有価証券報告書-第72期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、第4四半期前半までは企業収益や雇用環境の改善等を背景に景気は緩やかな回復基調で推移していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、足元では大幅に下押しされています。また、今後においても、同感染症の拡大による消費動向や企業活動への影響、および海外における政治経済の不確実性等々の懸念材料が多くあり、先行きは厳しい状況が続くと見込まれます。
当社グループが属する建設産業においては、防災・減災対策や老朽化したインフラの整備等の建設投資は底堅い状況ですが、働き方改革への対応、週休二日制推進などのコストアップ要因が顕在化しており、加えて新型コロナウイルス感染症の影響を含め見通しは大変不透明な状況が予想されます。
このような経済状況のもと、当社は「中期経営計画2019(2019年度~2021年度)」の基本方針・基本戦略に基づき、企業の持続的な成長を目指してまいりました。土木事業においては、成長分野である大規模更新・修繕工事を新設工事と並ぶ主力事業として積算精度の向上や施工技術の改善を進め、建築事業においては、PC技術を核とした元請、設計施工案件の受注へ向けて効率的なエリア展開を進めることで、受注の強化や収益力の向上に取り組んでまいりました。また、国内建設市場の縮小に備え、成長分野として位置づけている海外事業の拡大や収益源の多様化に向けた不動産事業や建設周辺事業への展開を強化してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,057億44百万円(前年同期比4.1%減)、営業利益48億81百万円(同44.2%減)、経常利益48億97百万円(同44.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益32億14百万円(同59.4%減)となりました。
なお、個別の業績は、 売 上 高 926億27百万円 営業利益 34億72百万円
経常利益 39億62百万円 当期純利益 27億1百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は649億24百万円(前年同期比5.3%減)、セグメント利益は95億27百万円(前年同期比32.5%減)となりました。繰越高は前期に比べ増加しましたが、大規模更新・メンテナンス工事は新設橋梁に比べ生産性が現時点では劣っていること、前期は想定以上の設計変更獲得による改善要因があったことの反動から売上高、利益ともに減少しました。IoTの活用により要員配置の適正化や遠隔作業支援など効率的な現場管理を実現するため、工事作業所での作業効率向上を目指した床版撤去・架設機械の改良・開発を関係部署を横断した組織を立ち上げ取り組んでまいります。
建築事業は、売上高は395億74百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は39億94百万円(前年同期比21.1%増)となりました。前期繰越高は増加しましたが、当期の受注が下期に偏ったため売上高は減少しました。売上利益については、原価低減による工事採算が改善したため好転しました。新型コロナウイルス感染症の影響から2020年度の受注環境はかなり不透明な状況になると想定していますが、PCaPC工事による建築構造物の付加価値提案による受注活動により、建築元請工事に代表される当社の強みを更に強化する事により、他社との差別化や事業領域の拡大を図り安定した受注・収益を確保できるよう取り組んでまいります。
製造事業は、売上高は95億56百万円(前年同期比24.5%増)、セグメント利益は4億16百万円(前年同期比100.8%増)となりました。北陸新幹線等のPC桁製作発注の本格化により、同製品の製作が順調に推移したことからセグメント利益は大幅に増加しました。工場設備改修により生産体制強化も進んでおり、今後も安定した生産量の確保とコスト低減による価格競争力向上に取り組んでまいります。
その他兼業事業は、売上高は41億12百万円(前年同期比16.6%増)、セグメント利益は3億41百万円(前年同期比12.2%増)となりました。前期末に賃貸用建物が完成し、当期の収益源として稼働したことから売上高・利益ともに増加しました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、882億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億14百万円減少となりました。
流動資産は678億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億35百万円減少しております。主な要因としまして流動資産のその他が6億90百万円、未収入金が1億94百万円増加しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が25億55百万円、電子記録債権が9億14百万円それぞれ減少したことによるものであります。
固定資産は204億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ21百万円増加しております。主な要因としまして退職給付に係る資産が3億81百万円減少しましたが、建物・構築物が2億95百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が3億61百万円増加したことによるものであります。
負債合計は515億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億6百万円減少しております。
流動負債合計は443億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億32百万円増加しております。主な要因としまして、預り金が20億49百万円、流動負債その他が18億80百万円、未払法人税等が16億1百万円それぞれ減少しましたが、1年内返済予定の長期借入金が35億円増加したことによるものであります。
