有価証券報告書-第46期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/28 14:30
【資料】
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【項目】
171項目
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2)財政状態の状況
(単位:百万円)
2018年3月期2019年3月期増減額増減率
資産337,134291,790△45,344△13.4%
負債177,696210,45232,75618.4%
純資産159,43881,338△78,100△49.0%

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比45,344百万円減少の291,790百万円となりました。これは主に、不動産事業の強化による仕掛販売用不動産の増加が2,982百万円、アパートに設置している家具家電の交換を推進したこと等による有形固定資産その他(純額)の増加が3,847百万円あった一方、現金及び預金の減少が22,007百万円、リース資産(純額)の減少が4,296百万円、繰延税金資産の減少が2,989百万円、中期経営計画の財務戦略実現に向けた自社所有アパートの売却等による土地の減少が14,416百万円、建物及び構築物(純額)の減少が2,163百万円あったことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比32,756百万円増加の210,452百万円となりました。これは主に、入居者募集停止に伴うアパートのマンスリー利用減少等による前受金及び長期前受金の減少が9,313百万円、未払金の減少が7,415百万円、短期及び長期リース債務の減少が4,364百万円、定期償還による社債の減少が3,966百万円、工事未払金の減少が3,117百万円あった一方、界壁等の施工不備問題の発生に伴い補修工事関連損失引当金を50,707百万円計上するとともに、空室損失引当金を9,684百万円繰入したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比78,100百万円減少の81,338百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上68,662百万円、配当金の支払3,025百万円、自己株式の消却による利益剰余金の減少4,787百万円によるものであります。なお、自己資本比率は前連結会計年度末比19.5ポイント下落し27.7%となりました。
(3)経営成績の状況
(単位:百万円)
2018年3月期2019年3月期増減額増減率
売上高530,840505,223△25,616△4.8%
営業利益22,9307,390△15,539△67.8%
経常利益22,3547,063△15,291△68.4%
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)14,819△68,662△83,481-%

当連結会計年度における国内経済は、企業業績の一部に弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善が続く中、緩やかな回復基調で推移いたしました。
貸家の新設着工戸数は、相続税対策需要の一巡やアパートローン審査の厳格化に伴い、2年連続の減少(前年度比4.9%減)となりました。わが国の賃貸住宅市場においては、空家数の増加が続いており、全国的な需要回復は難しい中で安定した入居率を確保するには、将来的にも高い入居率が見込めるエリアへの重点的な物件供給や当社独自の強みを活かした付加価値サービスの提供による差別化戦略が重要と考えております。
このような状況の中、当社グループは、中期経営計画「Creative Evolution 2020」の目標達成に向けて、「企業価値の更なる向上に資するコア事業の継続的成長と成長分野の基盤構築」を基本方針とし、企業価値と新たな社会価値の創造に取り組むとともに、界壁等の施工不備問題の早期解決に向け、全社を挙げて調査及び補修工事を進めております。
① 売上高
売上高は、前連結会計年度比25,616百万円(4.8%)減少の505,223百万円となりました。これは主に、界壁等の施工不備問題の発生を受けて建築請負工事の受注が低迷したことにより、開発事業売上高が前連結会計年度比17,595百万円(23.0%)減少の58,992百万円、施工不備の調査と補修工事完了まで入居者の募集を停止している影響により、賃貸事業売上高が前連結会計年度比9,148百万円(2.1%)減少の426,388百万円となったことによるものであります。
② 売上総利益
売上総利益は、前連結会計年度比19,842百万円(20.7%)減少の76,235百万円、売上総利益率は15.1%(前連結会計年度比3.0ポイント低下)となりました。これは主に、賃貸事業の入居率低下に伴う売上総利益率の低下によるものであります。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度比15,539百万円(67.8%)減少の7,390百万円となりました。これは主に、コスト削減等により販売費及び一般管理費が前連結会計年度比4,302百万円(5.9%)減少したものの、売上総利益の減少を抑えるには至らなかったことによるものであります。なお、売上高営業利益率は1.5%(前連結会計年度比2.8ポイント低下)となりました。
④ 経常利益
経常利益は、営業利益の減少に伴い、前連結会計年度比15,291百万円(68.4%)減少の7,063百万円となりました。なお、売上高経常利益率は1.4%(前連結会計年度比2.8ポイント低下)となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純損失
親会社株主に帰属する当期純損失は、68,662百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益14,819百万円)となりました。これは主に、界壁等の施工不備に係る補修工事費用及び付帯費用の見積額等54,786百万円、空室損失引当金繰入額9,684百万円及び中期経営計画の財務戦略実現に向けた自社所有アパート売却に伴う減損損失7,560百万円を特別損失に計上したことによるものであります。なお、1株当たり当期純損失は278.58円(前連結会計年度は1株当たり当期純利益58.02円)となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
(セグメントの業績)
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
売上高営業利益
前期当期増減額前期当期増減額
賃貸事業435,537426,388△9,14826,06214,987△11,074
開発事業76,58758,992△17,5953,663△995△4,659
シルバー事業12,80713,9221,115△1,596△846749
ホテルリゾート・その他事業5,9085,91911△846△1,346△500
調整額---△4,353△4,407△54
合計530,840505,223△25,61622,9307,390△15,539

