有価証券報告書-第22期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/27 15:33
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、政府・日本銀行による各種経済・金融政策を背景に、企業収益や所得・雇用情勢が改善する中で、個人消費も持ち直し、緩やかな景気回復基調が継続しております。今後の先行きについては、回復基調が継続することが期待される一方で、依然として海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響等に留意する必要があり、不透明な状態が続いております。当社グループが主にサービスを提供する不動産業界は、労務費や資材価格の上昇、相続税法改正による資産活用ニーズが一巡したことを受け、前年に比べ新規供給戸数の減少が見られ、賃貸住宅市場においても新設住宅着工件数が9ヶ月連続、前年同月比微減で推移したものの、都市部を中心に賃貸アパートの建築需要は引き続き底堅く推移いたしました。
このような状況の下、当社グループの当連結会計年度は、集合住宅向けISP事業につきましては、家賃下落と空室対策を目的に不動産の差別化・高付加価値化への動きがより一層拡大したことを背景に、大手顧客からの安定的な受注、髙松エステート株式会社とのOEM契約締結等の新規獲得を推進し、前連結会計年度末と比べ契約数は大幅に増加いたしました。また、回線品質向上の取り組み及びサービスメニューの強化等、顧客満足度向上を図り、利用者サービスの充実を継続的に推進したことにより、解約数は低水準で推移いたしました。
以上の結果、当連結会計年度におけるサービス提供戸数は、前連結会計年度末に比べ66,564戸増の257,655戸となりました。
ネットワークサービス事業につきましては、MSPサービスやホスティングサービスにおいて、継続的な顧客の囲い込み等により、堅調に推移いたしました。また、システム開発事業においては、オーナー様向け新オプション機能等の拡充効果により、既存顧客への提供サービスのカスタマイズ、新規顧客の獲得ともに着実な成果をあげております。加えて、入居者様の暮らしをより快適で豊かにする住環境の実現のため、株式会社Live Smartと共同開発したIoTプラットフォームサービスにつきましては、大東建託株式会社及び東京電力パワーグリッド株式会社とスマート賃貸住宅の実証実験を開始する等、サービスの提供・普及に向けた取組みが進展いたしました。同時に、より競争力の高い住環境領域向けIoTサービスの実現に向けて、株式会社ユーエムイーとIoT関連サービスの共同展開を実施する等の施策を講じました。
不動産事業につきましては、集合住宅向けISPに次ぐ事業の柱とすべく、連結子会社である株式会社フォーメンバーズが直接運営するイオンハウジングフランチャイズ店11店舗(当連結会計年度新規出店:6店舗、既存店舗:5店舗)の営業体制の強化をはじめ、さらなる連携強化を通した企業体質及び業績改善に向けた取り組みを継続してまいりました。また、AHN展開及びナーブ株式会社と共同展開する世界初となるVR不動産遠隔接客店舗『どこでもストア™』につきましても、各種展示会への出展や営業活動による認知度向上等、サービスの展開・拡大に向けた準備を推し進めました。
上記に加え、両社のIoTプラットフォームサービス及びVR遠隔接客サービスの拡販、両社の有するノウハウ・顧客基盤の共有や、新規事業開発におけるサービス及び技術連携を目的にPropre Pte.Ltd.との間で、資本業務提携契約を締結いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、6,354,712千円(前連結会計年度比69.3%増)、経常利益540,091千円(前連結会計年度比15.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益286,062千円(前連結会計年度比6.4%減)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
HomeIT事業
集合住宅向けISP事業につきましては、大手顧客からの安定的な受注及び髙松エステート株式会社とのOEM契約締結等の新規獲得を推進し、また、回線品質向上の取り組み及びサービスメニューの強化等、顧客満足度向上を図り、利用者サービスの充実を継続的に進めたことにより、解約数を低水準に維持することができ、当連結会計年度におけるサービス提供戸数は前連結会計年度末に比べ66,564戸増の257,655戸となりました。
ネットワークサービス事業においては、システムの運用・監視を行うMSPサービスや、サーバレンタルなどのホスティングサービスにおいて、継続的な顧客の囲い込み等により、堅調に推移し、システム開発事業においても、オーナー向け新オプション機能等の拡充効果により、既存顧客への提供サービスの追加、新規顧客の獲得ともに着実な成果をあげました。
以上の結果、売上高は5,865,737千円(前年同期比57.1%増)となり、また、インターネット回線等の原価の見直しを行い、売上原価を抑えられたことにより、集合住宅向けISP事業の拡大に向けた体制の強化に伴う人件費等の増加分を吸収し、セグメント利益は1,724,265千円(前年同期比67.0%増)となりました。
不動産事業
不動産事業につきましては、連結子会社である株式会社フォーメンバーズの組織体制の改善及び強化を行い、人的リソースを流動的に活用できる体制を構築し、不動産事業の収益化に向けて新たな体制で取り組んでまいりました。しかし、同社が直接運営する店舗の新規出店や、それに伴う人材採用、教育等への先行投資に加え、イオンモール株式会社との出店調整の影響等により、AHN店舗開発の展開が遅れました。
以上の結果、売上高は470,884千円となり、セグメント損失は328,249千円となりました。
その他
その他の事業につきましては、人材派遣及び当社所有の不動産賃貸を行い、当社所有の不動産を売却したことによる家賃収入の減少により、売上高は19,236千円(前年同期比6.5%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,988,807千円と前年同期と比べ641,216千円(47.6%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度においては、税金前当期純利益は540,925千円と前年同期と比べ70,568千円(15.0%)の増益となりましたが、主に売上債権の増加479,878千円、たな卸資産の増加129,784千円により、得られた資金は144,361千円となり、前年同期と比べ収入が170,695千円(54.2%)の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度においては、有形固定資産の売却による収入36,227千円があったものの、主に投資有価証券の取得による支出198,738千円、保証金の差入による支出126,173千円により、使用した資金は387,228千円となり、前年同期と比べ支出が100,567千円(35.1%)の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度においては、短期借入金の減少額311,500千円、長期借入金の返済による支出200,530千円がありましたが、主に社債の発行による収入981,181千円により、得られた資金は884,083千円となり、前年同期と比べ収入が571,322千円(182.7%)の増加となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは事業の性質上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
HomeIT事業2,056,441173.5174,503127.1

