有価証券報告書-第61期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 14:08
【資料】
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【項目】
99項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されている。この連結財務諸表の作成に当たって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の各数値を算出するために必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しているが、実際の結果は見積りの不確実性により、これらの見積りと異なる場合がある。会計上の見積りを行う時点で高い不確実性を有する事項に対して見積りを行った場合、当社グループが採用した見積りとは異なる他の採用し得る見積りがあった場合、並びに複数年度にわたり見積りの変更が発生する可能性がある場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断、3.主要な会計方針の概要」に記載のとおりである。
(2) 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度末
(2019年3月31日)
当連結会計年度末
(2020年3月31日)
増減
流動資産258,663267,4098,746
非流動資産353,872611,735257,863
資産の部合計612,535879,144
[621,156]
266,609
[8,621]
流動負債122,494167,76145,267
非流動負債261,092472,126211,034
負債の部合計383,586639,887
[380,883]
256,301
[△2,703]
親会社株主持分222,346232,86110,515
非支配持分6,6036,396△207
資本の部合計228,949239,257
[240,273]
10,308
[11,324]

* [ ]内はIFRS第16号「リース」適用の影響を除いた数値
当連結会計年度末の資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ2,666億9百万円増加し、8,791億44百万円となった。流動資産は、売上債権及び契約資産が㈱日立トラベルビューロー(現 ㈱HTB-BCDトラベル)の非連結化の影響等により171億25百万円、その他の流動資産がIFRS第16号「リース」適用の影響等により51億64百万円それぞれ減少したものの、現金及び現金同等物が306億9百万円増加した等の結果、87億46百万円増加した。非流動資産は、従来は有形固定資産として報告していたファイナンス・リース資産を使用権資産として独立掲記している影響等により有形固定資産が341億68百万円減少したものの、使用権資産が2,884億41百万円増加した等の結果、2,578億63百万円増加した。
当連結会計年度末の負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ2,563億1百万円増加し、6,398億87百万円となった。流動負債は、主にIFRS第16号「リース」適用の影響等によりリース負債が332億9百万円増加した等の結果、452億67百万円増加した。非流動負債は、従来は長期債務として報告していたリース債務をリース負債として独立掲記している影響等により長期債務が406億96百万円減少したものの、IFRS第16号「リース」適用の影響等によりリース負債が2,610億31百万円増加した等の結果、2,110億34百万円増加した。
当連結会計年度末の資本の部合計は、前連結会計年度末に比べ103億8百万円増加し、2,392億57百万円となり、また、親会社株主持分比率は、IFRS第16号「リース」適用によるリース負債の増加を主な要因として、前連結会計年度末の36.3%から26.5%へ減少した。
(3) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度において、当社グループは、当連結会計年度よりスタートした中期経営計画(LOGISTEED 2021)では、当社グループ及び協創パートナーも含めたデジタライゼーションにより形成されたプラットフォームを、同業他社も含めたシェアリングエコノミーの拠点とし、さらなるオープンな協創を加速することで、物流領域を基点/起点としたサプライチェーンを実現することを掲げている。詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりである。
以上の取り組みの結果、事業全体の状況は、次のとおりである。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益 *1708,831672,286
[673,253]
△36,545
[△35,578]
95%
[95%]
売上総利益82,37384,2081,835102%
調整後営業利益 *1 *231,19233,483
[30,507]
2,291
[△685]
107%
[98%]
営業利益30,35334,3564,003113%
受取利息及び支払利息調整後税引前
当期利益(EBIT) *1 *3
36,18039,607
[36,534]
3,427
[354]
109%
[101%]
税引前当期利益 *135,24633,829
[35,381]
△1,417
[135]
96%
[100%]
当期利益24,01322,485△1,52894%
親会社株主に帰属する当期利益 *122,78621,614
[22,570]
△1,172
[△216]
95%
[99%]

*1. [ ]内はIFRS第16号「リース」適用の影響を除いた数値であり、主な項目のみに記載
*2. 「調整後営業利益」は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出
*3. 「受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)」は、税引前当期利益から受取利息を減算し、支払利息を加算して算出
ⅰ.売上収益、調整後営業利益、営業利益
当連結会計年度の売上収益は、新規立ち上げ案件の寄与等はあったものの、自動車部品物流事業やフォワーディング事業の取り扱い減少及び為替影響等により前連結会計年度に比べ5%減少し、6,722億86百万円となった。調整後営業利益は、新型コロナウイルス感染症による影響があったものの、生産性改善効果及びIFRS第16号「リース」の適用等により前連結会計年度に比べ7%増加し、334億83百万円となった。営業利益は、減損損失を認識したものの、固定資産売却益等により、前連結会計年度に比べ13%増加し、343億56百万円となった。
ⅱ.受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)
当連結会計年度の受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)は、為替差損による金融費用が増加したものの、IFRS第16号「リース」適用の影響に加え、持分法による投資利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ9%増加し、396億7百万円となった。
ⅲ.税引前当期利益
当連結会計年度の税引前当期利益は、受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)等が増加したものの、IFRS第16号「リース」適用により支払利息が増加したことを受けて、前連結会計年度に比べ4%減少し、338億29百万円となった。
ⅳ.親会社株主に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期利益は、税引前当期利益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ5%減少し、216億14百万円となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
ⅰ.国内物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益432,793435,3112,518101%
セグメント利益(調整後営業利益)*22,09926,063
[23,548]
3,964
[1,449]
118%
[107%]

