有価証券報告書-第39期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1 経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、個人消費の持ち直しの動きが見られ、雇用・所得環境が改善するなど、緩やかに回復してきました。
しかしながら、物価上昇や金融資本市場の変動、地政学リスクの高まり等の影響により、今後の経済の先行きには引き続き注意する必要があるものと考えられます。
このような状況のなか、当社グループは2025年3月に一新した経営理念とともに策定した「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」のもと、3つの重点戦略である「サステナブルなモビリティサービスの実現」、「事業間連携の強化によるまちづくり」及び「未来への種まき」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える4つの経営基盤強化の取り組みとして「労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充」、「環境課題への統合的なアプローチ」、「DX活用範囲の拡大と深堀り」、「グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築」に注力してまいりました。
この結果、営業収益は前期比10.1%増の5,003億93百万円、営業利益は前期比25.5%増の740億40百万円、EBITDAは前期比17.4%増の1,126億84百万円、経常利益は前期比24.3%増の740億32百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4.1%増の454億68百万円となりました。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、消費税率の引上げによるものを除き29年ぶりに運賃・料金改定を実施するとともに、サステナブルなモビリティサービスの実現に向け、様々な施策を展開しました。
当社グループの根幹である安全を最優先事項とし、DXの推進や新技術の活用により鉄道の持続可能性と収益性を追求する「未来鉄道プロジェクト」を推進しました。具体的には、2025年12月に鹿児島本線と日豊本線の一部区間においてGoA2.0自動運転を本格導入し自動運転の対象エリアを拡大するとともに、公衆回線を使用した無線式列車制御システムの開発を推進するなど、更なる鉄道の安全性、持続可能性、収益性を追求する施策に取り組みました。
営業面では、お客さま視点でのCX(顧客体験)改善をトップライン向上に繋げるべく、駅トイレのリニューアルプロジェクトである“恋するトイレプロジェクト”「HEARTFUL JR KYUSHU」など、快適な利用環境の整備を継続して推進しました。また、QRコード(注) を使用したチケットレスサービスの更なる拡充といったデジタルサービスの提供を通じて利便性を高め、窓口混雑の緩和や機器維持コストの削減に取り組むとともに、人気キャラクターとのタイアップ企画である「スーパーマリオ×JR九州 ~Let‘s GO KYUSHU!~」を展開するなど、新たな移動需要の創出に注力しました。
さらに、MaaSアプリ「my route」を活用した「九州MaaS」の推進により九州各地でデジタルきっぷの実装や複数の交通機関のシームレスな連携を強化しました。これらを観光・イベント・地域交通を束ねる仕組みとして定着させることで、モビリティサービスを軸とした「地域との共創によるまちづくり」を推進しました。
この結果、営業収益は前期比12.6%増の1,906億68百万円、営業利益は前期比96.7%増の239億76百万円、EBITDAは前期比52.3%増の386億70百万円となりました。
(注)QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
② 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、株式会社JR博多シティを中心に駅ビルテナント売上高が堅調に推移したほか、オフィスビルや物流施設を取得するなど、成長投資を実施しました。
不動産販売業においては、オフィスビル及び賃貸マンションを売却したほか、分譲マンション「MJR熊本ゲートタワー」や「MJR鹿児島中央駅前 ザ・ガーデン」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、新たに分譲マンション「MJR赤坂ゲートタワー」や「MJR浦上 THE ONCE」、「リビオタワー品川」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、インバウンド需要が堅調な中、稼働は安定して推移するとともに、効率的な事業運営に努めてまいりました。
この結果、営業収益は前期比9.3%増の1,566億94百万円、営業利益は前期比9.3%増の344億3百万円、EBITDAは前期比6.7%増の529億37百万円となりました。
③ 流通・外食グループ
小売業においては、コンビニエンスストア店舗の新規出店やリニューアルによる競争力強化等に取り組みました。飲食業においては、フランチャイズ店舗の新規出店による収入拡大を図ったほか、飲食事業店舗のメニュー刷新による集客力向上等に取り組みました。
また、JR九州フードサービス株式会社が株式会社スープストックトーキョーとフランチャイズ契約を締結し、本年3月より福岡県内4店舗の運営を開始しました。
この結果、営業収益は前期比7.1%増の718億10百万円、営業利益は前期比11.2%増の38億73百万円、EBITDAは前期比8.3%増の53億91百万円となりました。
④ 建設グループ
建設業においては、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組むとともに、北海道新幹線関連工事等の官公庁工事やマンション等の民間工事の新規受注に努めました。
また、生産性向上に向けた各種取り組みにより必要な施工能力を確保するとともに、人材確保への投資を継続したことで、安定した事業運営体制を維持しました。
さらに、BtoB・BtoG事業を強化し、グループ全体で更なる成長を目指すため、昨年4月に明治建設株式会社及び株式会社昭和テックスを連結子会社化しました。
