有価証券報告書-第71期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、足元では輸出の伸び悩みや生産の一部に弱さが見られましたが、底堅い国内需要に支えられ、企業収益は概ね高い水準を維持しており、設備投資も増加基調にあります。また、個人消費においては、雇用・所得環境の改善を背景に持ち直し、景気は緩やかな回復が持続しております。一方で、米中貿易摩擦や英国のEU離脱などによる企業業績への影響、消費税増税による景気の低迷懸念など、事業環境の不透明さが増しており、引き続き予断を許さない状況になっております。
当社グループが属する建設産業におきましては、防災・減災対策や老朽化したインフラ整備などによる建設投資が底堅さを維持したことにより、経営環境は良好に推移しました。
このような経済状況のもと、当社は「中期経営計画2016(2016年度~2018年度)」の基本方針・基本戦略に基づき、最終年度である当連結会計年度においても、組織体制の強化や採算管理の徹底を図ることで、経営基盤の強化と安定経営に取り組んでまいりました。土木事業においては、新設橋梁での安定的な受注・売上規模を維持しつつ、成長分野である床版取替工事等の大規模更新・メンテナンス分野の事業を拡げました。建築事業では、品質最優先の取り組みおよびコスト競争力の強化に努め、PC(プレストレスト・コンクリート)技術を取り入れた企画・提案型の受注活動に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,102億79百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益87億47百万円(同60.8%増)、経常利益87億89百万円(同64.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益79億18百万円(同106.0%増)となりました。
なお、個別の業績は、 売 上 高 978億11百万円 営業利益 71億5百万円
経常利益 74億64百万円 当期純利益 72億49百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は685億38百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益は141億18百万円(前年同期比53.8%増)となりました。前期繰越案件での設計変更が想定以上に獲得できたため売上高、利益ともに増加しました。新設事業から大規模更新・メンテナンスへの質的な工事内容の変化が進んでおり、その変化を見据えた体制構築に近年取り組んできた結果、当期の受注へと結びついたと判断しております。来期繰越案件において大規模更新・メンテナンスの割合が高まっており、これらの工事の生産性および利益率を向上させる施策の実行に取り組んでまいります。
建築事業は、売上高は406億18百万円(前年同期比16.7%減)、セグメント利益は32億98百万円(前年同期比24.4%減)となりました。当期は大幅に利益悪化した工事はありませんでしたが、前期からの繰越案件の減少により売上高、利益ともに減少しました。オリンピック・パラリンピック需要のピークは過ぎ、同業他社との競争はますます激しくなってきておりますが、当期に竣工したPC建築元請工事に代表される当社の強みを更に強化する事により、他社との差別化や事業領域の拡大を図り安定した収益を確保できるよう取り組んでまいります。
製造事業は、売上高は76億78百万円(前年同期比16.9%増)、セグメント利益は2億7百万円(前年同期は3百万円の利益)となりました。今後は安定した生産トン数の確保とコスト低減による価格競争力向上に取り組んでまいります。
その他兼業事業は、売上高は35億26百万円(前年同期比18.4%減)、セグメント利益は3億4百万円(前年同期比0.1%減)となりました。当期末に新しい賃貸用建物が完成し、来期以降に新しい収益源として稼働する予定です。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、901億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億99百万円の増加となりました。
流動資産は697億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億30百万円増加しております。主な要因といたしまして未成工事支出金が12億73百万円、未収入金が5億99百万円減少しましたが、現金預金が23億61百万円、受取手形・完成工事未収入金等が24億16百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は204億円となり、前連結会計年度末に比べ29億69百万円増加しております。主な要因といたしまして土地が3億38百万円、リース資産が1億93百万円減少しましたが、建物・構築物が17億5百万円、繰延税金資産が16億45百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債合計は547億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億25百万円減少しております。
流動負債の減少は主に、預り金が22億13百万円増加しましたが、短期借入金が26億12百万円減少したことによるものであります。