固定負債合計は71億72百万円となり前連結会計年度末に比べ34億39百万円減少しております。主に要因といたしまして長期借入金が35億90百万円減少したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益32億14百万円の計上により367億32百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益48億61百万円、売上債権の増減34億83百万円、仕入債務の増減16億52百万円等の増加要因、預り金の増減△20億49百万円、有形固定資産の取得20億62百万円、法人税の支払30億58百万円、配当金の支払15億16百万円等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ6億82百万円増加し、当連結会計年度末には154億84百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は46億30百万円(前年同期比35.4%減)となりました。これは主に土木事業について、前年度受注額が好調であったことに対して、今年度受注額は比較的堅調に推移したため、反動により全体の事業収支が平準化されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は20億16百万円(前年同期比95.8%増)となりました。これは主に前年度建設した賃貸用建物の工事代金の支払及び工事用機械器具の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、使用した資金は19億32百万円(前年同期比48.8%減)となりました。これは主に役員報酬BIP信託株式の購入及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がないため、記載を省略しております。
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
③完成工事高
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%を占める相手先がないため、記載を省略しております。
④手持工事高
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積りおよび仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.重要な収益および費用の計上基準
完成工事高および完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高計上においては工事原価総額の見積りにより収益および損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等の報告書による見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しております。また、完成工事高計上においては原価比例法を採用しており、実際の工事の進捗率と累計発生原価率との乖離が疑われる場合には、その要因を調査・検討することで計上額が妥当であることを検証しており、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に基づいて既契約総額を超える完成工事高は計上しておりません。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b.工事損失引当金
当社および国内連結子会社は、手持工事等のうち損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込み額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、専門工事業者との条件等)から過去の経験を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、専門工事業者との外注契約の締結等による確実な原価低減が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
c.保有資産の減損
当社グループは、必要に応じて各資産グループの固定資産の帳簿価額を毎期検証しております。市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。当該資産の回収可能価額は、正味売却価額を使用しており、不動産鑑定評価基準に基づく評価額から建物等の処分費用見込額を差し引いて算定しております。回収可能価額は合理的に行われていると判断しておりますが、評価の結果が変わり将来の業績に影響を与える場合があります。
d.退職給付引当金
退職給付費用および債務の計算は、割引率、退職者に対する給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率、退職率等の要素が含まれております。これらの仮定と実際の結果が異なる場合、その影響は累積され、将来の会計期間に規則的に償却するため、今後の会計期間において費用化されます。使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ45億34百万円(4.1%減)減少し、1,057億44百万円となりました。
土木事業は、前期繰越工事は増加したものの大規模更新・メンテナンス工事の生産性が新設橋梁に比して高くないことから売上高は、前連結会計年度と比べ38億52百万円減少し、636億37百万円となりました。建築事業は、前期繰越工事が増加しましたが、当期の受注が下期に偏ったことから売上高は、前連結会計年度と比べ11億61百万円減少し、394億31百万円となりました。製造事業は、前連結会計年度と比べ3億23百万円増加し、18億75百万円となりました。その他兼業事業につきましては、前連結会計年度に比べ1億54百万円増加し、7億99百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ8億53百万円(0.9%減)減少し、913億66百万円となりました。売上原価の減少率と売上高との減少率の差については、省力化、合理化により原価低減に努めましたが、前期に比べ売上総利益率が低下したことによるものであります。売上総利益率は、売上原価率の増加により前連結会計年度の16.4%から2.8ポイント下降し13.6%となっております。
