有価証券報告書-第119期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/21 14:40
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146項目
経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びにこれらの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計方針及び見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記3 重要な会計方針」及び「同 注記4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の状況
当連結会計年度(以下「当期」)における経済情勢は、経済活動が前期の新型コロナウイルス感染症拡大期から回復基調でしたが、世界的な物価高と欧米を中心とした各国の金融引き締め政策により回復が鈍化しました。欧州ではウクライナ情勢の影響によるエネルギー価格の高騰も加わり景気低迷が顕在化し、米国では底堅い個人消費や雇用環境により堅調を維持していましたが、3月には一部金融機関が破綻するなど不透明感が増して景気後退の懸念が継続しました。中国ではゼロコロナ政策に伴う活動制限により経済成長が鈍化しましたが、同政策解除に伴う活動制限の緩和により経済活動が再開しています。日本では、消費者物価は上昇していますが、経済活動の正常化を背景に、抑制されていた需要の回復が続き、景気は緩やかに持ち直し傾向にあります。
こうした経営環境の下、当期における当社グループの連結売上高は、1兆1,303億円(前期比24.0%増)と、2003年のコニカとミノルタの経営統合以来最高の売上高となりました。地域別では、前期比で北米は約44%、欧州は約27%、中国は約13%、日本は約1%と全地域で増収となっています。事業別では、デジタルワークプレイス事業とプロフェッショナルプリント事業では、受注残高の解消が進み販売数量が増加した結果、ハード、ノンハードともに前期比で増収となりました。ヘルスケア事業では、ヘルスケア分野の日本と米国への販売が好調を維持し、プレシジョンメディシン分野は遺伝子検査数が増加したことにより前期比で83.1%の増収となりました。インダストリー事業は、機能材料ユニットは市場在庫調整の影響により減収となりましたが、センシング分野は過去最高の売上高となり、インダストリー事業全体では若干のマイナスとなりました。増収により売上総利益を拡大させながらも販売費及び一般管理費の抑制を継続し、主にデジタルワークプレイスとプロフェッショナルプリント事業で構造改革を行うなど、当期において等身大の経営を掲げ、業績見通しの達成を目指してまいりました。
事業の選択と集中を加速していく中期経営計画を念頭に、過去の買収を中心とした投資の精査を行い、国際会計基準(IFRS)に基づく減損テストを実施した結果、主にヘルスケア事業のプレシジョンメディシン分野に係るのれんや、インダストリー事業の画像IoTソリューションユニットに係るのれんなど、当第4四半期連結会計期間(以下「当第4四半期」)において1,166億円の減損損失を計上しました。一方、デジタルワークプレイス事業のオフィスユニット、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業のヘルスケア分野、インダストリー事業のIJコンポーネントユニット、光学コンポーネントユニットは前期比で増益となりました。減損損失を除いた営業利益は業績見通し150億円を上回る215億円となり、事業の稼ぐ力は着実に回復しております。
これらの結果、当期の連結営業損失は951億円(前期は222億円の営業損失)となりました。税引前損失は1,018億円(前期は236億円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,031億円(前期は261億円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
前連結会計年度当連結会計年度増減
(自 2021.4.1(自 2022.4.1
至 2022.3.31)至 2023.3.31)
億円億円億円%
デジタルワークプレイス売上高4,6546,0021,34829.0
事業営業利益△6292154-
プロフェッショナル売上高1,9472,52657829.7
プリント事業営業利益10166156-
ヘルスケア事業売上高1,0991,37827925.4
営業利益△203△1,122△919-
インダストリー事業売上高1,3921,375△16△1.2
営業利益185108△77△41.7
小計売上高9,09311,2822,18924.1
営業利益△69△755△685-
「その他」及び調整額売上高212101.0
(注2)営業利益△153△196△42-
連結損益計算書計上額売上高9,11411,3032,18924.0
営業利益△222△951△728-