固定負債の増加は主に退職給付に係る負債が1億61百万円、資産除去債務が1億64百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益79億18百万円の計上により354億41百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益88億31百万円、預り金の増減22億13百万円等の増加要因、仕入債務の増減△13億66百万円、売上債権の増減△28億58百万円、有形固定資産の取得12億28百万円、借入金の純増減△28億29百万円等の減少要因等により、前連結会計年度末に比べ23億61百万円増加し、当連結会計年度末には148億2百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は71億70百万円(前連結会計年度は30億49百万円の使用)となりました。これは主に土木事業の工事採算が改善したため利益率が好転し、全体の事業収支も堅調に推移したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は10億30百万円(前年同期比92.2%増)となりました。これは主に賃貸用建物の建設及び工事用機械器具の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、使用した資金は37億74百万円(前連結会計年度は9億77百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純減少及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
③完成工事高
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④手持工事高
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積および仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.重要な収益および費用の計上基準
完成工事高および完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高計上においては工事原価総額の見積りにより収益および損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等による報告書による見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しております。また、完成工事高計上においては原価比例法を採用しており、実際の工事の進捗率と累計発生原価率との乖離が疑われる場合には、その要因を調査・検討することで計上額が妥当であることを検証しており、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に基づいて既契約総額を超える完成工事高は計上しておりません。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b.工事損失引当金
当社および国内連結子会社は、手持工事等のうち損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込み額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、専門工事業者との条件等)から過去の経験を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、専門工事業者との外注契約の締結等による確実な原価低減が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
c.保有資産の減損
当社グループは、必要に応じて使用中の長期性資産および遊休資産の帳簿価額を毎期検証しております。この検証は、将来キャッシュ・フローの確実性が認められない資産について兆候を把握し、減損が生じていると判断した資産について回収可能価額を超える金額を減損損失として損失を計上しております。当該資産の回収可能価額は、正味売却価額を使用しており、不動産鑑定評価基準に基づく評価額から建物等の処分費用見込額を差し引いて算定しております。回収可能価額は合理的に行われていると判断しておりますが、評価の結果が変わり将来の業績に影響を与える場合があります。
d.退職給付引当金
退職給付費用および債務の計算は、割引率、退職者に対する給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率、退職率等の要素が含まれております。これらの仮定と実際の結果が異なる場合、その影響は累積され、将来の会計期間に規則的に償却するため、今後の会計期間において費用化されます。使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ45億62百万円(4.0%減)減少し、1,102億79百万円となりました。
土木事業は、前期繰越工事は減少したものの当期完成工事の設計変更の獲得等により、前連結会計年度と比べ36億91百万円増加し、674億89百万円となりました。建築事業は、前期繰越工事が減少したことから前連結会計年度と比べ81億77百万円減少し、405億92百万円となりました。製造事業は、前連結会計年度と比べ86百万円減少し、15億51百万円となりました。その他兼業事業につきましては、前連結会計年度に比べ10百万円増加し、6億44百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ88億2百万円(8.7%減)減少し、922億20百万円となりました。売上原価の減少は、省力化、合理化により原価低減に努めたことおよび売上高の減少によるものであります。売上総利益率は、売上原価率の減少により前連結会計年度の12.0%から4.3ポイント上昇し16.4%となっております。
