有価証券報告書-第42期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(注1)当社の子会社として会計処理される投資先2件を含みます。
(注2)当社の子会社として会計処理される投資先1件を含みます。
(注3)当社の子会社として会計処理される投資先1件を含みます。
為替換算レート
<連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更>「ラテンアメリカ・ファンド事業」の新設
当第1四半期より、従前「その他」に含めていた「ラテンアメリカ・ファンド事業」について、金額的重要性が増したため新たに独立した報告セグメントとして記載するとともに、連結損益計算書においても従前「その他の投資損益」に含めていた「ラテンアメリカ・ファンド事業からの投資損益」について新たに独立した科目として記載しています。前期における情報も同様に組み替えて表示しています。同事業の概要については「b. セグメントの業績概況 (e)ラテンアメリカ・ファンド事業 <事業概要>」をご参照ください。
なお、2023年3月期第1四半期(2022年6月30日に終了する3カ月間)より、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドについても、SVF2の運営会社であるSBGAが運営することとなったため、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」へ統合予定です
<ロシア・ウクライナ情勢の影響について>ソフトバンクグループ㈱およびソフトバンク・ビジョン・ファンドは、2022年3月末現在、ロシアおよびウクライナの企業への直接的な投資を保有していません。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1の外部投資家にロシアの投資家は含まれていません。一部のグループ会社や投資先が、ロシアまたはウクライナで事業を行ったり、ロシアの企業と取引を行ったりしていますが(すでに事業の撤退・停止を行ったものおよび取引を停止したものを含む)、当該事業または取引が当社連結財務諸表に与える影響は限定的です。
ただし、ロシアのウクライナ侵攻に伴う対ロシア経済制裁を機にエネルギー価格が急騰し、また米国においてインフレ抑制のための金融引き締めが始まったことやコロナ禍におけるサプライチェーンの混乱も相まって、世界的に景気減速の懸念が高まっています。こうしたマクロ経済の逆風に伴い世界の株式市場のボラティリティが高まっており、当社の保有株式価値、そしてNAV(Net Asset Value、保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1))に悪影響を及ぼしています。当社は、引き続きLTVおよび手元流動性維持に関する財務方針を遵守したうえで、投資ポートフォリオの流動性・多様性の確保に努めています。また、特に、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドにおいては、他の多くの国際的な投資ファンドと同様に外部環境の変化による影響を受けやすいため、市場動向を注視しつつ投資先のファンダメンタルズの見極めを重視し、慎重な投資ポートフォリオの構築と管理を継続しています。
(注1)保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、ソフトバンク㈱(Zホールディングス㈱をはじめとする子会社を含む)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド、アームおよびPayPay㈱など独立採算で運営される事業体、ならびに資産運用子会社SB Northstarに帰属する有利子負債および現預金等を除く。
a.連結経営成績の状況
以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業とアーム事業がいずれも増収となりました。
B 持株会社投資事業からの投資損益
持株会社投資事業からの投資利益は104,362百万円となりました。上場株式等への投資による投資損失を229,504百万円計上した一方、アリババ株式先渡売買契約決済益を199,972百万円、Tモバイルおよびドイツテレコムへの投資に係る利益(投資に係るデリバティブ関連利益、未実現評価損失、Tモバイル株式売却関連利益)を70,307百万円計上しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C SVF1およびSVF2等からの投資損益
SVF1およびSVF2等からの投資損失は3,738,825百万円となりました。このうち外部投資家に帰属する投資損失は972,674百万円です。SVF1において、保有銘柄の一部について、株式の全部または一部を売却2したことなどにより、投資の実現益1,226,097百万円(純額)を計上しました。なお、このうち1,463,810百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。また、上場投資先について、金利先高観を受けた高成長テクノロジー銘柄回避の動きに加え、オーバーハング懸念、規制強化など複数要因により多くの銘柄で株価が下落したことを反映し合計3,632,168百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。この主なものはCoupang, Inc.(以下「Coupang」)に係る損失1,645,327百万円およびDiDi Global Inc.(以下「DiDi」)に係る損失911,412百万円です。一方、未上場投資先については709,833百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。当第4四半期は上場類似企業の株価下落などを反映し幅広い銘柄で評価損を計上したものの、当期累計では資金調達ラウンドや業績好調を背景とした一部投資先の公正価値増加により全体で利益となりました。
SVF2においては、KE Holdings Inc.(以下「KE Holdings」)への投資の一部を売却したことなどにより、投資の実現益128,577百万円を計上しました。このうち314,096百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。また、当第3四半期に上場したAutoStore Holdings Ltd.(以下「AutoStore」)は株価が上昇したものの、当期累計では、KE Holdingsの株価下落や、未上場投資先の公正価値減少により、合計265,476百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。
D ラテンアメリカ・ファンド事業からの投資損益
ラテンアメリカ・ファンド事業からの投資利益は111,070百万円となりました。Banco Inter S.A.やVTEXなどの上場投資先の株価が下落した一方、QUINTOANDAR, LTD.やKavak Holdings Limited、Creditas Financial Solutions, Ltd.などの未上場投資先の公正価値が増加したことにより、118,922百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(e)ラテンアメリカ・ファンド事業」をご参照ください。
主にB~Dの結果、投資損益合計は3,434,742百万円の損失となりました。
E 販売費及び一般管理費
ソフトバンク事業で販売費及び一般管理費が313,832百万円増加しました。2021年3月のLINE㈱子会社化の影響に加え、ヤフー㈱で販売促進費などが増加したことによるものです。
F 財務費用
持株会社投資事業で支払利息が58,512百万円増加しました。主にソフトバンクグループ㈱3の支払利息が増加したことによるものです。
G 為替差損益
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建て負債(子会社からの借入や外貨建て普通社債など)および米ドル建て現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損706,111百万円(純額)を計上しました。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど機能通貨が外貨(主に米ドル)の在外子会社・関連会社の純資産については、為替換算レートが円安となったことにより円建ての価値が増加しましたが、そのプラス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の増加額2,176,948百万円として計上されています。
H 持分法による投資損益
アリババに係る持分法投資利益は前期比184,605百万円減少の387,911百万円4でした。主に同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資利益が減少したことによるものです。成長戦略に沿った投資やユーザー拡大のための支出、EC加盟店への支援の増加も影響しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として前期第4四半期に計上済みです。
I デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
前々期、前期および当期に締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1,132,994百万円を計上しました。
なお、デリバティブ関連損益のうち、株式の取得や売却などの投資活動に係るデリバティブから生じる損益は「投資損益」に含まれています。例えば、資産運用子会社が保有する上場株式に係る買建コールオプションから生じるデリバティブ関連損益がこれに該当します。一方で、投資活動以外のもの、特に資金調達に伴うデリバティブから生じる損益は「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」に含まれています。例えば、アリババ株式やTモバイル株式を活用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連損益がこれに該当します。ただし、当該先渡売買契約を現金ではなく株式で決済した場合には、決済時におけるデリバティブ金融資産またはデリバティブ金融負債の取り崩しによる損益は、株式先渡売買契約決済損益の一部として「投資損益」に含まれます。
主にA~Iの結果、税引前利益は前期比6,540,018百万円悪化の869,562百万円の損失となりました。
J 法人所得税
ソフトバンク㈱やヤフー㈱で当期税金費用を計上したほか、アリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益の計上に伴い繰延税金費用を計上しました。
K 非継続事業からの純利益
前期に、Sprint CorporationとT-Mobile US, Inc.の合併取引の完了によりSprint Corporationが当社の子会社でなくなったことに伴う同社に係る支配喪失利益720,842百万円を計上していました。
主にA~Kの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比6,695,991百万円悪化の1,708,029百万円の損失となりました。
b.セグメントの業績概況
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当第1四半期において「ラテンアメリカ・ファンド事業」を新たに設けました。また、当第2四半期において、SVF2の運営会社がSBGAとなったことに伴い、セグメント名称を「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」から「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」に変更しました。当期末現在、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ラテンアメリカ・ファンド事業」の5つを報告セグメントとしています。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
なお、2023年3月期第1四半期(2022年6月30日に終了する3カ月間)より、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドについても、SVF2の運営会社であるSBGAが運営することとなったため、「ラテンアメリカ・ファンド事業」は「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」へ統合予定です。
(a)持株会社投資事業
(注1)SB NorthstarからSBIA US子会社のSPAC(特別買収目的会社)への投資の影響を含みます。当該取引は内部取引のため連結損益計算書では消去されています。
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SoftBank Group Capital Limited(以下「SBGC」)、ソフトバンクグループジャパン㈱(以下「SBGJ」)および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなど約120社と、SB Northstarからの投資先であり、持分法適用関連会社(例えばアリババ)のほか、FVTPLの金融資産として認識されるものがあります。持分法適用関連会社に該当する投資先の業績は、持分に応じて損益が「持分法による投資損益」に計上されます。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
資産運用子会社からの上場株式等への投資
SB Northstarはソフトバンクグループ㈱の余剰資金を用いて上場株式等の取得および売却、上場株式に関連するデリバティブ取引および信用取引を行っています。しかし、現在最も注力するSVF2の投資へ資金を振り向けるために事業規模を縮小しており、その株式保有残高(注1)は前期末の2.2兆円から当期末には3,510億円まで減少しています。同社における持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。ソフトバンクグループ㈱が同社に対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。
なお、SB Northstarの投資の意思決定については、2022年3月31日までは当社100%子会社のSB MANAGEMENT LIMITEDが行っていましたが、SB Northstarの事業規模縮小に伴い、2022年4月1日以降はSB Northstarのジェネラル・パートナー(GP、当社100%子会社)が行っています。
(注1)ソフトバンクグループ㈱が保有するNVIDIA Corporationの株式が前期末には155億円、当期末には351億円含まれています。
<業績全般>
(注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
(注2)投資の未実現評価損益は当該評価損益が生じた四半期の平均為替レートを用いて換算する一方、投資の実現損益は当該株式を処分した四半期の平均為替レートを用いて換算します。「為替換算影響額」は、未実現評価損益と実現損益の換算に使用する為替レートの差により生じた金額です。
A 持株会社投資事業からの投資利益:104,131百万円
・アリババ株式を活用した先渡売買契約の一部において同株式を受け渡し現物決済したことに伴い、アリババ株式先渡売買契約決済益199,972百万円を計上しました。
・2021年9月に実施したTモバイル株式の一部売却に伴い、Tモバイル株式売却関連利益3,149百万円を計上しました。当該売却取引の詳細は、以下「2021年9月に実施したTモバイル株式の一部売却」をご参照ください。なお、当該売却取引の対象となったTモバイル株式45.4百万株に係る累計損失は13,447百万円です。これは、Tモバイルが当社の持分法適用関連会社から除外された2020年6月26日時点における当該45.4百万株の公正価値と、対価として受領したドイツテレコム株式225.0百万株の当該売却取引完了時点の公正価値の差額です。
・資産運用子会社からの投資の実現益54,853百万円、資産運用子会社からの投資の未実現評価損393,635百万円をそれぞれ計上しました。これはSB Northstarによる上場株式等への投資の結果です。
・資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関連利益89,476百万円を計上しました。これはSB Northstarにおいて主に上場株式に係る買建コールオプションによる利益を計上したことによるものです。
・投資の実現損失265,897百万円、投資の未実現評価益282,824百万円をそれぞれ計上しました。これらは主に、ソフトバンクグループ㈱がWeWork Inc.(以下「WeWork」)株式を保有する100%子会社の株式をSVF2に売却したことによるものです。当該売却により、当事業においては458,716百万円の実現損失を計上した一方で、過年度に未実現評価損失として計上された478,059百万円を実現損益への振替額として計上しました(当該売却による損益は、内部取引のため連結損益計算書では消去されています)。なお、WeWork株式の取得から当該売却までに当事業において発生した累計損失は、上記の投資損益のほか、持分法で会計処理されている投資に関連する損益も合わせて、合計636,135百万円(5,924百万米ドル)です。このほか、投資の未実現評価損益の当期計上額には、Tモバイルへの投資に係る未実現評価益が22,786百万円、Lemonade, Inc.、SoFi Technologies, Inc.、ドイツテレコムへの投資に係る未実現評価損失が90,653百万円、84,347百万円、48,542百万円それぞれ含まれています。
・投資に係るデリバティブ関連利益101,524百万円を計上しました。これは主に、当社が所有する一定の条件を満たした際にTモバイル株式を無償で取得できる権利に係るデリバティブ関連利益93,039百万円を計上したことによるものです。
B 財務費用:277,116百万円(前期比58,512百万円増加)
ソフトバンクグループ㈱3の支払利息が前期比56,026百万円増の266,675百万円となりました。主に社債発行やマージン・ローンによる借入に伴う有利子負債の増加によるものです。
C 為替差損:705,108百万円
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建て負債(子会社からの借入や外貨建て普通社債など)および米ドル建て現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損705,108百万円(純額)を計上しました。
D 持分法による投資利益:376,433百万円(前期比224,931百万円減少)
アリババに係る持分法投資利益は前期比184,605百万円減少の387,911百万円4でした。主に同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資利益が減少したことによるものです。成長戦略に沿った投資やユーザー拡大のための支出、EC加盟店への支援の増加も影響しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として前期第4四半期に計上済みです。
E デリバティブ関連利益(投資損益を除く):1,236,395百万円
2020年3月期、前期および当期に締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1,132,994百万円を計上しました。
F その他の利益:316,891百万円
2022年2月にアームの全株式売却に関するNVIDIA Corporationとの契約を解消したことに伴い、2021年9月の同契約締結時に売却対価の前受金として当社が受領していた12.5億米ドルの75.01%(当社100%子会社であるSoftBank Group Capital Limitedのアーム株式保有割合)に当たる109,796百万円について、返金の義務がないことから、当第4四半期に利益として計上しました。
資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響(注1)
(注1)ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社を経由してSB Northstarへ現物出資したアリババ株式の影響およびSB NorthstarからSBIA US子会社のSPACへの投資の影響を除いたSB Northstarの財政状態計算書を、当社連結財政状態計算書への同社の影響を示すための参考情報として記載しています。
(注2)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額
(非支配持分の計算)
(注3)表中Bの3分の1
(純資産(上記C)に対する持分)
当事業における主な有利子負債およびリース負債
(注1)資金調達を行う100%子会社による借入はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。ただし、Tモバイル株式を活用した借入については、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しています。
(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
(注1)累計投資利益(グロス)は外部投資家持分および税金等の控除前の金額です。
<事業概要>当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)とソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)の投資および事業活動の結果が含まれています。
SVF1は、「ユニコーン(投資時において企業価値が10億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AIを活用した成長可能性の大きな企業への投資を保有しており、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。同ファンドは金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた当社の英国100%子会社SBIAが運営しています。同ファンドの投資期間は2019年9月12日に終了しましたが、合弁会社への投資を含む既存投資先への追加投資や固定分配、ファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。2回の1年延長オプションをSBIAが行使した場合を除き、SVF1の存続期間は原則として2029年11月20日までです。
SVF2は、テクノロジーを活用して各市場をリードする成長企業への投資を通じて、AI革命を持続的に加速することを目的に、2019年10月にソフトバンクグループ㈱から出資コミットメントを取得して設立されました。同ファンドは従来SBIAが運営していましたが、当第2四半期から当社の英国100%子会社であるSBGAが運営しています。SVF2の投資運用の意思決定はSBGAに設置された投資委員会を通じて行われます。SBGAは、SBIAのCEOであるラジーブ・ミスラがCEOを務めるとともに、投資委員会のメンバーの一員となっています。SBGAはSVF2の投資および運営の大部分をSBIAに委託しており、SBIAは役務提供契約に基づき引き続き同ファンドの運営に関与します。また、SVF2は、当第2四半期に共同出資プログラムが導入されたことに伴い、当該プログラムの投資エンティティであるMASA USA LLC(以下「MgmtCo」)が新たに参画しました5。当社連結財務諸表上、MgmtCoの出資持分は外部投資家持分として扱われます。当期末現在、SVF2の出資コミットメント総額は560億米ドルです。
また、当社の上場および非上場企業への投資を補完し、私募ファンドとして定められた投資範疇を超えたより広範な投資機会の追求を実現するため、SBIA USはSPAC(特別買収目的会社)を用いた投資を行っています。SBIA US子会社のSPACであるSVF Investment Corp.3は2021年3月のNASDAQへの新規上場(株式公開)時に3.2億米ドルの資金を調達し、その後、当第3四半期に小売業者や流通業者向けにフルフィルメントの自動化技術を開発する米国のSymbotic LLCと合併に関する最終契約を締結しました。同社との合併は2022年6月に完了し、統合後の新会社「Symbotic Inc.」がNASDAQにおいてティッカーシンボル「SYM」で取引を開始しました。
SVF2の共同出資プログラムについて
当第2四半期において、SVF2に配当受領権制限付き共同出資プログラムを導入しました。本プログラムは、当社経営陣がSVF2に対し当社と共同出資することで、利益のみならずそのリスクも共有の上、投資運用に専心し、当社の収益拡大への寄与を果たすことを目的としています。
本プログラムは原則として、2021年6月23日時点でSVF2が保有していた、もしくは保有を予定していた未上場の投資先、および2021年6月24日以降に実行されるSVF2の新規投資(ただし本プログラムの対象外の投資先へのフォローオン投資は除く)が対象です。本プログラムの対象となる投資はSVF2の傘下に設立された当社の子会社であるSVF II Investment Holdings LLC(以下「SVF2 LLC」)が間接的に保有します。SVF2 LLCは当社およびMgmtCoへ、投資成果が出資持分に応じて分配されるエクイティ6を発行し、SVF2 LLCへのエクイティ出資割合は、当社が82.75%、MgmtCoが17.25%です。
