有価証券報告書-第35期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 13:46
【資料】
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【項目】
125項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は6,295百万円となり、前連結会計年度末に比べ72百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は1,770百万円となり、前連結会計年度末に比べ93百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,524百万円となり、前連結会計年度末に比べ21百万円減少いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高9,910百万円(前期比14.1%減)、営業利益418百万円(前期比48.5%減)、経常利益は465百万円(前期比43.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益117百万円(前期比61.4%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
翻訳事業は、売上高7,520百万円(前期比7.3%減)となりました。
派遣事業は、売上高1,228百万円(前期比2.3%増)となりました。
通訳事業は、売上高477百万円(前期比53.2%減)となりました。
語学教育事業は、売上高104百万円(前期比39.1%減)となりました。
コンベンション事業は、売上高298百万円(前期比61.8%減)となりました。
その他のセグメントは、売上高280百万円(前期比7.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,989百万円となり、前連結会計年度末に比べ311百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは439百万円の収入(前期は627百万円の収入)となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上271百万円及び減損損失による計上192百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは19百万円の収入(前期は183百万円の支出)となりました。
主な要因は、定期預金の払戻による収入80百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは141百万円の支出(前期は116百万円の支出)となりました。
主な要因は、配当金の支払額139百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比(%)
翻訳事業(千円)3,939,61092.9
コンベンション事業(千円)178,16529.3
その他(千円)65,790118.4
合計(千円)4,183,56685.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.内部取引については相殺消去しております。
3.派遣事業、通訳事業、語学教育事業については、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
b.受注実績
当社の業務においては、受注時に翻訳内容(言語、納品日、納品形態等)は決定されますが、受注金額の算定基礎となるページ数、ワード数、文字数等が確定しないため、受注金額の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比(%)
翻訳事業(千円)7,520,06892.7
派遣事業(千円)1,228,589102.3
通訳事業(千円)477,96646.7
語学教育事業(千円)104,57160.8
コンベンション事業(千円)298,78138.1
その他(千円)280,901107.3
合計(千円)9,910,87785.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当連結会計年度における主な相手先に対する販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先も当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等
イ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,515百万円となり、前連結会計年度末に比べ301百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が増加したことによるものであります。固定資産は780百万円となり、前連結会計年度末に比べ228百万円減少いたしました。これは主にのれんの減損損失を計上したことにより、無形固定資産が減少したことによるものであります。
この結果、総資産は6,295百万円となり、前連結会計年度末に比べ72百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,595百万円となり、前連結会計年度末に比べ92百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,770百万円となり、前連結会計年度末に比べ93百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は4,524百万円となり、前連結会計年度末に比べ21百万円減少いたしました。これは主に剰余金の配当によるものであります。
ロ 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により前半は大きく落ち込んだものの、後半にかけて景気は一部持ち直しの動きが見られました。しかしながら、同感染症の再拡大により、2021年1月に再度緊急事態宣言が発令されるなどの影響を受け、景気回復のペースは鈍化し、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境におきましても、翻訳事業では顧客企業のテレワークの導入拡大に伴う事業活動の停滞の影響、通訳事業及びコンベンション事業では対面での会議・商談の自粛や国際会議(学会・研究会)やセミナー・シンポジウム、各種展示会等の開催中止・延期などの影響もあり、厳しい状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループは当連結会計年度が最終年度となる第四次中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)で掲げた重点施策を継続的に推進し、中核事業である翻訳事業の持続的成長を目指すとともに翻訳支援ツールや機械翻訳など最先端技術の積極的な活用を推し進め、企業のグローバル展開に伴う翻訳・通訳需要の獲得に努めてまいりました。また、オンラインによる営業活動の推進や非対面で通訳業務が遂行できる電話会議やWeb会議など、従来の形態にとらわれないサービスを積極的に提案するなど、受注機会の創出に向けた取り組みを進めてまいりました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては売上高は前期比14.1%減の9,910百万円、営業利益は前期比48.5%減の418百万円、経常利益は前期比43.4%減の465百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比61.4%減の117百万円となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(翻訳事業)