(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。
(注2)売上高は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。
①デジタルワークプレイス事業
0102010_013.pngオフィスユニットでは、当期の第1四半期連結会計期間(以下「当第1四半期」)において中国のゼロコロナ政策に伴う活動制限の影響を受けて工場の稼働率が低下していましたが、制限解除後の6月以降、生産能力を増強し回復に努めました。また、長期化していた製品輸送期間も改善しました。A3複合機の販売台数は、欧州、米国、日本など主要地域で増加し、前期比でカラー機は138%、モノクロ機は99%、全体では122%となりました。また、受注残高は、前期末の537億円、当期第3四半期連結会計期間末の364億円から減少し、当期末には158億円となりました(実勢レート換算)。消耗品やサービスなどのノンハード売上高は、地域に差はあるものの顧客企業での出社再開によるプリントボリュームの回復により、全体では増収となりました。これらの結果、オフィスユニットとしては前期比で増収となりました。
ITサービスなどの提供を中心とするDW-DXユニットでは、顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスの販売が欧米での受注伸長により拡大するとともにリカーリング売上も増加し、前期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は6,002億円(前期比29.0%増)、オフィスユニットの複合機ハード販売数量及び生産数量増加に伴う売上総利益の増加が寄与し、営業利益は92億円(前期は62億円の営業損失)と増収増益となりました。
②プロフェッショナルプリント事業
0102010_014.pngプロダクションプリントユニットでは、デジタル印刷機の需要は引き続き堅調で、オフィスユニットと同様、中国のゼロコロナ政策に伴う活動制限解除後には生産及び出荷が回復し、当期の機器本体の販売台数は、前期比で、カラー機は130%、モノクロ機は115%、全体では125%となりました。また、受注残高は、前期末の87億円、当期第3四半期連結会計期間末の90億円から減少し、当期末には34億円となりました(実勢レート換算)。消耗品やサービスなどのノンハード売上高は、商業印刷会社でのプリントボリュームが欧米を中心に回復し、インド、アジア地域での需要も増加しました。
産業印刷ユニットでは、欧州、日本でインクジェット印刷機「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1e」の販売台数が増加しました。ノンハード売上高は、印刷会社への短納期、多品種、小ロット需要の高まりを背景に、一般商業印刷(インクジェット印刷)、ラベル印刷、加飾印刷、テキスタイル印刷の全ての領域で伸長しました。
マーケティングサービスユニットでは、欧米での主要顧客の販売促進活動が活発化したことに加え、日本と韓国でのオンデマンドプリントの拡大により売上が伸長しました。
これらの結果、当事業の売上高は2,526億円(前期比29.7%増)、プロダクションプリントユニットと産業印刷ユニットの売上増加に伴う売上総利益の増加が寄与し、営業利益は166億円(前期は10億円の営業利益)と増収増益となりました。
③ヘルスケア事業
0102010_015.pngヘルスケア分野では、X線診断に用いられるDR(デジタルラジオグラフィー)の販売台数は、日本の開業医市場で拡大したほか、米国ではX線システム向けを中心に病院市場で増加しました。動態解析システムの販売台数は、日米の大学病院を中心に順調に進捗しました。超音波診断装置の販売台数は、日本の透析治療向けが増加し、整形外科・産科向けは堅調に推移しました。医療ITでは、医療画像管理や遠隔医療、病院と開業医の連携をサポートするITサービス「infomity(インフォミティ)」の販売が日本で拡大し、PACS(医用画像保管・管理システム)の販売が日本と米国で伸長しました。これらの結果、ヘルスケア分野は、前期比で増収となりました。
プレシジョンメディシン分野では、遺伝子検査は、重点施策である生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査を中心に遺伝子検査の検査数が増加しました。創薬支援サービスは、米国の新型コロナウイルス感染症拡大時とそれ以降の医療スタッフ不足などの影響により、製薬会社による臨床試験の実施に一部で遅れが生じていますが、緩やかな回復傾向にあります。遺伝子検査、創薬支援サービスともに新型コロナウイルス感染症拡大前の売上高を上回りました。これらにより、プレシジョンメディシン分野は、前期比で増収となりました。また、当期においては、期初に当事業の事業方針を収益性重視に転換し、当第1四半期を中心に人員の適正化や経費削減などに努め、当第4四半期にはAmbry Genetics CorporationとInvicro, LLCの個社で四半期利益が黒字となりました。しかしながら、2017年の買収以降、競合環境の変化、米国での新型コロナウイルス感染症拡大時における予防的な遺伝子診断のための来院者の激減とそれ以降の医療スタッフの不足などにより、病院での診断や健康診断での遺伝子検査の需要成長が想定より大幅に鈍化していること、同じく製薬会社での治験が大幅に遅延したこと、加えて、他社との協業などの自社戦略の実行遅延など足元の市場変化を踏まえ、事業計画を見直しました。また、直近の金利上昇により減損テストに使用する割引率が上昇したことからも回収可能価額が大幅に低下しました。これらにより、今回、