MgmtCoによるエクイティ出資の配当受領権には一定の制限が設けられています。具体的には、本プログラムの対象となるSVF2 LLCの投資先の実現した投資からの収入および全ての未実現の投資の公正価値の合計額(借入金控除後)がSVF2 LLCの投資先の取得価額の合計の130%を超過するまで、MgmtCoへの利益配当は全て制限され実施されません。当該比率が130%を超過以降は、10%上昇するごとに当該制限が段階的に解除され、200%に到達した時点で全ての制限が解除され、MgmtCoは利益配当の全額を受領することが可能となります。
また、MgmtCoの出資は、その裁量により全額もしくは一部を任意の時点で支払うことが認められており、これに係るSVF2 LLCの未収金に対して年間3%の割合で加算されるプレミアムの支払いがMgmtCoに対し課されます7。SVF2 LLCからMgmtCoに対する分配可能な全ての金額は、SVF2 LLCの未収金が全額決済されるまで、分配通知時に当該未収金と相殺され、MgmtCoへの分配金の支払いは実施されません8。さらに、SVF2 LLCの清算時、MgmtCoが受領した利益配当額が、その存続期間を通じて清算時に有効な比率を適用し再計算したMgmtCoが受領可能な金額を超過した場合、当該超過部分はクローバックの対象となります。
本プログラムの導入と並行し、ソフトバンクグループ㈱は、投資資金回収の効率を高めることを目的とし、今後SVF2 LLCへの出資を年利8%の固定分配が実施されるプリファード・エクイティ6で行うことを決定しました。当該プリファード・エクイティはその分配と拠出した資金の返還において、本プログラムでの当社およびMgmtCoが保有するエクイティに優先します。なお、本プログラムの対象外の投資9については、ソフトバンクグループ㈱が引き続き100%のエクイティを保有します。

詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業(1)SVF2における配当受領権制限付き共同出資プログラムおよびプリファード・エクイティの導入について」および「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記48.関連当事者(1)関連当事者との取引 2022年3月31日 a. 配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。
当事業における主なファンドの概要
2022年3月31日現在
(注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける借入金
SVF1およびSVF2は、レバレッジの活用や手元流動性の確保などを目的として、ソフトバンクグループ㈱にはノンリコースの借入を独自に行うことがあります。当期末現在、SVF1およびSVF2の行う借入にはリターンの向上およびリミテッド・パートナーへの分配を目的とした保有資産を活用するアセットバック・ファイナンスと、キャピタル・コールから着金までの期間のつなぎ資金を確保し投資決定後の速やかな投資実行を可能にするリボルビングローンであるファンド・レベル・ファシリティーがあります。
資金の状況
2022年3月31日現在
SVF1
(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
SVF2
(注)コミットメント残額には再コール可能な払込資金返還額を含みます。
(参考:2022年3月31日現在 出資コミットメントの内訳)
(注)当期末現在、MgmtCoによる出資額の支払いは実施されていません。
<業績全般>
(注1)当社の子会社であるアームおよびPayPay㈱へのソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資の公正価値の変動により計上される未実現評価損益ならびに受取配当金は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益において「SVF1およびSVF2等からの投資損益」に含まれますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF1およびSVF2等からの投資損益」には含まれません。
(注2)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
当期において、SVF1は、合計33.3億米ドルの新規投資および既存投資先への追加投資を行った一方2、投資先3銘柄の全持分および13銘柄の一部持分を、合計79.5億米ドルの当初取得額に対し合計188.9億米ドル11で売却2しました。またSVF2は、合計408.2億米ドルの新規投資および既存投資先への追加投資を行った一方、投資先1銘柄の全持分および投資先3銘柄の一部持分を、合計9.1億米ドルの当初取得額に対し合計20.6億米ドルで売却しました。
セグメント利益
A SVF1およびSVF2等からの投資損失:△3,547,354百万円
・SVF1
-投資先3銘柄の全株式およびDoorDash Inc(以下「DoorDash」)、Coupang、Uber Technologies, Inc.(以下「Uber」)など計13社の一部株式を売却2したことなどにより、投資の実現益1,226,097百万円(純額)を計上しました。このうち、1,463,810百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。
-当期末に保有する投資について未実現評価損失2,768,000百万円(23,894百万米ドル、純額)を計上しました(内訳は以下「投資の状況 SVF1」をご参照ください)。上場投資先について、当第3四半期に上場したSenseTime Group Inc.(以下「SenseTime」)など計3社の株価が上昇したものの、金利先高観を受けた高成長テクノロジー銘柄回避の動きに加え、オーバーハング懸念、規制強化など複数要因により、Coupang、DiDi、Grab Holdings Ltd(以下「Grab」)など計19社の株価が下落し、合計31,788百万米ドルの評価損(純額)を計上しました。この主なものはCoupangに係る損失14,605百万米ドルおよびDiDiに係る損失8,015百万米ドルです。非上場株式については、当第4四半期においては、上場類似企業の株価下落などを反映し幅広い銘柄で評価損を計上したものの、当期累計では、資金調達ラウンドのあった投資先、上場が見込まれる投資先および想定を上回って業績が進捗している投資先などの公正価値が増加したことなどにより、合計7,894百万米ドルの評価益(純額)を計上しました。
なお、当期末時点におけるSVF1活動開始来の累計投資利益(グロス)は287.5億米ドルです。内訳は以下「投資の状況 SVF1」をご参照ください。
・SVF2
-投資先1銘柄の全株式およびKE Holdingsの一部株式を売却したことにより、投資の実現益128,577百万円を計上しました。このうち、314,096百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。
-当期末に保有する投資について未実現評価損失271,858百万円(2,202百万米ドル、純額)を計上しました(内訳は以下「投資の状況 SVF2」をご参照ください)。上場投資先について、主に当第3四半期に上場したAutoStoreの株価が上昇したものの、当期のKE Holdingsの株価下落により、合計1,049百万米ドルの評価損(純額)を計上しました。また、非上場株式についても、主に当第4四半期において幅広い銘柄で上場類似企業の株価下落などを反映して公正価値が減少したことにより、合計1,153百万米ドルの評価損(純額)を計上しました。
なお、当期末時点におけるSVF2活動開始来の累計投資利益(グロス)は0.8億米ドルです。内訳は以下「投資の状況 SVF2」をご参照ください。
B SVF1およびSVF2における外部投資家持分の増減額:972,674百万円
SVF1およびSVF2からの投資損益から、①SBIAがSVF1から受領する管理報酬および成功報酬、②SBGAがSVF2から受領する管理報酬および業績連動型管理報酬、③各ファンドの営業費用およびその他の費用を控除した金額を、持分に応じて外部投資家に分配した成果分配額および固定分配額の合計です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業(4)SVF1およびSVF2における外部投資家持分」をご参照ください。
C その他の損益:34,591百万円
2022年2月にアームの全株式売却に関するNVIDIA Corporationとの契約を解消したことに伴い、2021年9月の同契約締結時に売却対価の前受金として当社が受領していた12.5億米ドルの24.99%(SVF1のアーム株式保有割合)に当たる36,579百万円について、返金の義務がないことから、当第4四半期に利益として計上しました。
当社からSVF2へ移管した投資
当社は、ソフトバンクグループ㈱および当社主要投資子会社の投資対象ポートフォリオの取扱い方針を定めており、当該方針に則り、未上場投資先について原則SVF2への移管を進めています。
当社は当期末までに売却または現物出資により以下の投資をSVF2に移管しました。
(注)当社からSVF2への移管価額は、移管方法が現物出資の場合は移管の直前四半期末時点の当社簿価、移管方法が売却の場合は移管時点で入手可能な公正価値に基づいています。移管までに生じた投資損益は移管まで属していた報告セグメントで認識しています。
(注1)WeWork Inc.は2021年10月に上場済みであるものの、従来からソフトバンク・ビジョン・ファンドが同社への投資を行っていたことから、ワラント等についても移管を行いました。
投資の状況
2022年3月31日現在
SVF1
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
(参考)
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
②エグジットした投資
③投資に係るデリバティブ関連損益
④投資先からの利息および配当金
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。また、既存投資先からの現物配当として受領した投資について投資件数から控除しています。
(注3)記載されている株式交換に加えて、SVF1は過年度において既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換したため、当項目において該当する投資の取得額および処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。
(注4)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
(注5)株式交換による処分(売却)を含みます。
SVF2
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
②エグジットした投資
③投資に係るデリバティブ関連損益
④投資先からの利息および配当金
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)税金等の控除前
(注2)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。
(別掲)エグジット前の投資(当期末に保有する投資)の内訳
2022年3月31日現在
SVF1
(別掲)
(注1)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
SVF2
(別掲)
(注1)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
(c)ソフトバンク事業
(注1)PayPay㈱に係る持分法投資損失が当期に30,570百万円、前期に36,580百万円含まれています。ソフトバンク㈱においては、PayPay㈱は持分法適用会社に分類されていますが、ソフトバンクグループ㈱においては、PayPay㈱は2018年6月の設立から一貫して子会社として連結されており、その業績は「その他」に含まれています。このため、ソフトバンク事業で認識したPayPay㈱に係る持分法投資損失はセグメント情報の「調整額」で消去されています。
<事業概要>当事業の業績には、ソフトバンク㈱が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスやイーコマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれています。「Beyond Carrier」戦略の下、通信事業をさらに成長させることに加えて、従来の通信キャリアという枠組みを超え、ヤフー・LINEおよび新領域を加えた3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤の強化に取り組んでいます。
<業績全般>セグメント利益は、コンシューマ事業の減益や持分法による投資損失の増加があったものの、主にヤフー・LINE事業と法人事業の増益や投資利益の増加がこれを上回り、前期比32,171百万円(3.8%)増加の880,104百万円となりました。
ヤフー・LINE事業は、主にLINE㈱の子会社化に伴い広告関連サービスを中心に売上が拡大したことにより増益となりました。また、法人事業は、テレワーク需要の高まりを反映したモバイル売上の拡大に加え、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスやデジタルマーケティングの広告サービスの売上も拡大し、増益となりました。一方、コンシューマ事業は、モバイルサービスの通信料値下げの影響により減益となりました。投資利益の増加は、通信ネットワークのグローバル展開を目指す一環として出資した投資先の評価損を前期に計上したことによる反動や投資先の公正価値増加、㈱イーブックイニシアティブジャパン株式の株式交換差益の計上などによるものです。持分法による投資損失の増加は、㈱出前館やLINE㈱の海外持分法適用会社の影響によるものです。
(d)アーム事業
(注)前期よりアーム事業からISG(Internet-of-Things Services Group;IoTに関連するサービスグループ)事業が別に管理されることとなったため、ISG事業の業績はアーム事業に含めず、「その他」に含めて表示しています。
(注1)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は51,153百万円、前期は48,108百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。当社による買収後、アームは技術関連人員の増強により研究開発投資を加速し技術力の強化を図ってきました。その技術力を基にアームは既存市場でのシェアの維持・獲得および新規市場でのシェア獲得に向けて新技術の開発を行っています。
市場の動向とその影響
アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。半導体市場は、より多くの運転情報やドライブアシストが自動車で提供されたり、スマートフォンのカメラ技術が世代ごとに向上するなど、より多くの製品やサービスが組み込みインテリジェンスを用いてスマート化する長期的なトレンドを背景に、非常に高い成長が続いています。特に5Gスマートフォンやネットワーク機器、組み込み機器、車載製品などアームが高いシェアを持つ市場が大きく成長していることにより、当期においてアームのロイヤルティー収入は市場の売上高に応じて増加しました。また、アームの顧客による活発な製品設計活動によりアームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、非ロイヤルティー収入(ライセンス収入およびソフトウエア・サービス収入)の増加につながりました。一方、半導体市場は現在、貿易摩擦や特定企業への制裁などその他の外部要因の影響にさらされているほか、一時的な部材不足により、十分な量のチップを確保できない自動車メーカーやスマートフォンのOEMメーカーが生産の後ろ倒しを余儀なくされるなどの事態が生じています。今後、これらの影響により、コンシューマー・エレクトロニクスなどの出荷数が弱含んだ場合にはアームのロイヤルティー収入の押し下げ要因となる可能性があるほか、収入減に直面したライセンシーが新規ライセンス契約の締結を延期する動向が生じた場合には非ロイヤルティー収入も押し下げられる可能性があります。しかしながら、このような事象がいつ発生し、半導体業界全体やアームにどのような影響を及ぼすかを見通すことは困難です。
長期的には、コンシューマーおよびエンタープライズ・エレクトロニクスの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は拡大していくと期待しています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
テクノロジー・ロイヤルティー収入および非ロイヤルティー収入がともに増加し、売上高は前期から685百万米ドル(34.6%)増加しました。
テクノロジー・ロイヤルティー収入
テクノロジー・ロイヤルティー収入は前期から258百万米ドル(20.1%)増加しました。アームのテクノロジーを採用した5Gスマートフォンの出荷と5G基地局へのネットワーク機器の導入が大幅に増加したことに加えて、アームの顧客が自動車やサーバーなど多様な市場でシェアを拡大したことによるものです。さらに、アームの顧客はコンピューター・チップに対する旺盛な需要から価格上昇による利益を得ており、このチップ価格上昇が、ロイヤルティー収入がチップ価格に基づくことの多いアームにとっても増収効果をもたらしました。
非ロイヤルティー収入
非ロイヤルティー収入は前期から427百万米ドル(61.0%)増加しました。当社による買収以降、研究開発投資を加速してきたことで、アームのテクノロジー・ラインアップが拡充したことなどによるものです。過去数年にわたる研究開発投資強化の結果、アームは、サーバーや車載エレクトロニクス、AIアクセラレーションなどに最適化されたCPUをも含む、幅広いテクノロジー・ポートフォリオを持つに至りました。これにより、アームがテクノロジーをライセンス供与する顧客の幅が広がるとともに、既存の顧客はより多くのアームのテクノロジーの選択が可能となり、ライセンス収入を牽引しています。これらのライセンスには、サーバーやPC向けチップ、スマートフォン、ネットワーク機器、産業用ロボットや自動運転車などの自律型操作システム用途のCPUのほかAI対応マイクロコントローラーに関するものが含まれます。また、当期にアームベースのチップに対する旺盛な市場需要がアームの顧客により多くのチップ開発に向けた新規研究開発投資を促した結果、アームのCPUライセンスへの需要が増加していることも非ロイヤルティー収入の増加に寄与しました。
NVIDIAとのテクノロジー・ライセンス契約
2020年9月に、アーム全株式をNVIDIA Corporationへ売却する契約の一環として、アームは同社と締結したテクノロジー・ライセンス契約の対価として7.5億米ドルを受領しました。当第4四半期に当該売却契約は解消されたものの、当該ライセンス契約は存続するため、契約期間において関連する売上が認識されることとなります。
セグメント利益
大幅な増収によりセグメント利益は前期から75,073百万円改善し、41,200百万円となりました。
なお、当第4四半期にアームは、業務効率の向上を目的として、非エンジニアリング部門の世界的な再編を開始しました。この構造改革は一部の余剰人員の削減を伴い、人員削減の提案が適用ある法律に従って従業員との協議プロセスの対象となる国もあります。本再編を進めている中で発生の確度が高まった構造改革費用のみが当第4四半期に計上されています。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット12
2021年1~12月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は292億個となり、前年比15.4%増と年間の伸び率としては過去4年間で最も高い伸びとなりました。
<技術開発>アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業におけるテクノロジーの開発に取り組んでいます。
重点投資分野と主な進捗
(e)ラテンアメリカ・ファンド事業
(注)ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド1は、当事業における当社子会社であるSPACのスポンサーを通じてSPAC1社に出資しています。当事業においては同SPACの子会社としての業績が反映されています。
(注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
<事業概要>当事業の業績には、当社の米国100%子会社SBLA Advisers Corp.が運営するソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド1(SBLAF1)とソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド2(SBLAF2)を主とするソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの投資および事業活動の結果が含まれています。なお、2023年3月期第1四半期(2022年6月30日に終了する3カ月間)より、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドについても、SVF2の運営会社であるSBGAが運営することとなったため、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」へ統合予定です。
SBLAF1およびSBLAF2は、急速に発展するラテンアメリカであらゆる業界においてテクノロジーを活用した企業に投資することを目的に設立されました。当期末現在、SBLAF1に対する出資コミットメント総額は50億米ドル14、SBLAF2に対する出資コミットメント総額は23億米ドルです。
また、当第2四半期にソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドでは、SVF2と同様に、配当受領権制限付き共同出資プログラム、およびプリファード・エクイティを導入15しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記48.関連当事者(1)関連当事者との取引 2022年3月31日 a. 配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。
<業績全般>Banco Inter S.A.やVTEXなどの上場投資先の株価が下落した一方、QUINTOANDAR, LTD.やKavak Holdings Limited、Creditas Financial Solutions, Ltd.などの未上場投資先の公正価値が米ドルに対する現地通貨高の影響もあり増加したことにより、118,922百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。一方、当第2四半期にSBLAF1の投資先2銘柄について投資の実現損9,114百万円を計上しました。これらの結果、投資利益は111,070百万円となり、セグメント利益は84,451百万円となりました。当期末におけるソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの保有投資銘柄数は101銘柄、累計投資額は69億米ドル、公正価値は94億米ドルとなりました。
(f)その他
(注)前期第4四半期よりアーム事業からISG事業(Treasure Data, Inc.を含む)が別に管理されることとなったため、ISG事業の業績はアーム事業に含めず「その他」に含めて表示しています。当第3四半期にソフトバンクグループ㈱の保有するPayPay㈱の株式がSVF2に移管されました。同社は引き続き当社の子会社であるため、その業績は「その他」に含めて表示しています。
セグメント利益は22,347百万円の損失となりました。PayPay㈱およびFortress Investment Group LLC(以下「フォートレス」)の税引前損失がそれぞれ60,464百万円、30,825百万円となった一方、2021年6月に売却したBoston Dynamics, Inc.に対する支配喪失利益72,936百万円を計上しました。Boston Dynamics, Inc.の支配喪失利益に関する詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記16.売却目的保有に分類された処分グループ」をご参照ください。
PayPay㈱の事業の概況および業績は以下の通りです。
日本でスマートフォン決済サービスを手掛ける同社は、ユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンやサービス利用可能店舗の維持・拡大などに伴う費用の計上により、60,464百万円の税引前損失となりました。なお、決済取扱高の拡大や2021年10月より開始した中小加盟店の決済手数料有料化などによる決済手数料収入の拡大に伴い増収となり、前期から税引前損失は縮小しました。同社の決済サービスは、当期の決済回数が36.3億回(前期比1.8倍)に達するなど、順調に拡大を続けています。
「その他」に含まれるPayPay㈱の業績
(注)当第4四半期に、当第1~3四半期に費用として計上していた店舗向け施策費用の一部など6,399百万円を売上高から一括で控除しています。なお、過年度にも同様の費用が発生していましたが、金額が僅少であるため遡及修正していません。
c.財政状態の状況
