有価証券報告書-第48期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 15:00
【資料】
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【項目】
157項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況及び分析の内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況及び分析
(単位:百万円)
2020年3月期2021年3月期増減額増減率
売上高433,553408,959△24,594△5.7%
営業損失(△)△36,473△29,1827,290-%
経常損失(△)△36,341△34,1702,171-%
親会社株主に帰属する当期純損失(△)△80,224△23,68056,543-%

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた緊急事態宣言発令や外出自粛要請等の影響により個人消費が低迷し企業収益が急激に悪化する中、一部に持ち直しの動きがみられるものの、依然として厳しい状況で推移いたしました。
また、貸家の新設着工戸数は、金融機関による融資条件の厳格化等に伴い、4年連続の減少(前年度比9.4%減)となりました。また、賃貸住宅市場においては、空家数の増加が続いており、全国的な需要回復は難しい中で安定した入居率を確保するには、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏を中心とした物件供給、高付加価値サービスの提供による差別化戦略が重要と考えております。
このような状況の中、当社グループは、前連結会計年度において施工不備問題に伴う入居率の悪化を主因として2期連続の大幅な赤字決算となったことを受け、2020年6月5日に公表した「抜本的な事業戦略再構築の検討結果を踏まえた構造改革の実施について」で掲げた方針を継続し、選択と集中により中核事業である賃貸事業に経営資源を投入するとともに、抜本的な体質改善のための構造改革を継続し、事業面及び財務面での安定化、持続的な収支の改善に取り組んでまいりました。
補修工事並びに入居者の募集再開を進め、業績は回復基調に転じておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したため、賃貸事業の主要顧客である法人企業の異動抑制や採用数の減少、大学におけるオンライン授業の普及や外国籍の方の入国制限等により新規入居需要が低迷したことにより、3期連続の赤字決算となりました。
① 売上高
売上高は、前連結会計年度比24,594百万円(5.7%)減少の408,959百万円となりました。これは主に、期中2度にわたる緊急事態宣言の発動など、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したことにより、賃貸事業の主要顧客である法人企業の異動抑制や採用数の減少、大学におけるオンライン授業の普及や外国籍の方の入国制限等による新規入居需要の低迷により、賃貸事業売上高が前連結会計年度比20,781百万円(5.0%)減少の391,964百万円となったことによるものであります。
② 売上総利益
売上総利益は、前連結会計年度比4,355百万円(17.1%)減少の21,086百万円、売上総利益率は5.2%(前連結会計年度比0.7ポイント低下)となりました。これは主に、原価削減や空室損失引当金の戻入等により、売上原価は前連結会計年度比20,239百万円減少したものの、賃貸事業の入居率低下に伴う売上高の減少がそれを上回ったことによるものであります。
③ 営業損失
営業損失は、29,182百万円(前連結会計年度比7,290百万円改善)となりました。これは主に、希望退職の実施による従業員の減少やコスト管理の徹底等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比11,645百万円(18.8%)減少したものの、売上総利益の減少を抑えるには至らなかったことによるものであります。なお、売上高営業利益率は△7.1%(前連結会計年度比1.3ポイント改善)となりました。
④ 経常損失
経常損失は、営業損失の計上に伴い、34,170百万円(前連結会計年度比2,171百万円改善)となりました。これは主に、当連結会計年度において実施した資金調達に伴い、支払利息2,171百万円、資金調達費用2,904百万円を計上したことによるものであります。なお、売上高経常利益率は△8.4%(前連結会計年度比0.0ポイント改善)となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純損失
親会社株主に帰属する当期純損失は、23,680百万円(前連結会計年度比56,543百万円改善)となりました。これは主に、一括発注や工法変更により工事単価が低減したこと等に伴う補修工事関連損失引当金戻入額15,374百万円の計上、投資有価証券売却益4,065百万円の計上があったものの、固定資産及びのれんの減損損失4,041百万円、希望退職の実施に伴う退職特別加算金2,479百万円を特別損失に計上したこと等によるものです。
なお、1株当たり当期純損失は84.88円(前連結会計年度比243.89円改善)となりました。
(セグメント別の経営成績の状況及び分析)
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(単位:百万円)
売上高営業利益
前期当期増減額前期当期増減額
賃貸事業412,746391,964△20,781△25,966△19,3856,580
シルバー事業14,62014,524△96△541△720△179
その他事業6,1862,469△3,716△994△1,551△557
調整額---△8,971△7,5241,446
合計433,553408,959△24,594△36,473△29,1827,290

