有価証券届出書(新規公開時)

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2019/02/14 15:00
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当社は、第8期(2013年10月)に実施したsharewise GmbH(ドイツ)の買収を機に、メディア事業の海外展開を成長戦略の主軸の一つに据え、第11期には海外市場への上場を志向しておりました。しかしながら、当該海外IPO市場の停滞を受け、資本コストが当初の想定から悪化したことに加え、国内ソリューション事業の急成長により国内市場における成長可能性の確度が高まったことを受け、第11期末に海外市場への上場準備を中止し、国内市場を軸とした事業展開へと方針を転換いたしました。
本方針転換に伴い、第11期及び第12期において海外子会社及び海外事業を整理するとともに、第12期におきましては効率化を目的に国内連結子会社を当社へ吸収合併又は清算する統廃合を進め、同第3四半期(2017年11月)に、当社グループ内にて国内ソリューション事業の基幹を担っていた当社完全子会社の株式会社エムサーフを吸収合併、更に、同期末(2018年3月)にその他完全子会社の清算を決定し、当社は第12期末に連結子会社を有さない、個別決算会社となっております。
こうした経緯から、第11期及び第12期には、海外展開整理損失及び海外展開用ソフトウエア資産の減損損失等を認識して特別損失を計上し、当期純損失となっております。なお、海外展開については、投資フェイズにあったことから、これら方針転換による収益面での減少は軽微であります。また、業績インパクトが大きかった株式会社エムサーフの当社への吸収合併が第12期第3四半期であることから、以下、経営成績に関する記載におきましては、参考値として第12期連結損益計算書に基づく記載しております。ただし、当社は第12期末に連結子会社を有さない、個別決算会社となっておりますため、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態の状況
第12期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は816,197千円となり、前事業年度末に比べ737,812千円の減少となりました。これは主に、270,000千円の第三者割当増資により株式交付費を除く255,505千円現金及び預金が増加した一方、転換社債型新株予約権付社債の償還や短期借入金の早期返済の実施、海外企業M&A中止への契約解消にかかる違約金の支払いに伴い、現金及び預金並びに金銭の信託が合計で711,474千円減少したことによるものであります。固定資産は1,169,503千円となり、前事業年度末に比べ200,758千円の増加となりました。これは主に、海外事業整理に伴う関係会社長期貸付金の減少等により、投資その他の資産が376,542千円減少した一方で、子会社の吸収合併を主な要因として顧客関連資産、技術資産、及びソフトウエア等の無形固定資産が合計で550,617千円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は1,985,701千円となり、前事業年度末の2,522,755千円から537,054千円の減少となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は560,385千円となり、前事業年度末に比べ519,580千円の減少となりました。これは、主に海外投資を目的として発行した転換社債型新株予約権付社債の償還並びに短期借入金の早期返済に伴い、短期借入金、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債、及び1年内返済予定の長期借入金が合計で406,106千円減少したことに加え、前事業年度まで志向していた海外市場での株式公開の中止に伴う現地証券会社並びに専門家への未払債務の精算を実施したことを要因としたものです。固定負債は506,418千円となり、前事業年度末に比べ160,456千円の減少となりました。これは、長期借入金並びに社債が合計で160,456千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,066,803千円となり、前事業年度末の1,746,839千円から680,036千円の減少となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は918,897千円となり、前事業年度末に比べ142,982千円の増加となりました。これは主に、第三者割当増資による資本金135,000千円の増加並びに資本準備金135,000千円の増加、及び当期純損失126,731千円を計上したことにより、利益剰余金が126,731千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は46.3%(前事業年度末は30.8%)となりました。
第13期第3四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は967,688千円となり、前事業年度末に比べ152,191千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の176,237千円の増加、前事業年度末の売掛金の回収30,002千円を要因としたものであります。一方、固定資産は1,431,860千円となり、前事業年度末に比べ261,655千円の増加となりました。これは主に、ソフトウエア開発投資等により無形固定資産が142,907千円増加したことに加え、本社事務所増床に係る建物附属設備及び工具、器具及び備品等の取得により有形固定資産が51,142千円増加したこと、並びに本社事務所増床に係る敷金等の差し入れ等により、投資その他の資産が67,604千円増加したことを要因としたものであります。
