有価証券報告書-第58期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、474億65百万円(前連結会計年度末比24億51百万円減)となりました。これは主として一年以内に償還期限を迎える有価証券の償還により有価証券が22億円減少したこと等によるものです。
固定資産は、313億8百万円(同33億93百万円増)となりました。これは主として投資有価証券が31億61百万円増加したこと等によるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、227億48百万円(前連結会計年度末比12億44百万円増)となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が4億97百万円増加したこと、未払法人税等が3億51百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は、27億73百万円(同10億87百万円減)となりました。これは、主として長期借入金が9億円減少したこと、繰延税金負債が2億70百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、532億52百万円(前連結会計年度末比7億84百万円増)となりました。これは、主として株式会社トライアンフ・ニジュウイチ(以下「トライアンフ21」という)の完全子会社化に伴い資本剰余金が11億31百万円減少したこと、非支配株主持分が2億71百万円減少したこと、その他有価証券評価差額金が5億4百万円減少したこと、一方で利益剰余金が26億82百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、記録的な台風や地震などの自然災害の影響を受けながらも、引き続き堅調な企業収益や雇用情勢により、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。一方で、年度後半には一部に貿易摩擦や中国経済の失速による経済の下振れリスクなど不安要素が見られ始め、先行き不透明な状況が続きました。
このような環境のもと、当社グループとしましては、2015年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT -NANA-」(以下「中計」という)に掲げる3つの成長戦略である「eコマース事業」、「海外事業」、「新規商材」等の諸施策を主軸とし、商材の拡充、WEBサイトの充実、各種サービスの拡充などによる積極的な営業活動に注力いたしました。
上記3つの成長戦略については、経営資源を集中的に投入した結果、それぞれ売上高がeコマース事業107億95百万円(前期比27.9%増)、海外事業39億73百万円(同25.4%増)、新規商材29億97百万円(同40.2%増)となり、合計で177億66百万円(同29.2%増)と全社の成長を大きく牽引する柱となりました。特に、eコマース事業については、当社電子カタログを顧客購買システムに直接組み込んで商材を購入いただくeコマース型集中購買の対象先が増加し、158社(同23社増)となりました。ネット通販業者向け売上高も堅調に推移し、両チャネルを合わせたeコマース事業は、中計の最終年度の目標値110億円に近い実績を1年前倒しで実現しました。
(中期経営計画売上施策の進捗状況)
中期経営計画で掲げる売上促進3施策は以下のとおり伸張しました。
商品展開としては、研究用総合機器カタログや産業用研究機器カタログ(以下併せて「総合カタログ」という)をはじめ6種類のカタログを発刊し、プライベートブランド商品を含めた新商品を多数投入したほか、総合カタログでは研究用機器のレンタル商品のページも設け、シェアリングエコノミーに対応したサービス事業の強化も図りました。また、WEBサイトや電子カタログでの商材の拡充を図り、トータルでの取扱点数は、前期末の約200万点から約350万点超へと大幅に増加しました。紙カタログに拘らない取扱点数の拡充策は、売上高の底上げに少なからず貢献しました。
グループ展開としましては、当連結会計年度より2018年3月に子会社化したトライアンフ21の損益を連結しました。なお、理化学機器の輸入販売及びプラスチック製容器の製造販売を行う子会社ニッコー・ハンセン株式会社の理化学機器輸入販売事業を2019年4月1日付で当社が譲受し、グループ内の輸入品取り扱いを一本化しました。
これらの結果、当連結会計年度の連結売上高は667億33百万円(前期比9.5%増)、営業利益は75億62百万円(同14.6%増)、経常利益は77億51百万円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は52億64百万円(同12.4%増)となりました。
