有価証券報告書-第45期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 16:59
【資料】
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【項目】
130項目
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2)財政状態の状況
(単位:百万円)
平成29年3月期平成30年3月期増減額増減率
資産337,828337,257△570△0.2%
負債178,958177,819△1,139△0.6%
純資産158,870159,4385680.4%

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末比5億70百万円減少の3,372億57百万円となりました。これは主に、投資有価証券の増加が55億46百万円、アパートに設置している家具家電の交換を推進したこと等によるリース資産(純額)の増加が23億76百万円、現金及び預金の増加が21億11百万円あった一方、中期経営計画で財務戦略として掲げた保有資産の見直しの一環として自社所有物件を一括売却したこと等により、土地が167億50百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比11億39百万円減少の1,778億19百万円となりました。これは主に、グループ内貸付金の借換や子会社でのリース事業開始に伴う借入金の増加が50億77百万円、未払金の増加が32億71百万円、リース債務の増加が28億円あった一方、定期償還による社債の減少が39億66百万円、当連結会計年度において退職給付信託の設定を行ったこと等による退職給付に係る負債の減少が39億56百万円、工事未払金の減少が43億53百万円、一括売却した自社所有物件に係る過年度減損損失が税務上認容されたこと等による未払法人税等の減少が16億1百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比5億68百万円増加の1,594億38百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益148億19百万円を計上したものの、配当金の支払が56億75百万円、株主還元の充実を目的とした自己株式の取得が80億円あったことによるものであります。なお、自己資本比率は前連結会計年度末比0.2ポイント上昇し47.2%となりました。
(3)経営成績の状況
(単位:百万円)
平成29年3月期平成30年3月期増減額増減率
売上高520,488530,84010,3512.0%
営業利益22,89822,930310.1%
経常利益22,35522,354△0△0.0%
親会社株主に帰属する当期純利益20,40114,819△5,581△27.4%

当連結会計年度における国内経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善の動きがみられる中、緩やかな回復基調で推移いたしました。
貸家の新設着工戸数は、相続税対策需要の一巡やアパートローンの融資環境変化に伴い、3年ぶりの減少(前年度比4.0%減)となりました。わが国の賃貸住宅市場においては、空家数の増加が続いており、全国的な需要回復が難しい中で安定した入居率を確保するには、将来的にも高い入居率が見込めるエリアへの重点的な物件供給、付加価値サービスの提供による差別化戦略が求められております。
このような状況の中、当社グループは、平成29年度から3ヶ年の中期経営計画「Creative Evolution 2020」を策定いたしました。「企業価値の更なる向上に資するコア事業の継続的成長と成長分野の基盤構築」を基本方針とし、企業価値と新たな社会価値の創造を取り組んでおります。
① 売上高
売上高は、前連結会計年度比103億51百万円(2.0%)増加の5,308億40百万円となりました。これは主に、開発事業では前連結会計年度の実績を下回ったものの、入居率改善により賃貸事業売上高が前連結会計年度比141億95百万円(3.4%)増加の4,355億37百万円となり、全体を牽引したことによるものであります。
② 売上総利益
売上総利益は、前連結会計年度比34億9百万円(3.7%)増加の960億77百万円、売上総利益率は18.1%(前連結会計年度比0.3ポイント上昇)となりました。これは主に、賃貸事業の収支改善により同事業の売上総利益が前連結会計年度比61億61百万円(8.8%)増加の762億75百万円となったことによるものであります。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度比31百万円(0.1%)増加の229億30百万円となりました。これは主に、当連結会計年度に開発が完了した情報システム(ソフトウエア)の減価償却費の増加等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比33億77百万円増加し、売上総利益の増加がほぼ相殺されたことによるものであります。なお、売上高営業利益率は4.3%(前連結会計年度比0.1ポイント低下)となりました。
④ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度比0百万円(0.0%)減少の223億54百万円となりました。これは主に、営業利益・営業外収支ともに概ね前連結会計年度並みであったことによるものであります。なお、売上高経常利益率は4.2%(前連結会計年度比0.1ポイント低下)となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比55億81百万円(27.4%)減少の148億19百万円となりました。これは主に、自社所有物件の一括売却等に伴い減損損失を75億94百万円計上したことによるものであります。なお、1株当たり当期純利益は58.02円(前連結会計年度比19.59円減少)となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
(セグメントの業績)
当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前期比の数値を変更後の報告セグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(単位:百万円)
売上高営業利益
前期当期増減額前期当期増減額
賃貸事業421,342435,53714,19523,00926,0623,052
開発事業80,32176,587△3,7345,7863,663△2,123
シルバー事業11,53612,8071,270△1,667△1,59671
ホテルリゾート・その他事業7,2875,908△1,379△417△846△428
調整額---△3,812△4,353△540
合計520,488530,84010,35122,89822,93031