(注1)SVF1およびSVF2からの投資は、当社の子会社への投資および当社から移管後引き続き持分法を適用している
投資(後者は「持分法で会計処理されている投資」に計上)を含みません。
(a)資産
主な科目別の増減理由
(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物
(注1)ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
(注2)PayPay銀行㈱を含みます。同社の現金及び現金同等物の当期末残高は334,387百万円でした。
(b)負債
主な科目別の増減理由
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(注1)資金調達を行う100%子会社の有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。ただし、Tモバイル株式を活用した借入の20.6億米ドルについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が5.7億米ドルを上限に保証しています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該借入の担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
(注2)ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
前期末からの主な会社別の増減理由
(注3)SVF1およびSVF2における借入については「b.セグメントの業績概況 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 <事業概要>ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける借入金」をご参照ください。
(c)資本
主な科目別の増減理由
(注1)消却された株式数は、2020年3月、5月、6月、7月それぞれの取締役会決議に基づく自己株式の取得(以下「本自己株式取得」)により取得された株式数と同一ですが、消却額は本自己株式取得より前に取得され保有されていた株式も含めた帳簿価額に基づいて算出されるため、本自己株式取得の取得総額とは異なります。
(2)キャッシュ・フローの状況
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは前期から2,168,200百万円増加しました。これは主に、SB Northstarが事業規模縮小に伴う投資売却による資金回収により、キャッシュ・イン・フローへの増加影響が2,044,495百万円あったことによるものです。
なお、法人所得税の支払額(キャッシュ・アウト・フロー)が前期と比べ285,102百万円増加したのは、当第1四半期に、前期にSBGJで発生したソフトバンク㈱株式売却益を含む課税所得に基づく法人税を支払ったほか、SBGJが行ったソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税を納付したことなどによるものです。当第2四半期において当該源泉所得税は還付されています。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
(注1)短期有利子負債の収支には、IFRSにおける「純額によるキャッシュ・フローの報告」の要件を満たした財務活動によるキャッシュ・フローを記載しています。
(注2)借入による収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が4,152,853百万円、支出が4,097,720百万円、それぞれ含まれています。
(注3)SVF1およびSVF2における借入については「(1)財政状態及び経営成績の状況 b.セグメントの業績概況 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 <事業概要>ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける借入金」をご参照ください。
(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報
i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源
ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)または投資ファンド(例えば、SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド)を通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの保有資産を資金化することで回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や財務改善にも振り向けています。このほか、金融機関からの借入や社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金や負債の返済原資として資金調達をしています。
保有資産の資金化においては、保有資産の売却だけではなく、多様なアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約やマージン・ローンなど、保有資産を活用した資金調達)により、機動的な資金化を実現しています。また、SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを通じ数多く行っている未上場株式への投資についても、株式上場を通じてその流動性が高まることにより、売却および資金化の機会の広がりが期待されます。
また、社債の発行においては、円建シニア社債だけではなく米ドルやユーロ建シニア社債、ハイブリッド社債など異なる商品性の債券を発行することで、国内外の様々な市場からの資金調達の機会を確保し、安定的な調達を図っています。
ii.当期における資本の財源と資金の流動性の分析
当期においては、SVF1およびSVF2から分配金1兆7,080億円(152.2億米ドル)を受領したほか、上場株式等への投資を行うSB Northstarから5,406億円(48.2億米ドル)の資金を回収しました。加えて、保有資産の売却や資金化(主にアリババ、アーム、Tモバイル、ドイツテレコム株式などを活用)により3兆3,434億円(294.3億米ドル、純額)(注1)を調達しました。これらの財源を活用し、SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドへ合計5兆1,667億円(461.8億米ドル)(注1)の出資コミットメントを履行しました。また、株主還元の一環として、自己株式を合計3,446億円(注2)取得しました。その他当期の主な財務活動として、社債を2兆2,697億円発行した一方、1兆2,266億円を償還したほか、コミットメントラインの融資枠を3,100億円から6,755億円相当に増額し、資金の柔軟性を高めています。
主に上記の財務活動と投資活動の結果、当期末における当社の手元流動性(注3)は2兆7,499億円となり、コミットメントラインの未実行融資枠である1,247億円を加えて、今後2年間の社債償還に必要となる1兆2,992億円を大幅に上回る水準を維持しています。
(注1)当期にソフトバンクグループ㈱からSVF2へ移管した60.6億米ドルの投資を含みます。
(注2)2020年3月に公表した株主還元と負債削減などを通じた財務改善のための4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針(「4.5兆円プログラム」)に従って実施した2020年7月30日の取締役会決議に基づき、2021年4月1日から2021年5月12日までに取得した2,578億円を除きます。
(注3)現金及び現金同等物と流動資産に含まれる短期投資の合計を手元流動性と定義しています。連結上の手元流動性(PayPay銀行㈱の手元流動性を除く)から独立採算で運営される事業体(上場子会社であるソフトバンク㈱(Zホールディングス㈱をはじめとする子会社を含む)、SVF1、SVF2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド、アームおよびPayPay㈱など)の手元流動性ならびに資産運用子会社SB Northstarの手元流動性を控除して算出しています。
(3)生産、受注および販売の状況
当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「(1)財政状態及び経営成績の状況 b. セグメントの業績概況」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり必要となった重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記5.重要な判断および見積り」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
1.業績ハイライト ◆ 投資損失3兆4,347億円 -SVF1およびSVF2等からの投資損失3兆7,388億円(うち、外部投資家に帰属する投資損失は9,727億円) ・SVF1:上場投資先の一部エグジットなどにより実現益(純額)1兆2,261億円を計上(うち、1兆4,638億円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済み)。主に金利先高観を受けた高成長テクノロジー銘柄回避の動きに加え、オーバーハング懸念、規制強化など複数要因により多くの上場投資先の株価が下落し、未上場投資先の公正価値も伸び悩んだことから合計2兆9,223億円の未実現評価損失(純額)を計上 ・SVF2:実現益1,286億円(うち、3,141億円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済み)および未実現評価損失(純額)2,655億円を計上 ◆ 税引前損失8,696億円(前期比6兆5,400億円悪化) -財務費用3,825億円 -デリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆2,347億円:主にアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益を計上 ◆ 親会社の所有者に帰属する純損失1兆7,080億円(前期比6兆6,960億円悪化) 2.LTV125%未満を維持しながら、ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの分配と機動的な資金調達により、 新規投資および自社株買いを実行 ◆ ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの分配 -SVF1およびSVF2は、主に投資の一部売却や資金化による手取金を基に分配を実施。当社はSVF1から67.9億米ドル、SVF2から84.3億米ドルを受領 ◆ 資金調達 -アリババ株式を活用した先渡売買契約による資金調達については、新規契約の締結、既存契約のロールオーバーおよび早期解約の結果、131.7億米ドル(純額)を調達 -アーム株式を活用した借入(アセットバック・ファイナンス)により80.0億米ドルを調達 ◆ 投資 -SVF1:当期に33.3億米ドルの投資を実施。当期末時点で82銘柄(注1)を保有。このうち当期に12社が上場したことにより、上場投資先は22社 -SVF2:当期に合計408.2億米ドルの新規および既存投資先への追加投資を実施し、累計投資額は475.4億米ドルに。当期末時点で250銘柄(注2)を保有。このうち当期に11社が上場したことにより、上場投資先は14社 -ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド:当期に65銘柄への新規投資を含む43億米ドルの投資を実施。当期末時点で101銘柄(注3)を保有 ◆ 自社株買い -2021年11月に決議した最大1兆円の自己株式取得枠のうち、2022年3月末までに累計3,446億円、4月末までに累計4,330億円の自己株式を取得 ◆ 配当 -当期の年間配当金は前期と同額の1株当たり44円に(当期の年間配当金の総額739億円) 3.1.2兆円の社債リファイナンスを着実に実行。加えて、低金利環境を捉えて機動的に外貨建て普通社債を発行 -国内ハイブリッド社債4,050億円、国内劣後社債5,000億円および5,500億円を発行し、国内ハイブリッド社債4,556億円、国内劣後社債3,616億円および4,044億円を償還 -外貨建て普通社債38.5億米ドルおよび29.5億ユーロを発行 |
(注1)当社の子会社として会計処理される投資先2件を含みます。
(注2)当社の子会社として会計処理される投資先1件を含みます。
(注3)当社の子会社として会計処理される投資先1件を含みます。
為替換算レート
2021年3月期 | 2022年3月期 | |||||||
1米ドル | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 |
期中平均 レート | 107.74円 | 105.88円 | 104.45円 | 106.24円 | 110.00円 | 110.47円 | 113.60円 | 117.10円 |
期末日 レート | 110.71円 | 122.39円 |
<連結損益計算書の表示および報告セグメントの変更>「ラテンアメリカ・ファンド事業」の新設
当第1四半期より、従前「その他」に含めていた「ラテンアメリカ・ファンド事業」について、金額的重要性が増したため新たに独立した報告セグメントとして記載するとともに、連結損益計算書においても従前「その他の投資損益」に含めていた「ラテンアメリカ・ファンド事業からの投資損益」について新たに独立した科目として記載しています。前期における情報も同様に組み替えて表示しています。同事業の概要については「b. セグメントの業績概況 (e)ラテンアメリカ・ファンド事業 <事業概要>」をご参照ください。
なお、2023年3月期第1四半期(2022年6月30日に終了する3カ月間)より、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドについても、SVF2の運営会社であるSBGAが運営することとなったため、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」へ統合予定です
<ロシア・ウクライナ情勢の影響について>ソフトバンクグループ㈱およびソフトバンク・ビジョン・ファンドは、2022年3月末現在、ロシアおよびウクライナの企業への直接的な投資を保有していません。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1の外部投資家にロシアの投資家は含まれていません。一部のグループ会社や投資先が、ロシアまたはウクライナで事業を行ったり、ロシアの企業と取引を行ったりしていますが(すでに事業の撤退・停止を行ったものおよび取引を停止したものを含む)、当該事業または取引が当社連結財務諸表に与える影響は限定的です。
ただし、ロシアのウクライナ侵攻に伴う対ロシア経済制裁を機にエネルギー価格が急騰し、また米国においてインフレ抑制のための金融引き締めが始まったことやコロナ禍におけるサプライチェーンの混乱も相まって、世界的に景気減速の懸念が高まっています。こうしたマクロ経済の逆風に伴い世界の株式市場のボラティリティが高まっており、当社の保有株式価値、そしてNAV(Net Asset Value、保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1))に悪影響を及ぼしています。当社は、引き続きLTVおよび手元流動性維持に関する財務方針を遵守したうえで、投資ポートフォリオの流動性・多様性の確保に努めています。また、特に、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドにおいては、他の多くの国際的な投資ファンドと同様に外部環境の変化による影響を受けやすいため、市場動向を注視しつつ投資先のファンダメンタルズの見極めを重視し、慎重な投資ポートフォリオの構築と管理を継続しています。
(注1)保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、ソフトバンク㈱(Zホールディングス㈱をはじめとする子会社を含む)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド、アームおよびPayPay㈱など独立採算で運営される事業体、ならびに資産運用子会社SB Northstarに帰属する有利子負債および現預金等を除く。
a.連結経営成績の状況
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | ||
継続事業 | |||||
売上高 | 5,628,167 | 6,221,534 | 593,367 | 10.5% | A |
売上総利益 | 2,874,929 | 3,265,574 | 390,645 | 13.6% | |
投資損益 | |||||
持株会社投資事業からの投資損益 | 945,944 | 104,362 | △841,582 | △89.0% | B |
SVF1およびSVF2等からの投資損益 | 6,292,024 | △3,738,825 | △10,030,849 | - | C |
ラテンアメリカ・ファンド事業からの 投資損益 | 196,556 | 111,070 | △85,486 | △43.5% | D |
その他の投資損益 | 94,482 | 88,651 | △5,831 | △6.2% | |
投資損益合計 | 7,529,006 | △3,434,742 | △10,963,748 | - | |
販売費及び一般管理費 | △2,271,497 | △2,551,722 | △280,225 | 12.3% | E |
財務費用 | △307,250 | △382,512 | △75,262 | 24.5% | F |
為替差損益 | △137,166 | △706,111 | △568,945 | - | G |
持分法による投資損益 | 616,432 | 341,385 | △275,047 | △44.6% | H |
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | △480,251 | 1,234,708 | 1,714,959 | - | I |
SVF1およびSVF2における外部投資家持分 の増減額 | △2,246,417 | 972,674 | 3,219,091 | - | |
その他の損益 | 92,670 | 391,184 | 298,514 | 322.1% | |
税引前利益 | 5,670,456 | △869,562 | △6,540,018 | - | |
法人所得税 | △1,303,168 | △592,637 | 710,531 | △54.5% | J |
継続事業からの純利益 | 4,367,288 | △1,462,199 | △5,829,487 | - | |
非継続事業 | |||||
非継続事業からの純利益 | 710,948 | - | △710,948 | - | K |
純利益 | 5,078,236 | △1,462,199 | △6,540,435 | - | |
親会社の所有者に帰属する純利益 | 4,987,962 | △1,708,029 | △6,695,991 | - | |
包括利益合計 | 5,578,244 | 691,211 | △4,887,033 | △87.6% | |
親会社の所有者に帰属する包括利益 | 5,482,739 | 449,419 | △5,033,320 | △91.8% |
以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。
A 売上高
ソフトバンク事業とアーム事業がいずれも増収となりました。
B 持株会社投資事業からの投資損益
持株会社投資事業からの投資利益は104,362百万円となりました。上場株式等への投資による投資損失を229,504百万円計上した一方、アリババ株式先渡売買契約決済益を199,972百万円、Tモバイルおよびドイツテレコムへの投資に係る利益(投資に係るデリバティブ関連利益、未実現評価損失、Tモバイル株式売却関連利益)を70,307百万円計上しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。
C SVF1およびSVF2等からの投資損益
SVF1およびSVF2等からの投資損失は3,738,825百万円となりました。このうち外部投資家に帰属する投資損失は972,674百万円です。SVF1において、保有銘柄の一部について、株式の全部または一部を売却2したことなどにより、投資の実現益1,226,097百万円(純額)を計上しました。なお、このうち1,463,810百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。また、上場投資先について、金利先高観を受けた高成長テクノロジー銘柄回避の動きに加え、オーバーハング懸念、規制強化など複数要因により多くの銘柄で株価が下落したことを反映し合計3,632,168百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。この主なものはCoupang, Inc.(以下「Coupang」)に係る損失1,645,327百万円およびDiDi Global Inc.(以下「DiDi」)に係る損失911,412百万円です。一方、未上場投資先については709,833百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。当第4四半期は上場類似企業の株価下落などを反映し幅広い銘柄で評価損を計上したものの、当期累計では資金調達ラウンドや業績好調を背景とした一部投資先の公正価値増加により全体で利益となりました。
SVF2においては、KE Holdings Inc.(以下「KE Holdings」)への投資の一部を売却したことなどにより、投資の実現益128,577百万円を計上しました。このうち314,096百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。また、当第3四半期に上場したAutoStore Holdings Ltd.(以下「AutoStore」)は株価が上昇したものの、当期累計では、KE Holdingsの株価下落や、未上場投資先の公正価値減少により、合計265,476百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。
D ラテンアメリカ・ファンド事業からの投資損益
ラテンアメリカ・ファンド事業からの投資利益は111,070百万円となりました。Banco Inter S.A.やVTEXなどの上場投資先の株価が下落した一方、QUINTOANDAR, LTD.やKavak Holdings Limited、Creditas Financial Solutions, Ltd.などの未上場投資先の公正価値が増加したことにより、118,922百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(e)ラテンアメリカ・ファンド事業」をご参照ください。
主にB~Dの結果、投資損益合計は3,434,742百万円の損失となりました。
E 販売費及び一般管理費
ソフトバンク事業で販売費及び一般管理費が313,832百万円増加しました。2021年3月のLINE㈱子会社化の影響に加え、ヤフー㈱で販売促進費などが増加したことによるものです。
F 財務費用
持株会社投資事業で支払利息が58,512百万円増加しました。主にソフトバンクグループ㈱3の支払利息が増加したことによるものです。
G 為替差損益
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建て負債(子会社からの借入や外貨建て普通社債など)および米ドル建て現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損706,111百万円(純額)を計上しました。
なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど機能通貨が外貨(主に米ドル)の在外子会社・関連会社の純資産については、為替換算レートが円安となったことにより円建ての価値が増加しましたが、そのプラス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の増加額2,176,948百万円として計上されています。
H 持分法による投資損益
アリババに係る持分法投資利益は前期比184,605百万円減少の387,911百万円4でした。主に同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資利益が減少したことによるものです。成長戦略に沿った投資やユーザー拡大のための支出、EC加盟店への支援の増加も影響しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として前期第4四半期に計上済みです。
I デリバティブ関連損益(投資損益を除く)
前々期、前期および当期に締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1,132,994百万円を計上しました。