また、ROEは10.0%となり前年度の9.2%から向上し、中計で掲げる目標である11.0%に一歩前進しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億65百万円増加し、68億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、57億91百万円の資金収入で、前連結会計年度に比べ収入が27億54百万円増加いたしました。これは、主として前連結会計年度に比べ売上債権の増減額が14億11百万円減少し収入増となったこと、税金等調整前当期純利益が9億7百万円増加したこと及びたな卸資産の増減額が3億93百万円減少し収入増となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4億48百万円の資金支出(前連結会計年度は33億54百万円の資金収入)となりました。これは、主として定期預金の払戻しによる収入が32億49百万円減少したこと、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が13億円減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、50億51百万円の資金支出で、前連結会計年度に比べ支出が4億25百万円増加いたしました。これは、主として自己株式の取得による支出が22億23百万円減少した一方、トライアンフ21の完全子会社化に伴い連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が13億67百万円発生したこと及び配当金の支払額が4億47百万円増加したこと等によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
a.各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
b.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
c.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(期末自己株式数控除後)により算出しております。
d.営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
e.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
f.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
g.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。売上高における生産実績、部門別販売実績、品目別販売実績は以下のとおりです。
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、無塵化洗浄加工商品の生産実績であり、6億85百万円(前期比16.2%増)となりました。
ロ.受注実績
当社グループの事業内容は、当日出荷を基本とする事業の性格上、受注実績と販売実績に特筆すべき差が生じないため、当該記載を省略しております。
ハ.部門別販売実績
当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。
a.研究・産業機器部門
研究・産業機器部門では、2018年11月に頁数3,300頁超、掲載点数約75,000点(従来比約1.5倍)となる研究用の総合カタログを発刊し、新商品を大量に掲載した、他に類を見ない豊富な品揃えのカタログへと刷新しました。
科学機器分野では、堅調な景気動向を背景とした国内における民間企業からの引き合いが好調だったほか、eコマース型集中購買や、紙カタログに掲載していないWEB掲載商品の売上も拡大し、増収に寄与しました。これらにより、当分野の売上高は389億17百万円(前期比10.3%増)となりました。また、製造現場を対象とする産業機器分野は、民間メーカー向け実験設備やMROサプライ品が堅調に推移しました。販売チャネルとしては、産業系のインターネット通販向けが引き続き伸張し、売上に寄与しました。これらにより、当分野の売上高は147億27百万円(同7.9%増)となりました。
この結果、当部門の売上高合計は536億45百万円(同9.6%増)となりました。
b.病院・介護部門
病院・介護部門では、2017年11月に更新した医療用総合カタログや、3年連続で更新している介護施設向けカタログにて品揃えの拡大を図った効果もあり、処置・手術用の器具消耗品や介護・リハビリ用品等が伸張したほか、全般的に堅調に推移しました。インターネット通販向けも寄与し、当部門の売上高は126億62百万円(同5.4%増)となりました。
c.その他
当連結会計年度より損益を連結した子会社のトライアンフ21は、独自の「OffSide」システムによる理化学機器・消耗品等のWEB購買代行サービスを行っており、そのシステム利用料としての売上高は4億25百万円となりました。
なお、トライアンフ21については、2018年3月に51%、同年8月に49%の株式を取得し完全子会社化しております。
ニ.品目別販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。中計を2015年4月にスタートさせ、特に「成長への再加速」に重点を置き取り組んでまいりました。売上高につきましては2015年度2.9%増、2016年度4.4%増、2017年度9.0%増と徐々に成長率を引上げ、当連結会計年度には9.5%増と目に見える形で成果が挙がってきております。営業利益につきましても、2015年度は2.4%減と先行投資で微減でスタートしましたが、2016年度4.3%増、2017年度8.3%増、当連結会計年度14.6%増と増益率も加速してまいりました。
5年計画である中計で掲げた取組みが、成果に繋がってきている証左であり、現在の取り組みを引き続き推し進めていく所存です。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
研究・産業機器部門においては、大学や公的研究機関の予算執行状況、民間企業の研究開発動向、民間企業の設備投資・生産動向等の影響を受けます。当連結会計年度においては、科学機器分野が前期比10.3%増と大幅に伸張したことに見られるように、科学機器分野も含めて、民間企業の旺盛な需要に当社グループ全体の仕組み(膨大な品揃え、バラ売り、当日発送、システム連携等)でお応えできたことが増収の要因と考えております。