販売費及び一般管理費は徹底した経費節減を実行した一方、工事代金回収不能に伴う貸倒損失の計上等により、前連結会計年度に比べ1億84百万円(2.0%増)増加し、94億96百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ物品売却益が68百万円増加しましたが、保険金、移転補償金がそれぞれ1億10百万円、48百万円減少したことにより76百万円減少の2億3百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ持分法による投資損失が24百万円増加しましたが、減価償却費が38百万円、支払利息が37百万円減少したことにより、49百万円減少の1億87百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益40百万円の計上により40百万円となりました。
特別損失は、固定資産除却損65百万円、投資有価証券評価損3百万円等の計上により76百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上総利益率の低下に伴う売上総利益の減少等により、前連結会計年度に比べ47億4百万円(59.4%減)減少し、32億14百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大および長期化懸念により大変不透明であり、厳しい状況が予想されます。
建設業界においては、建設投資はピークアウトしているものの、公共投資は高水準を維持しており、高速道路の6車線化や大規模更新・修繕工事の本格的な発注も予想されます。しかしながら、大規模更新・修繕工事については、工事規模の大型化や工期の長期化傾向が見られ、スーパーゼネコンや大手ゼネコンの市場参入もあり、受注競争が激しくなっております。また、工事生産性は新設橋梁よりも低くなっており、施工技術の改善などで採算性を高めることが必須となっております。建築事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響により設備投資への慎重姿勢が拡がることは避けられず、さらに厳しい受注環境が想定されます。また、発注量の多い地域が変化しており、グループ会社を含めた効率的な要員配置が必須となっております。
建設業界の課題としては、少子高齢化による建設技術者・技能労働者不足、働き方改革における長時間労働の見直し、および週休二日制の実現とその推進に関するコストアップ要因が顕在化しており、業務改革と生産性向上への対策は不可欠となっております。
当社グループでは、このような社会情勢の変化・社会的要請を見据え、PC業界のトップカンパニーとして、昨年5月に「10年後の目指す姿(長期ビジョン)」を明示し、その実現(課題解決)に向けた「中期経営計画2019(2019年度~2021年度)」に精力的に取り組んでおります。2019年度においては、事業規模の拡大を図り受注計画値は達成しましたが、売上高は、上半期の受注が低調であったことや工期の長期化などにより計画を下回りました。利益については、2018年度は設計変更による改善要因があり好調に推移したことから2019年度は反動減となったものの、原価低減などの施策により計画値を大幅に上回りました。本計画2年目においても、社会情勢の変化に合わせた施策の追加と軌道修正を加えながら、基本方針・基本戦略を着実に実行し、戦略テーマである「さらなる収益基盤の強化と変革による成長分野の拡大」の実現に向けて取り組みを強化し、事業領域を拡大すると共に、技術開発・人財・設備投資を充実させ他社との差別化を図ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入限度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資、人財確保を見据えた福利厚生設備の更新等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及びに金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画において収益力・資本効率向上について指標を定めております。
(1) 注力事業(大規模更新事業、メンテナンス、PC建築)への投資を実施しつつ、生産性の向上等により主軸事業(PC新設橋梁、一般建築)の収益を安定させ、連結営業利益率4.2%以上を実現する。
(2) 健全な経営基盤を維持するために財務体質の強化と資本効率の向上を図り、ROE(自己資本当期純利益率)9.0%以上、ROA(総資産経常利益率)5.0%以上、D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)0.30倍以下を目指す。
経営上の目標の達成状況は下表に記載した計画対比のとおりです。
受注高・営業利益・営業利益率・経常利益・経常利益率・ROE・ROA・D/Eレシオについて、中期経営計画の数値目標を上振れする結果となりました。受注については、土木事業において大規模更新工事とともに、メンテナンス(大規模修繕工事)の発注が本格化しており、それらの案件を受注できたことが主な要因であります。利益に関する数値目標達成の主な要因は、利益額は2018年度は設計変更による改善要因があり好調に推移したことから2019年度は反動減となったものの、原価低減などの施策、建築事業の利益率の改善により計画値を大幅に上回りました。売上高については、土木工事の大規模更新・メンテナンス工事における生産性が現時点では新設橋梁に比べ劣っていること、建築事業の受注が下期に偏ったことが要因であると判断しております。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、大規模更新・メンテナンスの生産性と利益率を向上させる施策を実行しましたが、現時点では新設橋梁に比べ生産性は劣っているものの、新設橋梁の設計変更獲得、工事採算の向上等により売上高・利益額ともに増加しました。工事の質的変化が進んでおり、新設橋梁における施工の制約に比べ、大規模更新・維持補修工事は、既存構造物の状態や施工時の利用状況(道路などであれば共用の有無など)により施工方法や時期について著しく制約があり、また構造物そのものについても、当社が得意とするコンクリート製に限定されず(鋼構造による橋梁等)新たな専門性を必要とする工種が増加してきています。この様な課題に対し、ICTに関する研究、国土交通省が推進するi-constructionを積極的に推進すること等で更なる生産性向上を目指し、技術者のローテーションにより経験不足の解消を、また専門性を有する企業とのアライアンス等により新たな専門知識の習得を目指してまいります。
