有価証券報告書-第70期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、海外経済の回復に伴う底堅い内外需要を背景に、企業収益の改善が大企業だけでなく中小企業にも波及してきており、設備投資も増加基調にあります。また、個人消費においては、雇用・所得環境の改善を受け持ち直しの動きもあり、景気回復の裾野が拡がってきております。一方で、海外経済の不確実性や地政学的リスク等の懸念も依然としてあり、国内景気への影響など引き続き予断を許さない状況になっております。
当社グループが属する建設産業におきましては、公共建設投資がピークアウトしている状況は変わりませんが、民間建設投資を含めると高い水準を維持しており、需要は底堅く推移しております。特に、好調な企業業績を受けた既存設備の維持更新投資、人手不足を背景とした省力化・合理化等の民間設備投資意欲は高く、建設産業における企業収益は好調に推移しております。
このような経済状況のもと、当社は「中期経営計画2016」の基本方針・基本戦略に基づき、2年目においても継続してグループ全体での「収益力」の向上意識を高め、企業の「安定経営」に取り組んでまいりました。土木部門では、新設橋梁の発注量が減少する中においても、新設橋梁での安定的な受注を維持しつつ、今後の成長分野である大規模更新事業やメンテナンス事業の受注拡大を目指し、組織体制の整備に注力してまいりました。建築部門においては、採算性重視の受注管理のもと「品質最優先の取り組み」および「コスト競争力の改善」といった基礎的な現場力の向上に注力すると同時に、企業成長の推進力となるストック事業の開始やPC(プレストレスト・コンクリート)技術を取り入れた企画・提案型の受注活動に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,148億41百万円(前年同期比18.7%増)、営業利益54億40百万円(同47.6%増)、経常利益53億47百万円(同54.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益38億44百万円(同44.9%増)となりました。
なお、個別の業績は、 売 上 高 1,030億38百万円 営業利益 42億39百万円
経常利益 44億12百万円 当期純利益 33億96百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は645億70百万円(前年同期比28.0%増)、セグメント利益は91億78百万円(前年同期比41.2%増)となりました。
建築事業は、売上高は487億70百万円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益は43億61百万円(前年同期比1.4%増)となりました。
製造事業は、売上高は65億71百万円(前年同期比18.7%減)、セグメント利益は3百万円(前年同期比98.8%減)となりました。
その他兼業事業は、売上高は43億22百万円(前年同期比25.8%増)、セグメント利益は3億4百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、833億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ60億6百万円の増加となりました。
流動資産は659億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億13百万円増加しております。主な要因といたしまして現金預金が26億8百万円減少しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が63億44百万円、未収入金が13億77百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は173億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億92百万円増加しております。主な要因といたしましてリース資産が59百万円、破産更生債権等が58百万円減少しましたが、退職給付に係る資産が3億52百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が1億89百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債合計は549億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億13百万円増加しております。
流動負債は主に、支払手形・工事未払金等が6億73百万円、電子記録債務が3億59百万円減少しましたが、短期借入金が17億25百万円増加したことによるものであります。
固定負債は主に退職給付に係る負債が2億5百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益38億44百万円の計上により283億16百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益51億97百万円、仕入債務の増減△10億28百万円、売上債権の増減△66億6百万円、未収入金の増減△13億79百万円等の減少要因、短期借入金の純増減17億28百万円等の増加要因により、前連結会計年度末に比べ26億8百万円減少し、当連結会計年度末には124億40百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は30億49百万円(前連結会計年度は42億48百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権のうち大型工事の入金が翌連結会計年度にずれ込んだため、支出超過となったことによるものであります。なお、当社及び一部を除くグループ会社では工事の適正かつ円滑な施工を確保する活動の一環として、平成29年4月1日より支払手形及び電子記録債務のサイトを短縮しており、この施策の導入により追加の資金を使用しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は5億35百万円(前年同期比34.0%減)となりました。これは主に工場設備の更新によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、獲得した資金は9億77百万円(前連結会計年度は13百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純増加によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