また、企業間購買においてeコマース型の集中購買という購買形態が台頭してきております。他に類を見ない研究機器の品揃え量とシステムを持ち合わせる当社は、研究機器の集中購買での提供については大きな強みを有しており、集中購買を導入する企業・団体が増えることが、当社の経営成績にプラスに働きます。当連結会計年度においても、当社の集中購買システムとの新規連携先を23社増やすことができたことが、売上伸張の一つの要因と考えております。
病院・介護部門においては、医療機関の設備投資・医療用品の購買動向等の影響を受けます。超高齢化社会の到来に伴い持続可能な社会保障制度を確立するために、医療制度の改革や医療費の抑制などが国家的課題となっており、医療機関を取り巻く厳しい経営環境が続いています。こうした環境の中、如何にお客様の求める品揃えをご提供できるかが当社の経営成績を左右する要素になると考えております。
なお、上記の他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、情報機器や物流機器等の設備投資、ソフトウエア投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考えております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等に関しては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
2020年度に千葉市において15,000坪超の物流センターの設置(賃貸)を計画しております。設備投資は約48億円を予定しており、自己資金若しくは借入による調達を検討しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は23億15百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は127億6百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社グループは中計を策定し、公表しており、売上高、営業利益率、ROEの3項目を指標目標としております。同計画(2015年4月~2020年3月)の4年目である当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
売上高は中計比30億13百万円増(同4.7%増)となりました。これは中計の成長戦略の一つであるeコマース事業が前期比23億円増の107億円となり、中計を1年前倒しで最終年度の目標110億円に近い売上高まで伸張したことや、品揃えを350万点まで増やし、紙のカタログに掲載せずWEBサイトのみで紹介する商品が売上を伸ばしていること等が主な要因となります。営業利益は、人件費や物流費等が中計策定時の想定を上回って推移しているものの、売上高の伸張や粗利益率の改善等により同43百万円増(同0.6%増)となりました。この結果、営業利益率は同0.5ポイント減となりました。
また、ROEは10.0%(同0.2ポイント増)となりました。
当連結会計年度は3つの目標のうち、売上高及びROEを達成し営業利益率が未達となっております。中計最終年度の営業利益率目標は13.0%であり、人件費や物流コストの上昇が続いている環境下、厳しい目標となっております。しかしながら、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した課題に取組みつつ、売上高のさらなる伸張、原価改善、経費削減に取り組み、中計最終年度の売上高目標700億円に対する13.0%に相当する営業利益額については到達できるよう邁進してまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、474億65百万円(前連結会計年度末比24億51百万円減)となりました。これは主として一年以内に償還期限を迎える有価証券の償還により有価証券が22億円減少したこと等によるものです。
固定資産は、313億8百万円(同33億93百万円増)となりました。これは主として投資有価証券が31億61百万円増加したこと等によるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、227億48百万円(前連結会計年度末比12億44百万円増)となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が4億97百万円増加したこと、未払法人税等が3億51百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は、27億73百万円(同10億87百万円減)となりました。これは、主として長期借入金が9億円減少したこと、繰延税金負債が2億70百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、532億52百万円(前連結会計年度末比7億84百万円増)となりました。これは、主として株式会社トライアンフ・ニジュウイチ(以下「トライアンフ21」という)の完全子会社化に伴い資本剰余金が11億31百万円減少したこと、非支配株主持分が2億71百万円減少したこと、その他有価証券評価差額金が5億4百万円減少したこと、一方で利益剰余金が26億82百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、記録的な台風や地震などの自然災害の影響を受けながらも、引き続き堅調な企業収益や雇用情勢により、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。一方で、年度後半には一部に貿易摩擦や中国経済の失速による経済の下振れリスクなど不安要素が見られ始め、先行き不透明な状況が続きました。
