四半期報告書-第118期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
① 業績全般の概況
当第3四半期連結累計期間(以下「当累計期間」)において、新型コロナウイルスの変異株による感染症再拡大、半導体等の部材不足、エネルギー価格の高騰などが世界経済に影響を及ぼしましたが、このような経営環境の下、当社はプロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリーの事業が増収となり、当累計期間におけるグループの連結売上高は6,615億円(前年同期比7.6%増)となりました。売上総利益は、売上総利益率も改善したことにより前年同期比で9.8%増となっています。売上高、売上総利益を回復しながらも、前期に実施した構造改革の効果などにより抑制した販売費及び一般管理費の水準を維持し、当累計期間の営業損失は前年同期から144億円縮小し、101億円(前年同期は246億円の営業損失)となりました。また、税引前四半期損失は120億円(前年同期は284億円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は132億円(前年同期は206億円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。世界的な半導体等の部材不足や、港湾混雑などによる輸送期間長期化の影響が当期の第2四半期連結会計期間から継続しており、デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットは堅調に回復している受注に対して製品供給が不足し、売上が伸び悩みました。一方で、今後の成長の柱の1つであるインダストリー事業は、売上高が前年同期比で18.6%の増収となり、新型コロナウイルス感染症影響前の前々年同期比でも売上高は14.8%の増収となりました。
また、トナーを生産しているグループ会社の株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場で、7月と8月に爆発事故が発生し当第3四半期連結会計期間(以下「当会計期間」)ではトナー供給不足が生じましたが、事故発生の原因究明とその対策を第三者機関も交えて徹底的に行い、確実に安全な生産体制を実現すべくリスクアセスメントを行った上で問題がないことが確認できましたので、当会計期間において生産と供給を再開しました。
当社は2020年度から、2030年を見据えた長期の経営ビジョンと3カ年中期経営計画「DX2022」を推進しています。その基本方針は「デジタルトランスフォーメーション(DX)により高収益のビジネスへと飛躍する」こと、そして「真の社会課題解決企業へと転換していく」ことです。オフィス事業に依存しない事業ポートフォリオの実現を目指し、2つのポートフォリオ転換にスピードをあげて取り組んでいます。一つ目は、オフィス事業の顧客基盤を活用したデジタルワークプレイス事業への転換です。当社がこれまでオフィス事業で培ってきた顧客基盤を活用して、顧客ワークフローのDX化を支援することで、事業の高付加価値化を図ります。二つ目は、全社として計測・検査・診断の領域での事業成長を加速させる事業ポートフォリオの転換です。プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業を今後の当社の事業の柱としていくべく、人財や研究開発費、投融資などのリソースを配分していきます。中期経営計画「DX2022」の期間中に、これらの転換のための施策を迅速に実行することで、2025年度に事業ポートフォリオ転換を完遂し、各事業の営業利益構成比を大きく変えていきます。
② 主要セグメントの状況
(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。
(注2)売上高は「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。
1)デジタルワークプレイス事業
オフィスユニットでは、当累計期間のA3複合機の受注は当期の第1四半期連結会計期間より継続して回復していますが、半導体等の部材不足による生産遅延や港湾混雑による輸送期間長期化の影響が当期の第2四半期連結会計期間以降で拡大し、販売台数は前年同期比でカラー機は78%、モノクロ機は86%、全体では81%になりました。欧米での新型コロナウイルス感染症の再拡大により、顧客企業での従業員の出社再開が延期になっています。この影響を受け、消耗品やサービスなどのノンハードの売上は回復が停滞していますが、全体では前年の水準を上回りました。オフィスユニット全体では、前年同期比で減収となりました。また、ユニット全体での受注残高は当期の第2四半期連結会計期間末の約300億円から当会計期間末では約485億円になりました。
従来のITサービス・ソリューションユニットとワークプレイスハブユニットをあわせたDW-DXユニットでは、オフィス・ソリューションの分野は、複合機の販売台数減少の影響を受けましたが、顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスは、米国のセキュリティサービスに対する需要を捉え、リカリング収益が好調に推移しました。顧客のビジネスプロセス効率化を提供するデジタルワークフローソリューションは、米国の政府系の顧客で売上が伸長しました。ワークプレイスハブは、受注数、顧客平均単価ともに増加しています。これらの結果、DW-DXユニット全体では、前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は3,337億円(前年同期比0.8%減)、営業損失は89億円(前年同期
の営業損失は62億円)となりました。
2)プロフェッショナルプリント事業
