有価証券報告書-第59期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/25 13:27
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、481億81百万円(前連結会計年度末比7億16百万円増)となりました。これは主として一年以内に償還期限を迎える有価証券が投資有価証券(固定資産)からの振替により10億円増加したこと等によるものです。
固定資産は、333億38百万円(同20億29百万円増)となりました。これは主として千葉市稲毛区に2020年5月に開設した新物流拠点「Smart DC」の中間金払い等により建設仮勘定が27億52百万円、建物及び構築物が5億66百万円並びにソフトウエア仮勘定が3億97百万円増加した一方、投資有価証券が16億74百万円減少したこと等によるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、221億80百万円(同5億68百万円減)となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が7億51百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は、28億46百万円(同72百万円増)となりました。これは、主として「Smart DC」の開設準備に伴い資産除去債務が2億37百万円増加した一方、長期借入金が1億50百万円減少したこと等によるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、564億93百万円(同32億41百万円増)となりました。これは、主として利益剰余金が30億85百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税増税による駆け込みや反動減、米中貿易摩擦等に起因する海外経済の減速懸念から輸出や生産に弱さが見られたことに加え、年度末にかけて新型コロナウイルスのパンデミックにより国内外の経済活動が制限されはじめ、先行きに予断を許さない状況となりました。
このような事業環境のもと、当社グループとしましては、2015年度よりスタートした中期経営計画「PROJECT -NANA-」(以下「中計」という)に掲げる3つの成長戦略である「eコマース事業」、「海外事業」、「新規商材」等の諸施策を主軸とし、商材の拡充、WEBサイトの充実、各種サービスの拡充などによる積極的な営業活動に注力いたしました。
上記3つの成長戦略については、経営資源を集中的に投入した結果、3施策合計の売上では210億13百万円(前期比18.3%増)と全社の成長を大きく牽引する柱となりました。特に、eコマース型集中購買やネット通販業者向けの売上が引き続き好調に推移した上、新規商材として取り組んでいる介護施設向けや工場向けMROサプライ品、レンタルや機器校正などのサービスが伸張しました。また、年度末にかけては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う感染防止・保護用品等の引合いが急増し、医療機関を下支えする商社としてできる限りの調達の早期化や調達ルートの多様化を図り、継続的な供給に尽力いたしました。

(中計売上施策の進捗状況)
中計で掲げた売上促進3施策は以下のとおり伸張しました。
2019年度の
最終目標
(百万円)
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
前年同期比
(%)
最終目標比
(%)
eコマース11,00010,79513,325123.4121.1
海外事業5,3003,9733,70893.370.0
新規商材4,6002,9973,979132.886.5
3施策合計20,90017,76621,013118.3100.5

尚、海外事業につきましては、大学や研究機関を中心とする中国におけるローカルユーザー向け売上は伸張したものの、中国における日系企業向け売上が奮いませんでした。また、日本からの中国以外のアジア地域等への輸出は、海外経済の減速の影響を一部受けました。
商品展開としては、ナビス看護・医療用品総合カタログやナビス クリニック用・医療用品総合カタログ(以下併せて「ナビスカタログ」という)をはじめ4種類のカタログを発刊しました。また、パンフレットとして食品衛生をバックアップするサニーフーズパンフレットやシェアリングエコノミー需要に対応したレンタルパンフレットを発刊しました。プライベートブランド商品を含めた新商品を多数投入したほかWEBサイトや電子カタログでの商材の拡充を図り、トータルでの取扱点数は、前期末の約350万点から約420万点超へと増加しました。紙カタログに拘らない取扱点数の拡充策は、各分野の売上の底上げに貢献しました。
なお、当社は日々使用される消耗品を日々ご注文いただく業態であり、営業日数の増減に、売上高の増減が少なからず連動する傾向があります。参考までに、1日当たりの売上高で比較すると下表のようになります。
単位:百万円
2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期
売上高53,57655,94760,95966,73370,389
前期比102.9%104.4%109.0%109.5%105.5%
国内営業日数(日)240240241240236
(前期比増減)(△2)(-)(+1)(△1)(△4)
1日当たり売上高223233252278298
前期比103.8%104.4%108.5%109.9%107.3%

