有価証券報告書-第60期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 12:34
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、587億21百万円(前連結会計年度末比105億40百万円増)となりました。これは、主として売上の増加に伴う売上債権の増加により受取手形及び売掛金並びに電子記録債権が合わせて47億59百万円増加したこと、現金及び預金が22億71百万円増加したこと、たな卸資産が19億18百万円増加したこと等によるものです。
固定資産は、355億3百万円(同21億64百万円増)となりました。これは、主としてトライアンフ21ののれんの期中償却及び減損処理によりのれんが9億12百万円減少した一方、保有投資有価証券の時価評価等により投資有価証券が26億97百万円増加したこと等によるものであります。「Smart DC」に関する建設仮勘定は、稼動に伴い機械装置等に振り替わりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、255億96百万円(前連結会計年度末比34億16百万円増)となりました。これは主として、売上の増加に伴う仕入債務の増加により支払手形及び買掛金が23億70百万円増加したこと、1年以内に返済期限を迎える長期借入金の科目振替により短期借入金が4億50百万円増加したこと、未払法人税等が3億86百万円増加したこと等によるものであります。
また、固定負債は、58億67百万円(同30億21百万円増)となりました。これは、主としてコロナ禍下の流動性を考慮して期初に行った借入れにより長期借入金が21億50百万円増加したこと、投資有価証券の評価増等に伴い繰延税金負債が9億29百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、627億61百万円(前連結会計年度末比62億67百万円増)となりました。これは、主として利益剰余金が34億23百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が27億43百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの影響が続くなか、段階的な経済活動の再開や、政府・自治体の各種政策の効果、ワクチン接種開始への期待感等により、緩やかながら持ち直しの動きが見られました。しかしながら、感染再拡大は波状的に到来し、緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置などの対応に迫られ、依然として先行き不透明な状況が続きました。一方、医療の現場においては、感染者数の再拡大に伴い重症者対応や感染防止対策における設備・物資・人員不足が再び懸念される状況にあります。
このような事業環境のもと、当連結会計年度の連結売上高は、816億6百万円(前期比15.9%増)と伸張しました。この要因としては、従前から取り組んでいる品揃えの拡大、集中購買システム「ocean」や販売店向けEC支援システム「Wave」などのEC基盤の伸展、安定供給やクイックデリバリー等顧客満足度の追求による顧客基盤の拡大等が挙げられます。
WEB上の取扱商品の品揃えが510万点を超え、紙カタログに掲載せずWEBサイトのみで紹介するロングテール商品の売上高は約72億円(同56.0%増)となりました。当社の持つ充実したデジタル商品情報が、DXという潮流の中で大きく新規売上に貢献しております。また、一時的な品不足が生じたものの、いち早く調達の安定化を図り、ディスポウェアや非接触体温計といった感染対策用品等を、タイムリーに供給できたことが顧客基盤の拡大と売上増に繋がりました。在庫・出荷能力を強化した新物流拠点「Smart DC」稼働も奏功しました。
(中期経営計画-PROJECT ONE-における主要売上施策の進捗状況)
中期経営計画で掲げる主要売上施策は以下のとおり推移しました。
2020年度の
期初目標
(百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(百万円)
前年同期比
(%)
期初目標比
(%)
eコマース ※115,29213,75416,123117.2105.4
海外事業 ※23,9763,7083,720100.393.6
合計19,26817,46319,844113.6103.0

※1eコマースについては、集計対象を一部加えたため、前連結会計年度の数字を変更しております。
※2海外事業の約7割は中国現地法人の売上ですが、現地法人事業年度が1~12月のため、現地における1~12月の売上高を連結しております。
※3前中期経営計画で掲げていた新規商材は既存事業を含めた各事業にまたがる商材となるため、 現中期経営計画では分離して扱う集計を行っておりません。
なお、eコマースにつきましては、集中購買やネット通販のチャネルに加え、販売店のeコマースを支援する「Wave」の利用拡大を推進しております。エンドユーザーと販売店と当社がデジタル連携していく仕組みで、当社のみならず商流のDX化にも貢献できるシステムであります。まだ緒に就いたばかりですが、お客様の賛同を得て、計画を上回るペースでご利用いただいております。
海外事業につきましては、中国においてローカル向けの研究需要は好調なものの、日系企業向けが低調であり邦貨ベースでは為替の影響から全体では前期比微増にとどまりました(人民元ベースでは3.3%の増収)。日本からの中国以外のアジア地域等への輸出は、海外渡航が難しい上、海外経済の減速の影響を受けましたが、通期で前年実績を確保することができました。
