有価証券報告書-第40期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の持ち直しやインバウンド需要の増加等により、緩やかな回復基調で推移しました。一方で資源価格の高止まりや中国経済の減速のほか、地政学リスクの高まり、米国の政策動向の影響懸念等により、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
当社グループにおける当連結会計年度の経営成績については、売上高216,379百万円(前期比10.9%減)、営業利益12,457百万円(前期比19.3%減)、経常利益11,415百万円(前期比18.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益8,874百万円(前期比11.1%減)となりました。
当社グループにおける報告セグメントに係る業績については、次のとおりであります。
[半導体及び電子デバイス事業]
中国市場の停滞やサプライチェーンにおける在庫調整の影響が長期化している中、当社グループにおいては車載向け半導体製品の販売が顧客商権の拡大もあり堅調に推移し、ウェーハ検査装置事業も業績に寄与しました。一方で、産業機器向け半導体製品の販売が減少したことに加え、通信機器向け及び民生機器向け半導体製品の販売も低調に推移したことなどから、当連結会計年度は外部顧客への売上高179,051百万円(前期比14.7%減)、セグメント利益(経常利益)6,149百万円(前期比41.2%減)となりました。
[コンピュータシステム関連事業]
デジタル変革の推進に伴うデータ量の急増やクラウド化が進展する中、クラウド移行やセキュリティ対策へのIT投資は引き続き堅調であり、当社が取り扱うネットワーク関連製品、ストレージ関連製品、セキュリティ関連製品及びサブスクリプション型ライセンスの販売が好調に推移しました。また、製品の販売に付随する設計・構築サービス及び保守・監視サービス需要も拡大したことなどから、当連結会計年度は外部顧客への売上高37,327百万円(前期比13.2%増)、セグメント利益(経常利益)5,266百万円(前期比52.0%増)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ7,150百万円減少し144,186百万円となりました。これは主に、前払費用が6,535百万円増加した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が8,008百万円減少したことに加え、商品及び製品が2,994百万円減少したことによります。
固定資産は前期末に比べ1,424百万円増加し12,655百万円となりました。
この結果、総資産は前期末に比べ5,726百万円減少し156,841百万円となりました。
流動負債は前期末に比べ14,430百万円減少し74,605百万円となりました。これは主に、短期借入金が14,201百万円減少したことによります。
固定負債は前期末に比べ5,890百万円増加し33,232百万円となりました。これは主に、長期借入金が6,960百万円増加したことによります。
純資産は前期末に比べ2,813百万円増加し49,004百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は30.5%となり、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント向上いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末に比べて1,627百万円増加し、8,384百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は18,915百万円(前期は301百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益や売上債権及び契約資産の減少等による資金増加要因が、前払費用の増加等の資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,068百万円(前期は2,695百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は15,251百万円(前期は2,529百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の返済によるものであります。
③ 仕入、受注及び販売の状況
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 152,992 | △21.8 |
| コンピュータシステム関連事業 | 25,894 | 9.8 |
| 合計 | 178,887 | △18.4 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 129,360 | △21.4 | 71,511 | △41.0 |
| コンピュータシステム関連事業 | 46,411 | 38.7 | 44,958 | 25.3 |
| 合計 | 175,771 | △11.3 | 116,470 | △25.9 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高 (百万円) | 前期比 (%) |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 179,051 | △14.7 |
| コンピュータシステム関連事業 | 37,327 | 13.2 |
| 合計 | 216,379 | △10.9 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において行われる判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.収益の認識
当社グループの売上高は通常、注文書に基づき顧客に対して商品を引渡した時点、またはサービスが提供された時点で計上されます。なお、仕入先から顧客への商品直納販売については顧客受領時、預託在庫販売については顧客使用時、受託開発取引等検収確認が必要な取引については顧客検収完了時に計上されます。