建築事業については、オリンピック・パラリンピック関連需要の収束や新型コロナ感染症の影響から建築需要は減少し、受注競争は激化することが想定されます。今後の受注環境激化に伴い、今まで同様の施策だけでは採算性と受注量の確保を継続していくことが今後困難となっていくと予想され、その課題克服が必要だと認識しております。PCaPC工事による建築構造物の付加価値(工場での部材製作による品質の安定化及び高品質化や工期の短縮、PC工事の特徴であるスレンダー構造や耐震性等)の提案体制強化、受注に至らなかった要因分析強化やエリア展開による要員の機動的配置等によりこの課題克服を図ってまいります。具体的には、設計部門においてはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用最大化により提案力とコスト競争力の強化、営業部門と工事部門においては情報・技術等の連携強化、また成長市場においては、各エリアの市場を見極め全社で情報を共有することにより価格競争だけではない付加価値の創造による受注活動を目指してまいります。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態および経営成績の状況に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、第4四半期前半までは企業収益や雇用環境の改善等を背景に景気は緩やかな回復基調で推移していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、足元では大幅に下押しされています。また、今後においても、同感染症の拡大による消費動向や企業活動への影響、および海外における政治経済の不確実性等々の懸念材料が多くあり、先行きは厳しい状況が続くと見込まれます。
当社グループが属する建設産業においては、防災・減災対策や老朽化したインフラの整備等の建設投資は底堅い状況ですが、働き方改革への対応、週休二日制推進などのコストアップ要因が顕在化しており、加えて新型コロナウイルス感染症の影響を含め見通しは大変不透明な状況が予想されます。
このような経済状況のもと、当社は「中期経営計画2019(2019年度~2021年度)」の基本方針・基本戦略に基づき、企業の持続的な成長を目指してまいりました。土木事業においては、成長分野である大規模更新・修繕工事を新設工事と並ぶ主力事業として積算精度の向上や施工技術の改善を進め、建築事業においては、PC技術を核とした元請、設計施工案件の受注へ向けて効率的なエリア展開を進めることで、受注の強化や収益力の向上に取り組んでまいりました。また、国内建設市場の縮小に備え、成長分野として位置づけている海外事業の拡大や収益源の多様化に向けた不動産事業や建設周辺事業への展開を強化してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,057億44百万円(前年同期比4.1%減)、営業利益48億81百万円(同44.2%減)、経常利益48億97百万円(同44.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益32億14百万円(同59.4%減)となりました。
なお、個別の業績は、 売 上 高 926億27百万円 営業利益 34億72百万円
経常利益 39億62百万円 当期純利益 27億1百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は649億24百万円(前年同期比5.3%減)、セグメント利益は95億27百万円(前年同期比32.5%減)となりました。繰越高は前期に比べ増加しましたが、大規模更新・メンテナンス工事は新設橋梁に比べ生産性が現時点では劣っていること、前期は想定以上の設計変更獲得による改善要因があったことの反動から売上高、利益ともに減少しました。IoTの活用により要員配置の適正化や遠隔作業支援など効率的な現場管理を実現するため、工事作業所での作業効率向上を目指した床版撤去・架設機械の改良・開発を関係部署を横断した組織を立ち上げ取り組んでまいります。
建築事業は、売上高は395億74百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は39億94百万円(前年同期比21.1%増)となりました。前期繰越高は増加しましたが、当期の受注が下期に偏ったため売上高は減少しました。売上利益については、原価低減による工事採算が改善したため好転しました。新型コロナウイルス感染症の影響から2020年度の受注環境はかなり不透明な状況になると想定していますが、PCaPC工事による建築構造物の付加価値提案による受注活動により、建築元請工事に代表される当社の強みを更に強化する事により、他社との差別化や事業領域の拡大を図り安定した受注・収益を確保できるよう取り組んでまいります。
製造事業は、売上高は95億56百万円(前年同期比24.5%増)、セグメント利益は4億16百万円(前年同期比100.8%増)となりました。北陸新幹線等のPC桁製作発注の本格化により、同製品の製作が順調に推移したことからセグメント利益は大幅に増加しました。工場設備改修により生産体制強化も進んでおり、今後も安定した生産量の確保とコスト低減による価格競争力向上に取り組んでまいります。
その他兼業事業は、売上高は41億12百万円(前年同期比16.6%増)、セグメント利益は3億41百万円(前年同期比12.2%増)となりました。前期末に賃貸用建物が完成し、当期の収益源として稼働したことから売上高・利益ともに増加しました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、882億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億14百万円減少となりました。