この結果、資産合計は2,399,548千円となり、前事業年度末の1,985,701千円から413,847千円の増加となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は813,802千円となり、前事業年度末に比べ253,416千円の増加となりました。これは主に、コミットメントラインの実行による借入を要因として短期借入金が276,000千円増加した一方、ソリューション事業における外注先への支払等に係る買掛金の減少21,547千円を要因としたものであります。固定負債は418,896千円となり、前事業年度末に比べ87,522千円の減少となりました。これは、社債25,000千円の減少並びに長期借入金62,522千円の減少によるものであります。
この結果、負債合計は1,232,698千円となり、前事業年度末の1,066,803千円から165,894千円の増加となりました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は1,166,850千円となり、前事業年度末に比べ247,952千円の増加となりました。これは主に、第三者割当増資による資本金68,215千円の増加並びに資本準備金68,215千円の増加、及び当第3四半期累計期間の四半期純利益111,185千円を計上したことにより、利益剰余金が111,185千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は48.6%(前事業年度末は46.3%)となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第13期第1四半期会計期間の期首から適用しており、第13期第3四半期累計期間の財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
② 経営成績の状況
第12期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当事業年度における我が国経済は、雇用や所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。世界経済につきましても、米国では雇用・所得環境の改善を背景に個人消費の増加に支えられ景気回復が続き、欧州では緩やかな回復が続きました。
また、当社を取り巻く経営環境といたしましては、景気の回復基調を受け主要な株式市場で活況を呈したほか、新たな投資対象としての暗号資産への認知度も拡大してまいりました。
このような環境のもと、当社は、前事業年度末にメディア事業、ソリューション事業の国内市場での需要拡大に伴い、これら基幹事業にリソースの集中を決定するとともに、メディア事業、ソリューション事業の連携の強化を目的とした効率化の推進を目的にグループの組織再編を実行することで、2019年3月期以降の成長のための基盤となる体制を強固なものとし、当社グループは当事業年度末をもって当社に集約されております。
当事業計年度中のグループ組織再編の概要は次のとおりとなります。
時期当事業年度中の組織再編の概要
2017年4月完全子会社で中国の現地法人であるMaiSiTeng Technologies WuHan Co., Ltdを売却
2017年4月当社(存続会社)と完全子会社の株式会社マスチューン・インテレクチュアル・プロパティーズ(消滅会社)が合併
2017年4月子会社の株式会社エムサーフ(存続会社)と完全子会社の株式会社みんかぶマガジン社(消滅会社)が合併
2017年6月持分法適用関連会社でケイマン諸島の現地法人であるCAIKU LIMITEDを売却
2017年9月完全子会社で韓国の現地法人であるCrowdbot, Inc.を清算
2017年10月完全子会社の株式会社エムサーフ(存続会社)と同社完全子会社の株式会社日本先物情報ネットワーク(消滅会社)が合併
2017年10月完全子会社の株式会社みんかブルトレードパートナーズを清算
2017年11月当社(存続会社)と完全子会社の株式会社エムサーフ(消滅会社)が合併
2018年3月完全子会社でドイツの現地法人であるsharewise GmbHの清算を当社取締役会で決議
2018年3月完全子会社でカナダの現地法人であるUPDOWN FINANCIAL TECHNOLOGIES INC.の清算を当社取締役会で決議 ※

※UPDOWN FINANCIAL TECHNOLOGIES INC.は2018年8月に清算を結了いたしました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高が1,370,375千円(前期比30.6%増加)、営業利益は142,705千円(前期比14.5%増加)、経常利益109,022千円(前期比35.9%増加)となりました。また、特別損失といたしまして、海外企業M&A中止への契約解消にかかる違約金及び海外子会社清算を含む海外展開整理損失249,326千円を計上したことにより、当期純損失は126,731千円(前期は1,322,302千円の損失)となりました。
なお、参考情報といたしまして、2017年4月1日から2018年3月31日までを計算期間とした2018年3月期の連結損益計算書(未監査数値)は、売上高が1,681,050千円、営業利益は110,644千円、経常利益は71,270千円、親会社株主に帰属する当期純損失は200,229千円となりました。また、同参考情報である未監査数値の減価償却費は170,728千円、のれん償却額は9,809千円、自社利用ソフトウエアの開発を主な目的とした設備投資額は258,535千円となっております。
当事業年度における報告セグメント別の状況は次のとおりであります。
(メディア事業)
