有価証券報告書-第64期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/23 15:15
【資料】
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【項目】
134項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の各数値を算出するために必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しているが、実際の結果は見積りの不確実性により、これらの見積りと異なる場合がある。会計上の見積りを行う時点で高い不確実性を有する事項に対して見積りを行った場合、当社グループが採用した見積りとは異なる他の採用し得る見積りがあった場合、並びに複数年度にわたり見積りの変更が発生する可能性がある場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断、3.主要な会計方針の概要」に記載のとおりである。
(2) 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度末
(2022年3月31日)
当連結会計年度末
(2023年3月31日)
増減
流動資産249,470243,682△5,788
非流動資産542,408668,427126,019
資産の部合計791,878912,109120,231
流動負債173,141222,12148,980
非流動負債440,524569,944129,420
負債の部合計613,665792,065178,400
親会社株主持分170,170110,704△59,466
非支配持分8,0439,3401,297
資本の部合計178,213120,044△58,169

当連結会計年度末の資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ1,202億31百万円増加し、9,121億9百万円となった。流動資産は、その他の金融資産が当社連結子会社であるMars Logistik Grup Anonim Sirketiにおけるリラ建定期預金への預入等により40億8百万円増加したものの、現金及び現金同等物が「(4) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり111億15百万円減少したことなどにより、57億88百万円減少した。非流動資産は、長期貸付金が親会社に対する貸付等により972億5百万円、有形固定資産がインド タミル・ナードゥ州に設立したマルチ型物流センターの建設用地等の設備投資及び車両運搬具等の更新等により141億86百万円それぞれ増加したことなどにより、1,260億19百万円増加した。
当連結会計年度末の負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ1,784億円増加し、7,920億65百万円となった。流動負債は、預り金が㈱日立製作所(以下「日立製作所」という。)からの自己株式取得に伴う源泉所得税等により452億51百万円増加したことなどにより、489億80百万円増加した。非流動負債は、長期債務が新規のタームローンの借入実行及び既存のタームローンの全額繰上返済等により1,277億14百万円増加したことなどにより、1,294億20百万円増加した。
当連結会計年度末の資本の部合計は、資本剰余金が親会社に対する第三者割当増資及び減資により1,472億57百万円増加したものの、自己株式が日立製作所からの自己株式取得により2,211億69百万円増加し、資本金が減資により164億93百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ581億69百万円減少し、1,200億44百万円となった。
(3) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度において、当社グループは、中長期的にめざす姿である「LOGISTEED2030」に向けて、KKRとの強 固なパートナーシップにより、「グローバルサプライチェーンで最も選ばれるソリューションプロバイダ」をめざ している。
以上の取り組みの結果、事業全体の状況は、次のとおりである。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益743,612814,31070,698110%
売上総利益94,612111,94617,334118%
調整後営業利益 *138,69645,8407,144118%
営業利益30,73844,13613,398144%
受取利息及び支払利息調整後税引前
当期利益(EBIT) *2
29,41745,29215,875154%
税引前当期利益24,63139,96815,337162%
当期利益14,62227,41012,788187%
親会社株主に帰属する当期利益13,51325,51612,003189%

*1. 「調整後営業利益」は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出
*2. 「受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)」は、税引前当期利益から受取利息を減算し、支払利息を加算して算出
ⅰ.売上収益、調整後営業利益、営業利益
当連結会計年度の売上収益は、主に、国際物流におけるフォワーディング事業や新規案件稼働の寄与、為替影響等により、前連結会計年度に比べ10%増加し、8,143億10百万円となった。調整後営業利益は、増収影響や収益性向上、為替影響等により、前連結会計年度に比べ18%増加し、458億40百万円となった。営業利益は、当社連結子会社であるロジスティード西日本㈱(旧 ㈱日立物流西日本)の舞洲営業所の物流センターにおける火災(以下「当社連結子会社における火災」という。)による火災損失を計上したものの、調整後営業利益に加えて、固定資産売却益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ44%増加し、441億36百万円となった。
ⅱ.受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)
当連結会計年度の受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)は、営業利益が増加し、また、為替差益が発生したことなどにより、前連結会計年度に比べ54%増加し、452億92百万円となった。
ⅲ.税引前当期利益
当連結会計年度の税引前当期利益は、受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ62%増加し、399億68百万円となった。
ⅳ.親会社株主に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期利益は、税引前当期利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ89%増加し、255億16百万円となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
ⅰ.国内物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益417,162423,9726,810102%
セグメント利益(調整後営業利益)23,67823,009△66997%