なお、デリバティブ関連損益のうち、株式の取得や売却などの投資活動に係るデリバティブから生じる損益は「投資損益」に含まれています。例えば、資産運用子会社が保有する上場株式に係る買建コールオプションから生じるデリバティブ関連損益がこれに該当します。一方で、投資活動以外のもの、特に資金調達に伴うデリバティブから生じる損益は「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」に含まれています。例えば、アリババ株式やTモバイル株式を活用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連損益がこれに該当します。ただし、当該先渡売買契約を現金ではなく株式で決済した場合には、決済時におけるデリバティブ金融資産またはデリバティブ金融負債の取り崩しによる損益は、株式先渡売買契約決済損益の一部として「投資損益」に含まれます。
主にA~Iの結果、税引前利益は前期比6,540,018百万円悪化の869,562百万円の損失となりました。
J 法人所得税
ソフトバンク㈱やヤフー㈱で当期税金費用を計上したほか、アリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益の計上に伴い繰延税金費用を計上しました。
K 非継続事業からの純利益
前期に、Sprint CorporationとT-Mobile US, Inc.の合併取引の完了によりSprint Corporationが当社の子会社でなくなったことに伴う同社に係る支配喪失利益720,842百万円を計上していました。
主にA~Kの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比6,695,991百万円悪化の1,708,029百万円の損失となりました。
b.セグメントの業績概況
当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当第1四半期において「ラテンアメリカ・ファンド事業」を新たに設けました。また、当第2四半期において、SVF2の運営会社がSBGAとなったことに伴い、セグメント名称を「SVF1等SBIAの運営するファンド事業」から「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」に変更しました。当期末現在、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「ラテンアメリカ・ファンド事業」の5つを報告セグメントとしています。
報告セグメントの概要は以下の通りです。
セグメント名称 | 主な事業の内容 | 主な会社 | |
報告セグメント | |||
持株会社投資事業 | ・ソフトバンクグループ㈱およびその子会社による投資事業 | ソフトバンクグループ㈱ SoftBank Group Capital Limited ソフトバンクグループジャパン㈱ SB Northstar LP | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | ・SVF1およびSVF2による投資事業 | SB Investment Advisers (UK) Limited SoftBank Vision Fund L.P. SB Global Advisers Limited SoftBank Vision Fund II-2 L.P. | |
ソフトバンク事業 | ・コンシューマ事業:個人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドサービスの提供 ・法人事業:法人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスやソリューションサービスの提供 ・流通事業:法人顧客を対象としたICTサービス商材の提供、個人顧客を対象とした通信端末関連商品・IoT機器の提供 ・ヤフー・LINE事業:インターネット広告やイーコマースサービスの提供 | ソフトバンク㈱ Zホールディングス㈱ ヤフー㈱ LINE㈱ | |
アーム事業 | ・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン ・ソフトウエアツールの販売および関連サービスの提供 | Arm Limited | |
ラテンアメリカ・ファンド事業 | ・ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドによる投資事業 | SBLA Latin America Fund LLC SBLA Advisers Corp. SBLA Latin America Fund (Cayman) L.P. SBLA Holdings (Cayman) L.P. SBLA Holdings II DE LLC SLA Holdco I LLC | |
その他 | ・スマートフォン決済事業 ・オルタナティブ投資の資産運用事業 | PayPay㈱ Fortress Investment Group LLC | |
・福岡ソフトバンクホークス関連事業 | 福岡ソフトバンクホークス㈱ |
なお、2023年3月期第1四半期(2022年6月30日に終了する3カ月間)より、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドについても、SVF2の運営会社であるSBGAが運営することとなったため、「ラテンアメリカ・ファンド事業」は「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」へ統合予定です。
(a)持株会社投資事業
1.投資利益1,041億円:上場株式等への投資による投資損失を2,297億円(注1)計上した一方、アリババ株式先渡売買契約決済益を2,000億円、Tモバイルおよびドイツテレコムへの投資に係る利益(投資に係るデリバティブ関連利益、未実現評価損失、Tモバイル株式売却関連利益)を703億円計上 2.アリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1兆1,330億円の計上により、セグメント利益は9,659億円に |
(注1)SB NorthstarからSBIA US子会社のSPAC(特別買収目的会社)への投資の影響を含みます。当該取引は内部取引のため連結損益計算書では消去されています。
<事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SoftBank Group Capital Limited(以下「SBGC」)、ソフトバンクグループジャパン㈱(以下「SBGJ」)および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなど約120社と、SB Northstarからの投資先であり、持分法適用関連会社(例えばアリババ)のほか、FVTPLの金融資産として認識されるものがあります。持分法適用関連会社に該当する投資先の業績は、持分に応じて損益が「持分法による投資損益」に計上されます。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。
資産運用子会社からの上場株式等への投資
SB Northstarはソフトバンクグループ㈱の余剰資金を用いて上場株式等の取得および売却、上場株式に関連するデリバティブ取引および信用取引を行っています。しかし、現在最も注力するSVF2の投資へ資金を振り向けるために事業規模を縮小しており、その株式保有残高(注1)は前期末の2.2兆円から当期末には3,510億円まで減少しています。同社における持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。ソフトバンクグループ㈱が同社に対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。
なお、SB Northstarの投資の意思決定については、2022年3月31日までは当社100%子会社のSB MANAGEMENT LIMITEDが行っていましたが、SB Northstarの事業規模縮小に伴い、2022年4月1日以降はSB Northstarのジェネラル・パートナー(GP、当社100%子会社)が行っています。
(注1)ソフトバンクグループ㈱が保有するNVIDIA Corporationの株式が前期末には155億円、当期末には351億円含まれています。
<業績全般>
(単位:百万円) | |||||||
3月31日に終了した1年間 | |||||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | ||||
持株会社投資事業からの投資損益 | 946,107 | 104,131 | △841,976 | △89.0% | A | ||
アリババ株式先渡売買契約決済益 | - | 199,972 | 199,972 | - | |||
Tモバイル株式売却関連損益 | 421,755 | 3,149 | △418,606 | △99.3% | |||
資産運用子会社からの投資の実現損益 | △20,537 | 54,853 | 75,390 | - | |||
資産運用子会社からの投資の未実現評価損益 | 134,237 | △393,635 | △527,872 | - | |||
資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関連 損益 | △610,690 | 89,476 | 700,166 | - | |||
投資の実現損益 | 222,161 | △265,897 | △488,058 | - | |||
投資の未実現評価損益 | 608,448 | 282,824 | △325,624 | △53.5% | |||
当期計上額 | 609,734 | △156,603 | △766,337 | - | |||
過年度計上額のうち実現損益への振替額(注1) | △1,286 | 439,427 | 440,713 | - | |||
投資に係るデリバティブ関連損益 | 185,769 | 101,524 | △84,245 | △45.3% | |||
為替換算影響額(注2) | - | 12,486 | 12,486 | - | |||
その他 | 4,964 | 19,379 | 14,415 | 290.4% | |||
販売費及び一般管理費 | △102,276 | △85,742 | 16,534 | △16.2% | |||
財務費用 | △218,604 | △277,116 | △58,512 | 26.8% | B | ||
為替差損益 | △140,223 | △705,108 | △564,885 | - | C | ||
持分法による投資損益 | 601,364 | 376,433 | △224,931 | △37.4% | D | ||
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) (主にアリババ株式の先渡売買契約の影響) | △477,536 | 1,236,395 | 1,713,931 | - | E | ||
その他の損益 | 152,095 | 316,891 | 164,796 | 108.4% | F | ||
セグメント利益(税引前利益) | 760,927 | 965,884 | 204,957 | 26.9% |
(注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
(注2)投資の未実現評価損益は当該評価損益が生じた四半期の平均為替レートを用いて換算する一方、投資の実現損益は当該株式を処分した四半期の平均為替レートを用いて換算します。「為替換算影響額」は、未実現評価損益と実現損益の換算に使用する為替レートの差により生じた金額です。
A 持株会社投資事業からの投資利益:104,131百万円
・アリババ株式を活用した先渡売買契約の一部において同株式を受け渡し現物決済したことに伴い、アリババ株式先渡売買契約決済益199,972百万円を計上しました。
・2021年9月に実施したTモバイル株式の一部売却に伴い、Tモバイル株式売却関連利益3,149百万円を計上しました。当該売却取引の詳細は、以下「2021年9月に実施したTモバイル株式の一部売却」をご参照ください。なお、当該売却取引の対象となったTモバイル株式45.4百万株に係る累計損失は13,447百万円です。これは、Tモバイルが当社の持分法適用関連会社から除外された2020年6月26日時点における当該45.4百万株の公正価値と、対価として受領したドイツテレコム株式225.0百万株の当該売却取引完了時点の公正価値の差額です。
・資産運用子会社からの投資の実現益54,853百万円、資産運用子会社からの投資の未実現評価損393,635百万円をそれぞれ計上しました。これはSB Northstarによる上場株式等への投資の結果です。
・資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関連利益89,476百万円を計上しました。これはSB Northstarにおいて主に上場株式に係る買建コールオプションによる利益を計上したことによるものです。
・投資の実現損失265,897百万円、投資の未実現評価益282,824百万円をそれぞれ計上しました。これらは主に、ソフトバンクグループ㈱がWeWork Inc.(以下「WeWork」)株式を保有する100%子会社の株式をSVF2に売却したことによるものです。当該売却により、当事業においては458,716百万円の実現損失を計上した一方で、過年度に未実現評価損失として計上された478,059百万円を実現損益への振替額として計上しました(当該売却による損益は、内部取引のため連結損益計算書では消去されています)。なお、WeWork株式の取得から当該売却までに当事業において発生した累計損失は、上記の投資損益のほか、持分法で会計処理されている投資に関連する損益も合わせて、合計636,135百万円(5,924百万米ドル)です。このほか、投資の未実現評価損益の当期計上額には、Tモバイルへの投資に係る未実現評価益が22,786百万円、Lemonade, Inc.、SoFi Technologies, Inc.、ドイツテレコムへの投資に係る未実現評価損失が90,653百万円、84,347百万円、48,542百万円それぞれ含まれています。
・投資に係るデリバティブ関連利益101,524百万円を計上しました。これは主に、当社が所有する一定の条件を満たした際にTモバイル株式を無償で取得できる権利に係るデリバティブ関連利益93,039百万円を計上したことによるものです。
B 財務費用:277,116百万円(前期比58,512百万円増加)
ソフトバンクグループ㈱3の支払利息が前期比56,026百万円増の266,675百万円となりました。主に社債発行やマージン・ローンによる借入に伴う有利子負債の増加によるものです。
C 為替差損:705,108百万円
主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建て負債(子会社からの借入や外貨建て普通社債など)および米ドル建て現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損705,108百万円(純額)を計上しました。
D 持分法による投資利益:376,433百万円(前期比224,931百万円減少)
アリババに係る持分法投資利益は前期比184,605百万円減少の387,911百万円4でした。主に同社のFVTPLの金融資産に分類される投資先に係る投資利益が減少したことによるものです。成長戦略に沿った投資やユーザー拡大のための支出、EC加盟店への支援の増加も影響しました。
なお、アリババは中国国家市場監督管理総局が同社に科した独占禁止法違反の罰金を2021年1~3月期に費用計上しました。当社は当該費用を期間差における重要な事象として前期第4四半期に計上済みです。
E デリバティブ関連利益(投資損益を除く):1,236,395百万円
2020年3月期、前期および当期に締結したアリババ株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1,132,994百万円を計上しました。
F その他の利益:316,891百万円
2022年2月にアームの全株式売却に関するNVIDIA Corporationとの契約を解消したことに伴い、2021年9月の同契約締結時に売却対価の前受金として当社が受領していた12.5億米ドルの75.01%(当社100%子会社であるSoftBank Group Capital Limitedのアーム株式保有割合)に当たる109,796百万円について、返金の義務がないことから、当第4四半期に利益として計上しました。
2021年9月に実施したTモバイル株式の一部売却 当社は、2021年9月6日、ドイツテレコムとの間でマスターフレームワーク契約(以下「本契約」)を締結しました。本契約において、ドイツテレコムは、2020年6月に当社が付与したTモバイル株式を対象とした固定・変動コールオプション(以下「ドイツテレコムコールオプション」)の一部行使および変動コールオプションの特定の行使条件の変更に合意しました。ドイツテレコムコールオプションの行使に伴い、当社は所有するTモバイル株式106,291,623株のうち45,366,669株をドイツテレコムに売却し、その対価として新規に発行されたドイツテレコム株式225,000,000株(参照価格:1株当たり20ユーロ、ドイツテレコムの発行済株式数に占める割合:4.5%)を受領しました。また、ドイツテレコムは、当社がマージン・ローンの締結やその他の資金化取引に関連してTモバイル株式を担保に供する上での柔軟性を高めることにも同意しました。本契約の締結後、当社はTモバイル株式およびドイツテレコム株式を活用した以下の資金化取引を行いました。 なお、ドイツテレコムは2022年4月12日に、ドイツテレコムコールオプションを追加行使しました。当該追加行使に伴い、当社は所有するTモバイル株式21,153,145株をドイツテレコムに追加売却し、その対価として24億米ドルを受領しました。このうち約12億米ドルは、当該追加売却対象の株式を活用したマージン・ローンの一部の早期返済に充てられました。当該追加売却後、当社はTモバイル株式39,771,809株を所有しています。
(注)調達額のユーロ換算額は26.4億ユーロ |
資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響(注1)
(単位:百万円) | |||
2022年3月31日 | |||
現金及び現金同等物 | 40,458 | ||
資産運用子会社からの投資 | 313,982 | ||
資産運用子会社における担保差入有価証券 | 1,927 | ||
資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産 | 48,466 | ||
その他の金融資産 | 131,474 | ||
その他 | 1,880 | ||
資産合計 | 538,187 | ||
有利子負債 | 33,515 | ||
資産運用子会社におけるデリバティブ金融負債 | 1,880 | ||
その他の金融負債 | 170,320 | ||
その他 | 2,210 | ||
負債合計 | 207,925 | ||
Delaware子会社からの出資(注2) | 1,036,384 | ||
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への現金出資相当額 | 39,786 | ||
ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への貸付相当額 (ソフトバンクグループ㈱からの運用委託金) | 976,705 | ||
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 | 19,893 | A | |
利益剰余金 | △748,753 | B | |
為替換算差額 | 42,631 | ||
純資産 | 330,262 | C |
(注1)ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社を経由してSB Northstarへ現物出資したアリババ株式の影響およびSB NorthstarからSBIA US子会社のSPACへの投資の影響を除いたSB Northstarの財政状態計算書を、当社連結財政状態計算書への同社の影響を示すための参考情報として記載しています。
(注2)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額
(非支配持分の計算)
(単位:百万円) | ||
孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額 | 19,893 | A |
非支配持分損益(累計)(注3) | △249,493 | |
為替換算差額 | 11,461 | |
非支配持分(孫 正義の持分) | △218,139 | D |
(注3)表中Bの3分の1
(純資産(上記C)に対する持分)
(単位:百万円) | ||
ソフトバンクグループ㈱の持分 | 548,401 | |
非支配持分(孫 正義の持分) | △218,139 | D |
純資産 | 330,262 | C |
当事業における主な有利子負債およびリース負債
借入者 | 種別 | 当期末連結 財政状態計算書残高 |
ソフトバンクグループ㈱ | 借入金 | 1兆2,551億円 |
社債 | 5兆9,183億円 | |
リース負債 | 121億円 | |
コマーシャル・ペーパー | 2,568億円 | |
資金調達を行う100%子会社 (注1) | アーム株式を活用した借入(アセットバック・ファイナンス) | 9,615億円 |
アリババ株式を活用した株式先渡売買契約(フロア契約、カラー契約およびフォワード契約) | 4兆1,961億円 | |
アリババ株式を活用した借入(マージン・ローン) | 7,315億円 | |
ソフトバンク㈱株式を活用した借入(マージン・ローン) | 4,987億円 | |
Tモバイル株式を活用した株式先渡売買契約(カラー契約) | 3,404億円 | |
Tモバイル株式を活用した借入(マージン・ローン) | 2,516億円 | |
ドイツテレコム株式を活用したカラー取引 | 4,137億円 | |
SB Northstar | 借入金 | 335億円 |
(注1)資金調達を行う100%子会社による借入はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。ただし、Tモバイル株式を活用した借入については、例外的にソフトバンクグループ㈱が一部保証しています。
(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
1.投資損失(純額)3兆5,474億円を計上。外部投資家持分増減額を控除したセグメント損失は2兆6,394億円 ◆ SVF1 -投資の実現益(純額)1兆2,261億円(うち、1兆4,638億円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済み) 主にDoorDash、Coupang、Uberなど上場投資先への投資の一部を売却 -当期末に保有する投資の未実現評価損失(純額)2兆7,680億円 ・上場投資先に係る評価損(純額)3兆6,322億円:金利先高観を受けた高成長テクノロジー銘柄回避の動きに加え、オーバーハング懸念、規制強化など複数要因により、Coupang、DiDi、Grabなど幅広い銘柄で株価下落 ・未上場投資先に係る評価益(純額)8,642億円:当第4四半期においては、上場類似企業の株価下落などを反映し幅広い銘柄で評価損を計上したものの、当期累計では、資金調達ラウンドのあった投資先や上場見込みの投資先、想定を上回る業績進捗の投資先などの公正価値増加により利益に ◆ SVF2 -投資の実現益1,286億円(うち、3,141億円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済み) -当期末に保有する投資の未実現評価損失(純額)2,719億円 ・上場投資先に係る評価損(純額)1,286億円 ・未上場投資先に係る評価損(純額)1,432億円 2.投資活動の状況 ◆ SVF1 -エグジット前の投資:当期末現在、82銘柄を保有(うち、上場投資先22社)。投資額合計703.7億米ドルに対し、保有投資先公正価値合計785.7億米ドル -累計実現益181.4億米ドル、累計デリバティブ関連利益14.8億米ドルおよび累計受取配当金9.4億米ドルを 含めた、活動開始来の累計投資利益(グロス)は287.5億米ドルに(注1) ◆ SVF2 -当期末現在、250銘柄を保有(うち、上場投資先14社)。投資額合計465.9億米ドルに対し、保有投資先 公正価値合計459.8億米ドル -累計実現益11.1億米ドル、累計デリバティブ関連損失4.2億米ドルを含めた、活動開始来の累計投資利益(グロス)は0.8億米ドルに(注1) -当期末現在の出資コミットメント総額は560億米ドルに |
(注1)累計投資利益(グロス)は外部投資家持分および税金等の控除前の金額です。
<事業概要>当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)とソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)の投資および事業活動の結果が含まれています。
SVF1は、「ユニコーン(投資時において企業価値が10億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AIを活用した成長可能性の大きな企業への投資を保有しており、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。同ファンドは金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた当社の英国100%子会社SBIAが運営しています。同ファンドの投資期間は2019年9月12日に終了しましたが、合弁会社への投資を含む既存投資先への追加投資や固定分配、ファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。2回の1年延長オプションをSBIAが行使した場合を除き、SVF1の存続期間は原則として2029年11月20日までです。