この結果、営業収益は前期比10.4%増の1,110億87百万円、営業利益は前期比5.2%増の77億40百万円、EBITDAは前期比5.2%増の90億96百万円となりました。
⑤ ビジネスサービスグループ
建設機械販売・レンタル事業においては、積極的な営業活動を行い収益の確保に努めました。また、広告業を中心に新規受注の獲得やコスト削減に取り組みました。
このほか、JR九州サービスサポート株式会社を存続会社としてJR九州リネン株式会社を吸収合併する組織再編を行い、経営基盤を強化するとともに、清掃整備とリネンサプライの一体的な提供による一層のサービス向上を通じて、受注拡大を図りました。
この結果、営業収益は前期比1.9%増の841億66百万円、営業利益は前期比4.2%減の50億37百万円、EBITDAは前期比6.2%減の79億99百万円となりました。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
(注) 乗車効率は次の方法により算出されております。
② 収入実績
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、棚卸資産にかかる支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ238億16百万円減少し、728億53百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が減少したこと等により前連結会計年度に比べ202億79百万円減少し、871億30百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、長期借入れによる収入が増加したこと等により、125億9百万円となりました。(前期は69億31百万円の支出)
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億41百万円減少し、442億57百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また人的サービスの提供を主たる業務とする場合も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で表すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「1 経営成績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
2 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
① 営業収益
営業収益は、鉄道旅客運輸収入の増、不動産・ホテルの収入増などにより、前連結会計年度に比べ10.1%増の5,003億93百万円となり、5期連続の増収となりました。
運輸サービスセグメントは、前連結会計年度に比べ12.6%増加し、1,906億68百万円となりました。これは、当社の鉄道旅客運輸収入が、前連結会計年度に比べ14.1%増の1,726億4百万円となったことなどによるものです。
不動産・ホテルセグメントは、前連結会計年度に比べ9.3%増加し、1,566億94百万円となりました。これは、不動産販売業の収入増などによるものです。
流通・外食セグメントは、前連結会計年度に比べ7.1%増加し、718億10百万円となりました。これは、外食業の収入増などによるものです。
建設セグメントは、前連結会計年度に比べ10.4%増加し、1,110億87百万円となりました。これは、工事の増などによるものです。
ビジネスサービスセグメントは、前連結会計年度に比べ1.9%増加し、841億66百万円となりました。これは、受注の増などによるものです。
② 営業費
営業費は、前連結会計年度に比べ7.8%増加し、4,263億52百万円となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前連結会計年度に比べ8.4%増加し、2,873億13百万円となりました。これは、不動産販売原価の増等によるものです。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ6.6%増加し、1,390億38百万円となりました。これは、人件費の増等によるものです。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ25.5%増加し、740億40百万円となりました。
なお、営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の13.0%に対し、当連結会計年度は14.8%となりました。
④ 営業外損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ12.9%増加し、49億9百万円となりました。これは、受取配当金の増等によるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ30.9%増加し、49億17百万円となりました。これは支払利息の増等によるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ24.3%増加し、740億32百万円となりました。
なお、営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の13.1%に対し、当連結会計年度は14.8%となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べ29.1%減少し、77億97百万円となりました。これは、工事負担金等受入額の減等によるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ54.8%増加し、221億88百万円となりました。これは、プロジェクト撤退損の計上等によるものです。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ4.1%増加し、454億68百万円となりました。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ7.2%増加し、1兆2,224億30百万円となりました。