販売費及び一般管理費は徹底した経費節減を実行した一方、従業員の処遇改善、社員教育の充実等により、前連結会計年度に比べ9億33百万円(11.1%増)増加し、93億11百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ持分法による投資利益が23百万円減少しましたが、保険金、移転補償金がそれぞれ1億10百万円、48百万円増加したことにより1億34百万円増加の2億79百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ減価償却費が38百万円増加しましたが、支払保証料、その他営業外費用がそれぞれ、19百万円、8百万円減少したことにより、0百万円減少の2億37百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益60百万円の計上により60百万円となりました。
特別損失は、ゴルフ会員権評価損3百万円、減損損失11百万円等の計上により18百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上総利益率の上昇に伴う売上総利益金額の増加等により、前連結会計年度に比べ40億74百万円(106.0%増)増加し、79億18百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因である建設業を取り巻く事業環境については、大阪万博開催等の明るい話題もありますが、東日本大震災の復興や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う建設需要はピーク期を過ぎ、また、建設投資の中身については、新設から維持・補修へと質的変化が想定よりも早く進んでいることから、大きな転換期を迎えることとなります。加えて、労働人口の減少・高齢化や働き方改革の推進、都市と地方との地域間格差の広がりなど、社会情勢の変化は更に加速するものと思われ、厳しい事業環境が予想されます。
当社グループでは、斯かる事業環境を鑑み、PC業界のトップランナーとして新たに10年後の目指す姿を見直し、その実現(課題解決)に向けて「中期経営計画2019(2019年度~2021年度)」を策定いたしました。当社グループ全体で事業環境の転換期における持続的な成長を実現し、魅力あふれる企業集団になることを目標と定め、本計画の達成のためにグループ一丸となって取り組み、企業価値の向上に努めてまいる所存です。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入限度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資、人財確保を見据えた福利厚生設備の更新等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及びに金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画において収益力・資本効率向上について指標を定めております。
(1) 注力事業(大規模更新事業、メンテナンス、PC建築)への投資を実施しつつ、生産性の向上等により主軸事業(PC新設橋梁、一般建築)の収益を安定させ、連結営業利益率3.4%以上を実現する。
(2) 健全な経営基盤を維持するために財務体質の強化と資本効率の向上を図り、ROE(自己資本当期純利益率)9.8%以上、ROA(総資産経常利益率)4.7%以上、D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)0.42倍以下を目指す。
経営上の目標の達成状況は下表に記載した計画対比のとおりです。
受注高、営業利益・営業利益率・経常利益・経常利益率・ROE・ROA・D/Eレシオについて、中期経営計画の数値目標を大幅に上振れする結果となりました。主な要因は土木事業の好業績にあると判断しております。D/Eレシオの好転の主な要因は、当期賃貸用建物の自家建設を実施し投資活動に伴うキャッシュアウトがありましたが、大型工事の入金が順調に進捗したこと、土木事業において工事採算が大幅に好転したことから、短期借入金を返済することができた結果であります。配当性向については、3ヶ年平均で23%以上から未達となりました。これは当社が当期末に多額の繰延税金資産を計上したことがその主な要因と認識しております。売上高および配当性向を除き目標とする指標について概ね達成できた3ヶ年であったと評価しております。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、高速道路の大規模更新需要等、主力分野の変動に対応できる事業体制を整えることを中期経営計画2016で方針として掲げておりました。大規模更新・メンテナンスへ工事の内容は変化してきており、変化を見据えた体制構築に近年取り組んできた結果、当期の受注へと結びつき、2016年度から2018年度のPC市場のシェアはトップクラスを維持しました。また大型工事については、設計変更を確実に獲得できる体制整備にも注力した結果が中期経営計画2016の最終年度において売上高・利益面で現れたと判断しております。今後は大規模更新・メンテナンスの生産性と利益率を向上させる施策を実行し、それら工事を新設工事と並ぶ主力事業として発展・成長させるよう取り組んでまいります。
