有価証券報告書-第16期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 15:47
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【項目】
144項目
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現には潜在的リスクや不確実性を含んでおり、さらに業績に影響を与える要因はこれに限定されるものではありません。したがって、諸要因の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 経営成績
当社グループは、エネルギー関連事業、自動車関連事業、金融関連事業、旅行関連事業及びその他の事業の5つの事業領域を展開しております。当連結会計年度におきましては、金融関連事業の一時的な不振により業績は前連結会計年度を下回りました。
(単位:百万円)
売上高営業利益経常利益親会社株主に
帰属する当期純利益
前連結会計年度
(2018年3月期)
14,3673,6163,3582,293
当連結会計年度
(2019年3月期)
11,780△1,710△1,712△1,812

(売上高、営業利益)
連結子会社である株式会社ビットポイントジャパン(以下「BPJ」という)において、仮想通貨価格下落の影響を一時的に受けたこと、及び経営管理態勢強化のための集中的なシステム構築等の費用増加が主な要因となり、当連結会計年度における売上高は、前期より2,587百万円減少し11,780百万円(前期比18%減)、営業損失は1,710百万円(前期は3,616百万円の営業利益)となりました。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、前期より1,333百万円増加し10,476百万円(前期比14.6%増)となりました。その主な要因は、エネルギー関連事業における、電力売買事業の売上増加に伴う電力調達量の増加によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前期より1,406百万円増加し3,014百万円(前期比87.4%増)となりました。その主な要因は、事業拡大に伴う人件費、地代家賃、及びマーケティング費用の増加等であります。
(営業外収益、営業外費用)
当連結会計年度における営業外収益は、前期に計上した仮想通貨分岐に伴う収入が今期は発生しなかったことが主な要因となり、前期より13百万円減少し3百万円となりました。他方、前期に計上した為替差損が今期は発生しなかったことが主な要因となり、当連結会計年度における営業外費用は、前期より269百万円減少し5百万円となりました。
(経常利益)
以上の結果、当連結会計年度における経常損失は1,712百万円(前期は3,358百万円の経常利益)となりました。また、当連結会計年度における売上高経常利益率は、△14.53%となりました。
(特別損失)
投資有価証券評価損、関係会社出資金評価損、及び固定資産の減損損失の発生等により、当連結会計年度における特別損失は前期より70百万円増加し81百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。
(エネルギー関連事業)
エネルギー関連事業においては、電力売買事業、ならびに省エネルギー化支援コンサルティング、エネルギー管理システムの開発・販売、省エネルギー関連機器設備の販売を行っております。
電力売買事業においては、引き続き高圧需要家を主軸としながらも、家庭や商店などの低圧需要家向けブランドとして「リミックスでんき」を立ち上げ、賃貸住宅フェア等のイベントへの出展で認知拡大を図りました。また、電気料金のクレジットカード決済は低圧需要家には普及しておりますが、2018年11月より高圧需要家も利用可能として差別化を図るとともに、利用金額に応じたポイント還元プログラムを導入することでサービスを拡充いたしました。これらの施策により電力需給契約件数及び契約電力量が拡大し、また季節要因による利益変動を平準化するため契約体系の改定等も実施した結果、売上・利益ともに前連結会計年度を上回りました。
省エネコンサルティング事業においては、「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」に係るエネマネ事業者として5年度連続で登録採択されました。エネルギー使用合理化等事業者支援補助金に加え、各種交付団体の補助金コンサルティングにより収益源を拡大するとともに、補助金採択基準の見極め精緻化により採択件数が増加いたしました。また、省エネルギー化や再生可能エネルギーを建築物に導入する「ZEBプランナー」登録を取得し、提供するソリューションの拡大を図りました。
以上の結果、当セグメントの売上高は6,715百万円(前連結会計年度比10.9%増)、セグメント利益(営業利益)266百万円(同280.4%増)となりました。
(自動車関連事業)
自動車関連事業においては、中古車販売事業者との中古車売買、及び中古車売買に関するコンサルティング等を行っております。
中古車売買事業は、業者間売買であることもあり粗利率の向上は見込みにくい一方で、仕入から販売、決済に至る回収期間が短いため、資本効率が高い事業となっています。