当連結会計年度
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
③完成工事高
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
当事業年度
④手持工事高
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積および仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.重要な収益および費用の計上基準
完成工事高および完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高計上においては工事原価総額の見積りにより収益および損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等による報告書による見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しております。また、完成工事高計上においては原価比例法を採用しており、実際の工事の進捗率と累計発生原価率との乖離が疑われる場合には、その要因を調査・検討することで計上額が妥当であることを検証しており、既契約総額を超える完成工事高は企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に基づいて計上しておりません。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b.工事損失引当金
当社および国内連結子会社は、手持工事等のうち損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込み額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、専門工事業者との条件等)から過去の経験を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、専門工事業者との外注契約の締結等による確実な原価低減が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
c.保有資産の減損
当社グループは、必要に応じて使用中の長期性資産および遊休資産の帳簿価額を毎期検証しております。この検証は、将来キャッシュ・フローの確実性が認められない資産について兆候を把握し、減損が生じていると判断した資産について回収可能価額を超える金額を減損損失として損失を計上しております。当該資産の回収可能価額は、正味売却価額を使用しており、不動産鑑定評価基準に基づく評価額から建物等の処分費用見込額を差し引いて算定しております。回収可能価額は合理的に行われていると判断しておりますが、評価の結果が変わり将来の業績に影響を与える場合があります。
d.退職給付引当金
退職給付費用および債務の計算は、割引率、退職者に対する給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率、退職率等の要素が含まれております。これらの仮定と実際の結果が異なる場合、その影響は累積され、将来の会計期間に規則的に償却するため、今後の会計期間において費用化されます。使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ181億26百万円(18.7%増)増加し、1,148億41百万円となりました。
土木事業は、豊富な前期繰越工事の消化により、前連結会計年度と比べ144億42百万円増加し、637億98百万円となりました。建築事業は、前期からの大型工事が着実に進捗し、前連結会計年度と比べ39億54百万円増加し、487億70百万円となりました。製造事業は、前連結会計年度と比べ1億81百万円減少し、16億38百万円となりました。その他兼業事業につきましては、前連結会計年度に比べ89百万円減少し、6億34百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ157億67百万円(18.5%増)増加し、1,010億22百万円となりました。売上原価の増加は、省力化、合理化により原価低減に努めたものの、売上高の増加によるものであります。売上総利益率は、売上原価率の減少により前連結会計年度の11.8%から0.2ポイント上昇し12.0%となっております。
販売費及び一般管理費は徹底した経費節減を実行した一方、従業員の処遇改善、社員教育の充実等により、前連結会計年度に比べ6億5百万円(7.8%増)増加し、83億78百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ受取配当金、スクラップ売却益それぞれ18百万円、9百万円増加しましたが、持分法よる投資利益、その他営業外収益がそれぞれ60百万円、26百万円減少したことにより65百万円減少の1億44百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ支払手数料が2億47百万円減少したことにより、2億3百万円減少の2億38百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益3百万円の計上等により3百万円となりました。
特別損失は、固定資産除売却損4百万円、減損損失1億44百万円等の計上により1億53百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上総利益率の上昇に伴う売上総利益金額の増加等により、前連結会計年度に比べ11億91百万円(44.9%増)増加し、38億44百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、国内建設投資は当面は好況で推移すると思われますが、中長期的には人口減少等による国内建設市場の縮小、財政制約による公共投資の抑制は避けられず、建設投資の中身についても、新設工事から維持補修工事へと質的変化が想定されます。また、国内建設市場の縮小に伴う受注競争の再燃や資材費・人件費の上昇等のリスクも予想されます。直近の課題といたしましては、少子高齢化の進展による建設技術者・技能労働者の減少が更に加速すると思われ、政府の「働き方改革」に呼応する形での建設業界としての給与体系や長時間労働の見直し、週休2日制度の実現に向けて建設技術の開発や生産管理システムの整備等、業務改革と生産性向上の対策は不可欠であります。