建築事業については、勝ち残りのための競争力を強化することを中期経営計画2016で方針として掲げておりました。計画初期ではPC元請事業の大型案件受注が獲得でき収益に貢献しました。計画期間中に、PR動画などの営業ツール、設計力・提案力強化のためにBIM導入など競争力強化のための体制を整備してまいりましたが、計画最終年度ではPC元請事業の受注が伸び悩みました。それらの反省を踏まえ2019年4月より事業体制の整備を行い当社の強みであるPC建築(主たる構造がプレストレストコンクリート構造である建築物またはプレキャスト部材を用いた建築)の拡大とエリア展開を進め、受注の強化と収益力向上を目指します。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態および経営成績の状況に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、足元では輸出の伸び悩みや生産の一部に弱さが見られましたが、底堅い国内需要に支えられ、企業収益は概ね高い水準を維持しており、設備投資も増加基調にあります。また、個人消費においては、雇用・所得環境の改善を背景に持ち直し、景気は緩やかな回復が持続しております。一方で、米中貿易摩擦や英国のEU離脱などによる企業業績への影響、消費税増税による景気の低迷懸念など、事業環境の不透明さが増しており、引き続き予断を許さない状況になっております。
当社グループが属する建設産業におきましては、防災・減災対策や老朽化したインフラ整備などによる建設投資が底堅さを維持したことにより、経営環境は良好に推移しました。
このような経済状況のもと、当社は「中期経営計画2016(2016年度~2018年度)」の基本方針・基本戦略に基づき、最終年度である当連結会計年度においても、組織体制の強化や採算管理の徹底を図ることで、経営基盤の強化と安定経営に取り組んでまいりました。土木事業においては、新設橋梁での安定的な受注・売上規模を維持しつつ、成長分野である床版取替工事等の大規模更新・メンテナンス分野の事業を拡げました。建築事業では、品質最優先の取り組みおよびコスト競争力の強化に努め、PC(プレストレスト・コンクリート)技術を取り入れた企画・提案型の受注活動に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,102億79百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益87億47百万円(同60.8%増)、経常利益87億89百万円(同64.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益79億18百万円(同106.0%増)となりました。
なお、個別の業績は、 売 上 高 978億11百万円 営業利益 71億5百万円
経常利益 74億64百万円 当期純利益 72億49百万円 であります。
セグメント業績は、以下のとおりであります。
土木事業は、売上高は685億38百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益は141億18百万円(前年同期比53.8%増)となりました。前期繰越案件での設計変更が想定以上に獲得できたため売上高、利益ともに増加しました。新設事業から大規模更新・メンテナンスへの質的な工事内容の変化が進んでおり、その変化を見据えた体制構築に近年取り組んできた結果、当期の受注へと結びついたと判断しております。来期繰越案件において大規模更新・メンテナンスの割合が高まっており、これらの工事の生産性および利益率を向上させる施策の実行に取り組んでまいります。
建築事業は、売上高は406億18百万円(前年同期比16.7%減)、セグメント利益は32億98百万円(前年同期比24.4%減)となりました。当期は大幅に利益悪化した工事はありませんでしたが、前期からの繰越案件の減少により売上高、利益ともに減少しました。オリンピック・パラリンピック需要のピークは過ぎ、同業他社との競争はますます激しくなってきておりますが、当期に竣工したPC建築元請工事に代表される当社の強みを更に強化する事により、他社との差別化や事業領域の拡大を図り安定した収益を確保できるよう取り組んでまいります。
製造事業は、売上高は76億78百万円(前年同期比16.9%増)、セグメント利益は2億7百万円(前年同期は3百万円の利益)となりました。今後は安定した生産トン数の確保とコスト低減による価格競争力向上に取り組んでまいります。
その他兼業事業は、売上高は35億26百万円(前年同期比18.4%減)、セグメント利益は3億4百万円(前年同期比0.1%減)となりました。当期末に新しい賃貸用建物が完成し、来期以降に新しい収益源として稼働する予定です。
なお、セグメントの業績は、報告セグメントの売上高、セグメント利益を記載しております。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、901億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億99百万円の増加となりました。
流動資産は697億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億30百万円増加しております。主な要因といたしまして未成工事支出金が12億73百万円、未収入金が5億99百万円減少しましたが、現金預金が23億61百万円、受取手形・完成工事未収入金等が24億16百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は204億円となり、前連結会計年度末に比べ29億69百万円増加しております。主な要因といたしまして土地が3億38百万円、リース資産が1億93百万円減少しましたが、建物・構築物が17億5百万円、繰延税金資産が16億45百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債合計は547億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億25百万円減少しております。
流動負債の減少は主に、預り金が22億13百万円増加しましたが、短期借入金が26億12百万円減少したことによるものであります。