b.貸倒引当金
当社グループは、顧客の債務不履行等により発生する損失の見込額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の支払能力低下による入金遅延が生じ、その後速やかに回収が見込まれない等の場合は、当該顧客への債権金額の50%以上引当金設定を行うことを原則としています。また、その他一定の信用悪化が認められた顧客に対する債権については個別に評価を行い、保守的な見積もりに基づく引当金設定を行う方針としています。
c.棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価について原則として原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。販売価格の低下や販売が困難と認められる棚卸資産については個別に簿価の切り下げを行う他、仕入日から一定期間を経過した棚卸資産が陳腐化したものと仮定し、期間の経過に応じ機械的に簿価の切り下げを行う等、早期に評価減を実施する方針としています。なお、期間の経過に応じた機械的な簿価切り下げ額は、当社グループが定めた商品の一般的なライフサイクル期間(5年~6年)での均等償却により算定していますが、当該期間よりも早く陳腐化等が進む棚卸資産が発生した場合は追加的な切り下げが必要となります。
d.固定資産の減損
当社グループは、減損会計の対象となる建物及び構築物、工具、器具及び備品、のれん、技術資産、顧客関連資産、ソフトウェア等を有しております。現状、減損損失の認識が必要な資産はありませんが、今後、受注状況や市場動向に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
有価証券等への投資につきましては、株式、ベンチャーキャピタルへの投資及びゴルフ会員権の保有があります。金融商品の投資価値の下落がその時点の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合には投資の減損又は貸倒引当金の計上を行っております。なお、将来の市況悪化等により、投資の減損又は貸倒引当金の計上が必要となる可能性があります。
e.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得の発生の可能性を毎決算期に見積もり、回収可能性を検討した上で計上しております。今後、業績の悪化等により繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性に懸念が生じた場合、繰延税金資産の取崩額が費用として計上される可能性があります。
なお、評価性引当額の設定は主に、関係会社株式評価損及びゴルフ会員権評価損及び貸倒引当金に対して行っております。
f.退職給付に係る負債又は資産
当社グループの退職給付に係る負債又は資産については、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待運用収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の業績に関し、半導体及び電子デバイス事業では中国市場の停滞やサプライチェーンにおける在庫調整の影響が長期化する中、車載向け半導体製品が顧客商権の拡大により堅調に推移し、ウェーハ検査装置事業も業績に貢献いたしました。しかしながら、産業機器向け半導体製品の販売減少に加え、通信機器向け及び民生機器向けも需要が低調であったことなどから、売上高は前期比で減少いたしました。また、半導体及び電子デバイス事業におけるプライベートブランド事業ではウェーハ検査装置の納入が本格化したことにより売上高は増加いたしましたが、産業機器向けの設計・量産受託サービスは低調に推移いたしました。コンピュータシステム関連事業ではデジタル変革の推進に伴うデータ量の急増やクラウド化の進展を背景に、クラウド移行やセキュリティ対策へのIT投資が引き続き堅調であり、当社の取り扱う製品類やサブスクリプション型ライセンスの販売が総じて好調に推移し、製品販売に付随する技術サービス及び保守・監視サービスの需要も拡大いたしました。以上の結果、グループ全体としては売上高216,379百万円(前期比10.9%減)、経常利益11,415百万円(前期比18.0%減)、経常利益率5.3%(前期は5.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益8,874百万円(前期比11.1%減)となり、ROE(株主資本利益率)については20.1%(前期は25.1%)となりました。
2025年3月期を最終年度とする中期経営計画「VISION2025」(2022年3月期が計画初年度)では、世界全体の経済成長率が逓減していく一方で高効率スマート社会(Society 5.0)の到来を事業環境として予測・想定し、デジタルトランスフォーメーションを実現する製品・サービスの提供によって社会の持続的な発展への貢献を当社グループのミッションとして掲げておりました。この計画のミッションを全うするためにもメーカー機能を持つ技術商社から技術商社機能を持つメーカーへの移行を推し進め、技術商社機能としては、データ・サービス・ストックビジネスを利益の源泉とするビジネスモデルを確立し、安定的な利益の基盤構築を図ってまいりました。また、メーカーへの移行に向け、当社グループでは以下の内容を重点ポイントとしておりました。
a.データサイエンス・画像処理・ロボティクスを駆使した モノづくりシステムメーカー
b.設計量産受託サービスで培われた技術に基づくODMメーカー
c.強力なシステム開発力・提案力を有する 設計開発部門
d.マスカスタマイゼーション対応の 高効率スマート工場
この中期経営計画に関しては、当初設定した以下の財務モデルである目標値を2023年3月期~2025年3月期までの3期連続で達成いたしました。
(2025年3月期を最終年度とした中期経営計画「VISION2025」における当初の財務モデル)
| VISION2025財務モデル (2025年3月期) | |||
