有価証券報告書-第75期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大で制限されていた社会活動も緩和され、人流は増加傾向が続きましたが、長期化するロシアのウクライナ侵略に端を発する物価上昇により、個人消費の回復は鈍化しました。一方で大企業を中心とした設備投資は堅調に回復基調を維持し、本格的な回復の兆しがみられるインバウンド需要も含めるとコロナ前の景気まであと僅かなところまで回復しておりますが、金融不安による世界経済の減速も懸念され、景気の先行きは不透明な状況にあります。
当社グループが属する建設業においては、燃料や資材価格の高騰により収益性にリスクを抱える民間建築工事が熾烈な受注競争により利益の確保がさらに困難な状況にありますが、設備投資計画の再開を受け、建築市場全体の縮小には至ることなく推移しております。一方、高速道路の老朽化対策など公共建設投資は活況を迎えており、防災・減災、国土強靭化も含め、今後も暫くは底堅く推移していくものと見込まれます。
このような経済状況下において、当社グループでは「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」の基本方針に基づき、建設DXの推進と多様な人財育成により生産性の向上に努めてまいりました。土木事業では、成長分野に掲げている高速道路の大規模更新工事への対応を強化し、土木事業の柱に成長しつつあります。今後も引き続き、協力会社を含めた工事経験者を増員し、技術提案力の向上や施工技術の改善を図ってまいります。さらにはPSMAX※の推進による業務効率の向上に努め、技術的優位性を維持してまいります。建築事業においては、当社が得意とする工場製品も含めたプレストレストコンクリート(PC)技術のさらなる受注差別化や新規顧客の開拓、あるいは効率的なエリア展開を進めることで、受注競争力の強化や収益力の向上に取り組んでおります。
※PSMAX:ICT・AIを活用して情報化と機械化を融合・進化させ、当社グループ独自の建設システムを構築する取り組み
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,093億27百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益57億15百万円(同13.6%減)、経常利益56億29百万円(同15.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益37億90百万円(同16.5%減)となりました。
1株当たり情報に与える影響は当該箇所に記載しております。
なお、個別の業績は、 売 上 高 977億24百万円 営業利益 43億44百万円
経常利益 45億8百万円 当期純利益 31億22百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は711億47百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は117億28百万円(前年同期比3.7%増)となりました。繰越高が前期に比べ増加し、手持工事の進捗、設計変更獲得及び見積売上の実施により売上高、利益ともに増加しました。大規模更新・メンテナンス工事については、新たな更新計画が発表され、今後も大規模更新事業の市場は、安定的に継続する見込みです。利益については、新設鉄道工事の利益増加、大規模更新工事での設計変更獲得、さらに工事原価の低減等を実践した成果によるものです。受注についても大型の大規模更新工事、新設橋梁工事等を受注し、前期および期初計画を大きく上回りました。今後も当面はこのような状態が続くと予想され、工事が長期にわたる大型の繰越工事が増加しているため、年度ごとの売上や配置要員状況を踏まえた受注計画が重要となってまいりますが、これらの工事の生産性および利益率を向上させる施策の実行に取り組んでまいります。
建築事業は、売上高は367億59百万円(前年同期比9.3%減)、セグメント利益は27億13百万円(前年同期比27.0%減)となりました。事業環境としては、新型コロナウイルス感染症の収束とともに回復傾向にあるものの、前期からの繰越工事の減少および早期受注ができず、売上高、利益ともに前期比減少しました。一方、受注については大型の病院建設工事の獲得、新規顧客への取り組み等により前期および期初計画から大きく増加しました。引き続きPCa建築を代表する当社の強みを強化するとともに、大型案件受注の施策を継続し、安定した受注・収益を確保できる様取り組んでまいります。
製造事業は、売上高は81億53百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント利益は6億18百万円(前年同期比21.3%増)となりました。現在老朽化設備の更新と品質管理の徹底およびICTの活用で生産性の向上を目指しており、効率的な生産体制の整備を図っております。
その他兼業事業は、売上高は7億79百万円(前年同期比16.1%増)、セグメント利益は3億50百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
当連結会計年度末の総資産は、1,160億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ229億81百万円増加となりました。
流動資産は916億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ208億97百万円増加しております。主な要因としまして現金預金が5億99百万円、未成工事支出金が3億51百万円、売掛金が3億20百万円減少しましたが、契約資産が196億67百万円、完成工事未収入金が11億63百万円増加したことによるものであります。
固定資産は244億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億84百万円増加しております。主な要因としまして建設仮勘定が7億96百万円、建物・構築物が5億46百万円、リース資産が4億60百万円増加したことによるものであります。
