有価証券報告書-第23期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 10:59
【資料】
PDFをみる
【項目】
131項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度において、2020年3月31日をみなし取得日として行われた株式会社コマースニジュウイチ、株式会社ウェブクルーエージェンシーとの企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行ったため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
①経営成績の概況
当連結会計年度の売上高は 10,504百万円(前年年度比 116.5%増、2.2倍)、営業利益は 906百万円(同 89.7%増)、経常利益は 1,073百万円(同 104.0%増、2.0倍)、親会社株主に帰属する当期純利益 482百万円(同 31.3%増)となりました。増収の主な要因は、当期より連結子会社が2社増加(注)したことと言えますが、増益の要因は、ECシステム構築や決済サービスを事業とする株式会社Eストアー(以下「Eストアー」)及び株式会社コマースニジュウイチ(以下「C21」という。)が前年度を超える伸びを達成したことによるものです。
2020年11月に中期経営計画(5ヵ年計画)を策定し公表しましたが、当連結会計年度はその初年度に該当します。ここ数年の企業改革の潮流であった「DX化」が、コロナ禍により従前以上のスピードで進展したことは、Eコマースを事業領域とする当社グループにとって収益を伸ばす経済的背景となりました。しかし一部の事業(マーケティングサービス)におきましては、顧客の広告出稿意欲が減退し苦戦を強いられる状況となりました。
そのような環境の中、グループ全体の経営成績としましては中計初年度の数値目標を上回る業績を残すことができました。Eコマース市場においては「巣ごもり消費」と言われる一過性の特需があったことも否めませんが、時代の潮流として消費形態のEC化が進んでいることは揺るぎない事実と考えております。
(注)前連結会計年度末(2020年3月31日)をみなし取得日として連結の範囲に含めておりますが、損益の連結は当連結会計年度期首からになります。
(参考)主な連結会社のサービス領域と収益モデルの関係
EストアーC21WCA
ECシステム
決済サービス
マーケティングサービス

(収益モデル別の営業状況について)
1)ECシステム
昨年1月のM&AによりC21が連結グループに加わったことで、当社グループが提供できるECシステムの
ラインナップが拡充しサービスのポートフォリオが整いました。顧客企業のネットショップにおける年商規模と
して数百万円~数億円の中小規模店から 100億円を超える大規模店に対し、それぞれに最適なシステムを提供で
きる体制となりました。
2)決済サービス
グループ全体の収益性の向上に大きく寄与しました。営業戦略として年商規模の大きい顧客を重視しているた
め、結果的に小規模店の数が減少し続けておりますが、一店舗あたりの商流額は増加傾向にあり、決済手数料を
増加させる戦略が実りつつあります。この顧客企業の年商と当社収益の拡大が連動する「エコシステム」を成長
戦略の基盤としたい考えです。
中計2年目となる2022年3月期は、親会社EストアーのECシステムに組み込まれていた決済機能をモジュール
化し、C21のクライアントへの提供も可能となります。商流額の大きなネットショップへの導入により決済サー
ビスの収益が増大することを期待しております。
3)マーケティングサービス
昨年3月のM&Aによりマーケティング専業の株式会社ウェブクルーエージェンシー(以下「WCA」とい
う。)がグループに加わりました。前年度までEストアー内部で手掛けてきたマーケティングサービスとの連携
及び融合によりシステム利用顧客に対するマーケティングサービスを強化することができました。当年度はコロ
ナ禍の影響で広告主の予算が大きく縮小しました。そのような逆風が吹く中でもEコマース向けのネット広告の
需要は底堅く、当サービスの収益の支えとなりました。
(営業外損益及び特別損失について)
営業外損益につきましては、投資有価証券売却益 62百万円及び暗号資産評価益 95百万円を計上しました。その一方で、連結経営の強化のためグループ各社のオフィス統合を行いました。これに伴い営業外費用にリース解約損 17百万円計上しました。また、長期化するコロナ禍やオリンピック開催が危ぶまれる状況を踏まえ、スポーツ関連事業を展開する持分法適用会社(FPC株式会社)の株式について評価減を行いました。この影響で持分法による投資利益は27百万円に減少しました。特別損失につきましては、上記オフィス統合に係る減損損失を 130百万円計上しました。また、マーケティングサービスを専業とする連結子会社(WCA)ののれんについて、広告市場(特にマス媒体広告やイベント関係)の厳しい先行きに鑑み、減損損失146百万円を計上しました。
②財政状態の概況
(資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては、6,394百万円となりました。主な内訳は、現金及び預金 4,768百万円、売掛金 1,319百万円です。現金及び預金には、預り金 2,528百万円(決済サービスにおける顧客の回収金を含む)が含まれておりますが、その大部分は所定期日に事業者に送金あるいは、引き出しが可能となるものであり、一時的に当社が保管しているものです。また、固定資産は 2,209百万円となりました。主な内訳は、顧客関連資産 501百万円、のれん 391百万円、関係会社株式 324百万円、敷金保証金 261百万円です。以上の結果、資産合計は 8,604百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債につきましては、4,477百万円となりました。主な内訳は、預り金 2,528百万円(決済サービスにおける顧客の回収金を含む)、買掛金 874百万円です。また、固定負債は 1,783百万円となりました。主な内訳は、長期借入金 788百万円、新株予約権付社債 754百万円です。以上の結果、負債合計は 6,260百万円です。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、2,343百万円となりました。主な内訳は、株主資本 2,335百万円です。
③キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、4,766百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,661百万円となりました。主な増加要因は、税金等調整前利益 796百万円、預り金の増減額 672百万円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額 221百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、198百万円となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出 175百万円、敷金の差入による支出 102百万円であり、主な増加要因は、敷金の回収による収入 154百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、14百万円となりました。増加要因は、短期借入金の純増減額 220百万円であり、主な減少要因は、1年内返済予定の長期借入金の返済による支出 141百万円、配当金の支払額 138百万円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を行っており、受注生産販売の形態をとらないサービスも多いため、生産、受注及び販売の規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成され
ております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の計上額に影響を及ぼす見積り
及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
1. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。し
かしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を計上する可能性があります。
また、法人税率が変更になった場合、連結貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額が変動する可能性が
あります。
2. ソフトウエアの減損
ソフトウエアについては、将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められたものを資産計上してお
ります。しかしながら、計画の変更、使用状況の見直し等により収益獲得または費用削減効果が損なわれた場
合には、ソフトウエアについて減損が必要となる可能性があります。
3. 有価証券の減損
時価のある有価証券については、時価が期末簿価に比べて 50%以上下落している場合には、原則として減
損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いて減損処理
を行っております。また、時価のない有価証券については、実質価額が期末簿価に比べて 50%以上下落して
いる場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いては減損処理を行っております。しかしなが
ら、将来の市況悪化等により現在の帳簿価額に反映されていない損失が発生した場合、有価証券の減損が必要
となる可能性があります。
4. のれん及び顧客関連資産の減損
のれん及び顧客関連資産については、その効果が及ぶ期間(20年以内)での償却を行い、四半期毎の減損の
兆候の有無を確認しております。
減損の兆候が認められた場合、減損損失の認識の判定は、各資産グループの合理的な予算及び事業計画に基
づく将来のキャッシュ・フローの見積りや割引率によって見積りをしております。
当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した将来キ
ャッシュ・フローや割引率と異なった場合、翌連結会計年度及び連結財務諸表において、のれん及び顧客関連
資産の減損会計に重要な影響を与える可能性があります。
5. 関係会社株式の減損
関係会社株式の超過収益力を反映した実質価額は、各関係会社の合理的な予算及び事業計画に基づく将来キ
ャッシュ・フローの見積りや割引率によって見積りをしております。
当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、実際に発生した将
来キャッシュ・フローや割引率と異なった場合、翌事業年度の財務諸表において、関係会社株式の金額に重要
な影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載の通りです。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2事業の状況 2.事業等のリスク」
に記載の通りです。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動のために必要な資金の確保と流動性を維持
するために、借入金や社債による資金調達を基本としております。
資本の財源についての分析は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・
フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの概況」に記載の通りです。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営者の問題認識と今後の方針については、「第2事業の状況 1.経営方針、経営環境及び
対処すべき課題等」に記載の通りです。