SVF2は、テクノロジーを活用して各市場をリードする成長企業への投資を通じて、AI革命を持続的に加速することを目的に、2019年10月にソフトバンクグループ㈱から出資コミットメントを取得して設立されました。同ファンドは従来SBIAが運営していましたが、当第2四半期から当社の英国100%子会社であるSBGAが運営しています。SVF2の投資運用の意思決定はSBGAに設置された投資委員会を通じて行われます。SBGAは、SBIAのCEOであるラジーブ・ミスラがCEOを務めるとともに、投資委員会のメンバーの一員となっています。SBGAはSVF2の投資および運営の大部分をSBIAに委託しており、SBIAは役務提供契約に基づき引き続き同ファンドの運営に関与します。また、SVF2は、当第2四半期に共同出資プログラムが導入されたことに伴い、当該プログラムの投資エンティティであるMASA USA LLC(以下「MgmtCo」)が新たに参画しました5。当社連結財務諸表上、MgmtCoの出資持分は外部投資家持分として扱われます。当期末現在、SVF2の出資コミットメント総額は560億米ドルです。
また、当社の上場および非上場企業への投資を補完し、私募ファンドとして定められた投資範疇を超えたより広範な投資機会の追求を実現するため、SBIA USはSPAC(特別買収目的会社)を用いた投資を行っています。SBIA US子会社のSPACであるSVF Investment Corp.3は2021年3月のNASDAQへの新規上場(株式公開)時に3.2億米ドルの資金を調達し、その後、当第3四半期に小売業者や流通業者向けにフルフィルメントの自動化技術を開発する米国のSymbotic LLCと合併に関する最終契約を締結しました。同社との合併は2022年6月に完了し、統合後の新会社「Symbotic Inc.」がNASDAQにおいてティッカーシンボル「SYM」で取引を開始しました。
SVF2の共同出資プログラムについて
当第2四半期において、SVF2に配当受領権制限付き共同出資プログラムを導入しました。本プログラムは、当社経営陣がSVF2に対し当社と共同出資することで、利益のみならずそのリスクも共有の上、投資運用に専心し、当社の収益拡大への寄与を果たすことを目的としています。
本プログラムは原則として、2021年6月23日時点でSVF2が保有していた、もしくは保有を予定していた未上場の投資先、および2021年6月24日以降に実行されるSVF2の新規投資(ただし本プログラムの対象外の投資先へのフォローオン投資は除く)が対象です。本プログラムの対象となる投資はSVF2の傘下に設立された当社の子会社であるSVF II Investment Holdings LLC(以下「SVF2 LLC」)が間接的に保有します。SVF2 LLCは当社およびMgmtCoへ、投資成果が出資持分に応じて分配されるエクイティ6を発行し、SVF2 LLCへのエクイティ出資割合は、当社が82.75%、MgmtCoが17.25%です。
MgmtCoによるエクイティ出資の配当受領権には一定の制限が設けられています。具体的には、本プログラムの対象となるSVF2 LLCの投資先の実現した投資からの収入および全ての未実現の投資の公正価値の合計額(借入金控除後)がSVF2 LLCの投資先の取得価額の合計の130%を超過するまで、MgmtCoへの利益配当は全て制限され実施されません。当該比率が130%を超過以降は、10%上昇するごとに当該制限が段階的に解除され、200%に到達した時点で全ての制限が解除され、MgmtCoは利益配当の全額を受領することが可能となります。
また、MgmtCoの出資は、その裁量により全額もしくは一部を任意の時点で支払うことが認められており、これに係るSVF2 LLCの未収金に対して年間3%の割合で加算されるプレミアムの支払いがMgmtCoに対し課されます7。SVF2 LLCからMgmtCoに対する分配可能な全ての金額は、SVF2 LLCの未収金が全額決済されるまで、分配通知時に当該未収金と相殺され、MgmtCoへの分配金の支払いは実施されません8。さらに、SVF2 LLCの清算時、MgmtCoが受領した利益配当額が、その存続期間を通じて清算時に有効な比率を適用し再計算したMgmtCoが受領可能な金額を超過した場合、当該超過部分はクローバックの対象となります。
本プログラムの導入と並行し、ソフトバンクグループ㈱は、投資資金回収の効率を高めることを目的とし、今後SVF2 LLCへの出資を年利8%の固定分配が実施されるプリファード・エクイティ6で行うことを決定しました。当該プリファード・エクイティはその分配と拠出した資金の返還において、本プログラムでの当社およびMgmtCoが保有するエクイティに優先します。なお、本プログラムの対象外の投資9については、ソフトバンクグループ㈱が引き続き100%のエクイティを保有します。

詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業(1)SVF2における配当受領権制限付き共同出資プログラムおよびプリファード・エクイティの導入について」および「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記48.関連当事者(1)関連当事者との取引 2022年3月31日 a. 配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。
当事業における主なファンドの概要
2022年3月31日現在
ソフトバンク・ビジョン・ファンド1 | ソフトバンク・ビジョン・ファンド2 | |
主なリミテッド・ パートナーシップ | SoftBank Vision Fund L.P. | SoftBank Vision Fund II-2 L.P. |
出資コミットメント総額 | 986億米ドル | 560億米ドル |
当社:331億米ドル(注1) 外部投資家:655億米ドル | 当社:534億米ドル 外部投資家(MgmtCo):26億米ドル | |
ジェネラル・パートナー | SVF GP (Jersey) Limited (当社海外100%子会社) | SVF II GP (Jersey) Limited (当社海外100%子会社) |
投資期間 | 2019年9月12日に終了 | ジェネラル・パートナーの裁量により決定 |
存続期間 | 2029年11月20日まで(原則) | 2032年10月4日まで(原則) |
(注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける借入金
SVF1およびSVF2は、レバレッジの活用や手元流動性の確保などを目的として、ソフトバンクグループ㈱にはノンリコースの借入を独自に行うことがあります。当期末現在、SVF1およびSVF2の行う借入にはリターンの向上およびリミテッド・パートナーへの分配を目的とした保有資産を活用するアセットバック・ファイナンスと、キャピタル・コールから着金までの期間のつなぎ資金を確保し投資決定後の速やかな投資実行を可能にするリボルビングローンであるファンド・レベル・ファシリティーがあります。
資金の状況
2022年3月31日現在
SVF1
(単位:億米ドル) | ||||
合計 | 当社 | 外部投資家 | ||
出資コミットメント(A) | 986 | 331 | 655 | |
拠出額10(B) | 872 | 299 | 573 | |
拠出額返還額(再コール不可)(C) | 287 | 73 | 214 | |
拠出額残高(D)=(B)-(C) | 585 | 226 | 359 | |
コミットメント残額(E)=(A)-(B) | 114 | 32 | 82 |
(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。
SVF2
(単位:億米ドル) | |
合計 | |
出資コミットメント(A) | 560 |
拠出額(B) | 482 |
コミットメント残額(C)=(A)-(B) | 78 |
(注)コミットメント残額には再コール可能な払込資金返還額を含みます。
(参考:2022年3月31日現在 出資コミットメントの内訳)
出資コミットメント合計 | 560 | |
共同出資プログラムの対象外の投資への当社エクイティ出資 | 82 | |
SVF2 LLCへの当社プリファード・エクイティ出資 | 328 | |
SVF2 LLCへの当社エクイティ出資 | 124 | |
SVF2 LLCへのMgmtCoエクイティ出資 | 26 |
(注)当期末現在、MgmtCoによる出資額の支払いは実施されていません。
<業績全般>
(単位:百万円) | |||||||
3月31日に終了した1年間 | |||||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | ||||
SVF1およびSVF2等からの投資損益(注1) | 6,357,462 | △3,547,354 | △9,904,816 | - | A | ||
投資の実現損益 | 419,640 | 1,354,674 | 935,034 | 222.8% | |||
投資の未実現評価損益 | 5,897,059 | △4,817,764 | △10,714,823 | - | |||
当期計上額 | 6,013,404 | △3,039,858 | △9,053,262 | - | |||
過年度計上額のうち実現損益への振替額 (注2) | △116,345 | △1,777,906 | △1,661,561 | - | |||
投資先からの利息及び配当金 | 29,849 | 50,649 | 20,800 | 69.7% | |||
投資に係るデリバティブ関連損益 | 1,091 | △49,587 | △50,678 | - | |||
為替換算影響額 | 9,823 | △85,326 | △95,149 | - | |||
販売費及び一般管理費 | △74,194 | △69,754 | 4,440 | △6.0% | |||
財務費用 | △10,419 | △31,616 | △21,197 | 203.4% | |||
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | - | 2,056 | 2,056 | - | |||
SVF1およびSVF2における外部投資家持分の増減額 | △2,246,417 | 972,674 | 3,219,091 | - | B | ||
その他の損益 | 391 | 34,591 | 34,200 | - | C | ||
セグメント利益(税引前利益) | 4,026,823 | △2,639,403 | △6,666,226 | - |
(注1)当社の子会社であるアームおよびPayPay㈱へのソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資の公正価値の変動により計上される未実現評価損益ならびに受取配当金は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益において「SVF1およびSVF2等からの投資損益」に含まれますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF1およびSVF2等からの投資損益」には含まれません。
(注2)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
当期において、SVF1は、合計33.3億米ドルの新規投資および既存投資先への追加投資を行った一方2、投資先3銘柄の全持分および13銘柄の一部持分を、合計79.5億米ドルの当初取得額に対し合計188.9億米ドル11で売却2しました。またSVF2は、合計408.2億米ドルの新規投資および既存投資先への追加投資を行った一方、投資先1銘柄の全持分および投資先3銘柄の一部持分を、合計9.1億米ドルの当初取得額に対し合計20.6億米ドルで売却しました。
セグメント利益
A SVF1およびSVF2等からの投資損失:△3,547,354百万円
・SVF1
-投資先3銘柄の全株式およびDoorDash Inc(以下「DoorDash」)、Coupang、Uber Technologies, Inc.(以下「Uber」)など計13社の一部株式を売却2したことなどにより、投資の実現益1,226,097百万円(純額)を計上しました。このうち、1,463,810百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。
-当期末に保有する投資について未実現評価損失2,768,000百万円(23,894百万米ドル、純額)を計上しました(内訳は以下「投資の状況 SVF1」をご参照ください)。上場投資先について、当第3四半期に上場したSenseTime Group Inc.(以下「SenseTime」)など計3社の株価が上昇したものの、金利先高観を受けた高成長テクノロジー銘柄回避の動きに加え、オーバーハング懸念、規制強化など複数要因により、Coupang、DiDi、Grab Holdings Ltd(以下「Grab」)など計19社の株価が下落し、合計31,788百万米ドルの評価損(純額)を計上しました。この主なものはCoupangに係る損失14,605百万米ドルおよびDiDiに係る損失8,015百万米ドルです。非上場株式については、当第4四半期においては、上場類似企業の株価下落などを反映し幅広い銘柄で評価損を計上したものの、当期累計では、資金調達ラウンドのあった投資先、上場が見込まれる投資先および想定を上回って業績が進捗している投資先などの公正価値が増加したことなどにより、合計7,894百万米ドルの評価益(純額)を計上しました。
なお、当期末時点におけるSVF1活動開始来の累計投資利益(グロス)は287.5億米ドルです。内訳は以下「投資の状況 SVF1」をご参照ください。
・SVF2
-投資先1銘柄の全株式およびKE Holdingsの一部株式を売却したことにより、投資の実現益128,577百万円を計上しました。このうち、314,096百万円は過年度に未実現評価益(純額)として計上済みです。
-当期末に保有する投資について未実現評価損失271,858百万円(2,202百万米ドル、純額)を計上しました(内訳は以下「投資の状況 SVF2」をご参照ください)。上場投資先について、主に当第3四半期に上場したAutoStoreの株価が上昇したものの、当期のKE Holdingsの株価下落により、合計1,049百万米ドルの評価損(純額)を計上しました。また、非上場株式についても、主に当第4四半期において幅広い銘柄で上場類似企業の株価下落などを反映して公正価値が減少したことにより、合計1,153百万米ドルの評価損(純額)を計上しました。
なお、当期末時点におけるSVF2活動開始来の累計投資利益(グロス)は0.8億米ドルです。内訳は以下「投資の状況 SVF2」をご参照ください。
B SVF1およびSVF2における外部投資家持分の増減額:972,674百万円
SVF1およびSVF2からの投資損益から、①SBIAがSVF1から受領する管理報酬および成功報酬、②SBGAがSVF2から受領する管理報酬および業績連動型管理報酬、③各ファンドの営業費用およびその他の費用を控除した金額を、持分に応じて外部投資家に分配した成果分配額および固定分配額の合計です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業(4)SVF1およびSVF2における外部投資家持分」をご参照ください。
C その他の損益:34,591百万円
2022年2月にアームの全株式売却に関するNVIDIA Corporationとの契約を解消したことに伴い、2021年9月の同契約締結時に売却対価の前受金として当社が受領していた12.5億米ドルの24.99%(SVF1のアーム株式保有割合)に当たる36,579百万円について、返金の義務がないことから、当第4四半期に利益として計上しました。
当社からSVF2へ移管した投資
当社は、ソフトバンクグループ㈱および当社主要投資子会社の投資対象ポートフォリオの取扱い方針を定めており、当該方針に則り、未上場投資先について原則SVF2への移管を進めています。
当社は当期末までに売却または現物出資により以下の投資をSVF2に移管しました。
(単位:百万米ドル) | |||
移管月 | 移管方法 | 当社からSVF2への 移管価額 | |
UPSIDE Foods, Inc. | 2020年11月 | 売却 | 51 |
Berkshire Grey, Inc. | 2021年3月 | 現物出資 | 115 |
Cybereason Inc. | 2021年6月 | 現物出資 | 317 |
InMobi Pte. Ltd. | 2021年6月 | 売却 | 597 |
Treasure Data, Inc. | 2021年6月 | 売却 | 519 |
WeWork Inc. | 2021年8月 | 売却 | 2,444 |
Ola Electric Mobility Private Limited | 2021年11月 | 売却 | 556 |
PayPay㈱ | 2021年12月 | 売却 | 1,467 |
Kigen (UK) Limited | 2022年1月 | 売却 | 25 |
WeWork Inc.(ワラント等)(注1) | 2022年3月 | 売却/現物出資 | 100 |
合計 | 6,191 |
(注)当社からSVF2への移管価額は、移管方法が現物出資の場合は移管の直前四半期末時点の当社簿価、移管方法が売却の場合は移管時点で入手可能な公正価値に基づいています。移管までに生じた投資損益は移管まで属していた報告セグメントで認識しています。
(注1)WeWork Inc.は2021年10月に上場済みであるものの、従来からソフトバンク・ビジョン・ファンドが同社への投資を行っていたことから、ワラント等についても移管を行いました。
投資の状況
2022年3月31日現在
SVF1
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
累計 投資銘柄数 | 累計 投資額 | 累計 リターン | 累計損益(注1) | |
98 | 89.2 | 117.9 | 28.8 |
(参考)
累計 投資銘柄数 | 累計 投資額 | 累計 リターン | 累計損益(注1) | ||
株式交換による影響 | △2 | △1.7 | △1.7 | 0.0 | |
Uber Advanced Technologies GroupとAurora Innovation Inc. | |||||
PT TokopediaとGoTo | |||||
現物配当による影響 | △2 | - | - | - | |
Treasure Data, Inc. | |||||
Acetone Limited(アーム中国合弁会社持分) | |||||
株式交換および現物配当 による影響考慮後(注2)(注3) | 94 | 87.4 | 116.2 | 28.8 |
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
銘柄数 | 投資額 | 公正価値 | 累計 未実現 評価損益 (注4) | 未実現 評価損益 当期計上額 | ||
上場株式 | 22 | 33.2 | 30.6 | △2.6 | △31.8 | |
非上場株式 | 60 | 37.2 | 48.0 | 10.8 | 7.9 | |
合計 | 82 | 70.4 | 78.6 | 8.2 | △23.9 |
②エグジットした投資
銘柄数 | 投資額 | エグジット 金額 | 累計 実現損益 (注1) | 実現損益 当期計上額 | ||
一部エグジット | - | 7.8 | 20.0 | 12.2 | 9.8 | |
全部エグジット(注5) | 16 | 11.0 | 16.9 | 5.9 | 1.1 | |
合計 | 16 | 18.8 | 36.9 | 18.1 | 10.9 |
③投資に係るデリバティブ関連損益
デリバティブ 原価 | 公正価値/ 決済額 | 累計 デリバティブ 関連損益 | デリバティブ 関連損益 当期計上額 | |||
未決済 | - | - | - | - | ||
既決済 | 0.0 | 1.5 | 1.5 | 0.0 | ||
合計 | 0.0 | 1.5 | 1.5 | 0.0 |
④投資先からの利息および配当金
利息および 配当金 | 累計損益 | 利息および 配当金 当期計上額 | ||||
合計 | 0.9 | 0.9 | 0.4 |
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)外部投資家持分および税金等の控除前
(注2)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。また、既存投資先からの現物配当として受領した投資について投資件数から控除しています。
(注3)記載されている株式交換に加えて、SVF1は過年度において既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換したため、当項目において該当する投資の取得額および処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。
(注4)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。
(注5)株式交換による処分(売却)を含みます。
SVF2
(単位:十億米ドル)
合計(下記①+②+③+④)
累計 投資銘柄数 | 累計 投資額 | 累計 リターン | 累計損益(注1) | |
251 | 47.5 | 47.6 | 0.1 |
①エグジット前の投資(当期末に保有する投資)
銘柄数 | 投資額 (注2) | 公正価値 (注2) | 累計 未実現 評価損益 | 未実現 評価損益 当期計上額 | ||
上場株式 | 14 | 8.5 | 9.1 | 0.6 | △1.0 | |
非上場株式 | 236 | 38.1 | 36.9 | △1.2 | △1.2 | |
合計 | 250 | 46.6 | 46.0 | △0.6 | △2.2 |
②エグジットした投資
銘柄数 | 投資額 | エグジット 金額 | 累計 実現損益 (注1) | 実現損益 当期計上額 | ||
一部エグジット | - | 0.9 | 2.0 | 1.1 | 1.1 | |
全部エグジット | 1 | 0.0 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | |
合計 | 1 | 0.9 | 2.1 | 1.1 | 1.2 |
③投資に係るデリバティブ関連損益
デリバティブ 原価 | 公正価値/ 決済額 | 累計 デリバティブ 関連損益 | デリバティブ 関連損益 当期計上額 | |||
未決済 | - | △0.4 | △0.4 | △0.4 | ||
既決済 | - | - | - | - | ||
合計 | - | △0.4 | △0.4 | △0.4 |
④投資先からの利息および配当金
利息および 配当金 | 累計損益 | 利息および 配当金 当期計上額 | ||||
合計 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
(注1)税金等の控除前
(注2)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。
(別掲)エグジット前の投資(当期末に保有する投資)の内訳
2022年3月31日現在
SVF1
(単位:十億米ドル) | |||||||
セクター | 銘柄数 | 投資額 | 公正価値 | 累計 未実現 評価損益 | 未実現 評価損益 当期計上額 | ||
a | コンシューマー | 14 | 10.5 | 28.8 | 18.3 | △8.7 | |
b | エドテック | 1 | 0.7 | 0.1 | △0.6 | △1.0 | |
c | エンタープライズ | 7 | 1.6 | 2.3 | 0.7 | 0.3 | |
d | フィンテック | 10 | 4.0 | 2.4 | △1.6 | 0.0 | |
e | フロンティアテック | 11 | 11.4 | 15.1 | 3.7 | 2.9 | |
f | ヘルステック | 8 | 2.0 | 2.5 | 0.5 | △1.4 | |
g | ロジスティクス | 13 | 8.7 | 13.8 | 5.1 | △0.8 | |
h | プロップテック | 9 | 10.1 | 3.6 | △6.5 | △2.1 | |
i | トランスポーテーション | 9 | 21.4 | 10.0 | △11.4 | △13.1 | |
合計 | 82 | 70.4 | 78.6 | 8.2 | △23.9 |
(別掲)
上場株式(注1) | 22 | 33.2 | 30.6 | △2.6 | △31.8 | |||
a | Coupang | 2.2 | 8.2 | 6.0 | △14.6 | |||
d | One97 Communications (PayTM) | 1.4 | 0.8 | △0.6 | △0.5 | |||
d | OneConnect | 0.1 | 0.0 | △0.1 | △0.1 | |||
d | PB Fintech (Policybazaar) | 0.1 | 0.4 | 0.3 | 0.2 | |||
e | Energy Vault | 0.1 | 0.3 | 0.2 | 0.2 | |||
e | SenseTime | 1.4 | 3.7 | 2.3 | 2.1 | |||
e | Zymergen | 0.4 | 0.1 | △0.3 | △0.8 | |||
f | Guardant Health | 0.0 | 0.0 | 0.0 | △0.0 | |||
f | Relay Therapeutics | 0.3 | 0.8 | 0.5 | △0.1 | |||