① 賃貸事業
賃貸事業においては、部屋を自分好みに変えられる「my DIY」、スマートフォンでの家電操作や施錠が可能なスマートアパート化の推進、WEB上での接客・内見・契約といったリモート化への対応、大手警備保障会社との提携によるセキュリティサービスなど豊富な付加価値を提供するとともに、法人の寮社宅需要の取り込み、外国人入居者サポート体制の充実等により安定した入居率の確保を図っております。また、ASEAN諸国の子会社において、サービスアパートメント・オフィス等の運営を行っております。
入居率については、施工不備問題の影響は解消傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、当社の主要顧客である法人企業を中心に入居需要が低迷したこと等により、当連結会計年度末の入居率は81.72%(前期末比△1.35ポイント)、期中平均入居率は78.89%(前期比△1.89ポイント)と当初計画を大きく下回る結果となりました。なお、当連結会計年度末の管理戸数は573千戸(前期末比2千戸減)となりました。
また、リモート契約の推進や仲介業者の積極活用等による営業効率と生産性の向上に努めており、当連結会計年度末の直営店舗数は139店(前期末比50店舗減)といたしました。
アパート等の受注状況については、大都市圏での競争激化やアパートローンの融資環境変化等に加え、界壁等の施工不備問題を背景に新規受注を停止していることから、当連結会計年度の総受注高は5,927百万円(前連結会計年度比24.1%減)、当連結会計年度末の受注残高は9,651百万円(前連結会計年度末比65.2%減)となりました。
これらの結果、売上高は391,964百万円(前連結会計年度比5.0%減)、営業損失は19,385百万円(前連結会計年度比6,580百万円改善)となりました。
② シルバー事業
戦略事業であるシルバー事業は、継続的なオペレーション改善により原価抑制に努めておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを懸念した介護サービス利用者の減少等により、売上高14,524百万円(前連結会計年度比0.7%減)、営業損失720百万円(前連結会計年度比179百万円損失増加)となりました。なお、当連結会計年度末の施設数は87施設となっております。
③ その他事業
グアムリゾート施設の運営、ファイナンス事業等を行っているその他事業は、新型コロナウイルス感染症拡大によるグアムリゾート施設の稼働率大幅低下に加え、国内ホテルの売却等による事業縮小に伴い、売上高2,469百万円(前連結会計年度比60.1%減)、営業損失1,551百万円(前連結会計年度比557百万円損失増加)となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
賃貸事業(百万円)13,603△29.9

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.生産実績の著しい変動は、金融機関のローン審査厳格化や施工不備問題に伴う新規受注停止により生産活動が低迷したことによるものであります。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称総受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
賃貸事業5,927△24.19,651△65.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.上記以外の事業につきましては、受注の形態を取っておりませんので記載しておりません。
4.受注実績の著しい変動は、金融機関のローン審査厳格化や施工不備問題に伴う新規受注停止によるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
賃貸事業(百万円)391,964△5.0
シルバー事業(百万円)14,524△0.7
その他事業(百万円)2,469△60.1
合計(百万円)408,959△5.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループの相手先は不特定の法人・個人であるため、主要な販売先の記載は省略しております。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
4.その他事業の販売実績の著しい変動は、新型コロナウイルス感染症拡大によるグアムリゾート施設の稼働率大幅低下や国内ホテルの売却等による事業縮小に加え、連結子会社であった株式会社ウイングメイトを清算して連結の範囲から除外したことによるものであります。
(2)財政状態の状況及び分析
(単位:百万円)
2020年3月期2021年3月期増減額増減率
資産196,953161,708△35,244△17.9%
負債195,363158,431△36,932△18.9%
純資産1,5893,2771,687106.2%

