有価証券報告書-第76期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、インバウンド需要が高まったことでサービス業はコロナ前と同水準まで本格回復するなど、経済活動の正常化が大幅に進みました。今後は、マイナス金利の解除や賃上げ等の経済政策により景気の持ち直しが期待され、日本経済のさらなる好転を見込んでおります。
当社グループが属する建設産業において、建築市場は、コロナ禍や物価高の影響を受けて先送りにされてきた民間設備投資の再開により好況に転じました。土木事業においても、維持・補修といったインフラの老朽化対策や国土強靭化対策により公共建設投資が引き続き堅調であり、今後も暫くは底堅く推移するものと見込まれます。
このような経済状況下において、当社グループでは「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」の基本方針に基づき、建設DXの推進と多様な人財育成により生産性の向上に努めてまいりました。土木事業では、成長分野に掲げている高速道路の大規模更新工事への対応を強化し、新設橋梁分野を凌ぐ土木事業の中核となりました。引き続き技術提案力の向上や施工技術の改善を図り、当分野における優位性を維持するとともに、同じく成長分野に掲げているメンテナンス事業にも注力してまいります。建築事業においては、資機材、燃料価格及び設備工事費の高騰による工事の収益性悪化が懸念されておりましたが、手持ち工事や大型建築製品において利益の回復が図られたことにより大幅に好転しております。今後もプレストレストコンクリート(PC)及びプレキャストコンクリート(PCa)技術の採用に向けた営業力の強化や新規顧客の開拓、あるいは戦略的なエリア展開を進め、収益力の向上に取り組んでまいります。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,292億94百万円(前年同期比18.3%増)、営業利益78億27百万円(同37.0%増)、経常利益77億43百万円(同37.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益50億54百万円(同33.4%増)となりました。
1株当たり情報に与える影響は当該箇所に記載しております。
なお、個別の業績は、 売 上 高 1,160億99百万円 営業利益 64億38百万円
経常利益 65億25百万円 当期純利益 43億26百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業については、売上高は791億円(前年同期比11.2%増)、セグメント利益は129億71百万円(前年同期比10.6%増)となりました。繰越高が前連結会計年度に比べ増加し、手持工事の進捗、設計変更獲得及び見積売上の実施により売上高、売上総利益ともに増加しました。事業の中核となる大規模更新・修繕事業については、新たな計画が発表されたことから、今後も大規模更新・修繕事業の市場は、安定的に継続する見込みです。利益については、大規模更新・修繕事業での設計変更獲得、さらに工事原価の低減等を実践した成果によるものです。受注高についても大規模更新継続契約案件、新設橋梁工事等を獲得し、期初計画を大きく上回りました。今後も当面はこの傾向が継続すると予想され、年度ごとの売上高とそれに対応する配置要員状況を踏まえた受注計画が重要となることから、工事の生産性及び利益率を向上させる施策の実行に取り組んでまいります。
建築事業については、売上高は485億25百万円(前年同期比32.0%増)、セグメント利益は48億55百万円(前年同期比79.0%増)となりました。事業環境としては、企業の設備投資意欲が堅調に推移しており、豊富な繰越工事が順調に進捗し、売上高、売上総利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。受注高については共同住宅や大型医療施設等の建設工事の獲得、新規顧客への取り組み等により期初計画を上回りました。引き続きPCa建築を代表する当社の強みを強化するとともに、大型案件受注の施策を継続し、安定した受注・収益を確保できるよう取り組んでまいります。
製造事業については、売上高は76億72百万円(前年同期比5.9%減)、セグメント利益は6億26百万円(前年同期比1.4%増)となりました。現在老朽化設備の更新と品質管理の徹底及びICTの活用で生産性の向上を目指しており、効率的な生産体制の整備を図っております。
その他兼業事業については、売上高は8億96百万円(前年同期比15.0%増)、セグメント利益は3億82百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
当連結会計年度末の総資産は、1,221億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ60億36百万円増加となりました。
流動資産は955億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億60百万円増加しております。主な要因としまして完成工事未収入金が21億82百万円減少しましたが、契約資産が35億6百万円、現金及び預金が18億15百万円増加したことによるものであります。
固定資産は266億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億76百万円増加しております。主な要因としまして機械、運搬具及び工具器具備品が28億19百万円、建設仮勘定が8億77百万円、繰延税金資産が2億84百万円減少しましたが、減価償却累計額が33億63百万円、退職給付に係る資産が9億28百万円、建物・構築物が9億22百万円増加したことによるものであります。