負債合計は682億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ206億42百万円増加しております。
流動負債合計は581億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ207億49百万円増加しております。主な要因としまして電子記録債務が19億59百万円、預り金が3億97百万円、契約負債が3億52百万円減少しましたが、短期借入金が198億85百万円、支払手形・工事未払金等が18億76百万円増加したことによるものであります。
固定負債合計は100億91百万円となり前連結会計年度末に比べ1億6百万円減少しております。主な要因といたしまして、退職給付に係る負債が1億63百万円増加しましたが、長期借入金が6億円減少したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益37億90百万円の計上により478億72百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益56億9百万円、短期借入金の増減額198億85百万円の増加要因、売上債権及び契約資産の増減△208億99百万円、仕入債務の増減△97百万円、契約負債の増減△3億52百万円、有形固定資産の取得16億5百万円、法人税等の支払14億6百万円、配当金の支払14億21百万円等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ6億円減少し、当連結会計年度末には93億47百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は167億8百万円(前年同期は25億99百万円の獲得)となりました。これは主に土木事業について、売上債権のうち大型工事の入金が翌連結会計年度以降にずれ込んだため、支出超過になったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は19億56百万円(前年同期比70.0%増)となりました。これは主に賃貸用建物の建設及び工場施設の更新、事務所移転先の敷金の支払等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、獲得した資金は180億60百万円(前年同期は19億70百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の純増加及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
③完成工事高
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④手持工事高
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積りおよび仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.原価進捗度に基づく収益認識
b.工事損失引当金
c.固定資産の減損
d.退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債
e.繰延税金資産の回収可能性
なお、詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ3億12百万円(0.3%減)減少し、1,093億27百万円となりました。
土木事業は、大型新設橋梁および大型大規模更新工事の獲得、大規模更新・メンテナンス工事が進捗し、また設計変更の獲得、利益好転等により売上高は前連結会計年度と比べ26億96百万円増加し、702億47百万円となりました。建築事業は、大型医療施設等の獲得により受注が増加しましたが、繰越工事の減少等により売上高が減少したことから売上高は前連結会計年度と比べ36億23百万円減少し、365億36百万円となりました。製造事業は、受注が増加したことから前連結会計年度と比べ5億27百万円増加し、19億1百万円となりました。その他兼業事業につきましては、不動産賃貸先の増加により前連結会計年度に比べ87百万円増加し、6億41百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ73百万円(0.1%減)減少し、937億99百万円となりました。売上原価については、省力化、合理化により原価低減に努めたものの、売上高の減少が上回ったため、売上原価率が増加しました。売上総利益率は、売上原価率の増加により前連結会計年度の14.4%から0.2ポイント下降し14.2%となっております。
販売費及び一般管理費は従業員の処遇改善等による人件費の増加等により、前連結会計年度に比べ6億63百万円(7.3%増)増加し、98億11百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べスクラップ売却益が10百万円増加しましたが、受取配当金が47百万円減少したことにより65百万円減少の1億92百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ主に支払手数料が8百万円減少しましたが、支払利息が74百万円、支払保証料が14百万円それぞれ増加したことにより、49百万円増加の2億78百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益37百万円等の計上により51百万円となりました。
