訂正有価証券報告書-第43期(2023/03/01-2024/02/29)

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2025/05/21 13:14
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166項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
①連結経営成績の状況
当社は、金融サービスの提供を通じた持続的な成長を実現するため、当社グループの存在意義を再定義した「Our Purpose」を策定いたしました。本パーパスのもとで、全ての役員・従業員がお客さまの豊かな生活のために自立的に考え、自律的に行動することで、小売業発の金融グループの強みである「生活者視点」に立ち、全てのお客さまのライフステージや生活環境の変化に対応した金融サービスの提供を目指しています。
Our Purpose
金融をもっと近くに。
一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。

当連結会計年度における経営環境は、世界的な政情不安の継続や中国経済の成長鈍化、日本を除く各国の金融引き締め政策と金利の高止まりに伴う景気の下振れリスク等、先行きへの不透明感が継続しました。また国内では、コロナ禍において長く停滞していた社会経済活動の正常化が進み、雇用や所得環境の改善が見られる反面、円安等に起因する物価上昇により、個人消費では、日常消費への節約志向と高付加価値商品・サービスへの積極的な支出といった消費の二極化が顕在化しました。
このような状況のもと当社は、事業環境の変化を踏まえた、パーパスを軸とした最適な事業ポートフォリオへの見直しを推進しました。
2023年6月1日には、グループ横断での経営資源の戦略的配分や、さらなる意思決定の迅速化を図るため、連結子会社であったイオンクレジットサービス株式会社を吸収合併し、新たな経営体制を発足しました。
国内では、決済を中心とした金融インフラの強化に向け、2023年6月1日に地域通貨や地域ポイント等の自治体向けソリューションを提供するフェリカポケットマーケティング株式会社を、2024年2月1日に保険代理店事業等を営む株式会社協栄エイアンドアイを連結子会社化し、イオングループにある金融関連事業の集約と効率化を図りました。
また、2024年1月11日に個品割賦事業を営むイオンプロダクトファイナンス株式会社の発行済株式の全部を株式会社オリエントコーポレーションに譲渡することを決定し、2024年3月25日に本株式譲渡を完了しております。
海外では、2023年10月20日にベトナムで個人向けローンを提供するPost and Telecommunication Finance Company Limitedを完全子会社とすることを決定しました。また、マレーシアでは新たな銀行の業態であるデジタルバンク事業を営むAEON BANK(M) BERHADの2024年度開業に向けた準備を進める等、アジア各国で金融包摂の考えのもとお客さまの資金ニーズへの対応や金融サービスへのアクセシビリティの向上に資する取り組みを推進しました。
さらに、国内ではイオン生活圏を金融サービスでつなぎ、お客さまニーズに即した商品・サービスをシームレスに提供するため、総合金融窓口としてスマホアプリ「イオンウォレット」のリニューアルや、コード決済「AEON Pay」の機能拡充及び利用可能場所の増加に取り組み、海外ではアジア各国のデジタル成熟度にあわせたソリューションの提供を推進し、利便性の向上を図りました。加えて、DX人材の育成に向けた従業員教育を推進しました。これらの取り組みにより当社は、2024年3月1日、経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」として認定されました。
当連結会計年度の連結業績は、企業価値向上に向けた事業構造改革の推進と国内外のリアル接点とデジタル接点を融合したタッチポイントの拡充に取り組むとともに、カードショッピングをはじめとする決済取扱高及び営業債権残高の増加により、連結営業収益は4,856億8百万円(前期比107.5%)となりました。他方、与信精緻化や債権回収体制の強化に継続して取り組み、経費コントロールの向上に努めたものの、海外での景気の減速やインフレ、各国政府のコロナ禍における消費者支援策の縮小等に起因する貸倒関連費用の増加や、国内の顧客基盤の拡大及び利用促進にかかる施策を積極的に実施したことによる販売促進費の増加等の結果、連結営業利益は500億88百万円(前期比85.1%)、連結経常利益は511億74百万円(前期比83.1%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、第2四半期に連結子会社との経営統合費用を特別損失に計上したこともあり208億96百万円(前期比68.1%)となりました。

