有価証券報告書-第22期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 12:05
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【項目】
132項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、中期戦略の「案件の大型化と、販促サービス強化」に引き続き注力し、そこに人材と予算を集中させて、前年度比「増収減益の計画」を目指してきました。その結果、計画比では「減収増益」となり、売上高は 4,852,935千円(対前年同期比 1.6%減)、営業利益は 478,056千円(同 7.3%減)、経常利益は 526,561千円(同 9.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 367,794千円(同 10.3%減)となりました。計画比で減収の要因は、新規大型案件への営業活動の遅れ、計画比で増益の要因は、人材投資等の投資遅れとなります。
従来より、コモディティー化している販売システムの注力低減と、需要確実な販促サービスの傾注でカバーしていく方針を掲げて参りましたが、今期は新規の販促サービス獲得についての大型案件営業に注力しました。しかし、ニーズ確実ながらも、新規営業のケイパビリティ不足により、販促サービスの収益貢献の遅れから計画比減収要因となりました。これを改善する他の方策としてのM&Aを同時模索した1年となり、2社のグループ経営基盤を整備しました。2020年1月に、大企業向けに専用ECシステムを提供する株式会社コマースニジュウイチ(以下C21)、3月に販促サービス領域において強い顧客基盤と高いクオリティを有する株式会社ウェブクルーエージェンシー(以下、WCA)の2社が加わったことで(いずれも 100%の株式取得)、大型案件への対応能力の整備が完了しました。
C21は、大型クライアントに大型システムを提供している為、販促サービスの提供がプラス価値として提供できる事、WCAは、C21への販促サービスの提供はもとより、当社の販促サービスの提供の品質向上にも寄与する事から、グループ3社で補完し合い、シナジーを発揮出来る体制となり、システムもマーケティングも、中小企業から大企業まで、グループとして多様な顧客ニーズに対応可能となりました。なお、株式取得した2社の業績数値につきましては、2020年3月31日をみなし取得日としていますので、来期からの収益貢献となり、ここでの説明には一切の数値が含まれていません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度比で 312,254千円増加し、3,288,749千円(前連結会計年度末比 10.5%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、596,223千円(前連結会計年度は 26,766千円減少)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益 526,561千円、預り金の増加 247,806千円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額 142,112千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,168,122千円(前連結会計年度は 349,792千円減少)となりました。主な減少要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 1,228,429千円、敷金の差入による支出 97,984千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、884,689千円(前連結会計年度は 513,428千円増加)となりました。増加要因は、長期借入れによる収入 1,000,000千円、主な減少要因は、配当金の支払額 137,705千円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社はインターネット上での各種サービスの提供をおこなっており、受注生産形態をとらないサービスも多いため、生産の規模及び受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
品目販売高前年同期比
EC事業4,852,935千円98.4%
合計4,852,935千円98.4%

(注)1 本表の金額には、消費税等は含まれていません。
2 主要な販売先については、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合がいずれも100分の10未満であるた
め、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループは、重要な会計方針の適用において以下のとおり見積りを行っております。
1. 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を計上する可能性があります。
また、法人税率が変更になった場合、連結貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
2. ソフトウエアの減損
ソフトウエアについては、将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められたものを資産計上しております。しかしながら、計画の変更、使用状況の見直し等により収益獲得または費用削減効果が損なわれた場合には、ソフトウエアについて減損が必要となる可能性があります。
3. 有価証券の減損
時価のある有価証券については、時価が期末簿価に比べて 50%以上下落している場合には、原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いて減損処理を行っております。また、時価のない有価証券については、実質価額が期末簿価に比べて 50%以上下落している場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いては減損処理を行っております。しかしながら、将来の市況悪化等により現在の帳簿価額に反映されていない損失が発生した場合、有価証券の減損が必要となる可能性があります。
4. のれんの減損
