取金745,082百万円(51.2億米ドル)を計上しました。
なお、アームは引き続き当社の子会社であり、連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上されません。
<条件付対価の条件充足に伴う、Tモバイル株式48.8百万株の無償での取得>①取引概要
当社は、T-Mobile US, Inc.、当社およびDeutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)の間で締結された2020年2月20日付のレターアグリーメントに基づき、2020年4月1日に完了したT-Mobile US, Inc.と当社米国子会社であったスプリントの合併取引(以下「本合併取引」)の対価の一部として、一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株(以下「本株式」)を無償で取得できる権利を受領していました(以下「条件付対価」)。2023年12月22日に当該条件が充足されたことに伴い、2023年12月28日に本株式(7,744百万米ドル(1,098,435百万円)相当)を無償で取得しました。
②連結財務諸表への主な影響
2020年4月1日の本合併取引完了時、当社は条件付対価の公正価値1,825百万米ドル(196,313百万円)をスプリント売却益の一部として連結損益計算書に計上するとともに、「デリバティブ金融資産」として連結財政状態計算書に計上しました。その後、公正価値の変動を連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に計上してきました。
本株式の取得日である2023年12月28日に当該デリバティブ金融資産(同日の公正価値:7,744百万米ドル(1,098,435百万円))の認識を中止するとともに、本株式を「投資有価証券」として同額で連結財政状態計算書に計上しました。当期においては、連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に227,012百万円の利益を計上しました。このほか、従来から保有するTモバイル株式と合わせて「持株会社投資事業からの投資損益(投資の未実現評価損益)」に154,538百万円の利益を計上しました。このうち2023年12月28日に受領した本株式に係る投資の未実現評価利益は31,440百万円です。
当第3四半期末時点で、SVF1および2が保有する同社株式およびワラント、ならびにSVF2が保有する同社債券の帳簿価額は0円まで引き下げています。また、金融機関から同社への支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートについては、当第2四半期末までに支払保証枠の未履行分も含めた全額を金融保証契約損失評価引当金として計上し、当第3四半期に保証を履行しました。なお、2024年6月11日に、WeWorkは米国連邦破産法11条に基づく手続きを完了したと発表しました。
(単位:百万円)
連結損益計算書 | ||
計上科目 | 当期計上額 | |
SVF1および2が保有するWeWork株式およびワラント | SVF事業からの投資損益 | △115,796 |
持分法による投資損益 /その他の損益 | △5,082 | |
SVF2が保有する額面4.6億米ドルの転換社債 | SVF事業からの投資損益 | △25,924 |
当社およびSVF2が保有していた額面16.5億米ドルのWeWork無担保債券(当第1四半期に株式および転換社債に交換) | その他の損益 (WeWork無担保債券の認識中止損失) | △21,579 |
SVF2が保有していた額面3.0億米ドルのWeWork担保付シニア債券(当第1四半期に償還) | SVF事業からの投資損益 | 439 |
その他の損益 | 16 | |
SVF2が保有する額面3億米ドルのWeWork債券 (当第1四半期末時点では同債券の買い受けに係る貸出コミットメント、当第2四半期に同債券を買い受け) | SVF事業からの投資損益 | △41,810 |
金融機関からWeWorkへの最大14.3億米ドルの支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポート (当第3四半期に保証を履行済み) | その他の損益 (WeWorkクレジットサポート関連損失) | △42,072 |
合計 | △251,808 |
為替換算レート
2023年3月期 | 2024年3月期 | |||||||
1米ドル | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 |
期中平均 レート | 129.04円 | 138.68円 | 141.16円 | 133.26円 | 138.11円 | 145.44円 | 147.00円 | 147.87円 |
期末日 レート | 133.53円 | 151.41円 |
a.連結経営成績の状況
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2023年 | 2024年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 6,570,439 | 6,756,500 | 186,061 | 2.8% | A |
売上総利益 | 3,328,042 | 3,542,392 | 214,350 | 6.4% | |
投資損益 | |||||
持株会社投資事業からの投資損益 | 4,560,500 | △459,045 | △5,019,545 | - | B |
SVF事業からの投資損益 | △5,322,265 | △167,290 | 5,154,975 | - | C |
その他の投資損益 | △73,294 | 66,985 | 140,279 | - | D |
投資損益合計 | △835,059 | △559,350 | 275,709 | - | |
販売費及び一般管理費 | △2,695,328 | △2,982,383 | △287,055 | 10.7% | |
財務費用 | △555,902 | △556,004 | △102 | 0.0% | E |
為替差損益 | △772,270 | △703,122 | 69,148 | - | F |
持分法による投資損益 | △96,677 | △38,641 | 58,036 | - | G |
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | 54,256 | 1,502,326 | 1,448,070 | - | H |
SVFにおける外部投資家持分の増減額 | 1,127,949 | △390,137 | △1,518,086 | - | I |
その他の損益 | △24,138 | 242,720 | 266,858 | - | J |
税引前利益 | △469,127 | 57,801 | 526,928 | - | |
法人所得税 | △320,674 | 151,416 | 472,090 | - | K |
純利益 | △789,801 | 209,217 | 999,018 | - | |
非支配持分に帰属する利益 | △180,343 | △436,863 | △256,520 | - | |
親会社の所有者に帰属する純利益 | △970,144 | △227,646 | 742,498 | - | |
包括利益合計 | 468,140 | 2,241,441 | 1,773,301 | 378.8% | |
親会社の所有者に帰属する包括利益 | 293,116 | 1,809,984 | 1,516,868 | 517.5% |
以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業およびアーム事業はいずれも増収となりました。詳細は「b. セグメントの業績概況」の「(c)ソフトバンク事業」および「(d)アーム事業」をご参照ください。
B 持株会社投資事業からの投資損益
持株会社投資事業からの投資損失は459,045百万円となりました。これは主に、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値の上昇に伴うデリバティブ関連利益や同株式の未実現評価益などTモバイル株式関連で371,108百万円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失959,935百万円が大きく上回ったことによるものです。詳細は「b. セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C SVF事業からの投資損益
SVF事業からの投資損失は167,290百万円となりました。その内訳は、SVF1で37,903百万円の損失、SVF2で231,329百万円の損失、LatAmファンドで73,862百万円の利益、その他で28,080百万円の利益です。
SVF1においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式の売却1により投資の実現益19,892百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資の未実現評価損失77,693百万円(純額)を計上しました。当期末に保有する投資のうち、公開投資先については株価上昇に伴い合計42,648百万円の未実現評価益(純額)を計上した一方、未公開投資先についてはBytedance Ltd.を含む一部の投資先の公正価値が増加したものの、主に業績の低迷を反映して他の投資先の公正価値が減少したことに伴い合計120,341百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。
SVF2においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式などの売却1により投資の実現損失107,912百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資について、2023年11月に米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請したWeWork株式および債券の公正価値を0円まで引き下げたことに加え、主に業績の低迷を反映して未公開投資先の公正価値が減少した結果、合計261,865百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。
LatAmファンドにおいては、主に公開投資先の株価上昇により、合計67,227百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。
なお、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」には、SVFからアームやPayPay㈱などの当社子会社への投資に係る投資損益は含まれません。
詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。
D その他の投資損益
その他の投資利益は66,985百万円となりました。当社100%子会社が2023年7月に取得したSymbotic Inc.(以下「Symbotic」)株式の株価上昇に伴う評価益などです。
主にB~Dの結果、投資損益合計は559,350百万円の損失となりました。
E 財務費用
ソフトバンクグループ㈱2の支払利息が前期比6,781百万円増の403,021百万円となりました。これは主に、前期第2四半期にアリババ株式を活用したマージンローンの全額返済、前期第3四半期に外貨建普通社債の買入れ、当第1四半期に外貨建普通社債の満期償還をそれぞれ行ったことにより、これらに係る支払利息が減少した一方、ベース金利の上昇および為替換算レートの円安進行の影響でアーム株式を活用したファイナンスに係る支払利息が増加したことによるものです。
F 為替差損益
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,122百万円(純額)を計上しました。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど機能通貨が外貨(主に米ドル)の在外子会社・関連会社の純資産については、為替換算レートが円安となったことにより円換算後の価値が増加しましたが、そのプラス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の増加額2,009,461百万円として計上されています。
G 持分法による投資損益
前期にはアリババに係る持分法投資損失25,394百万円3が計上されていましたが、同社は前期第2四半期に当社関連会社から除外されています。
H デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。
なお、デリバティブ関連損益のうち、株式の取得や売却などの投資活動に係るデリバティブから生じる損益は「投資損
益」に含まれています。例えば、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値変動に伴うデリバティブ関連損益がこれに該当します。一方で、投資活動以外のもの、特に資金調達に伴うデリバティブから生じる損益は「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」に含まれています。例えば、アリババ株式やTモバイル株式を活用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連損益がこれに該当します。
I SVFにおける外部投資家持分の増減額
「SVFにおける外部投資家持分の増減額」は、SVFの投資損益から当社100%子会社である運営会社が受領する管理報酬や成功報酬、SVFの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された、外部投資家に帰属する損益です。連結損益計算書においては、通常、SVFにおいて投資利益を計上した場合には外部投資家に帰属する利益が外部投資家持分の増加額として費用方向(マイナス)に、投資損失を計上した場合には外部投資家に帰属する損失が外部投資家持分の減少額として利益方向(プラス)に寄与します。
しかし、当期においては、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」が167,290百万円の損失となったにもかかわらず、「SVFにおける外部投資家持分の増減額」が390,137百万円のマイナスになりました。これは主に、2023年8月にSVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社に売却した結果、SVFにおいて807,320百万円の投資利益を計上したことによるものです。本取引は当社子会社株式のグループ内譲渡のため、当該投資利益は連結消去されます。一方で、当該投資利益のうち外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書に計上されています。