当社グループでは、このような社会情勢の変化・社会的要請を見据え、PC業界の「トップランナー」として、目指す姿(長期経営ビジョン)を明示し、その実現(課題解決)に向けた「中期経営計画2016(2016年度~2018年度)」に精力的に取り組んでおります。前年度(2017年度)においては、企業の成長性(事業規模の拡大)を図る受注確保に課題が残りましたが、グループ全体での収益最大化を目指した収益力については大幅に改善されました。また、このような収益力の改善等を踏まえ、「中期経営計画2016(2016年度~2018年度)」の最終年度(2018年度)の数値目標を上方修正いたしました。最終年度においても、基本方針・基本戦略を着実に実行した上で、戦略テーマである「変革へのファーストステージ」として、成長分野をリードし、新しいフィールドへの挑戦に向けた体制整備から事業推進へとシフトしてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入限度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、大規模更新事業の受注に備えた工場設備への投資、機械化施工に向けた設備投資、人財確保を見据えた福利厚生設備の更新等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及びに金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画において収益力・資本効率向上について指標を定めております。
(1) 注力事業(大規模更新事業、メンテナンス、PC建築)への投資を実施しつつ、生産性の向上等により主軸事業(PC新設橋梁、一般建築)の収益を安定させ、連結営業利益率3.4%以上を実現する。
(2) 健全な経営基盤を維持するために財務体質の強化と資本効率の向上を図り、ROE(自己資本当期純利益率)9.8%以上、ROA(総資産経常利益率)4.7%以上、D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)0.42倍以下を目指す。
経営上の目標の達成状況は1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載した計画対比のとおり、受注高は計画を下回ったものの、土木事業、建築事業ともに利益については順調に推移していることから、営業利益・営業利益率・経常利益・経常利益率・ROE・ROAについて順調に推移していると判断しています。また、D/Eレシオについては、中期経営計画の最終年度目標利益を達成することにより達成可能範囲であると判断しております。配当性向については現時点では未達状態でありますが、中期経営計画最終年度目標の利益に対し18円の配当を仮定した場合の配当性向は30.1%と見込んでおり、計画期間平均で23%以上について達成可能であると判断しております。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、受注高はPC新設橋梁での発注量の減少影響もあり目標未達となりましたが、売上高は繰越物件の消化が順調に進んだこと、利益はNEXCO等からの設計変更の獲得等により計画を大幅に上回る結果を残せました。生産性向上の取組みとして、電子黒板システムの導入やドローンを用いたUAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)計測・精度検証業務の活用を推進しております。主力の新設橋梁から非橋梁・一般土木、更新・メンテナンスへの事業シフトは順調に推移していると認識しており、NEXCOの大規模更新事業では、東名道・中国道で、平成30年5月には北陸自動車道で受注を獲得しております。土木事業の平成31年3月期の目標値は受注高・売上高・売上総利益についてそれぞれ601億円・637億円・78億円としております。
建築事業については、PCaPC元請案件の受注獲得に挑戦しグローバル電機メーカーの本社ビル新築工事を受注できましたが、他社との受注競争が激化しており、平成30年3月期の受注高は目標未達となりました。売上高は、PCaPC工法の大型案件の竣工により目標を達成できました。利益については目標に対し2.3億円上振れする結果となりましたが、一部不具合工事の発生により平成30年3月期第4四半期で利益の積み上げができませんでした。平成30年3月期は、PC部門の体制強化、PR動画などの営業ツールを一層整備し、設計力・提案力強化のためにBIM導入に向けた整備を開始しました。このような取り組みは、今後、着実な成果に結びつき、中期経営計画最終年度の目標達成に貢献すると認識しております。建築事業の平成31年3月期の目標値は受注高・売上高・売上総利益についてそれぞれ491億円・462億円・45億円としております。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
土木事業
土木事業は、売上高は645億70百万円(前年同期比28.0%増)、セグメント利益は91億78百万円(前年同期比41.2%増)となりました。前期繰越案件での設計変更が想定以上に獲得できたため売上高、利益ともに増加いたしました。今後は新設から維持補修へと工事の質が変動する事を踏まえた事業活動を行ってまいります。
建築事業
建築事業は、売上高は487億70百万円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益は43億61百万円(前年同期比1.4%増)となりました。リスクの低減により大幅に利益好転した案件があった一方で、一部不具合工事の発生に伴い大幅に利益悪化した案件があり、前期に比べ利益は微増にとどまりました。品質最優先の取り組みを改めて実践していく所存であります。
製造事業
製造事業は、売上高は65億71百万円(前年同期比18.7%減)、セグメント利益は3百万円(前年同期比98.8%減)となりました。
その他兼業事業
その他兼業事業は、売上高は43億22百万円(前年同期比25.8%増)、セグメント利益は3億4百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、海外経済の回復に伴う底堅い内外需要を背景に、企業収益の改善が大企業だけでなく中小企業にも波及してきており、設備投資も増加基調にあります。また、個人消費においては、雇用・所得環境の改善を受け持ち直しの動きもあり、景気回復の裾野が拡がってきております。一方で、海外経済の不確実性や地政学的リスク等の懸念も依然としてあり、国内景気への影響など引き続き予断を許さない状況になっております。