特別損失は、固定資産除売却損37百万円等の計上により71百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上高、売上総利益率の減少に伴う売上総利益の減少等により、前連結会計年度に比べ7億49百万円(16.5%減)減少、37億90百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2030年をゴールとした長期ビジョンの実現に向け、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」に取り組んでおります。初年度となる2022年度においては、順調に受注を積み上げ、目標数値を大きく上回る結果となりました。一方、売上については、期初より繰越工事が少ない建築部門において、当期内で売上計上が可能な案件が順調に受注できなかったことから、売上を目標値まで伸ばすことができずに全体で目標未達となりましたが、売上利益は土木の大型工事の設計変更等の獲得や建築工事も含めた個別工事の原価見直し等による利益好転もあり、目標を達成しております。
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症による影響がより限定的になる一方で、ウクライナ情勢に起因する燃料費や資材価格の高騰は今後も暫く続くと想定され、収益確保におけるリスクが懸念されております。また、土木部門を中心として順調に受注数値を伸ばし、豊富な手持工事を確保する一方で、建設産業の就労人口の減少を受け、協力会社を含めた慢性的な人手不足や残業時間の上限規制といった課題への対応が急務であると認識しております。さらに、世界規模の課題としては、温暖化による気候変動が地球環境に深刻な影響を与えており、環境保全に関する企業の可及的速やかな取り組みの強化が求められております。
本年4月より、当社グループの経営上の重要課題(マテリアリティ)が多岐にわたることから、サステナビリティ推進委員会を設置して体制整備を図っております。様々な重要リスクを限られた人的資源で回避・低減していくことが求められており、当社グループを挙げてサステナビリティ推進活動に取り組むこととしております。実効的な活動となるよう、中期経営計画2022の戦略テーマである「環境に配慮した事業活動を推進し、成長分野における収益性を強化するため、建設DXの推進と多様な人財活用により生産性を進化させる」ことを実行し、グループ経営の最適化を図り、リスクを新たな収益機会の創出に発展できるよう努めてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入極度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及び金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の獲得を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」において収益力・資本効率向上について指標を定めております。各指標の達成状況は下グラフに記載した計画対比のとおりです。
中期経営計画2022の初年度である当期は、大企業を中心とした設備投資が堅調に回復しており、受注面において市場全体が回復基調にある事業環境となりました。土木事業では、高速道路各社の大規模更新事業や東海環状自動車道路工事などのプロジェクトの進行により、特に受注高は中計目標値を大きく上回り、売上高も達成することができました。また、民間企業が中心である建築事業は、引き続き熾烈な受注競争下にあるものの、エリア展開等により受注高は中計目標値を上回りましたが、売上高は繰越高の減少等により未達となりました。全体としては、受注高は目標値を大きく上回りましたが、売上高は目標未達という結果となりました。
一方、利益につきましては、土木事業が大きく中計目標値を上回り、全体でも中計目標値を達成しました。営業利益についても従業員の処遇改善等により販管費が増加したものの大きく上回りました。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、受注高は高速道路会社の大型案件の受注、売上高は潤沢な手持工事の進捗、設計変更の獲得等によりそれぞれ目標を上回りました。利益についても、新設鉄道工事の完成による利益増加、大規模更新事業の設計変更獲得や採算性の向上等による原価低減により目標を上回りました。
建築事業については、受注高は引き続き競争激化の渦中にあるものの、大型製品及び大型医療施設等の受注により目標を上回りました。売上高・利益については、原価低減に注力致しましたが、繰越高の減少、低採算案件の進捗等により目標未達となりました。
ROE・ROA・D/Eレシオについて、今年度はROE・ROAが上振れ、D/Eレシオは短期借入金の大幅な増加により悪化しました。配当については、期首予想から増配しており、配当性向は40.5%となりました。
設備・不動産投資では、社員寮、工場設備および情報関連設備の更新、工事用機械の取得等を実施しました。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態および経営成績の状況に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大で制限されていた社会活動も緩和され、人流は増加傾向が続きましたが、長期化するロシアのウクライナ侵略に端を発する物価上昇により、個人消費の回復は鈍化しました。一方で大企業を中心とした設備投資は堅調に回復基調を維持し、本格的な回復の兆しがみられるインバウンド需要も含めるとコロナ前の景気まであと僅かなところまで回復しておりますが、金融不安による世界経済の減速も懸念され、景気の先行きは不透明な状況にあります。
当社グループが属する建設業においては、燃料や資材価格の高騰により収益性にリスクを抱える民間建築工事が熾烈な受注競争により利益の確保がさらに困難な状況にありますが、設備投資計画の再開を受け、建築市場全体の縮小には至ることなく推移しております。一方、高速道路の老朽化対策など公共建設投資は活況を迎えており、防災・減災、国土強靭化も含め、今後も暫くは底堅く推移していくものと見込まれます。