負債合計は699億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億37百万円増加しております。
流動負債合計は542億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億24百万円減少しております。主な要因としまして契約負債が36億78百万円、支払手形・工事未払金等が33億36百万円、電子記録債務が18億51百万円増加しましたが、短期借入金が150億75百万円、1年内返済予定の長期借入金が2億40百万円減少したことによるものであります。
固定負債合計は156億53百万円となり前連結会計年度末に比べ55億62百万円増加しております。主な要因といたしまして、長期借入金が56億60百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益50億54百万円の計上により521億70百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益75億95百万円、仕入債務の増減額51億43百万円、契約負債の増減額36億78百万円、長期借入金の増減額56億60百万円の増加要因、短期借入金の増減額△150億82百万円、有形固定資産の取得20億1百万円、法人税等の支払18億77百万円、配当金の支払23億69百万円等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ18億15百万円増加し、当連結会計年度末には111億63百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は159億44百万円(前年同期は167億8百万円の使用)となりました。これは主に仕入債務の純増加及び売上債権のうち大型工事の入金がほぼ好調に推移したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は19億18百万円(前年同期比1.96%減)となりました。これは主に兼業事業用不動産取得、技術研究所のZEB化改修、事業所移転先の有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、使用した資金は122億19百万円(前年同期は180億60百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純減少、長期借入金の純増加及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
③完成工事高
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④手持工事高
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積り及び仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.原価進捗度に基づく収益認識
b.工事損失引当金
c.固定資産の減損
d.退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債
e.繰延税金資産の回収可能性
なお、詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ199億67百万円(18.3%増)増加し、1,292億94百万円となりました。
土木事業は、大規模更新継続契約案件及び新設橋梁工事等の受注、大規模更新・修繕事業等の工事が進捗し、また設計変更の獲得、利益好転等により売上高は前連結会計年度に比べ82億3百万円増加し、784億51百万円となりました。建築事業は、大型医療施設等の受注、豊富な繰越工事が順調に進捗し、売上高は前連結会計年度に比べ118億77百万円増加し、484億14百万円となりました。製造事業は、受注が減少したことから前連結会計年度に比べ2億2百万円減少し、16億98百万円となりました。その他兼業事業につきましては、不動産賃貸先の増加により前連結会計年度に比べ88百万円増加し、7億30百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ167億6百万円(17.8%増)増加し、1,105億6百万円となりました。売上原価については、省力化、合理化により原価低減に努めたため、売上原価率が減少しました。売上総利益率は、売上原価率の減少により前連結会計年度の14.2%から0.3ポイント上昇し14.5%となっております。
販売費及び一般管理費は従業員の待遇改善や株式取得に係るFA費用等により、前連結会計年度に比べ11億48百万円(11.7%増)増加し、109億59百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ主に持分法による投資利益が21百万円減少しましたが、受取保険金が37百万円、受取ロイヤリティが27百万円それぞれ増加したことにより、84百万円増加の2億76百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ主に労災示談金が40百万円、支払保証料が19百万円それぞれ増加したことにより、82百万円増加の3億60百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益1億38百万円等の計上により1億48百万円となりました。