流動資産は、仕掛品の増等により前連結会計年度末に比べ15.7%増加し、2,477億28百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増等により前連結会計年度末に比べ5.2%増加し、9,747億1百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ6.7%増加し、7,275億60百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーの減等により前連結会計年度末に比べ3.8%減少し、2,046億3百万円となりました。固定負債は、社債の増等により前連結会計年度末に比べ11.5%増加し、5,229億56百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ7.9%増加し、4,948億70百万円となりました。これは、利益剰余金の増等によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億41百万円減少し、442億57百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、棚卸資産にかかる支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ238億16百万円減少し、728億53百万円となりました。
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が減少したこと等により前連結会計年度に比べ202億79百万円減少し、871億30百万円となりました。
財務活動の結果得られた資金は、長期借入れによる収入が増加したこと等により125億9百万円となりました。(前期は69億31百万円の支出)
② 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③ 財務政策
資金調達については、財務健全性を維持しつつ主として借入余力を活用した投資計画や既存債務の返済資金のうち、当社グループのキャッシュ・フローで不足する部分を調達しております。その調達手段は、主に社債の発行や金融機関からの借入等、市場や金利の動向を総合的に勘案しながら決定しております。
当社グループはキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2030年及び2035年とする無担保普通社債を総額500億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA-の格付を取得しております。
当社グループは、資金の流動性確保のため、主要な取引銀行に当座借越枠を設定しております。また、コマーシャル・ペーパーについて、当社は株式会社格付投資情報センターよりa-1+の短期(CP)格付を取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高及びコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
1 経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、個人消費の持ち直しの動きが見られ、雇用・所得環境が改善するなど、緩やかに回復してきました。
しかしながら、物価上昇や金融資本市場の変動、地政学リスクの高まり等の影響により、今後の経済の先行きには引き続き注意する必要があるものと考えられます。
このような状況のなか、当社グループは2025年3月に一新した経営理念とともに策定した「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」のもと、3つの重点戦略である「サステナブルなモビリティサービスの実現」、「事業間連携の強化によるまちづくり」及び「未来への種まき」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える4つの経営基盤強化の取り組みとして「労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充」、「環境課題への統合的なアプローチ」、「DX活用範囲の拡大と深堀り」、「グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築」に注力してまいりました。
この結果、営業収益は前期比10.1%増の5,003億93百万円、営業利益は前期比25.5%増の740億40百万円、EBITDAは前期比17.4%増の1,126億84百万円、経常利益は前期比24.3%増の740億32百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4.1%増の454億68百万円となりました。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 営業収益 | 営業利益 | EBITDA(注2) | ||||||
| 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | |
| 運輸サービス | 190,668 | 21,330 | 12.6% | 23,976 | 11,789 | 96.7% | 38,670 | 13,277 | 52.3% |
| 不動産・ホテル | 156,694 | 13,281 | 9.3% | 34,403 | 2,919 | 9.3% | 52,937 | 3,328 | 6.7% |
| 不動産賃貸業 | 82,951 | 4,677 | 6.0% | 18,714 | 499 | 2.7% | 33,436 | 570 | 1.7% |
| 不動産販売業 | 39,673 | 6,774 | 20.6% | 8,346 | 1,886 | 29.2% | 8,358 | 1,883 | 29.1% |
| ホテル業 | 34,069 | 1,830 | 5.7% | 7,342 | 533 | 7.8% | 11,141 | 874 | 8.5% |
| 流通・外食 | 71,810 | 4,737 | 7.1% | 3,873 | 390 | 11.2% | 5,391 | 413 | 8.3% |