②セグメントの状況
<国内・リテール>国内・リテール事業の営業収益は1,729億20百万円(前期比103.0%)、営業利益は46億99百万円(前期比121.4%)となりました。
リテール事業では、株式会社イオン銀行(以下、イオン銀行)が、住宅ローン取扱高の拡大に向け、住宅ローン契約者さま限定の特典としてイオングループでのお買い物が毎日5%割引となる「イオンセレクトクラブ」の特典を拡充しました。加えて、店舗及びWeb上で、契約者さまのイオングループでのご利用状況に応じたお買い物割引額の確認が可能となるシミュレーション機能の追加や、テレビCMや店頭での特典の告知強化に継続して取り組んだことによりお申込み件数が大幅に増加し、契約率の向上に繋がりました。これらの結果、住宅ローンの取扱高は5,586億2百万円(前期比114.4%)、債権流動化前の居住用住宅ローンの貸出金残高は2兆8,143億25百万円(期首差1,534億7百万円増)となりました。
資産形成サービスでは、2024年1月1日に、イオン銀行とマネックス証券株式会社との金融商品仲介業務における包括的業務提携に基づき、同業務に関するサービス提供を開始いたしました。これにより、お客さまの資産運用ニーズの高まりに対応した投資信託の取扱銘柄数の拡充を図るとともに、運用相談等の顧客サービスの充実に取り組みました。また、資産運用ビジネスにかかるシステム管理及びバックオフィス業務を委託したことにより、運営費用の削減を図っております。
これらの取組に加え、新規口座開設キャンペーンやクラウドファンディングへの参画等の推進により、当連結会計期間におけるイオン銀行の預金口座数は858万口座(期首差30万口座増)、預金残高は4兆5,393億72百万円(期首差1,396億56百万円増)と堅調に推移しました。
ショッピングリボ・分割払いにおいては、分割払いニーズの高い家電量販店等との共同販促企画や初回利用キャンペーンの実施等、積極的な利用促進に努めました。また、Web及びスマホアプリ上でリボ・分割払いでの支払額の確認が可能となるシミュレーション機能の搭載やリボ変更のルート追加、スマホアプリの視認性向上等に取り組みました。
カードキャッシングにおいては、資金ニーズに対応したキャンペーン等を継続して実施しました。また、Web及びスマホアプリ上で返済方法をリボ払いへ変更可能な機能の追加等の利便性向上に加え、お客さまの職業や年収等、最新の属性情報に基づく適切な与信枠の設定と利用促進に向け、アウトバウンドコールの強化に取り組んだ結果、取扱高が拡大しました。
これらの結果、ショッピングリボ・分割債権残高は3,107億70百万円(期首差454億8百万円増)、キャッシング債権残高は4,123億22百万円(期首差170億12百万円増)と、営業債権残高が順調に増加しました。
保険関連事業では、イオン・アリアンツ生命保険株式会社において、当社グループ各社の取り扱う住宅ローン、ワンルームマンションローン及びリフォームローン向けに提供する団体信用生命保険を継続して推進しました。また、当社グループにおける重複機能の集約による効率化と保険代理店事業の強化を目的に、2024年2月1日に連結子会社化した株式会社協栄エイアンドアイの保険代理店事業を、イオン保険サービス株式会社へ吸収分割により承継することを決定しました。
<国内・ソリューション>国内・ソリューション事業の営業収益は1,907億10百万円(前期比105.8%)、営業利益は83億62百万円(前期比62.9%)となりました。
なお、2023年6月1日付で当社連結子会社であったイオンクレジットサービス株式会社を吸収合併したことに伴い、当連結会計年度より、従来事業セグメントに帰属しなかった当社業績をソリューション事業に含める管理区分の見直しを行っているため、前期比は見直し後の区分に基づき作成したものと比較しております。
ソリューション事業では、店頭及びWebでのカード新規入会の促進に加え、新規提携カードの発行や特典の拡充等、イオングループをはじめとした提携先企業との連携強化に取り組みました。また、コード決済「AEON Pay」において、従来のクレジットカード払いに加え、新たに銀行口座を紐づけてお支払いが可能となる「チャージ払い」及びWAON POINTをワンストップでお支払いに使用できる「ポイント充当」等の機能拡充を図り、顧客IDの拡大に取り組みました。これらの結果、当連結会計期間におけるカード新規会員登録数は158万件、国内有効会員数は3,149万人(期首差67万人増)となりました。
