四半期報告書-第118期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/06 10:03
【資料】
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【項目】
39項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
① 業績全般の概況
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
(自2020.4.1(自2021.4.1
至2020.6.30)至2021.6.30)
億円億円億円%
売上高1,7312,29856632.7
売上総利益7161,01229541.3
営業利益(△は損失)△22631257-
税引前四半期利益(△は損失)△23825263-
親会社の所有者に帰属する四半期利益
(△は損失)
△1739182-
%
基本的1株当たり四半期利益(△は損失)△34.961.9836.94-
億円億円億円%
設備投資額63882540.0
減価償却費及び償却費194189△4△2.1
研究開発費161153△8△5.1
億円億円億円%
フリー・キャッシュ・フロー△139△27111-
%
連結従業員数42,96440,078△2,886△6.7
為替レート%
米ドル107.62109.491.871.7
ユーロ118.48131.9613.4811.4

当社連結売上高の6割弱を占める欧米では新型コロナウイルス感染症による経済活動制限が緩和されたことにより回復傾向が続き、中国では経済成長が継続しています。日本では緊急事態宣言の再発出により非製造業の厳しい環境が続いていますが、製造業は海外経済の回復に伴う輸出の増加を背景に回復基調が続いています。一方、東南アジア等の新興国では感染再拡大により経済活動への影響が継続しています。
こうした経営環境の下、当社はデジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリーの全事業で増収となり、当第1四半期連結累計期間(以下「当期間」)における当社グループの連結売上高は2,298億円(前年同期比32.7%増)となりました。売上高を回復しながらも、前期に抑制した販売費及び一般管理費の水準を維持した結果、当期間の営業利益は31億円(前年同期は226億円の営業損失)と大幅な増益となりました。また、税引前四半期利益は25億円(前年同期は238億円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は9億円(前年同期は173億円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。
新型コロナウイルス感染症影響前の前々年同期と比較すると、売上高は95%の水準にまで回復し、特に今後の成長の柱の1つであるインダストリー事業は前々年同期比で売上高は17%の増収となりました。
当社は2020年度より2030年を見据えた長期の経営ビジョンと2022年をゴールとする中期経営戦略「DX2022」に基づく取組みを進めてきましたが、2025年度にポートフォリオ転換を完遂するための資本政策、重点施策についても取締役会での承認をうけ、「DX2022」を中期経営計画として始動しました。その基本方針は「デジタルトランスフォーメーション(DX)により高収益のビジネスへと飛躍する」こと、そして「真の社会課題解決企業へと転換していく」ことです。
新型コロナウイルス感染症影響でオフィスでの出社率が下がり、印刷需要が大きく減少しました。経済活動の回復とともに出社率は回復するものの、中期的にみてオフィスでの印刷需要は縮小傾向にあると厳しく捉えています。オフィスプリンティングへの依存度を下げた事業体質の実現を目指し、2つのポートフォリオ転換にスピードを上げて取り組みます。
一つ目は、オフィス事業の顧客基盤を活用したデジタルワークプレイス事業への転換です。当社がこれまでオフィス事業で培ってきた顧客基盤を活用して、顧客ワークフローのDX化を支援することで、事業の高付加価値化を図ります。二つ目は、全社として計測・検査・診断の領域での事業成長を加速させる事業ポートフォリオの転換です。プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業を今後の当社の事業の柱としていくべく、人財や研究開発費、投融資などのリソースを配分していきます。中期経営計画「DX2022」の期間中に、これらの転換のための施策を迅速に実行することで、2025年度に事業ポートフォリオ転換を完遂し、各事業の営業利益構成比を大きく変えていきます。
なお、前第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載しております。
② 主要セグメントの状況
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
(自2020.4.1(自2021.4.1
至2020.6.30)至2021.6.30)
億円億円億円%
デジタルワークプレイス売上高9451,21126528.1
事業営業利益△9610106-
プロフェッショナル売上高31747916150.9
プリント事業営業利益△70980-
ヘルスケア事業売上高2052524622.9
営業利益△47△3115-
インダストリー事業売上高2603529135.2
営業利益287951179.8
小計売上高1,7292,29556632.7
営業利益△18567253-
「その他」及び調整額売上高23031.2
(注2)営業利益△40△363-
要約四半期売上高1,7312,29856632.7
連結損益計算書計上額営業利益△22631257-