このような環境のもと、当社グループとしましては、2015年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT -NANA-」(以下「中計」という)に掲げる3つの成長戦略である「eコマース事業」、「海外事業」、「新規商材」等の諸施策を主軸とし、商材の拡充、WEBサイトの充実、各種サービスの拡充などによる積極的な営業活動に注力いたしました。
上記3つの成長戦略については、経営資源を集中的に投入した結果、それぞれ売上高がeコマース事業107億95百万円(前期比27.9%増)、海外事業39億73百万円(同25.4%増)、新規商材29億97百万円(同40.2%増)となり、合計で177億66百万円(同29.2%増)と全社の成長を大きく牽引する柱となりました。特に、eコマース事業については、当社電子カタログを顧客購買システムに直接組み込んで商材を購入いただくeコマース型集中購買の対象先が増加し、158社(同23社増)となりました。ネット通販業者向け売上高も堅調に推移し、両チャネルを合わせたeコマース事業は、中計の最終年度の目標値110億円に近い実績を1年前倒しで実現しました。
(中期経営計画売上施策の進捗状況)
中期経営計画で掲げる売上促進3施策は以下のとおり伸張しました。
2019年度の最終目標 (百万円) | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) | 前年同期比 (%) | |
eコマース | 11,000 | 8,440 | 10,795 | 127.9 |
海外事業 | 5,300 | 3,168 | 3,973 | 125.4 |
新規商材 | 4,600 | 2,138 | 2,997 | 140.2 |
商品展開としては、研究用総合機器カタログや産業用研究機器カタログ(以下併せて「総合カタログ」という)をはじめ6種類のカタログを発刊し、プライベートブランド商品を含めた新商品を多数投入したほか、総合カタログでは研究用機器のレンタル商品のページも設け、シェアリングエコノミーに対応したサービス事業の強化も図りました。また、WEBサイトや電子カタログでの商材の拡充を図り、トータルでの取扱点数は、前期末の約200万点から約350万点超へと大幅に増加しました。紙カタログに拘らない取扱点数の拡充策は、売上高の底上げに少なからず貢献しました。
グループ展開としましては、当連結会計年度より2018年3月に子会社化したトライアンフ21の損益を連結しました。なお、理化学機器の輸入販売及びプラスチック製容器の製造販売を行う子会社ニッコー・ハンセン株式会社の理化学機器輸入販売事業を2019年4月1日付で当社が譲受し、グループ内の輸入品取り扱いを一本化しました。
これらの結果、当連結会計年度の連結売上高は667億33百万円(前期比9.5%増)、営業利益は75億62百万円(同14.6%増)、経常利益は77億51百万円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は52億64百万円(同12.4%増)となりました。
また、ROEは10.0%となり前年度の9.2%から向上し、中計で掲げる目標である11.0%に一歩前進しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億65百万円増加し、68億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、57億91百万円の資金収入で、前連結会計年度に比べ収入が27億54百万円増加いたしました。これは、主として前連結会計年度に比べ売上債権の増減額が14億11百万円減少し収入増となったこと、税金等調整前当期純利益が9億7百万円増加したこと及びたな卸資産の増減額が3億93百万円減少し収入増となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4億48百万円の資金支出(前連結会計年度は33億54百万円の資金収入)となりました。これは、主として定期預金の払戻しによる収入が32億49百万円減少したこと、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が13億円減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、50億51百万円の資金支出で、前連結会計年度に比べ支出が4億25百万円増加いたしました。これは、主として自己株式の取得による支出が22億23百万円減少した一方、トライアンフ21の完全子会社化に伴い連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が13億67百万円発生したこと及び配当金の支払額が4億47百万円増加したこと等によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
自己資本比率(%) | 68.8 | 69.8 | 70.6 | 67.0 | 67.5 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 104.5 | 117.3 | 129.1 | 162.6 | 208.5 |
