有価証券報告書-第17期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における家電小売業界は、エアコンが年間を通じて好調に推移いたしました。また、高付加価値商品を中心に冷蔵庫、洗濯機などの販売が好調に推移いたしました。テレビにつきましても、4K対応商品の構成比が引き続き上昇していることと、国内メーカー製の有機ELテレビの発売や冬季オリンピック開催の影響もあり、好調に推移いたしました。一方、需要停滞の続くパソコンや、改正FIT法の規制の制約を受けた太陽光発電システムの販売は、低調に推移いたしました。
こうした中で当企業グループにおきましては、先駆的な試みである「蔦屋家電」などの積極的な出店を行ったほか、ネットとリアル店舗を融合させた利便性の高いECサイトを運営するべく「エディオンネットショップ」を4月にリニューアルオープンいたしました。また、eコマース事業の更なる強化を図るために、文具・日用品のeコマースサイトを運営する「フォーレスト株式会社」を8月に子会社化いたしました。そのほか、eコマース市場の拡大に伴い物流需要が高まっていることなどから、当社の強みである配送サービス事業の拡大を図るため、物流専門の子会社「株式会社e-ロジ」を3月に設立しており、平成31年3月期の営業開始を目指しております。
当連結会計年度の連結業績の概況につきましては、積極出店の効果や季節商品の牽引等により売上高は増収となりました。一方で、出店に係る経費が増加したことや、コスト高により物流費等が増加したこと、またECサイトリニューアルによる減価償却費が増加したことなどから、販売費及び一般管理費が増加しましたが、営業利益、経常利益については増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益については減益となりましたが、前連結会計年度の特殊要因であった、繰延税金資産の積み増しの影響58億86百万円を除くと増益基調と判断され、実質的には増収・増益という結果となりました。詳細につきましては以下の通りです。
連結業績の概況
平成29年3月期 | 平成30年3月期 | 増減額 | 前期比(%) | |
連結売上高(百万円) | 674,426 | 686,284 | 11,858 | 101.8 |
営業利益(百万円) | 15,273 | 15,378 | 105 | 100.7 |
経常利益(百万円) | 16,005 | 16,167 | 162 | 101.0 |
親会社株主に帰属する 当期純利益(百万円) | 13,118 | 8,944 | △4,174 | 68.2 |
<連結売上高>当連結会計年度の連結売上高は6,862億84百万円(前期比101.8%)となりました。これはECサイトリニューアルによってEC売上が一時的に減少し、またエディオン広島本店の建て替えによる一時的な閉鎖等の減収要因もありましたが、季節要因によるエアコンと高付加価値商品を中心とした洗濯機・クリーナー、冷蔵庫等の生活家電商品が伸長し、また4K対応商品を中心とするテレビも好調に推移したこと等によるものであります。
<営業利益>当連結会計年度の営業利益は153億78百万円(前期比100.7%)となりました。これは積極出店による経費(設備費、人件費など)や配送コスト全般の上昇により物流費が増加したこと、またECサイトリニューアルに伴いソフトウェアの減価償却費が増加したこと等により販売費及び一般管理費が増加したものの粗利率の高いエアコンや高付加価値商品の売上が伸長し、売上総利益率を押し上げたこと等によるものであります。
<経常利益>当連結会計年度の経常利益は161億67百万円(前期比101.0%)となりました。これは主に営業利益の増加によるものであります。
<親会社株主に帰属する当期純利益>当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は89億44百万円(前期比68.2%)となりました。これは主に減損損失が20億88百万円あったこと等によるものであります。
なお、商品分類別売上高は以下のとおりです。
商品分類別売上高
区分 | 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前期比 | ||
金額 (百万円) | 構成比(%) | 金額 (百万円) | 構成比(%) | (%) | |
家電 | |||||
テレビ | 44,500 | 6.6 | 45,954 | 6.7 | 103.3 |
ビデオ・カメラ | 28,675 | 4.3 | 26,503 | 3.9 | 92.4 |
オーディオ | 15,076 | 2.2 | 13,362 | 1.9 | 88.6 |
冷蔵庫 | 49,696 | 7.4 | 50,058 | 7.3 | 100.7 |
洗濯機・クリーナー | 65,004 | 9.6 | 66,742 | 9.7 | 102.7 |
電子レンジ・調理家電 | 37,708 | 5.6 | 35,988 | 5.3 | 95.4 |
理美容・健康器具 | 27,268 | 4.0 | 26,360 | 3.8 | 96.7 |
照明器具 | 8,738 | 1.3 | 8,121 | 1.2 | 92.9 |
エアコン | 64,968 | 9.6 | 69,377 | 10.1 | 106.8 |
その他空調機器 | 21,288 | 3.2 | 22,692 | 3.3 | 106.6 |
その他 | 20,455 | 3.0 | 20,243 | 3.0 | 99.0 |
小計 | 383,381 | 56.8 | 385,404 | 56.2 | 100.5 |
情報家電 | |||||
パソコン | 42,809 | 6.3 | 39,260 | 5.7 | 91.7 |
パソコン関連商品 | 42,500 | 6.3 | 44,119 | 6.4 | 103.8 |
携帯電話 | 60,476 | 9.0 | 63,949 | 9.3 | 105.7 |
その他 | 15,580 | 2.3 | 16,652 | 2.5 | 106.9 |
小計 | 161,366 | 23.9 | 163,981 | 23.9 | 101.6 |
その他 | |||||
ゲーム・玩具 | 22,644 | 3.4 | 26,976 | 3.9 | 119.1 |
音響ソフト・楽器 | 4,243 | 0.6 | 3,722 | 0.5 | 87.7 |
住宅設備 | 41,882 | 6.2 | 41,759 | 6.1 | 99.7 |
家電修理・工事収入 | 25,047 | 3.7 | 26,323 | 3.8 | 105.1 |
その他 | 35,860 | 5.4 | 38,115 | 5.6 | 106.3 |
小計 | 129,678 | 19.3 | 136,898 | 19.9 | 105.6 |
合計 | 674,426 | 100.0 | 686,284 | 100.0 | 101.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
連結財政状態
前連結会計年度末 | 当連結会計年度末 | 比較増減 | |
総資産(百万円) | 368,177 | 369,547 | 1,369 |
負債(百万円) | 216,664 | 200,541 | △16,122 |
純資産(百万円) | 151,512 | 169,005 | 17,492 |