当セグメントの売上収益は、自動車関連顧客の取り扱いは減少したものの、新規立ち上げ案件の寄与等により、前連結会計年度に比べ1%増加し、4,353億11百万円となった。
セグメント利益は、増収影響のほか、生産性改善効果とIFRS第16号「リース」適用等により、前連結会計年度に比べ18%増加し、260億63百万円となった。
ⅱ.国際物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益255,828219,761△36,06786%
セグメント利益(調整後営業利益)*7,1086,502
[6,059]
△606
[△1,049]
91%
[85%]

当セグメントの売上収益は、フォワーディング事業の取り扱い減少(日新運輸㈱の非連結化影響含む)や為替影響等により、前連結会計年度に比べ14%減少し、2,197億61百万円となった。
セグメント利益は、減収影響のほか、フォワーディング事業でのリスクを織り込んだことや新型コロナウイルス感染症による影響などにより、前連結会計年度に比べ9%減少し、65億2百万円となった。
ⅲ.その他(物流周辺事業等)
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益20,21017,214△2,99685%
セグメント利益(調整後営業利益)*1,985918
[900]
△1,067
[△1,085]
46%
[45%]

当セグメントの売上収益は、㈱日立トラベルビューロー(現 ㈱HTB-BCDトラベル)の非連結化影響等により、前連結会計年度に比べ15%減少し、172億14百万円となった。
セグメント利益は、減損影響等により、前連結会計年度に比べ54%減少し、9億18百万円となった。
*[ ]内はIFRS第16号「リース」適用の影響を除いた数値
なお、売上収益に関する増減要因の内訳は以下のとおりである。
(単位:億円)
項目環境変化・
物量増減他
為替影響日新運輸非連結化影響ポートフォリオ戦略実行新規受注協創新規IFRS第16号適用影響新型コロナ
感染症影響
国内物流△93△1710052△10△725
国際物流△152△72△172△1608△32△361
その他△6△252△1△30
△251△72△172△4316062△10△40△365

また、2020年1月31日に㈱東京証券取引所の定めに基づき公表した当社グループの連結業績予想(売上収益6,900億円、調整後営業利益340億円)に対しては、売上収益は、新型コロナウイルス感染症による影響や、自動車部品物流事業及びフォワーディング事業の取り扱い減少の影響等により、計画に比べ3%下振れた。調整後営業利益は、生産性改善効果等の寄与があったものの、新型コロナウイルス感染症による減収影響等により、計画に比べ2%下振れた。
なお、2021年3月期の連結業績予想については、現段階において、新型コロナウイルス感染症による影響を合理的に算定することが困難であることから未定としている。業績予想の開示が可能となった時点で速やかに公表の予定である。
②生産、受注及び売上収益の実績
ⅰ.生産実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅱ.受注実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅲ.売上収益
当連結会計年度における売上収益をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
国内物流435,3110.6
国際物流219,761△14.1
その他17,214△14.8
合計672,286△5.2

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 売上収益合計の10%以上に該当する相手先はない。
3 本表の金額には、消費税等は含まれていない。
(4) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー37,81278,20440,392
投資活動によるキャッシュ・フロー△13,892△1,16212,730
財務活動によるキャッシュ・フロー21,104△45,707△66,811
フリー・キャッシュ・フロー23,92077,04253,122
現金及び現金同等物に係る換算差額△109△726△617
現金及び現金同等物の増減44,91530,609△14,306
現金及び現金同等物の期首残高63,497108,41244,915
現金及び現金同等物の期末残高108,412139,02130,609

①営業活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ403億92百万円収入が増加し、782億4百万円の収入となった。この主な要因は、IFRS第16号「リース」適用により、従来はオペレーティング・リースのリース料の支払として営業活動によるキャッシュ・フローに含まれていたものが、使用権資産の減価償却費に係る調整となったことによって、減価償却費及び無形資産償却費が528億15百万円と大きく増加したこと及び当期利益224億85百万円等により資金が増加したことによるものである。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ127億30百万円支出が減少し、11億62百万円の支出となった。この主な要因は、資産効率向上を目的とした国内セグメントに関連する事業用地等の売却を主な内訳とした有形固定資産及び無形資産の売却131億5百万円による資金の増加と、物流拠点の拡充及び車両運搬具等の更新を主な内訳とした有形固定資産及び無形資産の取得127億9百万円等により資金が減少したことによるものである。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ668億11百万円支出が増加し、457億7百万円の支出となった。この主な要因は、IFRS第16号「リース」適用により、従来はオペレーティング・リースのリース料の支払として営業活動によるキャッシュ・フローに含まれていたものが、リース負債の支払として財務活動によるキャッシュ・フローに含まれることによって、リース負債の返済が371億3百万円と大きく増加したこと及び配当金の支払46億86百万円等により資金が減少したことによるものである。
これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ306億円9百万円増加し、1,390億21百万円となった。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせた、いわゆるフリー・キャッシュ・フローは、IFRS第16号「リース」適用の影響を主な要因として前連結会計年度に比べて531億22百万円増加し、770億42百万円の収入となった。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、主に営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えている。また、設備投資及び研究開発活動などの資金については、主として内部資金により充当することとしているが、必要に応じて、資本市場における債券の発行及び金融機関からの借入により資金を調達することとしている。なお、資本市場からの円滑な資金調達を行うため、㈱格付投資情報センター(R&I)から格付けを取得し、本報告書提出日時点では発行体格付けがA(安定的)となっている。当社はA以上の信用格付け維持をめざし、十分な水準での流動性確保に努めている。当社グループは、2021年3月31日に終了する連結会計年度については、設備投資及び研究開発活動のための十分な資金を、主に営業活動によるキャッシュ・フローにより調達する予定である。2019年4月1日から2020年3月31日までに行われた重要な設備投資及び処分に関する情報並びに現在進行中の重要な設備投資及びに処分に関する情報は、「第3 設備の状況」に記載のとおりである。