詳細は、「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>1. アーム株式のグループ内取引」をご参照ください。
J その他の損益
当社100%子会社であったSBエナジー㈱株式の85%を売却した結果、同社に対する支配を喪失したことに伴い、子会社の支配喪失利益108,832百万円を計上しました。また、主に米ドル建預金の金利上昇に伴いソフトバンクグループ㈱の受取利息が前期比62,171百万円増の130,854百万円となりました。その他の内訳は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。
主にA~Jの結果、税引前利益は前期比526,928百万円改善の57,801百万円の利益となりました。
K 法人所得税
法人所得税は、151,416百万円のマイナス(利益)となりました。これは主に、ソフトバンク㈱などの事業会社で当期税金費用429,070百万円を計上した一方で、繰延税金費用を利益方向に580,486百万円計上したことによるものです。
繰延税金費用を利益方向に計上したのは、主に、資金調達を目的とした当社100%子会社であるSkybridge LLCにおいて2021年10月以降段階的に実施してきたアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済が2024年1月に全て完了したことに伴い、当該アリババ株式および関連するデリバティブに係る将来の課税見込みに基づき前期末に計上していた繰延税金負債を取り崩したことによるものです。
主にA~Kの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比742,498百万円改善の227,646百万円の損失となりました。
b.セグメントの業績概況
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当期末現在、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つを報告セグメントとしています。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
セグメント名称 | 主な事業の内容 | 主な会社 | |
報告セグメント | |||
持株会社投資事業 | ・ソフトバンクグループ㈱およびその子会社による投資事業 | ソフトバンクグループ㈱ SoftBank Group Capital Limited ソフトバンクグループジャパン㈱ ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社 SB Northstar LP | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | ・SVF1、SVF2およびLatAmファンドによる投資事業 | SB Investment Advisers (UK) Limited SoftBank Vision Fund L.P. SB Global Advisers Limited SoftBank Vision Fund II-2 L.P. SBLA Latin America Fund LLC | |
ソフトバンク事業(注1) | ・コンシューマ事業:個人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドサービスの提供 ・エンタープライズ事業:法人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスやソリューションサービスの提供 ・ディストリビューション事業:法人顧客を対象としたICTサービス商材の提供、個人顧客を対象とした通信端末関連商品・IoT機器の提供 ・メディア・EC事業:メディア・広告やコマースサービスの提供 ・ファイナンス事業:決済、金融サービスの提供 | ソフトバンク㈱ LINEヤフー㈱ PayPay㈱ | |
アーム事業 | ・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン ・ソフトウエアツールの販売および関連サービスの提供 | Arm Holdings plc | |
その他 | ・オルタナティブ投資の資産運用事業 ・福岡ソフトバンクホークス関連事業 | Fortress Investment Group LLC(注2) 福岡ソフトバンクホークス㈱ |
(注1)当第1四半期よりソフトバンク事業の管理区分の名称を一部見直し、「コンシューマ」、「法人」、「流通」、「ヤフー・LINE」、「金融」から「コンシューマ」、「エンタープライズ」、「ディストリビューション」、「メディア・EC」、「ファイナンス」へ変更しています。
(注2)2024年5月14日、ソフトバンクグループ㈱は、子会社を通じて保有するFortress Investment Group LLCの全持分をMubadala Investment Company PJSCの子会社に売却しました。本取引の完了をもって、同社はソフトバンクグループ㈱の子会社でなくなりました。
(a)持株会社投資事業
1.Tモバイル株式関連で3,711億円の投資利益を計上 - 2020年4月1日に完了したT-Mobile USとスプリントの合併取引の対価の一部として当社が受領した条件付対価の条件が2023年12月22日に充足されたことにより、2023年12月28日にTモバイル株式48.8百万株(77.4億米ドル(1.1兆円)相当)を無償で取得 - 条件付対価の公正価値上昇に伴い、投資に係るデリバティブ関連利益2,270億円を計上。このほか、従来から保有するTモバイル株式と合わせて投資の未実現評価利益1,545億円を計上(うち2023年12月28日に受領した株式に係る利益は314億円) 2.主に、Tモバイル株式関連利益をアリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円が上回ったことにより、投資損失4,590億円を計上 3.上記の投資損失を大きく上回るデリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆5,000億円を計上したものの、財務費用4,738億円や為替差損7,034億円などを計上した結果、975億円のセグメント損失に |
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SoftBank Group Capital Limited、ソフトバンクグループジャパン㈱、ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなどであり、そのほとんどがFVTPLの金融資産として認識されるものです。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
アリババ
当社が保有するアリババ株式については、FVTPLの金融資産に分類しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。また、アリババ株式を利用した先渡売買契約等について、デリバティブ金融資産・負債を認識しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として連結損益計算書に計上しています。
資産運用子会社からの上場株式や社債等への投資
SB Northstarはソフトバンクグループ㈱の余剰資金を用いて上場株式や社債等の取得および売却を行っています。当期における資産運用子会社に係る投資損失は696億円(活動開始来の累計投資損失:9,620億円)(注)、当期末における投資残高は3,477億円(うち、社債:2,649億円)です。社債は主に残存年数が短い投資適格債に投資しています。
同社における持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。ソフトバンクグループ㈱が同社に対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。
(注)累計投資損失は、SB NorthstarからSB Investment Advisers (US) Inc.子会社のSPAC(特別買収目的会社)3社への投資の影響を含まない金額です。
<業績全般>
(単位:百万円) | |||||||
3月31日に終了した1年間 | |||||||
2023年 | 2024年 | 増減 | 増減率 | ||||
持株会社投資事業からの投資損益 | 4,560,568 | △459,045 | △5,019,613 | - | A | ||
アリババ株式先渡売買契約決済益 | 4,838,251 | - | △4,838,251 | - | |||
Tモバイル株式売却関連損益 | 24,842 | - | △24,842 | - | |||
資産運用子会社からの投資の実現損益 | △73,950 | △90,360 | △16,410 | - | |||
資産運用子会社からの投資の未実現評価損益 | △67,054 | 12,692 | 79,746 | - | |||
資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関 連損益 | △5,102 | △792 | 4,310 | - | |||
投資の実現損益(注1) | △235,617 | △38,429 | 197,188 | - | |||
投資の未実現評価損益 | △144,198 | △611,627 | △467,429 | - | |||
当期計上額 | △132,423 | △647,414 | △514,991 | - | |||
過年度計上額のうち実現損益への振替額(注1) | △11,775 | 35,787 | 47,562 | - | |||
投資に係るデリバティブ関連損益 | 205,506 | 226,050 | 20,544 | 10.0% | |||
為替換算影響額(注2) | - | 6,532 | 6,532 | - | |||
その他 | 17,890 | 36,889 | 18,999 | 106.2% | |||
販売費及び一般管理費 | △73,796 | △89,285 | △15,489 | 21.0% | |||
財務費用 | △398,541 | △473,811 | △75,270 | 18.9% | B | ||
為替差損益 | △772,053 | △703,438 | 68,615 | - | C | ||
持分法による投資損益 | △22,836 | 1,904 | 24,740 | - | |||
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) (主にアリババ株式の先渡売買契約の影響) | 65,732 | 1,500,015 | 1,434,283 | - | D | ||
その他の損益 | △9,228 | 126,134 | 135,362 | - | |||
セグメント利益(税引前利益) | 3,349,846 | △97,526 | △3,447,372 | - |
(注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
(注2)投資の未実現評価損益は当該評価損益が生じた四半期の平均為替レートを用いて換算する一方、投資の実現損益は当該株式を処分した四半期の平均為替レートを用いて換算します。「為替換算影響額」は、未実現評価損益と実現損益の換算に使用する為替レートの差により生じた金額です。
A 持株会社投資事業からの投資損失:459,045百万円
・投資の未実現評価損失611,627百万円を計上しました。これは主に、Tモバイルの株価上昇に伴い同株式に係る未実現評価利益154,538百万円を計上した一方、アリババの株価下落に伴い同株式に係る未実現評価損失913,156百万円を計上したことによるものです。
・投資に係るデリバティブ関連利益226,050百万円を計上しました。これは主に、条件付対価に係るデリバティブ関連利益227,012百万円を計上したことによるものです。
B 財務費用:473,811百万円(前期比75,270百万円増加)
ソフトバンクグループ㈱2のグループ外への支払利息は前期比6,781百万円増の403,021百万円とほぼ横ばいに留まったものの、2023年8月に行ったSVF1からのアーム株式の取得の対価のうち未払金に係る償却原価67,390百万円を計上しました。なお、当該償却原価は連結上、消去されています。
C 為替差損:703,438百万円
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,438百万円(純額)を計上しました。
D デリバティブ関連利益(投資損益を除く):1,500,015百万円
アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。
(参考情報)資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響
(単位:百万円) | |||
2024年3月31日 | |||
現金及び現金同等物 | 794,508 | ||
資産運用子会社からの投資 | 347,679 | ||
うち、社債 | 264,854 | ||
資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産 | 11 | ||
その他の金融資産 | 3,672 | ||
その他 | 4,660 | ||
資産合計 | 1,150,530 | ||
その他の金融負債 | 3,672 | ||
その他 | 521 | ||
負債合計 | 4,193 | ||
Delaware子会社からの出資(注1) | 1,971,699 | ||
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への現金出資相当額 | 39,786 | ||
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への貸付相当額 (ソフトバンクグループ㈱からの運用委託金) | 1,912,020 | ||
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 | 19,893 | A | |
利益剰余金 | △994,680 | B | |