このような経済状況下において、当社グループでは「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」の基本方針に基づき、建設DXの推進と多様な人財育成により生産性の向上に努めてまいりました。土木事業では、成長分野に掲げている高速道路の大規模更新工事への対応を強化し、土木事業の柱に成長しつつあります。今後も引き続き、協力会社を含めた工事経験者を増員し、技術提案力の向上や施工技術の改善を図ってまいります。さらにはPSMAX※の推進による業務効率の向上に努め、技術的優位性を維持してまいります。建築事業においては、当社が得意とする工場製品も含めたプレストレストコンクリート(PC)技術のさらなる受注差別化や新規顧客の開拓、あるいは効率的なエリア展開を進めることで、受注競争力の強化や収益力の向上に取り組んでおります。
※PSMAX:ICT・AIを活用して情報化と機械化を融合・進化させ、当社グループ独自の建設システムを構築する取り組み
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,093億27百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益57億15百万円(同13.6%減)、経常利益56億29百万円(同15.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益37億90百万円(同16.5%減)となりました。
1株当たり情報に与える影響は当該箇所に記載しております。
なお、個別の業績は、 売 上 高 977億24百万円 営業利益 43億44百万円
経常利益 45億8百万円 当期純利益 31億22百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は711億47百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益は117億28百万円(前年同期比3.7%増)となりました。繰越高が前期に比べ増加し、手持工事の進捗、設計変更獲得及び見積売上の実施により売上高、利益ともに増加しました。大規模更新・メンテナンス工事については、新たな更新計画が発表され、今後も大規模更新事業の市場は、安定的に継続する見込みです。利益については、新設鉄道工事の利益増加、大規模更新工事での設計変更獲得、さらに工事原価の低減等を実践した成果によるものです。受注についても大型の大規模更新工事、新設橋梁工事等を受注し、前期および期初計画を大きく上回りました。今後も当面はこのような状態が続くと予想され、工事が長期にわたる大型の繰越工事が増加しているため、年度ごとの売上や配置要員状況を踏まえた受注計画が重要となってまいりますが、これらの工事の生産性および利益率を向上させる施策の実行に取り組んでまいります。
建築事業は、売上高は367億59百万円(前年同期比9.3%減)、セグメント利益は27億13百万円(前年同期比27.0%減)となりました。事業環境としては、新型コロナウイルス感染症の収束とともに回復傾向にあるものの、前期からの繰越工事の減少および早期受注ができず、売上高、利益ともに前期比減少しました。一方、受注については大型の病院建設工事の獲得、新規顧客への取り組み等により前期および期初計画から大きく増加しました。引き続きPCa建築を代表する当社の強みを強化するとともに、大型案件受注の施策を継続し、安定した受注・収益を確保できる様取り組んでまいります。
製造事業は、売上高は81億53百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント利益は6億18百万円(前年同期比21.3%増)となりました。現在老朽化設備の更新と品質管理の徹底およびICTの活用で生産性の向上を目指しており、効率的な生産体制の整備を図っております。
その他兼業事業は、売上高は7億79百万円(前年同期比16.1%増)、セグメント利益は3億50百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
当連結会計年度末の総資産は、1,160億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ229億81百万円増加となりました。
流動資産は916億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ208億97百万円増加しております。主な要因としまして現金預金が5億99百万円、未成工事支出金が3億51百万円、売掛金が3億20百万円減少しましたが、契約資産が196億67百万円、完成工事未収入金が11億63百万円増加したことによるものであります。
固定資産は244億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億84百万円増加しております。主な要因としまして建設仮勘定が7億96百万円、建物・構築物が5億46百万円、リース資産が4億60百万円増加したことによるものであります。
負債合計は682億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ206億42百万円増加しております。
流動負債合計は581億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ207億49百万円増加しております。主な要因としまして電子記録債務が19億59百万円、預り金が3億97百万円、契約負債が3億52百万円減少しましたが、短期借入金が198億85百万円、支払手形・工事未払金等が18億76百万円増加したことによるものであります。