カードショッピングにおいては、物価上昇による日常消費に対する節約志向の高まりや、政府の電気・ガス価格激変緩和措置による利用単価の減少が見られたものの、コロナ禍の行動制限がなくなり、レジャーや旅行関連業種、公共交通機関等での利用が拡大したことや、イオングループをはじめとする提携先企業との共同販促施策の実施等により、取扱高が拡大しました。加えて、少額かつスピーディーな決済需要の高い自動販売機やファストフード、ファミリーレストラン等の飲食業種を中心に、AEON Payの利用可能場所を拡大し、加盟店と共同での利用促進企画を実施したことが奏功し、AEON Payの利用者数及び取扱高は順調に拡大しました。これらの結果、カードショッピング取扱高は7兆814億82百万円(前期比108.5%)となりました。
個品割賦事業においては、自動車を中心とした加盟店での利用促進企画などを継続した結果、取扱高は1,982億25百万円(前期比102.6%)となりました。
当連結会計年度は、キャッシュレス決済ニーズの高まりに合わせ、クレジットカードに加えAEON Pay利用促進等に取り組んだ結果、取扱高が順調に拡大したものの、当第2四半期連結累計期間における顧客基盤の拡大に向けた積極的な販促企画の実施等による販売促進費の増加や、営業債権残高の増加に伴う貸倒関連費用の増加等により、営業利益は前連結会計年度を下回りました。
なお、連結子会社のイオンプロダクトファイナンス株式会社(以下、同社)は、2022年4月15日に関東経済産業局より、割賦販売法に基づく業務改善命令を受け、内部統制システムの再整備に向けて外部専門家の知見を取り入れ、コンプライアンス遵守の企業風土改善に取り組みました。当社は、同社のガバナンス体制の再構築及び管理・監督を強化するとともに、外部専門家との連携を深め定期的に業務改善計画に基づく取組事項について意見をいただき、同社の内部統制システム再構築に向け着実に改善を図りました。
<国際・中華圏>中華圏の営業収益は306億38百万円(前期比136.4%)、営業利益は87億97百万円(前期比114.0%)となりました。
中華圏では、香港の現地法人AEON CREDIT SERVICE (ASIA) CO.,LTD.(以下、ACSA)は、香港と中国本土の往来活発化に伴う訪中消費のニーズに対応するため、ACSAのスマホアプリへ銀聯国際(UnionPay International)の提供するコード決済「銀聯QR」を搭載しました。これにより、イオン銀聯カード会員さまが中国でのコード決済などをシームレスに利用可能となりました。また、スマホでの決済ニーズの高まりに合わせたNFC(Near Field Communication)決済の搭載や、一部加盟店での取扱いに限定していた返済方法を分割払いに変更できる機能の全面導入等を通じたお客さまの利便性向上に取り組みました。
加えて、リアル拠点での即時発行推進や、オンライン入会の促進等による顧客基盤の拡充に取り組むとともに、香港におけるイオンカード発行30周年を記念した利用促進企画等、提携先企業との共同販促に継続して取り組んだ結果、カードショッピング取扱高は1,793億41百万円(前期比119.7%)と順調に拡大しました。
カードキャッシングや個人向けローンでは、対面での個別融資ご相談の強化に加え、SNSの活用等による訴求強化を図ったことで、オンライン経由でのご利用が継続して増加しており、カードキャッシング取扱高は422億1百万円(前期比120.0%)、ローン取扱高は335億17百万円(前期比143.0%)となりました。
取扱高及び営業債権残高の順調な拡大に伴う貸倒関連費用の増加に対し、新たなスコアリングモデルの導入等による与信精度の向上に加え、回収面においては、お客さまの状況に合わせた返済方法の提案強化及び外部債権回収会社の活用等による債権回収体制の強化に努めた結果、中華圏の連結会計期間における営業収益、営業利益ともに過去最高となりました。
<国際・メコン圏>メコン圏の営業収益は899億29百万円(前期比104.5%)、営業利益は158億78百万円(前期比83.6%)となりました。
