有価証券報告書-第74期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 15:37
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157項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は決算日における資産・負債の数値並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを過去の実績等を勘案し合理的に行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在するためこれら見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度の前半まで緩やかな成長基調が続いたものの、年度の後半より中国・欧州経済の減速や、これまで成長の牽引役であった米国経済の下振れリスクなどから先行きの不透明感が強まり、2019年3月の月例経済報告で政府の景気基調判断が3年ぶりに下方修正されるなど、年度末にかけて成長鈍化の動きが見られました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましても、年度の前半までは主要市場である日本・中国・台湾の電子産業分野で活発な設備投資が続いたことに加え、国内の一般産業分野においても、能力増強や省力化に向けた設備投資が堅調に推移するなど好調な状況が続きました。しかしながら、年度の後半から中国・欧州経済の減速や半導体メモリー市況の悪化、米中貿易摩擦に伴う通商政策の影響などから、企業の設備投資や生産の動きに陰りが見られ、特に電子産業分野では大型設備投資に様子見の動きが広がるなど、先行きに対する不透明感が強くなっております。
このような状況の下、当社グループは既存事業におけるコスト競争力・生産性向上への取組みと、差別化製品・技術の創出に向けた研究開発への資源投入拡大をドライビングフォースとして、新商品の開発と海外への販路転換による「機能商品事業の強化」、コスト構造の改革とソリューションビジネスの強化、中国市場でのシェア拡大を狙った「電子産業分野の拡大」、水処理技術で培った高度な分離・精製プロセスを二次電池、電子材料・ガス・バイオ医薬などの分野に展開する「新規事業の開拓」を注力分野として取組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における業績は受注高103,838百万円(前連結会計年度比17.9%増)、売上高92,273百万円(同16.5%増)、営業利益6,558百万円(同71.6%増)、経常利益6,538百万円(同66.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,452百万円(同60.2%増)となりました。また、ROE(自己資本利益率)は8.4%(前連結会計年度は5.5%)、売上高営業利益率は7.1%(同4.8%)となっております。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
[水処理エンジニアリング事業]
当事業におきましては、電力・上下水分野は前期をやや下回る水準で推移したものの、電子産業分野において年度前半まで半導体関連の活発な大型設備投資が見られた日本・中国・台湾のプラント部門の受注・売上が大幅に増加したことに加え、顧客工場の設備稼働率も高い水準を維持したことからメンテナンス・消耗品交換等のソリューションサービス部門も好調に推移いたしました。また、一般産業分野においても国内を中心に堅調な設備投資・生産活動が続き、プラント・ソリューションサービス部門とも受注・売上が拡大いたしました。
この結果、受注高85,943百万円(前連結会計年度比21.2%増)、売上高74,653百万円(同20.1%増)となりました。利益面につきましては、売上拡大による増収効果に加え、受注環境の改善や国内外の大型プロジェクトにおける各種の原価低減策などの効果によってプラント部門の採算性が改善した結果、営業利益5,316百万円(同121.2%増)となりました。
[機能商品事業]
当事業におきましては、標準型水処理機器部門における新商品の投入や、水処理薬品部門における電子産業向け各種水処理薬剤の売上拡大など国内での伸長に加え、中国・台湾・東南アジアなど海外における標準型水処理機器・水処理薬品の営業活動の強化によって受注・売上ともに増加し、受注高17,894百万円(前連結会計年度比4.3%増)、売上高17,620百万円(同3.3%増)となりました。
一方利益面につきましては、売上高が増加したものの、新商品・新技術への開発投資の拡大や、生産体制・営業体制の強化に伴う経費などの増加によって営業利益1,242百万円(同12.4%減)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
水処理エンジニアリング事業69,225+21.7
機能商品事業7,431+6.4
合計76,656+20.0

(注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
水処理エンジニアリング事業85,943+21.258,544+22.4
機能商品事業17,894+4.3816+50.6
合計103,838+17.959,360+22.7

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
水処理エンジニアリング事業74,653+20.1
機能商品事業17,620+3.3
合計92,273+16.5

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(4) キャッシュ・フロー
当社グループのキャッシュ・フローは、水処理エンジニアリング事業の大型案件における工事代金の回収時期等によって大きく増減することがあります。また、必要に応じて金融機関からの借入や有形・無形固定資産等への投資を行っており、それらによってもキャッシュ・フローが大きく増減する場合があります。
当連結会計年度は、前連結会計年度を上回る税金等調整前当期純利益6,392百万円(前連結会計年度は3,928百万円)を計上したことに加え、水処理エンジニアリング事業の大型案件における工事代金の回収が進んだことなどにより、営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度から5,021百万円増加し5,646百万円となりました。一方で財務活動においては有利子負債の削減が進み、当連結会計年度における資金は、前連結会計年度末に比べ2,623百万円増加し、11,276百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、5,646百万円となりました。これは主に、売上債権の増加4,168百万円による資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益6,392百万円、仕入債務の増加2,972百万円による資金の増加があったことによるものであります。(前連結会計年度は624百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって支出された資金は、153百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入428百万円による資金の増加に対して、有形固定資産の取得による支出473百万円、無形固定資産の取得による支出145百万円による資金の減少があったことによるものであります。(前連結会計年度は1,313百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって支出された資金は、2,759百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,200百万円、配当金の支払額656百万円による資金の減少があったことによるものであります。(前連結会計年度は2,121百万円の支出)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品・製品等の購入・製造費用や研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、主に有形・無形固定資産等への投資であります。
当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期の運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
(5) 財政状態
当社グループの財政状態は、水処理エンジニアリング事業の受注実績や経営成績の変動によって増減し、特に大型案件に関連する資産及び負債の残高が財政状態に重要な影響を与えております。
当連結会計年度末における総資産の残高は主に、リース投資資産が償却等によって減少したのに対し、現金及び預金の他、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金が増加したことなどから前連結会計年度に比べ5,221百万円増加し、101,257百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ5,747百万円増加し、76,037百万円となりました。これは主に、リース投資資産1,666百万円の減少に対し、現金及び預金2,623百万円、受取手形及び売掛金3,796百万円の増加によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ525百万円減少し、25,220百万円となりました。これは主に、有形固定資産580百万円の減少によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ2,974百万円増加し、39,930百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金2,822百万円の増加によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ867百万円減少し、6,531百万円となりました。これは主に、長期借入金1,200百万円の減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ3,114百万円増加し、54,795百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金3,796百万円の増加によるものであります。
なお、セグメント別の資産の状況は次のとおりであります。
水処理エンジニアリング事業の資産は、売上債権の他、リース投資資産や仕掛品などを中心として構成されております。
機能商品事業の資産は、売上債権の他、商品、製品及び原材料などを中心として構成されております。
(6) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な企業価値の向上が当社グループに課せられた重要なミッションであると考えており、連結ROE(自己資本利益率)を重要な指標として位置付けております。ROEの向上に向けては収益性を向上させる必要があると分析しており、ROEと同様に連結売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。
具体的には、2021年度の売上高1,000億円以上、営業利益70億円以上、営業利益率7.0%以上とし、継続的・安定的にROE8.0%以上を計上できる収益構造の構築を目指しております。
当連結会計年度におけるROEは8.4%(前連結会計年度は5.5%)、売上高営業利益率は7.1%(同4.8%)でありました。