有価証券報告書-第36期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、業種によって新型コロナウイルス感染症による影響に差があるものの、米中をはじめとする世界経済の持ち直しを背景に製造業を中心に回復の動きが見られました。
当社グループにおける当連結会計年度の経営成績については、売上高143,268百万円(前期比5.8%増)、営業利益4,620百万円(前期比21.3%増)、経常利益4,625百万円(前期比29.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,143百万円(前期比37.3%増)となりました。
当社グループにおける報告セグメントに係る業績については、次のとおりであります。
[半導体及び電子デバイス事業]
コロナ禍や米中貿易摩擦の影響等、不透明な状況が続いている中、データ通信量の増大や自動車生産の回復を背景に世界的な半導体製品の需要が拡大し、供給不足が発生しております。このような状況のもと、当社グループでは製品の販売が好調に推移したことに加え、顧客商権の拡大も概ね当初の計画通りに進捗したことなどから、当連結会計年度は外部顧客への売上高119,334百万円(前期比8.4%増)、新型コロナウイルス感染症の影響で営業活動経費が減少したこともありセグメント利益(経常利益)は1,790百万円(前期比105.5%増)となりました。
[コンピュータシステム関連事業]
コロナ禍においてリモートワークの活用が進むなど、ストレージやセキュリティ製品に対する需要は増しております。その一方、当社では2020年3月に主要取引先との販売代理店契約を解消した影響もあり、当連結会計年度は外部顧客への売上高23,933百万円(前期比5.2%減)となりましたが、ネットワーク及びストレージ関連製品販売に付随する運用・保守サービスが好調に推移したことなどによりセグメント利益(経常利益)は2,834百万円(前期比4.9%増)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ14,052百万円増加し82,721百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が6,668百万円増加したことに加え、商品及び製品が3,830百万円増加したことによります。
固定資産は前期末に比べ278百万円増加し8,149百万円となりました。
この結果、総資産は前期末に比べ14,331百万円増加し90,870百万円となりました。
流動負債は前期末に比べ8,943百万円増加し39,997百万円となりました。これは主に、前受金が2,514百万円増加したことに加え、1年以内返済予定の長期借入金も含む短期借入金が3,236百万円増加したことによります。
固定負債は前期末に比べ2,876百万円増加し21,220百万円となりました。これは主に、長期借入金が2,770百万円増加したことによります。
純資産は前期末に比べ2,511百万円増加し29,652百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は31.9%となり、前連結会計年度末に比べ2.7ポイント低下いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末に比べて1,172百万円増加し、5,391百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は3,463百万円(前期は8,651百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加及びたな卸資産の増加等の資金減少要因が、税金等調整前当期純利益や前受金の増加等の資金増加要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は469百万円(前期は549百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は5,079百万円(前期は7,479百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金及び短期借入金の増加によるものであります。
③ 仕入、受注及び販売の状況
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 109,674 | 15.6 |
| コンピュータシステム関連事業 | 16,565 | △7.1 |
| 合計 | 126,240 | 12.0 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 144,714 | 29.6 | 49,230 | 106.4 |
| コンピュータシステム関連事業 | 26,105 | △8.3 | 16,852 | 14.8 |
| 合計 | 170,819 | 21.9 | 66,083 | 71.5 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 119,334 | 8.4 |
| コンピュータシステム関連事業 | 23,933 | △5.2 |
| 合計 | 143,268 | 5.8 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において行われる判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.収益の認識
当社グループの売上高は通常、注文書に基づき顧客に対して商品が出荷された時点、またはサービスが提供された時点で計上されます。なお、輸出販売については通関完了時、仕入先から顧客への商品直納販売については顧客受領時、預託在庫販売については顧客使用時、受託開発取引等検収確認が必要な取引については顧客検収完了時に計上されます。
b.貸倒引当金
当社グループは、顧客の債務不履行等により発生する損失の見込額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の支払能力低下による入金遅延が生じ、その後速やかに回収が見込まれない等の場合は、当該顧客への債権金額の50%以上引当金設定を行うことを原則としています。また、その他一定の信用悪化が認められた顧客に対する債権については個別に評価を行い、保守的な見積もりに基づく引当金設定を行う方針としています。
c.棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価について原則として原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。販売価格の低下や販売が困難と認められる棚卸資産については個別に簿価の切り下げを行う他、仕入日から一定期間を経過した棚卸資産が陳腐化したものと仮定し、期間の経過に応じ機械的に簿価の切り下げを行う等、早期に評価減を実施する方針としています。なお、期間の経過に応じた機械的な簿価切り下げ額は、当社グループが定めた商品の一般的なライフサイクル期間(5年~6年)での均等償却により算定していますが、当該期間よりも早く陳腐化等が進む棚卸資産が発生した場合は追加的な切り下げが必要となります。
d.固定資産又はのれんの減損
当社グループは、減損会計の対象となる建物及び構築物、工具、器具及び備品、のれん、技術資産、顧客関係資産並びにソフトウェア等を有しております。現状、減損損失の認識が必要な資産はありませんが、今後、受注状況や市場動向に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
