有価証券報告書-第21期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 12:09
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度は連結初年度にあたるため、前年同期との比較分析は行っていません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、従前より進めてきた競争激化のカート事業依存からの脱却を、より強化する事とし、多くの投資を行って参りましたが、計画を下回る結果となりました。行動の概要は3点で、営業強化、新商品拡販、一昨年度前より試行開始した貿易事業で、前年度比で増収減益を計画し目指してきましたが、結果的には売上高は 4,932,291千円、営業利益は 515,913千円、経常利益は 582,548千円、親会社株主に帰属する当期純利益は 409,852千円と減収減益となりました。
なお、2018年8月に株式会社クロストラストを100%子会社として設立したことに伴い、第2四半期より連結決算を開始し、また関連会社1社(株式会社ECホールディングス)の持分法による投資利益 37,851千円を計上していること等もあり、利益については、計画(予想)比では微増となりました。
減収の概要は次の通りです。営業強化は顧客数の増大よりも受注額の増大を目指し、個別単価はそれを実現してきましたが、数量で計画以下となりました。新商品の拡販は、前年度までに開発を終えたマーケティングツールの本格的販売を専用組織を組成して強化しましたが、計画を大幅に下回る受注となりました。その原因は売り先のミスマッチと分析しています。貿易事業につきましては、当社スタンスとして世界的なEC拡大は、越境ECよりも一般貿易が優位になると睨み、進めて参り、好調なスタートを切りましたが、中国向けに偏重した事から、年度内に急ブレーキが掛かって大幅な計画未満となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、2,976,494千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、26,766千円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益 582,548千円であり、主な減少要因は、預り金の減少 249,331千円、法人税等の支払額 175,101千円、賞与引当金の減少 72,436千円、投資有価証券売却益 50,013千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、349,792千円となりました。主な減少要因は、出資金の払込による支出 238,179千円、投資有価証券の取得による支出 100,000千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、513,428千円となりました。増加要因は、新株予約権付社債の発行による収入 985,431千円、主な減少要因は、自己株式の取得による支出 325,912千円、配当金の支払額144,237千円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社はインターネット上での各種サービスの提供をおこなっており、受注生産形態をとらないサービスも多いため、生産の規模及び受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
品目販売高
EC事業4,932,291千円
合計4,932,291千円

(注)1 本表の金額には、消費税等は含まれていません。
2 主要な販売先については、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合がいずれも100分の10未満であるた
め、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループは、重要な会計方針の適用において以下のとおり見積りを行っております。
1. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を計上する可能性があります。
また、法人税率が変更になった場合、連結貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
2. ソフトウエアの減損
ソフトウエアについては、将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められたものを資産計上しております。しかしながら、計画の変更、使用状況の見直し等により収益獲得または費用削減効果が損なわれた場合には、ソフトウエアについて減損が必要となる可能性があります。
3. 有価証券の減損
時価のある有価証券については、時価が期末簿価に比べて 50%以上下落している場合には、原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いて減損処理を行っております。また、時価のない有価証券については、実質価額が期末簿価に比べて 50%以上下落している場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いては減損処理を行っております。しかしながら、将来の市況悪化等により現在の帳簿価額に反映されていない損失が発生した場合、有価証券の減損が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、従前より進めてきた競争激化のカート事業依存からの脱却を、より強化する事とし、多くの投資を行って参りましたが、計画を下回る結果となりました。行動の概要は3点で、営業強化、新商品拡販、一昨年度前より試行開始した貿易事業で、前年度比で増収減益を計画し目指してきましたが、結果的には売上高は 4,932,291千円、営業利益は 515,913千円、経常利益は 582,548千円、親会社株主に帰属する当期純利益は 409,852千円と減収減益となりました。

以下、サービス別の業績を説明いたします。販促サービス、販売システムについては、前年の単体決算数値と比較しています。
(販促サービス)
ソリューション提供(調査分析・コンサルティング、ページ制作、宣伝広告などのアウトソーシング受託)を行う販促サービスの売上高は 1,189,778千円(前年比 5.2%増)となりました。数値的には微増ですが、実態内容は二桁成長を続けています。今期微増となったのは、そもそも前期数値に特需が含まれていた事と、大口案件が増加する中で、停止案件(通常ある正常なながれ)も同様に伸びている事からです。平均値での案件サイズが拡大している事は、方向性が目論見どおりに進捗している結果と言えます。
(販促システム)
Eストアーコンペア(ABテストツール)、Eストアークエリー(メールマーケティングツール)は、上述のとおり当連結会計年度より営業組織を新規構築し、販売を開始しましたが、売り先のミスマッチおよびマーケットニーズにおいて、時期尚早という反応を得、販売計画を大幅に下回り、売上高は 13,727千円となりました。