為替換算差額 | 169,318 | ||
純資産 | 1,146,337 | C |
(注1)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額
(非支配持分の計算)
(単位:百万円) | ||
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 | 19,893 | A |
非支配持分損益(累計)(注2) | △331,460 | |
為替換算差額 | 64,557 | |
非支配持分(孫 正義の持分) | △247,010 | D |
(注2)表中Bの3分の1
(純資産(上記C)に対する持分)
(単位:百万円) | ||
ソフトバンクグループ㈱の持分 | 1,393,347 | |
非支配持分(孫 正義の持分) | △247,010 | D |
純資産 | 1,146,337 | C |
当事業における主な有利子負債およびリース負債
借入者 | 種別 | 当期末連結 財政状態計算書残高 |
ソフトバンクグループ㈱ | 借入金 | 4,630億円 |
社債 | 6兆1,476億円 | |
リース負債 | 94億円 | |
コマーシャル・ペーパー | 1,765億円 | |
資金調達を行う100%子会社 (注) | アーム株式を利用した借入(マージンローン) | 1兆2,749億円 |
アリババ株式を利用した株式先渡売買契約(カラー契約およびフォワード契約) | 4兆6,766億円 | |
ソフトバンク㈱株式を利用した借入(マージンローン) | 4,988億円 | |
Tモバイル株式を利用した株式先渡売買契約(カラー契約) | 4,322億円 | |
ドイツテレコム株式を利用したカラー取引 | 4,969億円 |
(注)資金調達を行う100%子会社による借入はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
1.活動開始来累計損益はSVF1で167億米ドルのプラス、SVF2で193億米ドルのマイナス(注1) SVF1:投資額896億米ドルに対しリターン(注2)1,063億米ドル、活動開始来累計利益は167億米ドル ・当期の投資利益は53億米ドル(7,689億円)。当社100%子会社へのアーム株式の売却による投資利益56億米ドル(8,073億円)を含む ・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比0.4%減少(注3) -公開投資先(注4):前四半期末比0.9%増加。Coupang、DoorDashなどの株価が上昇 -未公開投資先(注4):前四半期末比1.2%減少。主に業績の低迷を反映し複数の銘柄の公正価値が減少 SVF2:投資額524億米ドルに対しリターン331億米ドル、活動開始来累計損失は193億米ドル ・当期の投資損失は10億米ドル(1,465億円) ・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比1.1%減少 -公開投資先:前四半期末比10.3%減少。AutoStore、Symboticなどの株価が下落 -未公開投資先:前四半期末比0.4%増加。公開類似企業の株価上昇などを反映 なお、SVFによる当社子会社(主にアーム)への投資に係る投資損益は当事業における「SVF事業からの投資損益」に含まれるが、連結上消去され、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれない。
2.規律あるアプローチの下で資金化および投資を継続 ◆当期にSVF2で21.4億米ドルを投資1 ◆当期にSVF1およびSVF2でアームを含む17銘柄の全株式および複数の銘柄の一部株式などを合計219.9億米ドルで売却1 |
(注1)累計リターンおよび投資損益は外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。以下本項の累計パフォーマンスの表示において同じです。
(注2)売却額等+保有投資の公正価値。以下同じです。
(注3)当第4四半期中に実行した投資と売却による変動を除いた公正価値(米ドルベース)の増減率です。なお、投資先の公開/未公開の区分は、当第4四半期末時点の状態に基づいており、当第4四半期中に公開/未公開の区分が変更になった投資先については、当第3四半期末の状態を当第4四半期末時点の状態に合わせた上で比較を行っています。以下本項における四半期末に保有する投資の公正価値の増減において同じです。
(注4)公開投資先は証券取引所および店頭市場で取引される株式を、未公開投資先は公開投資先に該当しない投資先を指します。以下同じです。
(注5)「エグジットした投資」の当期損益計上額は、当該投資のエグジット金額から投資額を差し引いた金額です。過年度または当期第3四半期までに計上した当該投資に係る未実現評価損益については、「当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替」に表示しています。そのため、「エグジット前の投資」の当期第3四半期までの決算において開示した各四半期の損益計上額と、上記「当期1~3月」の損益計上額との合計は、上記「当期累計」の損益計上額と一致しない場合があります。
(注6)投資額は、デリバティブについてはデリバティブ原価を表します。リターンは、エグジットした投資についてはエグジット金額を、エグジット前の投資については公正価値を、デリバティブについては既決済契約の決済額または未決済契約の公正価値を、受取利息または配当金については各受領額を指します。
<事業概要>当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド(LatAmファンド)における投資および事業活動の結果が含まれています。
当事業における主なファンドの概要
2024年3月31日現在
AIを活用した成長可能性の大きな企業へ投資し、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。SVF1の投資期間は終了しましたが、固定分配やファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。
SVF1 | SVF2 | LatAmファンド | |
主なリミテッド・ パートナーシップ | SoftBank Vision Fund L.P. | SoftBank Vision Fund II-2 L.P. | SBLA Latin America Fund LLC |
出資コミットメント総額 | 986億米ドル | 598億米ドル(注2) | 78億米ドル(注2) |
当社:331億米ドル(注1) 外部投資家:655億米ドル | 当社:572億米ドル 外部投資家(MgmtCo): 26億米ドル(注3) | 当社:74億米ドル 外部投資家(MgmtCo): 4億米ドル(注3) | |
運営会社 | SBIA(当社英国100%子会社) | SBGA(当社英国100%子会社) | |
投資期間 | 2019年9月12日に終了 | 運営会社の裁量により決定 | |
存続期間 | 2029年11月20日まで (SBIAに最大2回の1年 延長オプションあり) | 2032年10月4日まで (SBGAに最大2回の1年延長オプションあり) |
(注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
(注2)2023年9月27日から、SVF2の出資コミットメント残額は、40億米ドルを上限として運営会社であるSBGAの裁量でLatAmファンドに配分することが可能となりました。係る配分がなされた場合、SVF2の出資コミットメント総額は減少することとなります。
(注3)SVF2およびLatAmファンドには当社経営陣による共同出資プログラムが導入されており、経営陣の投資エンティティであるMASA USA LLC(以下「MgmtCo」)が参画しています。当社連結財務諸表上、MgmtCoの出資持分は外部投資家持分として扱われています。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記45.関連当事者(1)関連当事者との取引 a.配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。
SVFにおける借入
SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、レバレッジの活用や手元流動性の確保などを目的として、ソフトバンクグループ㈱にはノンリコースの借入を独自に行うことがあります。このような借入には、例えばリターンの向上およびリミテッド・パートナーへの分配を目的とした保有資産を活用するアセットバック・ファイナンスがあります。
投資先の公正価値評価
SVF1、SVF2およびLatAmファンドはIFRS第13号「公正価値測定」に従い、SBIA Global Valuation PolicyおよびInternational Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines(IPEVガイドライン)に基づいて、毎四半期末日における投資先の公正価値を算定しています。公開投資先のうち、証券取引所で取引される株式については相場価格を用いて、店頭市場で取引される株式については相場価格および観察可能なその他のインプットを単一もしくは複数用いて公正価値を算定しています。未公開投資先の公正価値算定については、公開類似企業の情報を用いたマーケット・アプローチ、予想される将来キャッシュ・フローを用いたインカム・アプローチに加えて、直近の資金調達ラウンドや類似取引の価格を用いた取引事例法などの評価手法を単一もしくは複数用いています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||||||
3月31日に終了した1年間 | ||||||||
2023年 | 2024年 | 増減 | 増減率 | |||||
SVF事業からの投資損益(注1) | △5,279,494 | 724,341 | 6,003,835 | - | A | |||
SVF1、SVF2およびLatAmファンドからの投資損益 | △5,298,458 | 696,261 | 5,994,719 | - | ||||
投資の実現損益(注2) | 78,616 | 984,409 | 905,793 | - | ||||
投資の未実現評価損益 | △5,267,270 | △144,835 | 5,122,435 | - | ||||
当期計上額 | △4,978,591 | △189,604 | 4,788,987 | - | ||||
過年度計上額のうち実現損益への振替額 (注2) | △288,679 | 44,769 | 333,448 | - | ||||
投資先からの利息及び配当金 | 1,512 | 21,668 | 20,156 | - | ||||
投資に係るデリバティブ関連損益 | 14,537 | △7,337 | △21,874 | - | ||||
為替換算影響額 | △125,853 | △157,644 | △31,791 | - | ||||
その他の投資損益 | 18,964 | 28,080 | 9,116 | 48.1% | ||||
販売費及び一般管理費 | △65,999 | △84,986 | △18,987 | 28.8% | ||||
財務費用 | △81,181 | △74,322 | 6,859 | △8.4% | ||||
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | 907 | - | △907 | - | ||||
SVFにおける外部投資家持分の増減額 | 1,127,949 | △390,137 | △1,518,086 | - | B | |||
その他の損益 | △10,473 | △46,717 | △36,244 | - | ||||
セグメント利益(税引前利益) | △4,308,291 | 128,179 | 4,436,470 | - |
(注1)SVFによる当社子会社(主にアーム、PayPay㈱)への投資に係る投資損益は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益において「SVF事業からの投資損益」に含まれますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれません。
(注2)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
SVF1およびSVF2の投資・売却実績
(単位:十億米ドル) | |||||||||||
当期投資実行額 | 当期売却額4 | ||||||||||
Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 累計 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 累計 | ||
SVF1 | - | - | - | - | - | 0.56 | 16.36 | 2.04 | 2.41 | 21.37 | |
SVF2 | 1.56 | 0.37 | 0.09 | 0.12 | 2.14 | 0.33 | 0.12 | 0.12 | 0.05 | 0.62 | |
合計 | 1.56 | 0.37 | 0.09 | 0.12 | 2.14 | 0.89 | 16.48 | 2.16 | 2.46 | 21.99 |
(注)投資額は、新規および既存投資先への追加投資を含みます。
セグメント利益
A SVF事業からの投資利益:724,341百万円
(単位:百万円) | |||
3月31日に終了した1年間 | |||
2023年 | 2024年 | 増減 | |
SVF1からの投資損益 | △2,311,213 | 768,891 | 3,080,104 |
SVF2からの投資損益 | △2,445,427 | △146,472 | 2,298,955 |
LatAmファンドからの投資損益 | △541,818 | 73,862 | 615,680 |
その他の投資損益等 | 18,964 | 28,060 | 9,096 |
SVF事業からの投資損益(A) | △5,279,494 | 724,341 | 6,003,835 |
当社子会社等への投資に係る投資損益(B) | 42,771 | 891,631 | 848,860 |
連結損益計算書における SVF事業からの投資損益(A)-(B) | △5,322,265 | △167,290 | 5,154,975 |