| 売上高 | 200,000百万円±10% | ||
| (事業別構成比) | コンピュータシステム関連事業 | 20% | |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 70% | ||
| プライベートブランド事業 | 10% | ||
| 経常利益率 | >5% | ||
| (事業別経常利益率) | コンピュータシステム関連事業 | >13% | |
| 半導体及び電子デバイス事業 | >2% | ||
| プライベートブランド事業 | >10% | ||
| ROE(株主資本利益率) | >15% | ||
新たな中期経営計画「VISION2030」では、そのミッションとして「半導体やITを中心とする最先端テクノロジーを通して社会課題に向き合い、期待を超える価値を持つ解決策を提供することで、社会の持続的発展に貢献すること」を掲げており、持続的な社会課題に対峙し、顧客の期待を超える解決策を提供してまいります。また、VISIONとして「メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社」への進化を目指してまいります。中期経営計画「VISION2030」の対象となる2026年3月期からの向こう5年間において、メーカーと技術商社の両面を活かし、特にAI等の新たな課題に対応する取組みを強化してまいります。全社方針としては当社グループが持つ「メーカー」と「技術商社」の力により潜在的社会課題である顧客課題の解決を図るとともに、持続的な利益成長に資する行動を推進してまいります。
資本政策に関しては、持続的な成長への投資として、技術開発・事業拡大に向けた積極的な投資を行い、競争力の強化を目的とした社内DX・社外DXへの投資のほか、人材育成へも積極的な投資を行ってまいります。株主還元については業績に応じて実施するとともに、持続的な利益成長により企業価値向上を図っていくことで長期的な高リターンを目指してまいります。また、自己資本比率40%以上・ROE20%以上を目指し、適正な在庫水準を維持することで財務の健全性を高めてまいります。
これらに加え、サステナビリティにも注力し、社会の発展と企業価値向上を目指してまいります。
以上を踏まえた中期経営計画「VISION2030」にて設定する財務モデル及び事業ポートフォリオは次のとおりであり、目標とする経営指標の達成を目指してまいります。
(中期経営計画「VISION2030」の最終年度(2030年3月期)における財務モデル及び事業ポートフォリオ)
| VISION2030 (2030年3月期) | |||
| 売上高 | 300,000~350,000百万円 | ||
| (事業別構成比) | コンピュータシステム関連事業 | 15% | |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 75% | ||
| プライベートブランド事業 | 10% | ||
| 経常利益率 | ≧ 8% | ||
| (事業別経常利益率) | コンピュータシステム関連事業 | 12% | |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 7% | ||
| プライベートブランド事業 | 10% | ||
| ROE(株主資本利益率) | ≧ 20% | ||
2026年3月期の業績見通しについては、国内外の経済情勢が依然として不透明な状況が続く中、当社グループを取り巻く事業環境も不確実性が高いものであると認識しております。半導体及び電子デバイス事業では、在庫調整期間の長期化によってサプライチェーンにおける在庫水準の適正化が遅れていることなどから、2026年3月期の前半まで調整期間が続き、回復基調への転換は期の後半からになるものと想定しております。産業機器の市況は需要面での回復が見込まれるものの、顧客ごとに在庫状況のばらつきが見受けられます。また、車載機器の市況は長期的には自動車の電装化やソフト化を背景に高い成長が期待されますが、こちらも2026年3月期後半からの回復を見込んでおります。新規顧客の商権獲得も引き続き想定している一方で、半導体及び電子デバイス事業における受注の回復は第2四半期以降であり、売上高等の業績への寄与は第3四半期以降になると考えております。プライベートブランド事業についても、設計・量産受託サービス、検査装置ビジネスともに第3四半期以降の回復を想定しております。コンピュータシステム関連事業は、企業のIT投資がクラウド移行やセキュリティ対策を中心に堅調に推移すると予想されることから、引き続き底堅い業績を見込んでおります。
当社グループは、引き続きメーカー機能とサービス型ビジネスの強化に取り組み、業績回復に取り組んでまいります。
(2026年3月期における通期連結業績予想)
| 売上高 | 経常利益 | 経常利益率 |
| 200,000百万円 | 10,000百万円 | 5.0% |
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における主な資金需要は商品の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。その他、プライベートブランド事業におけるメーカー機能の強化を図るための設備投資や研究開発投資、M&A投資等があります。上記、運転資金については内部資金、銀行からの短期借入金、コマーシャル・ペーパーの発行及び売上債権の流動化により調達を行い、投資資金については内部資金及び銀行からの長期借入金により調達を行うことを基本としております。一方、銀行借入金の一部を長期固定金利契約とすることにより、金利変動リスクの軽減を図っております。
日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用する方針としております。なお、取引銀行6行と当座貸越契約(2025年3月31日現在、極度額合計60,841百万円)を締結しており、資金の流動性は十分確保されております。
今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。