固定負債の増加は主に退職給付に係る負債が1億61百万円、資産除去債務が1億64百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は、主に親会社株主に帰属する当期純利益79億18百万円の計上により354億41百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益88億31百万円、預り金の増減22億13百万円等の増加要因、仕入債務の増減△13億66百万円、売上債権の増減△28億58百万円、有形固定資産の取得12億28百万円、借入金の純増減△28億29百万円等の減少要因等により、前連結会計年度末に比べ23億61百万円増加し、当連結会計年度末には148億2百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は71億70百万円(前連結会計年度は30億49百万円の使用)となりました。これは主に土木事業の工事採算が改善したため利益率が好転し、全体の事業収支も堅調に推移したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロ-)
投資活動の結果、使用した資金は10億30百万円(前年同期比92.2%増)となりました。これは主に賃貸用建物の建設及び工事用機械器具の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロ-)
財務活動の結果、使用した資金は37億74百万円(前連結会計年度は9億77百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の純減少及び配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 85,066 | 53.1% |
| 建築事業 | (百万円) | 46,188 | 2.3% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,551 | △5.3% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 644 | 1.4% |
| 合計 | (百万円) | 133,451 | 29.5% |
(2)売上実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土木事業 | (百万円) | 67,489 | 5.8% |
| 建築事業 | (百万円) | 40,592 | △16.8% |
| 製造事業 | (百万円) | 1,551 | △5.3% |
| その他兼業事業 | (百万円) | 644 | 1.7% |
| 合計 | (百万円) | 110,279 | △4.0% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
| 中日本高速道路株式会社 | 12,136百万円 | 10.6% |
当連結会計年度
| 中日本高速道路株式会社 | 15,947百万円 | 14.5% |
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
①受注高、売上高、繰越高及び施工高
| 期別 | 種類別 | 前 期繰越高 (百万円) | 当 期受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当 期売上高 (百万円) | 次期繰越高 | 当 期施工高 (百万円) | ||
| 手持高 (百万円) | うち施工高 (百万円) | ||||||||
| % | |||||||||
| 前事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 土木工事 | 62,348 | 43,251 | 105,599 | 52,219 | 53,380 | 8.1 | 4,324 | 53,159 |
| 建築工事 | 35,609 | 43,983 | 79,592 | 48,466 | 31,125 | 4.7 | 1,474 | 48,760 | |
| 工事計 | 97,958 | 87,234 | 185,192 | 100,685 | 84,506 | 6.9 | 5,798 | 101,919 | |
| 製品 | 2,313 | 2,608 | 4,922 | 2,278 | 2,643 | 8.2 | 217 | 2,181 | |
| 不動産事業 | 3 | 75 | 79 | 74 | 4 | - | - | 74 | |
| 兼業計 | 2,317 | 2,683 | 5,001 | 2,353 | 2,648 | 8.2 | 217 | 2,256 | |
| 合計 | 100,275 | 89,917 | 190,193 | 103,038 | 87,154 | 6.9 | 6,015 | 104,176 | |
| 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 53,380 | 73,244 | 126,625 | 55,895 | 70,729 | 4.2 | 2,990 | 54,561 |
| 建築工事 | 31,125 | 45,212 | 76,338 | 39,823 | 36,514 | 3.1 | 1,119 | 39,468 | |
| 工事計 | 84,506 | 118,456 | 202,963 | 95,719 | 107,244 | 3.8 | 4,109 | 94,029 | |
| 製品 | 2,643 | 3,610 | 6,254 | 2,014 | 4,240 | 46.3 | 1,963 | 3,760 | |
| 不動産事業 | 4 | 77 | 82 | 78 | 3 | - | - | 78 | |
| 兼業計 | 2,648 | 3,688 | 6,336 | 2,092 | 4,244 | 46.3 | 1,963 | 3,838 | |