メコン圏では、主要展開国であるタイにおいて、現地法人のAEON THANA SINSAP (THAILAND) PCL.(以下、ATS)が、提携先との販促企画「イオンサンクスデー」や新規オープン店舗でのイベントなどを通じた新規会員募集の強化に継続して取り組みました。また、EC需要やスマホ決済ニーズの高まりに合わせ、新たにATSのスマホアプリ上にて完全カードレスで発行するデジタルクレジット「Next Gen」及び、コード決済「Scan to pay」サービスを開始しました。これにより、EC加盟店に加え、タイ全土に約35万箇所ある国際ブランドの定める統一規格 EMV対応のコード決済加盟店で、スマホアプリでの決済が利用可能となりました。これら顧客基盤の拡充及び取扱高拡大への取組により、カードショッピング取扱高は1,931億68百万円(前期比115.4%)となりました。
個人向けローンについては、タイ政府の発行する電子決済・口座間送金アプリ「プロンプトペイ(Prompt Pay)」でのご利用額に応じたキャッシュバック企画等、デジタルでのタッチポイントを活用した利用促進に取り組み、取扱高は1,093億79百万円(前期比117.0%)となりました。
なお、タイにおいては、エネルギー価格の高騰やインフレによる家計圧迫が続くことに加え、コロナ禍での政府による債務負担軽減策の段階的な解除等に起因した返済余力の低下が、貸倒関連費用の増加に繋がっております。そのような中、AIや外部委託先を活用した与信精緻化及び債権回収体制の強化に継続して取り組み、費用コントロールに努めました。
ベトナムでは、2023年10月にベトナムのファイナンス会社であるPost and Telecommunication Finance Company Limited(以下、PTF)の株式100%を取得し、完全子会社とする持分譲渡契約を締結することを決議いたしました。当社では、ベトナム現地法人ACS TRADING VIETNAM CO.,LTD.が2008年に現地で家電や二輪車等の自社割賦販売を中心に事業展開を開始し、現地のお客さまの生活に密着したサービスの提供に取り組んでおりますが、PTFの子会社化により個人向けローンを中心とした新たな金融サービスの提供を開始し、ベトナムでの事業拡大を目指してまいります。
<国際・マレー圏>マレー圏の営業収益は729億93百万円(前期比119.9%)、営業利益は135億41百万円(前期比86.2%)となりました。
マレー圏では、マレーシア現地法人AEON CREDIT SERVICE (M) BERHADが、グループの小売事業AEON CO. (M) BHD.との共同利用施策「お客さま感謝デー」でのカード利用特典をご利用額の最大10%割引に改定し、店頭等での積極的な訴求による新規顧客獲得の強化を図りました。また、海外旅行者の増加に合わせた提携先企業との共同施策等、カード利用促進に取り組んだ結果、マレー圏のカードショッピング取扱高は568億62百万円(前期比115.7%)となりました。
バイクローンにおいては、外部信用情報を活用した即時仮与信機能の全加盟店への導入や、GAILABO社の提供するAIクレジットスコアリングを導入した与信のさらなる精緻化に取り組みました。また、新たに環境に配慮したEVバイクを対象としたバイクローンを開始し、提携社数の拡大を図りました。これらの結果、マレー圏の個品割賦の取扱高は1,195億69百万円(前期比117.0%)と順調に拡大しました。
個人向けローンにおいては、個品割賦の申込に展開していたe-KYC(オンライン本人認証)及び即時仮与信に加え、Web申込へ電子署名機能を導入しました。これにより、個人向けローンにおけるすべての手続きがデジタル上で完結することが可能となり、手続きにかかる時間短縮等、お客さまの利便性が向上し、個人向けローンの取扱高は637億62百万円(前期比135.2%)と伸長しました。
2024年度開業に向けた準備を進めている、新たな銀行業態であるデジタルバンク事業では、AEON BANK (M) BERHAD(準備会社ACS Digital Berhadから2023年12月18日付で商号変更、以下、ABKM)が、2024年1月8日にマレーシア中央銀行よりデジタルバンクの営業許可を取得しました。ABKMは、マレーシアで広く普及するイスラム金融方式の商品・サービスを採用しており、預金及びデビットカードのサービスから開始し、個人向けローン等のお客さまニーズに即した金融商品・サービスの順次拡大を図ってまいります。
また、インドネシア現地法人PT.AEON CREDIT SERVICE INDONESIAでは、2023年10月より、クレジットカードや個品割賦に加え、新たな決済手段としてBNPL(Buy Now Pay Later)のサービス「QRIS PayLater」を開始し、現地のお客さまのニーズに即した決済サービスの拡充に取り組みました。