なお、2018年7月に連結子会社化した株式会社ファーストの株式取得の際に計上した無形固定資産(のれん、技術資産及び顧客関係資産)合計額は1,864百万円であり、定額法(15年)により償却を行っています。これら無形固定資産の2021年3月末時点簿価合計額は1,522百万円でありますが、今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響が再び大きくなる等、業績が当連結会計年度に比べ悪化した場合は、減損損失の計上が必要となる可能性が高くなります。
また、有価証券等への投資につきましては、株式、関連会社に対する出資金及びゴルフ会員権等の保有があります。金融商品の投資価値の下落がその時点の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合には投資の減損又は貸倒引当金の計上を行っております。なお、将来の市況悪化等により、投資の減損又は貸倒引当金の計上が必要となる可能性があります。
e.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得の発生の可能性を毎決算期に見積もり、回収可能性を検討した上で計上しております。今後、業績の悪化等により繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性に懸念が生じた場合、繰延税金資産の取崩額が費用として計上される可能性があります。
なお、評価性引当額の設定は主に、国内子会社における長期未払金、関係会社株式評価損及びゴルフ会員権評価損に対してであります。
f.退職給付に係る負債又は資産
当社グループの退職給付に係る負債又は資産については、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待運用収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは2021年3月期を最終年度とする中期経営計画「VISION2020」を推進してまいりました。2016年3月期に制定した計画では、前半3年を「成長に向けた事業インフラを整備する期間」、後半3年を「事業の成長を実現する期間」と位置づけ、計画では最終年度の売上高を200,000百万円、経常利益率を3.5%以上、ROE(株主資本利益率)を15%とする目標を掲げておりました。
当該計画の最終年度である当連結会計年度においては、売上高143,268百万円、経常利益率3.2%、ROE(株主資本利益率)11.4%となり、このうち経常利益率及びROE(株主資本利益率)については計画期間において最も高い水準となりましたが、計画の達成には至りませんでした。当連結会計年度の業績については、新型コロナウイルス感染症の拡大や米中貿易摩擦問題等、将来の見通しに対する不透明感が続く中、世界的な半導体製品の需要拡大や当社グループにおける顧客商権の拡大も寄与したことなどから売上高は前期比5.8%増加し、データ通信量の増大やリモートワークの活用拡大等によってネットワーク及びセキュリティ製品関連ビジネスが伸長したことに加え各種保守サービスも好調に推移し、且つ、コロナ禍のもとで活動経費が圧縮されたことなどを背景として経常利益は前期比29.4%増加いたしました。
(中期経営計画(VISION2020)及び最終年度の状況)
| VISION2020 目標 | 当連結会計年度(2021年3月期) | ||
| 売上高 | 200,000百万円 | 143,268百万円 | (半導体及び電子デバイス事業) 119,334百万円 |
| (コンピュータシステム関連事業) 23,933百万円 | |||
| 経常利益率 | 3.5% | 3.2% | |
| ROE(株主資本利益率) | 15.0% | 11.4% | |
当連結会計年度で終了した中期経営計画(VISION2020)に続き、更なる企業価値の向上を目指す次期中期経営計画「VISION2025」(目標年度2025年3月期)が2022年3月期よりスタートいたします。
新たな中期経営計画では、世界全体の経済成長率が逓減していく一方で高効率スマート社会(Society 5.0)の到来を事業環境として予測・想定しており、「DRIVING DIGITAL TRANSFORMATION」として、デジタルトランスフォーメーションを実現する製品・サービスの提供によって社会の持続的な発展への貢献を当社グループのミッションとして掲げております。
2022年3月期はVISION2025のスタート年度であり、計画のミッションを全うしていくためにもメーカー機能を持つ技術商社から技術商社機能を持つメーカーへの移行を推し進めてまいります。
技術商社機能としては、データ・サービス・ストックビジネスを利益の源泉とするビジネスモデルを確立し、安定的な利益の基盤を構築してまいります。また、メーカーへの移行に向け、当社では以下の内容を重点ポイントとしております。
a.データサイエンス・画像処理・ロボティクスを駆使した モノづくりシステムメーカー
b.設計量産受託サービスで培われた技術に基づくODMメーカー
c.強力なシステム開発力・提案力を有する 設計開発部門
d.マスカスタマイゼーション対応の 高効率スマート工場
また、当該計画においては以下の財務モデルを設定し、引き続き増益増収による会社の持続的な成長を目指してまいります。
計画初年度となる2022年3月期については、景気の先行き不透明感は拭いきれないものの、コロナ禍を経て世界経済が回復基調に向かうことを期待しつつ、半導体市場の需給バランスが徐々に改善していくことを想定し、顧客商権の拡大に伴う対応や更なるデータ通信量の増大に対応した関連製品・サービスの販売促進を行い、新規顧客の獲得に引き続き努めてまいります。
(次期中期経営計画(VISION2025)及び計画初年度(2022年3月期)の通期連結業績予想)
| VISION2025 目標 (2025年3月期) | |||
| 売上高 | 200,000百万円±10% | ||
| (事業別構成比) | コンピュータシステム関連事業 | 20% | |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 70% | ||
| プライベートブランド事業 | 10% | ||
| 経常利益率 | >5% | ||
| (事業別経常利益率) | コンピュータシステム関連事業 | >13% | |
| 半導体及び電子デバイス事業 | >2% | ||
| プライベートブランド事業 | >10% | ||
| ROE(株主資本利益率) | >15% | ||
| 2022年3月期 予想 | |
| 売上高 | 154,000百万円 |
| 経常利益 (経常利益率) | 5,100百万円 (3.3%) |
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における主な資金需要は商品の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。その他、プライベートブランド事業におけるメーカー機能の強化を図るための設備投資や研究開発投資、M&A投資等があります。上記、運転資金については内部資金、銀行からの短期借入金及び売上債権の流動化により調達を行い、投資資金については内部資金及び銀行からの長期借入金により調達を行うことを基本としております。一方、銀行借入金の一部を長期固定金利契約とすることにより、金利変動リスクの軽減を図っております。
なお、日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用する方針としております。なお、取引銀行6行と当座貸越契約(2021年3月31日現在、極度額合計47,771百万円)を締結しており、資金の流動性は十分確保されております。
また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時よりも増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図ってまいります。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。