| 建設 | 111,087 | 10,467 | 10.4% | 7,740 | 380 | 5.2% | 9,096 | 449 | 5.2% |
| ビジネスサービス | 84,166 | 1,566 | 1.9% | 5,037 | △222 | △4.2% | 7,999 | △525 | △6.2% |
| 合計 | 614,427 | 51,384 | 9.1% | 75,031 | 15,257 | 25.5% | 114,094 | 16,942 | 17.4% |
| 調整額(注1) | △114,034 | △5,385 | - | △991 | △194 | - | △1,409 | △213 | - |
| 連結数値 | 500,393 | 45,999 | 10.1% | 74,040 | 15,063 | 25.5% | 112,684 | 16,729 | 17.4% |
(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、消費税率の引上げによるものを除き29年ぶりに運賃・料金改定を実施するとともに、サステナブルなモビリティサービスの実現に向け、様々な施策を展開しました。
当社グループの根幹である安全を最優先事項とし、DXの推進や新技術の活用により鉄道の持続可能性と収益性を追求する「未来鉄道プロジェクト」を推進しました。具体的には、2025年12月に鹿児島本線と日豊本線の一部区間においてGoA2.0自動運転を本格導入し自動運転の対象エリアを拡大するとともに、公衆回線を使用した無線式列車制御システムの開発を推進するなど、更なる鉄道の安全性、持続可能性、収益性を追求する施策に取り組みました。
営業面では、お客さま視点でのCX(顧客体験)改善をトップライン向上に繋げるべく、駅トイレのリニューアルプロジェクトである“恋するトイレプロジェクト”「HEARTFUL JR KYUSHU」など、快適な利用環境の整備を継続して推進しました。また、QRコード(注) を使用したチケットレスサービスの更なる拡充といったデジタルサービスの提供を通じて利便性を高め、窓口混雑の緩和や機器維持コストの削減に取り組むとともに、人気キャラクターとのタイアップ企画である「スーパーマリオ×JR九州 ~Let‘s GO KYUSHU!~」を展開するなど、新たな移動需要の創出に注力しました。
さらに、MaaSアプリ「my route」を活用した「九州MaaS」の推進により九州各地でデジタルきっぷの実装や複数の交通機関のシームレスな連携を強化しました。これらを観光・イベント・地域交通を束ねる仕組みとして定着させることで、モビリティサービスを軸とした「地域との共創によるまちづくり」を推進しました。
この結果、営業収益は前期比12.6%増の1,906億68百万円、営業利益は前期比96.7%増の239億76百万円、EBITDAは前期比52.3%増の386億70百万円となりました。
(注)QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
② 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、株式会社JR博多シティを中心に駅ビルテナント売上高が堅調に推移したほか、オフィスビルや物流施設を取得するなど、成長投資を実施しました。
不動産販売業においては、オフィスビル及び賃貸マンションを売却したほか、分譲マンション「MJR熊本ゲートタワー」や「MJR鹿児島中央駅前 ザ・ガーデン」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、新たに分譲マンション「MJR赤坂ゲートタワー」や「MJR浦上 THE ONCE」、「リビオタワー品川」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、インバウンド需要が堅調な中、稼働は安定して推移するとともに、効率的な事業運営に努めてまいりました。
この結果、営業収益は前期比9.3%増の1,566億94百万円、営業利益は前期比9.3%増の344億3百万円、EBITDAは前期比6.7%増の529億37百万円となりました。
③ 流通・外食グループ
小売業においては、コンビニエンスストア店舗の新規出店やリニューアルによる競争力強化等に取り組みました。飲食業においては、フランチャイズ店舗の新規出店による収入拡大を図ったほか、飲食事業店舗のメニュー刷新による集客力向上等に取り組みました。
また、JR九州フードサービス株式会社が株式会社スープストックトーキョーとフランチャイズ契約を締結し、本年3月より福岡県内4店舗の運営を開始しました。
この結果、営業収益は前期比7.1%増の718億10百万円、営業利益は前期比11.2%増の38億73百万円、EBITDAは前期比8.3%増の53億91百万円となりました。
④ 建設グループ
建設業においては、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組むとともに、北海道新幹線関連工事等の官公庁工事やマンション等の民間工事の新規受注に努めました。
また、生産性向上に向けた各種取り組みにより必要な施工能力を確保するとともに、人材確保への投資を継続したことで、安定した事業運営体制を維持しました。
さらに、BtoB・BtoG事業を強化し、グループ全体で更なる成長を目指すため、昨年4月に明治建設株式会社及び株式会社昭和テックスを連結子会社化しました。
この結果、営業収益は前期比10.4%増の1,110億87百万円、営業利益は前期比5.2%増の77億40百万円、EBITDAは前期比5.2%増の90億96百万円となりました。
⑤ ビジネスサービスグループ
建設機械販売・レンタル事業においては、積極的な営業活動を行い収益の確保に努めました。また、広告業を中心に新規受注の獲得やコスト削減に取り組みました。
このほか、JR九州サービスサポート株式会社を存続会社としてJR九州リネン株式会社を吸収合併する組織再編を行い、経営基盤を強化するとともに、清掃整備とリネンサプライの一体的な提供による一層のサービス向上を通じて、受注拡大を図りました。
この結果、営業収益は前期比1.9%増の841億66百万円、営業利益は前期比4.2%減の50億37百万円、EBITDAは前期比6.2%減の79億99百万円となりました。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
