有価証券報告書-第20期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/29 15:52
【資料】
PDFをみる
【項目】
65項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況
の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度は、次の2点を強化して事業にあたって参りました。①マーケティング代行サービスの強化 ②組織改革です。①はアマゾン独走による総合品ECへの敬遠も意味し、機会増加よりも促進増加をして参りました。②は主に幹部の若返りを目的とした体制変更と育成強化で、これは単なる世代の交代だけでなく、すでに到来しているスマホしか理解できない世代(消費者)設計のビジネス対応可能な組織作りが目的です。
以上により、売上高は 5,044,483千円(対前年比 5.6%増)、営業利益は 554,437千円(同 36.1%増)、経常利益は 582,215千円(同 44.9%増)、当期純利益は 411,528千円(同 44.1%増)と増収増益となりました。
増収の要因は、上述①と②ともに相当する、マーケティング代行事業が続伸したことによるもので売上高のうち11億円ほどです。増益の主な要因は、人件費、採用費、宣伝広告費の3つが抑えられたことによるものです。前年比の売上高については僅か5%強の増加でしかありませんが、これは従前より宣言して来ている市場飽和状態のシステムサービスの契約数量の増加を無為に追いかけない事により、この部分が(意図どおりに)大幅に減転している中で、契約品質(契約単価金額)でカバーしつつ拮抗状態をわずかに上回っているという表示に相当します。前年比の営業利益については、上述①②ともに純粋な成果として寄与しつつも、前述のとおり経費削減が大きな要因である事は間違いありません。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末比で 527,498千円増加し、2,840,120千円(前事業年度末比 22.8%増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は、691,765千円(前事業年度は 465,953千円増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益 582,215千円、預り金の増加 113,625千円であり、減少要因は、法人税等の支払額 89,632千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は、39,269千円(前事業年度は 88,614千円減少)となりました。主な増加要因は、仮想通貨の売却による収入 61,600千円、貸付金の回収による収入 15,490千円であり、減少要因はサーバ等の購入に伴う有形固定資産の取得による支出 60,727千円、仮想通貨の購入による支出 49,993千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は、124,811千円(前事業年度は 449,489千円減少)となりました。主な減少要因は、配当金の支払額 123,658千円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社はインターネット上での各種サービスの提供をおこなっており、受注生産形態をとらないサービスも多いため、生産の規模及び受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
b.販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりです。
品目販売高前年同期比
EC事業5,044,483千円105.6%
合計5,044,483千円105.6%

(注)1 本表の金額には、消費税等は含まれていません。
2 主要な販売先については、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合がいずれも100分の10未満であるた
め、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、重要な会計方針の適用において以下のとおり見積りを行っております。
1. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を計上する可能性があります。
また、法人税率が変更になった場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
2. ソフトウエアの減損
ソフトウエアについては、将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められたものを資産計上しております。しかしながら、計画の変更、使用状況の見直し等により収益獲得または費用削減効果が損なわれた場合には、ソフトウエアについて減損が必要となる可能性があります。
3. 有価証券の減損
時価のある有価証券については、時価が期末簿価に比べて 50%以上下落している場合には、原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いて減損処理を行っております。また、時価のない有価証券については、実質価額が期末簿価に比べて 50%以上下落している場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いては減損処理を行っております。しかしながら、将来の市況悪化等により現在の帳簿価額に反映されていない損失が発生した場合、有価証券の減損が必要となる可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度は、次の2点を強化して事業にあたって参りました。①マーケティング代行サービスの強化 ②組織改革です。①はアマゾン独走による総合品ECへの敬遠も意味し、機会増加よりも促進増加をして参りました。②は主に幹部の若返りを目的とした体制変更と育成強化で、これは単なる世代の交代だけでなく、すでに到来しているスマホしか理解できない世代(消費者)設計のビジネス対応可能な組織作りが目的です。
以上により、売上高は 5,044,483千円(対前年比 5.6%増)、営業利益は 554,437千円(同 36.1%増)、経常利益は 582,215千円(同 44.9%増)、当期純利益は 411,528千円(同 44.1%増)と増収増益となりました。