メディア事業は、「みんなの株式」、「株探(Kabutan)」等の当社が提供する投資家向け情報サイト及び当社が業務提携によりサイト運営の一翼を担うサービスから得られる広告収益等を計上しております。これら、当社が展開する投資家向け情報サイトは、当事業年度においても堅調に利用者を拡大し、2018年3月期における各サイト合計の月間平均UU数は約535万人、同訪問ユーザー数は1,574万人(2017年3月期は、それぞれ約391万人及び約1,137万人)となりました。
また、月額有料課金をビジネスモデルとした「株探プレミアム」や暗号資産情報を提供する情報サイト「みんなの仮想通貨」など新たなサービスも期中に開始し、これらも順調に成長しております。しかしながら、主にアグリゲーターの切り替え時期における機会損失の発生に起因する成果報酬型広告収益の一部伸び悩みや期末に削減を決定した海外向けサービスへのデータ費用の前期からの増加を要因としたプロダクトミックスの悪化を主因に、当事業年度の売上高は761,883千円、セグメント利益は164,254千円となりました。
なお、参考情報といたしまして、2017年4月1日から2018年3月31日までを計算期間とした2018年3月期の連結損益計算書(未監査数値)におけるメディア事業の外部顧客への売上高は、763,238千円、セグメント利益は141,276千円となっております。
(ソリューション事業)
ソリューション事業は、当社グループが運営する投資家向け情報サイト向けにAI等を活用して生成したコンテンツや、サイト上で収集したクラウドインプットデータ等に加工を施した情報系フィンテックソリューションを第三者に提供するASPサービス、それに付随するソフトウエア開発業務並びにその保守・運営業務等から得られる収益を計上しております。2018年11月にグループ内のソリューション事業の基幹を担っていた完全子会社の株式会社エムサーフを吸収したことを主な要因として、当事業年度のソリューション事業の売上高は608,491千円、セグメント利益は250,280千円となりました。
なお、参考情報といたしまして、2017年4月1日から2018年3月31日までを計算期間とした2018年3月期の連結損益計算書(未監査数値)におけるソリューション事業の外部顧客への売上高は917,812千円、セグメント利益は237,415千円となっております。
第13期第3四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高が1,419,304千円、営業利益は140,423千円、経常利益は130,865千円、四半期純利益は111,185千円となりました。
当第3四半期累計期間における報告セグメント別の状況は次のとおりであります。
(メディア事業)
メディア事業は、「みんなの株式」、「株探(Kabutan)」等の当社が提供を行う投資家向け情報サイト及び当社が業務提携によりサイト運営の一翼を担うサービスから得られる広告収益、並びに一部サイトにおいて提供する有料サービスから得られる課金収益を計上しております。
当第3四半期累計期間における各サイト合計の月間平均UU数は約573万人(前年同四半期比82万人増加)、同訪問ユーザー数は約1,882万人(前年同四半期比481万人増加)と伸長し、成果報酬型広告収入を中心に好調に推移したことに加え、前事業年度より開始した「株探プレミアム」を中心とした課金サービスや「みんなの仮想通貨」も堅調に推移し、業績に寄与いたしました。
これらの結果、当第3四半期累計期間の売上高は693,972千円、セグメント利益は226,658千円となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業は、当社が運営する投資家向け情報サイト向けにAI等を活用して生成したコンテンツや、サイト上で収集したクラウドインプットデータ等に加工を施した情報系フィンテックソリューションを第三者に提供するASPサービス、それに付随するソフトウエア開発業務並びにその保守・運営業務等から得られる収益を計上しております。
当第3四半期累計期間は既存プロダクトの拡販に加え、新規案件の初期導入売上及びデータ・コンテンツ販売による売上を計上し、継続した成長を維持しております。
これらの結果、当第3四半期累計期間の売上高は725,332千円、セグメント利益は188,667千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第12期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べて419,585千円増加し、合併に伴う現金及び現金同等物の増加額40,431千円を加えた期末残高は、460,422千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、197,485千円の支出となりました。海外企業M&A中止への契約解除にかかる違約金2百万カナダドルの支払い等による特別損失の発生により、税引前当期純損失が114,960千円になったことに加え、減価償却費127,497千円、のれん償却額6,245千円の発生、ソリューション事業の安定成長に伴う期末売上債権の201,762千円の増加、その他の流動負債の増減額が126,603千円の減少となったことを要因としたものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、980,855千円の収入となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が191,168千円となった一方で、自己信託の解消により金銭の信託の解約による収入が1,171,491千円となったことを要因としたものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、363,784千円の支出となりました。これは、株式の発行による収入が255,505千円となった一方で、短期借入金の返済による支出が220,000千円、長期借入金の返済による支出が149,310千円、社債の償還による支出が249,980千円となったことを要因としたものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社は受託開発を行っておりますが、受注から開発・納品までの期間が短いため、記載を省略しております。