プロダクションプリントユニットでは、当累計期間の機器本体の販売台数は、前年同期比でカラー機は102%、モノクロ機は96%、全体では100%になりました。消耗品やサービスなどのノンハードの売上高は、中堅大手の印刷会社を中心に商業印刷需要が回復基調にあります。また、前述の辰野工場の爆発事故により当会計期間ではトナー供給が不足しましたが、顧客への影響を抑制するよう努めた結果、プロダクションプリントユニットは、前年同期比で増収となりました。また、ユニット全体での受注残高が当期の第2四半期連結会計期間末の約70億円から当会計期間末では約80億円になりました。
産業印刷ユニットでは、商業印刷会社が直面する「短納期受注への対応」「環境対応」「アナログ機の熟練労働者の確保が困難」という課題への対応として、効率的かつ高画質な印刷が可能となる当社のインクジェット機の稼働率が上がり、1台当たりのプリント量が増加しました。併せて、日用品の堅調な需要回復や欧州アパレル市場の回復が継続し、ラベル印刷やテキスタイル印刷でもノンハードの売上高が伸長しました。最終需要の拡大により、インクジェット印刷機、ラベル印刷機、デジタル加飾印刷機、テキスタイル印刷機と全ての領域でハードウェアの販売も増加しました。これらの結果、産業印刷ユニット全体では、前年同期比で増収となりました。
マーケティングサービスユニットでは、欧米での景気回復、日米韓では新規顧客獲得、及び、主要顧客の販売促進活動の段階的な再開に伴い売上が拡大し、前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は1,409億円(前年同期比18.7%増)、営業利益は4億円(前年同期の営業損失は87億円)となりました。
3)ヘルスケア事業
ヘルスケアユニットでは、DR(デジタルラジオグラフィー)の販売台数は、国内では病院市場を中心に前年同期を上回り、国外は新型コロナウイルス感染症の診察に用いられる需要の増加を捉え、特にインド、アジア市場で大きく数量が増加しました。超音波診断装置の販売台数は、国内での整形外科、産科向けを中心に前年同期を上回るとともに、米州、中国市場でも増加しました。また、国内では新型コロナウイルス感染症の自宅療養者貸出用途で自治体向けにパルスオキシメーターの販売台数が大幅に増加しました。医療ITでは、国内では医療画像管理や施設間連携をサポートするITサービス「infomity(インフォミティ)」の販売が引き続き好調に推移しました。米国ではPACS(医用画像保管・管理システム)の販売は回復基調が続いており、当会計期間で新型コロナウイルス感染症が拡大する前の売上水準まで回復しています。これらの結果、ヘルスケアユニットの売上高は前年同期比で増収になりました。
プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子検査は、米国での新型コロナウイルス感染症再拡大により病院への来院者数減少の影響を受けていますが、検査数は前期の第3四半期連結会計期間に新型コロナウイルス感染症拡大前の水準を超え継続して増加しています。また、重点施策である生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査及び検診機関向けサービスの「CARE Program」は共に検査数が増加しています。創薬支援サービスは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により治験参加者が減少し、製薬会社の治験開始遅延が継続していましたが、当期の第2四半期連結会計期間より顧客でのアルツハイマー等の治験が再開し売上に貢献しました。これらにより、プレシジョンメディシンユニットの売上高は、前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は843億円(前年同期比14.6%増)、営業損失は97億円(前年同期は71億円の営業損失)となりました。
4)インダストリー事業
センシング分野(計測機器ユニット)では、光源色向け計測器はアジアでのディスプレイ需要を着実に捉えて売上を堅調に維持しました。物体色向け計測器は各地域とも売上が好調に推移し、自動車外観計測では新規案件でパイプラインが増加しました。また、前期にSpecim社を買収して参入したHSI(ハイパースペクトルイメージング)分野でも新規受注を順調に獲得したことで、ユニット全体では前年同期比で増収となりました。
材料・コンポーネント分野では、機能材料ユニットは、テレビ市況が当期の第2四半期連結会計期間から減速したものの、大型テレビやIT領域の好調な需要を確実に捉え、液晶テレビ向けの高付加価値製品や、PC用及びスマートフォン用薄膜フィルムが堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。IJコンポーネントユニットは、前年度から堅調に回復してきた欧州での新型コロナウイルス感染症の再拡大や、インド市場における顧客の部材不足による生産減少の影響を受けましたが、中国、アジアでのサイングラフィックス用プリンターの需要や、成長領域の工業用途向けが堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。光学コンポーネントユニットは、プロジェクタ用レンズは回復基調が継続し、前年同期比で増収となりました。
