有価証券報告書-第19期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における家電小売業界は、年度の前半は消費税率引上げ前の駆け込み需要に後押しされ、テレビや洗濯機、冷蔵庫などの高付加価値商品を中心に好調に推移しました。一方で、年度の後半は駆け込み需要の反動により全体的に売上が伸び悩むなど、大きく変動いたしました。
また、Windows7のサポート終了により買い換えが促進された事からパソコンの売上が大きく伸長しましたが、夏の天候不順や暖冬といった自然環境の影響により、エアコンを中心とした季節家電商品の売上が前年を下回る結果となりました。
こうした中で当企業グループにおきましては、「体験と体感」・「発見と感動」をテーマとした今まで以上にお客様にワクワク感や楽しさを提供できる新しいタイプの店舗として、大阪市に「エディオンなんば本店」、広島市に「エディオン広島本店」をそれぞれオープンいたしました。
一方で物流基盤とサービス体制の強化を図るため、全国でフリーペーパーや求人誌等の配送を行う株式会社ジェイトップを、またプログラミング教育事業の強化を図るため、全国でロボットプログラミング教室等の運営を行っている夢見る株式会社をそれぞれ子会社化いたしました。株式会社ジェイトップが持つ物流網と、夢見る株式会社が持つ教室運営ノウハウを、当社のビジネスに組み込む事で更なる事業拡大を目指してまいります。
当社は、今後も「お客様の豊かな暮らしを永続的に支える企業」として、様々な取り組みを行ってまいります。
連結業績の概況
2019年3月期 | 2020年3月期 | 増減額 | 前期比(%) | |
連結売上高(百万円) | 718,638 | 733,575 | 14,937 | 102.1 |
営業利益(百万円) | 17,842 | 12,284 | △5,558 | 68.8 |
経常利益(百万円) | 18,889 | 13,365 | △5,523 | 70.8 |
親会社株主に帰属する 当期純利益(百万円) | 11,642 | 10,977 | △664 | 94.3 |
<連結売上高>当連結会計年度の連結売上高は7,335億75百万円(前期比102.1%)となりました。これは、エアコンなどの季節家電商品が夏の天候不順や暖冬といった要因により伸び悩んだものの、消費税率引上げ前の駆け込み需要により、テレビや洗濯機、冷蔵庫など高付加価値商品を中心に好調に推移したことによるものであります。
<営業利益>当連結会計年度の営業利益は122億84百万円(前期比68.8%)となりました。これは「エディオンなんば本店」や「エディオン広島本店」といった大型店舗の出店により、広告宣伝費や設備費が増加したほか、物流費や倉庫料といった配送コスト全般の上昇、決済手段の多様化に伴う手数料の増加、携帯電話や高付加価値商品に対する販促策としてのポイント付与の増加により販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。
<経常利益>当連結会計年度の経常利益は133億65百万円(前期比70.8%)となりました。これは主に営業利益の減少によるものであります。
<親会社株主に帰属する当期純利益>当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は109億77百万円(前期比94.3%)となりました。これは主に固定資産売却益が13億63百万円、課徴金返還額が12億36百万円及び減損損失が18億38百万円あったこと等によるものであります。
なお、商品分類別売上高は以下のとおりです。
商品分類別売上高
区分 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比 | ||
金額 (百万円) | 構成比(%) | 金額 (百万円) | 構成比(%) | (%) | |
家電 | |||||
テレビ | 49,179 | 6.8 | 54,952 | 7.5 | 111.7 |
ビデオ・カメラ | 24,722 | 3.4 | 22,892 | 3.1 | 92.6 |
オーディオ | 13,351 | 1.9 | 13,584 | 1.9 | 101.7 |
冷蔵庫 | 53,214 | 7.4 | 56,709 | 7.7 | 106.6 |
洗濯機・クリーナー | 69,832 | 9.7 | 73,344 | 10.0 | 105.0 |
電子レンジ・調理家電 | 35,807 | 5.0 | 36,268 | 4.9 | 101.3 |
理美容・健康器具 | 26,292 | 3.7 | 25,716 | 3.5 | 97.8 |
照明器具 | 7,578 | 1.1 | 6,798 | 0.9 | 89.7 |
エアコン | 78,424 | 10.9 | 73,330 | 10.0 | 93.5 |
その他空調機器 | 22,250 | 3.1 | 20,332 | 2.8 | 91.4 |
その他 | 21,100 | 2.9 | 21,303 | 2.9 | 101.0 |
小計 | 401,754 | 55.9 | 405,234 | 55.2 | 100.9 |
情報家電 | |||||
パソコン | 40,165 | 5.6 | 50,346 | 6.9 | 125.4 |
パソコン関連商品 | 44,018 | 6.1 | 44,023 | 6.0 | 100.0 |
携帯電話 | 72,149 | 10.0 | 65,265 | 8.9 | 90.5 |
その他 | 16,897 | 2.4 | 16,215 | 2.2 | 96.0 |
小計 | 173,231 | 24.1 | 175,850 | 24.0 | 101.5 |
その他 | |||||
ゲーム・玩具 | 25,123 | 3.5 | 26,699 | 3.7 | 106.3 |
音響ソフト・楽器 | 3,363 | 0.5 | 3,113 | 0.4 | 92.6 |
住宅設備 | 45,755 | 6.4 | 51,496 | 7.0 | 112.6 |
家電修理・工事収入 | 29,001 | 4.0 | 29,483 | 4.0 | 101.7 |
その他 | 40,409 | 5.6 | 41,698 | 5.7 | 103.2 |
小計 | 143,652 | 20.0 | 152,491 | 20.8 | 106.2 |
合計 | 718,638 | 100.0 | 733,575 | 100.0 | 102.1 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
連結財政状態
前連結会計年度末 | 当連結会計年度末 | 比較増減 | |
総資産(百万円) | 355,947 | 350,024 | △5,923 |
負債(百万円) | 177,775 | 169,623 | △8,152 |
純資産(百万円) | 178,172 | 180,400 | 2,228 |
自己資本比率(%) | 50.1 | 51.5 | 1.4 |
1株当たり純資産(円) | 1,601.53 | 1,685.50 | 83.97 |
有利子負債残高(百万円) | 47,109 | 44,249 | △2,860 |
総資産は、前連結会計年度末と比較し59億23百万円減少し、3,500億24百万円となりました。これは在庫を大幅に圧縮した事により商品及び製品が54億円減少したものの、現預金が69億38百万円増加したこと等により流動資産が8億60百万円増加したため、また、株式会社ジェイトップ及び夢見る株式会社の連結子会社化に伴い無形固定資産(主にのれん)が25億40百万円増加したものの、土地や建物の売却等により有形固定資産が90億79百万円減少したこと等により固定資産が67億83百万円減少したためであります。