販売費及び一般管理費につきましては、前期に比べ26億36百万円増加し、160億35百万円(同19.7%増)となりました。増加要因としては、物流自動化設備等約45億円の設備投資を行ってきた「Smart DC」が2020年5月に稼働したこと等により減価償却費が6億32百万円増、不動産賃借料が4億93百万円増となったこと、売上高増加等により運賃及び倉庫作業料が6億51百万円増となったこと等が挙げられます。
なお、当社は当社グループの理化学機器卸としての専門性とトライアンフ21が有するWEB購買業務代行サービスでの強みとを有機的に連携させ、両社のビジネス・ネットワークの融合を図ることで、eコマース分野での新たな付加価値を提供することを目的に同社を連結子会社化し、株式取得時に発生したのれんを資産計上いたしました。しかしながら、トライアンフ21の業績が当初想定した計画を下回って推移していることや、コロナ禍による一部新規プロジェクトの遅延等の影響を考慮し事業計画の見直しを行った結果、超過収益力が見込めなくなったため、のれんの減損損失を計上いたしました。また、当社が保有する投資有価証券のうち実質価額が著しく低下したものについて投資有価証券評価損を計上し、合わせて特別損失として12億54百万円計上いたしました。
この結果、営業利益は98億91百万円(同15.7%増)、経常利益は101億95百万円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億88百万円(同0.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ32億71百万円増加し、100億56百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、53億81百万円の資金収入で、前連結会計年度に比べ収入が9億31百万円減少いたしました。これは、主として仕入債務の増減に伴い収入が前連結会計年度に比べ31億16百万円増加した一方、売上債権の増減に伴い支出が41億32百万円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、21億16百万円の資金支出で、前連結会計年度に比べ支出が13億41百万円減少いたしました。これは、主として前連結会計年度において大きかった「Smart DC」向けの投資が落ち着いたことで有形固定資産の取得による支出が19億57百万円減少した一方、資本業務提携を行ったHPCシステムズ株式会社の株式取得等に伴う投資有価証券の取得による支出が9億60百万円増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、11百万円の資金収入(前連結会計年度は28億73百万円の資金支出)となりました。これは、主としてコロナ禍下の流動性を考慮して行った資金調達により長期借入れによる収入が40億円増加し、配当金の支払額による支出が3億16百万円減少した一方、長期借入金の返済による支出が15億円増加したこと等によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
自己資本比率(%)70.667.067.569.266.5
時価ベースの自己資本比率(%)129.1162.6208.5218.0275.9
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)
0.81.10.40.40.9
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
91.175.7198.7339.7529.3

a.各指標の算出方法は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
b.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
c.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(期末自己株式数控除後)により算出しております。
d.営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
e.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
f.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
g.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。売上高における生産実績、部門別販売実績、品目別販売実績は以下のとおりです。
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、無塵化洗浄加工商品及びプラスチック容器の生産実績であり、7億53百万円(前期比37.5%増)となりました。
ロ.受注実績
当社グループの事業内容は、当日出荷を基本とする事業の性格上、受注実績と販売実績に特筆すべき差が生じないため、当該記載を省略しております。
ハ.部門別販売実績
当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
なお、部門の名称を以下のとおり変更しておりますが、集計方法は従来と変更ありません。
部門前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(百万円)
前年同期比
(%)
ラボ・インダストリー部門
(旧研究・産業機器部門)