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末比35,244百万円減少の161,708百万円となりました。これは主に、業績の悪化や補修工事関連費用の支払等により現金及び預金が5,638百万円、仕掛販売用不動産が2,447百万円、事業資金の安定的な確保を目的とした保有株式の売却等により有価証券及び投資有価証券が8,583百万円、前払費用及び長期前払費用が2,105百万円、賃貸用不動産の売却や減損損失の計上等により、土地が5,774百万円、建物及び構築物(純額)が4,306百万円、リース資産(純額)が3,691百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比36,932百万円減少の158,431百万円となりました。これは主に、アパートのマンスリー契約の減少により前受金及び長期前受金が5,340百万円、コスト削減により未払金が5,341百万円、一括発注や工法変更で工事単価が減少したこと等により補修工事関連損失引当金が22,738百万円、賃貸原価の圧縮による物件収支の改善を見込んでいることにより空室損失引当金が3,644百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比1,687百万円増加の3,277百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失23,680百万円を計上したものの、第三者割当による新株式の発行並びに連結子会社における優先株式の発行を実施したこと等により、資本金が5,999百万円、資本剰余金が10,026百万円、非支配株主持分が11,366百万円増加したことによるものであります。なお、自己資本比率は前連結会計年度末比6.0ポイント下落し△5.3%となりました。
上記の通り、施工不備に起因した業績悪化並びに新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したことにより純資産が大きく毀損する結果となりましたが、事業計画で掲げた構造改革を断行し、賃貸事業の収益力を強化することにより純資産の改善に努めてまいります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
2020年3月期2021年3月期増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー△51,639△40,81610,823
投資活動によるキャッシュ・フロー39,53311,829△27,704
財務活動によるキャッシュ・フロー△12,04823,57135,619
現金及び現金同等物残高58,91653,346△5,570

営業活動によるキャッシュ・フローは、40,816百万円の支出(前連結会計年度比10,823百万円の支出減少)となりました。これは主に、減価償却費が10,416百万円、減損損失が4,041百万円となった一方、税金等調整前当期純損失が22,925百万円、補修工事関連損失引当金戻入額が15,374百万円、仕入債務の減少額が5,861百万円、前受金の減少額が5,327百万円、補修工事関連支払額が8,313百万円となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、11,829百万円の収入(前連結会計年度比27,704百万円の収入減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が2,328百万円となった一方、有形固定資産の売却による収入が4,167百万円、有価証券の償還による収入が5,600百万円、投資有価証券の売却による収入が4,341百万円あったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、23,571百万円の収入(前連結会計年度は12,048百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が17,790百万円、社債の償還による支出が8,103百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出が4,181百万円、資金調達による支出が2,868百万円となった一方、長期借入れによる収入が30,234百万円、株式の発行による収入が11,999百万円、非支配株主からの払込みによる収入が15,000百万円あったことによるものであります。
資金の流動性につきましては、賃貸事業における入居率改善の遅れや多額の補修工事費用の支払等により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は53,346百万円(前連結会計年度末比5,570百万円減少)、フリーキャッシュ・フローは△28,986百万円(前連結会計年度末比16,880百万円減少)となりましたが、当面の事業継続を行うための十分な資金を有しております。
当連結会計年度においては、施工不備に係る補修工事費用、既存借入金の返済及び社債償還といった資金需要に対応するため、第三者割当増資、新株予約権付ローンによる資金調達並びに連結子会社である株式会社レオパレス・パワーにおける優先株式の発行により資金調達を行いました。翌期以降については、入居率を向上させるとともに原価削減を徹底することにより、事業活動に必要な資金の安定的な確保と流動性の維持に努め、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を引き続き確保してまいります。
キャッシュ・フロー指標の推移は次のとおりであります。
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
自己資本比率(%)47.047.227.70.7△5.3
時価ベースの自己資本比率(%)44.766.318.533.031.1
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)1.82.0---
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)39.838.2---

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算しております。
(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
(注4)2019年3月期、2020年3月期及び2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。