増収の要因は、上述①と②ともに相当する、マーケティング代行事業が続伸したことによるもので売上高のうち11億円ほどです。増益の主な要因は、人件費、採用費、宣伝広告費の3つが抑えられたことによるものです。前年比の売上高については僅か5%強の増加でしかありませんが、これは従前より宣言して来ている市場飽和状態のシステムサービスの契約数量の増加を無為に追いかけない事により、この部分が(意図どおりに)大幅に減転している中で、契約品質(契約単価金額)でカバーしつつ拮抗状態をわずかに上回っているという表示に相当します。前年比の営業利益については、上述①②ともに純粋な成果として寄与しつつも、前述のとおり経費削減が大きな要因である事は間違いありません。
以下サービス別の業績を説明いたします。
(マーケティングサービス)
ページ制作や宣伝広告のアウトソーシングを受託するマーケティング代行事業は、受託受注額が増加し、売上高は、1,131,247千円(同 43.6%増)と計画を上回る内容で伸長しました。しかしながら当該サービスは、生産性がヒトというリソースから成り立つ為、利益率は低く、利益貢献には未だ微細な対応でしかありません。今後も効率化と仕組化を図り、この課題を解決していきます。
(販売システム)
販売システム事業(名称ショップサーブ)については、既報のとおり、すでに過当競争下で価格競争に陥って居る事から、ショップサーブ単体での数量獲得ではなく、よりポテンシャルが見込める見込客開拓と、商品販売ではなく総合的支援となるソリューションにシフトして来ました。この結果、累計の顧客店舗数は引き続き減少していて、ストック売上高(月間固定料金)は1,855,264千円(同 5.7%減)となりましたが、受注単価増や決済代行額が多少増加したことにより、フロウ売上高(商規模連動料金)は、2,024,065千円(同 2.9%増)となりました。この僅かでしかない増加については「シフト」が未だ足りていない事は否めないものの、今後期の累計で加算して寄与してくる構造なので、今後も方針を継続して参ります。
(販促システム)
次の収益ブロックを目指したマーケティングシステム事業(名称バックストア群)については、立ち上げ時期につき、売上高は 2,641千円と売上利益への貢献はまだ先となる計画です。このサービスは、ヒト依存度が低く、契約顧客数が一定数を超えてくることで利益率が非常に高くなる構造となっているため、システム開発や人件費など投資を今後も強化継続し、収益に貢献できるよう取り組んでまいります。
(メディア事業)
メディア事業(名称パーク)については、既報のとおり注力外として来ています。これを含めたその他売上は、31,264千円(同 41.6%減)となっています。今後もひきつづき注力からは外してゆく所存です。
③財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当事業年度末の流動資産につきましては、3,568,337千円となりました。主な内訳は、現金及び預金 2,778,510千円、売掛金 604,575千円であります。現金及び預金には、預り金 1,853,934千円(販売システム事業における顧客の決済代行に係る回収金を含む)が含まれておりますが、その大部分は所定期日に事業者に送金あるいは、引き出しが可能となるものであり、一時的に当社が保管しているものであります。また、固定資産は 411,328千円となりました。主な内訳は、敷金 130,210千円、ソフトウエア 74,136千円、工具、器具及び備品 73,202千円、投資有価証券 69,095千円であります。以上の結果、資産合計は 3,979,665千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債につきましては、2,490,601千円となりました。主な内訳は、買掛金 226,608千円、預り金 1,853,934千円(システム事業における顧客の決済代行に係る回収金を含む)であります。また、固定負債は 26,559千円となりました。以上の結果、負債合計は 2,517,161千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産につきましては、1,462,504千円となりました。主な内訳は、株主資本 1,461,603千円であります。
④資金の財源及び資金の流動性
1. キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物は、2,840,120千円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益 582,215千円、預り金の増加 113,625千円であり、主な減少要因は、配当金の支払額 123,658千円であります。
2. 資金需要
当事業年度における当社の主な資金需要は、人材の確保、サーバー設備等やソフトウエアの取得による設備投資などであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社におきましては、インターネットへの依存、システムトラブル、情報セキュリティ、顧客の違法行為、各種法令等の予期せぬ制定や改正、競合他社との競争激化、技術革新への対応、新規事業等への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しております。
⑥経営者の問題意識と今後の方針について
EC市場黎明期より、時代に即したECサービスを提供し、社会インフラを担う事を目的とし、その結果とし
て、顧客はもとより、株主、取引先、従業員の利益を最大化することを経営の基本方針としています。
ECは、モール型ECと専門店型ECに大別されますが、当社は創業以来一貫して専門店ECを生業としてい
ます。理由は小資本、小リスクで、按分される片方のマーケットに確実に応えられる事とともに、時代の流れ
も需給ともにダイレクトマーケティングに向かうと予測しているからです。また社会経済が、より一層物余りと
なる傾向と、精神安定が価値化している傾向を鑑み、顧客においても自社においても、売上高よりも利益額を優
先し、大企業ではなく上企業を目指す事を指標としています。
マーケットの変遷は、システム提供においては、すでに数年前より過渡期と定め主軸から外し、逆にマーケッ
トが醸成されたので、そこに対するマーケティングサービスを展開してきました。ここを更に伸ばしていく事が
足元の重要な戦略となります。その先については、VUCA社会を鑑みて大きな戦略を張る事を控え、柔軟な挙
動を優先する事とし、自社ならびに育成され、さらに伸び代が期待できるマーケット全体に対して、蓄積された
経験と信頼を随時商品化していく所存です。