特別損失は、減損損失2億63百万円等の計上により2億97百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上高、売上総利益率の増加に伴う売上総利益の増加等により、前連結会計年度に比べ12億64百万円(33.4%増)増加し、50億54百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループを取り巻く事業環境は、民間設備投資あるいは公共建設投資が堅調に推移し、豊富な手持工事を有する一方で、建設業界における就労人口の減少は顕著であり、労働需給バランスの不均衡に起因する人件費・輸送費上昇に加え、設備工事費の高騰による収益面でのリスクが懸念されます。また、本年4月より労働時間上限規制が建設業においても適用開始となりました。人財の確保や育成は当然のことながら、DX推進や現場支援体制の強化による生産性向上が法令順守の鍵であると認識しており、これらに対する取り組みへのさらなる加速が求められます。加えて地球環境保全やカーボンニュートラル対応など、サステナブルな企業経営が求められており、対処すべき経営課題は多岐にわたります。
当社グループは、2030年をゴールとした長期ビジョンの実現に向け、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」に取り組んでおりますが、高止まりする資材・燃料費の高騰といった収益性悪化のリスクは依然として保有しており、原価管理の徹底と効率的な施工体制の構築に注力してまいります。
昨年12月、当社は大成建設株式会社の連結子会社となりました。この資本業務提携により、ビジネス機会の創出だけでなく、同社が先進的に取り組んでいるサステナビリティ経営でも大きなシナジー効果が得られるよう円滑な関係構築を目指しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入極度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これらの営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及び金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の獲得を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」において収益力・資本効率向上について指標を定めております。各指標の達成状況は下グラフに記載した計画対比のとおりです。

中期経営計画2022の2年目となる当連結会計年度は、大企業を中心とした設備投資が堅調に推移しており、市場全体が回復基調にある事業環境となりました。土木事業では、高速道路各社の大規模更新・修繕事業や東海環状自動車道路工事等のプロジェクトの進行により、受注高は土木、建築とも中計目標を大幅に上回りました。売上高についても、豊富な繰越工事が順調に進捗し、土木、建築とも中計目標を大幅に上回りました。
利益については、増収と設計変更の獲得や原価改善等により増益となり、販管費は従業員の待遇改善や株式取得に係るFA費用等により増加しましたが、売上総利益の増加が上回り、営業利益、経常利益、当期純利益とも中計目標を上回りました。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、受注高は高速道路各社の大規模更新継続契約案件や新名神4車化工事の獲得等により、売上高、売上総利益は豊富な手持ち工事の順調な進捗や大規模更新・修繕事業の設計変更の獲得等により目標を大幅に上回りました。
建築事業については、全体として、企業の設備投資意欲が堅調に推移しており、引き続き厳しい競争環境のなか、共同住宅や大型医療施設等の建設工事を受注しました。売上高・売上総利益についても土木事業と同様、豊富な繰越工事が順調に進捗し、目標を上回りました。


営業利益率、ROEは目標値を上回りましたが、ROAは総資産が計画より増加したこともあり、若干目標値を下回る結果となりました。D/Eレシオは借入金残高の増加等により目標値に達しておりません。他方、配当については利益の積み上げにより自己資本比率の上昇を受け期首予想より増配した結果、配当性向は40.5%となりました。
設備・不動産投資では、札幌高齢者施設の完成や、工事用機械の取得等を実施しました。
セグメントごとの経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、インバウンド需要が高まったことでサービス業はコロナ前と同水準まで本格回復するなど、経済活動の正常化が大幅に進みました。今後は、マイナス金利の解除や賃上げ等の経済政策により景気の持ち直しが期待され、日本経済のさらなる好転を見込んでおります。
当社グループが属する建設産業において、建築市場は、コロナ禍や物価高の影響を受けて先送りにされてきた民間設備投資の再開により好況に転じました。土木事業においても、維持・補修といったインフラの老朽化対策や国土強靭化対策により公共建設投資が引き続き堅調であり、今後も暫くは底堅く推移するものと見込まれます。