(販売システム)
ショップサーブは、長く既報のとおり市場飽和の価格競争離脱を目的に、店舗数より顧客単価を重視した戦略をとってきています。そのため累計顧客店舗数は未だ減少していますが、店舗当たりの流通額は8%増加し、戦略どおりで推移しています。しかしながら数量を上回るほどになっていない状態から、その結果、ストック売上高(月間固定料金)は 1,723,577千円(同 7.1%減)、フロウ売上高(商規模連動料金)は 1,982,863千円(同 2.0%減)となりました。
(販売システム/電子認証事業)
当該事業は、子会社である、株式会社クロストラストで行なっています。ブラウザによる「危険サイト表示」を防止し、顧客店舗の売上、利益低下を保全する事を目的として、2018年8月にサイト証明書事業を買収、子会社化し、顧客店舗への無償提供を開始しました。コストの投下となっており、投資費用対効果は未知数ですが、顧客店舗の受注減防止は、昨年10月からの「ブラウザの危険サイト表示」開始以降一定の効果が出ていると予測し、トントン程度の収支となっています。
(その他特筆事項)
海外貿易について、中国に偏重しましたが、同国の関税環境整備が進んできた事から、越境ECの利ざや低下に着目し、一般貿易において、当社顧客を同国の著名セラーに接続する試行を少ない予算で行なってきましたが、相互ニーズが大きくスタートしたものの、同国消費の不透明さが増す1年であった事から、下期にはいり撤退が相次ぎました。
メディア(名称パーク)については、2018年9月末をもってサービスを終了しています。これらを含めたその他売上高は 16,415千円となっています。選択と集中による計画の範囲内です。撤退理由は既報のとおり、メディアECは斜陽と判断しているからです。
③財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては、3,710,044千円となりました。主な内訳は、現金及び預金 2,977,193千円、売掛金 583,681千円であります。現金及び預金には、預り金 1,604,603千円(販売システム事業における顧客の決済代行に係る回収金を含む)が含まれておりますが、その大部分は所定期日に事業者に送金あるいは、引き出しが可能となるものであり、一時的に当社が保管しているものであります。また、固定資産は 785,515千円となりました。主な内訳は、出資金 238,179千円、投資有価証券 216,243千円、敷金 108,919千円、工具、器具及び備品 73,509千円、ソフトウエア 46,952千円であります。以上の結果、資産合計は 4,495,560千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債につきましては、2,065,541千円となりました。主な内訳は、買掛金 213,064千円、預り金 1,604,603千円(販売システム事業における顧客の決済代行に係る回収金を含む)であります。また、固定負債は 1,025,745千円となりました。主な内訳は、新株予約権付社債 999,600千円であります。以上の結果、負債合計は 3,091,287千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、1,404,272千円となりました。主な内訳は、株主資本 1,402,777千円であります。
④資金の財源及び資金の流動性
1. キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、2,976,494千円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益 582,548千円、新株予約権付社債の発行による収入 985,431千円であり、主な減少要因は自己株式の取得による支出 325,912千円、預り金の減少 249,331千円であります。
2. 資金需要
当連結会計年度における当社の主な資金需要は、人材の確保、サーバー設備等やソフトウエアの取得による設備投資などであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社におきましては、インターネットへの依存、システムトラブル、情報セキュリティ、顧客の違法行為、各種法令等の予期せぬ制定や改正、競合他社との競争激化、技術革新への対応、新規事業等への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しております。
⑥経営者の問題意識と今後の方針について
この数年間取り組んで来た収益構造の改革(激戦で低利に向かっているカート事業の依存度を下げる事と、対する販促サービスを強化していく事)について、勝算の兆しが見えてきた事から、当連結会計年度よりサービス事業のアクセルを踏み込む事とし、人材資材をそちらに偏重します。ゆえにカート事業で得られる利益の圧迫から減益を計画します。なおこのトレンドは2~3年続く予定ですが、シフトチェンジを完遂する為に続行する計画です。
収益構造改革の理由は、カート事業(システム事業)は足元では収益事業でありながらも、競争激化(価格圧力と、高騰する宣伝広告費など)だけに留まらず、増大一途のITコスト(情報セキュリティ、爆発的に増える決済手段への対応、同様に増え続けるIT関連法案対応)、またIT自体によってIT事業が侵食されていく中途であるため、企業内テーマでもある「人にしかできない事であるサービス事業の強化」が、未来の収益優位と考えています。
以下、サービス別に説明します。
販促サービスは、平均値での案件サイズが拡大し、方向性が目論見どおりに進捗していることから、これを継続させながら、大口案件増加を目指します。
販促システムは、前期新たに構築した専用組織(営業コスト)は見直すものの、クエリーの新バージョンをリリースしたことからも、継続的に拡販していきます。
販売システム(ショップサーブ)は、長く既報のとおり市場飽和の価格競争離脱を目的に、店舗数より顧客単価を重視した戦略をひきつづき継続させてまいります。また今後は、顧客店舗支援を行うことにより顧客業績を伸ばし、ともに収益構造の転換を続けていきます。
販売システム(電子認証事業)は、ブラウザによる「危険サイト表示」を防止し、顧客店舗の売上、利益低下を保全しながら今後は、証明種類の拡充など、プラス収益化を目論んでいます。
その他特筆事項として、2018年11月に、アドバンテッジアドバイザーズ社に、約10億円の転換社債を引き受けてもらいました。これは経営改革の一環として、一昨年度に行なった若返り人事に続き、社内にない叡智を得る事を目的に、時間をかけて選定し協議した結果、経営参画を伴う出資として、当社より願い、参画してもらいました。その調達した資金と社外叡智を活用しながらサービス事業の収益向上に努めてまいります。また、あらゆる憶測を防止する観点からもこの事をお伝えします。
もうひとつ、ハンズオンインキュベーションという、資金投下を伴う顧客ビジネスコンサルティング(収益分配型)を今期より開始し、次期より分配金を営業外に計上いたします。