有価証券報告書-第12期(平成29年3月21日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、極めて緩和的な金融環境と政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に景気の拡大が続きました。
物流業界におきましては、eコマース市場の成長に伴う個人宅向け荷物の増加及び顧客のニーズが多様化する中、雇用情勢の改善に伴う労働需給の逼迫、賃金上昇の懸念は継続し、厳しい経営環境で推移いたしました。
当社グループにおきましては、中期経営計画「First Stage 2018」(平成29年3月期から平成31年3月期)の2年目として、グループ横断の営業戦略チーム「GOAL」を基軸としたソリューション力の強化及びグローバル物流ネットワークの拡大等に取り組んでまいりました。また、株式会社日立物流との資本業務提携のもと、営業連携による提案力強化及び事業拡大を推進してまいりました。
このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、適正運賃収受の継続的な取組み、「GOAL」による営業の推進、及び宅配便以外の付加価値を提供するソリューション「TMS」の強化を図ってまいりました。ロジスティクス事業におきましては、越境通販貨物やフレイトフォワーディングの物量増加により、好調に推移いたしました。不動産事業におきましては、所有する不動産を信託受益権化し継続的に売却いたしましたが、前連結会計年度から売却規模を縮小いたしました。その他の事業におきましても、当社グループが有する物流ネットワーク及びグループ経営資源の活用により、事業領域の拡充を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
イ.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は7,106億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ597億75百万円増加いたしました。
流動資産は3,101億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ395億20百万円増加いたしました。主な要因は、決算日の変更に伴い、現金及び預金が375億59百万円増加したことによるものであります。
固定資産は4,004億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ202億97百万円増加いたしました。主な要因は、「SGリアルティ和光」の竣工に伴い建物及び構築物が88億58百万円、減価償却方法の変更及び耐用年数の見直しにより車両運搬具が55億59百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は3,524億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ113億38百万円増加いたしました。
流動負債は1,951億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ230億9百万円増加いたしました。主な要因は、決算日の変更に伴う仕入債務の支払時期の変更により支払手形及び営業未払金が250億91百万円増加したことによるものであります。
固定負債は1,572億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ116億71百万円減少いたしました。主な要因は、流動負債への振替により長期借入金が98億54百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は3,582億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ484億37百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益が360億21百万円となったことに加え、自己株式の処分等により資本剰余金が71億84百万円増加した一方で、剰余金の配当37億24百万円を実施したことであります。
ロ.経営成績
(営業収益)
デリバリー事業におきましては、eコマース市場の伸長による取扱個数の増加に加え適正運賃収受の取組みを継続的に行い、ロジスティクス事業におきましては、取引規模の増加や海外新倉庫稼働による事業拡大に努めました。また、決算日の変更に伴い、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ国内で11日分、海外で3か月分の営業収益が多く計上されました。この結果、営業収益は1兆450億32百万円となり、前連結会計年度に比べ12.3%増加となりました。
(営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
デリバリー事業を中心とした働き方改革・輸送インフラの強化に向けた従業員の採用強化及び定着率向上を目的とした給与体系の見直し等により人件費が増加、また、時間品質向上を目的とした路線便の増強及び委託先との単価の見直し等により、外注費が増加いたしました。一方、有形固定資産の減価償却方法の変更及び耐用年数の見直しを実施したことにより減価償却費が77億60百万円減少いたしました。
この結果、営業原価は9,370億2百万円(前期比11.1%増)、販売費及び一般管理費は453億20百万円(同22.2%増)となりました。一方、営業収益が増加したことにより、営業利益は627億9百万円(同26.8%増)となり、営業利益率は6.0%と前連結会計年度に比べ0.7ポイント上昇いたしました。
(営業外損益、経常利益)
持分法による投資利益が前連結会計年度に比べ6億88百万円増加したことなどにより営業外収益は59億34百万円となり、前連結会計年度に比べ21.8%増加となりました。営業外費用は、支払利息や為替差損の計上により37億73百万円となり、前連結会計年度に比べ20.3%増加となりました。
この結果、経常利益は648億70百万円(前期比26.7%増)となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