のれんについては、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、中期戦略の「案件の大型化と、販促サービス強化」に引き続き注力し、そこに人材と予算を集中させて、前年度比「増収減益の計画」を目指してきました。その結果、計画比では「減収増益」となり、売上高は 4,852,935千円(対前年同期比 1.6%減)、営業利益は 478,056千円(同 7.3%減)、経常利益は 526,561千円(同 9.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 367,794千円(同 10.3%減)となりました。計画比で減収の要因は、新規大型案件への営業活動の遅れ、計画比で増益の要因は、人材投資等の投資遅れとなります。
以下、サービス別の業績を説明いたします。
(販促サービス)
注力事業としている、当該セクター(コンサルティング、ページ制作、宣伝広告などの運営受託を提供する)は、サービス強化を図ってきたことで、既存顧客からの継続受注および受注単価上昇と一定の成果が見込めました。一方、新規大型案件への営業活動において、受注までのリードタイムが計画よりも長い事や、その後の納品も同様に時間を要していることにより、売上計画未達となりました。以上の結果、売上高1,213,135千円(同 2.0%増)となりました。
なお、来期からは当該の販促サービスセクターについて、WCAの全てであるマーケ事業が連結の対象となります。
(販売システム)
ショップサーブ(カート事業:販売システム)は、構造転換を進め、量を求めず、直販ECに適した優良顧客獲得を行ってきました。そのため意図計画どおり累計利用店舗数が減少していますが、おなじく目論見通りに1店舗当たりの売上高は前年度比 11%増と上昇しており、優良顧客へのシフトおよび販促支援がひきつづき奏功しています。また、既報のとおり、消費増税に伴う施策として「キャッシュレス・消費者還元事業」に参画していることで、当社決済代行サービスの利用が上昇しました。ただし、政府主導によるこのキャッシュレス消費者還元事業は、減収原因となる仕組み(原価にかかわる部分の事業者負担ルール)となっている為、フロウ収益は(計画内で)減少しました。以上の結果、ストック売上高 1,687,809千円(同 2.1%減)、フロウ売上1,918,025千円(同3.3%減)となりました。
なお、来期からは当該のシステムセクターについて、C21の全てであるシステム事業が連結の対象になります。
③財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては、4,970,225千円となりました。主な内訳は、現金及び預金 3,288,953千円、売掛金 1,287,962千円であります。現金及び預金には、預り金 1,855,400千円(販売システム事業における顧客の決済代行に係る回収金を含む)が含まれておりますが、その大部分は所定期日に事業者に送金あるいは引き出しが可能となるものであり、一時的に当社が保管しているものであります。また、固定資産は 2,267,761千円となりました。主な内訳は、工具、器具及び備品 106,552千円、ソフトウエア 92,824千円、投資有価証券 198,690千円、敷金保証金 374,615千円、のれん 986,315千円であります。以上の結果、資産合計は 7,237,986千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債につきましては、3,538,329千円となりました。主な内訳は、買掛金 1,016,490千円、預り金 1,855,400千円(販売システム事業における顧客の決済代行に係る回収金を含む)であります。また、固定負債は 1,953,046千円となりました。主な内訳は、新株予約権付社債 999,600千円、長期借入金 862,848千円であります。以上の結果、負債合計は 5,491,376千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、1,746,610千円となりました。主な内訳は、株主資本 1,746,893千円であります。
④資金の財源及び資金の流動性
1. キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、3,288,749千円(対前期末比 10.5%増)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益 526,561千円、長期借入による収入 1,000,000千円、預り金の増加 247,806千円であり、主な減少要因は、連結の範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出 1,228,429千円、敷金の差入による支出 97,984千円です。
2. 資金需要
当連結会計年度における当社の主な資金需要は、人材の確保、サーバー設備等やソフトウエアの取得による設備投資などです。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社におきましては、インターネットへの依存、システムトラブル、情報セキュリティ、顧客の違法行為、各種法令等の予期せぬ制定や改正、競合他社との競争激化、技術革新への対応、新規事業等への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しています。
⑥経営者の問題意識と今後の方針について
次期(2021年3月期)連結会計年度より、子会社化した株式会社コマースニジュウイチ(2020年1月にM&A)と株式会社ウェブクルーエージェンシー(2020年3月にM&A)の業績が加算されます。そのため、売上高は今期比で大幅に増加する見込みで、100億円規模となります。また、大型案件強化できる体制が整備されたことで、販促サービス、販売システムともに顧客への共同営業やクロスセルを行う等のグループ間シナジーが可能となり、これによる業績貢献も発現させて参ります。
利益につきましては、M&Aにより、6億円程度ののれん償却前営業利益を創出できるグループとなりますが、会計的にはのれん償却(1.3億円程度)を加味した、約5億円程度の営業利益が当社グループの現状のベース利益となります。ただ、次期につきましては、グループとしての効率化を図る目的で事務所移転を計画しており、そのための一過性費用(2.3億円程度)を予算に織り込んでおります。
その結果、次期(2021年3月期)の連結業績の見通しにつきましては、売上高 10,605百万円(前年同期比 118.5%増)、営業利益 268百万円(同 43.9%減)、経常利益 328百万円(同 37.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益 230百万円(同 37.5%減)を見込んでおります。
なお、新型コロナウィルスの感染拡大が業績に与える影響につきましては、現段階で想定できるものに限り織込んでおります。