c.販売実績
第12期事業年度及び第13期第3四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第12期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第13期第3四半期累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
販売高(千円)販売高(千円)
メディア事業761,883693,972
ソリューション事業608,491725,332
合計1,370,3751,419,304

(注)1.当社は第11期について連結財務諸表を作成していたため、前年同期比の数値は記載しておりません。
2.最近2事業年度及び第13期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第11期事業年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
第12期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第13期第3四半期累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社ジェーピーツーワン395,46437.7204,23914.9--
Google Inc.148,76914.2219,09716.0161,32211.4
株式会社エムサーフ122,99911.7----
株式会社インタースペース----271,75919.2

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.第11期事業年度の株式会社インタースペースに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
5.第12期事業年度の株式会社エムサーフ、株式会社インタースペースに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。なお、株式会社エムサーフは、当社の子会社であり、2017年11月に当社へ吸収合併しております。
6.第13期第3四半期累計期間の株式会社ジェーピーツーワンに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
第12期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性のある見積りや予測を行っており、見積りの不確実性による実績との差異が生じる場合があります。
当事業年度における当社の財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
第13期第3四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期累計期間における重要な会計方針について第12期事業年度より、重要な変更はありません。
なお、税金費用の計算につきましては、四半期財務諸表の作成における特有の会計処理として、簡便的な方法を用いております。
当第3四半期累計期間における当社の財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析
第12期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当事業年度におきまして当社グループは、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、これまで培ったメディア事業でのユーザーベース並びに自動生成技術等を活用した金融・経済情報配信のノウハウの価値を最大化することを目的に、各グループ会社に分散していた機能及びノウハウを当社に集約することを目的とした組織再編を実施したことに加え、海外展開に係る会計上の整理も当事業年度で完了いたしました。当該組織再編は当事業年度内に完了し、現在の事業環境下での成長領域への取組みに社内資源を集中し、効率化を伴う安定成長が実現できる体制を整えております。
具体的には、メディア事業において、新規のサービス(「みんなの仮想通貨」)や新規のビジネスモデル(月額課金サービス「株探プレミアム」)の導入を期中に行うとともに、新規の領域への拡大を目的とした企画(「みんかぶ保険」)も大手金融機関グループとの提携関係をもって立ち上がり、継続的な成長の実現に向けたサービス範囲の拡大を実施いたしました。また、2017年12月には株式会社朝日新聞社との資本業務提携を実施し、同社との提携委員会並びに分科会を通じ、両社の保有するノウハウを活かした複数の取り組みの検討が推進されており、これらも含め、2019年3月期以降の成長を加速させる準備を整えました。
ソリューション事業においては、フィンテックソリューション分野への需要拡大を受け、当社がメディア事業で培ったAIを活用したコンテンツ自動生成技術やクラウドインプットを活用したコンセンサス情報の生成技術を利用した多くの企画が立ち上がり、順次開発が進展しております。これらは、金融機関等がB2B2Cで、当社が生成した情報を自社の顧客に展開するものに加え、金融機関等や事業会社の社内利用を目的としたB2B商材も含まれ、中期的な顧客層の拡大や顧客単価の上昇に向けた展開を推進しております。
これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高が1,370,375千円(前期比30.6%増加)、営業利益は142,705千円(前期比14.5%増加)、経常利益109,022千円(前期比35.9%増加)となりました。