このような経済状況下において、当社グループでは「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」の基本方針に基づき、建設DXの推進と多様な人財育成により生産性の向上に努めてまいりました。土木事業では、成長分野に掲げている高速道路の大規模更新工事への対応を強化し、新設橋梁分野を凌ぐ土木事業の中核となりました。引き続き技術提案力の向上や施工技術の改善を図り、当分野における優位性を維持するとともに、同じく成長分野に掲げているメンテナンス事業にも注力してまいります。建築事業においては、資機材、燃料価格及び設備工事費の高騰による工事の収益性悪化が懸念されておりましたが、手持ち工事や大型建築製品において利益の回復が図られたことにより大幅に好転しております。今後もプレストレストコンクリート(PC)及びプレキャストコンクリート(PCa)技術の採用に向けた営業力の強化や新規顧客の開拓、あるいは戦略的なエリア展開を進め、収益力の向上に取り組んでまいります。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,292億94百万円(前年同期比18.3%増)、営業利益78億27百万円(同37.0%増)、経常利益77億43百万円(同37.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益50億54百万円(同33.4%増)となりました。
1株当たり情報に与える影響は当該箇所に記載しております。
なお、個別の業績は、 売 上 高 1,160億99百万円 営業利益 64億38百万円
経常利益 65億25百万円 当期純利益 43億26百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業については、売上高は791億円(前年同期比11.2%増)、セグメント利益は129億71百万円(前年同期比10.6%増)となりました。繰越高が前連結会計年度に比べ増加し、手持工事の進捗、設計変更獲得及び見積売上の実施により売上高、売上総利益ともに増加しました。事業の中核となる大規模更新・修繕事業については、新たな計画が発表されたことから、今後も大規模更新・修繕事業の市場は、安定的に継続する見込みです。利益については、大規模更新・修繕事業での設計変更獲得、さらに工事原価の低減等を実践した成果によるものです。受注高についても大規模更新継続契約案件、新設橋梁工事等を獲得し、期初計画を大きく上回りました。今後も当面はこの傾向が継続すると予想され、年度ごとの売上高とそれに対応する配置要員状況を踏まえた受注計画が重要となることから、工事の生産性及び利益率を向上させる施策の実行に取り組んでまいります。
建築事業については、売上高は485億25百万円(前年同期比32.0%増)、セグメント利益は48億55百万円(前年同期比79.0%増)となりました。事業環境としては、企業の設備投資意欲が堅調に推移しており、豊富な繰越工事が順調に進捗し、売上高、売上総利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。受注高については共同住宅や大型医療施設等の建設工事の獲得、新規顧客への取り組み等により期初計画を上回りました。引き続きPCa建築を代表する当社の強みを強化するとともに、大型案件受注の施策を継続し、安定した受注・収益を確保できるよう取り組んでまいります。
製造事業については、売上高は76億72百万円(前年同期比5.9%減)、セグメント利益は6億26百万円(前年同期比1.4%増)となりました。現在老朽化設備の更新と品質管理の徹底及びICTの活用で生産性の向上を目指しており、効率的な生産体制の整備を図っております。
その他兼業事業については、売上高は8億96百万円(前年同期比15.0%増)、セグメント利益は3億82百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
当連結会計年度末の総資産は、1,221億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ60億36百万円増加となりました。
流動資産は955億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億60百万円増加しております。主な要因としまして完成工事未収入金が21億82百万円減少しましたが、契約資産が35億6百万円、現金及び預金が18億15百万円増加したことによるものであります。
固定資産は266億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億76百万円増加しております。主な要因としまして機械、運搬具及び工具器具備品が28億19百万円、建設仮勘定が8億77百万円、繰延税金資産が2億84百万円減少しましたが、減価償却累計額が33億63百万円、退職給付に係る資産が9億28百万円、建物・構築物が9億22百万円増加したことによるものであります。
負債合計は699億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億37百万円増加しております。
流動負債合計は542億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億24百万円減少しております。主な要因としまして契約負債が36億78百万円、支払手形・工事未払金等が33億36百万円、電子記録債務が18億51百万円増加しましたが、短期借入金が150億75百万円、1年内返済予定の長期借入金が2億40百万円減少したことによるものであります。