画像IoTソリューション分野では、画像インプットデバイスや画像解析システムの主要製品を有する画像IoTソリューションユニットにおいて、前期好調だったサーマルカメラソリューションの需要が落ち着いたため、前年同期比で減収となりました。欧州向け監視カメラソリューションの販売が回復していましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により商談、受注が遅れました。一方、顧客やパートナーと共に社会のDXを加速させていくために、当社の強みであるイメージング技術をベースに最新のIoT、AI技術を融合させた画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」は戦略的パートナー数を順調に増加させ、ソリューション展開を加速しています。映像ソリューションユニットでは、直営館事業は国内初のLEDドームを採用した施設であるプラネタリウムを名古屋に新規にオープンし、3月に予定している横浜の直営館の開業準備も計画どおり進捗しています。また、物品販売も堅調に推移し、売上高は前年同期比並みとなっています。画像IoTソリューション分野全体としては前年同期比で減収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は1,013億円(前年同期比18.6%増)、営業利益は197億円(同100.6%増)となりました。
(参考)第3四半期連結会計期間の状況
主要セグメントの状況
(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。
(注2)売上高は「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前期末比298億円(2.3%)減少し1兆2,699億円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の減少206億円、有形固定資産の減少134億円、現金及び現金同等物の減少133億円、その他の金融資産の減少41億円、未収法人所得税の減少35億円、棚卸資産の増加195億円、のれん及び無形資産の増加64億円によるものであります。
負債合計については、前期末比23億円(0.3%)増加し7,513億円となりました。これは主に、社債及び借入金の増加230億円、その他の金融負債の増加198億円、営業債務及びその他の債務の減少241億円、その他の流動負債の減少68億円、繰延税金負債の減少56億円によるものであります。
資本合計については、前期末比321億円(5.8%)減少し5,185億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比328億円(6.1%)減少し5,070億円となりました。これは主に、資本剰余金の減少210億円、剰余金の配当による減少148億円、親会社の所有者に帰属する四半期損失の計上132億円、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の増加158億円によるものであります。
これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は、1.6ポイント減少の39.9%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー314億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー410億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは96億円のマイナスとなりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは57億円の支出となりました。
そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額等があり、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比133億円減少の1,105億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前四半期損失120億円に、減価償却費及び償却費565億円、営業債権及びその他の債権の減少による増加265億円等によるキャッシュ・フローの増加と、棚卸資産の増加による減少158億円、営業債務及びその他の債務の減少による減少109億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは314億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出314億円、無形資産の取得による支出136億円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは410億円の支出となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは96億円のマイナス(前年同期は78億円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の償還及び長期借入金の返済286億円、リース負債の返済145億円、配当金の支払145億円等の支出と短期借入金の純増加額517億円等の収入により、財務活動によるキャッシュ・フローは57億円の支出(前年同期は268億円の収入)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について追加すべき事項は、以下のとおりです。
なお、当項目における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当第3四半期連結累計期間にグループ会社である株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場で発生した爆発事故を受けて、工場稼働停止と新生産方式による再稼働から生産能力回復まで、当連結会計年度後半においてトナー生産量が実需の75%程度と想定されることから、特にプロフェッショナルプリント事業において既存顧客にトナーを優先供給するため、ノンハード売上への影響が見込まれます。当社は既に事故原因を排除し安全対策を取った新生産方式によるトナー生産を再開しており、顧客へのトナー供給不足の影響は、当期の第4四半期連結会計期間には解消する見込みです。