当第4四半期においてのれん等の減損損失1,035億円を計上しました。
これらの結果、当事業の売上高は1,378億円(前期比25.4%増)、ヘルスケア分野では堅調に利益を確保し、プレシジョンメディシン分野では売掛金の回収率の向上、人員最適化や経費削減により赤字幅の縮小に成果がありましたが、上述の減損損失計上により営業損失1,122億円(前期は203億円の営業損失)と増収減益となりました。
④インダストリー事業
0102010_016.pngセンシング分野では、光源色向け計測器は、当第4四半期にディスプレイ投資が端境期に入った影響を受けたものの、年間では需要を着実に捉えて、前期比で増収となりました。物体色向け計測器は北米及びアジアでの需要がけん引し好調を維持しました。外観計測及びハイパースペクトルイメージング技術を活用した検査機器でも受注が順調に拡大し、販売が伸長しました。これらの結果、前期比で増収となりました。
材料・コンポーネント分野では、機能材料ユニットは、前期における新型コロナウイルス感染症拡大による巣ごもり需要の反動で、当期に入りサプライチェーン下流の在庫調整が継続しているものの、当社の主力製品であるTVのVAパネル用位相差フィルムの販売は堅調に推移しました。一方でIPSパネル用位相差フィルム及びITデバイス、スマートフォン用薄膜フィルム販売は先に述べた市場在庫調整の影響を引き続き受け、全体としてフィルムの販売数量が減少し前期比で減収となりました。IJコンポーネントユニットは、主要市場である中国でのゼロコロナ政策解除に伴う活動制限緩和により経済活動が再開し、今後の市場回復への期待を含めた需要を取り込みました。また欧米では高精細プリンタ向けヘッドの販売が好調であったことで、前期比で増収となりました。光学コンポーネントユニットは、産業用途向けレンズの販売において、半導体不足による自動車産業での生産減少の影響を受けたものの、半導体検査装置用レンズの販売が伸長し、プロジェクタレンズ、交換レンズにおける市況回復により販売が堅調に推移し、前期比で増収となりました。これらの結果、材料・コンポーネント分野全体では前期比で減収となりました。
画像IoTソリューション分野では、画像IoTソリューションユニットにおいて、前期から影響を受けていた半導体等部材の供給制約が当第4四半期に改善しました。またMOBOTIX AG(以下「MOBOTIX社」)と、当社の欧米販売会社が連携した販売推進体制を構築し、監視カメラ・アプリケーション・サービスのパッケージ化による大型案件を獲得しました。また、当第1四半期に買収したVAXTOR Technologies,S.L.において、車番認証ソフトウェア販売が好調に推移し、前期比で増収となりました。映像ソリューションユニットは、2021年10月及び2022年3月にそれぞれオープンした名古屋と横浜の直営プラネタリウム館での集客が寄与するなどにより売上が伸長し、前期比で増収となりました。これらにより、画像IoTソリューション分野全体として前期比で増収となりました。
半導体等部材の供給制約及び主要市場である欧州の景気低迷に伴う影響等により、回収可能性を考慮し帳簿価額を回収可能価額まで減額した結果、MOBOTIX社の買収により生じたのれんの減損損失71億円(MOBOTIX社及びその子会社により構成される資金生成単位グループに配分したのれんの減損損失37億円、画像IoTソリューション分野に配分したのれんの減損損失22億円、QOLソリューションに係る事業に配分したのれんの減損損失11億円)を当第4四半期に計上しました。また、画像IoTソリューション分野では有形固定資産及び無形資産の減損損失として9億円を計上しました。映像ソリューションユニットでは、プラネタリウムの有形固定資産で減損損失4億円を計上しました。
これらの結果、当事業の売上高は1,375億円(前期比1.2%減)、主に機能材料ユニットでの売上減少による売上総利益の減少、原材料やエネルギーコストの高騰及び為替によるコスト増加の影響などにより、営業利益は108億円(同41.7%減)と減収減益となりました。
(3)財政状態の状況
前連結会計年度末当連結会計年度末増減
資産合計 (億円)13,38114,137756
負債合計 (億円)7,7669,1381,372
資本合計 (億円)5,6154,998△616
親会社の所有者に帰属する持分合計(億円)5,4984,874△623
1株当たり親会社所有者帰属持分 (円)1,113.71986.87△126.84
親会社所有者帰属持分比率 (%)41.134.5△6.6