流動資産は678億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億35百万円減少しております。主な要因としまして流動資産のその他が6億90百万円、未収入金が1億94百万円増加しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が25億55百万円、電子記録債権が9億14百万円それぞれ減少したことによるものであります。
固定資産は204億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ21百万円増加しております。主な要因としまして退職給付に係る資産が3億81百万円減少しましたが、建物・構築物が2億95百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が3億61百万円増加したことによるものであります。
負債合計は515億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億6百万円減少しております。
流動負債合計は443億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億32百万円増加しております。主な要因としまして、預り金が20億49百万円、流動負債その他が18億80百万円、未払法人税等が16億1百万円それぞれ減少しましたが、1年内返済予定の長期借入金が35億円増加したことによるものであります。
固定負債合計は71億72百万円となり前連結会計年度末に比べ34億39百万円減少しております。主に要因といたしまして長期借入金が35億90百万円減少したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益32億14百万円の計上により367億32百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益48億61百万円、売上債権の増減34億83百万円、仕入債務の増減16億52百万円等の増加要因、預り金の増減△20億49百万円、有形固定資産の取得20億62百万円、法人税の支払30億58百万円、配当金の支払15億16百万円等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ6億82百万円増加し、当連結会計年度末には154億84百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は46億30百万円(前年同期比35.4%減)となりました。これは主に土木事業について、前年度受注額が好調であったことに対して、今年度受注額は比較的堅調に推移したため、反動により全体の事業収支が平準化されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は20億16百万円(前年同期比95.8%増)となりました。これは主に前年度建設した賃貸用建物の工事代金の支払及び工事用機械器具の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、使用した資金は19億32百万円(前年同期比48.8%減)となりました。これは主に役員報酬BIP信託株式の購入及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 73,004 | △14.2% |
| 建築事業 | (百万円) | 41,311 | △10.6% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,875 | 20.9% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 812 | 26.2% |
| 合計 | (百万円) | 117,003 | △12.3% |
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 63,637 | △5.7% |
| 建築事業 | (百万円) | 39,431 | △2.9% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,875 | 20.9% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 799 | 24.0% |
| 合計 | (百万円) | 105,744 | △4.1% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
| 中日本高速道路株式会社 | 15,947百万円 | 14.5% |
当連結会計年度
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がないため、記載を省略しております。
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
| 期別 | 種類別 | 前 期繰越高 (百万円) | 当 期受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当 期売上高 (百万円) | 次期繰越高 | 当 期施工高 (百万円) | ||
| 手持高 (百万円) | うち施工高 (百万円) | ||||||||
| % | |||||||||
| 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 53,380 | 73,244 | 126,625 | 55,895 | 70,729 | 4.2 | 2,990 | 54,561 |
| 建築工事 | 31,125 | 45,212 | 76,338 | 39,823 | 36,514 | 3.1 | 1,119 | 39,468 | |
| 工事計 | 84,506 | 118,456 | 202,963 | 95,719 | 107,244 | 3.8 | 4,109 | 94,029 | |