また、当連結会計年度において、半導体等部材供給ひっ迫による生産面での影響が継続しています。この影響により当期の第2四半期連結会計期間末の時点では、当連結会計年度後半における当社オフィスユニット製品の生産が実需に対して70%程度に留まると予想していましたところ、半導体確保の諸施策の成果により生産に必要な部品入手には目途が立ち、組立工場においても新型コロナウイルス感染症対応策の多面的準備と機動的対応等の取組みにより当第3四半期連結会計期間末では実需に対する生産見通しは75%まで改善しました。オフィスユニット製品の需給ギャップ極小化に向けて、当期の第4四半期連結会計期間では物流リードタイムの長期化継続が懸念点となりますが、工場出荷の早期化や顧客までの輸送ルートの複線化等により、デジタルワークプレイス事業への影響を抑制してまいります。
このような環境認識のもと、当社は中期経営計画「DX2022」及び2025年のポートフォリオ転換の実現に向けて、既に実行中の施策に加えて、DW-DXユニット及び「計測・検査・診断」を切り口としたインダストリー事業、ヘルスケア事業やプロフェッショナルプリント事業などの成長事業・コア事業における事業体制強化、並びにM&Aや協業の強化・拡大により、中期経営計画「DX2022」の蓋然性を高めながら、事業ポートフォリオ転換への道筋を確実なものへとしていきます。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は471億円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況について重要な変更はありません。
(注)「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における記載金額は、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
(1)経営成績の分析
① 業績全般の概況
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 増減 | ||
(自2020.4.1 | (自2021.4.1 | |||
至2020.12.31) | 至2021.12.31) | |||
億円 | 億円 | 億円 | % | |
売上高 | 6,148 | 6,615 | 466 | 7.6 |
売上総利益 | 2,642 | 2,901 | 259 | 9.8 |
営業損失(△) | △246 | △101 | 144 | - |
税引前四半期損失(△) | △284 | △120 | 163 | - |
親会社の所有者に帰属する四半期損失 (△) | △206 | △132 | 73 | - |
円 | 円 | 円 | % | |
基本的1株当たり四半期損失 (△) | △41.69 | △26.84 | 14.85 | - |
億円 | 億円 | 億円 | % | |
設備投資額 | 300 | 276 | △23 | △8.0 |
減価償却費及び償却費 | 582 | 565 | △17 | △2.9 |
研究開発費 | 484 | 471 | △13 | △2.7 |
億円 | 億円 | 億円 | % | |
フリー・キャッシュ・フロー | 78 | △96 | △174 | - |
人 | 人 | 人 | % | |
連結従業員数 | 41,470 | 38,955 | △2,515 | △6.1 |
為替レート | 円 | 円 | 円 | % |
米ドル | 106.11 | 111.10 | 4.99 | 4.7 |
ユーロ | 122.38 | 130.62 | 8.24 | 6.7 |
当第3四半期連結累計期間(以下「当累計期間」)において、新型コロナウイルスの変異株による感染症再拡大、半導体等の部材不足、エネルギー価格の高騰などが世界経済に影響を及ぼしましたが、このような経営環境の下、当社はプロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリーの事業が増収となり、当累計期間におけるグループの連結売上高は6,615億円(前年同期比7.6%増)となりました。売上総利益は、売上総利益率も改善したことにより前年同期比で9.8%増となっています。売上高、売上総利益を回復しながらも、前期に実施した構造改革の効果などにより抑制した販売費及び一般管理費の水準を維持し、当累計期間の営業損失は前年同期から144億円縮小し、101億円(前年同期は246億円の営業損失)となりました。また、税引前四半期損失は120億円(前年同期は284億円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は132億円(前年同期は206億円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。世界的な半導体等の部材不足や、港湾混雑などによる輸送期間長期化の影響が当期の第2四半期連結会計期間から継続しており、デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットは堅調に回復している受注に対して製品供給が不足し、売上が伸び悩みました。一方で、今後の成長の柱の1つであるインダストリー事業は、売上高が前年同期比で18.6%の増収となり、新型コロナウイルス感染症影響前の前々年同期比でも売上高は14.8%の増収となりました。