固定負債合計は100億91百万円となり前連結会計年度末に比べ1億6百万円減少しております。主な要因といたしまして、退職給付に係る負債が1億63百万円増加しましたが、長期借入金が6億円減少したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益37億90百万円の計上により478億72百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益56億9百万円、短期借入金の増減額198億85百万円の増加要因、売上債権及び契約資産の増減△208億99百万円、仕入債務の増減△97百万円、契約負債の増減△3億52百万円、有形固定資産の取得16億5百万円、法人税等の支払14億6百万円、配当金の支払14億21百万円等の減少要因により、前連結会計年度末に比べ6億円減少し、当連結会計年度末には93億47百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は167億8百万円(前年同期は25億99百万円の獲得)となりました。これは主に土木事業について、売上債権のうち大型工事の入金が翌連結会計年度以降にずれ込んだため、支出超過になったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は19億56百万円(前年同期比70.0%増)となりました。これは主に賃貸用建物の建設及び工場施設の更新、事務所移転先の敷金の支払等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、獲得した資金は180億60百万円(前年同期は19億70百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の純増加及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 95,321 | 22.5% |
| 建築事業 | (百万円) | 52,757 | 60.6% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,901 | 38.3% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 640 | 15.6% |
| 合計 | (百万円) | 150,621 | 33.8% |
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 70,247 | 4.0% |
| 建築事業 | (百万円) | 36,536 | △9.0% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,901 | 38.3% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 641 | 15.7% |
| 合計 | (百万円) | 109,327 | △0.3% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
| 西日本高速道路株式会社 | 14,800百万円 | 13.5% |
| 中日本高速道路株式会社 | 11,132百万円 | 10.2% |
当連結会計年度
| 西日本高速道路株式会社 | 17,419百万円 | 15.9% |
| 中日本高速道路株式会社 | 15,382百万円 | 14.1% |
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
| 期別 | 種類別 | 前 期繰越高 (百万円) | 当 期受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当 期売上高 (百万円) | 次期繰越高 | 当 期施工高 (百万円) | ||
| 手持高 (百万円) | うち施工高 (百万円) | ||||||||
| % | |||||||||
| 前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 土木工事 | 87,690 | 68,765 | 156,456 | 57,490 | 98,965 | 3.7 | 3,688 | 56,863 |
| 建築工事 | 42,112 | 30,832 | 72,944 | 39,743 | 33,201 | 1.7 | 559 | 39,029 | |
| 工事計 | 129,802 | 99,598 | 229,400 | 97,234 | 132,166 | 3.2 | 4,247 | 95,893 | |
| 製品 | 1,218 | 2,494 | 3,712 | 1,126 | 2,586 | 7.7 | 199 | 715 | |
| 不動産事業 | 16 | 268 | 284 | 268 | 16 | - | - | 268 | |
| 兼業計 | 1,235 | 2,762 | 3,997 | 1,394 | 2,603 | 7.6 | 199 | 983 | |
| 合計 | 131,038 | 102,360 | 233,398 | 98,628 | 134,769 | 3.3 | 4,446 | 96,876 | |
| 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 土木工事 | 98,965 | 84,400 | 183,365 | 60,295 | 123,069 | 2.0 | 2,489 | 59,096 |
| 建築工事 | 33,201 | 46,733 | 79,934 | 31,953 | 47,981 | 1.7 | 835 | 32,229 | |
| 工事計 | 132,166 | 131,133 | 263,300 | 92,249 | 171,050 | 1.9 | 3,324 | 91,326 | |
| 製品 | 2,586 | 6,461 | 9,048 | 5,167 | 3,880 | 9.2 | 356 | 5,325 | |
| 不動産事業 | 16 | 307 | 323 | 307 | 16 | - | - | 307 | |
| 兼業計 | 2,603 | 6,768 | 9,371 | 5,474 | 3,897 | 9.2 | 356 | 5,632 | |
| 合計 | 134,769 | 137,902 | 272,672 | 97,724 | 174,948 | 2.1 | 3,681 | 96,958 | |
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 土木工事 | 4.7 | 95.3 | 100.0 |