当期の「当社子会社等への投資に係る投資損益」には、主にアームへの投資に係る投資利益807,320百万円(56億米ドル)が含まれています。2023年8月に、SVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社へ売却したことにより、当事業において、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。当該売却の詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>」をご参照ください。
B SVFにおける外部投資家持分の増減額:△390,137百万円
各ファンドからの投資損益から、①SBIAがSVF1から受領する管理報酬および成功報酬、②SBGAがSVF2から受領する管理報酬および業績連動型管理報酬、③SBGAがLatAmファンドから受領する管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬、④各ファンドの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された外部投資家に帰属する損益です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 (2)SVFにおける外部投資家持分」をご参照ください。
投資の状況
2024年3月31日現在
SVF1
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
累計 投資銘柄数 | 累計 投資額 | 累計 リターン | 累計損益 (注1) | 投資損益 当期計上額 | ||||
1~3月 | 累計 | |||||||
102 | 89.6 | 106.3 | 16.7 | 0.0 | 5.3 |
(参考)
累計 投資銘柄数 | 累計 投資額 | 累計 リターン | 累計損益 (注1) | ||
株式交換による影響(注2) | △4 | △2.0 | △2.0 | - | |
現物配当による影響(注3) | △4 | - | - | - | |
上記による影響考慮後 | 94 | 87.6 | 104.3 | 16.7 |
①エグジットした投資
銘柄数 | 投資額 | エグジット 金額 | 累計 実現損益 (注1) | 実現損益 当期計上額 | ||||
1~3月 | 累計 | |||||||
一部エグジット | - | 7.6 | 16.9 | 9.3 | 0.6 | |||
全部エグジット(注4) | 34 | 30.4 | 47.2 | 16.8 | 6.7 | |||
合計 | 34 | 38.0 | 64.1 | 26.1 | 0.4 | 7.3 |
②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注5)
銘柄数 | 投資額 | 公正価値 | 累計未実現 評価損益 (注7) | 未実現評価損益 当期計上額 | ||||
1~3月 | 累計 | |||||||
公開投資(注6) | 21 | 26.4 | 16.0 | △10.4 | 0.1 | 0.3 | ||
未公開投資 | 47 | 25.2 | 23.9 | △1.3 | △0.2 | △0.9 | ||
合計 | 68 | 51.6 | 39.9 | △11.7 | △0.1 | △0.6 |
③デリバティブ
デリバ ティブ 原価 | 公正価値 /決済額 | 累計 デリバ ティブ 関連損益 | デリバティブ関連損益当期計上額 | |||||
1~3月 | 累計 | |||||||
未決済 | △0.0 | △0.0 | △0.0 | △0.0 | ||||
既決済 | 0.0 | 1.4 | 1.4 | △0.0 | ||||
合計 | △0.0 | 1.4 | 1.4 | △0.1 | △0.0 |
④投資先からの利息および配当金
利息および 配当金 | 累計損益 | 利息および配当金 当期計上額 | ||||||
1~3月 | 累計 | |||||||
合計 | 0.9 | 0.9 | - | - |
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。Uber Advanced Technologies GroupとAurora Innovation Inc.、PT TokopediaとPT GoTo Gojek Tokopedia Tbk、Grofers International Pte. Ltd.とZomato Limited、Zymergen, Inc.とGinkgo Bioworks Holdings, Inc.、Candy Digital, Inc.とFanatics Holdings, Inc.(既存投資先)の株式交換が含まれます。なお、SVF1は過年度において既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換したため、当項目において該当する投資の取得額および処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。
(注3)既存投資先からの現物配当として受領した投資について投資件数から控除しています。アームから受領した2銘柄(Treasure DataおよびAcetone Limited(Arm China株式の約48%を保有する中間持株会社))およびReef Global Inc.から受領した2銘柄(REEF Proximity Aggregator LLCおよびParking Aggregator LLC)が含まれます。
(注4)株式交換および投資先の組織再編による処分(売却)を含みます。
(注5)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。
(注6)公開株式には店頭市場で取引されているDiDi Global Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。
(注7)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
SVF2
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
累計 投資銘柄数 | 累計 投資額 | 累計 リターン | 累計損益 (注1) | 投資損益 当期計上額 | ||||
1~3月 | 累計 | |||||||
283 | 52.4 | 33.1 | △19.3 | △0.3 | △1.0 |
(参考)
累計 投資銘柄数 | 累計 投資額 | 累計 リターン | 累計損益 (注1) | ||
WeWorkへの財務サポートによる影響(注2) | △4 | - | - | - | |
株式交換による影響(注3) | △2 | △0.0 | △0.0 | - | |
上記による影響考慮後 | 277 | 52.4 | 33.1 | △19.3 |
①エグジットした投資
銘柄数 | 投資額 | エグジット 金額 | 累計 実現損益 (注1) | 実現損益 当期計上額 | ||||
1~3月 | 累計 | |||||||
一部エグジット | - | 0.4 | 0.3 | △0.1 | △0.0 | |||
全部エグジット | 11 | 2.6 | 3.1 | 0.5 | △0.7 | |||
合計 | 11 | 3.0 | 3.4 | 0.4 | △0.2 | △0.7 |
②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注4)
銘柄数 | 投資額 (注6) | 公正価値 (注6) | 累計未実現 評価損益 | 未実現評価損益 当期計上額 | ||||
1~3月 | 累計 | |||||||
公開投資(注5) | 16 | 8.6 | 4.0 | △4.6 | △0.4 | △1.0 | ||
未公開投資 | 256 | 40.8 | 25.9 | △14.9 | 0.1 | △0.2 | ||
合計 | 272 | 49.4 | 29.9 | △19.5 | △0.3 | △1.2 |
③デリバティブ
デリバ ティブ 原価 | 公正価値 /決済額 | 累計 デリバ ティブ 関連損益 | デリバティブ 関連損益 当期計上額 | |||||
1~3月 | 累計 | |||||||
未決済 | △0.0 | 0.0 | 0.0 | △0.0 | ||||
既決済 | - | △0.3 | △0.3 | 0.0 | ||||
合計 | △0.0 | △0.3 | △0.3 | 0.0 | 0.0 |
④投資先からの利息および配当金
利息および 配当金 | 累計損益 | 利息および配当金 当期計上額 | ||||||
1~3月 | 累計 | |||||||
合計 | 0.1 | 0.1 | - | 0.1 |
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)2019年10月の当社とWeWorkの合意に基づきSVF2が買い受けた同社担保付シニア債券(当第1四半期に同社が償還済み)(i)、2023年3月のWeWorkと主要な債券投資家およびSVF2等における同社の債務リストラクチャリングに対するサポートに係る合意に基づきSVF2が保有する転換社債(ii、iii)ならびに額面3.0億米ドルの債券(iv)を投資件数から控除しています。
(注3)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。当第2四半期にSVF2が保有していたXCOM Labs, Inc.の株式の一部をGlobalstar, Inc.の株式に交換し、当第4四半期にSVF2が保有していたODA Group Holding ASの株式をMathem Holdings ABの株式に交換しました。
(注4)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。
(注5)公開株式には店頭市場で取引されているPear Therapeutics, Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。
(注6)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。
LatAmファンド
当期末現在、LatAmファンドは累計投資額74億米ドルに対し累計リターンは63億米ドルとなり、活動開始来累計損失は11億米ドルとなりました。このうち当期の投資損益は5億米ドル(739億円)の利益です。
資金の状況
2024年3月31日現在
SVF1
(単位:十億米ドル) | ||||
合計 | 当社 | 外部投資家 | ||
出資コミットメント(A) | 98.6 | 33.1 | 65.5 | |
拠出額5(B) | 87.2 | 29.9 | 57.3 | |
拠出額返還額(再コール不可)(C) | 37.3 | 9.2 | 28.1 | |
拠出額残高(注1)(D)=(B)-(C) | 49.9 | 20.7 | 29.2 | |
コミットメント残額(E)=(A)-(B) | 11.4 | 3.2 | 8.2 |
(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
(注1)当期末現在、外部投資家の拠出額残高の292億米ドルのうち、133億米ドルはプリファード・エクイティ出資です。
SVF2
(単位:十億米ドル) | |
合計 | |
出資コミットメント(A) | 59.8 |
拠出額(B) | 57.3 |
コミットメント残額(C)=(A)-(B) | 2.5 |
(注)コミットメント残額には再コール可能な払込資金返還額を含みます。
(参考:2024年3月31日現在 出資コミットメントの内訳)
出資コミットメント合計 | 59.8 | |
共同出資プログラムの対象外の投資への当社エクイティ出資 | 12.5 | |
SVF2 LLCへの当社プリファード・エクイティ出資(注1) | 32.3 | |
SVF2 LLCへの当社エクイティ出資 | 12.4 | |
SVF2 LLCへのMgmtCoエクイティ出資 | 2.6 |
(注)当期末現在、MgmtCoによる出資額の支払いは実施されていません。
(注1)SVF2 LLC(SVF II Investment Holdings LLC)はSVF2の傘下に設立された当社の子会社であり、共同出資プログラムの対象となる投資を間接的に保有しています。
当期末現在、LatAmファンドに対する出資コミットメント総額は78億米ドル、拠出額は74億米ドルです。
(c)ソフトバンク事業
1. コンシューマ事業が増益に転じたほか、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益となったことなどにより、セグメント利益は前期比40.9%増加 2. モバイルサービス売上が通信料値下げの影響の縮小やスマートフォン契約数の増加などにより3期ぶりに増収 |
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2023年 | 2024年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 5,956,537 | 6,083,846 | 127,309 | 2.1% |
セグメント利益(税引前利益) | 592,782 | 835,076 | 242,294 | 40.9% |
減価償却費及び償却費 | △768,712 | △738,762 | 29,950 | △3.9% |
投資損益 | △25,381 | 6,664 | 32,045 | - |
財務費用 | △64,020 | △63,706 | 314 | △0.5% |
持分法による投資損益 | △46,783 | △22,595 | 24,188 | - |
その他の損益 | △42,753 | 33,132 | 75,885 | - |
<事業概要>当事業の業績には、ソフトバンク㈱および同社子会社が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスや広告サービス、コマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれています。「Beyond Carrier」戦略の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、通信以外の領域の拡大を目指しています。
<業績全般>セグメント利益は、前期比242,294百万円(40.9%)増加の835,076百万円となりました。これは、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益だったことに加えて、コンシューマ事業も増益に転じたことによるものです。その他の損益が大きく改善したことも寄与しました。なお、ソフトバンク㈱は前期第3四半期にPayPay㈱の子会社化に係る企業結合に伴う再測定益294,843百万円を計上しましたが、ソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表においてはPayPay㈱は従前より一貫して子会社であるため当該再測定益は計上していません。