特許分野では特許事務所からの受注が低調に推移したため、売上高は前期比7.0%減の2,100百万円となりました。医薬分野では外資製薬会社からの受注が好調に推移し、国内製薬会社との取引も堅調なことから、売上高は前期比4.5%増の2,875百万円となりました。工業・ローカライゼーション分野ではIT・情報通信企業をはじめに需要回復の動きが見られましたが、主要顧客である自動車関連企業からの受注が伸び悩み、売上高は前期比17.5%減の2,038百万円となりました。金融・法務分野では金融機関、企業の管理系部署からの受注が低調に推移し、売上高は前期比20.0%減の505百万円となりました。
これらの結果、翻訳事業の売上高は前期比7.3%減の7,520百万円となりました。
(派遣事業)
語学スキルの高い人材を派遣する派遣事業においては新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により新規顧客の獲得は限定されたものの、既存顧客との取引が堅調に推移したため、売上高は前期比2.3%増の1,228百万円となりました。
(通訳事業)
通訳事業においては、新型コロナウイルス感染拡大防止策の継続に伴う対面での会議通訳案件の受注減少により、売上高は前期比53.2%減の477百万円となりました。Web会議システムの普及が進む中、オンライン通訳の実績を着実に積み重ねており、引き続きサービスの拡充を進めてまいります。
(語学教育事業)
語学教育事業においては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により通訳者・翻訳者養成スクール「アイ・エス・エス・インスティテュート」の講座開講を中止・延期したことから、売上高は前期比39.1%減の104百万円となりました。
(コンベンション事業)
コンベンション事業においては「日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会」を始めとする医学会案件の受託・運営を行いましたが、大型国際会議の開催中止・延期の影響から、売上高は前期比61.8%減の298百万円となりました。
(その他)
その他のセグメントにおいては、外国への特許出願に伴う明細書の作成や出願手続きを行う株式会社外国出願支援サービスが順調に推移したことなどから、売上高は前期比7.3%増の280百万円となりました。
ハ キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは、登録スタッフである翻訳者・通訳者等への仕入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金需要につきましては、主に事務所等の建物附属設備や情報処理・翻訳制作工程に利用するための無形固定資産への投資等があります。
当社グループの現在の運転資金につきましては、内部資金より充当しておりますが、必要に応じて外部より調達することがあります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,989百万円であり、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高はありません。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2021年3月期を最終期とする第四次中期経営計画において、売上高営業利益率10%および自己資本利益率(ROE)15%以上を経営指標として定めてまいりました。経営指標の達成に向け各種施策に取り組んでまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により景気は大幅に落ち込み、当社グループを取り巻く環境も厳しい状況となり、この結果、当連結会計年度の売上高営業利益率は前年比2.8ポイント減の4.2%、自己資本利益率(ROE)は前年比4.2ポイント減の2.5%となりました。
収益性と資本効率の向上を目指し、現在当社グループでは中核事業である翻訳事業の持続的成長に向け、翻訳支援ツールや機械翻訳など最先端技術の積極的な活用を推し進めております。また、従来の形態に捉われないオンラインでの営業活動や非対面で通訳業務が遂行できる電話会議、Web会議などを提案し、受注機会の創出に向けた取り組みを行っております。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における財政状態や報告期間における経営成績の数値に影響を与える見積りや仮定を設定しなければなりません。数値の算定や評価にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積りや判断を行いますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
a.固定資産(のれんを含む)の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、他の資産または資産グループから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位によって資産のグルーピングを行い、減損の兆候が認められ、減損損失の認識が必要となった資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
回収可能価額の見積りにおいて用いた主要な仮定は、次年度売上高予算、新型コロナウイルス感染症の影響および2023年3月期以降の期間に係る成長率であります。
b.繰延税金資産
当社グループは、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。回収可能性を判断する際には、予算等に基づき将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
回収可能性の判断において用いた主要な仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
c.関係会社株式の評価
当社が保有する関係会社株式は取得価額をもって貸借対照表価額とし、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した際に減損処理を行っております。
実質価額は原則として当該株式の発行会社の純資産額を基礎としておりますが、株式会社メディア総合研究所の株式については、超過収益力を反映させております。超過収益力は、株式の取得時の純資産価値と実際の取得価額の差額を基礎として算出しております。
連結財務諸表上、株式会社メディア総合研究所に係るのれんを含む資産グループについて減損損失を計上しているため、超過収益力の減少に伴う実質価額の著しい低下の有無の検討が会計上重要な見積りとなっております。
実質価額の著しい低下の有無の検討において用いた主要な仮定は、「第5 経理の状況 2.財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。