| 建築工事 | 24.1 | 75.9 | 100.0 | |
| 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 土木工事 | 6.7 | 93.3 | 100.0 |
| 建築工事 | 39.0 | 61.0 | 100.0 |
③完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 土木工事 | 19,458 | 38,032 | 57,490 |
| 建築工事 | 2,617 | 37,125 | 39,743 | |
| 計 | 22,075 | 75,158 | 97,234 | |
| 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 土木工事 | 12,950 | 47,345 | 60,295 |
| 建築工事 | 2,925 | 29,028 | 31,953 | |
| 計 | 15,875 | 76,373 | 92,249 |
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 中日本高速道路株式会社 | 北陸自動車道(特定更新等)魚津~黒部間構造物更新工事(平成29年度) |
| 西日本高速道路株式会社 | 中国自動車道(特定更新等)常国橋他2橋床版取替工事 |
| 株式会社フォーライフ企画 | 湘南医療大学 薬学部校舎新築工事 |
| 株式会社ツルハ | (仮称)ツルハ旭川中央ビル新築工事 |
| 西日本高速道路株式会社 | 岡山自動車道 川関橋(下部工)工事 |
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 中国自動車道(特定更新等)大谷橋他2橋床版取替工事 |
| 東日本高速道路株式会社 | 常磐自動車道 大久川橋(PC上部工)工事 |
| 東京ガス不動産株式会社 | 中原賃貸住宅新築工事 |
| 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | 北陸新幹線、越前・敦賀間軌道スラブ製作運搬 |
| 株式会社LeTech | (仮称)麹町444プロジェクト |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
| 西日本高速道路株式会社 | 14,807百万円 | 15.0% |
| 中日本高速道路株式会社 | 11,125百万円 | 11.3% |
当事業年度
| 西日本高速道路株式会社 | 17,419百万円 | 17.8% |
| 中日本高速道路株式会社 | 15,293百万円 | 15.7% |
④手持工事高
| (2023年3月31日現在) |
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 土木工事 | 6,978 | 116,091 | 123,069 |
| 建築工事 | 3,587 | 44,393 | 47,981 |
| 計 | 10,565 | 160,485 | 171,050 |
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
| 中日本高速道路株式会社 | 東名高速道路(特定更新等)豊川橋他3橋床版取替工事 | 2028年1月完成予定 |
| 西日本高速道路株式会社 | 第二神明道路 平野東高架橋他6橋(PC上部工)工事 | 2025年5月完成予定 |
| 日本医療サービス株式会社 | (仮称)福岡中央病院建替計画 | 2025年11月完成予定 |
| 中日本高速道路株式会社 | 北陸自動車道(特定更新等)金沢高架橋東(上り線)床版取替工事(その2) | 2026年10月完成予定 |
| 学校法人簡野学園 | 学校法人簡野学園 蒲田女子高等学校南校舎新築工事 | 2024年1月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積りおよび仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.原価進捗度に基づく収益認識
b.工事損失引当金
c.固定資産の減損
d.退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債
e.繰延税金資産の回収可能性
なお、詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ3億12百万円(0.3%減)減少し、1,093億27百万円となりました。
土木事業は、大型新設橋梁および大型大規模更新工事の獲得、大規模更新・メンテナンス工事が進捗し、また設計変更の獲得、利益好転等により売上高は前連結会計年度と比べ26億96百万円増加し、702億47百万円となりました。建築事業は、大型医療施設等の獲得により受注が増加しましたが、繰越工事の減少等により売上高が減少したことから売上高は前連結会計年度と比べ36億23百万円減少し、365億36百万円となりました。製造事業は、受注が増加したことから前連結会計年度と比べ5億27百万円増加し、19億1百万円となりました。その他兼業事業につきましては、不動産賃貸先の増加により前連結会計年度に比べ87百万円増加し、6億41百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ73百万円(0.1%減)減少し、937億99百万円となりました。売上原価については、省力化、合理化により原価低減に努めたものの、売上高の減少が上回ったため、売上原価率が増加しました。売上総利益率は、売上原価率の増加により前連結会計年度の14.4%から0.2ポイント下降し14.2%となっております。