固定負債合計は156億53百万円となり前連結会計年度末に比べ55億62百万円増加しております。主な要因といたしまして、長期借入金が56億60百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益50億54百万円の計上により521億70百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益75億95百万円、仕入債務の増減額51億43百万円、契約負債の増減額36億78百万円、長期借入金の増減額56億60百万円の増加要因、短期借入金の増減額△150億82百万円、有形固定資産の取得20億1百万円、法人税等の支払18億77百万円、配当金の支払23億69百万円等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ18億15百万円増加し、当連結会計年度末には111億63百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は159億44百万円(前年同期は167億8百万円の使用)となりました。これは主に仕入債務の純増加及び売上債権のうち大型工事の入金がほぼ好調に推移したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は19億18百万円(前年同期比1.96%減)となりました。これは主に兼業事業用不動産取得、技術研究所のZEB化改修、事業所移転先の有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、使用した資金は122億19百万円(前年同期は180億60百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純減少、長期借入金の純増加及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 82,234 | △13.7% |
| 建築事業 | (百万円) | 48,233 | △8.6% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,698 | △10.7% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 730 | 14.0% |
| 合計 | (百万円) | 132,896 | △11.8% |
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 78,451 | 11.7% |
| 建築事業 | (百万円) | 48,414 | 32.5% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,698 | △10.7% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 730 | 13.8% |
| 合計 | (百万円) | 129,294 | 18.3% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
| 西日本高速道路株式会社 | 17,419百万円 | 15.9% |
| 中日本高速道路株式会社 | 15,382百万円 | 14.1% |
当連結会計年度
| 中日本高速道路株式会社 | 26,192百万円 | 20.24% |
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
| 期別 | 種類別 | 前 期繰越高 (百万円) | 当 期受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当 期売上高 (百万円) | 次期繰越高 | 当 期施工高 (百万円) | ||
| 手持高 (百万円) | うち施工高 (百万円) | ||||||||
| % | |||||||||
| 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 土木工事 | 98,965 | 84,400 | 183,365 | 60,295 | 123,069 | 2.0 | 2,489 | 59,096 |
| 建築工事 | 33,201 | 46,733 | 79,934 | 31,953 | 47,981 | 1.7 | 835 | 32,229 | |
| 工事計 | 132,166 | 131,133 | 263,300 | 92,249 | 171,050 | 1.9 | 3,324 | 91,326 | |
| 製品 | 2,586 | 6,461 | 9,048 | 5,167 | 3,880 | 9.2 | 356 | 5,325 | |
| 不動産事業 | 16 | 307 | 323 | 307 | 16 | - | - | 307 | |
| 兼業計 | 2,603 | 6,768 | 9,371 | 5,474 | 3,897 | 9.2 | 356 | 5,632 | |
| 合計 | 134,769 | 137,902 | 272,672 | 97,724 | 174,948 | 2.1 | 3,681 | 96,958 | |
| 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 土木工事 | 123,069 | 69,195 | 192,264 | 66,372 | 125,892 | 1.9 | 2,355 | 66,238 |
| 建築工事 | 47,981 | 47,986 | 95,967 | 45,337 | 50,630 | 1.4 | 728 | 45,231 | |
| 工事計 | 171,050 | 117,181 | 288,232 | 111,710 | 176,522 | 1.7 | 3,084 | 111,470 | |
| 製品 | 3,880 | 2,039 | 5,919 | 4,002 | 1,916 | 24.0 | 459 | 4,105 | |
| 不動産事業 | 16 | 386 | 403 | 386 | 16 | - | - | 386 | |
| 兼業計 | 3,897 | 2,425 | 6,322 | 4,389 | 1,933 | 23.8 | 459 | 4,491 | |