56,18960,137107.0
メディカル部門
(旧病院・介護部門)
13,77921,049152.8
その他42142099.8
合計70,38981,606115.9

(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他はトライアンフ21のシステム利用料売上であります。
a.ラボ・インダストリー部門
大学、研究機関及び企業の研究部門等を対象とするラボラトリー分野(旧科学機器分野)では、期初の緊急事態宣言下において一部で在宅勤務等の措置が取られ需要が一時軟調となりました。宣言解除後は、回復基調に転じ分析機器・用品や微生物検査用品、研究設備品やクリーンルーム用手袋等幅広く需要が活発化し、当分野の売上高は、447億45百万円(前期比8.9%増)と伸張しました。
また、製造現場等を対象とするインダストリー分野(旧産業機器分野)は、同じく緊急事態宣言下において需要が軟調となり、解除後も生産活動の回復の遅れから低迷しておりましたが、10月以降は、クリーンルーム用品はじめ全体として需要は復調を見せ、当分野の売上高は、153億91百万円(同1.8%増)となりました。この結果、当部門の売上高合計は601億37百万円(同7.0%増)となりました。
b.メディカル部門
医療機関や介護施設等を対象とするメディカル部門では、医療現場のコロナ禍対策が常態化し、マスク・手袋等感染対策消耗品のみならず、非接触体温計等バイタル計測機器や安全キャビネット、医療廃棄物容器等にいたるまで様々な品目に需要が広がりました。一部国内で品不足が生じるなかいち早く安定調達できたことも奏功し、お客様の支持を広げることができました。この結果、当部門の売上高は210億49百万円(同52.8%増)と大幅に伸長しました。
c.その他
子会社のトライアンフ21は「OffSide」システム等により理化学機器・消耗品等のWEB購買業務代行サービスを運営しております。当連結会計年度は、期初から緊急事態宣言下における主要な顧客の在宅勤務推進等による購買需要減退の影響を受けました。宣言解除後は製薬企業を中心に回復基調を見せるものの、通期では前期比微減にとどまりました。この結果、同社のシステム利用料としての売上高は4億20百万円(同0.2%減)となりました。
ニ.品目別販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(百万円)
前年同期比
(%)
科学機器・装置
汎用科学機器・装置7,7758,106104.3
分析、特殊機器・装置12,60515,206120.6
物理、物性測定機器・装置4,1084,320105.2
実験用設備機器6,5147,484114.9
小計31,00335,117113.3
科学器具・消耗品
汎用器具・消耗品18,07118,962104.9
半導体関係特殊器具8,0578,634107.2
小計26,12927,596105.6
看護・介護用品12,83518,472143.9
その他42142099.8
合計70,38981,606115.9

(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他はトライアンフ21のシステム利用料売上であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当社グループは、主として機器・備品・消耗品等を卸売形態で販売する事業を営んでおります。この他、WEB購買業務代行事業がありますが、重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。このため報告セグメントは一つのため、セグメント別の記載を省略しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。期初においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞を加味し、売上高は上期前年同期比0.3%減、下期同5.8%増、通期同3.0%増の成長を見込み、一方コスト面では5年後売上高1,000億円時の出荷量を見据えた物流拠点「Smart DC」の新規稼働に伴う減価償却費や不動産賃借料の大幅増が生じるため、利益面では減益を計画しておりました。しかしながら、医療現場における感染対策用品の高需要の常態化や研究開発需要を主とするラボラトリー分野の早い回復等があり、売上高は15.9%増の大幅増収、11期連続増収となりました。これによる売上総利益の増加が「Smart DC」のコスト増やのれんの減損損失等の想定外のコストも吸収し、親会社株主に帰属する当期純利益の10期連続増収を達成することができました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
世界中で需要が急拡大した中で海外品の調達難が懸念された感染対策用品等の調達をいち早く安定化させ、顧客基盤の拡大に繋げられたことや、従前から取り組んでいたEC取引がDX化の潮流にうまく適合したこと等が奏功したと考えられます。
メディカル部門においては、防護服やマスクなど多くの感染対策消耗品が国内においても一時品不足に陥りましたが、新旧様々なサプライヤーと良好な関係を構築しいち早く安定調達を実現し、従来顧客への安定供給を示すことができただけでなく、顧客基盤の拡大にもつなげることができました。