| 合計 | 87,154 | 122,145 | 209,300 | 97,811 | 111,488 | 5.4 | 6,073 | 97,868 | |
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注高にその増減を含んでおります。
2.次期繰越高の施工高は手持高のうち工事及び製品の支出金より推定したものであります。
3.当期施工高は、(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
なお、不動産事業の当期施工高は当期売上高と一致しております。
②受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
| 前事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 土木工事 | 3.7 | 96.3 | 100.0 |
| 建築工事 | 35.3 | 64.7 | 100.0 | |
| 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 1.7 | 98.3 | 100.0 |
| 建築工事 | 42.1 | 57.9 | 100.0 |
③完成工事高
| 期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 前事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 土木工事 | 20,018 | 32,200 | 52,219 |
| 建築工事 | 3,294 | 45,171 | 48,466 | |
| 計 | 23,313 | 77,372 | 100,685 | |
| 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 19,026 | 36,869 | 55,895 |
| 建築工事 | 1,951 | 37,872 | 39,823 | |
| 計 | 20,977 | 74,741 | 95,719 |
(注)1.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 西日本高速道路株式会社 | 新名神高速道路 塩川橋他1橋工事 |
| 西日本高速道路株式会社 | 新名神高速道路 有野川橋(鋼・PC複合上部工)工事 |
| 学校法人国際医療福祉大学 | 国際医療福祉大学 医学部新築工事 |
| 株式会社丸の内よろず | プレジリア代々木大山町EAST・WEST アライブ代々木大山町 |
| 中国四国防衛局 | 岩国飛行場(H27)低層住宅(15工区)新設建築工事 |
当事業年度請負金額10億円以上の主なもの
| 中日本高速道路株式会社 | 新東名高速道路 下糟屋第一高架橋(PC上部工)工事 |
| 東日本高速道路株式会社 | 八戸自動車道 楢山橋床版補強工事 |
| 阪神高速道路株式会社 | PC桁等大規模修繕工事(27-2-池) |
| 株式会社五十嵐電機製作所 | 株式会社五十嵐電機製作所 新本社建設プロジェクト |
| 南関東防衛局 | 長浦(28)庁舎新設等建築その他工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
| 中日本高速道路株式会社 | 12,272百万円 | 11.9% |
当事業年度
| 中日本高速道路株式会社 | 15,808百万円 | 16.2% |
④手持工事高
| (2019年3月31日現在) |
| 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 合計(百万円) |
| 土木工事 | 28,231 | 42,498 | 70,729 |
| 建築工事 | 525 | 35,988 | 36,514 |
| 計 | 28,757 | 78,486 | 107,244 |
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
| 中日本高速道路株式会社 | 北陸自動車道(特定更新等)魚津~黒部間構造物更新工事(平成29年度) | 2021年12月完成予定 |
| ミャンマー連邦共和国建設省 | 東西経済回廊整備計画(パッケージ1 ジャイン・コーカレー橋建設事業) | 2021年6月完成予定 |
| 西日本高速道路株式会社 | 新名神高速道路 城陽第二高架橋西(PC上部工)工事 | 2021年9月完成予定 |
| 株式会社グランイーグル | (仮称)橋場2丁目施設計画 | 2020年9月完成予定 |
| 医療法人財団 聖十字会 西日本病院 | (仮称)医療法人財団 聖十字会 西日本病院増築工事 | 2020年2月完成予定 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積、仮定を使用する必要があります。当社グループの重要な会計方針のうち、見積および仮定の重要度が高いものは以下であります。
a.重要な収益および費用の計上基準
