有価証券報告書-第62期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 15:10
【資料】
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【項目】
139項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されている。この連結財務諸表の作成に当たって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の各数値を算出するために必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しているが、実際の結果は見積りの不確実性により、これらの見積りと異なる場合がある。会計上の見積りを行う時点で高い不確実性を有する事項に対して見積りを行った場合、当社グループが採用した見積りとは異なる他の採用し得る見積りがあった場合、並びに複数年度にわたり見積りの変更が発生する可能性がある場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断、3.主要な会計方針の概要」に記載のとおりである。
(2) 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度末
(2020年3月31日)
当連結会計年度末
(2021年3月31日)
増減
流動資産267,409247,350△20,059
非流動資産611,735540,586△71,149
資産の部合計879,144787,936△91,208
流動負債167,761156,655△11,106
非流動負債472,126469,174△2,952
負債の部合計639,887625,829△14,058
親会社株主持分232,861155,158△77,703
非支配持分6,3966,949553
資本の部合計239,257162,107△77,150

当連結会計年度末の資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ912億8百万円減少し、7,879億36百万円となった。流動資産は、売上債権及び契約資産が第4四半期におけるフォワーディング事業の取り扱い急増等により82億62百万円、その他の流動資産がグループ会社間の配当に係る源泉所得税の未収還付法人税等により65億92百万円それぞれ増加したものの、現金及び現金同等物が「(4) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり342億6百万円減少したことなどにより、200億59百万円減少した。非流動資産は、有形固定資産が東日本第二メディカル物流センター等の設備投資及び車両運搬具等の更新等により117億49百万円増加したものの、持分法で会計処理されている投資が佐川急便㈱の株式をSGホールディングス㈱に譲渡し同社を当社の持分法適用の範囲より除外したこと等により828億99百万円減少したことなどにより、711億49百万円減少した。 当連結会計年度末の負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ140億58百万円減少し、6,258億29百万円となった。流動負債は、その他の金融負債が非支配株主に係る売建プット・オプションの行使可能日の見直しによる当該負債の非流動負債への振り替え及び行使による取崩等により136億84百万円減少したことなどにより、111億6百万円減少した。非流動負債は、その他の金融負債が非支配株主に係る売建プット・オプションの行使可能日の見直しによる当該負債の流動負債からの振り替え等により77億76百万円増加したものの、長期債務が1年内償還予定の社債の償還期長期債務への振り替え等により101億99百万円減少したことなどにより、29億52百万円減少した。 当連結会計年度末の資本の部合計は、前連結会計年度末に比べ771億50百万円減少し、1,621億7百万円となった。親会社株主持分は、SGホールディングス㈱及び佐川急便㈱との間の資本業務提携の一部変更に伴う自己株式取得等により自己株式が996億33百万円増加した等の結果、777億3百万円減少した。また、親会社株主持分比率は前連結会計年度末の26.5%から19.7%となった。
(3) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度において、当社グループは、当連結会計年度よりスタートした中期経営計画(LOGISTEED 2021)では、当社グループ及び協創パートナーも含めたデジタライゼーションにより形成されたプラットフォームを、同業他社も含めたシェアリングエコノミーの拠点とし、さらなるオープンな協創を加速することで、物流領域を基点/起点としたサプライチェーンを実現することを掲げている。詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりである。
以上の取り組みの結果、事業全体の状況は、次のとおりである。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益672,286652,380△19,90697%
売上総利益84,20885,7981,590102%
調整後営業利益 *133,48336,7113,228110%
営業利益34,35641,0506,694119%
受取利息及び支払利息調整後税引前
当期利益(EBIT) *2
39,60744,4294,822112%
税引前当期利益33,82939,1345,305116%
当期利益22,48523,9541,469107%
親会社株主に帰属する当期利益21,61422,8731,259106%

*1. 「調整後営業利益」は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出
*2. 「受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)」は、税引前当期利益から受取利息を減算し、支払利息を加算して算出
ⅰ.売上収益、調整後営業利益、営業利益
当連結会計年度の売上収益は、新規立ち上げ案件の寄与や新型コロナウイルス感染症拡大による影響が各地域において回復傾向にあるものの、依然として前連結会計年度水準には至らず、また為替影響等もあり、前連結会計年度に比べ3%減少し、6,523億80百万円となった。調整後営業利益は減収影響はあったものの、国内発着及び中国フォワーディング事業の収益性向上や、各地域における生産性改善・総コスト抑制効果等により前連結会計年度に比べ10%増加し、367億11百万円となった。営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大による損失等があったものの、当社が佐川急便㈱の全株式の譲渡等によりその他の収益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ19%増加し、410億50百万円となった。
ⅱ.受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)
当連結会計年度の受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)は、当社が保有する佐川急便㈱の全株式の譲渡等により持分法による投資利益が減少したものの、営業利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ12%増加し、444億29百万円となった。
ⅲ.税引前当期利益
当連結会計年度の税引前当期利益は、受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)等が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ16%増加し、391億34百万円となった。
ⅳ.親会社株主に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期利益は、税引前当期利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ6%増加し、228億73百万円となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
ⅰ.国内物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益435,311421,190△14,12197%
セグメント利益(調整後営業利益)26,06325,176△88797%

当セグメントの売上収益は、新規立ち上げ案件の寄与やパレネット㈱と㈱日立物流東日本流通サービスの連結化による増収影響はあるものの、新型コロナウイルス感染症拡大による物量減少は依然として継続しており、前連結会計年度に比べ3%減少し、4,211億90百万円となった。
セグメント利益は、生産性改善・総コスト抑制効果等はあったものの、減収影響により、前連結会計年度に比べ3%減少し、251億76百万円となった。
ⅱ.国際物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益219,761216,258△3,50398%
セグメント利益(調整後営業利益)6,50210,3403,838159%