f | Roivant Sciences | 0.9 | 0.5 | △0.4 | △0.7 | |||
f | Vir Biotechnology | 0.2 | 0.6 | 0.4 | △0.6 | |||
g | DoorDash | 0.4 | 4.0 | 3.6 | △0.5 | |||
g | Full Truck Alliance | 1.7 | 1.3 | △0.4 | △0.7 | |||
h | Compass | 1.1 | 1.1 | △0.0 | △1.3 | |||
h | Opendoor | 0.3 | 0.4 | 0.1 | △0.5 | |||
h | View | 1.2 | 0.1 | △1.1 | △0.4 | |||
h | WeWork | 3.2 | 0.6 | △2.6 | △0.0 | |||
i | Aurora Innovation | 0.3 | 0.2 | △0.1 | △0.1 | |||
i | Auto1 | 0.7 | 0.4 | △0.3 | △1.7 | |||
i | DiDi | 12.1 | 2.4 | △9.7 | △8.0 | |||
i | Grab | 3.0 | 2.5 | △0.5 | △2.5 | |||
i | Uber | 2.1 | 2.2 | 0.1 | △1.2 | |||
非上場株式 | 60 | 37.2 | 48.0 | 10.8 | 7.9 | |||
合計 | 82 | 70.4 | 78.6 | 8.2 | △23.9 |
(注1)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
SVF2
(単位:十億米ドル) | |||||||
セクター | 銘柄数 | 投資額 | 公正価値 | 累計 未実現 評価損益 | 未実現 評価損益 当期計上額 | ||
a | コンシューマー | 55 | 10.0 | 9.3 | △0.7 | △0.8 | |
b | エドテック | 10 | 1.5 | 1.4 | △0.1 | △0.1 | |
c | エンタープライズ | 57 | 7.7 | 7.6 | △0.1 | △0.1 | |
d | フィンテック | 35 | 8.5 | 7.4 | △1.1 | △0.8 | |
e | フロンティアテック | 18 | 2.3 | 2.0 | △0.3 | △0.4 | |
f | ヘルステック | 38 | 3.8 | 3.4 | △0.4 | △0.4 | |
g | ロジスティクス | 15 | 5.4 | 6.7 | 1.3 | 1.4 | |
h | プロップテック | 8 | 5.1 | 5.0 | △0.1 | △1.7 | |
i | トランスポーテーション | 9 | 2.2 | 3.1 | 0.9 | 0.7 | |
j | その他 | 5 | 0.1 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | |
合計 | 250 | 46.6 | 46.0 | △0.6 | △2.2 |
(別掲)
上場株式(注1) | 14 | 8.5 | 9.1 | 0.6 | △1.0 | |||
a | Dingdong | 0.3 | 0.0 | △0.3 | △0.3 | |||
b | Zhangmen | 0.1 | 0.0 | △0.1 | △0.1 | |||
c | AInnovation | 0.1 | 0.1 | △0.0 | △0.0 | |||
e | IonQ | 0.1 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | |||
e | Qualtrics | 0.0 | 0.0 | △0.0 | △0.0 | |||
f | Exscientia | 0.3 | 0.3 | △0.0 | △0.0 | |||
f | Pear Therapeutics | 0.1 | 0.1 | 0.0 | 0.1 | |||
f | Seer | 0.2 | 0.1 | △0.1 | △0.2 | |||
g | AutoStore | 2.8 | 4.8 | 2.0 | 2.0 | |||
g | Berkshire Grey | 0.7 | 0.2 | △0.5 | △0.4 | |||
g | Full Truck Alliance | 0.2 | 0.1 | △0.1 | △0.1 | |||
g | JD Logistics | 0.6 | 0.3 | △0.3 | △0.3 | |||
h | KE Holdings | 0.5 | 0.5 | △0.0 | △1.7 | |||
h | WeWork | 2.5 | 2.5 | △0.0 | △0.0 | |||
非上場株式 | 236 | 38.1 | 36.9 | △1.2 | △1.2 | |||
合計 | 250 | 46.6 | 46.0 | △0.6 | △2.2 |
(注1)上場株式に付された記号は属するセクターを表しています。当該セクターにおける投資先は掲載された上場株式に限りません。
(c)ソフトバンク事業
主にヤフー・LINE事業と法人事業の増益や投資利益の増加がコンシューマ事業の減益や持分法による投資損失の増加を上回り、セグメント利益は前期比3.8%増加 |
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 5,204,350 | 5,690,680 | 486,330 | 9.3% |
セグメント利益(税引前利益) | 847,933 | 880,104 | 32,171 | 3.8% |
減価償却費及び償却費 | △729,914 | △740,280 | △10,366 | 1.4% |
投資損益 | 1,433 | 41,946 | 40,513 | - |
財務費用 | △64,322 | △62,445 | 1,877 | △2.9% |
持分法による投資損益(注1) | △45,048 | △69,626 | △24,578 | - |
デリバティブ関連損益 (投資損益を除く) | 410 | 750 | 340 | 82.9% |
(注1)PayPay㈱に係る持分法投資損失が当期に30,570百万円、前期に36,580百万円含まれています。ソフトバンク㈱においては、PayPay㈱は持分法適用会社に分類されていますが、ソフトバンクグループ㈱においては、PayPay㈱は2018年6月の設立から一貫して子会社として連結されており、その業績は「その他」に含まれています。このため、ソフトバンク事業で認識したPayPay㈱に係る持分法投資損失はセグメント情報の「調整額」で消去されています。
<事業概要>当事業の業績には、ソフトバンク㈱が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスやイーコマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれています。「Beyond Carrier」戦略の下、通信事業をさらに成長させることに加えて、従来の通信キャリアという枠組みを超え、ヤフー・LINEおよび新領域を加えた3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤の強化に取り組んでいます。
<業績全般>セグメント利益は、コンシューマ事業の減益や持分法による投資損失の増加があったものの、主にヤフー・LINE事業と法人事業の増益や投資利益の増加がこれを上回り、前期比32,171百万円(3.8%)増加の880,104百万円となりました。
ヤフー・LINE事業は、主にLINE㈱の子会社化に伴い広告関連サービスを中心に売上が拡大したことにより増益となりました。また、法人事業は、テレワーク需要の高まりを反映したモバイル売上の拡大に加え、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスやデジタルマーケティングの広告サービスの売上も拡大し、増益となりました。一方、コンシューマ事業は、モバイルサービスの通信料値下げの影響により減益となりました。投資利益の増加は、通信ネットワークのグローバル展開を目指す一環として出資した投資先の評価損を前期に計上したことによる反動や投資先の公正価値増加、㈱イーブックイニシアティブジャパン株式の株式交換差益の計上などによるものです。持分法による投資損失の増加は、㈱出前館やLINE㈱の海外持分法適用会社の影響によるものです。
(d)アーム事業
1.大幅増収が続き、セグメント利益は黒字に ◆ 売上高が前期比43.0%増 -ロイヤルティー収入が前期比20.1%増(米ドルベース):市場全体が力強く成長する中アームの市場シェアが拡大 -非ロイヤルティー収入が前期比61.0%増(米ドルベース):過去数年にわたる計画的な研究開発投資を経て新規開発されたテクノロジーが貢献 ◆ 大幅増収に加え、成長分野への研究開発投資の集約によるコスト抑制が増益に寄与 2.次世代製品・サービスへのアームの最新テクノロジーの採用が進む 当第4四半期、自動車用映像システムやネットワーク機器、サーバー、スマートフォンなどの幅広い最終製品市場向けCPU・GPUのライセンス契約を締結 3.株式上場に向けて準備していくことを発表 |
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 209,848 | 300,013 | 90,165 | 43.0% |
セグメント利益(税引前利益)(注1) | △33,873 | 41,200 | 75,073 | - |
(注)前期よりアーム事業からISG(Internet-of-Things Services Group;IoTに関連するサービスグループ)事業が別に管理されることとなったため、ISG事業の業績はアーム事業に含めず、「その他」に含めて表示しています。
(注1)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は51,153百万円、前期は48,108百万円含まれています。
<事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。当社による買収後、アームは技術関連人員の増強により研究開発投資を加速し技術力の強化を図ってきました。その技術力を基にアームは既存市場でのシェアの維持・獲得および新規市場でのシェア獲得に向けて新技術の開発を行っています。
市場の動向とその影響
アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。半導体市場は、より多くの運転情報やドライブアシストが自動車で提供されたり、スマートフォンのカメラ技術が世代ごとに向上するなど、より多くの製品やサービスが組み込みインテリジェンスを用いてスマート化する長期的なトレンドを背景に、非常に高い成長が続いています。特に5Gスマートフォンやネットワーク機器、組み込み機器、車載製品などアームが高いシェアを持つ市場が大きく成長していることにより、当期においてアームのロイヤルティー収入は市場の売上高に応じて増加しました。また、アームの顧客による活発な製品設計活動によりアームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、非ロイヤルティー収入(ライセンス収入およびソフトウエア・サービス収入)の増加につながりました。一方、半導体市場は現在、貿易摩擦や特定企業への制裁などその他の外部要因の影響にさらされているほか、一時的な部材不足により、十分な量のチップを確保できない自動車メーカーやスマートフォンのOEMメーカーが生産の後ろ倒しを余儀なくされるなどの事態が生じています。今後、これらの影響により、コンシューマー・エレクトロニクスなどの出荷数が弱含んだ場合にはアームのロイヤルティー収入の押し下げ要因となる可能性があるほか、収入減に直面したライセンシーが新規ライセンス契約の締結を延期する動向が生じた場合には非ロイヤルティー収入も押し下げられる可能性があります。しかしながら、このような事象がいつ発生し、半導体業界全体やアームにどのような影響を及ぼすかを見通すことは困難です。
長期的には、コンシューマーおよびエンタープライズ・エレクトロニクスの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は拡大していくと期待しています。
<業績全般>売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
(単位:百万米ドル) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | |
テクノロジー・ロイヤルティー収入 | 1,278 | 1,536 | 258 | 20.1% |
非ロイヤルティー収入 | 702 | 1,129 | 427 | 61.0% |
売上高合計 | 1,980 | 2,665 | 685 | 34.6% |
テクノロジー・ロイヤルティー収入および非ロイヤルティー収入がともに増加し、売上高は前期から685百万米ドル(34.6%)増加しました。
テクノロジー・ロイヤルティー収入
テクノロジー・ロイヤルティー収入は前期から258百万米ドル(20.1%)増加しました。アームのテクノロジーを採用した5Gスマートフォンの出荷と5G基地局へのネットワーク機器の導入が大幅に増加したことに加えて、アームの顧客が自動車やサーバーなど多様な市場でシェアを拡大したことによるものです。さらに、アームの顧客はコンピューター・チップに対する旺盛な需要から価格上昇による利益を得ており、このチップ価格上昇が、ロイヤルティー収入がチップ価格に基づくことの多いアームにとっても増収効果をもたらしました。
非ロイヤルティー収入
非ロイヤルティー収入は前期から427百万米ドル(61.0%)増加しました。当社による買収以降、研究開発投資を加速してきたことで、アームのテクノロジー・ラインアップが拡充したことなどによるものです。過去数年にわたる研究開発投資強化の結果、アームは、サーバーや車載エレクトロニクス、AIアクセラレーションなどに最適化されたCPUをも含む、幅広いテクノロジー・ポートフォリオを持つに至りました。これにより、アームがテクノロジーをライセンス供与する顧客の幅が広がるとともに、既存の顧客はより多くのアームのテクノロジーの選択が可能となり、ライセンス収入を牽引しています。これらのライセンスには、サーバーやPC向けチップ、スマートフォン、ネットワーク機器、産業用ロボットや自動運転車などの自律型操作システム用途のCPUのほかAI対応マイクロコントローラーに関するものが含まれます。また、当期にアームベースのチップに対する旺盛な市場需要がアームの顧客により多くのチップ開発に向けた新規研究開発投資を促した結果、アームのCPUライセンスへの需要が増加していることも非ロイヤルティー収入の増加に寄与しました。
NVIDIAとのテクノロジー・ライセンス契約
2020年9月に、アーム全株式をNVIDIA Corporationへ売却する契約の一環として、アームは同社と締結したテクノロジー・ライセンス契約の対価として7.5億米ドルを受領しました。当第4四半期に当該売却契約は解消されたものの、当該ライセンス契約は存続するため、契約期間において関連する売上が認識されることとなります。
セグメント利益
大幅な増収によりセグメント利益は前期から75,073百万円改善し、41,200百万円となりました。
なお、当第4四半期にアームは、業務効率の向上を目的として、非エンジニアリング部門の世界的な再編を開始しました。この構造改革は一部の余剰人員の削減を伴い、人員削減の提案が適用ある法律に従って従業員との協議プロセスの対象となる国もあります。本再編を進めている中で発生の確度が高まった構造改革費用のみが当第4四半期に計上されています。
<営業概況>ロイヤルティー・ユニット12
(単位:億個) | ||||
12月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
ロイヤルティー・ユニット出荷数 (ライセンシーからの報告に基づく実績ベース) | 253 | 292 | 39 | 15.4% |
2021年1~12月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は292億個となり、前年比15.4%増と年間の伸び率としては過去4年間で最も高い伸びとなりました。
<技術開発>アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業におけるテクノロジーの開発に取り組んでいます。
重点投資分野と主な進捗
モバイルコンピューティング | |||
オポチュニティー | : | モバイル端末用メインチップの市場シェアはすでに95%超 ロイヤルティー単価が長年にわたり上昇傾向 | |
当第1四半期 | : | スマートフォンおよびモバイルコンピューティング向けの、3つの「Armv9」ベースの新CPU「Cortex-X2」「Cortex-A710」「Cortex-A510」および3つの新GPU「Mali-G710」「Mali-G510」「Mali-G310」を発表 | |
当第3四半期 | : | Mediatek Inc.、Qualcomm Technologies, Inc.およびSamsung Electronics Co., Ltd.が、「Armv9」アーキテクチャーで開発されたアームベースチップを搭載した初のスマートフォン向けチップをそれぞれ発表。2022年からスマートフォンに搭載予定 | |
当第4四半期 | : | Lenovo Group Limitedが、Qualcomm Technologies, Inc.のアームベースチップを搭載した同社初の、ノートPC、Lenovo ThinkPad X13sを発表。4つの高性能CPUと4つの高効率CPUを使用し、長時間のバッテリー駆動を実現 | |
インフラ | |||
オポチュニティー | : | ネットワーク・インフラの市場シェアが拡大、データセンター用サーバーの市場シェアも確立中 | |
当第1四半期 | : | ・アームのサーバー向けテクノロジーを搭載した理化学研究所と富士通㈱共同開発のスーパーコンピューター「富岳」が、スーパーコンピューターの計算速度を競うランキング「TOP500」で引き続き世界第1位を維持 ・Oracle Corporationが、Oracle Cloud InfrastructureにおいてAmpere Computing LLCのチップを使用したアームのテクノロジー搭載サーバーの採用を発表 ・NVIDIA CorporationとMarvell Technology, Inc. がアームのCPUテクノロジーを搭載した5Gネットワーク・インフラ向けチップを発表 | |
当第2四半期 | : | Cloudflare, Inc.が、アームの低消費電力型テクノロジー導入によるゼロエミッション・インターネットに向けた計画を発表。エッジサーバーへの「Neoverse」ベースCPUの導入により1ワットあたりリクエスト数の50%超改善をうたう | |
当第3四半期 | : | ・アリババが、「Armv9」アーキテクチャーのコアを128個搭載した初のデータセンター向けアームベースチップYitian 710を発表 ・Amazon Web Services Inc.が、アームベースのデータセンター向け次世代チップGraviton3を発表。暗号化や機械学習などの用途において、Graviton2と比較して2~3倍の高パフォーマンスをうたう | |
当第4四半期 | : | 富士通㈱が、世界最速のスーパーコンピューター「富岳」と同様アームベースのA64FX CPUを搭載した、クラスタシステム上で36量子ビットの量子回路を扱うことができる世界最速の量子コンピューター・シミュレーターの開発成功を発表 |
自動車 | |||
オポチュニティー | : | 自動車のスマート化に伴い高度処理能力の需要が上昇する中、アームのテクノロジーは省電力性で好位置に付け、多くの自動車向けチップ開発企業とライセンス契約を締結済み | |
当第1四半期 | : | AUDI AGや㈱デンソー、NXP Semiconductors N.V.などの大手自動車メーカーや技術提供会社と自動運転車の標準化のための提携を発表 | |
当第2四半期 | : | ソフトウエアダウンロードにより車の性能や機能が変更できるソフトウエア定義自動車(software-defined cars)が開発可能な自動車設計用新プラットフォームを発表 | |
当第4四半期 | : | Intel Corporation傘下で自動車用ビジョン・セーフティー技術のパイオニアであるMobileye Technologies Limitedが、同社の次世代EyeQテクノロジー向けに、アームが新たに導入したISP(画像信号プロセッサー)「Mali-C78AE」およびGPU「Mali-G78AE」のライセンス契約を発表 |
IoT | |||
オポチュニティー | : | IoTの真価発揮に不可欠な安全性や堅牢性を追求し、IoT機器ネットワーク内での安全なデータ管理用テクノロジーを開発 | |
当第1四半期 | : | アームのマイクロコントローラー用ソフトウエアの開発期間短縮を目的としたプログラムコードの再利用や開発者間共有を可能にするプログラムを発表 | |
当第2四半期 | : | 「Total Solutions for IoT」を発表。アマゾン ウェブ サービス(AWS)上で仮想開発環境を提供することによりチップとソフトウエアの同時開発を実現し、IoT製品の設計期間を最長2年短縮することを見込む | |
当第4四半期 | : | アームが、物体認識や顔認識機能を持つスマートカメラなど、AI機能を必要とする高性能マイクロコントローラー向け新CPU「Cortex-M85」を発表 |
(e)ラテンアメリカ・ファンド事業
1.未上場投資先の公正価値の増加により投資利益(純額)1,111億円を計上 2.当期末現在、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドで合計101銘柄を保有(うち、上場投資先7社13)。投資額合計69億米ドルに対し、公正価値合計94億米ドル |
(単位:百万円) | ||||||
3月31日に終了した1年間 | ||||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | |||
ラテンアメリカ・ファンド事業からの投資損益 | 196,556 | 111,070 | △85,486 | △43.5% | ||
投資の実現損益 | - | △9,114 | △9,114 | - | ||
投資の未実現評価損益 | 196,186 | 118,922 | △77,264 | △39.4% | ||
当期計上額 | 196,186 | 110,888 | △85,298 | △43.5% | ||
過年度計上額のうち実現損益への振替額(注1) | - | 8,034 | 8,034 | - | ||
投資に係るデリバティブ関連損益 | 219 | △372 | △591 | - | ||
為替換算影響額 | - | 364 | 364 | - | ||
その他 | 151 | 1,270 | 1,119 | - | ||
販売費及び一般管理費 | △7,503 | △24,198 | △16,695 | 222.5% | ||
財務費用 | △410 | △1,661 | △1,251 | 305.1% | ||
デリバティブ関連損益(投資損益を除く) | - | 291 | 291 | - | ||
その他の損益 | 31 | △1,051 | △1,082 | - | ||
セグメント利益(税引前利益) | 188,674 | 84,451 | △104,223 | △55.2% |
(注)ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド1は、当事業における当社子会社であるSPACのスポンサーを通じてSPAC1社に出資しています。当事業においては同SPACの子会社としての業績が反映されています。
(注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。
<事業概要>当事業の業績には、当社の米国100%子会社SBLA Advisers Corp.が運営するソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド1(SBLAF1)とソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド2(SBLAF2)を主とするソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの投資および事業活動の結果が含まれています。なお、2023年3月期第1四半期(2022年6月30日に終了する3カ月間)より、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドについても、SVF2の運営会社であるSBGAが運営することとなったため、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」へ統合予定です。
SBLAF1およびSBLAF2は、急速に発展するラテンアメリカであらゆる業界においてテクノロジーを活用した企業に投資することを目的に設立されました。当期末現在、SBLAF1に対する出資コミットメント総額は50億米ドル14、SBLAF2に対する出資コミットメント総額は23億米ドルです。
また、当第2四半期にソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドでは、SVF2と同様に、配当受領権制限付き共同出資プログラム、およびプリファード・エクイティを導入15しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記48.関連当事者(1)関連当事者との取引 2022年3月31日 a. 配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。