買収当初の計画遂行の遅れに伴い、SG SAGAWA EXPRESS VIETNAM.,LLCに帰属するのれんの一部について減損処理を実施するなど減損損失17億31百万円を計上したため、特別損失は22億85百万円(前期比4.8%減)となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は630億52百万円(同27.7%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等202億82百万円(前期比19.8%増)、非支配株主に帰属する当期純利益67億47百万円(同68.5%増)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は360億21百万円となり、前連結会計年度に比べ26.6%増加となりました。
なお、当連結会計年度から決算日を変更しているため、対前期増減率は単純比較による比率を記載しており(以下「② キャッシュ・フローの状況」、「③ 生産、受注及び販売の実績」においても同じ)、「決算日の変更」及び「有形固定資産の減価償却方法の変更及び耐用年数の見直し」による影響は次のとおりであります。
・決算日の変更
当社は、平成29年6月9日開催の第11回定時株主総会決議において定款を一部変更し、決算日を3月20日から3月31日に変更いたしました。これに伴い、すべての連結子会社について、決算日又は仮決算日を本変更後の連結決算日に統一しております。
この結果、決算日統一の経過期間となる当連結会計年度は、次の内容を反映しております。
以上の変更に伴う影響額は、営業収益489億円、営業利益30億円、経常利益29億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、それぞれ増加となりました。
・有形固定資産の減価償却方法の変更及び耐用年数の見直し
当社及び国内連結子会社は、従来、有形固定資産の減価償却方法については、主として定率法を採用しておりましたが、当連結会計年度から定額法に変更いたしました。また、デリバリー事業における車両の耐用年数を実態に即した耐用年数に変更いたしました。これにより、減価償却費が77億60百万円減少しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、eコマース市場の伸長により取扱個数が増加したことに加え、適正運賃収受による取組みを継続的に行いました。また、「GOAL」によるソリューション提供の拡大、「TMS」の強化及び株式会社日立物流との協業による付加価値の高い輸送サービスの拡大に努めてまいりました。
この結果、決算日変更に伴う影響もあり、当セグメントの営業収益は8,241億74百万円(前期比11.6%増)、営業利益は513億69百万円(同29.6%増)となりました。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、国内では既存顧客の取引量や越境通販貨物が増加したことに加え、大型物流受注案件のコスト改善に取り組みました。
海外では、フレイトフォワーディング等の物量の増加及び新倉庫稼働による事業拡大により、増収となりました。
この結果、決算日変更に伴う影響もあり、当セグメントの営業収益は1,404億16百万円(前期比27.1%増)、営業利益は16億27百万円(同106.9%増)となりました。
・不動産事業
不動産事業におきましては、平成30年2月にグループシナジーの創出を目的に佐川急便株式会社の営業所を併設した大型物流施設「SGリアルティ和光」(埼玉県和光市)が竣工いたしました。一方、所有する不動産を信託受益権化し継続的に売却いたしましたが、前連結会計年度から売却規模を縮小いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は106億71百万円(前期比39.1%減)、営業利益は55億97百万円(同8.8%増)となりました。
・その他
その他の事業におきましては、グループ連携によるソリューション事業の拡大、新車販売増加のほか、自動車整備事業や燃料販売、人材サービス等が好調に推移いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は697億70百万円(前期比8.8%増)、営業利益は57億37百万円(同0.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ375億65百万円増加し1,085億56百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は1,010億49百万円(前期比130.1%増)となりました。
主な要因は、収入要因として税金等調整前当期純利益の計上630億52百万円、仕入債務の増加260億28百万円、減価償却費の計上178億60百万円があった一方で、支出要因として法人税等の支払額104億7百万円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は346億98百万円(前期は1,118億26百万円の支出)となりました。
主な要因は、支出要因として有形固定資産の取得による支出247億48百万円、無形固定資産の取得による支出66億30百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は284億24百万円(前期は510億9百万円の獲得)となりました。
主な要因は、支出要因として長期借入金の返済による支出386億66百万円、リース債務の返済による支出48億11百万円を計上し、収入要因として自己株式の処分による収入111億4百万円、長期借入れによる収入100億47百万円計上をしたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメント別の営業収益及び当社グループの中核事業であるデリバリー事業の商品別取扱個数は次のとおりであります。
なお、当社グループは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業を中心とするサービス提供を主たる業務としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。
イ.セグメント別の営業収益
当連結会計年度のセグメント別の営業収益は、次のとおりであります。
(注)1.営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度から決算日を変更しているため、対前期増減率は単純比較による比率を記載しております。
ロ.デリバリー事業の商品別取扱個数
当連結会計年度のデリバリー事業の商品別取扱個数は、次のとおりであります。
(注)1.取扱個数は、当社グループの主要商品の取扱個数であります。
2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。