販売費及び一般管理費につきましては、133億98百万円(同2.6%増)と前期比3億43百万円の増加にとどまりました。増加要因としては、単価上昇も含めた運賃及び倉庫作業料等の増加が主であり、それ以外はカタログ発刊費用の減少もあり全体として計画に沿った抑制的な運用ができました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は703億89百万円(同5.5%増)、営業利益は85億50百万円(同13.1%増)、経常利益は88億22百万円(同13.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億66百万円(同13.3%増)となりました。
また、これらにより中計で目標とする経営指標として掲げた「売上高700億円」、「営業利益率13.0%」、「ROE11.0%」という目標に対し、売上高目標を達成することができました。運賃等物流費の想定外の上昇等により、営業利益率は12.1%、ROEは10.9%と若干の未達となりましたがいずれも中計期間中に向上させることができました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ32百万円減少し、67億84百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、63億12百万円の資金収入で、前連結会計年度に比べ収入が5億20百万円増加いたしました。これは、主として前連結会計年度に比べ仕入債務の増減額が12億52百万円減少したこと及び法人税等の支払額が4億48百万円増加したことで収入減となった一方、税金等調整前当期純利益が9億95百万円増加したこと及びたな卸資産の増減額が8億67百万円減少したことで収入増となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、34億57百万円の資金支出で、前連結会計年度に比べ支出が30億9百万円増加いたしました。これは、主として「Smart DC」の中間金払い等により有形固定資産の取得による資金支出が29億50百万円増加したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、28億73百万円の資金支出で、前連結会計年度に比べ支出が21億78百万円減少いたしました。これは、主として前連結会計年度において株式会社トライアンフ・ニジュウイチの完全子会社化に伴い連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が13億67百万円ありましたが、当連結会計年度では発生しなかったこと、「Smart DC」の中間金払いの一部を長期借入金により調達したことにより、長期借入れによる収入が10億円増加したこと、一方で配当金の支払額が2億99百万円増加したこと等によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期
自己資本比率(%)69.870.667.067.569.2
時価ベースの自己資本比率(%)117.3129.1162.6208.5218.0
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)
0.90.81.10.40.4
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
83.491.175.7198.7339.7

a.各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
b.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
c.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(期末自己株式数控除後)により算出しております。
d.営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
e.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
f.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
g.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。売上高における生産実績、部門別販売実績、品目別販売実績は以下のとおりです。
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、無塵化洗浄加工商品の生産実績であり、5億48百万円(前期比20.0%減)となりました。
ロ.受注実績
当社グループの事業内容は、当日出荷を基本とする事業の性格上、受注実績と販売実績に特筆すべき差が生じないため、当該記載を省略しております。
ハ.部門別販売実績
当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
部門前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
前年同期比
(%)
研究・産業機器部門53,64556,189104.7
病院・介護部門12,66213,779108.8
その他42542199.0
合計66,73370,389105.5

(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。
a.研究・産業機器部門
研究・産業機器部門のうち科学機器分野では、実験室用備品、分析用消耗品、保護用ウェア等の引合いが増えました。販売チャネルとしては、引き続きeコマース型集中購買及びネット通販業者向けが増えました。これらにより当分野の売上高は410億72百万円(前期比5.5%増)と底堅く推移しました。
また、製造現場を対象とする産業機器分野は汎用機器の伸びが減速したものの、防護用品や実験室用事務用品、工場向けMROサプライ品等の引合いが増えました。販売チャネルではネット通販業者向けが引き続き拡大しております。第3四半期までの累計では産業界の景況感の停滞を受け伸び悩みを示していましたが、年度末にかけて需要が伸び、当分野の売上高は151億16百万円(同2.6%増)となりました。この結果、当部門の売上高合計は561億89百万円(同4.7%増)となりました。
b.病院・介護部門
病院・介護部門では、ナビスカタログを刷新し品揃えの強化を図ったことにより、消耗品、ウェア類、院内感染防止器具等の引合いが増えました。特に期末にかけては新型コロナウイルス感染拡大に伴う感染防止対策品の急激な需要拡大が続くなか、調達の早期化や調達ルートの多様化等を図り、医療現場への物品供給を最優先に尽力いたしました。この結果、当部門の売上高は137億79百万円(前期比8.8%増)となりました。
c.その他
子会社の株式会社トライアンフ・ニジュウイチは、「Offside」システムにより理化学機器・消耗品等のWEB購買業務代行サービスを運営しております。そのシステム利用料としての売上高は4億21百万円(同1.0%減)となりました。
ニ.品目別販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
前年同期比
(%)
科学機器・装置
汎用科学機器・装置7,8367,77599.2
分析、特殊機器・装置11,39212,605110.7
物理、物性測定機器・装置4,0914,108100.4
実験用設備機器5,6766,514114.8
小計28,99731,003106.9
科学器具・消耗品
汎用器具・消耗品17,65118,071102.4
半導体関係特殊器具8,0028,057100.7
小計25,65426,129101.9
看護・介護用品11,65612,835110.1
その他42542199.0
合計66,73370,389105.5

