有価証券報告書-第35期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦の長期化や中国経済の成長鈍化を背景として製造業を中心に弱含みが続いていたところ、年明け以降の新型コロナウイルス感染症の影響により景気は急激に減速いたしました。
当社グループにおける当連結会計年度の経営成績については、半導体に対する需要が総じて低水準となったことから売上高は135,394百万円(前期比4.0%減)となったものの、コンピュータシステム関連事業が好調に推移したことなどから、営業利益3,810百万円(前期比8.1%増)、経常利益3,573百万円(前期比16.1%増)、当社において確定拠出年金制度への移行に伴う特別損失を計上したことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益は2,288百万円(前期比2.2%減)となりました。なお、新型コロナウイルス感染症が当連結会計年度の経営成績に与える影響は軽微であります。
当社グループにおける報告セグメントに係る業績については、次のとおりであります。
[半導体及び電子デバイス事業]
自動車に搭載される半導体製品は先進運転支援システム等の普及・拡大に伴って増加しており、当社グループでも製品販売が堅調に推移いたしました。また、産業機器向けの製品需要も徐々に持ち直しつつあったものの、コンピュータ及びその周辺機器や民生機器向け製品の販売が低調に推移したことに加え、当初予定していた商権移管に一部遅れが生じたことなどから、当連結会計年度は売上高110,138百万円(前期比8.0%減)、セグメント利益(経常利益)871百万円(前期比33.9%減)となりました。
[コンピュータシステム関連事業]
既存システムの刷新や業務効率化等を目的とした企業のIT投資は引き続き堅調に推移しており、加えてクラウドを利用したサービス拡大を背景に、日々の運用やセキュリティなどへの課題解決がより一層求められております。当社ではデータセンター関連事業者、通信事業者及び製造業向けに、ネットワーク及びストレージ関連機器の販売が好調に推移し、また、各種保守サービスも堅調であったことなどにより、当連結会計年度は売上高25,255百万円(前期比18.3%増)、セグメント利益(経常利益)2,701百万円(前期比53.7%増)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ1,751百万円減少し68,668百万円となりました。これは主に、前払費用が1,422百万円増加した一方、商品及び製品が3,154百万円減少したことによります。
固定資産は前期末に比べ62百万円減少し7,870百万円となりました。
この結果、総資産は前期末に比べ1,813百万円減少し76,539百万円となりました。
流動負債は前期末に比べ946百万円減少し31,054百万円となりました。これは主に、前受金が1,769百万円増加した一方、短期借入金が3,639百万円減少したことによります。
固定負債は前期末に比べ1,597百万円減少し18,344百万円となりました。これは主に、長期借入金が2,320百万円減少したことによります。
純資産は前期末に比べ730百万円増加し27,141百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は34.6%となり、前連結会計年度末に比べ1.7ポイント向上いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末に比べて683百万円増加し、4,218百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,651百万円(前期は12,335百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益、たな卸資産及び売上債権の減少等の資金増加要因が、前払費用の増加等の資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は549百万円(前期は1,708百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7,479百万円(前期は10,504百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金及び長期借入金の返済によるものであります。
③ 仕入、受注及び販売の状況
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 94,912 | △9.2 |
| コンピュータシステム関連事業 | 17,833 | 17.1 |
| 合計 | 112,746 | △5.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 111,699 | △1.7 | 23,851 | 7.0 |
| コンピュータシステム関連事業 | 28,475 | 24.2 | 14,680 | 28.1 |
| 合計 | 140,174 | 2.6 | 38,532 | 14.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 110,138 | △8.0 |
| コンピュータシステム関連事業 | 25,255 | 18.3 |
| 合計 | 135,394 | △4.0 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月18日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において行われる判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.収益の認識
当社グループの売上高は通常、注文書に基づき顧客に対して商品が出荷された時点、またはサービスが提供された時点で計上されます。なお、輸出販売については通関完了時、仕入先から顧客への商品直納販売については顧客受領時、預託在庫販売については顧客使用時、受託開発取引等検収確認が必要な取引については顧客検収完了時に計上されます。
b.貸倒引当金
当社グループは、顧客の債務不履行等により発生する損失の見込額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の支払能力低下による入金遅延が生じ、その後速やかに回収が見込まれない等の場合は、当該顧客への債権金額の50%以上引当金設定を行うことを原則としています。また、その他一定の信用悪化が認められた顧客に対する債権については個別に評価を行い、保守的な見積もりに基づく引当金設定を行う方針としています。
c.棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価について原則として原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。販売価格の低下や販売が困難と認められる棚卸資産については個別に簿価の切り下げを行う他、仕入日から一定期間を経過した棚卸資産が陳腐化したものと仮定し、期間の経過に応じ機械的に簿価の切り下げを行う等、早期に評価減を実施する方針としています。なお、期間の経過に応じた機械的な簿価切り下げ額は、当社グループが定めた商品の一般的なライフサイクル期間(5年~6年)での均等償却により算定していますが、当該期間よりも早く陳腐化等が進む棚卸資産が発生した場合は追加的な切り下げが必要となります。