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ2%増加し、4,239億72百万円となった。
セグメント利益は、一過性費用を含むコスト増加影響等により、前連結会計年度に比べ3%減少し、230億9百万円となった。
ⅱ.国際物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益313,494375,89462,400120%
セグメント利益(調整後営業利益)13,64221,0927,450155%

当セグメントの売上収益は、フォワーディング事業や新規案件稼働の寄与、為替影響等により、前連結会計年度に比べ20%増加し、3,758億94百万円となった。
セグメント利益は、増収影響や収益性向上、為替影響等により、前連結会計年度に比べ55%増加し、210億92百万円となった。
ⅲ.その他(物流周辺事業等)
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益12,95614,4441,488111%
セグメント利益(調整後営業利益)1,3761,739363126%

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ11%増加し、144億44百万円となった。
セグメント利益は、前連結会計年度に比べ26%増加し、17億39百万円となった。
なお、売上収益に関する増減要因の内訳は、以下のとおりである。

②生産、受注及び売上収益の実績
ⅰ.生産実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅱ.受注実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅲ.売上収益
当連結会計年度における売上収益をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前期増減率(%)
国内物流423,9721.6
国際物流375,89419.9
その他14,44411.5
合計814,3109.5

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 売上収益合計の10%以上に該当する相手先はない。
(4) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー65,135122,06356,928
投資活動によるキャッシュ・フロー△24,877△117,310△92,433
財務活動によるキャッシュ・フロー△52,511△17,26635,245
フリー・キャッシュ・フロー40,2584,753△35,505
現金及び現金同等物に係る換算差額2,3451,398△947
現金及び現金同等物の増減△9,908△11,115△1,207
現金及び現金同等物の期首残高104,81594,907△9,908
現金及び現金同等物の期末残高94,90783,792△11,115

①営業活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ569億28百万円収入が増加し、1,220億63百万円の収入となった。この主な要因は、法人所得税の支払139億28百万円等により資金が減少したものの、減価償却費及び無形資産償却費566億86百万円、日立製作所からの自己株式取得に伴う源泉所得税を主な内訳とした預り金の増減452億23百万円、当期利益274億10百万円等により資金が増加したことによるものである。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ924億33百万円支出が増加し、1,173億10百万円の支出となった。この主な要因は、親会社に対する貸付による支出972億円、インド タミル・ナードゥ州に設立したマルチ型物流センターの建設用地等の設備投資及び車両運搬具等の更新を主な内訳とした有形固定資産及び無形資産の取得263億74百万円等により資金が減少したことによるものである。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ352億45百万円支出が減少し、172億66百万円の支出となった。この主な要因は、長期借入債務による調達1,987億83百万円等により資金が増加したものの、自己株式の取得による支出2,219億97百万円等により資金が減少したことによるものである。
これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ111億15百万円減少し、837億92百万円となった。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせた、いわゆるフリー・キャッシュ・フローは、当連結会計年度における日立製作所からの自己株式取得に伴う源泉所得税の預り金の増加等により資金が増加したものの、親会社に対する貸付による支出により資金が減少したこと等により、前連結会計年度に比べて355億5百万円減少し、47億53百万円の収入となった。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、主に営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えている。事業投資・戦略投資資金については、主として内部資金により充当することとしているが、必要に応じて、資本市場における債券の発行及び金融機関からの借入等により資金を調達することとしている。また、資本市場からの円滑な資金調達を行うため、㈱格付投資情報センター(R&I)から格付けを取得し、本報告書提出日時点では発行体格付けがA-(安定的)となっている。当社はA-以上の信用格付け維持をめざし、十分な水準での流動性確保に努めている。2022年4月1日から2023年3月31日までに行われた重要な設備投資及び処分に関する情報並びに現在進行中の重要な設備投資及び処分に関する情報は、「第3 設備の状況」に記載のとおりである。
なお、当社は、KKRとの強固なパートナーシップにより、これまで以上の意思決定のスピードアップや、投資資金の獲得、また外部知見の導入を行い、当社の競争力と収益力を伸張させ、さらなる事業成長及び企業価値向上をめざす。