① 賃貸事業
賃貸事業においては、壁紙一面を無料で自分好みにカスタマイズできる「my DIY」、スマートフォンで遠隔からの家電操作や施錠などが可能なスマートアパート化の推進、業界初となる賃貸契約の電子化、大手警備会社との提携によるセキュリティシステムなど豊富な付加価値を提供するとともに、法人の寮社宅需要の取り込み、外国人入居者サポート体制の充実等により安定した入居率の確保を図っております。また、ASEAN諸国の子会社において、サービスアパートメント・オフィス等の開発・運営を行っております。
入居率については、施工不備の調査と補修工事完了まで対象物件の入居者募集を停止している影響により、当連結会計年度末の入居率は84.33%(前期末比△9.39ポイント)、期中平均入居率は88.34%(前期比△2.25ポイント)となりました。なお、当連結会計年度末の管理戸数は574千戸(前期末比4千戸増)となりました。
これらの結果、売上高は426,388百万円(前連結会計年度比2.1%減)、営業利益は14,987百万円(前連結会計年度比42.5%減)となりました。
② 開発事業
開発事業においては、人口流入が続き、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏に絞った受注活動、高品質かつ最先端の戦略商品投入、理想の土地活用を実現する建築バリエーションの拡大、商品価格や仕入ルートの見直し等による採算性の向上に取り組んでおります。
また、子会社のライフリビング株式会社はマンション等の開発事業、株式会社もりぞうは木曾ひのきを用いた戸建注文住宅の建築請負事業を展開しております。
受注状況については、大都市圏での競争激化やアパートローン審査の厳格化等により受注が低迷した結果、当連結会計年度の総受注高は64,495百万円(前連結会計年度比15.0%減)、当連結会計年度末の受注残高は62,367百万円(前連結会計年度末比2.5%減)となりました。
これらの結果、売上高は58,992百万円(前連結会計年度比23.0%減)、営業損失は995百万円(前連結会計年度は営業利益3,663百万円)となりました。
③ シルバー事業
成長戦略事業であるシルバー事業は、既存施設の稼働率が上昇し始めたことにより全体の採算性が改善し、中期経営計画の最終年度での黒字化に向けて順調に推移いたしました。
当期においては、新たに4施設を開所し、当連結会計年度末の施設数は87施設となりました。
これらの結果、売上高は13,922百万円(前連結会計年度比8.7%増)、営業損失は846百万円(前連結会計年度比749百万円改善)となりました。
④ ホテルリゾート・その他事業
グアムリゾート施設や国内ホテルの運営、旅行事業、ファイナンス事業等を行っているホテルリゾート・その他事業は、売上高は5,919百万円(前連結会計年度比0.2%増)、営業損失は1,346百万円(前連結会計年度比500百万円損失増加)となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
開発事業(百万円)44,597△19.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称総受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
開発事業64,495△15.062,367△2.5

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.上記以外の事業につきましては、受注の形態を取っておりませんので記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
賃貸事業(百万円)426,388△2.1
開発事業(百万円)58,992△23.0
シルバー事業(百万円)13,9228.7
ホテルリゾート・その他事業(百万円)5,9190.2
合計(百万円)505,223△4.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社グループの相手先は不特定の法人・個人であるため、主要な販売先の記載は省略しております。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(目標とする経営指標の達成状況等)
当社グループは、中期経営計画の最終年度である2020年3月期において、「ROIC 8%~10%」「調整後ROE 12%維持」「自己資本比率 最低40%」「調整後EPS成長率 10%前後」を確保することを主要な経営指標目標として定めておりました。
当連結会計年度における達成状況は次のとおりであります。
2019年3月期 実績
ROIC(投下資本利益率)※13.0%
調整後ROE ※2△54.4%
自己資本比率27.7%
調整後EPS成長率 ※3△64.8%