| 区分 | 単位 | 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||||
| 前年同期比(%) | ||||||
| 営業日数 | 日 | 365 | 100.0 | |||
| 営業キロ | 新幹線 | キロ | 358.5 | 100.0 | ||
| 在来線 | 〃 | 1,984.1 | 100.0 | |||
| 計 | 〃 | 2,342.6 | 100.0 | |||
| 客車走行キロ | 新幹線 | 千キロ | 65,594 | 100.9 | ||
| 在来線 | 〃 | 202,519 | 101.1 | |||
| 計 | 〃 | 268,113 | 101.1 | |||
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 210,042 | 98.1 | ||
| 定期外 | 〃 | 118,754 | 100.8 | |||
| 計 | 〃 | 328,797 | 99.1 | |||
| 輸送人キロ | 新幹線 | 定期 | 千人キロ | 242,991 | 103.7 | |
| 定期外 | 〃 | 1,773,861 | 101.3 | |||
| 計 | 〃 | 2,016,853 | 101.5 | |||
| 在来線 | 幹線 | 定期 | 〃 | 3,182,532 | 97.3 | |
| 定期外 | 〃 | 2,522,919 | 99.1 | |||
| 計 | 〃 | 5,705,452 | 98.1 | |||
| 地方 交通線 | 定期 | 〃 | 479,143 | 96.6 | ||
| 定期外 | 〃 | 291,554 | 98.6 | |||
| 計 | 〃 | 770,698 | 97.4 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 3,661,676 | 97.2 | ||
| 定期外 | 〃 | 2,814,474 | 99.0 | |||
| 計 | 〃 | 6,476,150 | 98.0 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 3,904,668 | 97.6 | ||
| 定期外 | 〃 | 4,588,335 | 99.9 | |||
| 計 | 〃 | 8,493,004 | 98.8 | |||
| 乗車効率 | 新幹線 | % | 46.5 | 100.6 | ||
| 在来線 | 〃 | 28.7 | 95.7 | |||
| 計 | 〃 | 29.8 | 96.6 | |||
(注) 乗車効率は次の方法により算出されております。
| 乗車効率 | = | 輸送人キロ | × | 100 |
| 客車走行キロ × 客車平均定員 |
② 収入実績
| 区分 | 単位 | 当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | |||
| 前年同期比(%) | |||||
| 旅客運輸収入 | 新幹線 | 定期 | 百万円 | 3,837 | 119.8 |
| 定期外 | 〃 | 65,350 | 114.0 | ||
| 計 | 〃 | 69,188 | 114.3 | ||
| 在来線 | 定期 | 〃 | 33,233 | 118.7 | |
| 定期外 | 〃 | 70,167 | 111.9 | ||
| 計 | 〃 | 103,401 | 114.0 | ||
| 合計 | 定期 | 〃 | 37,070 | 118.8 | |
| 定期外 | 〃 | 135,518 | 112.9 | ||
| 計 | 〃 | 172,589 | 114.1 | ||
| 荷物収入 | 〃 | 15 | 143.3 | ||
| 合計 | 〃 | 172,604 | 114.1 | ||
| 鉄道線路使用料収入 | 〃 | 547 | 108.1 | ||
| 運輸雑収 | 〃 | 15,719 | 102.7 | ||
| 収入合計 | 〃 | 188,871 | 113.1 | ||
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、棚卸資産にかかる支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ238億16百万円減少し、728億53百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が減少したこと等により前連結会計年度に比べ202億79百万円減少し、871億30百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、長期借入れによる収入が増加したこと等により、125億9百万円となりました。(前期は69億31百万円の支出)
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億41百万円減少し、442億57百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また人的サービスの提供を主たる業務とする場合も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で表すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「1 経営成績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
2 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
① 営業収益
営業収益は、鉄道旅客運輸収入の増、不動産・ホテルの収入増などにより、前連結会計年度に比べ10.1%増の5,003億93百万円となり、5期連続の増収となりました。
運輸サービスセグメントは、前連結会計年度に比べ12.6%増加し、1,906億68百万円となりました。これは、当社の鉄道旅客運輸収入が、前連結会計年度に比べ14.1%増の1,726億4百万円となったことなどによるものです。