マレー圏では取扱高及び営業債権残高の順調な拡大による収益拡大に加え、継続してAIやデジタル技術の活用による与信及び回収体制の強化に取り組んでおりますが、前連結会計年度はマレーシア政府によるコロナ禍の支援施策の実施により、お客さまが返済しやすい状況となったことで貸倒関連費用が大幅に減少したため、当連結会計年度では前年比で貸倒関連費用が増加したことに加え、ABKM開業に向けた準備費用を計上したことで、マレー圏の営業費用は前年比で増加しました。
(2)財政状態の状況
資産の部、負債の部、純資産の部における主な増減内容は次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より2,861億3百万円増加し、6兆9,455億71百万円となりました。これはカードショッピング取扱高の伸長により割賦売掛金が738億99百万円、カードキャッシングや個人ローンの残高及び居住用住宅ローン貸出金残高の増加などにより貸出金が2,520億11百万円、銀行業における有価証券が1,117億2百万円増加した一方、現金及び預金が1,770億57百万円減少したこと等によるものです。
(負債の部)
負債合計額は、前連結会計年度末より2,529億19百万円増加し、6兆3,712億54百万円となりました。これは営業債権拡大により買掛金が128億73百万円、及び有利子負債が1,024億71百万円増加したこと、また、資金決済口座としての利用拡大により預金が1,404億9百万円増加したこと等によるものです。
(純資産の部)
純資産合計額は、前連結会計年度末より331億83百万円増加し、5,743億16百万円となりました。これは利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により208億96百万円、為替換算調整勘定が105億33百万円、非支配株主持分が95億96百万円、及びその他有価証券評価差額金が60億18百万円増加した一方、利益剰余金が期末及び中間配当金の支払いにより125億19百万円減少したこと等によるものです。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローについては、カードキャッシングや個人ローンの残高及び居住用住宅ローン貸出金残高の増加等により、507億76百万円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有価証券の取得による支出が有価証券の売却・償還による収入を上回ったこと等により、1,136億97百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払等により、181億91百万円の支出となりました。
また、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加により、40億8百万円の収入となりました。
以上の結果により現金及び現金同等物は1,792億11百万円減少し、6,254億82百万円となりました。
②資金需要
当社グループの主な資金需要は、個人向けの金融サービスの提供に係る、貸出金及び割賦売掛金、並びにお客さま利便性向上のためのIT、デジタル投資等であります。
③資金調達
当社グループは円滑な事業運営のための流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を調達の基本方針としており、調達期間の長期化、調達手法の多様化等により、手元流動性と財務安定性を確保することに注力しています。
国内は銀行業における預金に加え、メガバンクを中心とした金融機関から間接調達のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行及び債権流動化による直接金融により資金調達を実施しております。海外は主に邦銀、現地銀行からの間接調達等により資金調達を実施しております。
また当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付はA(安定的)、格付投資情報センターの格付はAマイナス(安定的)となっております。また主要な金融機関とは良好な関係を維持していることから、引き続き、事業拡大や投資、運転資金の調達に対して安定的な外部資金調達が可能であると認識しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。