コンシューマ事業は、主に物販売上やモバイルサービス売上、ブロードバンドサービス売上の増収効果で増益となりました。このうちモバイルサービス売上は、2021年春に実施した通信料値下げの影響が縮小傾向にある中、スマートフォン契約数が増加したことなどにより3期ぶりに増収となりました。メディア・EC事業は、コマース売上の増加やアカウント広告の成長に伴うメディア売上の増加に加えて、販売促進費や広告宣伝費の減少などにより増益となりました。エンタープライズ事業は、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスなどの売上が拡大したことなどにより増益となりました。
その他の損益の改善は、主に、日本郵政グループから受注した通信回線敷設工事等を巡る訴訟に関連し前期に計上していた引当金繰入額19,176百万円について、ソフトバンク㈱に賠償金等の支払いを命じた第一審判決が2024年3月の控訴審判決により破棄されたことに基づき当期に全額を戻し入れたことや、持分法適用関連会社であるWebtoon Entertainment Inc.などの持分変動利益20,299百万円を当期に計上したことによるものです。このほか、㈱出前館に係る持分法投資の減損損失を前期に31,304百万円、当期に22,345百万円それぞれ計上しました。その他の損益の詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。
なお、PayPay㈱およびPayPayカード㈱は主に決済取扱高の拡大に伴う売上の増加や、リボ払い残高の拡大に伴う金利収入の増加により損失が縮小しました。一部の残高チャージ方法(「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」)において新たに手数料を設定したことや、キャンペーン対象者の絞り込みなどにより費用が減少したことも損失縮小に寄与しました。
(d)アーム事業
顧客のテクノロジー企業によるAI投資の増加を背景に、四半期および通期のいずれでもアーム史上最高の売上高(米 ドルベース)を記録 ◆ 米ドルベースの売上高は前期比13.6%増(円ベースでは同21.6%増)。ライセンスおよびその他の収入が過去最高となったほか、ロイヤルティー収入も過去最高を記録した前期にわずかに及ばなかったものの力強い結果に -米ドルベースのロイヤルティー収入は0.9%の微減:上期は半導体チップの販売低迷による影響を受けたものの、下期はアームの最新世代テクノロジー「Armv9」の普及促進に伴うロイヤルティー単価の上昇を背景にロイヤルティー収入が回復。当第4四半期のロイヤルティー収入は四半期ベースで過去最高を記録 -米ドルベースのライセンスおよびその他の収入は38.5%増:次世代スマートフォン、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション向けチップを開発する大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結 ◆ 株式報酬費用の増加や研究開発強化に伴う従業員数の増加が増収影響を打ち消し、332億円のセグメント損失に |
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2023年 | 2024年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 381,746 | 464,025 | 82,279 | 21.6% |
セグメント利益(税引前利益)(注) | 48,663 | △33,215 | △81,878 | - |
(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は65,581百万円、前期は61,467百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。
アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。市場の売上高はその成長に応じて増加し、アームのロイヤルティー収入の増加をもたらします。また、市場の成長はアームの顧客による活発な製品設計活動を促す可能性があり、アームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、ライセンスおよびその他の収入の増加につながります。
アームは、コンピューティングの未来を築くため、研究開発投資を継続して強化しています。CPUや、グラフィックスプロセッサー、AIアクセラレーターおよび統合サブシステムなどの関連技術を開発することで、顧客が次世代のコンピューティングデバイスを開発できるようサポートしています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
(単位:百万米ドル) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2023年 | 2024年 | 増減 | 増減率 | |
ロイヤルティー収入 | 1,783 | 1,767 | △16 | △0.9% |
ライセンスおよびその他の収入 | 1,034 | 1,431 | 397 | 38.5% |
合計 | 2,817 | 3,198 | 381 | 13.6% |
(注)当第1四半期より、売上区分の名称を「テクノロジー・ロイヤルティー収入」および「非ロイヤルティー収入」から、それぞれ「ロイヤルティー収入」および「ライセンスおよびその他の収入」に変更しています。なお、集計方法については従来から変更ありません。
売上高は、前期から381百万米ドル(13.6%)増加しアーム史上最高となりました。
ロイヤルティー収入
ロイヤルティー収入は過去最高を記録した前期にわずかに及ばず、16百万米ドル(0.9%)減少しました。上期は、前期から続く世界的な半導体市場縮小の影響を受けて、特にスマートフォンおよびその他のコンシューマー・エレクトロニクス分野でロイヤルティー収入が伸び悩んだものの、下期は半導体市場全体の回復に加えて、アームの最新世代テクノロジーでありより高いロイヤルティー単価を見込める「Armv9」の普及を背景にロイヤルティー収入が力強く成長しました。当第4四半期は、四半期ベースのロイヤルティー収入がアーム史上最高となりました。WSTS(世界半導体市場統計)は2024年の世界半導体売上高は前年対比で13.1%増加すると予測しています6。市場の回復はアームのロイヤルティー収入を増加させるとともに、アームの注力分野である自動車やクラウド・サーバーでの市場シェア拡大、「Armv9」やアームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)といった最新技術の普及が、今後のロイヤルティー収入の一層の原動力となることが見込まれます。
ライセンスおよびその他の収入
ライセンスおよびその他の収入は前期から397百万米ドル(38.5%)増加し、過去最高となりました。これは、アームの顧客がAI技術への投資を増やしていることや、これらの顧客がサブスクリプション・モデルへ移行していることによるものです。顧客は、サブスクリプション・モデルへ移行することにより、より高いライセンス料を支払うことで、単一の技術のライセンスを得るのではなくより広範なアームの技術へアクセスすることが可能となります。当期において、アームは次世代スマートフォン、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション向けチップを開発する大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結しました。現在の旺盛なライセンス需要は、今後開発され数年後に市場に投入されるチップからのロイヤルティー収入の基盤となります。
セグメント利益
セグメント利益は、前期から81,878百万円悪化し、33,215百万円の損失となりました。これは主に、株式報酬費用の増加や、急速な研究開発体制の強化に伴い技術関連人員を中心に従業員の採用を進めたため、人件費が増加したことによるものです。当期において、アームの従業員数は1,133人(19%)増加し、新規採用の80%以上が技術関連人員でした。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット7
(単位:億個) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2023年 | 2024年 | 増減 | 増減率 | |
ロイヤルティー・ユニット出荷数 (ライセンシーからの報告) | 306 | 286 | △20 | △6.5% |
ライセンシーから報告された12カ月累計のロイヤルティー・ユニットの出荷数(2023年1~12月の出荷実績)は286億個となり、前年比6.5%減となりました。これは主に、2023年のスマートフォンの世界販売台数が前年から約4.7%減少8したことによるものです。一方、ハイエンドのスマートフォン向けに「Armv9」ベースのCPUの普及が進んだことや、自動車アプリケーションおよびクラウド・サーバー分野でアームの市場シェアが拡大したことが、スマートフォンの販売台数減少による影響を補ったことから、ロイヤルティー収入は前期比でほぼ横ばいとなりました。
<技術開発>当期、アームおよびライセンシー企業は技術開発に関する以下の発表を行いました。なお、各技術開発の詳細については、発表各社のウェブサイトに掲載されているプレスリリースをご参照ください。
・アームは、モバイルアプリケーションプロセッサー向けの「Arm Total Computeソリューション2023(TCS23)」を発表(2023年5月)。プレミアムモバイルコンピューティング向けプラットフォームである「TCS23」が、没入感あふれるゲーム、リアルタイム3D体験、次世代のAIアプリケーションを実現
・NVIDIA Corporationは、NVIDIA Grace CPU Superchipを搭載したスーパーコンピューターを発表(2023年5月)。当該コンピューターは、「Arm Neoverse」プラットフォームをベースとしたエネルギー効率に優れたスーパーコンピューターの新たな一角に
・NVIDIA Corporationとソフトバンク㈱は、生成AIと5G/6Gに向けた次世代プラットフォームの構築に向けて協業を発表(2023年5月)。当該プラットフォームはNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipがベースになっており、ソフトバンク㈱は今後構築する日本各地の新しい分散型AIデータセンターへの導入を予定
・アームは、「Arm Neoverse」プラットフォームの事前統合・検証済みの構成として「Arm Neoverse Compute Subsystems(CSS)」を発表(2023年8月)。サーバーやネットワーク機器向けのチップを開発する顧客は、開発コストを低減し、市場投入期間の短縮が可能に
・ルネサス エレクトロニクス㈱は、業界初となる「Arm Cortex-M85」コアを搭載した高性能マイクロコントローラーRA8シリーズを発表(2023年10月)。「Arm Helium」テクノロジーにより機械学習の処理性能が従来比4倍向上し、端末機器で優れたAI性能を実現
・MediaTek Inc.は、フラッグシップスマートフォン向けチップDimensity 9300を発表(2023年11月)。同チップは「Arm Cortex-X4」と「Arm Cortex-A720」をそれぞれ4基搭載した唯一のオールビッグコア設計に加え、「Arm Immortalis-G720」を採用。大規模言語モデルに対応し、デバイス上での生成AI処理性能を大幅に向上
・Microsoft Corporationは、サーバー向けの初の自社開発チップであるAzure Cobalt CPUを発表(2023年11月)。同CPUは128個の「Arm Neoverse」プロセッサーをベースにしており、現行世代のAzureサーバーチップと比較してワットあたりのパフォーマンスを40%向上
・アームは、AIインフラストラクチャーに必要なデータセンター、スーパーコンピューターおよびネットワーク機器向けのAI半導体チップの開発を加速する技術として、最新のプロセッサーコア「Neoverse V3」および「Neoverse N3」ならびにサブシステム「Arm Neoverse CSS V3」および「Arm Neoverse CSS N3」を発表(2024年2月)
・アームは、完全自動運転車の開発を加速する一連の新技術を発表(2024年3月)。車載用途に特化した「Armv9」ベースのプロセッサー群およびサブシステムに加えて、自動車の開発期間を最大2年短縮可能なバーチャル開発環境を提供
また、当期末以降に以下の技術開発に関する発表が行われました。
・Google LLCは、同社初となる自社開発のデータセンター向けアームベースCPU、Google Axionを発表(2024年4月)。同等の現行世代のx86ベースCPUと比較して最大50%の性能向上と、最大60%の高いエネルギー効率を実現
c.財政状態の状況