また、トナーを生産しているグループ会社の株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場で、7月と8月に爆発事故が発生し当第3四半期連結会計期間(以下「当会計期間」)ではトナー供給不足が生じましたが、事故発生の原因究明とその対策を第三者機関も交えて徹底的に行い、確実に安全な生産体制を実現すべくリスクアセスメントを行った上で問題がないことが確認できましたので、当会計期間において生産と供給を再開しました。
当社は2020年度から、2030年を見据えた長期の経営ビジョンと3カ年中期経営計画「DX2022」を推進しています。その基本方針は「デジタルトランスフォーメーション(DX)により高収益のビジネスへと飛躍する」こと、そして「真の社会課題解決企業へと転換していく」ことです。オフィス事業に依存しない事業ポートフォリオの実現を目指し、2つのポートフォリオ転換にスピードをあげて取り組んでいます。一つ目は、オフィス事業の顧客基盤を活用したデジタルワークプレイス事業への転換です。当社がこれまでオフィス事業で培ってきた顧客基盤を活用して、顧客ワークフローのDX化を支援することで、事業の高付加価値化を図ります。二つ目は、全社として計測・検査・診断の領域での事業成長を加速させる事業ポートフォリオの転換です。プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業を今後の当社の事業の柱としていくべく、人財や研究開発費、投融資などのリソースを配分していきます。中期経営計画「DX2022」の期間中に、これらの転換のための施策を迅速に実行することで、2025年度に事業ポートフォリオ転換を完遂し、各事業の営業利益構成比を大きく変えていきます。
② 主要セグメントの状況
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 増減 | |||
(自2020.4.1 | (自2021.4.1 | ||||
至2020.12.31) | 至2021.12.31) | ||||
億円 | 億円 | 億円 | % | ||
デジタルワークプレイス | 売上高 | 3,362 | 3,337 | △25 | △0.8 |
事業 | 営業利益 | △62 | △89 | △27 | - |
プロフェッショナル | 売上高 | 1,187 | 1,409 | 221 | 18.7 |
プリント事業 | 営業利益 | △87 | 4 | 92 | - |
ヘルスケア事業 | 売上高 | 735 | 843 | 107 | 14.6 |
営業利益 | △71 | △97 | △26 | - | |
インダストリー事業 | 売上高 | 854 | 1,013 | 158 | 18.6 |
営業利益 | 98 | 197 | 98 | 100.6 | |
小計 | 売上高 | 6,140 | 6,603 | 462 | 7.5 |
営業利益 | △122 | 14 | 137 | - | |
「その他」及び調整額 | 売上高 | 7 | 11 | 3 | 43.6 |
(注2) | 営業利益 | △123 | △115 | 7 | - |
要約四半期 | 売上高 | 6,148 | 6,615 | 466 | 7.6 |
連結損益計算書計上額 | 営業利益 | △246 | △101 | 144 | - |
(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。
(注2)売上高は「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。
1)デジタルワークプレイス事業
オフィスユニットでは、当累計期間のA3複合機の受注は当期の第1四半期連結会計期間より継続して回復していますが、半導体等の部材不足による生産遅延や港湾混雑による輸送期間長期化の影響が当期の第2四半期連結会計期間以降で拡大し、販売台数は前年同期比でカラー機は78%、モノクロ機は86%、全体では81%になりました。欧米での新型コロナウイルス感染症の再拡大により、顧客企業での従業員の出社再開が延期になっています。この影響を受け、消耗品やサービスなどのノンハードの売上は回復が停滞していますが、全体では前年の水準を上回りました。オフィスユニット全体では、前年同期比で減収となりました。また、ユニット全体での受注残高は当期の第2四半期連結会計期間末の約300億円から当会計期間末では約485億円になりました。
従来のITサービス・ソリューションユニットとワークプレイスハブユニットをあわせたDW-DXユニットでは、オフィス・ソリューションの分野は、複合機の販売台数減少の影響を受けましたが、顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスは、米国のセキュリティサービスに対する需要を捉え、リカリング収益が好調に推移しました。顧客のビジネスプロセス効率化を提供するデジタルワークフローソリューションは、米国の政府系の顧客で売上が伸長しました。ワークプレイスハブは、受注数、顧客平均単価ともに増加しています。これらの結果、DW-DXユニット全体では、前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は3,337億円(前年同期比0.8%減)、営業損失は89億円(前年同期
の営業損失は62億円)となりました。
2)プロフェッショナルプリント事業
プロダクションプリントユニットでは、当累計期間の機器本体の販売台数は、前年同期比でカラー機は102%、モノクロ機は96%、全体では100%になりました。消耗品やサービスなどのノンハードの売上高は、中堅大手の印刷会社を中心に商業印刷需要が回復基調にあります。また、前述の辰野工場の爆発事故により当会計期間ではトナー供給が不足しましたが、顧客への影響を抑制するよう努めた結果、プロダクションプリントユニットは、前年同期比で増収となりました。また、ユニット全体での受注残高が当期の第2四半期連結会計期間末の約70億円から当会計期間末では約80億円になりました。
