有価証券報告書-第34期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 9:06
【資料】
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【項目】
133項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は6,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ263百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は1,676百万円となり、前連結会計年度末に比べ459百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,545百万円となり、前連結会計年度末に比べ195百万円増加いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高11,550百万円(前期比3.8%減)、営業利益813百万円(前期比9.6%減)、経常利益は822百万円(前期比9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益304百万円(前期比51.6%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
翻訳事業は、売上高8,112百万円(前期比4.6%減)となりました。
派遣事業は、売上高1,200百万円(前期比0.6%増)となりました。
通訳事業は、売上高1,022百万円(前期比1.6%減)となりました。
コンベンション事業は、売上高782百万円(前期比15.5%増)となりました。
その他のセグメントは、売上高433百万円(前期比26.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ325百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは627百万円の収入(前期は441百万円の収入)となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上による収入498百万円および売上債権の減少による収入389百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは183百万円の支出(前期は230百万円の支出)となりました。
主な要因は、無形固定資産の取得による支出164百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは116百万円の支出(前期は231百万円の支出)となりました。
主な要因は、配当金の支払額116百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比(%)
翻訳事業(千円)4,240,44793.4
コンベンション事業(千円)606,617122.4
その他(千円)55,556102.0
合計(千円)4,902,62196.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.内部取引については相殺消去しております。
3.派遣事業、通訳事業については、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
b.受注実績
当社の業務においては、受注時に翻訳内容(言語、納品日、納品形態等)は決定されますが、受注金額の算定基礎となるページ数、ワード数、文字数等が確定しないため、受注金額の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比(%)
翻訳事業(千円)8,112,30695.4
派遣事業(千円)1,200,061100.6
通訳事業(千円)1,022,36898.4
コンベンション事業(千円)782,299115.5
その他(千円)433,54273.1
合計(千円)11,550,57996.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当連結会計年度における主な相手先に対する販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先も当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における財政状態や報告期間における経営成績の数値に影響を与える見積りや仮定を設定しなければなりません。数値の算定や評価にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積りや判断を行いますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(追加情報)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における需要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、現時点において入手可能な情報と当社の事業計画の進捗状況等の情報に基づき検討等を行っております。
当社グループは、特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
a.固定資産(のれんを含む)の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価などが含まれますが、長期的な見積りに基づくため、当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
b.繰延税金資産
当社グループは、回収可能性があると判断した将来減算一次差異について繰延税金資産を計上しております。回収可能性を判断する際には、事業計画等に基づき将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(1)当社グループの当連結会計年度の経営成績等
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,213百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が増加し、受取手形及び売掛金が減少したことによるものであります。固定資産は1,009百万円となり、前連結会計年度末に比べ256百万円減少いたしました。これは主に社内システムの開発費用の減損計上により無形固定資産が減少したことによるものであります。
この結果、総資産は6,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ263百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,503百万円となり、前連結会計年度末に比べ471百万円減少いたしました。これは主に買掛金及び未払法人税が減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,676百万円となり、前連結会計年度末に比べ459百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は4,545百万円となり、前連結会計年度末に比べ195百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上および剰余金の配当によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、米国の通商政策による貿易摩擦や中国経済の成長鈍化などによる世界経済減速への懸念から製造業の景況感が低下基調で推移したことに加え、第4四半期に入ってからは新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う経済活動への影響により、先行きは極めて不透明な状況で推移いたしました。このような環境のもと、当社グループは2019年3月期からの3カ年計画である第四次中期経営計画に基づき、中核事業である翻訳事業の持続的成長を目指すとともに翻訳支援ツールや機械翻訳など最先端技術の積極的な活用を推進め、企業のグローバル展開に伴う翻訳・通訳需要の獲得に努めてまいりました。
しかしながら、当社グループの当連結会計年度の売上高は、コンベンション事業の売上が伸長したものの、コアビジネスである翻訳事業の減収が影響し、前期比3.8%減の11,550百万円となりました。翻訳事業の粗利率は向上しましたが、売上高減による売上総利益減少により、営業利益は前期比9.6%減の813百万円、経常利益は前期比9.1%減の822百万円となりました。また、社内システム開発に伴う固定資産の減損損失を計上したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比51.6%減の304百万円となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(翻訳事業)
特許分野では、国際出願件数の増加を背景に特許事務所からの受注が好調を維持していることに加え、企業知的財産関連部署との取引も堅調なことから、売上高は前期比5.5%増の2,258百万円となりました。医薬分野では、主要顧客である製薬会社向けAI翻訳の共同開発等に取り組むなどサービスの拡充を図っておりますが、当期に実施の査察案件が少なかった影響を受け、売上高は前期比5.1%減の2,749百万円となりました。工業・ローカライゼーション分野では、主要顧客である自動車関連企業および電機・電子部品関連企業等からの受注が低調に推移し、売上高は前期比9.2%減の2,472百万円となりました。金融・法務分野では、企業の管理系部署からの受注が低調に推 移したことなどにより、売上高は前期比15.0%減の632百万円となりました。
これらの結果、翻訳事業の売上高は前期比4.6%減の8,112百万円となりました。
(派遣事業)
語学スキルの高い人材を派遣する派遣事業においては、金融関連企業やITサービス関連企業、医薬品関連企業からの求人が堅調に推移し、売上高は前期比0.6%増の1,200百万円となりました。(通訳事業)
(通訳事業)
通訳事業においては、金融・IR関連企業を中心に受注は好調に推移していましたが、第4四半期に新型コロナウイルス感染症拡大に伴うキャンセルが急増したことから、売上高は前期比1.6%減の1,022百万円となりました。
(コンベンション事業)
コンベンション事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い中止や延期となる会議が発生しましたが、「第12回世界鉄道研究会議(WCRR2019)」などの国際会議案件や、医学会案件、企業イベントなどの受託・運営が寄与し、売上高は前期比15.5%増の782百万円となりました。
(その他)
その他のセグメントにおいては、前連結会計年度に株式会社メディア総合研究所のIT事業を売却した影響など
から、売上高は前期比26.9%減の433百万円となりました。
c.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(2)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは、登録スタッフである翻訳者・通訳者等への仕入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金需要につきましては、主に事務所等の建物附属設備や情報処理・翻訳制作工程に利用するための無形固定資産への投資等があります。
当社グループの現在の運転資金につきましては、内部資金より充当しておりますが、必要に応じて外部より調達することがあります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,678百万円であり、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高はありません。
(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2021年3月期を最終期とする第四次中期経営計画において、売上高営業利益率10%および自己資本利益率(ROE)15%以上を経営指標として定めてまいりました。この結果、当連結会計年度の売上高営業利益率は前年比0.4ポイント減の7.0%、自己資本利益率(ROE)は前年比8.4ポイント減の6.8%となりました。
当社グループはこれら経営指標の達成に向け、さらなる収益性と資本効率の向上を目指してまいります。