有価証券報告書-第61期(令和1年9月1日-令和2年8月31日)

【提出】
2020/11/26 13:32
【資料】
PDFをみる
【項目】
150項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ 523百万円減少し、39,289百万円となりました。これは主に投資有価証券が減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ 1,763百万円減少し、2,723百万円となりました。これは主に未払法人税等が減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ 1,239百万円増加し、36,566百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
利益剰余金は、配当金2,066百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益3,329百万円及び連結子会社の決算期変更に伴う増加378百万円により、37,624百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における世界経済は、年初は緩やかな回復傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)の世界的大流行に伴う経済活動の抑制により、景況感が急速に減速したことで、極めて厳しい状況に
なりました。また、日本経済におきましても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により景気が足元で
大幅に下押しされ、困難な状況に直面しておりますが、緊急事態宣言の解除に伴った個人消費が下支えとなり緩や
かな景気回復が期待されております。
このような環境下、当社グループにおきましては、引き続き需要の拡大が見込まれる新興国市場において、各国
におけるユーザーニーズの把握及び販売網の整備に努めておりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
の影響によりマーケティング活動が制限されたこと並びに世界的に外科手術・医療処置が減少していること等から
サージカル、アイレス針、デンタルの全てのセグメントにおいて売上が減少しました。
生産面においては、2019年10月3日に発生したMANI HANOI CO.,LTD.フーエン第1工場のクリーンルーム火災に
対して代替生産を行う等の早期復旧に努めた結果、当工程におけるステイプラーの生産能力を火災前のレベルまで
回復させることが出来ました。一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、主力工場であるMANI
HANOI CO.,LTD.での生産活動には大きな支障はきたしていないものの、一時的な受注減少の影響を受けて、下半期
以降、主にアイレス針において生産調整を実施しました。
開発面においては、サージカル、アイレス針、デンタルの各セグメントの開発部門を集約し、セグメントの枠を
越えた技術交流・設備の共有化を図ることで「世界一の品質」を実現・維持するための新製品開発ならびに改良研
究体制を強化しました。また、新製品開発体制において、各セグメントで培った「コア技術」を開発企画部門が徹
底管理することで開発者同士の技術交流を促進するとともに、将来利益の確保が見込める開発テーマを厳選し、リ
ソースを集中的かつ効果的に充てられるような体制の整備に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は 15,200百万円(前年同期比 17.1%減)、営業利益は売上高が減少し
たこと等により 4,340百万円(同 26.0%減)、経常利益は為替差損が前年同期より減少したことにより 4,424百
万円(同 22.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益はコーポレートガバナンス・コードの政策保有株式縮減
の趣旨に沿った株式売却による投資有価証券売却益が減少したことにより 3,329百万円(同 45.4%減)となりま
した。
セグメント別の業績概況は、次のとおりであります。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
(サージカル関連製品)
国内で品質評価の高い眼科ナイフが堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な
拡大により不要不急の手術が制限されたことに伴い、特に欧州地域での売上が低調に推移したことから、売上高は
4,916百万円(前年同期比 9.7%減)となりました。また、売上高が減少したこと等により、セグメント利益(営
業利益)は 1,341百万円(同 25.6%減)となりました。
(アイレス針関連製品)
前連結会計年度から続く欧州の大口顧客における在庫調整の影響に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-
19)の影響により病院での手術が一時的に制限されたことに伴い、特に中国での売上が低調に推移したことから、
売上高は 4,374百万円(前年同期比 24.0%減)となりました。また、売上高が減少したこと等から、セグメント
利益(営業利益)は1,604百万円(同 29.3%減)となりました。
(デンタル関連製品)
歯科用実体顕微鏡等の販売終了による売上の減少並びに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により主
にアジア、欧州地域の歯科クリニックが一定期間閉鎖されたことに伴い、リーマ・ファイル、歯科修復材の売上が
低調に推移したことにより、売上高は 5,909百万円(前年同期比 17.1%減)となりました。また、売上高が減少
したこと等から、セグメント利益(営業利益)は 1,394百万円(同 22.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度
金額(千円)
当連結会計年度
金額(千円)
増減金額
(千円)
営業活動によるキャッシュ・フロー5,305,3751,941,506△3,363,868
投資活動によるキャッシュ・フロー810,240△38,326△848,566
財務活動によるキャッシュ・フロー△1,773,807△2,133,261△359,454
連結子会社の決算期変更に伴う現金
及び現金同等物の増減額
-937,409937,409
現金及び現金同等物期末残高16,119,01816,973,624854,605