産業印刷ユニットでは、商業印刷会社が直面する「短納期受注への対応」「環境対応」「アナログ機の熟練労働者の確保が困難」という課題への対応として、効率的かつ高画質な印刷が可能となる当社のインクジェット機の稼働率が上がり、1台当たりのプリント量が増加しました。併せて、日用品の堅調な需要回復や欧州アパレル市場の回復が継続し、ラベル印刷やテキスタイル印刷でもノンハードの売上高が伸長しました。最終需要の拡大により、インクジェット印刷機、ラベル印刷機、デジタル加飾印刷機、テキスタイル印刷機と全ての領域でハードウェアの販売も増加しました。これらの結果、産業印刷ユニット全体では、前年同期比で増収となりました。
マーケティングサービスユニットでは、欧米での景気回復、日米韓では新規顧客獲得、及び、主要顧客の販売促進活動の段階的な再開に伴い売上が拡大し、前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は1,409億円(前年同期比18.7%増)、営業利益は4億円(前年同期の営業損失は87億円)となりました。
3)ヘルスケア事業
ヘルスケアユニットでは、DR(デジタルラジオグラフィー)の販売台数は、国内では病院市場を中心に前年同期を上回り、国外は新型コロナウイルス感染症の診察に用いられる需要の増加を捉え、特にインド、アジア市場で大きく数量が増加しました。超音波診断装置の販売台数は、国内での整形外科、産科向けを中心に前年同期を上回るとともに、米州、中国市場でも増加しました。また、国内では新型コロナウイルス感染症の自宅療養者貸出用途で自治体向けにパルスオキシメーターの販売台数が大幅に増加しました。医療ITでは、国内では医療画像管理や施設間連携をサポートするITサービス「infomity(インフォミティ)」の販売が引き続き好調に推移しました。米国ではPACS(医用画像保管・管理システム)の販売は回復基調が続いており、当会計期間で新型コロナウイルス感染症が拡大する前の売上水準まで回復しています。これらの結果、ヘルスケアユニットの売上高は前年同期比で増収になりました。
プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子検査は、米国での新型コロナウイルス感染症再拡大により病院への来院者数減少の影響を受けていますが、検査数は前期の第3四半期連結会計期間に新型コロナウイルス感染症拡大前の水準を超え継続して増加しています。また、重点施策である生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査及び検診機関向けサービスの「CARE Program」は共に検査数が増加しています。創薬支援サービスは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により治験参加者が減少し、製薬会社の治験開始遅延が継続していましたが、当期の第2四半期連結会計期間より顧客でのアルツハイマー等の治験が再開し売上に貢献しました。これらにより、プレシジョンメディシンユニットの売上高は、前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は843億円(前年同期比14.6%増)、営業損失は97億円(前年同期は71億円の営業損失)となりました。
4)インダストリー事業
センシング分野(計測機器ユニット)では、光源色向け計測器はアジアでのディスプレイ需要を着実に捉えて売上を堅調に維持しました。物体色向け計測器は各地域とも売上が好調に推移し、自動車外観計測では新規案件でパイプラインが増加しました。また、前期にSpecim社を買収して参入したHSI(ハイパースペクトルイメージング)分野でも新規受注を順調に獲得したことで、ユニット全体では前年同期比で増収となりました。
材料・コンポーネント分野では、機能材料ユニットは、テレビ市況が当期の第2四半期連結会計期間から減速したものの、大型テレビやIT領域の好調な需要を確実に捉え、液晶テレビ向けの高付加価値製品や、PC用及びスマートフォン用薄膜フィルムが堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。IJコンポーネントユニットは、前年度から堅調に回復してきた欧州での新型コロナウイルス感染症の再拡大や、インド市場における顧客の部材不足による生産減少の影響を受けましたが、中国、アジアでのサイングラフィックス用プリンターの需要や、成長領域の工業用途向けが堅調に推移し、前年同期比で増収となりました。光学コンポーネントユニットは、プロジェクタ用レンズは回復基調が継続し、前年同期比で増収となりました。
画像IoTソリューション分野では、画像インプットデバイスや画像解析システムの主要製品を有する画像IoTソリューションユニットにおいて、前期好調だったサーマルカメラソリューションの需要が落ち着いたため、前年同期比で減収となりました。欧州向け監視カメラソリューションの販売が回復していましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により商談、受注が遅れました。一方、顧客やパートナーと共に社会のDXを加速させていくために、当社の強みであるイメージング技術をベースに最新のIoT、AI技術を融合させた画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」は戦略的パートナー数を順調に増加させ、ソリューション展開を加速しています。映像ソリューションユニットでは、直営館事業は国内初のLEDドームを採用した施設であるプラネタリウムを名古屋に新規にオープンし、3月に予定している横浜の直営館の開業準備も計画どおり進捗しています。また、物品販売も堅調に推移し、売上高は前年同期比並みとなっています。画像IoTソリューション分野全体としては前年同期比で減収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は1,013億円(前年同期比18.6%増)、営業利益は197億円(同100.6%増)となりました。