当連結会計年度においては前連結会計年度よりもセグメント利益が下回ることとなりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は3,640百万円(前連結会計年度比6.3%増)、セグメント利益(営業利益)12百万円(同62.2%減)となりました。
(金融関連事業)
金融関連事業においては、仮想通貨交換業者として登録されたBPJが仮想通貨交換所の運営を行っており、現物取引のサービスに加え、仮想通貨関連事業として証拠金取引サービス(レバレッジ取引サービス/ビットポイントMT4取引サービス)を提供しております。
仮想通貨市場は2017年末にかけて活況を呈しましたが、2018年1月にみなし仮想通貨交換業者における仮想通貨不正流出事件が発覚した影響などを起点として、過熱した市場は反転しました。2018年は全体を通して低調に推移しましたが、1月から3月、また11月にビットコイン価格が急落するなど、変動の激しい状況が続きました。2019年に入り、市場には明るい兆しも見られますが、依然として先行き不透明な状況が続いております。
そのような状況のもと、BPJは2018年6月22日付で関東財務局より仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行のため、業務の運営に必要な措置を講じるよう業務改善命令を受け、7月23日に業務改善計画を提出し、以後毎月の進捗・実施状況を報告しております。
安心・安全な仮想通貨取引」を実現するため、BPJは経営管理態勢の強化を最重要課題と位置付けております。監査役会設置会社へ移行することでガバナンス機能の充実を図るとともに、情報セキュリティ格付けの取得やセキュリティシステムの導入など顧客資産の保護態勢を強化しました。
マーケティング活動としましては、企業の知名度やブランドイメージの向上を図り、大規模な個人投資家向けセミナーの実施による仮想通貨・ブロックチェーンの啓発にも取り組みました。
また、機能性を高めた仮想通貨取引ツール『BITPointAdvance』の提供を開始するとともに、BITPointPay(店舗決済アプリ)で決済通貨としてビットコインキャッシュ(BCH)を追加するなど、利用者の利便性向上策にも対応しました。
2019年1月には、第一種金融商品取引業を目的とするスマートフィナンシャル株式会社を設立し、グループ全体として金融関連事業のサービス拡大を図りました。
しかしながら、売上面では第3四半期において取引量の増加に対してトレーディング用に保有する仮想通貨を一時的に増加させたために仮想通貨価格下落の影響を受け、利益面ではFATF第4次対日審査に向けたマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策のための集中的なシステム構築等による費用増加を主要因として減益となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,337百万円(前連結会計年度比71.9%減)、セグメント損失(営業損失)1,237百万円(前連結会計年度は営業利益3,936百万円)となりました。
(旅行関連事業)
旅行関連事業においては、主にインバウンド旅行者のニーズに応えるべく、連結子会社である株式会社ジャービス(以下「JARVIS」という)が、ホテル事業開発、宿泊施設の運営、及びブランディング・デザイン等のサービスを展開しております。
ますます高まるインバウンド旅行者の需要に呼応し、JARVISでは、2020年までに時代即応型のスマートホテル(自社ブランド:4棟、他社ブランド:6棟)の企画開発を進めております。
2017年12月に東京都中央区京橋で着工した自社案件第1号となるホテル「an/other TOKYO(アナザー トウキョウ」につきましては、2019年5月の開業に向けた準備を推進いたしました。また、2018年7月より東京都港区東麻布でのホテル開発に取り組んでおり、京都、福岡ではホテル開発・開業のコンサルティングを進めました。
しかしながら、事業立ち上げ期であることから、開業間近である京橋案件の運営準備費用が発生している一方で、開発投資案件の収益寄与には至っておりません。
以上の結果、当セグメントの売上高は56百万円(前連結会計年度比28.9%減)、セグメント損失(営業損失)73百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)18百万円)となりました。
(その他事業)
その他事業においては、主にマーケティングコンサルティング事業等を行っております。
以上の結果、当セグメントの売上高は30百万円(前連結会計年度比48.0%減)、セグメント利益(営業利益)24百万円(同57.0%減)となりました。
仕入および販売の実績は以下のとおりであります。
(1)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比
(%)
エネルギー関連事業(百万円)6,032112.5
自動車関連事業(百万円)3,64097.8
金融関連事業(百万円)
旅行関連事業(百万円)
その他(百万円)
合計(百万円)9,672106.4