また、特別損失といたしまして、海外企業M&A中止への契約解消にかかる違約金及び海外子会社清算を含む海外展開整理損失249,326千円を計上したことにより、当期純損失は126,731千円(前期は1,322,302千円の損失)となりました。
また、参考情報といたしまして、2017年4月1日から2018年3月31日までを計算期間とした2018年3月期の連結損益計算書(未監査数値)は、売上高が1,681,050千円、営業利益は110,644千円、経常利益は71,270千円、親会社株主に帰属する当期純損失は200,229千円となりました。これらは、当事業年度の修正連結損益事業計画である売上高1,676,000千円、営業利益106,000千円に対しては、ほぼ計画通りの着地となりました。
また、当社は、現在の事業領域においては、変動費を抑制し、減価償却費を含む固定費を中心とした費用構造の構築と、再現性の高いストック型の収益獲得を志向しており、重要視している調整EBITDA(営業利益に営業費用に含まれる減価償却費、のれん償却額を加えたもの)の拡大を目指し、事業運営を遂行しております。
第13期第3四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
前事業年度における組織再編を受け、2019年3月期は、期首より個別決算会社に移行しており、当第3四半期累計期間における経営方針・経営戦略につきましては、第12期事業年度より、重要な変更はありません。第12期事業年度に実施しました組織再編後の新体制における当第3四半期累計期間の経営成績の状況は以下のとおりであります。
メディア事業では、2018年3月期に開始した新サービスの通年寄与に加え、既存メディアも安定成長を継続し、当社運営サイトのユーザーベースは順調に拡大を継続しております。前事業年度において一部停滞した成果報酬型広告収入も外国為替分野を中心に成長軌道に乗り、海外向けサービスに掛かるデータ費用も削減されたことから、プロダクトミックスも改善いたしました。また、新規領域として不動産投資の情報サイトの企画・開発も進捗しており、こちらは2019年中のサービス開始が実現される見込みとなりました。既存メディアの安定成長に新規領域への訴求も加え、継続的な成長の持続に向け、順調に推移していると考えております。
ソリューション事業は、当社の自動生成技術や保有するクラウドデータ並びに加工技術への多くの需要に対応するため、複数の新規商材の企画・開発を継続しており、既存商材につきましても、証券会社等の既存顧客層に加え、銀行や事業会社などへの拡販を実施しております。
これらの結果、2019年3月期の第3四半期累計期間(9ヶ月間)における当社の売上高は1,419,304千円(2018年3月期は、通期(12ヶ月間)で1,370,375千円、2018年3月期の未監査の連結損益数値の売上高は、通期(12ヶ月間)で1,681,050千円)となり、2019年3月期通期では2,000,000千円の売上高計画の達成を目指しております。
同じく2019年3月期の第3四半期累計期間(9ヶ月間)における当社の営業利益は140,423千円(2018年3月期は、通期(12ヶ月間)で142,705千円、2018年3月期の未監査の連結損益数値では通期(12ヶ月間)で110,644千円)となり、2019年3月期通期では200,000千円の営業利益計画の達成を目指しております。
財務戦略による資本効率の向上、株主還元への取り組みに関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
第12期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当社は、自動生成技術を中核に多種多様な自社利用ソフトウエアの開発投資を行っており、それら自社の知的財産を活用し、投資家に資する情報サービスを提供し、自社メディアの拡大並びに外部へのソリューション提供による再現性の高い収益の獲得を志向しておりますが、収益面においても成長過程にあり、収益基盤や財務体質の強化が必要な段階にあるとの認識を持っております。
このため、現時点では、内部留保を充実し、人材育成を含む成長のための投資とこれらの強化を行う方針であります。将来的には、当社を取り巻く事業環境を勘案の上、内部留保の充実状況に鑑み、株主の皆様に対して安定的かつ継続的な利益還元を検討してまいりますが、現時点においては配当実施の可能性及び実施時期等については未定であります。なお、当社株式を継続保有してくださる株主の皆様へのインセンティブとなるものであることを前提に、株主優待については早期に導入の検討を行うこととしております。
第13期第3四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期累計期間における財務戦略について、第12期事業年度より、重要な変更はありません。
③ 資本の財源及び資金の流動性
第12期事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当社グループの資金の流動性は、主に営業活動による純現金収入によります。
定常的に発生するメディア事業並びにソリューション事業の自社利用ソフトウエアへの開発投資に対しては、一部金融機関からの借入等を行い対応しております。また、当社は、長期借入金並びに社債等の負債に加え、銀行融資枠(コミットメントライン)を設けており、都度の資金需要により、これらの活用を行っております。その他、資金需要について大きな季節変動はありません。
第13期第3四半期累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期累計期間における資本の財源及び資金の流動性に関する方針について、第12期事業年度より、重要な変更はありません。
なお、2018年12月31日現在の銀行融資枠(コミットメントライン)の合計は4億円となっており、2018年12月31日現在、同額を短期借入金として実行しております。これらの期限は、現状1年更新としたものでありますが、更新を妨げるような事象は発生していないと考えております。