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | 1.7 | 0.9 | 0.8 | 1.1 | 0.4 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 42.2 | 83.4 | 91.1 | 75.7 | 198.7 |
a.各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
b.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
c.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(期末自己株式数控除後)により算出しております。
d.営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
e.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
f.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
g.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。売上高における生産実績、部門別販売実績、品目別販売実績は以下のとおりです。
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、無塵化洗浄加工商品の生産実績であり、6億85百万円(前期比16.2%増)となりました。
ロ.受注実績
当社グループの事業内容は、当日出荷を基本とする事業の性格上、受注実績と販売実績に特筆すべき差が生じないため、当該記載を省略しております。
ハ.部門別販売実績
当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
部門 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) | 前年同期比 (%) |
研究・産業機器部門 | 48,942 | 53,645 | 109.6 |
病院・介護部門 | 12,017 | 12,662 | 105.4 |
その他 | ― | 425 | ― |
合計 | 60,959 | 66,733 | 109.5 |
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。
a.研究・産業機器部門
研究・産業機器部門では、2018年11月に頁数3,300頁超、掲載点数約75,000点(従来比約1.5倍)となる研究用の総合カタログを発刊し、新商品を大量に掲載した、他に類を見ない豊富な品揃えのカタログへと刷新しました。
科学機器分野では、堅調な景気動向を背景とした国内における民間企業からの引き合いが好調だったほか、eコマース型集中購買や、紙カタログに掲載していないWEB掲載商品の売上も拡大し、増収に寄与しました。これらにより、当分野の売上高は389億17百万円(前期比10.3%増)となりました。また、製造現場を対象とする産業機器分野は、民間メーカー向け実験設備やMROサプライ品が堅調に推移しました。販売チャネルとしては、産業系のインターネット通販向けが引き続き伸張し、売上に寄与しました。これらにより、当分野の売上高は147億27百万円(同7.9%増)となりました。
この結果、当部門の売上高合計は536億45百万円(同9.6%増)となりました。
b.病院・介護部門
病院・介護部門では、2017年11月に更新した医療用総合カタログや、3年連続で更新している介護施設向けカタログにて品揃えの拡大を図った効果もあり、処置・手術用の器具消耗品や介護・リハビリ用品等が伸張したほか、全般的に堅調に推移しました。インターネット通販向けも寄与し、当部門の売上高は126億62百万円(同5.4%増)となりました。
c.その他
当連結会計年度より損益を連結した子会社のトライアンフ21は、独自の「OffSide」システムによる理化学機器・消耗品等のWEB購買代行サービスを行っており、そのシステム利用料としての売上高は4億25百万円となりました。
なお、トライアンフ21については、2018年3月に51%、同年8月に49%の株式を取得し完全子会社化しております。
ニ.品目別販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) | 前年同期比 (%) | |
科学機器・装置 | ||||
汎用科学機器・装置 | 7,386 | 7,836 | 106.1 | |
分析、特殊機器・装置 | 9,908 | 11,392 | 115.0 | |
物理、物性測定機器・装置 | 3,852 | 4,091 | 106.2 | |
実験用設備機器 | 4,915 | 5,676 | 115.5 | |
小計 | 26,063 | 28,997 | 111.3 | |
科学器具・消耗品 | ||||
汎用器具・消耗品 | 16,241 | 17,651 | 108.7 | |
半導体関係特殊器具 | 7,310 | 8,002 | 109.5 | |
小計 | 23,551 | 25,654 | 108.9 | |
看護・介護用品 | 11,344 | 11,656 | 102.7 | |
その他 | ― | 425 | ― | |
合計 | 60,959 | 66,733 | 109.5 |