当社グループが属する建設産業におきましては、公共建設投資がピークアウトしている状況は変わりませんが、民間建設投資を含めると高い水準を維持しており、需要は底堅く推移しております。特に、好調な企業業績を受けた既存設備の維持更新投資、人手不足を背景とした省力化・合理化等の民間設備投資意欲は高く、建設産業における企業収益は好調に推移しております。
このような経済状況のもと、当社は「中期経営計画2016」の基本方針・基本戦略に基づき、2年目においても継続してグループ全体での「収益力」の向上意識を高め、企業の「安定経営」に取り組んでまいりました。土木部門では、新設橋梁の発注量が減少する中においても、新設橋梁での安定的な受注を維持しつつ、今後の成長分野である大規模更新事業やメンテナンス事業の受注拡大を目指し、組織体制の整備に注力してまいりました。建築部門においては、採算性重視の受注管理のもと「品質最優先の取り組み」および「コスト競争力の改善」といった基礎的な現場力の向上に注力すると同時に、企業成長の推進力となるストック事業の開始やPC(プレストレスト・コンクリート)技術を取り入れた企画・提案型の受注活動に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,148億41百万円(前年同期比18.7%増)、営業利益54億40百万円(同47.6%増)、経常利益53億47百万円(同54.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益38億44百万円(同44.9%増)となりました。
なお、個別の業績は、 売 上 高 1,030億38百万円 営業利益 42億39百万円
経常利益 44億12百万円 当期純利益 33億96百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は645億70百万円(前年同期比28.0%増)、セグメント利益は91億78百万円(前年同期比41.2%増)となりました。
建築事業は、売上高は487億70百万円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益は43億61百万円(前年同期比1.4%増)となりました。
製造事業は、売上高は65億71百万円(前年同期比18.7%減)、セグメント利益は3百万円(前年同期比98.8%減)となりました。
その他兼業事業は、売上高は43億22百万円(前年同期比25.8%増)、セグメント利益は3億4百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、833億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ60億6百万円の増加となりました。
流動資産は659億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億13百万円増加しております。主な要因といたしまして現金預金が26億8百万円減少しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が63億44百万円、未収入金が13億77百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は173億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億92百万円増加しております。主な要因といたしましてリース資産が59百万円、破産更生債権等が58百万円減少しましたが、退職給付に係る資産が3億52百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が1億89百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債合計は549億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億13百万円増加しております。
流動負債は主に、支払手形・工事未払金等が6億73百万円、電子記録債務が3億59百万円減少しましたが、短期借入金が17億25百万円増加したことによるものであります。
固定負債は主に退職給付に係る負債が2億5百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益38億44百万円の計上により283億16百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益51億97百万円、仕入債務の増減△10億28百万円、売上債権の増減△66億6百万円、未収入金の増減△13億79百万円等の減少要因、短期借入金の純増減17億28百万円等の増加要因により、前連結会計年度末に比べ26億8百万円減少し、当連結会計年度末には124億40百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は30億49百万円(前連結会計年度は42億48百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権のうち大型工事の入金が翌連結会計年度にずれ込んだため、支出超過となったことによるものであります。なお、当社及び一部を除くグループ会社では工事の適正かつ円滑な施工を確保する活動の一環として、平成29年4月1日より支払手形及び電子記録債務のサイトを短縮しており、この施策の導入により追加の資金を使用しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は5億35百万円(前年同期比34.0%減)となりました。これは主に工場設備の更新によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、獲得した資金は9億77百万円(前連結会計年度は13百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純増加によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 55,573 | 0.7% |
| 建築事業 | (百万円) | 45,165 | △0.2% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,638 | △10.0% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 634 | △12.3% |
| 合計 | (百万円) | 103,012 | △0.0% |
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 63,798 | 29.3% |
