有価証券報告書-第78期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 11:45
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業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度のわが国経済は、政府の各種政策効果および世界経済の好調さを背景に、伸び率は緩やかながらも企業部門がけん引し、景気回復が続いております。
雇用・所得環境の改善による内需の前向きな循環もあり、今後も緩やかな成長が見込まれます。
リスク要因として金融市場のリスク回避姿勢、米国の保護主義政策の強まり、地政学リスクもあり、引き続きこれらを注視し慎重に判断を行うことが肝要となっております。
当不動産業界におきましては、ビル賃貸市場は、都心部において空室率は昨年比改善されましたが、かかるビル需給環境の変化に対する賃料上昇については小幅な上昇で推移しており、水準改定には時間を要する状況にあります。
マンション分譲市場につきましては、首都圏における新規供給戸数が昨年度より僅かではありますが増加しており、平均価格は依然高止まりが続いている状況にあります。また、販売面では都内23区を中心とした都心部における徒歩圏内の物件でも販売に時間を要する状況が出始めており、郊外部の物件につきましてはさらに厳しい状況にあるといえます。
このような事業環境の下、当社グループは、東京・埼玉を主要な営業地盤として、ビル賃貸事業、月極および時間貸駐車場事業、マンション分譲等の住宅事業、不動産の仲介を中心とした不動産営業事業、有料老人ホーム事業を展開しております。
ビル賃貸事業、駐車場事業および住宅事業につきましては、事業基盤の拡大のため慎重ながらも積極的な姿勢をもって事業用資産の取得を行っております。
この結果、当連結会計年度の営業収益は28,858百万円(前連結会計年度27,324百万円、前連結会計年度比5.6%増)、経常利益は3,938百万円(前連結会計年度3,282百万円、前連結会計年度比20.0%増)を計上いたしました。また、固定資産除却損等の特別損失656百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,275百万円(前連結会計年度2,203百万円、前連結会計年度比3.2%増)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
① ビル賃貸事業
ビル賃貸事業につきましては、物件の取得等に伴い賃貸料等の増加が見られたものの、当連結会計年度は、前連結会計年度に計上された証券化による不動産売却高が減少したため、営業収益は9,931百万円(前連結会計年度比3,032百万円減)となり、営業利益は4,024百万円(前連結会計年度比115百万円増)となりました。
② 駐車場事業
駐車場事業につきましては、積極的な大型駐車場開設による収容台数の増加や時間貸駐車場稼働管理システムの活用等による稼働率向上を図った結果、営業収益は2,923百万円(前連結会計年度比120百万円増)となり、営業利益は653百万円(前連結会計年度比46百万円増)となりました。
③ 住宅事業
住宅事業につきましては、首都圏を中心に竣工引渡し物件が増加した結果、営業収益は13,426百万円(前連結会計年度比4,811百万円増)となり、営業利益は1,070百万円(前連結会計年度比450百万円増)となりました。
④ 不動産営業事業
不動産営業事業につきましては、開発型案件の積極的な提案ならびに新たな情報ルートの開拓および既存情報ルートの活用強化などの営業推進を図りましたが、当連結会計年度は、前連結会計年度に計上された販売用不動産の売却高が減少したため、営業収益は1,477百万円(前連結会計年度比336百万円減)となり、営業利益は687百万円(前連結会計年度比15百万円減)となりました。
⑤ 有料老人ホーム事業
有料老人ホーム事業につきましては、高齢化が進む中、多様化するお客様のニーズをより重視した受入れ体制を整備し、質の高いサービス向上に努めた結果、営業収益は969百万円(前連結会計年度比97百万円増)となり、営業利益は△65百万円(前連結会計年度は△113百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
平成29年3月期平成30年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー百万円
6,364
百万円
8,432
投資活動によるキャッシュ・フロー△206△8,218
財務活動によるキャッシュ・フロー1,579△9,121
現金および現金同等物の期末残高17,6538,745

