有価証券報告書-第63期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 15:16
【資料】
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【項目】
138項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されている。この連結財務諸表の作成に当たって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の各数値を算出するために必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しているが、実際の結果は見積りの不確実性により、これらの見積りと異なる場合がある。会計上の見積りを行う時点で高い不確実性を有する事項に対して見積りを行った場合、当社グループが採用した見積りとは異なる他の採用し得る見積りがあった場合、並びに複数年度にわたり見積りの変更が発生する可能性がある場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断、3.主要な会計方針の概要」に記載のとおりである。
(2) 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度末
(2021年3月31日)
当連結会計年度末
(2022年3月31日)
増減
流動資産247,350249,4702,120
非流動資産540,586542,4081,822
資産の部合計787,936791,8783,942
流動負債156,655173,14116,486
非流動負債469,174440,524△28,650
負債の部合計625,829613,665△12,164
親会社株主持分155,158170,17015,012
非支配持分6,9498,0431,094
資本の部合計162,107178,21316,106

当連結会計年度末の資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ39億42百万円増加し、7,918億78百万円となった。流動資産は、現金及び現金同等物が「(4) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり99億8百万円減少したものの、売上債権及び契約資産が売上収益の増加等により81億81百万円、その他の金融資産が当社連結子会社であるMars Lojistik Grup Anonim Sirketiにおけるリラ建定期預金への預入等により62億2百万円それぞれ増加したことなどにより、21億20百万円増加した。非流動資産は、使用権資産が減価償却費の計上や当社連結子会社である㈱日立物流西日本の舞洲営業所の物流センターにおける火災(以下「当社連結子会社における火災」という。)による損失等により67億65百万円減少したものの、有形固定資産が滋賀県大津市及び千葉県柏市にそれぞれ設立した危険物倉庫等の設備投資及び車両運搬具等の更新等により93億9百万円増加したことなどにより、18億22百万円増加した。 当連結会計年度末の負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ121億64百万円減少し、6,136億65百万円となった。流動負債は、償還期長期債務が1年内返済予定の長期借入金の長期債務からの振り替え等により97億72百万円、その他の流動負債が当社連結子会社における火災による損害賠償他引当計上等により64億85百万円それぞれ増加したことなどにより、164億86百万円増加した。非流動負債は、長期債務が1年内返済予定の長期借入金の償還期長期債務への振り替え等により199億17百万円、リース負債が返済や当社連結子会社における火災による取崩し等により98億77百万円それぞれ減少したことなどにより、286億50百万円減少した。 当連結会計年度末の資本の部合計は、前連結会計年度末に比べ161億6百万円増加し、1,782億13百万円となった。親会社株主持分は、自己株式消却により自己株式が989億96百万円減少した等の結果、150億12百万円増加した。また親会社株主持分比率は前連結会計年度末の19.7%から21.5%となった。
(3) 経営成績の状況
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度において、当社グループは、2019年度よりスタートした中期経営計画(LOGISTEED2021)では、当社グループ及び協創パートナーも含めたデジタライゼーションにより形成されたプラットフォームを、同業他社も含めたシェアリングエコノミーの拠点とし、さらなるオープンな協創を加速することで、物流領域を基点/起点としたサプライチェーンを実現することを掲げてきた。
以上の取り組みの結果、事業全体の状況は、次のとおりである。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益652,380743,61291,232114%
売上総利益85,79894,6128,814110%
調整後営業利益 *136,71138,6961,985105%
営業利益41,05030,738△10,31275%
受取利息及び支払利息調整後税引前
当期利益(EBIT) *2
44,42929,417△15,01266%
税引前当期利益39,13424,631△14,50363%
当期利益23,95414,622△9,33261%
親会社株主に帰属する当期利益22,87313,513△9,36059%

*1. 「調整後営業利益」は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出
*2. 「受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)」は、税引前当期利益から受取利息を減算し、支払利息を加算して算出
ⅰ.売上収益、調整後営業利益、営業利益
当連結会計年度の売上収益は、取り扱い物量の回復により、前連結会計年度に比べ14%増加し、7,436億12百万円となった。調整後営業利益は増収影響や生産性改善、フォワーディング事業の収益性向上等により、前連結会計年度に比べ5%増加し、386億96百万円となった。営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大による損失が減少したものの、当社連結子会社における火災による火災損失の計上、当社が保有していた佐川急便㈱の全株式の譲渡による譲渡益及び固定資産売却益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ25%減少し、307億38百万円となった。
ⅱ.受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)
当連結会計年度の受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)は、営業利益が減少し、また、当社が保有していた佐川急便㈱の全株式の譲渡等により持分法による投資損益の減少及び為替差損が発生したことなどにより、前連結会計年度に比べ34%減少し、294億17百万円となった。
ⅲ.税引前当期利益
当連結会計年度の税引前当期利益は、受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益(EBIT)等が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ37%減少し、246億31百万円となった。
ⅳ.親会社株主に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期利益は、税引前当期利益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ41%減少し、135億13百万円となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
ⅰ.国内物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益421,190417,162△4,02899%
セグメント利益(調整後営業利益)25,17623,678△1,49894%