(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。
(注2)売上高は「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。
(注3)前第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載のとおりであります。なお、前年同期の数値を変更後の報告セグメントの区分により組み替えて比較しております。
1)デジタルワークプレイス事業
オフィスユニットでは、A3複合機の販売台数はアジアの一部地域でロックダウンの影響を受けたものの、各国の経済活動再開に伴い、欧州、米国、中国のカラー機を中心に大きく回復し、前年同期比でカラー機は132%、モノクロ機は117%、全体では126%となりました。消耗品やサービスなどのノンハード売上高は、顧客企業での従業員の出社再開とプリントボリュームの回復が欧州や米国で進み、また中国では前期に引き続き堅調に売上が推移した結果、増収となりました。これらの結果、オフィスユニットとしては前年同期比で増収となりました。
従来のITサービス・ソリューションユニットとワークプレイスハブユニットをあわせたDW-DXユニットでは、顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスは米国で大型案件を獲得したほか、デジタルワークフローソリューションの販売が欧州で伸長し、前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は1,211億円(前年同期比28.1%増)、営業利益は10億円(前年同期は96億円の営業損失)となりました。
2)プロフェッショナルプリント事業
プロダクションプリントユニットでは、欧州、中国でカラー機の販売台数が大きく増加し、前年同期比でカラー機は全てのカテゴリーで伸長し138%、モノクロ機は122%、全体では132%の販売台数となりました。カラー機では昨年に販売を開始したヘビープロダクション機「AccurioPress (アキュリオ プレス) C14000シリーズ」およびライトプロダクション機「AccurioPress C4080シリーズ」が大きく寄与しました。ノンハード売上高は欧州、米国では中大手の印刷会社でプリントボリュームが回復し、また中国では前期に引き続き堅調に売上が推移した結果、増収となりました。
産業印刷ユニットでは、インクジェットデジタル印刷機は、米国での販売が寄与し販売台数が増加しました。また、ラベル印刷機及びデジタル加飾印刷機の販売台数は米国、欧州で増加したほか、中国では展示会出展による営業活動が再開したことも奏功し大きく増加しました。ノンハード売上高は、テキスタイルの需要回復に加え、生活必需品のパッケージやラベルに関連する需要が伸長する中で印刷機器の市場設置台数の増加に伴い、前第2四半期連結会計期間からの増収を継続しています。
マーケティングサービスユニットでは、欧州では新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動規制が緩和されたことを受けた景気回復と主要顧客の販売促進活動の再開に伴い売上が拡大しました。国内では緊急事態宣言が再発出されたものの、キンコーズの販促物制作管理などのデジタルソリューションサービスがけん引して増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は479億円(前年同期比50.9%増)、営業利益は9億円(前年同期は70億円の営業損失)となりました。
3)ヘルスケア事業
ヘルスケアユニットでは、アジアの一部地域で新型コロナウイルス感染症の影響による営業活動の制限が継続していますが、DR(デジタルラジオグラフィー)は、日本では引き続き好調を維持するとともに、インドやアジア地域でも新型コロナウイルス感染症の診察に用いられるⅩ線回診車の需要増加により数量を大きく伸ばし、米州でも堅調でした。超音波診断装置は、日本の整形外科、産科向けを中心に販売数量を伸ばしました。医療ITは、日本では医療画像管理や施設間連携をサポートするITサービス「infomity(インフォミティ)」の販売が引き続き伸長し、米国では新型コロナウイルス感染症拡大による医療機関の投資抑制の影響を大きく受けてきたPACS(医用画像保管・管理システム)の販売が回復し始めました。これらの結果、ヘルスケアユニットは前年同期比で増収となりました。
プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子検査サービスは、重点施策である生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査、健診機関向けサービスの「CARE Program」を中心に検査数の増加基調を継続しました。創薬支援サービスは、米国での新型コロナウイルス感染症の影響を受け、治験参加者の減少による製薬会社の治験開始遅延が継続しているものの、製薬企業に提供するサービスの受注残高は高水準を維持しており、治験開始に向けた交渉が活性化してきています。この結果、プレシジョンメディシンユニット全体として前年同期比で増収となりました。
これらの結果、当事業の売上高は252億円(前年同期比22.9%増)、営業損失は31億円(前年同期は47億円の営業損失)となりました。
4)インダストリー事業
センシング分野(計測機器ユニット)では、物体色向け計測器は中国や欧州での受注好調に加えて北米での売上も回復、光源色向け計測器は大手顧客の需要伸長による追加受注の売上計上があり好調を継続しました。外観計測は前期に獲得した受注が売上につながり、また新規案件も順調に受注しました。前期に買収したSpecim社の連結効果もあり、ユニット全体では四半期で過去最高の売上を達成しました。
材料・コンポーネント分野では、機能材料ユニットは液晶テレビ向け位相差フィルムや、PC、タブレット及びスマートフォン用薄膜フィルム等の高付加価値製品の強い需要を確実に捉えました。新樹脂「SANUQI」フィルムも大型テレビ向けに販売を拡大しており、前年同期比で大幅に増収となりました。光学コンポーネントユニットは、エンターテイメント向けなどの既存用途において市場は回復途上にあるものの、市場成長の見込める車載などの産業用途向けは販売を伸ばしており、売上高は前年同期並みとなりました。IJコンポーネントユニットは、主要市場である中国国内の市況が堅調に推移し、欧米も回復しつつあります。また成長領域として工業用途への販売拡大も進んでおり、前年同期比で増収となりました。
画像IoTソリューションユニットは、監視カメラソリューションの欧州向け販売が好調であったものの、新型コロナウイルス感染症対策に対応した非接触による体表温度測定を可能にするサーマルカメラソリューションの需要が落ち着いたこともあり、前年同期比では減収となりました。前期に展開を開始した画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」はパートナーを増やし本格的なプログラム展開、販売チャネル拡大を進めました。
映像ソリューションユニットでは、プラネタリウム直営館でのタイアップ企画による物販が好調でした。また、当期間に再発出した緊急事態宣言の影響を受けましたが、引き続き直営館での徹底した感染対策の実施と周知により前年同期比で増収となりました。
これらの結果、センシング分野と機能材料ユニットがけん引し、当事業の売上高は352億円(前年同期比35.2%増)、営業利益は79億円(同179.8%増)となりました。営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響がない前々年同期との比較でも145.1%増となっており着実に成長しております。
(2)財政状態の分析
前連結会計年度末当第1四半期
連結会計期間末
増減
資産合計 (億円)12,99712,714△283
負債合計 (億円)7,4907,243△247
資本合計 (億円)5,5075,471△35
親会社の所有者に帰属する持分合計(億円)5,3985,362△36
親会社所有者帰属持分比率 (%)41.542.20.7