1.投資資産の状況 ◆ SVFからの投資(FVTPL)(注1)の帳簿価額は11兆145億円(前期末比5,248億円増加)(注2) -米ドルベースの残高は減少した一方で、対米ドルの為替換算レートが円安となった影響により増加 -SVF1は前期末比685億円減少:米ドルベースでは58.6億米ドル減少。投資の売却により52.7億米ドル、当期末に保有する投資先の公正価値減少により5.9億米ドルそれぞれ減少 -SVF2は前期末比4,506億円増加:米ドルベースでは2.5億米ドル減少。主に新規投資1および既存投資先へ21.4億米ドルの追加投資を行ったことにより増加した一方、当期末に保有する投資先の公正価値減少により18.3億米ドル、投資の売却1により5.3億米ドルそれぞれ減少 ◆ 投資有価証券の帳簿価額は9兆620億円(前期末比1兆3,555億円増加)(注2) -アリババ株式の帳簿価額は3兆7,571億円(前期末比1兆852億円減少) -Tモバイル株式の帳簿価額は2兆2,758億円(前期末比1兆5,066億円増加):条件付対価の条件充足に伴い同社株式48.8百万株(当期末残高は1兆2,048億円)を無償取得 -PayPay銀行による債券などの資産運用商品への投資の帳簿価額が2,232億円増加し5,120億円に 2.財務活動に伴う負債の増減 ◆ ソフトバンクグループ㈱の有利子負債が前期末比4,912億円増加 -2023年4月に国内ハイブリッド社債2,220億円を発行し、同年5月のハイブリッドローン531億円の借入実行とあわせて、同年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(資本計上)20.0億米ドルのリファイナンスを完了 -2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円を償還し、同年3月に国内普通社債5,500億円を発行 ◆ 資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比1兆1,141億円増加(注2) -アリババ株式を利用した先渡売買契約の新規締結により43.9億米ドルを調達した一方、一部の現物決済に伴い株式先渡契約金融負債24.9億米ドルの認識を中止 ◆ SVFの有利子負債が前期末比7,748億円減少 -SVF1およびSVF2でアセットバック・ファイナンスによる借入金を合計63.5億米ドル返済 3.資本の増減 ◆ 資本合計で前期末比2兆5,880億円の増加 -アームの上場に伴う売出しにより、売却益相当額6,744億円を資本剰余金に計上。アームの非支配持分は当期末現在2,368億円 -米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債の任意償還に伴い、その他の資本性金融商品が2,209億円減少 -親会社の所有者に帰属する純損失2,276億円を計上し、利益剰余金が減少 -為替換算レートが前期末から円安となったことにより在外営業活動体の為替換算差額が2兆95億円増加 -ソフトバンクの非支配持分が社債型種類株式1,200億円の発行などにより増加 ◆ 親会社の所有者に帰属する持分比率(自己資本比率)は当期末23.9%(前期末は20.6%) |
(注1)「SVFからの投資(FVTPL)」には、SVFが保有する当社の子会社への投資(主にPayPay㈱)および当社から移管後引き続き持分法を適用している投資(後者は「持分法で会計処理されている投資」に計上)を含みません。
(注2)期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことによる帳簿価額の増加を含みます。
(単位:百万円) | ||||
2023年 3月31日 | 2024年 3月31日 | 増減 | 増減率 | |
資産合計 | 43,936,368 | 46,724,243 | 2,787,875 | 6.3% |
負債合計 | 33,287,153 | 33,487,074 | 199,921 | 0.6% |
資本合計 | 10,649,215 | 13,237,169 | 2,587,954 | 24.3% |
(a)資産
(単位:百万円) | |||||
2023年 3月31日 | 2024年 3月31日 | 増減 | |||
現金及び現金同等物 | 6,925,153 | 6,186,874 | △738,279 | ||
営業債権及びその他の債権 | 2,594,736 | 2,868,767 | 274,031 | ||
デリバティブ金融資産 | 249,414 | 852,350 | 602,936 | A | |
その他の金融資産 | 371,313 | 777,996 | 406,683 | B | |
棚卸資産 | 163,781 | 161,863 | △1,918 | ||
その他の流動資産 | 282,085 | 550,984 | 268,899 | ||
売却目的保有に分類された資産 | - | 42,559 | 42,559 | ||
流動資産合計 | 10,586,482 | 11,441,393 | 854,911 | ||
有形固定資産 | 1,781,142 | 1,895,289 | 114,147 | ||
使用権資産 | 858,577 | 746,903 | △111,674 | ||
のれん | 5,199,480 | 5,709,874 | 510,394 | C | |
無形資産 | 2,409,641 | 2,448,840 | 39,199 | ||
契約獲得コスト | 332,856 | 317,650 | △15,206 | ||
持分法で会計処理されている投資 | 730,440 | 839,208 | 108,768 | ||
SVFからの投資(FVTPL) | 10,489,722 | 11,014,487 | 524,765 | D | |
SVF1 | 6,110,527 | 6,042,046 | △68,481 | ||
SVF2 | 3,646,305 | 4,096,880 | 450,575 | ||
LatAmファンド | 732,890 | 875,561 | 142,671 | ||
投資有価証券 | 7,706,501 | 9,061,972 | 1,355,471 | E | |
デリバティブ金融資産 | 1,170,845 | 385,528 | △785,317 | F | |
その他の金融資産 | 2,303,620 | 2,424,282 | 120,662 | ||
繰延税金資産 | 210,823 | 245,954 | 35,131 | ||
その他の非流動資産 | 156,239 | 192,863 | 36,624 | ||
非流動資産合計 | 33,349,886 | 35,282,850 | 1,932,964 | ||
資産合計 | 43,936,368 | 46,724,243 | 2,787,875 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
流動資産 | |
A デリバティブ金融資産 | ・アリババ株式を利用した先渡売買契約について、一部を現物決済した一方で、同社株価の下落や円安影響に加え、決済日まで1年以内となったデリバティブ金融資産を非流動資産から振り替えたことにより、デリバティブ金融資産が644,078百万円増加しました。 ・前期末にデリバティブ金融資産として計上していた、2020年6月のTモバイル株式売却取引に関連して受領した不確定価額受領権(前期末残高は67,308百万円)の権利が2023年6月1日に確定し、同社株式3.6百万株を受領したことに伴い、認識を中止しました。当該株式は従前から保有する同社株式同様に「投資有価証券」に計上されています。 |
B その他の金融資産 | 資産運用子会社からの投資が社債(主に残存年数が短い投資適格債)の取得により259,735百万円増加しました。 |
非流動資産 | |
C のれん | 期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより、アームののれんが423,325百万円増加しました。なお、アームの新規株式公開における10%持分を売却後も、のれんは全額ソフトバンクグループ㈱に帰属しています。 |
D SVFからの投資(FVTPL) | 期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことによる帳簿価額の増加が主な要因です。 ・SVF1の帳簿価額が685億円減少しました。米ドルベースでは、58.6億米ドル減少しました。投資の売却により52.7億米ドル、当期末に保有する投資先の公正価値減少により5.9億米ドル、それぞれ減少しました。 ・SVF2の帳簿価額が4,506億円増加しました。米ドルベースでは、2.5億米ドル減少しました。主に新規投資1および既存投資先へ21.4億米ドルの追加投資を行ったことにより増加した一方、当期末に保有する投資先の公正価値減少により18.3億米ドル、投資の売却1により5.3億米ドルそれぞれ減少しました。 ・LatAmファンドの帳簿価額が1,427億円増加しました。米ドルベースでは、2.9億米ドル増加しました。投資の売却により2.6億米ドル減少した一方、当期末に保有する投資先の公正価値増加(注)により4.7億米ドル、既存投資先への追加投資により0.8億米ドルそれぞれ増加しました。 詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況 b.セグメントの業績概況 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。 |
(注)米ドルに対する現地通貨高の影響を含みます。
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
E 投資有価証券 | ・アリババ株式の帳簿価額が前期末比1,085,242百万円(114.5億米ドル)減少しました(当期末残高は3,757,063百万円(248.1億米ドル))。主に同社株価の下落に伴い公正価値が105.7億米ドル減少したことによるものです(参考:1ADR当たり、2023年3月末の102.18米ドルから2024年3月末には72.36米ドルに下落)。このほか、当第3四半期および当第4四半期に同社株式を利用した先渡売買契約の一部について現物決済したことに伴い125,307百万円(8.8億米ドル)減少しました。 ・Tモバイル株式の帳簿価額が前期末比1,506,621百万円(92.7億米ドル)増加しました(当期末残高は2,275,827百万円(150.3億米ドル))。主に条件付対価の条件充足に伴い同社株式48.8百万株(当期末残高は1,204,804百万円)を受領したことによるものです。同社株価の上昇も帳簿価額の増加に寄与しました(参考:1株当たり、2023年3月末の144.84米ドルから2024年3月末には163.22米ドルに上昇)。 ・このほか、Symbotic(注1)およびNVIDIA Corporation、ドイツテレコム(注2)の3銘柄合計で帳簿価額が359,042百万円増加しました。 なお、これらの株式について、期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことによる帳簿価額の増加を含みます。 ・PayPay銀行㈱による債券などの資産運用商品の投資の帳簿価額が223,211百万円増加(当期末残高は511,994百万円)しました。 |
F デリバティブ金融資産 | ・Tモバイル株式取得に係る条件付対価について、同社株式受領に伴い認識を中止しました(前期末残高は833,770百万円)。 ・アリババ株式を利用した先渡売買契約について、同社株価の下落や円安影響の一方で、決済日まで1年以内となったデリバティブ金融資産を流動資産へ振り替えたことにより、デリバティブ金融資産が合計131,974百万円減少しました。 |
(注1)このほか、SVF2が保有するSymbotic株式は「SVFからの投資(FVTPL)」に、SB Northstarが保有する同株式は「その他の金融資産(流動)」にそれぞれ含まれています。
(注2)ドイツテレコム株式は当社米国子会社が保有するため、米ドルに対するユーロ安の影響を含みます。
(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物
連結上の現金及び現金同等物は前期末比7,383億円減少の6兆1,869億円となり、そのうちソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社等の現金及び現金同等物は1兆610億円減少の3兆240億円となりました。詳細については「(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(単位:百万円) | ||||
2023年 3月31日 | 2024年 3月31日 | 増減 | ||
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社等 (注1) | 4,085,004 | 3,023,961 | △1,061,043 | |
ソフトバンクグループ㈱(注1) | 3,523,393 | 2,198,869 | △1,324,524 | |
資金調達を行う100%子会社 | 543,380 | 30,584 | △512,796 | |
SB Northstar | 18,231 | 794,508 | 776,277 | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | ||||
SVF1 | 72,159 | 65,748 | △6,411 | |
SVF2 | 36,930 | 102,063 | 65,133 | |
LatAmファンド | 2,818 | 3,084 | 266 | |
SBIA、SBGA、SBLA Advisers Corp. | 97,546 | 58,992 | △38,554 | |
ソフトバンク事業 | ||||
ソフトバンク㈱ | 280,768 | 482,763 | 201,995 | |
LINEヤフー㈱(注2) | 443,424 | 325,391 | △118,033 | |
PayPay㈱、PayPay銀行㈱(注3)、PayPayカード㈱ | 857,430 | 739,759 | △117,671 | |
その他(注2) | 477,545 | 444,960 | △32,585 | |
アーム事業(注4) | ||||
Arm Holdings plcおよび子会社 | 207,484 | 291,127 | 83,643 | |
その他(注1)(注4) | 364,045 | 649,026 | 284,981 | |
合計 | 6,925,153 | 6,186,874 | △738,279 |
(注1)2023年9月21日付で、当社の100%子会社であった汐留事業9号合同会社を吸収合併しました。当該吸収合併に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注2)2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編を完了し、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。当該グループ内再編に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注3)PayPay銀行㈱の現金及び現金同等物の当期末残高は248,298百万円です。
(注4)従前「その他」に含めて表示していた「アーム事業」について独立した項目として表示し、前期末についても遡及修正して表示しています。
(b)負債
(単位:百万円) | ||||
2023年 3月31日 | 2024年 3月31日 | 増減 | ||
有利子負債 | 5,129,047 | 8,271,143 | 3,142,096 | |
リース負債 | 184,105 | 149,801 | △34,304 | |
銀行業の預金 | 1,472,260 | 1,643,155 | 170,895 | |
営業債務及びその他の債務 | 2,416,872 | 2,710,529 | 293,657 | |
デリバティブ金融負債 | 82,612 | 195,090 | 112,478 | |
その他の金融負債 | 180,191 | 31,801 | △148,390 | A |