| 建築事業 | (百万円) | 48,770 | 8.8% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,638 | △10.0% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 634 | △12.4% |
| 合計 | (百万円) | 114,841 | 18.7% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
当連結会計年度
| 中日本高速道路株式会社 | 12,136百万円 | 10.6% |
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
| 期別 | 種類別 | 前 期繰越高 (百万円) | 当 期受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当 期売上高 (百万円) | 次期繰越高 | 当 期施工高 (百万円) | ||
| 手持高 (百万円) | うち施工高 (百万円) | ||||||||
| % | |||||||||
| 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 土木工事 | 56,308 | 44,035 | 100,343 | 37,995 | 62,348 | 5.4 | 3,383 | 40,300 |
| 建築工事 | 34,664 | 45,236 | 79,900 | 44,291 | 35,609 | 3.3 | 1,181 | 44,217 | |
| 工事計 | 90,973 | 89,271 | 180,244 | 82,286 | 97,958 | 4.7 | 4,564 | 84,518 | |
| 製品 | 3,628 | 2,139 | 5,768 | 3,454 | 2,313 | 13.6 | 313 | 2,855 | |
| 不動産事業 | 3 | 71 | 75 | 71 | 3 | - | - | 71 | |
| 兼業計 | 3,632 | 2,211 | 5,844 | 3,526 | 2,317 | 13.5 | 313 | 2,927 | |
| 合計 | 94,606 | 91,482 | 186,088 | 85,812 | 100,275 | 4.9 | 4,878 | 87,445 | |
| 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 土木工事 | 62,348 | 43,251 | 105,599 | 52,219 | 53,380 | 8.1 | 4,324 | 53,159 |
| 建築工事 | 35,609 | 43,983 | 79,592 | 48,466 | 31,125 | 4.7 | 1,474 | 48,760 | |
| 工事計 | 97,958 | 87,234 | 185,192 | 100,685 | 84,506 | 6.9 | 5,798 | 101,919 | |
| 製品 | 2,313 | 2,608 | 4,922 | 2,278 | 2,643 | 8.2 | 217 | 2,181 | |
| 不動産事業 | 3 | 75 | 79 | 74 | 4 | - | - | 74 | |
| 兼業計 | 2,317 | 2,683 | 5,001 | 2,353 | 2,648 | 8.2 | 217 | 2,256 | |
| 合計 | 100,275 | 89,917 | 190,193 | 103,038 | 87,154 | 6.9 | 6,015 | 104,176 | |
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 土木工事 | 6.6 | 93.4 | 100.0 |
| 建築工事 | 38.4 | 61.6 | 100.0 | |
| 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 土木工事 | 3.7 | 96.3 | 100.0 |
| 建築工事 | 35.3 | 64.7 | 100.0 |
③完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 土木工事 | 16,929 | 21,065 | 37,995 |
| 建築工事 | 5,447 | 38,844 | 44,291 | |
| 計 | 22,376 | 59,909 | 82,286 | |
| 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 土木工事 | 20,018 | 32,200 | 52,219 |
| 建築工事 | 3,294 | 45,171 | 48,466 | |
| 計 | 23,313 | 77,372 | 100,685 |
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 新名神高速道路 猪名川橋(PC上部工)工事 |
| 東日本高速道路株式会社 | 東京外環自動車道 小山高架橋(PC上部工)工事 |
| 西日本高速道路株式会社 | 中国自動車道 吹矢谷橋他1橋床版補修工事 |
| 中国四国防衛局 | 岩国飛行場(H26)格納庫(輸送)新設建築その他工事 |
| 松栄商事有限会社 | 新さくら病院 新築工事 |
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 新名神高速道路 塩川橋他1橋工事 |
| 西日本高速道路株式会社 | 新名神高速道路 有野川橋(鋼・PC複合上部工)工事 |
| 学校法人国際医療福祉大学 | 国際医療福祉大学 医学部新築工事 |
| 株式会社丸の内よろず | プレジリア代々木大山町EAST・WEST アライブ代々木大山町 |
| 中国四国防衛局 | 岩国飛行場(H27)低層住宅(15工区)新設建築工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
当事業年度
| 中日本高速道路株式会社 | 12,272百万円 | 11.9% |
④手持工事高
| (平成30年3月31日現在) |
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 土木工事 | 20,969 | 32,411 | 53,380 |
| 建築工事 | 2,076 | 29,048 | 31,125 |