<業績全般>Banco Inter S.A.やVTEXなどの上場投資先の株価が下落した一方、QUINTOANDAR, LTD.やKavak Holdings Limited、Creditas Financial Solutions, Ltd.などの未上場投資先の公正価値が米ドルに対する現地通貨高の影響もあり増加したことにより、118,922百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。一方、当第2四半期にSBLAF1の投資先2銘柄について投資の実現損9,114百万円を計上しました。これらの結果、投資利益は111,070百万円となり、セグメント利益は84,451百万円となりました。当期末におけるソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの保有投資銘柄数は101銘柄、累計投資額は69億米ドル、公正価値は94億米ドルとなりました。
(f)その他
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 238,774 | 260,550 | 21,776 | 9.1% | |
セグメント利益(税引前利益) | △96,049 | △22,347 | 73,702 | - | |
減価償却費及び償却費 | △42,843 | △31,511 | 11,332 | △26.5% | |
投資損益 | 92,685 | 46,402 | △46,283 | △49.9% | |
財務費用 | △16,211 | △13,709 | 2,502 | △15.4% | |
持分法による投資損益 | 21,578 | 19,456 | △2,122 | △9.8% | |
デリバティブ関連損益 (投資損益を除く) | △3,972 | △3,479 | 493 | - |
(注)前期第4四半期よりアーム事業からISG事業(Treasure Data, Inc.を含む)が別に管理されることとなったため、ISG事業の業績はアーム事業に含めず「その他」に含めて表示しています。当第3四半期にソフトバンクグループ㈱の保有するPayPay㈱の株式がSVF2に移管されました。同社は引き続き当社の子会社であるため、その業績は「その他」に含めて表示しています。
セグメント利益は22,347百万円の損失となりました。PayPay㈱およびFortress Investment Group LLC(以下「フォートレス」)の税引前損失がそれぞれ60,464百万円、30,825百万円となった一方、2021年6月に売却したBoston Dynamics, Inc.に対する支配喪失利益72,936百万円を計上しました。Boston Dynamics, Inc.の支配喪失利益に関する詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記16.売却目的保有に分類された処分グループ」をご参照ください。
PayPay㈱の事業の概況および業績は以下の通りです。
日本でスマートフォン決済サービスを手掛ける同社は、ユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンやサービス利用可能店舗の維持・拡大などに伴う費用の計上により、60,464百万円の税引前損失となりました。なお、決済取扱高の拡大や2021年10月より開始した中小加盟店の決済手数料有料化などによる決済手数料収入の拡大に伴い増収となり、前期から税引前損失は縮小しました。同社の決済サービスは、当期の決済回数が36.3億回(前期比1.8倍)に達するなど、順調に拡大を続けています。
「その他」に含まれるPayPay㈱の業績
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2021年 | 2022年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 29,986 | 57,437 | 27,451 | 91.5% |
税引前損失 | △72,650 | △60,464 | 12,186 | - |
(注)当第4四半期に、当第1~3四半期に費用として計上していた店舗向け施策費用の一部など6,399百万円を売上高から一括で控除しています。なお、過年度にも同様の費用が発生していましたが、金額が僅少であるため遡及修正していません。
c.財政状態の状況
1.投資資産の状況 ◆ SVF1およびSVF2からの投資の帳簿価額は13兆7,664億円(前期末比1,196億円増加)(注1) -SVF1は前期末比4兆380億円減少:新規投資および既存投資先への追加投資により30.5億米ドル増加した一方、当期末に保有する投資先の公正価値減少により252.8億米ドル、投資の売却などにより216.2億米ドルそれ ぞれ減少 -SVF2は前期末比4兆1,576億円増加:投資の売却により38.7億米ドル、当期末に保有する投資先の公正価値減少により21.6億米ドルそれぞれ減少した一方、新規投資および既存投資先への追加投資により384.3億米ドル 増加 ◆ 投資有価証券の帳簿価額は4兆2,086億円(前期末比5,018億円増加) -Tモバイル株式:ドイツテレコムへの売却などにより帳簿価額が前期末比5,173億円減少。当該売却の対価としてドイツテレコム株式を受領(当期末の帳簿価額は5,180億円) -ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド:主に新規投資により投資の帳簿価額が前期末比6,822億円増加 ◆ 資産運用子会社における現物株式等の保有残高が売却により前期末の2兆1,825億円から3,159億円へ縮小 -資産運用子会社からの投資の帳簿価額は3,140億円(前期末比4,413億円減少) -資産運用子会社における担保差入有価証券の帳簿価額は19億円(前期末比1兆4,254億円減少) 2.資金調達に伴う負債の増減 ◆ ソフトバンクグループ㈱の有利子負債が前期末比1兆2,839億円増加 -国内ハイブリッド社債4,050億円、国内劣後社債5,000億円および5,500億円、外貨建て普通社債38.5億米ドル および29.5億ユーロを発行した一方、国内ハイブリッド社債4,556億円、国内劣後社債3,616億円および4,044億円を償還 ◆ 資金調達を行う100%子会社の有利子負債が前期末比2兆4,338億円増加 -株式先渡契約金融負債が前期末比1兆4,508億円増加、アーム株式を活用した80.0億米ドルの借入(アセットバック・ファイナンス)などにより借入金が前期末比9,830億円増加 ◆ SVF2の借入金がアセットバック・ファイナンスにより前期末比7,315億円増加 3.資本の増減 ◆ 資本合計で前期末比2,478億円の減少 -親会社の所有者に帰属する純損失1兆7,080億円を計上し、利益剰余金が減少 -当期に自己株式を合計6,024億円取得(うち2021年11月に決議した最大1兆円の自己株式取得枠にて累計3,446億円を取得) -為替換算レートが前期末から円安となったことにより在外営業活動体の為替換算差額が2兆1,769億円増加 ◆ 親会社の所有者に帰属する持分比率(自己資本比率)は前期末22.3%から当期末21.0%に |
(注1)SVF1およびSVF2からの投資は、当社の子会社への投資および当社から移管後引き続き持分法を適用している
投資(後者は「持分法で会計処理されている投資」に計上)を含みません。
(単位:百万円) | ||||
2021年 3月31日 | 2022年 3月31日 | 増減 | 増減率 | |
資産合計 | 45,750,453 | 47,544,670 | 1,794,217 | 3.9% |
負債合計 | 33,794,860 | 35,836,908 | 2,042,048 | 6.0% |
資本合計 | 11,955,593 | 11,707,762 | △247,831 | △2.1% |
(a)資産
(単位:百万円) | |||||
2021年 3月31日 | 2022年 3月31日 | 増減 | |||
現金及び現金同等物 | 4,662,725 | 5,169,001 | 506,276 | ||
営業債権及びその他の債権 | 2,216,434 | 2,361,149 | 144,715 | ||
資産運用子会社からの投資 | 658,227 | 158,094 | △500,133 | A | |
資産運用子会社における担保差入有価証券 | 1,427,286 | 1,927 | △1,425,359 | B | |
資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産 | 188,056 | 48,466 | △139,590 | C | |
デリバティブ金融資産 | 383,315 | 1,050,446 | 667,131 | D | |
その他の金融資産 | 671,907 | 762,638 | 90,731 | E | |
棚卸資産 | 126,830 | 142,767 | 15,937 | ||
その他の流動資産 | 446,739 | 334,101 | △112,638 | F | |
売却目的保有に分類された資産 | 38,647 | - | △38,647 | G | |
流動資産合計 | 10,820,166 | 10,028,589 | △791,577 | ||
有形固定資産 | 1,668,578 | 1,842,749 | 174,171 | ||
使用権資産 | 1,147,020 | 914,743 | △232,277 | ||
のれん | 4,684,419 | 4,897,913 | 213,494 | H | |
無形資産 | 2,308,370 | 2,427,580 | 119,210 | Ⅰ | |
契約獲得コスト | 246,996 | 330,899 | 83,903 | ||
持分法で会計処理されている投資 | 4,349,971 | 5,234,519 | 884,548 | J | |
FVTPLで会計処理されているSVF1およびSVF2 からの投資 | 13,646,774 | 13,766,391 | 119,617 | K | |
SVF1 | 12,403,286 | 8,365,274 | △4,038,012 | ||
SVF2 | 1,243,488 | 5,401,117 | 4,157,629 | ||
投資有価証券 | 3,706,784 | 4,208,567 | 501,783 | L | |
デリバティブ金融資産 | 908,660 | 1,333,787 | 425,127 | M | |
その他の金融資産 | 1,919,262 | 2,250,640 | 331,378 | N | |
繰延税金資産 | 206,069 | 163,255 | △42,814 | ||
その他の非流動資産 | 137,384 | 145,038 | 7,654 | ||
非流動資産合計 | 34,930,287 | 37,516,081 | 2,585,794 | ||
資産合計 | 45,750,453 | 47,544,670 | 1,794,217 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
流動資産 | |
A 資産運用子会社からの 投資 | SB Northstarが保有する上場株式が売却などにより減少しました。 |
B 資産運用子会社における 担保差入有価証券 | SB Northstarが投資を売却したことにより減少しました。 |
C 資産運用子会社における デリバティブ金融資産 | SB Northstarが保有する上場株式に係る買建コールオプションの公正価値が減少しま した。 |
D デリバティブ金融資産 | アリババ株式を活用した先渡売買契約について、デリバティブ関連利益の計上、決済日まで1年以内となったデリバティブ金融資産の非流動資産からの振替、新たな先渡売買契約の締結により、デリバティブ金融資産が674,504百万円増加しました。 |
E その他の金融資産 | ・アリババ株式を活用した先渡契約のうちカラー契約の一部を2021年4月に早期解約して返済したことに伴い、前期末に計上していた当該契約の解約に係る拘束性預金361,355百万円が減少しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債(2)アリババ株式先渡売買契約取引」をご参照ください。 ・当社子会社がスポンサーとして設立したSPACが新規上場により調達した資金について、SPACの存続期間が1年以内になり非流動資産から振り替えたことなどによりSPACにおける信託口座が326,062百万円増加しました。なお、当該調達資金は、SPACの存続期間(調達から24カ月)におけるSPACの合併または出資金の投資家への償還に利用が限定されることから、非流動資産におけるその他の金融資産に計上されていました。 |
F その他の流動資産 | 前期に発生したSBGJからソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税が2021年7月に還付されたことなどにより、未収税金が103,125百万円減少しました。 |
G 売却目的保有に分類された 資産 | 前期末にBoston Dynamics, Inc.を売却目的保有に分類された処分グループに分類し、同社の資産を区分して表示していましたが、当第1四半期において同社の売却が完了したことに伴い、認識を中止しました。 |
非流動資産 | |
H のれん | 対米ドルの為替換算レートが前期末から円安となったことにより、アームののれんが276,576百万円増加しました。 |
I 無形資産 | ヤフー㈱が、「Yahoo!」および「Yahoo! JAPAN」に関連する日本での商標権などを1,785億円で取得する契約を従来のライセンス契約の締結先であるOath Holdings Inc.等と締結し、当該取得に伴い無形資産が増加しました。 |
J 持分法で会計処理されて いる投資 | アリババの連結簿価について、先渡売買契約の一部を現物決済したことにより減少したものの、対中国人民元の為替換算レートが前期末から円安となったことや持分法投資利益の計上により増加しました。 |
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
K FVTPLで会計処理されて いるSVF1およびSVF2 からの投資 | ・SVF1の帳簿価額が4兆380億円減少しました。これは主に、新規投資および既存投資先への追加投資により30.5億米ドル増加した一方、当期末に保有する投資先の公正価値減少により252.8億米ドル、投資の売却などにより216.2億米ドルそれぞれ減少したことによるものです。 ・SVF2の帳簿価額が4兆1,576億円増加しました。これは主に、投資の売却により38.7億米ドル、当期末に保有する投資先の公正価値減少により21.6億米ドルそれぞれ減少した一方、新規投資および既存投資先への追加投資により384.3億米ドル増加したことによるものです。 SVF1およびSVF2における投資の状況の詳細は「b.セグメントの業績概況 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。 |
L 投資有価証券 | ・Tモバイル株式の帳簿価額が前期末比517,301百万円減少しました。これは主に、ドイツテレコムがTモバイル株式を対象とする株式購入オプションを一部行使したことに伴い、当社が保有するTモバイル株式45.4百万株をドイツテレコムへ売却したことによるものです。 ・Tモバイル株式売却の対価としてドイツテレコム株式225百万株を受領しました(当期末残高は517,960百万円)。 ・ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの投資の帳簿価額が、新規および追加投資ならびに保有する投資先の公正価値の増加により、682,191百万円増加しました(当期末残高は1,123,199百万円)。 |
M デリバティブ金融資産 | ・アリババ株式を活用した先渡売買契約について、決済日まで1年以内となったデリバティブ金融資産を流動資産へ振り替えた一方、デリバティブ関連利益の計上や新たな先渡売買契約の締結により、デリバティブ金融資産が194,259百万円増加しました。 ・Tモバイル株式に係る条件付対価の公正価値が130,720百万円増加しました(当期末残高は591,429百万円)。 |
N その他の金融資産 | ・MgmtCoからの未収入金を423,326百万円計上しました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記13.その他の金融資産(注5)」をご参照ください。 ・当社子会社がスポンサーとして設立したSPACが新規上場により調達した資金について、SPACの存続期間が1年以内になり流動資産へ振り替えたことなどにより、SPACにおける信託口座が327,569百万円減少しました。 |
(別掲)エンティティ別の現金及び現金同等物
(単位:百万円) | ||||
2021年 3月31日 | 2022年 3月31日 | 増減 | ||
ソフトバンクグループ㈱/資金調達を行う100%子会社/ SB Northstar | 2,202,778 | 2,569,355 | 366,577 | |
ソフトバンクグループ㈱ | 1,948,177 | 2,502,626 | 554,449 | |
資金調達を行う100%子会社 | 33,320 | 26,271 | △7,049 | |
SB Northstar | 221,281 | 40,458 | △180,823 | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | ||||
SVF1 | 67,580 | 47,754 | △19,826 | |
SVF2 | 63,470 | 150,462 | 86,992 | |
SBIA、SBGA | 25,895 | 19,898 | △5,997 | |
ソフトバンク事業 | ||||
ソフトバンク㈱ | 302,539 | 318,661 | 16,122 | |
Zホールディングス㈱(注1) | 420,941 | 383,093 | △37,848 | |
その他(注2) | 861,412 | 845,038 | △16,374 | |
その他 | 718,110 | 834,740 | 116,630 | |
合計 | 4,662,725 | 5,169,001 | 506,276 |
(注1)ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
(注2)PayPay銀行㈱を含みます。同社の現金及び現金同等物の当期末残高は334,387百万円でした。
(b)負債
(単位:百万円) | ||||
2021年 3月31日 | 2022年 3月31日 | 増減 | ||
有利子負債 | 7,735,239 | 7,328,862 | △406,377 | |
リース負債 | 307,447 | 240,241 | △67,206 | |
銀行業の預金 | 1,109,240 | 1,331,385 | 222,145 | |
営業債務及びその他の債務 | 1,970,275 | 1,968,864 | △1,411 | |
デリバティブ金融負債 | 322,213 | 119,592 | △202,621 | A |
その他の金融負債 | 65,958 | 554,814 | 488,856 | B |
未払法人所得税 | 391,930 | 183,388 | △208,542 | C |
引当金 | 24,939 | 34,056 | 9,117 | |
その他の流動負債 | 952,443 | 620,260 | △332,183 | D |
売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債 | 11,271 | - | △11,271 | E |
流動負債合計 | 12,890,955 | 12,381,462 | △509,493 | |
有利子負債 | 10,777,736 | 14,128,570 | 3,350,834 | |
リース負債 | 727,554 | 625,907 | △101,647 | |
SVF1およびSVF2における外部投資家持分 | 6,601,791 | 5,559,835 | △1,041,956 | |
デリバティブ金融負債 | 32,692 | 174,003 | 141,311 | |
その他の金融負債 | 415,407 | 210,512 | △204,895 | F |
引当金 | 110,586 | 107,961 | △2,625 | |
繰延税金負債 | 2,030,651 | 2,436,034 | 405,383 | G |
その他の非流動負債 | 207,488 | 212,624 | 5,136 | |
非流動負債合計 | 20,903,905 | 23,455,446 | 2,551,541 | |
負債合計 | 33,794,860 | 35,836,908 | 2,042,048 | |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
有利子負債の内訳は次ページの(別掲)をご参照ください。 | |
流動負債 | |
A デリバティブ金融負債 | ・ドイツテレコムがTモバイル株式を対象とする株式購入オプションを一部行使したことなどにより、デリバティブ金融負債が101,067百万円減少しました(当期末残高は103,754百万円)。 ・2021年4月にWeWork株式の公開買付けが完了したため、取得見込みの普通株式および優先株式の評価額と取得予定額との差額として前期末に計上していたデリバティブ金融負債76,823百万円を取り崩しました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記31.金融商品ⅲ.オプション契約およびⅴ.フォワード契約」をご参照ください。 |
B その他の金融負債 | 当社子会社がスポンサーとして設立したSPACに係るスポンサー以外の出資者の持分について、SPACの存続期間が1年以内になり非流動負債から振り替えたことなどにより、償還オプション付非支配持分が307,144百万円増加しました。 |
C 未払法人所得税 | SBGJが、前期に発生したソフトバンク㈱株式売却益を含む課税所得に基づく法人税197,432百万円を納付しました。 |
D その他の流動負債 | ・前期に発生したSBGJからソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税245,053百万円を納付しました。 ・アームの売却対価の前受金として受領していた12.5億米ドルを取り崩し、利益として計上しました。 |
E 売却目的保有に分類された 資産に直接関連する負債 | 前期末にBoston Dynamics, Inc.を売却目的保有に分類された処分グループに分類し、同社の負債を区分して表示していましたが、当第1四半期において同社の売却が完了したことに伴い、認識を中止しました。 |
非流動負債 | |
F その他の金融負債 | 当社子会社がスポンサーとして設立したSPACに係るスポンサー以外の出資者の持分について、SPACの存続期間が1年以内になり流動負債へ振り替えたことなどにより、償還オプション付非支配持分が298,092百万円減少しました。 |
G 繰延税金負債 | 前々期、前期および当期に締結したアリババ株式を活用した先渡売買契約に係るデリバティブ金融資産の公正価値が増加したことに伴い、繰延税金負債が増加しました。 |
(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)
(単位:百万円) | |||||
2021年 3月31日 | 2022年 3月31日 | 増減 | |||
ソフトバンクグループ㈱/資金調達を行う100%子会社/SB Northstar | 12,984,650 | 14,869,325 | 1,884,675 | ||
ソフトバンクグループ㈱ | 6,158,350 | 7,442,237 | 1,283,887 | ||
借入金 | 1,152,934 | 1,255,116 | 102,182 | ||
社債 | 4,745,549 | 5,918,265 | 1,172,716 | A | |
リース負債 | 13,367 | 12,056 | △1,311 | ||
コマーシャル・ペーパー | 246,500 | 256,800 | 10,300 | ||
資金調達を行う100%子会社 | 4,959,779 | 7,393,573 | 2,433,794 | ||
借入金(注1) | 1,874,040 | 2,857,000 | 982,960 | B | |
株式先渡契約金融負債 | 3,085,739 | 4,536,573 | 1,450,834 | C | |
SB Northstar | 1,866,521 | 33,515 | △1,833,006 | ||
借入金 | 1,866,521 | 33,515 | △1,833,006 | D | |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 | |||||
SVF1 | 444,227 | 336,535 | △107,692 | ||
借入金 | 444,227 | 336,535 | △107,692 | E | |
SVF2 | - | 731,540 | 731,540 | ||
借入金 | - | 731,540 | 731,540 | E | |
SBIA | 363 | 339 | △24 | ||
リース負債 | 363 | 339 | △24 | ||
ソフトバンク事業 | |||||
ソフトバンク㈱ | 4,166,323 | 4,236,453 | 70,130 | ||
借入金 | 3,037,229 | 3,085,954 | 48,725 | ||
社債 | 260,000 | 469,252 | 209,252 | ||