当連結会計年度末(以下「当期末」)の資産合計は、前期末比756億円(5.7%)増加し1兆4,137億円となりました。これは主に、現金及び現金同等物の増加629億円、棚卸資産の増加564億円、営業債権及びその他の債権の増加332億円、その他の非流動資産の増加141億円、のれん及び無形資産の減少952億円、その他の金融資産の減少53億円によるものであります。
負債合計については、前期末比1,372億円(17.7%)増加し9,138億円となりました。これは主に、社債及び借入金の増加1,147億円、営業債務及びその他の債務の増加184億円、その他の金融負債の減少85億円によるものであります。
資本合計については、前期末比616億円(11.0%)減少し4,998億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比623億円(11.3%)減少し4,874億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上1,031億円、剰余金の配当による減少123億円、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の増加321億円、資本剰余金の増加100億円によるものであります。
これらの結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は986.87円となり、親会社所有者帰属持分比率は6.6ポイント減少の34.5%となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー374133△241
投資活動によるキャッシュ・フロー△509△374135

(フリー・キャッシュ・フロー)
△135△241△106
財務活動によるキャッシュ・フロー21843821

当期の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー133億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー374億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは241億円のマイナスとなりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは843億円の収入となりました。
そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額があり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比629億円増加の1,805億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前損失1,018億円に、減損損失及びその戻入益1,166億円、減価償却費及び償却費752億円等によるキャッシュ・フローの増加と、棚卸資産の増加による減少468億円、営業債権及びその他の債権の増加による減少140億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは133億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出217億円、無形資産の取得による支出190億円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは374億円の支出となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは241億円のマイナス(前期は135億円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の発行及び長期借入れ1,338億円、短期借入金の純増加額1,141億円等の収入と社債の償還及び長期借入金の返済1,315億円、リース負債の返済202億円、配当金の支払124億円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは843億円の収入(前期は21億円の収入)となりました。
なお、社債の発行及び長期借入れ1,338億円及び社債の償還及び長期借入金の返済1,315億円は、主に2017年10月31日に実行したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円について、2022年10月31日をもって全額を期限前弁済するとともに、同日に新たなハイブリッドローン(劣後特約付ローン)による資金の借入を実行したことによるものです。
(5)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比
百万円%
デジタルワークプレイス事業345,860137.5
プロフェッショナルプリント事業
ヘルスケア事業14,64788.6
インダストリー事業125,36896.8
報告セグメント計485,876122.2
その他0-
合計485,876122.2

(注1)金額は、売価換算値で表示しております。