① 賃貸事業
賃貸事業においては、AIスピーカーを搭載したスマートステーション端末の標準装備などのIoTを活用したスマートアパート化の推進、入居する部屋を自分好みにアレンジできる「my DIY」、大幅に機能を拡充したインターネットサービス「LEONET」、大手警備保障会社と提携したセキュリティサービスなど豊富な付加価値を提供するとともに、法人の寮社宅需要の取り込み、外国人入居者サポート体制の充実等により安定した入居率の確保を図っております。また、ASEAN地域において、サービスアパートメント・オフィス等の開発・運営を行っております。
入居率については、企業が採用活動を積極的に行うなか、寮社宅需要を的確に捉えたことにより、当連結会計年度末の入居率は93.72%(前期末比+2.06ポイント)、期中平均入居率は90.59%(前期比+2.06ポイント)となりました。また、当連結会計年度末の管理戸数は570千戸(前期末比1千戸増)、直営店舗数は189店(前期末比増減なし)、パートナーズ店舗数は118店(前期末比1店舗減)といたしました。
これらの結果、売上高は4,355億37百万円(前連結会計年度比3.4%増)、営業利益は260億62百万円(前連結会計年度比13.3%増)となりました。
② 開発事業
開発事業においては、人口流入が続き、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏に絞った受注活動、高品質かつ最先端の戦略商品投入、競争力強化と入居者イメージの一新を図る新ブランドの展開、理想の土地活用を実現する建築バリエーションの拡大、商品価格や仕入ルートの見直し等による採算性の向上に取り組んでおります。
また、子会社のライフリビング株式会社はマンション等の開発事業、株式会社もりぞうは木曾ひのきを用いた戸建注文住宅の建築請負事業を展開しております。
建築請負事業においては、大都市圏での競争激化やアパートローンの融資環境変化等により受注が低迷した結果、当連結会計年度の総受注高は759億5百万円(前連結会計年度比13.3%減)、当連結会計年度末の受注残高は639億66百万円(前連結会計年度末比5.1%減)となりました。
一方、ライフリビング株式会社を通じた不動産開発や都内の賃貸マンション「LOVIE」と対象とした不動産特定共同事業商品の募集及び販売は好調に推移いたしました。
これらの結果、売上高は765億87百万円(前連結会計年度比4.6%減)、営業利益は36億63百万円(前連結会計年度比36.7%減)となりました。
③ シルバー事業
成長戦略事業であるシルバー事業は、既存施設の稼働率が上昇し始めたことにより全体の採算性が改善し、中期経営計画の最終年度での黒字化に向けて順調に推移いたしました。
これらの結果、売上高は128億7百万円(前連結会計年度比11.0%増)、営業損失は15億96百万円(前連結会計年度比71百万円改善)となりました。
④ ホテルリゾート・その他事業
グアムリゾート施設については、前期におけるウェスティンリゾートグアムの売却、北朝鮮によるミサイル発射報道によるグアム渡航者数減少の影響を大きく受けて減収減益となりました。国内ホテル事業及びファイナンス事業は、概ね堅調に推移しております。
これらの結果、売上高は59億8百万円(前連結会計年度比18.9%減)、営業損失は8億46百万円(前連結会計年度比4億28百万円損失増加)となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
開発事業(百万円)55,201△3.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。なお、前年同期比の数値については、変更後のセグメントに組み替えて算出しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称総受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
開発事業75,905△13.363,966△5.1