| 計 | 23,046 | 61,460 | 84,506 |
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 中国自動車道(特定更新等)常国橋他2橋床版取替工事 | 平成33年7月完成予定 |
| 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構九州新幹線建設局 | 九州新幹線(西九州)、大上戸川橋りょう(PCけた) | 平成31年9月完成予定 |
| 鹿児島県 | 道路整備(交付金)工事(藺牟田瀬戸架橋第3橋27-2工区) | 平成32年6月完成予定 |
| 諫早市栄町東西街区市街地再開発組合 | 諫早市栄町東西街区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事 | 平成31年3月完成予定 |
| 社会福祉法人平成記念会 | (仮称)介護老人福祉施設ケアホーム板橋新築工事 | 平成31年3月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積および仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.重要な収益および費用の計上基準
完成工事高および完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高計上においては工事原価総額の見積りにより収益および損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等による報告書による見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しております。また、完成工事高計上においては原価比例法を採用しており、実際の工事の進捗率と累計発生原価率との乖離が疑われる場合には、その要因を調査・検討することで計上額が妥当であることを検証しており、既契約総額を超える完成工事高は企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に基づいて計上しておりません。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b.工事損失引当金
当社および国内連結子会社は、手持工事等のうち損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込み額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、専門工事業者との条件等)から過去の経験を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、専門工事業者との外注契約の締結等による確実な原価低減が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
c.保有資産の減損
当社グループは、必要に応じて使用中の長期性資産および遊休資産の帳簿価額を毎期検証しております。この検証は、将来キャッシュ・フローの確実性が認められない資産について兆候を把握し、減損が生じていると判断した資産について回収可能価額を超える金額を減損損失として損失を計上しております。当該資産の回収可能価額は、正味売却価額を使用しており、不動産鑑定評価基準に基づく評価額から建物等の処分費用見込額を差し引いて算定しております。回収可能価額は合理的に行われていると判断しておりますが、評価の結果が変わり将来の業績に影響を与える場合があります。
d.退職給付引当金
退職給付費用および債務の計算は、割引率、退職者に対する給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率、退職率等の要素が含まれております。これらの仮定と実際の結果が異なる場合、その影響は累積され、将来の会計期間に規則的に償却するため、今後の会計期間において費用化されます。使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ181億26百万円(18.7%増)増加し、1,148億41百万円となりました。
土木事業は、豊富な前期繰越工事の消化により、前連結会計年度と比べ144億42百万円増加し、637億98百万円となりました。建築事業は、前期からの大型工事が着実に進捗し、前連結会計年度と比べ39億54百万円増加し、487億70百万円となりました。製造事業は、前連結会計年度と比べ1億81百万円減少し、16億38百万円となりました。その他兼業事業につきましては、前連結会計年度に比べ89百万円減少し、6億34百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ157億67百万円(18.5%増)増加し、1,010億22百万円となりました。売上原価の増加は、省力化、合理化により原価低減に努めたものの、売上高の増加によるものであります。売上総利益率は、売上原価率の減少により前連結会計年度の11.8%から0.2ポイント上昇し12.0%となっております。
販売費及び一般管理費は徹底した経費節減を実行した一方、従業員の処遇改善、社員教育の充実等により、前連結会計年度に比べ6億5百万円(7.8%増)増加し、83億78百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ受取配当金、スクラップ売却益それぞれ18百万円、9百万円増加しましたが、持分法よる投資利益、その他営業外収益がそれぞれ60百万円、26百万円減少したことにより65百万円減少の1億44百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ支払手数料が2億47百万円減少したことにより、2億3百万円減少の2億38百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益3百万円の計上等により3百万円となりました。
特別損失は、固定資産除売却損4百万円、減損損失1億44百万円等の計上により1億53百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上総利益率の上昇に伴う売上総利益金額の増加等により、前連結会計年度に比べ11億91百万円(44.9%増)増加し、38億44百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、国内建設投資は当面は好況で推移すると思われますが、中長期的には人口減少等による国内建設市場の縮小、財政制約による公共投資の抑制は避けられず、建設投資の中身についても、新設工事から維持補修工事へと質的変化が想定されます。また、国内建設市場の縮小に伴う受注競争の再燃や資材費・人件費の上昇等のリスクも予想されます。直近の課題といたしましては、少子高齢化の進展による建設技術者・技能労働者の減少が更に加速すると思われ、政府の「働き方改革」に呼応する形での建設業界としての給与体系や長時間労働の見直し、週休2日制度の実現に向けて建設技術の開発や生産管理システムの整備等、業務改革と生産性向上の対策は不可欠であります。