(参考)第3四半期連結会計期間の状況
前第3四半期 連結会計期間 | 当第3四半期 連結会計期間 | 増減 | ||
(自2020.10.1 | (自2021.10.1 | |||
至2020.12.31) | 至2021.12.31) | |||
億円 | 億円 | 億円 | % | |
売上高 | 2,302 | 2,164 | △138 | △6.0 |
売上総利益 | 1,032 | 947 | △85 | △8.3 |
営業利益(△は損失) | 32 | △85 | △118 | - |
税引前四半期利益(△は損失) | 24 | △93 | △117 | - |
親会社の所有者に帰属する四半期利益 (△は損失) | 16 | △89 | △105 | - |
円 | 円 | 円 | % | |
基本的1株当たり四半期利益(△は損失) | 3.24 | △18.09 | △21.33 | - |
億円 | 億円 | 億円 | % | |
設備投資額 | 86 | 94 | 7 | 8.5 |
減価償却費及び償却費 | 193 | 188 | △4 | △2.6 |
研究開発費 | 158 | 157 | △0 | △0.5 |
億円 | 億円 | 億円 | % | |
フリー・キャッシュ・フロー | 148 | △215 | △364 | - |
為替レート | 円 | 円 | 円 | % |
米ドル | 104.51 | 113.71 | 9.20 | 8.8 |
ユーロ | 124.54 | 130.07 | 5.53 | 4.4 |
主要セグメントの状況
前第3四半期 連結会計期間 | 当第3四半期 連結会計期間 | 増減 | |||
(自2020.10.1 | (自2021.10.1 | ||||
至2020.12.31) | 至2021.12.31) | ||||
億円 | 億円 | 億円 | % | ||
デジタルワークプレイス | 売上高 | 1,250 | 1,076 | △174 | △13.9 |
事業 | 営業利益 | 31 | △46 | △77 | - |
プロフェッショナル | 売上高 | 453 | 474 | 21 | 4.6 |
プリント事業 | 営業利益 | △0 | △9 | △9 | - |
ヘルスケア事業 | 売上高 | 281 | 281 | 0 | 0.0 |
営業利益 | △5 | △45 | △39 | - | |
インダストリー事業 | 売上高 | 315 | 327 | 12 | 4.0 |
営業利益 | 47 | 52 | 4 | 9.8 | |
小計 | 売上高 | 2,299 | 2,159 | △140 | △6.1 |
営業利益 | 72 | △48 | △121 | - | |
「その他」及び調整額 | 売上高 | 2 | 4 | 2 | 96.2 |
(注2) | 営業利益 | △40 | △37 | 2 | - |
要約四半期 | 売上高 | 2,302 | 2,164 | △138 | △6.0 |
連結損益計算書計上額 | 営業利益 | 32 | △85 | △118 | - |
(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。
(注2)売上高は「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。
(2)財政状態の分析
前連結会計年度末 | 当第3四半期 連結会計期間末 | 増減 | |
資産合計 (億円) | 12,997 | 12,699 | △298 |
負債合計 (億円) | 7,490 | 7,513 | 23 |
資本合計 (億円) | 5,507 | 5,185 | △321 |
親会社の所有者に帰属する持分合計(億円) | 5,398 | 5,070 | △328 |
親会社所有者帰属持分比率 (%) | 41.5 | 39.9 | △1.6 |
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前期末比298億円(2.3%)減少し1兆2,699億円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の減少206億円、有形固定資産の減少134億円、現金及び現金同等物の減少133億円、その他の金融資産の減少41億円、未収法人所得税の減少35億円、棚卸資産の増加195億円、のれん及び無形資産の増加64億円によるものであります。
負債合計については、前期末比23億円(0.3%)増加し7,513億円となりました。これは主に、社債及び借入金の増加230億円、その他の金融負債の増加198億円、営業債務及びその他の債務の減少241億円、その他の流動負債の減少68億円、繰延税金負債の減少56億円によるものであります。
資本合計については、前期末比321億円(5.8%)減少し5,185億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比328億円(6.1%)減少し5,070億円となりました。これは主に、資本剰余金の減少210億円、剰余金の配当による減少148億円、親会社の所有者に帰属する四半期損失の計上132億円、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の増加158億円によるものであります。
これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は、1.6ポイント減少の39.9%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
(単位:億円) |
前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 406 | 314 | △92 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △328 | △410 | △82 |
計 | 78 | △96 | △174 |
(フリー・キャッシュ・フロー) | |||
財務活動によるキャッシュ・フロー | 268 | △57 | △326 |
当第3四半期連結累計期間の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー314億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー410億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは96億円のマイナスとなりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは57億円の支出となりました。
そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額等があり、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比133億円減少の1,105億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前四半期損失120億円に、減価償却費及び償却費565億円、営業債権及びその他の債権の減少による増加265億円等によるキャッシュ・フローの増加と、棚卸資産の増加による減少158億円、営業債務及びその他の債務の減少による減少109億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは314億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出314億円、無形資産の取得による支出136億円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは410億円の支出となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは96億円のマイナス(前年同期は78億円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の償還及び長期借入金の返済286億円、リース負債の返済145億円、配当金の支払145億円等の支出と短期借入金の純増加額517億円等の収入により、財務活動によるキャッシュ・フローは57億円の支出(前年同期は268億円の収入)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について追加すべき事項は、以下のとおりです。
なお、当項目における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当第3四半期連結累計期間にグループ会社である株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場で発生した爆発事故を受けて、工場稼働停止と新生産方式による再稼働から生産能力回復まで、当連結会計年度後半においてトナー生産量が実需の75%程度と想定されることから、特にプロフェッショナルプリント事業において既存顧客にトナーを優先供給するため、ノンハード売上への影響が見込まれます。当社は既に事故原因を排除し安全対策を取った新生産方式によるトナー生産を再開しており、顧客へのトナー供給不足の影響は、当期の第4四半期連結会計期間には解消する見込みです。
また、当連結会計年度において、半導体等部材供給ひっ迫による生産面での影響が継続しています。この影響により当期の第2四半期連結会計期間末の時点では、当連結会計年度後半における当社オフィスユニット製品の生産が実需に対して70%程度に留まると予想していましたところ、半導体確保の諸施策の成果により生産に必要な部品入手には目途が立ち、組立工場においても新型コロナウイルス感染症対応策の多面的準備と機動的対応等の取組みにより当第3四半期連結会計期間末では実需に対する生産見通しは75%まで改善しました。オフィスユニット製品の需給ギャップ極小化に向けて、当期の第4四半期連結会計期間では物流リードタイムの長期化継続が懸念点となりますが、工場出荷の早期化や顧客までの輸送ルートの複線化等により、デジタルワークプレイス事業への影響を抑制してまいります。
このような環境認識のもと、当社は中期経営計画「DX2022」及び2025年のポートフォリオ転換の実現に向けて、既に実行中の施策に加えて、DW-DXユニット及び「計測・検査・診断」を切り口としたインダストリー事業、ヘルスケア事業やプロフェッショナルプリント事業などの成長事業・コア事業における事業体制強化、並びにM&Aや協業の強化・拡大により、中期経営計画「DX2022」の蓋然性を高めながら、事業ポートフォリオ転換への道筋を確実なものへとしていきます。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は471億円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況について重要な変更はありません。
(注)「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における記載金額は、表示単位未満を切り捨てて表示しております。