当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前期末比283億円(2.2%)減少し1兆2,714億円となりました。これは主に、現金及び現金同等物の減少141億円、営業債権及びその他の債権の減少130億円、棚卸資産の減少44億円、その他の資産の増加48億円によるものであります。
負債合計については、前期末比247億円(3.3%)減少し7,243億円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務の減少184億円、その他の負債の減少67億円によるものであります。
資本合計については、前期末比35億円(0.6%)減少し5,471億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比36億円(0.7%)減少し5,362億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上9億円、剰余金の配当による減少74億円、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の増加26億円によるものであります。
これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は、0.7ポイント増加の42.2%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)

前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー△7791168
投資活動によるキャッシュ・フロー△61△118△56
△139△27111
(フリー・キャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フロー767△117△884

当第1四半期連結累計期間の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー91億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー118億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは27億円のマイナスとなりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは117億円の支出となりました。
そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額等があり、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比141億円減少の1,096億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前四半期利益25億円に、減価償却費及び償却費189億円、営業債権及びその他の債権の減少による増加147億円等によるキャッシュ・フローの増加と、営業債務及びその他の債務の減少による減少146億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは91億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出92億円、無形資産の取得による支出43億円等により、投資によるキャッシュ・フローは118億円の支出となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは27億円のマイナス(前年同期は139億円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払い70億円、リース負債の返済47億円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは117億円の支出(前年同期は767億円の収入)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は153億円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況について重要な変更はありません。
(注)「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における記載金額は、表示単位未満を切り捨てて表示しております。