d.固定資産又はのれんの減損
当社グループは、減損会計の対象となる建物及び構築物、工具、器具及び備品、のれん、技術資産、顧客関係資産並びにソフトウェア等を有しております。現状、減損損失の認識が必要な資産はありませんが、今後、受注状況や市場動向に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
なお、2018年7月に連結子会社化した株式会社ファーストの株式取得の際に計上した無形固定資産(のれん、技術資産及び顧客関係資産)合計額は1,864百万円であり、定額法(15年)により償却を行っています。これら無形固定資産の2020年3月末時点簿価合計額は1,646百万円でありますが、今後、新型コロナウイルス感染症の影響等により投資時点の計画に比べ同社の業績が低調に推移した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
また、有価証券等への投資につきましては、株式、関連会社に対する出資金及びゴルフ会員権等の保有があります。金融商品の投資価値の下落がその時点の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合には投資の減損又は貸倒引当金の計上を行っております。なお、将来の市況悪化等により、投資の減損又は貸倒引当金の計上が必要となる可能性があります。
e.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得の発生の可能性を毎決算期に見積もり、回収可能性を検討した上で計上しております。今後、業績の悪化等により繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性に懸念が生じた場合、繰延税金資産の取崩額が費用として計上される可能性があります。
なお、評価性引当額の設定は主に、国内子会社における役員退職慰労引当金、関係会社株式評価損及びゴルフ会員権評価損に対してであります。
f.退職給付に係る負債又は資産
当社グループの退職給付に係る負債又は資産については、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待運用収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは中期経営計画「VISION2020(2016年3月期~2021年3月期)」を推進しており、前半3年(2016年3月期~2018年3月期)を「成長に向けた事業インフラを整備する期間」、後半3年(2019年3月期~2021年3月期)を「事業の成長を実現する期間」と位置づけ、2021年3月期において売上高200,000百万円、経常利益率3.5%以上、ROE15%を達成目標としております。中期経営計画における後半2年目に相当する当連結会計年度は、売上高135,394百万円、経常利益率2.6%、ROE8.8%となりました。
当連結会計年度の売上高は、米中貿易摩擦の長期化や中国経済の成長鈍化を背景として製造業を中心に弱含みが続き、半導体に対する需要が総じて低水準であったこと、予定していた商権移管のスケジュールに変更等があったことから前期比4.0%減となったものの、コンピュータシステム関連事業がデータセンター関連事業者、通信事業者及び製造業向けに、ネットワーク及びストレージ関連機器の販売が好調に推移し、また、各種保守サービスも堅調に推移したことなどから、経常利益は前期比16.1%増となりました。
(中期経営計画の進捗及び今後の見通し)
| 2020年3月期 (実績) | 2021年3月期 (予想) | 2021年3月期 (VISION2020目標) | ||
| 売上高 (百万円) | 半導体及び電子デバイス事業 | 110,138 | 115,600 | 200,000 |
| コンピュータシステム関連事業 | 25,255 | 22,400 | ||
| (合計) | 135,394 | 138,000 | ||
| 経常利益率 | 2.6% | 3.0% | 3.5% | |
| ROE | 8.8% | 10.0% | 15.0% | |
中期経営計画の前半3年(2016年3月期~2018年3月期)である「成長に向けた事業インフラを整備する期間」では、半導体及び電子デバイス事業においてM&Aによる製造リソース及び画像処理技術の獲得を、コンピュータ関連事業において取り扱い製品ラインナップの拡充やサービス提供基盤の構築をそれぞれ行うことで、2021年3月期の中期経営計画の達成に向けた足場固めを実行してまいりました。
米中貿易摩擦の影響や中国経済の減速、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による影響等により、中期経営計画の達成は非常に厳しい状況にあると認識しておりますが、2020年3月期までの実績を踏まえると、これまでに利益面では一定の成果が認められ、指標として掲げている経常利益率、ROE共に改善しております。中期経営計画の最終年度を迎えるにあたり、引き続き以下の取り組みを推進することにより、収益性の高い事業に注力して企業価値の向上に取り組んでまいります。
a.システム一括受託開発の推進
当社グループが保有する設計機能と子会社が有する製造リソースを活かし、システム設計から製造受託までの顧客ニーズに合わせた高付加価値サービスを提供する。
b.保有技術を活用した自社製品開発の強化
M&Aにより当社グループの傘下に加わった子会社の技術(画像処理)や、これまでに培ってきたAI技術等により、新たな付加価値の創造に向けた研究開発を行い、自社ブランド製品の開発、提供を推進する。
c.新製品の導入・技術サービス体制の確立
セキュリティ製品、AI関連製品のラインアップを拡充し、その導入・技術・運用サービスとともに顧客への提案を推進する。
d.産業分野におけるIoTビジネスの加速化
クラウドサービスの提供を核として、パートナー企業との連携による産業分野におけるクラウドIoTビジネスを加速させる。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における主な資金需要は商品の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。その他、自社ブランド事業におけるメーカー機能の強化を図るための設備投資や研究開発投資、M&A投資等があります。上記、運転資金については内部資金、銀行からの短期借入金及び売上債権の流動化により調達を行い、投資資金については内部資金及び銀行からの長期借入金により調達を行うことを基本としております。一方、銀行借入金の一部を長期固定金利契約とすることにより、金利変動リスクの軽減を図っております。
なお、日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用する方針としております。なお、取引銀行6行と当座貸越契約(2020年3月31日現在、極度額合計46,890百万円)を締結しており、資金の流動性は十分確保されております。
また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時よりも増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。