リース負債 | 706,393 | 559,846 | △146,547 | ||
コマーシャル・ペーパー | 162,701 | 121,401 | △41,300 | ||
Zホールディングス㈱(注2) | 1,030,980 | 1,170,856 | 139,876 | ||
借入金 | 442,406 | 481,678 | 39,272 | ||
社債 | 543,992 | 603,977 | 59,985 | ||
リース負債 | 44,582 | 35,201 | △9,381 | ||
コマーシャル・ペーパー | - | 50,000 | 50,000 | ||
その他 | 494,747 | 592,116 | 97,369 | ||
その他 | |||||
その他の有利子負債 | 334,917 | 296,166 | △38,751 | ||
リース負債 | 91,769 | 90,250 | △1,519 | ||
合計 | 19,547,976 | 22,323,580 | 2,775,604 |
(注1)資金調達を行う100%子会社の有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。ただし、Tモバイル株式を活用した借入の20.6億米ドルについては、例外的にソフトバンクグループ㈱が5.7億米ドルを上限に保証しています。なお、ソフトバンクグループ㈱が当該保証を履行する前提条件として、金融機関はまず当該借入の担保に供されているアリババ株式から最大限回収を図ることが義務付けられています。
(注2)ヤフー㈱およびLINE㈱を含みます。
前期末からの主な会社別の増減理由
項目 | 内容 |
ソフトバンクグループ㈱/資金調達を行う100%子会社/SB Northstar | |
ソフトバンクグループ㈱ | |
A 社債 | ・国内ハイブリッド社債を、当第1四半期に4,050億円発行し、当第2四半期に4,556億円償還しました。 ・当第2四半期に外貨建て普通社債38.5億米ドルおよび29.5億ユーロを発行しました。 ・国内劣後社債を、当第1四半期に5,000億円、当第4四半期に5,500億円発行し、当第3四半期に3,616億円、当第4四半期に4,044億円償還しました。 |
資金調達を行う100%子会社 | |
B 借入金 | (アーム株式を活用した調達) ・当第4四半期に、アセットバック・ファイナンスにより80.0億米ドルを借り入れました。 (アリババ株式を活用した調達) ・当第1四半期に、マージン・ローンにより18.8億米ドルを借り入れました。 ・当第3四半期に、マージン・ローン100.0億米ドルを返済した一方、同四半期中に60.0億米ドルを新たに借り入れました。 (Tモバイル株式を活用した調達) ・当第2四半期にマージン・ローンにより26.5億米ドルを借り入れた一方、同四半期中に、前期にマージン・ローンで借り入れた43.8億米ドルを早期返済しました。また、当第4四半期に、先渡売買契約(カラー契約)の締結により調達した6.8億米ドルにより、当第2四半期にマージン・ローンで借り入れた5.9億米ドルを返済しました。 (ドイツテレコム株式を活用した調達) ・当第3四半期に、カラー取引により26.4億ユーロを調達しました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債(1)有利子負債の内訳」をご参照ください。 |
C 株式先渡契約 金融負債 | (アリババ株式を活用した調達) ・当第1四半期に、先渡売買契約のうちカラー契約の一部を早期解約し28.6億米ドルを現金決済しました。また、新たにカラー契約を締結し30.0億米ドルを調達しました。 ・当第2四半期に、先渡売買契約のうちカラー契約の一部の内容を変更しました。また、新たにカラー契約およびフォワード契約を締結し73.5億米ドルを調達しました。 ・当第3四半期に、先渡売買契約(フォワード契約)を締結し22.1億米ドルを調達しました。 ・当第3四半期および当第4四半期に、先渡売買契約の一部においてアリババ株式を受け渡し現物決済しました。決済に伴い株式先渡契約金融負債784,197百万円の認識を中止しました。 ・当第4四半期に、先渡売買契約(フォワード契約)を締結し41.3億米ドルを調達しました。 詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記25.有利子負債(2)アリババ株式先渡売買契約取引」をご参照ください。 (Tモバイル株式を活用した調達) ・当第2四半期に先渡売買契約(カラー契約)を締結し18.1億米ドルを調達しました。 ・当第4四半期に先渡売買契約(カラー契約)を締結し6.8億米ドルを調達しました。 |
SB Northstar | |
D 借入金 | ・短期借入金が1,170,410百万円減少しました。 ・アリババ株式を活用したマージン・ローン60.0億米ドルを返済しました。 |
ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業(注3) | |
SVF1 | |
E 借入金 | アセットバック・ファイナンスによる借入金が12.6億米ドル減少しました。 |
SVF2 | |
E 借入金 | アセットバック・ファイナンスによる借入金が59.8億米ドル増加しました。 |
(注3)SVF1およびSVF2における借入については「b.セグメントの業績概況 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 <事業概要>ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける借入金」をご参照ください。
(c)資本
(単位:百万円) | ||||
2021年 3月31日 | 2022年 3月31日 | 増減 | ||
資本金 | 238,772 | 238,772 | - | |
資本剰余金 | 2,618,504 | 2,634,574 | 16,070 | |
その他の資本性金融商品 | 496,876 | 496,876 | - | |
利益剰余金 | 8,810,422 | 4,515,704 | △4,294,718 | A |
自己株式 | △2,290,077 | △406,410 | 1,883,667 | B |
その他の包括利益累計額 | 338,329 | 2,496,158 | 2,157,829 | C |
売却目的保有に分類された資産に直接関連する その他の包括利益累計額 | 267 | - | △267 | |
親会社の所有者に帰属する持分合計 | 10,213,093 | 9,975,674 | △237,419 | |
非支配持分 | 1,742,500 | 1,732,088 | △10,412 | |
資本合計 | 11,955,593 | 11,707,762 | △247,831 |
主な科目別の増減理由
科目 | 前期末からの主な増減理由 |
A 利益剰余金 | ・親会社の所有者に帰属する純損失1,708,029百万円を計上しました。 ・2021年5月に自己株式366,860,600株(2021年4月末の発行済株式総数に対する割合17.6%)を消却したことに伴い、2,475,817百万円(注1)を減額しました。 |
B 自己株式 | ・自己株式取得に関する2020年7月30日の取締役会決議に基づき、2021年4月1日から5月12日にかけて257,777百万円(25,980,400株)を取得し、同決議に基づく自己株式の取得を終了しました。また、総額1兆円を上限とする自己株式の取得に関する2021年11月8日の取締役会決議に基づき、2021年11月10日から2022年3月24日にかけて344,573百万円(67,257,900株)を取得しました。 ・2021年5月に自己株式を消却しました。 |
C その他の包括利益累計額 | 海外を拠点とする子会社・関連会社を円換算する際に生じる在外営業活動体の為替換算差額が、対米ドルや対中国人民元の為替換算レートが前期末から円安となったことにより、2,176,948百万円増加しました。 |
(注1)消却された株式数は、2020年3月、5月、6月、7月それぞれの取締役会決議に基づく自己株式の取得(以下「本自己株式取得」)により取得された株式数と同一ですが、消却額は本自己株式取得より前に取得され保有されていた株式も含めた帳簿価額に基づいて算出されるため、本自己株式取得の取得総額とは異なります。
(2)キャッシュ・フローの状況
1.営業活動によるキャッシュ・フロー ◆ 主にSB Northstarの事業規模縮小に伴う投資売却による資金回収が2兆445億円の増加影響をもたらした結果、営業キャッシュ・フローは2兆7,255億円のキャッシュ・イン・フロー(純額) 2.投資活動によるキャッシュ・フロー ◆ 主にSVF2による新規投資やSVF1による投資の売却の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは3兆187億円のキャッシュ・アウト・フロー(純額) -SVF1およびSVF2による投資の取得による支出:4兆775億円 うち、SVF2による投資の取得による支出額:3兆8,658億円 -SVF1およびSVF2による投資の売却による収入:2兆2,218億円 ・SVF1による投資の売却による収入:1兆9,976億円(主にUber、DoorDash、Coupangなどの上場投資先への投資の一部を売却) ・SVF2による投資の売却による収入:2,242億円(主にKE Holdingsへの投資の一部を売却) 3.財務活動によるキャッシュ・フロー ◆ 様々な手法による資金調達が負債返済などのキャッシュ・アウト・フローを上回った結果、財務キャッシュ・フローは6,022億円のキャッシュ・イン・フロー(純額) -有利子負債の収入:12兆8,810億円 ・保有資産を活用した資金調達による収入:5兆2,014億円 アリババ、アーム、Tモバイル、ドイツテレコム株式や、SVF1およびSVF2の保有資産を活用した資金調達による収入の合計 ・社債の発行による収入:2兆5,802億円 うち、ソフトバンクグループ㈱の社債の発行による収入:2兆2,697億円 -有利子負債の支出および短期有利子負債の収支(純額、キャッシュ・アウト・フロー):9兆9,715億円 ・保有資産を活用して調達した負債の返済による支出:2兆7,370億円 アリババ、Tモバイル株式や、SVF1およびSVF2の保有資産を活用して調達した負債の返済による支出の合計 ・社債の償還による支出:1兆2,671億円 うち、ソフトバンクグループ㈱の社債の償還による支出:1兆2,266億円 ・短期有利子負債の収支(純額、キャッシュ・アウト・フロー):1兆1,738億円 -SVF1の外部投資家への分配額・返還額:1兆2,287億円 -自己株式の取得による支出:6,024億円 -非支配持分への配当金の支払額:3,096億円 |
(単位:百万円) | |||
3月31日に終了した1年間 | |||
2021年 | 2022年 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 557,250 | 2,725,450 | 2,168,200 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,468,599 | △3,018,654 | △1,550,055 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 2,194,077 | 602,216 | △1,591,861 |
(a)営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは前期から2,168,200百万円増加しました。これは主に、SB Northstarが事業規模縮小に伴う投資売却による資金回収により、キャッシュ・イン・フローへの増加影響が2,044,495百万円あったことによるものです。
なお、法人所得税の支払額(キャッシュ・アウト・フロー)が前期と比べ285,102百万円増加したのは、当第1四半期に、前期にSBGJで発生したソフトバンク㈱株式売却益を含む課税所得に基づく法人税を支払ったほか、SBGJが行ったソフトバンクグループ㈱への配当に対する源泉所得税を納付したことなどによるものです。当第2四半期において当該源泉所得税は還付されています。
(b)投資活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 |
投資の取得による支出 △993,490百万円 | ・ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドが合計471,398百万円(41.9億米ドル)の新規および追加の投資を行いました。 ・WeWorkの優先株式と普通株式を2021年4月に完了した公開買付けにより101,377百万円で取得しました。 ・前期に非支配株主から取得したAホールディングス㈱(Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合により設立された新会社)の株式について、未払いとなっていた同社端数株式の取得代金115,274百万円を支払いました。 |
SVF1およびSVF2による投資の 取得による支出 △4,077,451百万円 | ・SVF2が合計3,865,823百万円(345.8億米ドル)の新規および追加の投資を行いました。 ・SVF1が合計211,628百万円(18.9億米ドル)の追加投資を行いました。 |
SVF1およびSVF2による投資の 売却による収入 2,221,771百万円 | ・SVF1が主にUber、DoorDash、Coupangなどの上場株式を一部売却しました。 ・SVF2が投資先1銘柄の全持分およびKE Holdingsを含む投資先3銘柄の一部持分を売却しました。 |
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 △835,073百万円 | ・ソフトバンク㈱が通信設備を取得しました。 ・ヤフー㈱が、「Yahoo!」および「Yahoo! JAPAN」に関連する日本での商標権などを、1,785億円で取得する契約を従来のライセンス契約の締結先であるOath Holdings Inc.等と締結し、無形資産を取得しました。 |
拘束性預金の払戻による収入 486,820百万円 | 2021年4月に、前期末に計上していた拘束性預金(保有するアリババ株式を活用した複数の先渡売買契約のうち、カラー契約の一部を早期解約するための解約手続きに必要な資金として預け入れた33億米ドル)が払戻されました。なお、当該早期解約は同月に313,411百万円(28.6億米ドル)が支払われ決済されましたが、当該取引に係るキャッシュ・アウト・フローは「有利子負債の支出(財務活動によるキャッシュ・フロー)」に含めて計上されています。 |
(c)財務活動によるキャッシュ・フロー
主な科目別の内容
科目 | 主な内容 | ||||
短期有利子負債の収支(純額) △1,173,787百万円(注1) (有利子負債(流動負債)のうち、回転が速く、期日が短い項目の収支) | ・SB Northstarの短期借入金が1,183,150百万円(純額)減少しました。 ・ソフトバンク㈱の短期借入金が132,234百万円(純額)減少しました。 ・PayPayカード㈱が88,000百万円(純額)、LINE㈱が44,000百万円(純額)のコマーシャル・ペーパーをそれぞれ発行しました。 | ||||
有利子負債の収入(以下A~Cの合計) 12,880,985百万円 | |||||
A借入による収入 8,144,423百万円(注2) | ・ソフトバンクグループ㈱が2,884,276百万円の短期借入を行いました。 ・資金調達を行う100%子会社が以下の借入を行いました。 -アーム株式を活用したアセットバック・ファイナンスにより、936,800百万円(80.0億米ドル)を借り入れました。 -アリババ株式を活用したマージン・ローンにより、総額205,594百万円(18.8億米ドル)を借り入れました。 -Tモバイル株式を活用し、マージン・ローンにより292,494百万円(26.5億米ドル)、ブリッジ・ローンにより138,088百万円(12.5億米ドル)を借り入れたほか、ドイツテレコム株式を活用したカラー取引により346,265百万円(26.4億ユーロ)を調達しました。 ・SVF1およびSVF2が、アセットバック・ファイナンスにより332,036百万円(30.0億米ドル)、793,769百万円(70.0億米ドル)をそれぞれ借り入れました(注3)。 ・ソフトバンク㈱がコマーシャル・ペーパーを137,400百万円発行したほか、割賦債権の流動化およびセール&リースバックなどにより1,060,199百万円を調達しました。 ・Zホールディングス㈱が329,520百万円を借り入れました。 | ||||
B社債の発行による収入 2,580,245百万円 | ・ソフトバンクグループ㈱が国内ハイブリッド社債405,000百万円、外貨建て普通社債814,745百万円(38.5億米ドルならびに29.5億ユーロ)および国内劣後社債1,050,000百万円を発行しました。 ・ソフトバンク㈱が国内普通社債を210,000百万円発行しました。 ・Zホールディングス㈱が国内普通社債を100,000百万円発行しました。 | ||||
C株式先渡売買契約に基づく資金 調達による収入 2,156,317百万円 | 資金調達を行う100%子会社が、アリババ株式を活用した複数の先渡売買契約を締結し総額1,876,660百万円(166.9億米ドル)を調達したほか、Tモバイル株式を活用した先渡売買契約を締結し279,657百万円(24.9億米ドル)を調達しました。 | ||||
有利子負債の支出(以下D~Fの合計) △8,797,688百万円 | |||||
|
科目 | 主な内容 | |
-前期に借り入れたTモバイル株式を活用したマージン・ローン483,772百万円(43.8億米ドル)を早期返済したほか、当第2四半期に借り入れたブリッジ・ローン142,000百万円(12.5億米ドル)を返済しました。また、当第4四半期に先渡売買契約(カラー契約)の締結により調達した6.8億米ドルにより、マージン・ローン68,503百万円(5.9億米ドル)を返済しました。 ・SVF1およびSVF2がアセットバック・ファイナンスによる借入金をそれぞれ495,760百万円(42.8億米ドル)、107,879百万円(9.7億米ドル)返済しました(注3)。 ・ソフトバンク㈱がコマーシャル・ペーパー127,700百万円のほか、割賦債権の流動化およびセール&リースバックなどによる借入金899,392百万円を返済しました。 ・Zホールディングス㈱が借入金204,550百万円を返済しました。 | ||
E社債の償還による支出 △1,267,059百万円 | ソフトバンクグループ㈱が国内ハイブリッド社債455,600百万円、国内劣後社債765,969百万円を償還しました。 | |
F株式先渡売買契約の決済による 支出 △321,537百万円 | 2021年4月に、保有するアリババ株式を活用した複数の先渡売買契約のうち、カラー契約の一部を早期解約しました。当該早期解約に伴い313,411百万円(28.6億米ドル)を支払いました。 | |
SVF1における外部投資家に対する 分配額・返還額 △1,228,703百万円 | SVF1が外部投資家への分配を行いました。 | |
自己株式の取得による支出 △602,361百万円 | ソフトバンクグループ㈱が、2020年7月30日の取締役会決議に基づき、2021 年4月1日から2021年5月12日にかけて257,777百万円(25,980,400株)を取得し、同決議に基づく自己株式の取得を終了しました。また、総額1兆円を上限とする自己株式の取得に関する2021年11月8日の取締役会決議に基づき、2021年11月10日から2022年3月24日にかけて344,573百万円(67,257,900株)を取得しました。 | |
非支配持分への配当金の支払額 △309,649百万円 | ソフトバンク㈱、Aホールディングス㈱およびZホールディングス㈱が非支配株主へ配当金を支払いました。 |
(注1)短期有利子負債の収支には、IFRSにおける「純額によるキャッシュ・フローの報告」の要件を満たした財務活動によるキャッシュ・フローを記載しています。
(注2)借入による収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が4,152,853百万円、支出が4,097,720百万円、それぞれ含まれています。
(注3)SVF1およびSVF2における借入については「(1)財政状態及び経営成績の状況 b.セグメントの業績概況 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 <事業概要>ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおける借入金」をご参照ください。
(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報
i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源
ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(子会社を通じた投資を含みます。)または投資ファンド(例えば、SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド)を通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの保有資産を資金化することで回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や財務改善にも振り向けています。このほか、金融機関からの借入や社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金や負債の返済原資として資金調達をしています。
保有資産の資金化においては、保有資産の売却だけではなく、多様なアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約やマージン・ローンなど、保有資産を活用した資金調達)により、機動的な資金化を実現しています。また、SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを通じ数多く行っている未上場株式への投資についても、株式上場を通じてその流動性が高まることにより、売却および資金化の機会の広がりが期待されます。
また、社債の発行においては、円建シニア社債だけではなく米ドルやユーロ建シニア社債、ハイブリッド社債など異なる商品性の債券を発行することで、国内外の様々な市場からの資金調達の機会を確保し、安定的な調達を図っています。
ii.当期における資本の財源と資金の流動性の分析
当期においては、SVF1およびSVF2から分配金1兆7,080億円(152.2億米ドル)を受領したほか、上場株式等への投資を行うSB Northstarから5,406億円(48.2億米ドル)の資金を回収しました。加えて、保有資産の売却や資金化(主にアリババ、アーム、Tモバイル、ドイツテレコム株式などを活用)により3兆3,434億円(294.3億米ドル、純額)(注1)を調達しました。これらの財源を活用し、SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドへ合計5兆1,667億円(461.8億米ドル)(注1)の出資コミットメントを履行しました。また、株主還元の一環として、自己株式を合計3,446億円(注2)取得しました。その他当期の主な財務活動として、社債を2兆2,697億円発行した一方、1兆2,266億円を償還したほか、コミットメントラインの融資枠を3,100億円から6,755億円相当に増額し、資金の柔軟性を高めています。
主に上記の財務活動と投資活動の結果、当期末における当社の手元流動性(注3)は2兆7,499億円となり、コミットメントラインの未実行融資枠である1,247億円を加えて、今後2年間の社債償還に必要となる1兆2,992億円を大幅に上回る水準を維持しています。
(注1)当期にソフトバンクグループ㈱からSVF2へ移管した60.6億米ドルの投資を含みます。
(注2)2020年3月に公表した株主還元と負債削減などを通じた財務改善のための4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針(「4.5兆円プログラム」)に従って実施した2020年7月30日の取締役会決議に基づき、2021年4月1日から2021年5月12日までに取得した2,578億円を除きます。
(注3)現金及び現金同等物と流動資産に含まれる短期投資の合計を手元流動性と定義しています。連結上の手元流動性(PayPay銀行㈱の手元流動性を除く)から独立採算で運営される事業体(上場子会社であるソフトバンク㈱(Zホールディングス㈱をはじめとする子会社を含む)、SVF1、SVF2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド、アームおよびPayPay㈱など)の手元流動性ならびに資産運用子会社SB Northstarの手元流動性を控除して算出しています。
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における注記事項
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(3)生産、受注および販売の状況
当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
なお、販売の状況については、「(1)財政状態及び経営成績の状況 b. セグメントの業績概況」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり必要となった重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記5.重要な判断および見積り」をご参照ください。