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。中計を2015年4月にスタートさせ、特に「成長への再加速」に重点を置き取り組んでまいりました。売上高につきましては2015年度2.9%増、2016年度4.4%増、2017年度9.0%増と徐々に成長率を引上げ、当連結会計年度には9.5%増と目に見える形で成果が挙がってきております。営業利益につきましても、2015年度は2.4%減と先行投資で微減でスタートしましたが、2016年度4.3%増、2017年度8.3%増、当連結会計年度14.6%増と増益率も加速してまいりました。
5年計画である中計で掲げた取組みが、成果に繋がってきている証左であり、現在の取り組みを引き続き推し進めていく所存です。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
研究・産業機器部門においては、大学や公的研究機関の予算執行状況、民間企業の研究開発動向、民間企業の設備投資・生産動向等の影響を受けます。当連結会計年度においては、科学機器分野が前期比10.3%増と大幅に伸張したことに見られるように、科学機器分野も含めて、民間企業の旺盛な需要に当社グループ全体の仕組み(膨大な品揃え、バラ売り、当日発送、システム連携等)でお応えできたことが増収の要因と考えております。
また、企業間購買においてeコマース型の集中購買という購買形態が台頭してきております。他に類を見ない研究機器の品揃え量とシステムを持ち合わせる当社は、研究機器の集中購買での提供については大きな強みを有しており、集中購買を導入する企業・団体が増えることが、当社の経営成績にプラスに働きます。当連結会計年度においても、当社の集中購買システムとの新規連携先を23社増やすことができたことが、売上伸張の一つの要因と考えております。
病院・介護部門においては、医療機関の設備投資・医療用品の購買動向等の影響を受けます。超高齢化社会の到来に伴い持続可能な社会保障制度を確立するために、医療制度の改革や医療費の抑制などが国家的課題となっており、医療機関を取り巻く厳しい経営環境が続いています。こうした環境の中、如何にお客様の求める品揃えをご提供できるかが当社の経営成績を左右する要素になると考えております。
なお、上記の他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、情報機器や物流機器等の設備投資、ソフトウエア投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考えております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等に関しては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
2020年度に千葉市において15,000坪超の物流センターの設置(賃貸)を計画しております。設備投資は約48億円を予定しており、自己資金若しくは借入による調達を検討しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は23億15百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は127億6百万円となっております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社グループは中計を策定し、公表しており、売上高、営業利益率、ROEの3項目を指標目標としております。同計画(2015年4月~2020年3月)の4年目である当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
売上高は中計比30億13百万円増(同4.7%増)となりました。これは中計の成長戦略の一つであるeコマース事業が前期比23億円増の107億円となり、中計を1年前倒しで最終年度の目標110億円に近い売上高まで伸張したことや、品揃えを350万点まで増やし、紙のカタログに掲載せずWEBサイトのみで紹介する商品が売上を伸ばしていること等が主な要因となります。営業利益は、人件費や物流費等が中計策定時の想定を上回って推移しているものの、売上高の伸張や粗利益率の改善等により同43百万円増(同0.6%増)となりました。この結果、営業利益率は同0.5ポイント減となりました。
また、ROEは10.0%(同0.2ポイント増)となりました。
当連結会計年度は3つの目標のうち、売上高及びROEを達成し営業利益率が未達となっております。中計最終年度の営業利益率目標は13.0%であり、人件費や物流コストの上昇が続いている環境下、厳しい目標となっております。しかしながら、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した課題に取組みつつ、売上高のさらなる伸張、原価改善、経費削減に取り組み、中計最終年度の売上高目標700億円に対する13.0%に相当する営業利益額については到達できるよう邁進してまいります。
指標 | 当連結会計年度(計画) (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度(実績) (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | (計画比) |
売上高 | 63,720百万円 | 66,733百万円 | 3,013百万円増(4.7%増) |
営業利益 | 7,519百万円 | 7,562百万円 | 43百万円増(0.6%増) |
営業利益率 | 11.8% | 11.3% | 0.5ポイント減 |
ROE(自己資本利益率) | 9.8% | 10.0% | 0.2ポイント増 |