負債は、前連結会計年度末と比較し81億52百万円減少し、1,696億23百万円となりました。これは年度末の商材確保に伴い支払手形及び買掛金が32億94百万円増加したものの、未払法人税等が30億76百万円、未払消費税等が28億41百万円、流動負債のその他に含まれる未払金が34億9百万円それぞれ減少したこと等により流動負債が61億67百万円減少したため、また、長期借入金が23億10百万円減少したこと等により固定負債が19億84百万円減少したためであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較し22億28百万円増加し、1,804億円となりました。これは主に、剰余金の配当により39億18百万円、自己株式の取得により49億97百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により109億77百万円増加したためであります。
詳細は連結株主資本等変動計算書をご参照下さい。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の50.1%から当連結会計年度末は51.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 比較増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) | 28,304 | 25,278 | △3,025 |
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) | △12,419 | △5,559 | 6,859 |
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) | △15,077 | △12,780 | 2,296 |
現金及び現金同等物の増減額(百万円) | 808 | 6,938 | 6,130 |
現金及び現金同等物の期首残高(百万円) | 8,227 | 9,035 | 808 |
現金及び現金同等物の期末残高(百万円) | 9,035 | 15,974 | 6,938 |
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し69億38百万円増加し、159億74百万円(前期比176.8%)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は252億78百万円(前連結会計年度に得られた資金は283億4百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が135億6百万円、減価償却費が112億45百万円、減損損失が18億38百万円、売上債権の減少による資金の増加が31億30百万円、たな卸資産の減少による資金の増加が54億30百万円、仕入債務の増加による資金の増加が30億16百万円、法人税等の支払額が63億79百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は55億59百万円(前連結会計年度に使用した資金は124億19百万円)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が89億28百万円、有形固定資産の売却による収入が86億74百万円、無形固定資産の取得による支出が14億10百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が23億82百万円、差入保証金の差入による支出が19億70百万あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は127億80百万円(前連結会計年度に使用した資金は150億77百万円)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が29億51百万円、自己株式の取得による支出が49億97百万円、配当金の支払額が36億8百万円あったこと等によるものであります。
(当企業グループのキャッシュ・フロー指標のトレンド)
第15期 2016年3月期 | 第16期 2017年3月期 | 第17期 2018年3月期 | 第18期 2019年3月期 | 第19期 2020年3月期 | |
自己資本比率(%) | 39.4 | 41.2 | 45.7 | 50.1 | 51.5 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 23.4 | 27.0 | 36.9 | 30.2 | 27.3 |
債務償還年数(年) | 1.9 | 3.5 | 2.7 | 1.7 | 1.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | 60.0 | 40.9 | 51.7 | 96.6 | 105.5 |
自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当企業グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
また、経営者の問題認識と今後の方針については「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当企業グループのキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当企業グループの運転資金需要のうち主なものは、家庭電化商品等の仕入れのほか、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。営業費用の主なものは広告宣伝費、給料手当及び賞与、法定福利及び厚生費等の人件費のほか、水道光熱費、地代家賃及び修繕維持費等であります。
設備資金需要のうち主なものは、新規店舗出店に伴う建物及び工具、器具及び備品の取得のほか、差入保証金等であります。
当企業グループは、基本的に運転資金については、自己資金または短期借入金により調達しております。
これに対し設備資金については、自己資金、長期借入金及び転換社債型新株予約権付社債で調達しており、2020年3月31日現在、1年内に返済予定のものを含む長期借入金の残高は418億6百万円であり金融機関からの借入等によるものであります。また、転換社債型新株予約権付社債の残高は151億17百万円であります。
当企業グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当企業グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能と考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う影響として、当企業グループにおいては一部店舗での休業や営業時間の短縮、来店客数の減少などがあり、売上高の減少リスクが生じております。
当企業グループでは、こうした影響が翌第1四半期連結会計期間(2020年4月1日から2020年6月30日)まで継続し、その後緩やかに回復するとの仮定を置いて繰延税金資産の回収可能性の判断、のれん及び固定資産の減損テストの判定などの会計上の見積りを行っております。
また同じ仮定の下で通期連結業績予想の算出を行い、2020年5月14日に発表しております。
当該見積りは現時点で入手可能な情報に基づいた見積りではありますが、新型コロナウイルス感染症による経済環境への影響については不確定要素が多く、上記の仮定に変更が生じた場合には、当企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響については連結財務諸表「注記事項(追加情報)」をご参照ください。