| 製品 | 2,643 | 3,610 | 6,254 | 2,014 | 4,240 | 46.3 | 1,963 | 3,760 | |
| 不動産事業 | 4 | 77 | 82 | 78 | 3 | - | - | 78 | |
| 兼業計 | 2,648 | 3,688 | 6,336 | 2,092 | 4,244 | 46.3 | 1,963 | 3,838 | |
| 合計 | 87,154 | 122,145 | 209,300 | 97,811 | 111,488 | 5.4 | 6,073 | 97,868 | |
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 70,729 | 60,792 | 131,522 | 51,024 | 80,497 | 3.7 | 2,974 | 51,009 |
| 建築工事 | 36,514 | 40,970 | 77,485 | 38,421 | 39,063 | 3.2 | 1,237 | 38,540 | |
| 工事計 | 107,244 | 101,763 | 209,007 | 89,445 | 119,561 | 3.5 | 4,212 | 89,549 | |
| 製品 | 4,240 | 1,563 | 5,804 | 2,971 | 2,833 | 65.5 | 1,854 | 2,862 | |
| 不動産事業 | 3 | 222 | 226 | 210 | 16 | - | - | 210 | |
| 兼業計 | 4,244 | 1,786 | 6,030 | 3,181 | 2,849 | 65.1 | 1,854 | 3,072 | |
| 合計 | 111,488 | 103,549 | 215,038 | 92,627 | 122,411 | 5.0 | 6,067 | 92,621 | |
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 1.7 | 98.3 | 100.0 |
| 建築工事 | 42.1 | 57.9 | 100.0 | |
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 8.8 | 91.2 | 100.0 |
| 建築工事 | 30.8 | 69.2 | 100.0 |
③完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 19,026 | 36,869 | 55,895 |
| 建築工事 | 1,951 | 37,872 | 39,823 | |
| 計 | 20,977 | 74,741 | 95,719 | |
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 25,954 | 25,070 | 51,024 |
| 建築工事 | 670 | 37,751 | 38,421 | |
| 計 | 26,624 | 62,821 | 89,445 |
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 中日本高速道路株式会社 | 新東名高速道路 下糟屋第一高架橋(PC上部工)工事 |
| 東日本高速道路株式会社 | 八戸自動車道 楢山橋床版補強工事 |
| 阪神高速道路株式会社 | PC桁等大規模修繕工事(27-2-池) |
| 株式会社五十嵐電機製作所 | 株式会社五十嵐電機製作所 新本社建設プロジェクト |
| 南関東防衛局 | 長浦(28)庁舎新設等建築その他工事 |
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 中日本高速道路株式会社 | 新名神高速道路 鈴鹿高架橋他1橋(PC上部工)工事 |
| 西日本高速道路株式会社 | 長崎自動車道 日見夢大橋(PC上部工)工事 |
| 学校法人国際医療福祉大学 | 国際医療福祉大学大川キャンパス薬学部新築工事 |
| 社会福祉法人平成記念会 | (仮称)介護老人福祉施設ケアホーム葛飾新築工事 |
| 株式会社錦糸町プラザ | 錦糸町駅前プラザビル建替プロジェクト |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
| 中日本高速道路株式会社 | 15,808百万円 | 16.2% |
当事業年度
外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%を占める相手先がないため、記載を省略しております。
④手持工事高
| (2020年3月31日現在) |
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 土木工事 | 26,719 | 53,778 | 80,497 |
| 建築工事 | 1,462 | 37,601 | 39,063 |
| 計 | 28,181 | 91,379 | 119,561 |
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
| 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | 北陸新幹線、越前・敦賀間軌道スラブ製作運搬 | 2022年4月完成予定 |
| 福岡北九州高速道路公社 | 貝塚JCT~貝塚橋梁補修工事(31-1) | 2021年11月完成予定 |
| 阪神高速道路株式会社 | PC桁等大規模修繕工事(2019-3-松) | 2022年12月完成予定 |
| 日本郵便株式会社 | 旧美しが丘2丁目南社宅ほか2箇所解体工事 | 2021年3月完成予定 |
| 泉陽興業株式会社 | YRP横浜ロープウェイ建設工事 | 2021年3月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積りおよび仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.重要な収益および費用の計上基準