ラボ・インダストリー部門においては、大学や公的研究機関の予算執行状況、民間企業の研究開発動向・設備投資・生産動向等の影響を受けます。当連結会計年度においては、一時期大手企業・大学における在宅勤務の影響から需要が低迷しましたが、研究開発活動や生産活動はコロナ禍下においても堅調に推移しました。当社グループ全体の仕組み(膨大な品揃え、バラ売り、当日発送、システム連携、EC連携等)は、リモート化やDX推進を求める時代の趨勢の中で、求められる一つのソリューションとしてその利用価値が増してきております。特に、他に類を見ない研究機器の品揃えと物流機能とIT力を持ち合わせる当社は、研究機器の集中購買での提供について大きな強みを有しており、eコマース型の集中購買「ocean」の新規連携ユーザーは20社、販売店向けEC支援システム「Wave」の新規連携ユーザーは441社増加しました。
なお、上記の他、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社グループは中期経営計画を策定し公表しており、売上高、営業利益率、ROEの3項目を指標目標としております。同計画(2020年4月~2025年3月)の初年度である当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。
指標当連結会計年度(計画)
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度(実績)
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
自己評価
売上高725億円816億円
営業利益率8.7%12.1%
ROE(自己資本利益率)7.8%10.1%


②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度においては、主な戦略的投資活動として、物流拠点「Smart DC」に設置する物流機器、情報機器、システムなどの設備投資、また、今後の当社グループの提供サービスの多様化を見据え、計算科学シミュレーションを提供するHPCシステムズ株式会社への出資などを実施し、投資キャッシュ・フロー全体では21億円支出しました。
また、配当性向50%の方針の下、前連結会計年度の期末配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払として25億円支出し、長期借入金を24億円返済しております。
これらの資金は、営業キャッシュ・フロー53億円及び長期借入金50億円等により賄い、現金及び現金同等物の期末残高は100億円で、前連結会計年度末比32億円増加しました。
b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、情報機器や物流機器等の設備投資、システム投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考えております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等に関しては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
但し、当連結会計年度においては、期初においてコロナ禍による不透明な経済情勢を踏まえ、長期に流動性を確保するため50億円の長期借入を行っております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は48億円、現金及び預金の残高は143億円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載しております。
なお、以下の事象については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと認識しております。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的に見積もっております。将来において、課税所得が予想を下回った場合は、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上、仮定で設定される計算基礎に基づいて算出されております。実際の結果が当該仮定と異なる場合、又は当該仮定が変更された場合は、退職給付債務及び退職給付費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
c.のれん
当社グループは、のれんについてその効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しておりますが、将来において当初想定した収益が見込まれなくなった場合はのれんの減損処理を行う可能性があります。
当連結会計年度において、この方針に従い、トライアンフ21ののれんについて8億26百万円減損処理を行いました。なお、当該減損処理の過程において同社の事業計画の見直しを行っておりますが、その重要な仮定は、最適購買を提供するソリューションビジネスから得られる手数料売上の成長であり、これは取扱金額及びユーザー数に影響を受けます。
以上の結果、当連結会計年度末現在のれんは計上されておりません。
なお、個別財務諸表においてもトライアンフ21の株式について同様に子会社株式評価損を計上しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の完全収束には一定の期間を要すると考えられ、企業活動の抑制、雇用情勢の悪化が長期化すれば景気後退が見込まれますが、多業種にわたる科学機器や備品を取り扱う当社グループへの直接的な影響は少なく、医療機関をはじめとする感染予防・保護用品の需要は当面続くものと思われます。これらにより、繰延税金資産の回収可能性等の重要な会計上の見積りを行うにあたり新型コロナウイルス感染拡大による影響は限定的であると仮定しています。