| 合計 | 174,948 | 119,607 | 294,555 | 116,099 | 178,455 | 2.0 | 3,543 | 115,961 | |
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 土木工事 | 6.7 | 93.3 | 100.0 |
| 建築工事 | 39.0 | 61.0 | 100.0 | |
| 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 土木工事 | 23.1 | 76.9 | 100.0 |
| 建築工事 | 17.0 | 83.0 | 100.0 |
③完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 土木工事 | 12,950 | 47,345 | 60,295 |
| 建築工事 | 2,925 | 29,028 | 31,953 | |
| 計 | 15,875 | 76,373 | 92,249 | |
| 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 土木工事 | 10,034 | 56,338 | 66,372 |
| 建築工事 | 3,815 | 41,522 | 45,337 | |
| 計 | 13,849 | 97,860 | 111,710 |
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 中国自動車道(特定更新等)大谷橋他2橋床版取替工事 |
| 東日本高速道路株式会社 | 常磐自動車道 大久川橋(PC上部工)工事 |
| 東京ガス不動産株式会社 | 中原賃貸住宅新築工事 |
| 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | 北陸新幹線、越前・敦賀間軌道スラブ製作運搬 |
| 株式会社LeTech | (仮称)麹町444プロジェクト |
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 中国自動車道(特定更新等)成羽川橋他2橋床版取替工事 |
| 首都高速道路株式会社 | (修)構造物改良工事1-206 |
| 東京応化工業株式会社 | 2023倉庫建設工事 |
| 滋賀県 | 大津能登川長浜線補助道路整備工事 |
| 中日本高速道路株式会社 | 東海環状自動車道 北勢第三高架橋第一工区(PC上部工)工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
| 西日本高速道路株式会社 | 17,419百万円 | 17.8% |
| 中日本高速道路株式会社 | 15,293百万円 | 15.7% |
当事業年度
| 中日本高速道路株式会社 | 26,174百万円 | 22.5% |
④手持工事高
| (2024年3月31日現在) |
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 土木工事 | 15,812 | 110,079 | 125,892 |
| 建築工事 | 826 | 49,803 | 50,630 |
| 計 | 16,639 | 159,883 | 176,522 |
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 令和5年度 九州自動車道(特定更新等) 桑の丸橋(上り線)他2橋床版取替工事 | 2027年5月完成予定 |
| 中日本高速道路株式会社 | 西湘バイパス(特定更新等) 滄浪橋他1橋塩害対策工事(2023年度) | 2027年8月完成予定 |
| 株式会社丸仁ホールディングス | (仮称)大田区東矢口1丁目計画新築工事 | 2025年1月完成予定 |
| 西日本高速道路株式会社 | 岡山自動車道 有漢高架橋(PC上部工)工事 | 2026年7月完成予定 |
| 岩手県 | 佐比内トンネル | 2026年2月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積り及び仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.原価進捗度に基づく収益認識
b.工事損失引当金
c.固定資産の減損
d.退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債
e.繰延税金資産の回収可能性
なお、詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ199億67百万円(18.3%増)増加し、1,292億94百万円となりました。
土木事業は、大規模更新継続契約案件及び新設橋梁工事等の受注、大規模更新・修繕事業等の工事が進捗し、また設計変更の獲得、利益好転等により売上高は前連結会計年度に比べ82億3百万円増加し、784億51百万円となりました。建築事業は、大型医療施設等の受注、豊富な繰越工事が順調に進捗し、売上高は前連結会計年度に比べ118億77百万円増加し、484億14百万円となりました。製造事業は、受注が減少したことから前連結会計年度に比べ2億2百万円減少し、16億98百万円となりました。その他兼業事業につきましては、不動産賃貸先の増加により前連結会計年度に比べ88百万円増加し、7億30百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ167億6百万円(17.8%増)増加し、1,105億6百万円となりました。売上原価については、省力化、合理化により原価低減に努めたため、売上原価率が減少しました。売上総利益率は、売上原価率の減少により前連結会計年度の14.2%から0.3ポイント上昇し14.5%となっております。