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ 854百万円増加(前期末比 5.3%増)し、16,973百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,941百万円(前年同期比 63.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が減少したことに加え、法人税等の支払額が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、38百万円(前年同期は 810百万円の収入)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入が減少したことに加え、有形固定資産の取得による支出が増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,133百万円(前年同期比 20.3%増)となりました。これは主に、配当金の支払額が増加したこと等によるものであります。
なお、当連結会計年度の固有の事象として、連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増加が937百万円ありました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
前年同期比(%)
サージカル関連製品(千円)4,678,59898.8
アイレス針関連製品(千円)5,654,43678.8
デンタル関連製品(千円)5,956,87491.4
合計(千円)16,289,90988.4

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
前年同期比(%)
サージカル関連製品(千円)4,916,17290.3
アイレス針関連製品(千円)4,374,48876.0
デンタル関連製品(千円)5,909,51582.9
合計(千円)15,200,17682.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年9月1日
至 2019年8月31日)
当連結会計年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
国科恒遠(北京)医療科技有限公司2,095,66911.42,016,19613.3


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という。)比3,127百万円減少の15,200百万円(前期比 17.1%減)となりました。サージカル関連製品の売上高は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大により不要不急の手術が制限されたことに伴い、特に欧州地域での売上が低調に推移したことから、4,916百万円(同 9.7%減)となりました。アイレス針関連製品の売上高は、欧州の大口顧客における在庫調整の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により病院での手術が一時的に制限されたことに伴い、特に中国での売上が低調に推移したことから、4,374百万円(同 24.0%減)となりました。デンタル関連製品の売上高は、歯科用実体顕微鏡等の販売終了による売上の減少並びに新型コロナウイルス感染症の影響により主にアジア、欧州地域の歯科クリニックが一定期間閉鎖されたことに伴い、リーマ・ファイル、歯科修復材の売上が低調に推移したことにより、5,909百万円(同 17.1%減)となりました。
損益面においては、歯科用実体顕微鏡等の販売終了に伴う製品構成変更等により売上原価率が改善し、売上原価率は前期比1.6ポイント改善の35.0%、売上総利益は前期比1,750百万円減少の9,876百万円(同15.1%減)となりました。
営業利益は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に伴い売上高が減少したこと等により前期比1,524百万円減少の4,340百万円(同 26.0%減)となり、売上高営業利益率は28.6%(同 3.4ポイント低下)となりました。
経常利益は、為替差損が前期より減少したことにより、前期比1,264百万円減少の4,424百万円(同22.2%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は、前期多額を計上した政策保有株式縮減の趣旨に沿った株式売却による投資有価証券売却益が減少したことにより、前期比3,567百万円減少の4,831百万円(同42.5%減少)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比2,772百万円減少の3,329百万円(同45.4%減少)となり、自己資本当期純利益率は9.3%(同 8.4ポイント低下)となりました。
なお、セグメント別の分析は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に、また、今後の事業環境の見通しと当社グループの課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金は自己資金により賄っておりますが、資金調達の機動性及び安定性の確保を図るため、取引金融機関3社と総額50億円のコミットメントライン契約を締結しております。
(参考)キャッシュ・フロー指標のトレンド
2016年
8月期
2017年
8月期
2018年
8月期
2019年
8月期
2020年
8月期
自己資本比率(%)89.589.089.088.793.1
時価ベースの自己資本比率(%)228.8244.1422.7613.8673.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.00.00.00.00.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)24,179.832,472.437,758.135,968.6919.4

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルス感染症に関しては、不確実性が高く、収束の時期等を予測することは困難なことから、当連結会計年度末現在で入手可能な情報を踏まえ、今後、2021年8月期末には概ね収束すると仮定して、会計上の見積りを行っております。
しかし、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。