当社グループでは、このような社会情勢の変化・社会的要請を見据え、PC業界の「トップランナー」として、目指す姿(長期経営ビジョン)を明示し、その実現(課題解決)に向けた「中期経営計画2016(2016年度~2018年度)」に精力的に取り組んでおります。前年度(2017年度)においては、企業の成長性(事業規模の拡大)を図る受注確保に課題が残りましたが、グループ全体での収益最大化を目指した収益力については大幅に改善されました。また、このような収益力の改善等を踏まえ、「中期経営計画2016(2016年度~2018年度)」の最終年度(2018年度)の数値目標を上方修正いたしました。最終年度においても、基本方針・基本戦略を着実に実行した上で、戦略テーマである「変革へのファーストステージ」として、成長分野をリードし、新しいフィールドへの挑戦に向けた体制整備から事業推進へとシフトしてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入限度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、大規模更新事業の受注に備えた工場設備への投資、機械化施工に向けた設備投資、人財確保を見据えた福利厚生設備の更新等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及びに金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画において収益力・資本効率向上について指標を定めております。
(1) 注力事業(大規模更新事業、メンテナンス、PC建築)への投資を実施しつつ、生産性の向上等により主軸事業(PC新設橋梁、一般建築)の収益を安定させ、連結営業利益率3.4%以上を実現する。
(2) 健全な経営基盤を維持するために財務体質の強化と資本効率の向上を図り、ROE(自己資本当期純利益率)9.8%以上、ROA(総資産経常利益率)4.7%以上、D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)0.42倍以下を目指す。
経営上の目標の達成状況は1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載した計画対比のとおり、受注高は計画を下回ったものの、土木事業、建築事業ともに利益については順調に推移していることから、営業利益・営業利益率・経常利益・経常利益率・ROE・ROAについて順調に推移していると判断しています。また、D/Eレシオについては、中期経営計画の最終年度目標利益を達成することにより達成可能範囲であると判断しております。配当性向については現時点では未達状態でありますが、中期経営計画最終年度目標の利益に対し18円の配当を仮定した場合の配当性向は30.1%と見込んでおり、計画期間平均で23%以上について達成可能であると判断しております。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、受注高はPC新設橋梁での発注量の減少影響もあり目標未達となりましたが、売上高は繰越物件の消化が順調に進んだこと、利益はNEXCO等からの設計変更の獲得等により計画を大幅に上回る結果を残せました。生産性向上の取組みとして、電子黒板システムの導入やドローンを用いたUAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)計測・精度検証業務の活用を推進しております。主力の新設橋梁から非橋梁・一般土木、更新・メンテナンスへの事業シフトは順調に推移していると認識しており、NEXCOの大規模更新事業では、東名道・中国道で、平成30年5月には北陸自動車道で受注を獲得しております。土木事業の平成31年3月期の目標値は受注高・売上高・売上総利益についてそれぞれ601億円・637億円・78億円としております。
建築事業については、PCaPC元請案件の受注獲得に挑戦しグローバル電機メーカーの本社ビル新築工事を受注できましたが、他社との受注競争が激化しており、平成30年3月期の受注高は目標未達となりました。売上高は、PCaPC工法の大型案件の竣工により目標を達成できました。利益については目標に対し2.3億円上振れする結果となりましたが、一部不具合工事の発生により平成30年3月期第4四半期で利益の積み上げができませんでした。平成30年3月期は、PC部門の体制強化、PR動画などの営業ツールを一層整備し、設計力・提案力強化のためにBIM導入に向けた整備を開始しました。このような取り組みは、今後、着実な成果に結びつき、中期経営計画最終年度の目標達成に貢献すると認識しております。建築事業の平成31年3月期の目標値は受注高・売上高・売上総利益についてそれぞれ491億円・462億円・45億円としております。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
土木事業
土木事業は、売上高は645億70百万円(前年同期比28.0%増)、セグメント利益は91億78百万円(前年同期比41.2%増)となりました。前期繰越案件での設計変更が想定以上に獲得できたため売上高、利益ともに増加いたしました。今後は新設から維持補修へと工事の質が変動する事を踏まえた事業活動を行ってまいります。
建築事業
建築事業は、売上高は487億70百万円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益は43億61百万円(前年同期比1.4%増)となりました。リスクの低減により大幅に利益好転した案件があった一方で、一部不具合工事の発生に伴い大幅に利益悪化した案件があり、前期に比べ利益は微増にとどまりました。品質最優先の取り組みを改めて実践していく所存であります。
製造事業
製造事業は、売上高は65億71百万円(前年同期比18.7%減)、セグメント利益は3百万円(前年同期比98.8%減)となりました。
その他兼業事業
その他兼業事業は、売上高は43億22百万円(前年同期比25.8%増)、セグメント利益は3億4百万円(前年同期比3.7%増)となりました。