完成工事高および完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高計上においては工事原価総額の見積りにより収益および損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等の報告書による見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しております。また、完成工事高計上においては原価比例法を採用しており、実際の工事の進捗率と累計発生原価率との乖離が疑われる場合には、その要因を調査・検討することで計上額が妥当であることを検証しており、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に基づいて既契約総額を超える完成工事高は計上しておりません。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b.工事損失引当金
当社および国内連結子会社は、手持工事等のうち損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込み額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、専門工事業者との条件等)から過去の経験を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、専門工事業者との外注契約の締結等による確実な原価低減が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
c.保有資産の減損
当社グループは、必要に応じて各資産グループの固定資産の帳簿価額を毎期検証しております。市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。当該資産の回収可能価額は、正味売却価額を使用しており、不動産鑑定評価基準に基づく評価額から建物等の処分費用見込額を差し引いて算定しております。回収可能価額は合理的に行われていると判断しておりますが、評価の結果が変わり将来の業績に影響を与える場合があります。
d.退職給付引当金
退職給付費用および債務の計算は、割引率、退職者に対する給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率、退職率等の要素が含まれております。これらの仮定と実際の結果が異なる場合、その影響は累積され、将来の会計期間に規則的に償却するため、今後の会計期間において費用化されます。使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ45億34百万円(4.1%減)減少し、1,057億44百万円となりました。
土木事業は、前期繰越工事は増加したものの大規模更新・メンテナンス工事の生産性が新設橋梁に比して高くないことから売上高は、前連結会計年度と比べ38億52百万円減少し、636億37百万円となりました。建築事業は、前期繰越工事が増加しましたが、当期の受注が下期に偏ったことから売上高は、前連結会計年度と比べ11億61百万円減少し、394億31百万円となりました。製造事業は、前連結会計年度と比べ3億23百万円増加し、18億75百万円となりました。その他兼業事業につきましては、前連結会計年度に比べ1億54百万円増加し、7億99百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ8億53百万円(0.9%減)減少し、913億66百万円となりました。売上原価の減少率と売上高との減少率の差については、省力化、合理化により原価低減に努めましたが、前期に比べ売上総利益率が低下したことによるものであります。売上総利益率は、売上原価率の増加により前連結会計年度の16.4%から2.8ポイント下降し13.6%となっております。
販売費及び一般管理費は徹底した経費節減を実行した一方、工事代金回収不能に伴う貸倒損失の計上等により、前連結会計年度に比べ1億84百万円(2.0%増)増加し、94億96百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ物品売却益が68百万円増加しましたが、保険金、移転補償金がそれぞれ1億10百万円、48百万円減少したことにより76百万円減少の2億3百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ持分法による投資損失が24百万円増加しましたが、減価償却費が38百万円、支払利息が37百万円減少したことにより、49百万円減少の1億87百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益40百万円の計上により40百万円となりました。
特別損失は、固定資産除却損65百万円、投資有価証券評価損3百万円等の計上により76百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上総利益率の低下に伴う売上総利益の減少等により、前連結会計年度に比べ47億4百万円(59.4%減)減少し、32億14百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大および長期化懸念により大変不透明であり、厳しい状況が予想されます。
建設業界においては、建設投資はピークアウトしているものの、公共投資は高水準を維持しており、高速道路の6車線化や大規模更新・修繕工事の本格的な発注も予想されます。しかしながら、大規模更新・修繕工事については、工事規模の大型化や工期の長期化傾向が見られ、スーパーゼネコンや大手ゼネコンの市場参入もあり、受注競争が激しくなっております。また、工事生産性は新設橋梁よりも低くなっており、施工技術の改善などで採算性を高めることが必須となっております。建築事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響により設備投資への慎重姿勢が拡がることは避けられず、さらに厳しい受注環境が想定されます。また、発注量の多い地域が変化しており、グループ会社を含めた効率的な要員配置が必須となっております。