※1 ROIC(投下資本利益率)……税引き後営業利益(NOPLAT)/(有利子負債+純資産)
※2 調整後ROE ……………………(当期純利益+法人税等調整額)/期首期末平均純資産
※3 調整後EPS ……………………(税引き後経常利益+のれん償却費)/発行済株式数
当連結会計年度においては、当社施工物件で判明した界壁等の施工不備により、多額の特別損失ならびに親会社株主に帰属する当期純損失を計上する結果となったため、上記のとおり、中期経営計画で定めた目標とする経営指標を大幅に下回る結果となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2018年3月期2019年3月期増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー27,338△7,212△34,550
投資活動によるキャッシュ・フロー△2,3367,3799,716
財務活動によるキャッシュ・フロー△18,354△15,1813,173
現金及び現金同等物残高98,24683,019△15,227

営業活動によるキャッシュ・フローは、7,212百万円の支出(前連結会計年度は27,338百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費が12,945百万円、減損損失が7,560百万円、補修工事関連損失引当金の増加額が50,707百万円、空室損失引当金の増加額が9,684百万円となった一方、税金等調整前当期純損失が64,840百万円、前受金の減少額が9,311百万円、仕入債務の減少額が8,125百万円、販売用不動産の増加額が3,058百万円、補修工事関連費用の支払額が2,960百万円となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,379百万円の収入(前連結会計年度は2,336百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が7,718百万円、定期預金の預入による支出が1,500百万円となった一方、有形固定資産の売却による収入が10,059百万円、定期預金の払戻による収入が8,126百万円あったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、15,181百万円の支出(前連結会計年度比3,173百万円の支出減少)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が5,012百万円、配当金の支払が3,025百万円、リース債務の返済が5,640百万円、借入返済及び社債償還が1,383百万円(借入による収入差引後)あったことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は83,019百万円となり、前連結会計年度末比15,227百万円減少いたしました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループでは、財務戦略の基本方針として「資産と資本の効率経営の推進」を掲げ、低効率資産の売却を進めております。当連結会計年度においては、自社社有アパート120棟の売却を実施いたしました。
一方で、営業キャッシュ・フローと資産売却によるキャッシュ・フローを成長投資(設備投資及びM&A)と株主還元に積極的に活用していく方針であります。当連結会計年度においては、国内外での賃貸用不動産への投資による保有資産の入替え、国際事業部門における投資案件への出資のほか、5,012百万円の自社株買いによる株主還元を実施いたしました。
また、当連結会計年度において、当社グループの資金効率化を鑑み、グループ内でのリース事業に伴う資金として5,030百万円を金融機関からの借入により調達しております。
資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は83,019百万円(前連結会計年度末比15,227百万円減少)、フリーキャッシュ・フローは167百万円(前連結会計年度末比24,834百万円減少)となったため、保有資産の売却なども含め事業活動に必要な資金の安定的な確保及び流動性の維持に努め、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を引き続き確保してまいります。
キャッシュ・フロー指標の推移は次のとおりであります。
2015年3月期2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期
自己資本比率(%)40.444.247.047.227.7
時価ベースの自己資本比率(%)53.554.644.766.318.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)2.82.31.82.0-
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)13.823.639.838.2-

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により計算しております。
(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
(注4)2019年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(5)重要事象等について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループは、当社施工物件で判明した界壁等の施工不備により、当連結会計年度において、親会社株主に帰属する当期純損失及びマイナスの営業キャッシュフローを計上したこと、当社の子会社である㈱レオパレス・パワーが当社を保証人として金融機関との間で締結している借入契約に付されている財務制限条項に抵触したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社は、当該事象又は状況を解消すべく、物件の調査および必要な補修工事に経営資源を集中的に投入、かつ、組織的に実行することにより、早期に入居者募集を再開し、コア事業である賃貸事業の建て直しを図ってまいります。資金面については、健全な財務バランスを保ちつつ、保有資産の売却なども含め事業活動に必要な資金の安定的な確保及び流動性の維持に努めており、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を確保しております。
また、財務制限条項への抵触に関しては、金融機関から期限の利益喪失の権利行使を行わないことについて承諾を得ております。
以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。