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。なお、前年同期比の数値については、変更後のセグメントに組み替えて算出しております。
4.上記以外の事業につきましては、受注の形態を取っておりませんので記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
賃貸事業(百万円)435,5373.4
開発事業(百万円)76,587△4.6
シルバー事業(百万円)12,80711.0
ホテルリゾート・その他事業(百万円)5,908△18.9
合計(百万円)530,8402.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループの相手先は不特定の法人・個人であるため、主要な販売先の記載は省略しております。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
4.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。なお、前年同期比の数値については、変更後のセグメントに組み替えて算出しております。
(目標とする経営指標の達成状況等)
当社グループは、中期経営計画の最終年度である平成32年3月期において、「ROIC 8%~10%」「調整後ROE 12%維持」「自己資本比率 最低40%」「調整後EPS成長率 10%前後」を確保することを主要な経営指標目標として定めております。
当連結会計年度における達成状況は次のとおりであります。
平成30年3月期 実績
ROIC(投下資本利益率)※17.5%
調整後ROE ※29.0%
自己資本比率47.3%
調整後EPS成長率 ※34.7%

※1 ROIC(投下資本利益率)……税引き後営業利益(NOPLAT)/(有利子負債+純資産)
※2 調整後ROE ……………………(当期純利益+法人税等調整額)/期首期末平均純資産
※3 調整後EPS ……………………(税引き後経常利益+のれん償却費)/発行済株式数
(4)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
平成29年3月期平成30年3月期増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー27,50427,338△165
投資活動によるキャッシュ・フロー△8,653△2,3366,316
財務活動によるキャッシュ・フロー△14,048△18,354△4,306
現金及び現金同等物残高91,76698,2466,480

営業活動によるキャッシュ・フローは、273億38百万円の収入(前連結会計年度比1億65百万円の収入減少)となりました。これは主に、退職給付信託の設定等により退職給付に係る負債の減少額が37億86百万円、法人税等の支払額が19億2百万円となった一方、税金等調整前当期純利益が151億50百万円、減価償却費が117億26百万円、自社所有物件の一括売却等に伴う減損損失が75億94百万円となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△23億36百万円の支出(前連結会計年度比63億16百万円の支出減少)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が141億21百万円、定期預金の払戻による収入が54億86百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出が112億18百万円、投資有価証券の取得による支出が59億66百万円あったことによるものであります。
なお、有形固定資産取得の主な内訳は、国内での賃貸用不動産への投資25億95百万円、ASEAN諸国でのサービスアパートメント・オフィスへの投資10億22百万円、ホテルリゾート事業に係る設備投資42億99百万円であり、有形固定資産売却の主な内訳は、中期経営計画で財務戦略として掲げた保有資産の見直しに伴う自社所有物件の売却140億78百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、183億54百万円の支出(前連結会計年度比61億48百万円の支出増加)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が80億円、配当金の支払が56億75百万円、リース債務の返済が49億53百万円あったことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は982億46百万円となり、前連結会計年度末比64億80百万円増加いたしました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループでは、財務戦略の基本方針として「資産と資本の効率経営」の推進を掲げ、低効率資産の売却を進めております。当連結会計年度においては、自社社有アパート420棟の売却を実施いたしました。
一方で、営業キャッシュ・フローと資産売却によるキャッシュ・フローを成長投資(設備投資及びM&A)と株主還元に積極的に活用していく方針であります。当連結会計年度においては、国内外での賃貸用不動産取得による保有資産の入替え、国際事業部門におけるM&Aのほか、80億円の自社株買いによる株主還元を実施いたしました。
また、当連結会計年度において、当社グループの資金効率化を鑑み、グループ内での貸付金の借換資金として40億円、グループ内でのリース事業開始に伴う資金として14億円を金融機関からの借入により調達しております。
資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は982億46百万円、フリーキャッシュ・フローは250億1百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。
キャッシュ・フロー指標の推移は次のとおりであります。
平成26年3月期平成27年3月期平成28年3月期平成29年3月期平成30年3月期
自己資本比率(%)35.940.444.247.047.2
時価ベースの自己資本比率(%)45.253.554.644.766.3
キャッシュ・フロー対有利子負債
比率(年)
2.42.82.31.82.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ
(倍)
9.813.823.639.838.2

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算しております。
(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。