(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他は株式会社トライアンフ・ニジュウイチのシステム利用料売上であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。中計を2015年4月にスタートさせ、特に「成長への再加速」に重点を置き取り組んでまいりました。売上高につきましては2015年度2.9%増、2016年度4.4%増、2017年度9.0%増、2018年度9.5%増と徐々に成長率を引上げてまいりましたが、当連結会計年度は5.5%増となりました。営業利益につきましても、2015年度は2.4%減と先行投資もあり微減でスタートしましたが、2016年度4.3%増、2017年度8.3%増、2018年度14.6%増、当連結会計年度13.1%増と高い増益率を示しました。
年度計画は売上高・利益共未達に終わりましたが、中計で目標とした売上高700億円は達成することができました。5年計画である中計で掲げた取組みが、成果に繋がってきている証左であり、その成果を次期中計に取り込み、新たに推し進めていく所存です。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
研究・産業機器部門においては、大学や公的研究機関の予算執行状況、民間企業の研究開発動向、民間企業の設備投資・生産動向等の影響を受けます。当連結会計年度においては、科学機器分野の売上高が前期比5.5%増、産業機器分野が2.6%増となりましたが、第3四半期連結累計期間まではそれぞれ前年同期比5.0%増、0.9%減、消費税増税や米中貿易摩擦などによる産業界の景況感の下振れの影響を受けておりました。年度末にかけて増収率が上昇したのは、新型コロナウイルスへの感染が各国で急速に拡大する中で、サプライチェーンの分断の危惧から少し厚めまたは早めの調達をするという動きがあったものと推察しております。こうした環境の中で増収を継続できたのは、科学機器分野も含めて、民間企業の需要に当社グループ全体の仕組み(膨大な品揃え、バラ売り、当日発送、システム連携等)でお応えできたことが要因と考えております。
また、企業間購買においてeコマース型の集中購買という購買形態が台頭してきております。他に類を見ない研究機器の品揃えと物流機能とIT力を持ち合わせる当社は、研究機器の集中購買での提供については大きな強みを有しており、eコマース型の集中購買を導入する企業・団体が増えることが、当社の経営成績にプラスに働きます。当連結会計年度においても、当社の集中購買システムとの新規連携先を40社増やすことができたことが、売上伸張の一つの要因と考えております。
病院・介護部門においては、医療機関の設備投資・医療用品の購買動向等の影響を受けます。超高齢化社会の到来に伴い持続可能な社会保障制度を確立するために、医療制度の改革や医療費の抑制などが国家的課題となっており、医療機関を取り巻く厳しい経営環境が続いています。こうした環境の中、如何にお客様の求める品揃えをご提供できるかが当社の経営成績を左右する要素になると考えております。当連結会計年度においては、売上高が前期比8.8%増となり比較的高い成長を示しましたが、やはり第3四半期連結累計期間までは前年同期比4.3%増でありました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で感染防止用品をはじめとした需要が急速に伸び、1月から3月迄の3か月間の第4四半期が前年同期比20.9%と大幅増収となったことが大きな要因であります。
なお、上記の他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社グループは中計を策定し、公表しており、売上高、営業利益率、ROEの3項目を指標目標としております。同計画(2015年4月~2020年3月)の最終年度である当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
売上高は中計目標を達成することができました。これは中計の成長戦略の一つであるeコマース事業が中計計画比23億円増(同21.1%増)となったことや、紙のカタログに掲載せずWEBサイトのみで紹介する商品を増やし、中計期間中に品揃えを約7万点から420万点まで拡大させたことが販売店支援につながり、売上を伸ばしたこと等が主な要因となります。コスト面では、変動費にあたる運賃及び倉庫作業料が物流業界の担い手の社会的逼迫により計画当初の想定を上回り、売上構成比が2015年度比0.6ポイント上昇し、利益の押し下げ要因となりました。これらにより営業利益率は未達、ROEはわずかに未達となりました。
指標当連結会計年度(計画)
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度(実績)
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
自己評価
売上高700億円703億円
営業利益率13.0%12.1%
ROE(自己資本利益率)11.0%10.9%


②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度においては、主な戦略的投資活動として、今後の増大する在庫量・出荷量への対応を見据えた2020年5月稼働の新物流拠点「Smart DC」に設置する物流機器の設備投資に36億円を、また、今後の当社グループの提供サービスの多様化を見据え、ビジネスチャット等のビジネス現場のソリューションサービスを提供しているIT企業である株式会社L is Bへの出資に2億円を支出しました。
また、配当性向50%の方針の下、前連結会計年度の期末配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払として28億円を支出しております。
これらの資金は、営業キャッシュ・フロー63億円及び長期借入金10億円等により賄い、現金及び現金同等物の期末残高は67億円で、前連結会計年度末と殆ど変らない結果となりました。
b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、情報機器や物流機器等の設備投資、ソフトウエア投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考えております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等に関しては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度においては、「Smart DC」の為に36億円を投資しましたが、内10億円を銀行借り入れ、その他を自己資金で賄いました。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は23億円、現金及び預金の残高は120億円となっております。なお、補足ながら新型コロナウイルス感染拡大が長期にわたり経済にマイナスの影響をもたらすリスクに備え、流動性確保のため2020年4月に50億円の銀行借入を実施しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、以下の事象については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと認識しております。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積もっております。将来において、課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上、仮定で設定される計算基礎に基づいて算出されております。実際の結果が当該仮定と異なる場合、又は当該仮定が変更された場合は、退職給付債務及び退職給付費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
c.のれん
当社グループは、のれんについてその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しておりますが、将来において当初想定した収益が見込まれなくなった場合はのれんの減損処理を行う可能性があります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の完全収束には一定の期間を要すると考えられ、企業活動の抑制、雇用情勢の悪化等による景気後退が見込まれますが、多業種にわたる科学機器や備品を取り扱う当社グループへの直接的な影響は少なく、医療機関をはじめとする感染予防・保護用品の需要増も当面続くものと思われます。これらにより、重要な会計上の見積りを行うにあたり新型コロナウイルス感染拡大による影響は限定的であると仮定しています。