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による収入が8,432百万円、有形固定資産の取得等の投資活動による支出が8,218百万円、借入金の返済等の財務活動による支出が9,121百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ8,907百万円減少し、8,745百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は8,432百万円(前連結会計年度は6,364百万円増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益3,282百万円に加え、減価償却費1,646百万円、たな卸資産の減少4,302百万円等の資金増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は8,218百万円(前連結会計年度は206百万円減少)となりました。これは有形及び無形固定資産取得による支出7,321百万円、投資有価証券の取得による支出2,429百万円等の資金減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は9,121百万円(前連結会計年度は1,579百万円増加)となりました。これは借入による収入10,000百万円、社債およびコマーシャル・ペーパーの発行による収入8,300百万円等があったものの、借入金の返済による支出19,656百万円、社債およびコマーシャル・ペーパーの償還による支出7,700百万円等があったことによるものであります。
生産、受注および販売の実績
(1) 生産および受注の実績
当社グループの事業内容は不動産関連事業のため、生産については該当事項はありません。
また、受注については当社グループの営業収益に対して重要な影響を及ぼしていないため、記載を省略しております。
(2) 販売実績
当連結会計年度における営業収益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度前年同期比(%)
ビル賃貸(百万円)9,931△23.4
駐車場(百万円)2,9234.3
住宅(百万円)13,42655.9
不動産営業(百万円)1,477△18.6
有料老人ホーム(百万円)96911.2
報告セグメント計(百万円)28,7286.1
その他(百万円)183△36.6
合計(百万円)28,9115.7

(注)1.金額は、セグメント間取引高相殺消去前の数値によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は133,508百万円となり、前連結会計年度末と比べ6,221百万円の減少となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ13,799百万円減少し30,677百万円となりました。これは「現金及び預金」および住宅事業における「販売用不動産」が13,199百万円減少したことが主な要因となっております。また、固定資産は、前連結会計年度末と比べ7,578百万円増加し102,830百万円となりました。これは主にビル賃貸事業における有形固定資産が5,660百万円増加したことと投資その他の資産が1,924百万円増加したことが主な要因となっております。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、短期借入金および長期借入金の減少等により前連結会計年度末と比べ9,030百万円減少し98,295百万円となりました。
当社グループの総資産における有利子負債残高の割合等は以下のとおりであります。
平成29年3月期平成30年3月期
総資産額(百万円)139,729133,508
有利子負債額(百万円)89,92081,122
有利子負債÷総資産額(%)64.460.8

(注)有利子負債は連結貸借対照表に計上された負債のうち、利息を支払っているすべての負債の合計額を記載しております。
有利子負債のうち長期借入金(1年以内返済含む)が70,186百万円、社債(1年以内償還予定含む)が6,400百万円となっており、返済・償還期限が長期に設定されている資金が有利子負債の94.4%を占めております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は35,213百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,809百万円増加いたしました。これは利益剰余金1,204百万円およびその他有価証券評価差額金が741百万円増加したこと等によるものです。
この結果、当連結会計年度における自己資本比率は26.4%(前連結会計年度は23.2%)、ネットDEレシオ((有利子負債-現金および預金)÷純資産額)は2.03倍(同2.20倍)となりました。今後とも将来を見据えた投資を行いながら財務の健全化に取り組んでまいります。
(3) 経営成績の状況
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は28,858百万円となり、前連結会計年度に比べ1,534百万円の増収となりました。これはビル賃貸事業において前連結会計年度に計上された証券化による不動産売却高が減少したことで営業収益の減少が3,032百万円あったものの、住宅事業において首都圏を中心に竣工引渡し物件が増加したことで営業収益の増加が4,811百万円あったこと等が主な要因となっております。
(営業利益・経常利益)
当連結会計年度の営業利益は4,724百万円となり、前連結会計年度に比べ494百万円の増益となりました。これは、ビル賃貸事業の営業利益が115百万円、住宅事業の営業利益が450百万円増加したことをはじめ各事業がバランス良く増益となったことによるものです。
当連結会計年度の経常利益は3,938百万円となり、前連結会計年度と比べ656百万円の増益となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損失は656百万円となりました。これは既存ビルの建替えに係る固定資産除却損等によるものであります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,275百万円と前連結会計年度に比べ72百万円の増加となり、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度に比べ5.68円増加し181.73円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「業績等の概要」に記載のとおりです。
(5) 資本の財源および資金の流動性について
当社グループでは、税金等調整前当期純利益および減価償却費等からなる営業キャッシュ・フロー(自己資金)と長期借入金および社債等によるファイナンス(借入金)を原資とし、事業の運営および将来の事業投資として新規ビルの取得、既存ビルの建替えを含む開発、マンション用地の仕入・マンションの建築、エクイティ投資等を行っております。
当連結会計年度におきましては、ビル賃貸事業で7,131百万円、駐車場事業で187百万円、有料老人ホーム事業で13百万円の設備投資、またエクイティ出資を含む投資有価証券の取得2,429百万円等を行いました。
さらに、今後の主要な投資としては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、再開発事業および新規ビル取得を予定しております。
当社グループでは、資金需要に対し短期資金・長期資金のバランスを考慮しながら事業運営上必要な流動性と資金の源泉を確保し安定的な財務運営に努めてまいります。