当セグメントの売上収益は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は各地域において回復傾向にあるものの、依然として前連結会計年度水準には至らず、また為替影響等もあり、前連結会計年度に比べ2%減少し、2,162億58百万円となった。
セグメント利益は、減収影響はあったものの、国内発着及び中国フォワーディング事業の収益性向上や、各地域における生産性改善・総コスト抑制効果等の影響により、前連結会計年度に比べ59%増加し、103億40百万円となった。
ⅲ.その他(物流周辺事業等)
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益17,21414,932△2,28287%
セグメント利益(調整後営業利益)9181,195277130%

当セグメントの売上収益は、㈱日立トラベルビューロー(現 ㈱HTB-BCDトラベル)の非連結化影響等により、前連結会計年度に比べ13%減少し、149億32百万円となった。
セグメント利益は、減収影響はあったものの、情報システム開発事業での新規案件の受託等により、前連結会計年度に比べ30%増加し、11億95百万円となった。
なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症影響は、下表のとおりである。
[2020年度 新型コロナウイルス感染症影響] (単位:億円)
項目影響額(前年差)内容
売上収益調整後
営業利益
国内物流△137△34.3一過性:顧客店舗休業・顧客工場の生産停止などによる物量減
継続 :訪日客(インバウンド需要)減少による物量減
国際物流△112△14.9一過性:ロックダウンによる顧客工場生産停止/操業減
継続 :輸出入貨物の取り扱い減少
その他△7△1.0
△256△50.2

※新型コロナウイルス感染症影響の定義 :ロックダウンに伴う顧客店舗や工場の閉鎖による直接影響や消費者の需要・消費減による物量減の間接影響
売上収益に関する増減要因の内訳は、以下のとおりである。

なお、2020年度の連結業績予想(売上収益6,400億円、調整後営業利益340億円)に対しては、売上収益は、主に国際物流(フォワーディング事業)及びライフサイクルマネジメント事業における物量の増加が寄与し、計画に比べ2%上振れた。調整後営業利益は、上記の増収影響により、計画に比べ8%上振れた。
2021年度の連結業績予想については、現時点における当社が入手可能な情報や予測等に基づいて、以下のとおりとしている。
[連結業績予想] (単位:百万円)
2021年度
前期比
売上収益690,000106%
調整後営業利益37,500102%
受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)37,20084%
親会社株主に帰属する当期利益20,50090%


②生産、受注及び売上収益の実績
ⅰ.生産実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅱ.受注実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅲ.売上収益
当連結会計年度における売上収益をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
国内物流421,190△3.2
国際物流216,258△1.6
その他14,932△13.3
合計652,380△3.0

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 売上収益合計の10%以上に該当する相手先はない。
3 本表の金額には、消費税等は含まれていない。
(4) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー78,20455,309△22,895
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,16269,77970,941
財務活動によるキャッシュ・フロー△45,707△161,056△115,349
フリー・キャッシュ・フロー77,042125,08848,046
現金及び現金同等物に係る換算差額△7261,7622,488
現金及び現金同等物の増減30,609△34,206△64,815
現金及び現金同等物の期首残高108,412139,02130,609
現金及び現金同等物の期末残高139,021104,815△34,206

①営業活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ228億95百万円収入が減少し、553億9百万円の収入となった。この主な要因は、減価償却費及び無形資産償却521億59百万円、当期利益239億54百万円等により資金が増加したものの、法人所得税の支払261億31百万円等により資金が減少したことによるものである。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ709億41百万円収入が増加し、697億79百万円の収入となった。この主な要因は、東日本第二メディカル物流センター等の設備投資及び車両運搬具等の更新を主な内訳とした有形固定資産及び無形資産の取得197億92百万円による資金が減少したものの、SGホールディングス㈱及び佐川急便㈱との間の資本業務提携の一部変更に伴う関連会社株式の売却による収入871億83百万円等により資金が増加したことによるものである。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ1,153億49百万円支出が増加し、1,610億56百万円の支出となった。この主な要因は、SGホールディングス㈱及び佐川急便㈱との間の資本業務提携の一部変更に伴う自己株式の取得による支出996億33百万円、リース負債の返済366億48百万円等により資金が減少したことによるものである。
これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ342億6百万円減少し、1,048億15百万円となった。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせた、いわゆるフリー・キャッシュ・フローは、SGホールディングス㈱及び佐川急便㈱との間の資本業務提携の一部変更に伴う関連会社株式の売却による収入を主な要因として前連結会計年度に比べて480億46百万円増加し、1,250億88百万円の収入となった。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、主に営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えている。事業投資・戦略投資資金については、主として内部資金により充当することとしているが、必要に応じて、資本市場における債券の発行及び金融機関からの借入により資金を調達することとしている。また、資金効率の向上や経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を可能とするため自己株式を保有しており、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の活用を優先としながらも、自己株式の活用を検討している。なお、資本市場からの円滑な資金調達を行うため、㈱格付投資情報センター(R&I)から格付けを取得し、本報告書提出日時点では発行体格付けがA(安定的)となっている。当社はA以上の信用格付け維持をめざし、十分な水準での流動性確保に努めている。当社グループは、2022年3月31日に終了する連結会計年度については、事業投資・戦略投資資金を主に営業活動によるキャッシュ・フローにより調達する予定である。2020年4月1日から2021年3月31日までに行われた重要な設備投資及び処分に関する情報並びに現在進行中の重要な設備投資及び処分に関する情報は、「第3 設備の状況」に記載のとおりである。