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ1%減少し、4,171億62百万円となった。
セグメント利益は、生産性改善等があるものの、当社連結子会社における火災による影響等により、前連結会計年度に比べ6%減少し、236億78百万円となった。
ⅱ.国際物流
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益216,258313,49497,236145%
セグメント利益(調整後営業利益)10,34013,6423,302132%

当セグメントの売上収益は、フォワーディング事業や自動車関連顧客を中心とした取り扱い物量の増加等により、前連結会計年度に比べ45%増加し、3,134億94百万円となった。
セグメント利益は、増収影響やフォワーディング事業の収益性向上等により、前連結会計年度に比べ32%増加し、136億42百万円となった。
ⅲ.その他(物流周辺事業等)
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減前期比
売上収益14,93212,956△1,97687%
セグメント利益(調整後営業利益)1,1951,376181115%

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ13%減少し、129億56百万円となった。
セグメント利益は、前連結会計年度に比べ15%増加し、13億76百万円となった。
売上収益に関する増減要因の内訳は、以下のとおりである。

なお、2021年度の連結業績予想(売上収益7,200億円、調整後営業利益375億円)に対しては、売上収益は、主に
国際物流における物量の増加が寄与し、計画に比べ3%上振れた。調整後営業利益は、上記の増収影響により、計画に比べ3%上振れた。
また、今後、HTSK株式会社による当社株式に対する公開買付け及びその後に予定される一連の手続きを経て、当社株式は上場廃止となる予定である。もっとも、当社においては上場廃止を前提とした業績予想の策定は行
っていないため、2022年度の連結業績予想は公表していない。
②生産、受注及び売上収益の実績
ⅰ.生産実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅱ.受注実績
物流サービスの提供が主要な事業のため、記載を省略している。
ⅲ.売上収益
当連結会計年度における売上収益をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称金額(百万円)前期増減率(%)
国内物流417,162△1.0
国際物流313,49445.0
その他12,956△13.2
合計743,61214.0

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 売上収益合計の10%以上に該当する相手先はない。
(4) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー55,30965,1359,826
投資活動によるキャッシュ・フロー69,779△24,877△94,656
財務活動によるキャッシュ・フロー△161,056△52,511108,545
フリー・キャッシュ・フロー125,08840,258△84,830
現金及び現金同等物に係る換算差額1,7622,345583
現金及び現金同等物の増減△34,206△9,90824,298
現金及び現金同等物の期首残高139,021104,815△34,206
現金及び現金同等物の期末残高104,81594,907△9,908


①営業活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ98億26百万円収入が増加し、651億35百万円の収入となった。この主な要因は、法人所得税の支払72億2百万円等により資金が減少したものの、減価償却費及び無形資産償却費508億28百万円、当期利益の増加146億22百万円等により資金が増加したことによるものである。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ946億56百万円収入が減少し、248億77百万円の支出となった。この主な要因は、滋賀県大津市及び千葉県柏市にそれぞれ設立した危険物倉庫等の設備投資及び車両運搬具等の更新を主な内訳とした有形固定資産及び無形資産の取得203億59百万円、トルコの子会社である Mars Lojistik Grup Anonim Sirketiにおける、トルコ政府による外貨建資産の評価益に係る税金の減免措置の適用を受けるための為替変動の損失補償が付されたリラ建定期預金への預入を主な内訳とした定期預金の預入による支出60億49百万円により資金が減少したことによるものである。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
前連結会計年度に比べ1,085億45百万円支出が減少し、525億11百万円の支出となった。この主な要因は、リース負債の返済337億58百万円、長期借入債務の返済103億29百万円等により資金が減少したことによるものである。
これらの結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ99億8百万円減少し、949億7百万円となった。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせた、いわゆるフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度におけるSGホールディングス㈱及び佐川急便㈱との間の資本業務提携の一部変更に伴う関連会社株式の売却による収入の減少を主な要因として、前連結会計年度に比べて848億30百万円減少し、402億58百万円の収入となった。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、主に営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えている。事業投資・戦略投資資金については、主として内部資金により充当することとしているが、必要に応じて、資本市場における債券の発行及び金融機関からの借入により資金を調達することとしている。また、資本市場からの円滑な資金調達を行うため、㈱格付投資情報センター(R&I)から格付けを取得し、本報告書提出日時点では発行体格付けがA(ネガティブ)となっている。当社はA以上の信用格付け維持をめざし、十分な水準での流動性確保に努めている。2021年4月1日から2022年3月31日までに行われた重要な設備投資及び処分に関する情報並びに現在進行中の重要な設備投資及び処分に関する情報は、「第3 設備の状況」に記載のとおりである。
なお、今後、HTSK株式会社による当社株式に対する公開買付けが予定されている。本公開買付け及びその後に予定される一連の手続きを経て、同社は当社株式全てを取得することを企図している。これにより、当社株式は上場廃止となる予定である。本取引後、当社は新しいパートナーとともに、これまで以上の意思決定のスピードアップや、投資資金の獲得、また外部知見の導入を行い、当社の競争力と収益力を伸張させ、新成長により企業価値の向上をめざす。