(注2)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、共通の設備にて生産を行っておりますので、当該生産拠点における生産実績を記載しております。
②受注実績
当社グループは見込み生産を主としておりますので、記載を省略しております。
③販売実績
販売状況については、「(2)経営成績の状況」において各セグメントの業績に関連付けて示しております。
(6)資本の財源及び資金の流動性
①資本政策の基本的な方針
当社は事業ポートフォリオ転換とDX as a Serviceビジネスモデルの変革に取組み、中長期的な企業価値向上に向けた持続的な成長を支えるための最適な資本政策を実施していきます。
特にキャッシュ・フロー創出力の強化と資本効率(ROIC)の向上を重視し、その実現に向けて、「成長投資の実施」「株主還元の充実」及び「財務基盤の強化」について、これらの最適バランスを目指した資本政策を推進し、資金効率の向上と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。
1)資本効率の向上
資本コストを重視し、資本コストを安定的に上回るROICの向上を目指します。このために、KM-ROIC及び投下資本収益(注)を全社資本効率向上のための両輪と位置付けており、両指標の最大化を通して、継続的な資本効率と企業価値の向上を実現していきます。
2)株主還元の充実
連結業績や成長分野への投資、キャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、配当を基本として利益還元の充実に努めます。自己株式の取得については、当社の財務状況や株価の推移等も勘案しつつ、利益還元策の一つとして適切に判断していきます。
3)財務健全性の担保
当社は、オフィス事業をその顧客基盤を活用したうえで「デジタルワークプレイス事業」へ転換することと、「計測・検査・診断」領域を新たな事業の柱として確立することの『二つの事業転換』を2025年までに完遂させることを最優先課題としておりますが、財務ガバナンスの強化、財務リスクの最小化、資金効率の向上、株主資本の充実により、財務基盤をより強固なものとし、積極的な成長投資を後ろ支えするという考え方そのものに変更はありません。
(注)KM-ROIC:投下資本収益率。事業利益を投下資本で除した比率。事業活動のために投下した資本を使って、どれだけ事業利益を生み出したかを示す指標。
投下資本収益:事業収益から投下資本コストを控除した収益。どれだけ投下資本コストを上回る価値を創造したかを示す指標。
投下資本収益の最大化によりROICの向上を図ります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
②資金需要
当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。
③資金の源泉
当社グループの資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達であります。
④資金調達についての方針
当社グループは、円滑な事業活動に必要な流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針とし、主に金融機関からの短期借入及び長期借入や社債の発行により資金調達を行っております。社債については、国内社債発行登録枠を有しており、当社の既発行社債の債券格付、発行登録予備格付はともに株式会社格付投資情報センター(R&I)及び株式会社日本格付研究所(JCR)からA格を取得しております。長期資金の調達に際しては、償還や返済の時期を分散することにより借り換えリスクの低減を図っております。また、資金調達は主に当社が行っており、必要資金を関係会社に主にキャッシュ・マネジメント・システムを通じて供給することで資金調達の一元化や効率化を図っております。
0102010_017.png(注)2018年3月31日以降の残高には、ハイブリッドローンが含まれております。格付機関の評価により、資金調達額1,000億円の50%に対して資本性の認定をうけております。
0102010_018.png(注)ハイブリッドローンは、2027年10月以降の各利払日に元本の全部又は一部を返済期限(2057年10月)前に返済することが可能となっております。
⑤流動性
当社は営業活動によるキャッシュ・フローに加え、複数の金融機関との間で2026年9月末を期限とする1,000億円のコミットメントライン及び一つの金融機関との間で2023年10月末を期限とする50億円のコミットメントラインを締結するほか、アンコミットメントベースの融資枠も有しております。
また、当社グループ内の資金の効率化については、日本・北米・欧州・アジアパシフィックの各統括拠点においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、各地域の余剰資金を当社へ集中し一元的に管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化及びガバナンスの向上を図っております。なお、一時的な余剰資金は、安全性が極めて高い金融資産で運用しております。