不動産・ホテルセグメントは、前連結会計年度に比べ9.3%増加し、1,566億94百万円となりました。これは、不動産販売業の収入増などによるものです。
流通・外食セグメントは、前連結会計年度に比べ7.1%増加し、718億10百万円となりました。これは、外食業の収入増などによるものです。
建設セグメントは、前連結会計年度に比べ10.4%増加し、1,110億87百万円となりました。これは、工事の増などによるものです。
ビジネスサービスセグメントは、前連結会計年度に比べ1.9%増加し、841億66百万円となりました。これは、受注の増などによるものです。
② 営業費
営業費は、前連結会計年度に比べ7.8%増加し、4,263億52百万円となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前連結会計年度に比べ8.4%増加し、2,873億13百万円となりました。これは、不動産販売原価の増等によるものです。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ6.6%増加し、1,390億38百万円となりました。これは、人件費の増等によるものです。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ25.5%増加し、740億40百万円となりました。
なお、営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の13.0%に対し、当連結会計年度は14.8%となりました。
④ 営業外損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ12.9%増加し、49億9百万円となりました。これは、受取配当金の増等によるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ30.9%増加し、49億17百万円となりました。これは支払利息の増等によるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ24.3%増加し、740億32百万円となりました。
なお、営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の13.1%に対し、当連結会計年度は14.8%となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べ29.1%減少し、77億97百万円となりました。これは、工事負担金等受入額の減等によるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ54.8%増加し、221億88百万円となりました。これは、プロジェクト撤退損の計上等によるものです。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ4.1%増加し、454億68百万円となりました。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ7.2%増加し、1兆2,224億30百万円となりました。流動資産は、仕掛品の増等により前連結会計年度末に比べ15.7%増加し、2,477億28百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増等により前連結会計年度末に比べ5.2%増加し、9,747億1百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ6.7%増加し、7,275億60百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーの減等により前連結会計年度末に比べ3.8%減少し、2,046億3百万円となりました。固定負債は、社債の増等により前連結会計年度末に比べ11.5%増加し、5,229億56百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ7.9%増加し、4,948億70百万円となりました。これは、利益剰余金の増等によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億41百万円減少し、442億57百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、棚卸資産にかかる支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ238億16百万円減少し、728億53百万円となりました。
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が減少したこと等により前連結会計年度に比べ202億79百万円減少し、871億30百万円となりました。
財務活動の結果得られた資金は、長期借入れによる収入が増加したこと等により125億9百万円となりました。(前期は69億31百万円の支出)
② 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③ 財務政策
資金調達については、財務健全性を維持しつつ主として借入余力を活用した投資計画や既存債務の返済資金のうち、当社グループのキャッシュ・フローで不足する部分を調達しております。その調達手段は、主に社債の発行や金融機関からの借入等、市場や金利の動向を総合的に勘案しながら決定しております。
当社グループはキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2030年及び2035年とする無担保普通社債を総額500億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA-の格付を取得しております。
当社グループは、資金の流動性確保のため、主要な取引銀行に当座借越枠を設定しております。また、コマーシャル・ペーパーについて、当社は株式会社格付投資情報センターよりa-1+の短期(CP)格付を取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高及びコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。