建設業界の課題としては、少子高齢化による建設技術者・技能労働者不足、働き方改革における長時間労働の見直し、および週休二日制の実現とその推進に関するコストアップ要因が顕在化しており、業務改革と生産性向上への対策は不可欠となっております。
当社グループでは、このような社会情勢の変化・社会的要請を見据え、PC業界のトップカンパニーとして、昨年5月に「10年後の目指す姿(長期ビジョン)」を明示し、その実現(課題解決)に向けた「中期経営計画2019(2019年度~2021年度)」に精力的に取り組んでおります。2019年度においては、事業規模の拡大を図り受注計画値は達成しましたが、売上高は、上半期の受注が低調であったことや工期の長期化などにより計画を下回りました。利益については、2018年度は設計変更による改善要因があり好調に推移したことから2019年度は反動減となったものの、原価低減などの施策により計画値を大幅に上回りました。本計画2年目においても、社会情勢の変化に合わせた施策の追加と軌道修正を加えながら、基本方針・基本戦略を着実に実行し、戦略テーマである「さらなる収益基盤の強化と変革による成長分野の拡大」の実現に向けて取り組みを強化し、事業領域を拡大すると共に、技術開発・人財・設備投資を充実させ他社との差別化を図ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入限度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資、人財確保を見据えた福利厚生設備の更新等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及びに金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画において収益力・資本効率向上について指標を定めております。
(1) 注力事業(大規模更新事業、メンテナンス、PC建築)への投資を実施しつつ、生産性の向上等により主軸事業(PC新設橋梁、一般建築)の収益を安定させ、連結営業利益率4.2%以上を実現する。
(2) 健全な経営基盤を維持するために財務体質の強化と資本効率の向上を図り、ROE(自己資本当期純利益率)9.0%以上、ROA(総資産経常利益率)5.0%以上、D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)0.30倍以下を目指す。
経営上の目標の達成状況は下表に記載した計画対比のとおりです。
| 2019年度 数値目標 | 2019年度 実績 | 対比 | |
| 受注高 (百万円) | 113,000 | 117,003 | +4,003 |
| 売上高 (百万円) | 110,000 | 105,744 | △4,256 |
| 営業利益 (百万円) | 3,600 | 4,881 | +1,281 |
| 営業利益率 (%) | 3.3 | 4.6 | +1.3 |
| ROE (%) | 6.2 | 8.9 | +2.7 |
| ROA (%) | 3.8 | 5.5 | +1.7 |
| D/Eレシオ (倍) | 0.30 | 0.29 | △0.01 |
| 配当性向 (%) | 25~30% | 29.0% | --- |
受注高・営業利益・営業利益率・経常利益・経常利益率・ROE・ROA・D/Eレシオについて、中期経営計画の数値目標を上振れする結果となりました。受注については、土木事業において大規模更新工事とともに、メンテナンス(大規模修繕工事)の発注が本格化しており、それらの案件を受注できたことが主な要因であります。利益に関する数値目標達成の主な要因は、利益額は2018年度は設計変更による改善要因があり好調に推移したことから2019年度は反動減となったものの、原価低減などの施策、建築事業の利益率の改善により計画値を大幅に上回りました。売上高については、土木工事の大規模更新・メンテナンス工事における生産性が現時点では新設橋梁に比べ劣っていること、建築事業の受注が下期に偏ったことが要因であると判断しております。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、大規模更新・メンテナンスの生産性と利益率を向上させる施策を実行しましたが、現時点では新設橋梁に比べ生産性は劣っているものの、新設橋梁の設計変更獲得、工事採算の向上等により売上高・利益額ともに増加しました。工事の質的変化が進んでおり、新設橋梁における施工の制約に比べ、大規模更新・維持補修工事は、既存構造物の状態や施工時の利用状況(道路などであれば共用の有無など)により施工方法や時期について著しく制約があり、また構造物そのものについても、当社が得意とするコンクリート製に限定されず(鋼構造による橋梁等)新たな専門性を必要とする工種が増加してきています。この様な課題に対し、ICTに関する研究、国土交通省が推進するi-constructionを積極的に推進すること等で更なる生産性向上を目指し、技術者のローテーションにより経験不足の解消を、また専門性を有する企業とのアライアンス等により新たな専門知識の習得を目指してまいります。
建築事業については、オリンピック・パラリンピック関連需要の収束や新型コロナ感染症の影響から建築需要は減少し、受注競争は激化することが想定されます。今後の受注環境激化に伴い、今まで同様の施策だけでは採算性と受注量の確保を継続していくことが今後困難となっていくと予想され、その課題克服が必要だと認識しております。PCaPC工事による建築構造物の付加価値(工場での部材製作による品質の安定化及び高品質化や工期の短縮、PC工事の特徴であるスレンダー構造や耐震性等)の提案体制強化、受注に至らなかった要因分析強化やエリア展開による要員の機動的配置等によりこの課題克服を図ってまいります。具体的には、設計部門においてはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用最大化により提案力とコスト競争力の強化、営業部門と工事部門においては情報・技術等の連携強化、また成長市場においては、各エリアの市場を見極め全社で情報を共有することにより価格競争だけではない付加価値の創造による受注活動を目指してまいります。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態および経営成績の状況に記載のとおりであります。