販売費及び一般管理費は従業員の待遇改善や株式取得に係るFA費用等により、前連結会計年度に比べ11億48百万円(11.7%増)増加し、109億59百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ主に持分法による投資利益が21百万円減少しましたが、受取保険金が37百万円、受取ロイヤリティが27百万円それぞれ増加したことにより、84百万円増加の2億76百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ主に労災示談金が40百万円、支払保証料が19百万円それぞれ増加したことにより、82百万円増加の3億60百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益1億38百万円等の計上により1億48百万円となりました。
特別損失は、減損損失2億63百万円等の計上により2億97百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上高、売上総利益率の増加に伴う売上総利益の増加等により、前連結会計年度に比べ12億64百万円(33.4%増)増加し、50億54百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループを取り巻く事業環境は、民間設備投資あるいは公共建設投資が堅調に推移し、豊富な手持工事を有する一方で、建設業界における就労人口の減少は顕著であり、労働需給バランスの不均衡に起因する人件費・輸送費上昇に加え、設備工事費の高騰による収益面でのリスクが懸念されます。また、本年4月より労働時間上限規制が建設業においても適用開始となりました。人財の確保や育成は当然のことながら、DX推進や現場支援体制の強化による生産性向上が法令順守の鍵であると認識しており、これらに対する取り組みへのさらなる加速が求められます。加えて地球環境保全やカーボンニュートラル対応など、サステナブルな企業経営が求められており、対処すべき経営課題は多岐にわたります。
当社グループは、2030年をゴールとした長期ビジョンの実現に向け、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」に取り組んでおりますが、高止まりする資材・燃料費の高騰といった収益性悪化のリスクは依然として保有しており、原価管理の徹底と効率的な施工体制の構築に注力してまいります。
昨年12月、当社は大成建設株式会社の連結子会社となりました。この資本業務提携により、ビジネス機会の創出だけでなく、同社が先進的に取り組んでいるサステナビリティ経営でも大きなシナジー効果が得られるよう円滑な関係構築を目指しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入極度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これらの営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及び金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の獲得を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」において収益力・資本効率向上について指標を定めております。各指標の達成状況は下グラフに記載した計画対比のとおりです。

中期経営計画2022の2年目となる当連結会計年度は、大企業を中心とした設備投資が堅調に推移しており、市場全体が回復基調にある事業環境となりました。土木事業では、高速道路各社の大規模更新・修繕事業や東海環状自動車道路工事等のプロジェクトの進行により、受注高は土木、建築とも中計目標を大幅に上回りました。売上高についても、豊富な繰越工事が順調に進捗し、土木、建築とも中計目標を大幅に上回りました。
利益については、増収と設計変更の獲得や原価改善等により増益となり、販管費は従業員の待遇改善や株式取得に係るFA費用等により増加しましたが、売上総利益の増加が上回り、営業利益、経常利益、当期純利益とも中計目標を上回りました。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、受注高は高速道路各社の大規模更新継続契約案件や新名神4車化工事の獲得等により、売上高、売上総利益は豊富な手持ち工事の順調な進捗や大規模更新・修繕事業の設計変更の獲得等により目標を大幅に上回りました。
建築事業については、全体として、企業の設備投資意欲が堅調に推移しており、引き続き厳しい競争環境のなか、共同住宅や大型医療施設等の建設工事を受注しました。売上高・売上総利益についても土木事業と同様、豊富な繰越工事が順調に進捗し、目標を上回りました。


営業利益率、ROEは目標値を上回りましたが、ROAは総資産が計画より増加したこともあり、若干目標値を下回る結果となりました。D/Eレシオは借入金残高の増加等により目標値に達しておりません。他方、配当については利益の積み上げにより自己資本比率の上昇を受け期首予想より増配した結果、配当性向は40.5%となりました。
設備・不動産投資では、札幌高齢者施設の完成や、工事用機械の取得等を実施しました。
セグメントごとの経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。