販売費及び一般管理費は従業員の処遇改善等による人件費の増加等により、前連結会計年度に比べ6億63百万円(7.3%増)増加し、98億11百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べスクラップ売却益が10百万円増加しましたが、受取配当金が47百万円減少したことにより65百万円減少の1億92百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ主に支払手数料が8百万円減少しましたが、支払利息が74百万円、支払保証料が14百万円それぞれ増加したことにより、49百万円増加の2億78百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益37百万円等の計上により51百万円となりました。
特別損失は、固定資産除売却損37百万円等の計上により71百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上高、売上総利益率の減少に伴う売上総利益の減少等により、前連結会計年度に比べ7億49百万円(16.5%減)減少、37億90百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2030年をゴールとした長期ビジョンの実現に向け、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」に取り組んでおります。初年度となる2022年度においては、順調に受注を積み上げ、目標数値を大きく上回る結果となりました。一方、売上については、期初より繰越工事が少ない建築部門において、当期内で売上計上が可能な案件が順調に受注できなかったことから、売上を目標値まで伸ばすことができずに全体で目標未達となりましたが、売上利益は土木の大型工事の設計変更等の獲得や建築工事も含めた個別工事の原価見直し等による利益好転もあり、目標を達成しております。
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症による影響がより限定的になる一方で、ウクライナ情勢に起因する燃料費や資材価格の高騰は今後も暫く続くと想定され、収益確保におけるリスクが懸念されております。また、土木部門を中心として順調に受注数値を伸ばし、豊富な手持工事を確保する一方で、建設産業の就労人口の減少を受け、協力会社を含めた慢性的な人手不足や残業時間の上限規制といった課題への対応が急務であると認識しております。さらに、世界規模の課題としては、温暖化による気候変動が地球環境に深刻な影響を与えており、環境保全に関する企業の可及的速やかな取り組みの強化が求められております。
本年4月より、当社グループの経営上の重要課題(マテリアリティ)が多岐にわたることから、サステナビリティ推進委員会を設置して体制整備を図っております。様々な重要リスクを限られた人的資源で回避・低減していくことが求められており、当社グループを挙げてサステナビリティ推進活動に取り組むこととしております。実効的な活動となるよう、中期経営計画2022の戦略テーマである「環境に配慮した事業活動を推進し、成長分野における収益性を強化するため、建設DXの推進と多様な人財活用により生産性を進化させる」ことを実行し、グループ経営の最適化を図り、リスクを新たな収益機会の創出に発展できるよう努めてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入極度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及び金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の獲得を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画2022(2022年度~2024年度)」において収益力・資本効率向上について指標を定めております。各指標の達成状況は下グラフに記載した計画対比のとおりです。
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中期経営計画2022の初年度である当期は、大企業を中心とした設備投資が堅調に回復しており、受注面において市場全体が回復基調にある事業環境となりました。土木事業では、高速道路各社の大規模更新事業や東海環状自動車道路工事などのプロジェクトの進行により、特に受注高は中計目標値を大きく上回り、売上高も達成することができました。また、民間企業が中心である建築事業は、引き続き熾烈な受注競争下にあるものの、エリア展開等により受注高は中計目標値を上回りましたが、売上高は繰越高の減少等により未達となりました。全体としては、受注高は目標値を大きく上回りましたが、売上高は目標未達という結果となりました。
一方、利益につきましては、土木事業が大きく中計目標値を上回り、全体でも中計目標値を達成しました。営業利益についても従業員の処遇改善等により販管費が増加したものの大きく上回りました。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、受注高は高速道路会社の大型案件の受注、売上高は潤沢な手持工事の進捗、設計変更の獲得等によりそれぞれ目標を上回りました。利益についても、新設鉄道工事の完成による利益増加、大規模更新事業の設計変更獲得や採算性の向上等による原価低減により目標を上回りました。
建築事業については、受注高は引き続き競争激化の渦中にあるものの、大型製品及び大型医療施設等の受注により目標を上回りました。売上高・利益については、原価低減に注力致しましたが、繰越高の減少、低採算案件の進捗等により目標未達となりました。
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ROE・ROA・D/Eレシオについて、今年度はROE・ROAが上振れ、D/Eレシオは短期借入金の大幅な増加により悪化しました。配当については、期首予想から増配しており、配当性向は40.5%となりました。
設備・不動産投資では、社員寮、工場設備および情報関連設備の更新、工事用機械の取得等を実施しました。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態および経営成績の状況に記載のとおりであります。