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
HomeIT事業5,865,73757.1
不動産事業469,738-

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
販売先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
D.U-NET株式会社1,729,34046.12,767,57043.6

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生ずる実際の結果と異なる可能性を含んでおりますので、ご留意ください。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主にのれん、貸倒引当金、繰延税金資産であり、継続して評価を行っております。
②財政状態の分析
a.資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における資産につきましては、現金及び預金が641,216千円増加、受取手形及び売掛金が478,300千円増加したことで、流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,294,445千円の増加となりました。その結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ2,056,300千円増加し、4,746,061千円となりました。
負債につきましては、社債の発行により1,000,000千円、リース債務が491,285千円増加したことにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ1,816,095千円増加し、3,160,480千円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益が286,062千円となったこと等により1,585,581千円となりました。
資産が増加した主要因は、当社連結グループのビジネス拡充に伴う運転資金の拡大のため、低金利の時期に社債発行によって資金の調達を行ったこととなります。
この結果、自己資本比率は33.4%となっております。
b.資金の流動性
当連結会計年度における資金の主な増減要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
c.資金の源泉
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の41.9%を占める1,988,807千円であり、当該残高に加え、営業キャッシュ・フローの実績及び未使用の借入枠を勘案すると、将来の予想可能な運転資金及び資本的支出等の資金需要に対して、十分であると考えております。
③経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、不動産事業において、AHN展開の遅れから計画を下回ったものの、HomeIT事業において、ハウスメーカーや不動産管理会社等へのOEM提供及び賃貸住宅向けサービスの提供戸数が大幅に増加し、分譲住宅向けサービスも堅調に推移したことから計画を大幅に上回り、予算比11.0%増の6,354,712千円(前年同期比69.3%増)となりました。
b.売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、不動産事業において、売上高の未達により、売上総利益も計画を下回ったものの、HomeIT事業においては、売上増加したこと、また売上の増加に比して、インターネット回線の調達先の分散を図りつつ、売上原価が抑えられたことにより、予算比11.5%増の売上総利益は2,359,530千円(前年同期比72.4%増)となりました。
c.販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、HomeIT事業においては、ISPサービスの提供戸数の大幅な増加に対応する営業、施工管理体制の強化による人件費等の増加、他方、不動産事業においては、新規出店に伴う先行投資費用の増加により、予算比13.7%増の1,800,105千円(前年同期比107.4%増)となりました。
d.営業利益
当連結会計年度の営業利益は、上記の結果、予算比5.1%増の559,425千円(前年同期比11.7%増)となりました。営業利益率につきましては、不動産事業の先行投資により、前連結会計年度13.3%に比べ4.5%減の8.8%となっております。
e.経常利益
経常利益は、売上の増加や、助成金による収入が発生したことにより、予算比3.0%増の540,091千円(前年同期比15.8%増)となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の結果、予算比10.6%減の286,062千円(前年同期比6.4%減)となりました。