完成工事高および完成工事原価の計上基準は、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準による完成工事高計上においては工事原価総額の見積りにより収益および損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行います。実行予算作成時には、将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工種毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。工事着工後は作業所において実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っており、支店・関係本部においては作業所からの管理月報等による報告書による見直し後の工事原価総額について検討・分析を実施しております。また、完成工事高計上においては原価比例法を採用しており、実際の工事の進捗率と累計発生原価率との乖離が疑われる場合には、その要因を調査・検討することで計上額が妥当であることを検証しており、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に基づいて既契約総額を超える完成工事高は計上しておりません。このように気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等さまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b.工事損失引当金
当社および国内連結子会社は、手持工事等のうち損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込み額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、専門工事業者との条件等)から過去の経験を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、専門工事業者との外注契約の締結等による確実な原価低減が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
c.保有資産の減損
当社グループは、必要に応じて使用中の長期性資産および遊休資産の帳簿価額を毎期検証しております。この検証は、将来キャッシュ・フローの確実性が認められない資産について兆候を把握し、減損が生じていると判断した資産について回収可能価額を超える金額を減損損失として損失を計上しております。当該資産の回収可能価額は、正味売却価額を使用しており、不動産鑑定評価基準に基づく評価額から建物等の処分費用見込額を差し引いて算定しております。回収可能価額は合理的に行われていると判断しておりますが、評価の結果が変わり将来の業績に影響を与える場合があります。
d.退職給付引当金
退職給付費用および債務の計算は、割引率、退職者に対する給付額、利息費用、年金資産の期待収益率、死亡率、退職率等の要素が含まれております。これらの仮定と実際の結果が異なる場合、その影響は累積され、将来の会計期間に規則的に償却するため、今後の会計期間において費用化されます。使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により年金費用および債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度に比べ45億62百万円(4.0%減)減少し、1,102億79百万円となりました。
土木事業は、前期繰越工事は減少したものの当期完成工事の設計変更の獲得等により、前連結会計年度と比べ36億91百万円増加し、674億89百万円となりました。建築事業は、前期繰越工事が減少したことから前連結会計年度と比べ81億77百万円減少し、405億92百万円となりました。製造事業は、前連結会計年度と比べ86百万円減少し、15億51百万円となりました。その他兼業事業につきましては、前連結会計年度に比べ10百万円増加し、6億44百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ88億2百万円(8.7%減)減少し、922億20百万円となりました。売上原価の減少は、省力化、合理化により原価低減に努めたことおよび売上高の減少によるものであります。売上総利益率は、売上原価率の減少により前連結会計年度の12.0%から4.3ポイント上昇し16.4%となっております。
販売費及び一般管理費は徹底した経費節減を実行した一方、従業員の処遇改善、社員教育の充実等により、前連結会計年度に比べ9億33百万円(11.1%増)増加し、93億11百万円となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ持分法による投資利益が23百万円減少しましたが、保険金、移転補償金がそれぞれ1億10百万円、48百万円増加したことにより1億34百万円増加の2億79百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ減価償却費が38百万円増加しましたが、支払保証料、その他営業外費用がそれぞれ、19百万円、8百万円減少したことにより、0百万円減少の2億37百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益60百万円の計上により60百万円となりました。
特別損失は、ゴルフ会員権評価損3百万円、減損損失11百万円等の計上により18百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、主に売上総利益率の上昇に伴う売上総利益金額の増加等により、前連結会計年度に比べ40億74百万円(106.0%増)増加し、79億18百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因である建設業を取り巻く事業環境については、大阪万博開催等の明るい話題もありますが、東日本大震災の復興や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う建設需要はピーク期を過ぎ、また、建設投資の中身については、新設から維持・補修へと質的変化が想定よりも早く進んでいることから、大きな転換期を迎えることとなります。加えて、労働人口の減少・高齢化や働き方改革の推進、都市と地方との地域間格差の広がりなど、社会情勢の変化は更に加速するものと思われ、厳しい事業環境が予想されます。