(注) 仕入実績には消費税等は含まれておりません。
(2)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比
(%)
エネルギー関連事業(百万円)6,715110.9
自動車関連事業(百万円)3,640106.3
金融関連事業(百万円)1,33728.1
旅行関連事業(百万円)5671.1
その他(百万円)3052.0
合計(百万円)11,78082.0

(注) 販売実績には消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
<連結貸借対照表の要約>(単位:百万円)
前連結会計年度末
(2018年3月期末)
当連結会計年度末
(2019年3月期末)
増減
総資産18,57521,7973,221
負債合計8,49113,5765,084
純資産10,0838,221△1,862

(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、20,144百万円となり、前連結会計年度末(13,310百万円)に比べ、6,833百万円増加となりました。主な要因は、仮想通貨5,680百万円、預け金1,370百万円の増加等によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,652百万円となり、前連結会計年度末(5,264百万円)に比べ、3,612百万円減少となりました。主な要因は、敷金及び保証金4,212百万円、ソフトウェア仮勘定37百万円の減少、ソフトウェア386百万円の増加等によるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、13,565百万円となり、前連結会計年度末(8,435百万円)に比べ、5,129百万円増加となりました。主な要因は、仮想通貨預り金3,883百万円、仮想通貨借入金2,006百万円の増加等によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、10百万円となり、前連結会計年度末(55百万円)に比べ、45百万円減少となりました。主な要因は、長期借入金50百万円の減少によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、8,221百万円となり、前連結会計年度末(10,083百万円)に比べ、1,862百万円減少となりました。主な要因は、利益剰余金1,869百万円の減少等によるものです。
(財務比率)
当連結会計年度末における流動比率は、前連結会計年度末に比べ9.3ポイント下降し、148.5%となりました。
また、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ16.5%下降し、37.7%となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより利益剰余金が減少したことが主な要因であります。
(3) キャッシュ・フロー
<連結キャッシュ・フロー計算書の要約>(単位:百万円)
前連結会計年度
(2018年3月期)
当連結会計年度
(2019年3月期)
営業活動によるキャッシュ・フロー215640
投資活動によるキャッシュ・フロー△572△957
財務活動によるキャッシュ・フロー6,136△213
現金及び現金同等物の期末残高6,9826,451

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は6,451百万円となり、前連結会計年度末(6,982百万円)に比べ、531百万円減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は640百万円(前期は215百万円の収入)となりました。これは主に仮想通貨の増加5,678百万円、仮想通貨預り金の増加額3,883百万円、営業保証金の減少額2,892百万円、仮想通貨借入金の増加額2,006百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は957百万円(前期は572百万円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出523百万円、出資金の払込による支出170百万円、関係会社出資金の払込による支出134百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は213百万円(前期は6,136百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出100百万円、短期借入金の減少額60百万円、配当金の支払額55百万円などによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性の分析につきましては、上記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
次期におきましては、成長可能性の大きい金融関連事業において仮想通貨交換業における財務基盤強化及び顧客の利便性向上のためのシステム対応等の諸施策を行う予定であります。
なお、2019年5月22日付けの取締役会において、第三者割当による新株式及び新株予約権の募集を行うことを決議し、2019年6月7日付けで払込が完了しております。