自己資本比率(%) | 41.2 | 45.7 | 4.5 |
1株当たり純資産(円) | 1,558.86 | 1,535.84 | △23.02 |
有利子負債残高(百万円) | 67,872 | 58,542 | △9,329 |
総資産は、前連結会計年度末と比較し13億69百万円増加し、3,695億47百万円となりました。これは現金及び預金が減少したものの、商品及び製品の増加等に伴う流動資産の増加が66億82百万円あったことと、ECサイトリニューアル等による無形固定資産の増加したものの、一部建物、土地の売却があったことによる有形固定資産の減少等で、固定資産の減少が53億13百万円あったこと等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較し161億22百万円減少し、2,005億41百万円となりました。これは支払手形及び買掛金や短期借入金の増加等による流動負債の増加が62億42百万円あったことと、長期借入金の約定弁済や転換社債型新株予約権付社債の普通株式への転換等に伴う固定負債の減少が223億64百万円あったこと等によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較し174億92百万円増加し、1,690億5百万円となりました。これは、自己株式の取得が23億71百万円、配当金の支払に伴う減少が26億92百万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が89億44百万円、転換社債型新株予約権付社債の普通株式への転換により自己株式の処分が134億20百万円あったこと等によるものであります。
詳細は連結株主資本等変動計算書をご参照下さい。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の41.2%から当連結会計年度末は45.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 比較増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) | 19,333 | 21,553 | 2,219 |
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) | △13,484 | △8,944 | 4,540 |
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) | △8,168 | △14,308 | △6,140 |
現金及び現金同等物の増減額(百万円) | △2,319 | △1,699 | 619 |
現金及び現金同等物の期首残高(百万円) | 12,246 | 9,927 | △2,319 |
現金及び現金同等物の期末残高(百万円) | 9,927 | 8,227 | △1,699 |
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し16億99百万円減少し、82億27百万円(前期比82.9%)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は215億53百万円(前連結会計年度に得られた資金は193億33百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が135億22百万円、減価償却費が98億72百万円、減損損失が20億88百万円、たな卸資産の増加による資金の減少が49億60百万円、仕入債務の増加による資金の増加が11億78百万円、法人税等の支払額が42億67百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は89億44百万円(前連結会計年度に使用した資金は134億84百万円)となりました。これは、当連結会計年度中の新規出店と翌期以降の出店等に係る有形固定資産の取得による支出が79億95百万円、有形固定資産の売却による収入が62億28百万円、無形固定資産の取得による支出が21億7百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が20億78百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は143億8百万円(前連結会計年度に使用した資金は81億68百万円)となりました。これは、短期借入金の純増加額が40億60百万円、長期借入れによる収入が90億円、長期借入金の返済による支出が224億7百万円、自己株式の取得による支出が23億71百万円、配当金の支払額が24億45百万円あったこと等によるものであります。
(当企業グループのキャッシュ・フロー指標のトレンド)
第13期 平成26年3月期 | 第14期 平成27年3月期 | 第15期 平成28年3月期 | 第16期 平成29年3月期 | 第17期 平成30年3月期 | |
自己資本比率(%) | 38.0 | 39.5 | 39.4 | 41.2 | 45.7 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 16.5 | 25.7 | 23.4 | 27.0 | 36.9 |
債務償還年数(年) | 2.2 | - | 1.9 | 3.5 | 2.7 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | 51.7 | - | 60.0 | 40.9 | 51.7 |
自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.第14期の債務償還年数とインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(2) 資本の財源及び資金の流動性
①キャッシュ・フローの状況
当企業グループの資金状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
②資金需要
当企業グループの運転資金需要のうち主なものは、家庭電化商品等の仕入れのほか、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。営業費用の主なものは広告宣伝費、給料手当及び賞与、法定福利及び厚生費等の人件費のほか、水道光熱費、地代家賃及び修繕維持費等であります。
設備資金需要のうち主なものは、新規店舗出店に伴う建物及び工具、器具及び備品の取得のほか、差入保証金等であります。
③財務政策
当企業グループは、基本的に運転資金については、自己資金または短期借入金により調達しております。
これに対し設備資金については、自己資金、長期借入金及び転換社債型新株予約権付社債で調達しており、平成30年3月31日現在、1年内に返済予定のものを含む長期借入金の残高は527億75百万円であり金融機関からの借入によるものであります。また、転換社債型新株予約権付社債の残高は166億32百万円であります。
当企業グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当企業グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能と考えております。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。