当社グループでは、斯かる事業環境を鑑み、PC業界のトップランナーとして新たに10年後の目指す姿を見直し、その実現(課題解決)に向けて「中期経営計画2019(2019年度~2021年度)」を策定いたしました。当社グループ全体で事業環境の転換期における持続的な成長を実現し、魅力あふれる企業集団になることを目標と定め、本計画の達成のためにグループ一丸となって取り組み、企業価値の向上に努めてまいる所存です。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、従来から工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入れについて相対での借入枠を十分確保しており、かつ合計173億円を借入限度額とするコミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。なお、国内グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、海外事業で必要な資金については当社の判断によりグループ会社に直接投資を行っている他、グループ会社の金融機関からの借入れについて当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資についてはICT関連投資、老朽化した工場設備への計画的な更新、機械化施工に向けた設備投資、人財確保を見据えた福利厚生設備の更新等を進める方針でありますが、これら投資資金については自己資金及びに金融機関からの借入れにより調達する予定であり、不要な有利子負債の圧縮のため、投資計画の妥当性を考慮して資金の使用時期と金額を判断しております。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画において収益力・資本効率向上について指標を定めております。
(1) 注力事業(大規模更新事業、メンテナンス、PC建築)への投資を実施しつつ、生産性の向上等により主軸事業(PC新設橋梁、一般建築)の収益を安定させ、連結営業利益率3.4%以上を実現する。
(2) 健全な経営基盤を維持するために財務体質の強化と資本効率の向上を図り、ROE(自己資本当期純利益率)9.8%以上、ROA(総資産経常利益率)4.7%以上、D/Eレシオ(有利子負債÷株主資本)0.42倍以下を目指す。
経営上の目標の達成状況は下表に記載した計画対比のとおりです。
| 2018年度 数値目標 | 2018年度 実績 | 対比 | |
| 受注高 (百万円) | 114,000 | 133,451 | +19,451 |
| 売上高 (百万円) | 113,000 | 110,279 | ▲2,720 |
| 営業利益 (百万円) | 3,800 | 8,747 | +4,947 |
| 営業利益率 (%) | 3.4 | 7.9 | +4.5 |
| ROE (%) | 9.8 | 24.8 | +15.0 |
| ROA (%) | 4.7 | 10.1 | +5.4 |
| D/Eレシオ (倍) | 0.42 | 0.31 | ▲0.11 |
| 配当性向 (%) | 3ヶ年平均 で23%以上 | 3ヶ年平均 20.7 (税効果調整前) 3ヶ年平均 22.4 | ▲2.3 (税効果調整前) ▲0.6 |
受注高、営業利益・営業利益率・経常利益・経常利益率・ROE・ROA・D/Eレシオについて、中期経営計画の数値目標を大幅に上振れする結果となりました。主な要因は土木事業の好業績にあると判断しております。D/Eレシオの好転の主な要因は、当期賃貸用建物の自家建設を実施し投資活動に伴うキャッシュアウトがありましたが、大型工事の入金が順調に進捗したこと、土木事業において工事採算が大幅に好転したことから、短期借入金を返済することができた結果であります。配当性向については、3ヶ年平均で23%以上から未達となりました。これは当社が当期末に多額の繰延税金資産を計上したことがその主な要因と認識しております。売上高および配当性向を除き目標とする指標について概ね達成できた3ヶ年であったと評価しております。各部門についての分析・検討は以下のとおりです。
土木事業については、高速道路の大規模更新需要等、主力分野の変動に対応できる事業体制を整えることを中期経営計画2016で方針として掲げておりました。大規模更新・メンテナンスへ工事の内容は変化してきており、変化を見据えた体制構築に近年取り組んできた結果、当期の受注へと結びつき、2016年度から2018年度のPC市場のシェアはトップクラスを維持しました。また大型工事については、設計変更を確実に獲得できる体制整備にも注力した結果が中期経営計画2016の最終年度において売上高・利益面で現れたと判断しております。今後は大規模更新・メンテナンスの生産性と利益率を向上させる施策を実行し、それら工事を新設工事と並ぶ主力事業として発展・成長させるよう取り組んでまいります。
建築事業については、勝ち残りのための競争力を強化することを中期経営計画2016で方針として掲げておりました。計画初期ではPC元請事業の大型案件受注が獲得でき収益に貢献しました。計画期間中に、PR動画などの営業ツール、設計力・提案力強化のためにBIM導入など競争力強化のための体制を整備してまいりましたが、計画最終年度ではPC元請事業の受注が伸び悩みました。それらの反省を踏まえ2019年4月より事業体制の整備を行い当社の強みであるPC建築(主たる構造がプレストレストコンクリート構造である建築物またはプレキャスト部材を用いた建築)の拡大とエリア展開を進め、受注の強化と収益力向上を目指します。
セグメントごとの経営成績および財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は(1)経営成績等の状況の概要、①財政状態および経営成績の状況に記載のとおりであります。