未払法人所得税 | 367,367 | 163,226 | △204,141 | B |
引当金 | 72,350 | 44,704 | △27,646 | |
その他の流動負債 | 675,920 | 801,285 | 125,365 | |
売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債 | - | 9,561 | 9,561 | |
流動負債合計 | 10,580,724 | 14,020,295 | 3,439,571 | |
有利子負債 | 14,349,147 | 12,296,381 | △2,052,766 | |
リース負債 | 652,892 | 644,706 | △8,186 | |
SVFにおける外部投資家持分 | 4,499,369 | 4,694,503 | 195,134 | C |
デリバティブ金融負債 | 899,351 | 41,238 | △858,113 | D |
その他の金融負債 | 58,545 | 57,017 | △1,528 | |
引当金 | 163,627 | 167,902 | 4,275 | |
繰延税金負債 | 1,828,557 | 1,253,039 | △575,518 | E |
その他の非流動負債 | 254,941 | 311,993 | 57,052 | |
非流動負債合計 | 22,706,429 | 19,466,779 | △3,239,650 | |
負債合計 | 33,287,153 | 33,487,074 | 199,921 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
有利子負債の内訳は次ページの(別掲)をご参照ください。 | |
流動負債 | |
A その他の金融負債 | 金融機関からWeWorkへの最大14.3億米ドルの支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートに係る引当金(金融保証契約損失評価引当金)は期首において152,365百万円でしたが、当第2四半期末までに全額を引き当てました。当第3四半期の保証履行に伴い認識した貸付金に対し当該引当金を充当した結果、金融保証契約損失評価引当金が期首から152,365百万円減少しました。なお同貸付金の当期末残高は、当該引当金を充当したため0円です。 |
B 未払法人所得税 | 当第1四半期に、ソフトバンクグループ㈱が法人所得税を支払いました。これは、前期に未払計上したアリババ株式を利用した先渡売買契約の早期現物決済に関連する資金調達子会社へのアリババ株式の売却に伴う利益を含む課税所得に基づく所得税の支払いです。 |
非流動負債 | |
C SVFにおける外部投資家持分 | 期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより帳簿価額が増加しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 (2)SVFにおける外部投資家持分」をご参照ください。 |
D デリバティブ金融負債 | アリババ株式を利用した先渡売買契約について、同社株価が下落したことなどにより、デリバティブ金融負債が805,039百万円減少しました。 |
E 繰延税金負債 | 資金調達を目的とした当社100%子会社であるSkybridge LLCにおいて2021年10月以降段階的に実施してきたアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済が2024年1月に全て完了したことに伴い、当該アリババ株式および関連するデリバティブに係る将来の課税見込みに基づき前期末に計上していた繰延税金負債を取り崩しました。 |
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(単位:百万円) | |||||
2023年 3月31日 | 2024年 3月31日 | 増減 | |||
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う 100%子会社等 | 12,635,554 | 14,239,518 | 1,603,964 | ||
ソフトバンクグループ㈱ | 6,306,590 | 6,796,406 | 489,816 | ||
借入金 | 381,851 | 462,977 | 81,126 | A | |
社債 | 5,753,022 | 6,147,578 | 394,556 | B | |
リース負債 | 10,717 | 9,351 | △1,366 | ||
コマーシャル・ペーパー | 161,000 | 176,500 | 15,500 | ||
資金調達を行う100%子会社(注1) | 6,328,964 | 7,443,112 | 1,114,148 | ||
借入金 | 2,065,361 | 2,270,601 | 205,240 | C | |
株式先渡契約金融負債 | 4,263,603 | 5,172,511 | 908,908 | D | |
SB Northstar | - | - | - | ||
借入金 | - | - | - | ||
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | |||||
SVF1 | 552,681 | - | △552,681 | ||
借入金 | 552,681 | - | △552,681 | E | |
SVF2 | 770,004 | 547,894 | △222,110 | ||
借入金 | 770,004 | 547,894 | △222,110 | E | |
SBIA、SBGA、SBLA Advisers Corp. | 14,950 | 15,948 | 998 | ||
リース負債 | 14,950 | 15,948 | 998 | ||
ソフトバンク事業 | |||||
ソフトバンク㈱ | 4,149,812 | 4,373,826 | 224,014 | ||
借入金 | 3,080,878 | 2,994,039 | △86,839 | ||
社債 | 578,684 | 827,781 | 249,097 | ||
リース負債 | 490,249 | 466,005 | △24,244 | ||
コマーシャル・ペーパー | 1 | 86,001 | 86,000 | ||
LINEヤフー㈱(注2) | 1,268,867 | 1,122,485 | △146,382 | ||
借入金 | 608,177 | 591,338 | △16,839 | ||
社債 | 578,987 | 469,270 | △109,717 | ||
リース負債 | 81,703 | 61,877 | △19,826 | ||
PayPay㈱、PayPay銀行㈱(注3)、PayPayカード㈱ | 396,075 | 503,714 | 107,639 | ||
その他(注2) | 319,937 | 321,069 | 1,132 | ||
アーム事業(注4) | |||||
Arm Holdings plcおよび子会社 | 28,709 | 34,630 | 5,921 | ||
リース負債 | 28,709 | 34,630 | 5,921 | ||
その他 | |||||
その他の有利子負債 | 130,014 | 133,442 | 3,428 | ||
リース負債(注4) | 48,588 | 69,505 | 20,917 | ||
合計 | 20,315,191 | 21,362,031 | 1,046,840 |
(注1)資金調達を行う100%子会社の有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。
(注2)2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編を完了し、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。当該グループ内再編に伴い、前期末について遡及修正して表示しています。
(注3)PayPay銀行㈱の銀行業の預金は、有利子負債には含まれていません。
(注4)従前「その他」に含めて表示していた「アーム事業」について独立した項目として表示し、前期末についても遡及修正して表示しています。
前期末からの主な会社別の増減理由
項目 | 内容 |
ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社等 | |
ソフトバンクグループ㈱ | |
A 借入金 | 当第1四半期に、ハイブリッドローンにより531億円を借り入れました。 |
B 社債 | ・当第1四半期に、国内ハイブリッド社債を2,220億円(額面総額)発行しました。 ・当第1四半期に、外貨建普通社債を1.6億米ドル(額面総額)および6.3億ユーロ(額面総額)、国内普通社債を195億円(額面総額)それぞれ満期償還しました。 ・当第2四半期に、国内ハイブリッド社債を154億円(額面総額)期限前償還しました。 ・当第4四半期に、国内普通社債を3,999億円(額面総額)満期償還しました。 ・当第4四半期に、国内普通社債を5,500億円(額面総額)発行しました。 ・外貨建普通社債を1.0億米ドル(額面総額)および0.7億ユーロ(額面総額)、国内普通社債を21億円(額面総額)、国内劣後社債を209億円(額面総額)市場買入れしました。 ・期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより外貨建普通社債の帳簿価額が増加しました。 |
資金調達を行う100%子会社 | |
C 借入金 | 2023年9月のアーム上場前に、アーム株式を利用したアセットバック・ファイナンスによる借入金85.0億米ドル(前期末残高は1兆1,266億円)を返済し、上場後に再度アーム株式を利用したマージンローンにより85.0億米ドル(当期末残高は1兆2,749億円)を借り入れました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記22.有利子負債 (1)有利子負債の内訳」をご参照ください。 |
D 株式先渡契約 金融負債 | ・当第1四半期に、アリババ株式を利用した先渡売買契約(フォワード契約)を締結し43.9億米ドルを調達しました。 ・当第3四半期および当第4四半期に、アリババ株式を利用した先渡売買契約の一部を現物決済したことに伴い、株式先渡契約金融負債356,925百万円(24.9億米ドル)の認識を中止しました。 ・期末日の対米ドルの為替換算レートが13.4%円安となったことにより帳簿価額が増加しました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記22.有利子負債 (2)アリババ株式先渡売買契約取引」をご参照ください。 |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | |
SVF1およびSVF2 | |
E 借入金 | ・SVF1において、アセットバック・ファイナンスによる借入金の全額41.6億米ドルを返済しました。 ・SVF2において、アセットバック・ファイナンスによる借入金を21.9億米ドル返済しました。 |
(c)資本
(単位:百万円) | ||||
2023年 3月31日 | 2024年 3月31日 | 増減 | ||
資本金 | 238,772 | 238,772 | - | |
資本剰余金 | 2,652,790 | 3,326,093 | 673,303 | A |
その他の資本性金融商品 | 414,055 | 193,199 | △220,856 | B |
利益剰余金 | 2,006,238 | 1,632,966 | △373,272 | C |
自己株式 | △38,791 | △22,725 | 16,066 | |
その他の包括利益累計額 | 3,756,785 | 5,793,820 | 2,037,035 | D |
親会社の所有者に帰属する持分合計 | 9,029,849 | 11,162,125 | 2,132,276 | |
非支配持分 | 1,619,366 | 2,075,044 | 455,678 | E |
資本合計 | 10,649,215 | 13,237,169 | 2,587,954 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
A 資本剰余金 | 当第2四半期に、アームの上場に伴う売出しにより売却益相当額674,370百万円(46.5億米ドル)を計上しました。本取引の詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>」をご参照ください。 |
B その他の資本性金融商品 | 当第2四半期に、初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(20.0億米ドル)を償還しました。本社債は、IFRS上資本性金融商品に分類されていました。 |
C 利益剰余金 | 親会社の所有者に帰属する純損失227,646百万円を計上しました。 |
D その他の包括利益累計額 | 海外を拠点とする子会社・関連会社を円換算する際に生じる在外営業活動体の為替換算差額が、対米ドルの為替換算レートが前期末から円安となったことなどにより、2,009,461百万円増加しました。 |
E 非支配持分 | ・アーム上場後の当期末現在のアームの非支配持分は236,849百万円です。 ・ソフトバンク㈱が社債型種類株式120,000百万円を発行しました。 |
(2)キャッシュ・フローの状況
1.営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税8,856億円を支払ったものの、2,505億円のキャッシュ・イン・フロー(純額) 2.投資活動によるキャッシュ・フロー:8,415億円のキャッシュ・アウト・フロー(純額) ◆ ソフトバンクグループ㈱および100%子会社による戦略投資等の拡大に加え、PayPay銀行による債券などの資産運用商品への投資の増加により、投資の取得による支出8,009億円を計上 ◆ SVFで資金化および投資を継続 -SVFによる投資の取得による支出:2,120億円 -SVFによる投資の売却による収入:9,220億円 ◆ ソフトバンクなどの設備投資に伴い、有形固定資産及び無形資産の取得による支出6,226億円を計上 3.財務活動によるキャッシュ・フロー:6,062億円のキャッシュ・アウト・フロー(純額) ◆ アーム株式の売出しによる手取金の受領、アリババ株式を利用した先渡売買契約による調達実施の一方、SVFのアセットバック・ファイナンスによる借入金を返済。SVF1が外部投資家への分配・返還を実施 -有利子負債の収入:5兆9,141億円 ・ソフトバンクグループ㈱における主な収入:1兆3,612億円 (国内ハイブリッド社債2,220億円および国内普通社債5,500億円(いずれも額面総額)を発行、短期借入により5,361億円、ハイブリッドローンにより531億円を調達) ・資金調達を行う100%子会社における収入:1兆8,419億円 (上場後のアーム株式を利用したマージンローンにより85.0億米ドル、アリババ株式を利用した株式先渡売買契約により43.9億米ドルを調達) -有利子負債の支出:5兆8,892億円 ・ソフトバンクグループ㈱における主な支出:1兆872億円 (2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円(額面総額)を含む社債の償還および買い入れ5,806億円、短期借入金の返済5,066億円を実施) ・資金調達を行う100%子会社における主な支出:1兆2,362億円 (アーム株式を利用したアセットバック・ファイナンスの返済85.0億米ドル) ・SVFにおける支出:9,224億円 (SVF1およびSVF2が合計63.5億米ドルのアセットバック・ファイナンスによる借入金を返済) -SVFにおける外部投資家への分配額・返還額:7,835億円 -非支配持分への子会社持分の一部売却による収入:7,476億円 ・アームの新規株式公開における売出しによる手取金51.2億米ドル -その他の資本性金融商品の償還による支出:2,778億円 ・米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債の償還20.0億米ドル 4.現金及び現金同等物の当期末残高、増減額 ◆ 営業活動、投資活動、財務活動それぞれのキャッシュ・フローに加え、為替レートが円安となったことによる現金及び現金同等物に係る換算差額等4,589億円を計上した結果、当期末時点における残高は6兆1,869億円(前期末比7,383億円減少) |
<重要な非資金取引>当期において、アリババ株式先渡売買契約の一部を現物決済しました。また、条件付対価の条件充足に伴いTモバイル株式48.8百万株を無償で取得しました。いずれの取引も非資金取引に該当するため、連結キャッシュ・フローへの影響はありません。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記44.連結キャッシュ・フロー計算書の補足情報(13)重要な非資金取引」をご参照ください。
(単位:百万円) | |||
3月31日に終了した1年間 | |||
2023年 | 2024年 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 741,292 | 250,547 | △490,745 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 547,578 | △841,461 | △1,389,039 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 191,517 | △606,222 | △797,739 |
現金及び現金同等物に係る換算差額等 | 275,765 | 458,857 | 183,092 |
現金及び現金同等物の増減額 | 1,756,152 | △738,279 | △2,494,431 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 5,169,001 | 6,925,153 | 1,756,152 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 6,925,153 | 6,186,874 | △738,279 |
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
法人所得税885,617百万円の支払いやSB Northstarにおける余剰資金運用を目的とした社債(主に残存年数が短い投資適格債)の取得による支出があったものの、営業活動によるキャッシュ・フローは250,547百万円のキャッシュ・イン・フロー(純額)となりました。
法人所得税の支払額には、ソフトバンクグループ㈱による法人所得税の支払368,632百万円が含まれます。これは主に、アリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済などに伴い生じた前期の課税所得に対する法人所得税を当第1四半期に支払ったことや、当第3四半期に法人所得税118,026百万円を中間納付したことによるものです。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 |
投資の取得による支出 △800,925百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱および100%子会社で戦略投資を中心に311,870百万円の投資を取得しました。 ・PayPay銀行㈱が債券などの資産運用商品308,414百万円を取得しました。 |
SVFによる投資の取得による支出 △212,045百万円 | SVFが合計15.0億米ドルの投資を行いました。 |
SVFによる投資の売却による収入 922,020百万円 | SVFが合計63.3億米ドルの投資の売却を行いました。 |
子会社の支配獲得による支出 △104,484百万円 | ・ソフトバンク㈱がCubic Telecom Ltd.を子会社化しました。 ・当社100%子会社がBerkshire Grey, Inc.およびBalyo SAを子会社化しました。 なお、左記は支配獲得時に各被取得企業が保有していた現金及び現金同等物を差し引いた金額です。 |
子会社の支配喪失による収入 96,755百万円 | 主に当社の100%子会社であったSBエナジー㈱株式の85%を売却しました。 |
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 △622,612百万円 | ソフトバンク㈱が通信設備等の有形固定資産やソフトウエア等の無形資産を取得しました。 |
貸付による支出 △313,686百万円 | 金融機関からWeWorkへの14.3億米ドルの支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートについて保証義務を履行しました。 |
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 |
短期有利子負債の収支(純額) 182,874百万円(注1) (有利子負債(流動負債)のうち、回転が早く、期日が短い項目の収支) | ・ソフトバンク㈱の短期借入金が151,145百万円(純額)増加しました。 ・LINEヤフー㈱およびその子会社の短期借入金が10,983百万円(純額)増加しました。 |
有利子負債の収入(以下A~Cの合計) 5,914,090百万円 |
A借入による収入 4,276,463百万円(注2) | ・ソフトバンクグループ㈱が536,136百万円の短期借入を行ったほか、ハイブリッドローンにより53,100百万円を調達しました。 ・資金調達を行う100%子会社が上場後のアーム株式を利用したマージンローンにより1,236,240百万円(85.0億米ドル)を借り入れました。 ・ソフトバンク㈱が割賦債権の流動化、セール&リースバックなどにより964,409百万円を調達しました。また、コマーシャル・ペーパーを233,000百万円発行しました。 ・LINEヤフー㈱の子会社が個人向け無担保ローンサービスの需要拡大に伴い732,900百万円の短期借入を行いました。 | |
B社債の発行による収入 1,032,000百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱が国内ハイブリッド社債を222,000百万円、国内普通社債を550,000百万円それぞれ発行しました。 ・ソフトバンク㈱が国内普通社債を260,000百万円発行しました。 上記は全て額面総額です。 | |
C株式先渡売買契約に基づく資金 調達による収入 605,627百万円 | 資金調達を行う100%子会社が、アリババ株式を利用した先渡売買契約(フォワード契約)を締結し、合計43.9億米ドルを調達しました。 | |
有利子負債の支出 △5,889,186百万円 | ||
A借入金の返済による支出 △5,183,435百万円(注2) | ・ソフトバンクグループ㈱が短期借入金506,600百万円を返済しました。 ・資金調達を行う100%子会社がアーム株式を利用したアセットバック・ファイナンスによる借入金1,236,240百万円(85.0億米ドル)を返済しました。 ・SVF1およびSVF2がアセットバック・ファイナンスによる借入金をそれぞれ604,823百万円(41.6億米ドル)、317,547百万円(21.9億米ドル)返済しました。 ・ソフトバンク㈱が割賦債権の流動化およびセール&リースバックなどによる借入金1,215,104百万円を返済しました。また、コマーシャル・ペーパーを147,000百万円返済しました。 ・LINEヤフー㈱の子会社が個人向け無担保ローンサービスの需要拡大に伴い借り入れた短期借入金713,700百万円を返済しました。 | |
B社債の償還による支出 △700,618百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱が外貨建普通社債1.0億米ドルおよび0.7億ユーロ、国内普通社債2,100百万円、国内劣後社債20,900百万円をそれぞれ買い入れたほか、外貨建普通社債1.6億米ドルおよび6.3億ユーロ、国内普通社債419,412百万円をそれぞれ満期償還、国内ハイブリッド社債15,400百万円を期限前償還しました。 ・ソフトバンク㈱が国内普通社債10,000百万円を満期償還しました。 ・LINEヤフー㈱が国内普通社債110,000百万円を満期償還しました。 上記は全て額面総額です。 |
科目 | 主な内容 | |
SVFにおける外部投資家に対する 分配額・返還額 △783,522百万円 | SVF1が外部投資家へ分配・返還を行いました。 | |
非支配持分への子会社持分の一部売却による収入 747,565百万円 | アームの新規株式公開における売出しによる手取金51.2億米ドルを受領しました。 | |
その他の資本性金融商品の償還による支出 △277,760百万円 | 米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債20.0億米ドル(額面総額)を償還しました。本社債は、IFRS上資本性金融商品に分類されていました。なお、為替予約の影響については財務活動によるキャッシュ・フローの「その他」に計上しています。 | |
子会社におけるその他の資本性金融 商品の発行による収入 120,000百万円 | ソフトバンク㈱が社債型種類株式120,000百万円を発行しました。 | |
配当金の支払額 △64,356百万円 | ソフトバンクグループ㈱が配当金を支払いました。 | |
非支配持分への配当金の支払額 △288,119百万円 | ソフトバンク㈱やLINEヤフー㈱などが非支配株主へ配当金を支払いました。 |
(注1)短期有利子負債の収支には、IFRSにおける「純額によるキャッシュ・フローの報告」の要件を満たした財務活動によるキャッシュ・フローを記載しています。
(注2)借入による収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が1,813,733百万円、支出が1,721,319百万円、それぞれ含まれています。
(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報
i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源
ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)または投資ファンド(例えば、SVF1およびSVF2ならびにLatAmファンド)を通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの保有資産を資金化することで、回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や財務改善にも振り向けています。このほか、負債の返済原資等に充当する目的で社債の発行や金融機関からの借入を実施しています。
保有資産の資金化においては、保有資産の売却だけではなく、多様なアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約やマージンローンなど、保有資産を活用した資金調達)により、機動的な資金化を実現しています。また、SVFを通じた投資についても、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、投資先の上場を通じて資金化を行っています。
また、社債の発行においては、円建シニア社債だけではなく米ドルやユーロ建シニア社債、ハイブリッド社債など異なる商品性の債券を発行することで、国内外の様々な市場からの資金調達の機会を確保し、安定的な調達を図っています。
ii.当期における資本の財源と資金の流動性の分析
当期は、前期に大幅に抑制していた投資活動を徐々に再開し、ソフトバンクグループ㈱および100%子会社からの戦略投資およびSVFを通じた投資を行いました。財務活動においては、アリババ株式を利用した先渡売買契約による調達やアームの新規株式公開時の売り出しなど、引き続き保有資産の資金化を進めました。また、2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債や、国内普通社債などのリファイナンスも着実に実行しました。
主にこうした投資活動と財務活動の結果、当期末においても当社の手元流動性は今後2年間の社債償還に必要な資金を大幅に上回る水準を維持しています。
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における注記事項
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(3)生産、受注および販売の状況
当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「(1)財政状態及び経営成績の状況 b.セグメントの業績概況」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり必要となった重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記5.重要な判断および見積り」をご参照ください。