3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便及びその他の会社の取扱個数であります。
4.決算日変更による影響として、平成30年3月21日から平成30年3月31日までの取扱個数は40百万個(飛脚宅配便38百万個、その他2百万個)であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するに当たり、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積りを行い、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるためこれらの見積りとは異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
物流業界では雇用情勢の改善に伴う労働需給の逼迫、賃金上昇の懸念は継続し、また、政府主導のもと、長時間労働の是正及び同一労働同一賃金等の働き方改革に対する改正法案の施行が見込まれております。このような環境の中、当社グループにおきましては、デリバリー事業及びロジスティクス事業で労働力の確保が重要となっております。また、eコマース市場の成長に伴う個人向け荷物の増加、荷物の多品種小ロット化など、顧客の物流に対するニーズもますます多様化しております。
このような状況のもと、輸送品質の向上、安定的な輸送ネットワークを提供できる体制を構築するために、人員の増強、路線便の拡充、委託先との良好な関係の構築など、輸送インフラの強化に継続的に取り組んでおります。また、平成32年8月には大型中継センター「(仮称)SGリアルティ新砂」(東京都江東区)が竣工予定であり、高品質な輸送インフラによる顧客満足度の向上、労働環境の改善及び輸送能力の向上に努めてまいります。一方で、輸送コストが増加する中、当社グループでは収益の維持・向上のために取引先別・貨物別等の原価管理に基づいた適正運賃収受の取組みや、「GOAL」及び「TMS」による付加価値サービスの提供を行っております。
この結果、当連結会計年度の営業利益率は6.0%となり、前連結会計年度に比べ0.7ポイント上昇いたしました。
また、当社グループにおきましては、競争力のある物流施設の投資を実施するとともに、財務健全性の観点から不動産の流動化を実施しております。
この結果、利益剰余金の増加の影響もあり、自己資本比率は46.4%となり、前連結会計年度末に比べ2.5ポイント上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましても、働き方改革及び輸送インフラ強化による事業基盤の構築、継続的な適正運賃収受の取組み及び「GOAL」の推進等に取り組んでまいります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスも勘案し、必要に応じて長期借入金で調達しております。
当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。
また、海外子会社においては、当社が海外事業の統括会社であるSG HOLDINGS GLOBAL PTE. LTD.に対して、投資計画・資金計画に基づいて長期貸付または増資引き受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。なお、EXPOLANKA HOLDINGS PLCにおいては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。
翌連結会計年度につきましても、上記の方針に基づき資金調達を行う予定であります。なお、重要な設備の新設計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
ハ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
前連結会計年度からスタートした中期経営計画「First Stage 2018」(平成29年3月期から平成31年3月期)は、2年が経過し次のように進捗しております。当連結会計年度の営業収益は1兆450億32百万円(計画比4.5%増)、営業利益は627億9百万円(計画比8.1%増)、経常利益は648億70百万円(計画比8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益360億21百万円(計画比9.2%増)となりました。また、営業利益率は6.0%となり、計画に対して0.2ポイント上昇いたしました。
ニ.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、付加価値の高いサービス提供及び適正運賃収受の継続的な取組みにより、当連結会計年度の平均単価は549円(前期比7.4%増)、また決算日変更の影響により1,326百万個(同3.9%増)となりました。一方、輸送インフラの強化により人件費・外注費が増加いたしましたが、営業利益率は前連結会計年度に比べ上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましても、働き方改革及び輸送インフラの強化に一層注力するとともに、適正運賃の収受、付加価値サービスの提供に継続的に取り組んでまいります。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、国内の大型物流受注案件のコスト改善の取組み、海外のフレイトフォワーディングの強化等により、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度に比べ上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましては、「GOAL」の推進による3PL、国際物流の拡大や、引き続き越境通販貨物の拡販などを推進してまいります。
・不動産事業
不動産事業におきましては、利益率の高い不動産を売却したことから、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度に比べ上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましても、継続的に流動化を実施するとともに、競争力のある物流施設の投資を実施してまいります。
・その他
その他の事業におきましては、比較的利益率の低い新車販売や燃料販売が増加し、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度に比べ下降いたしました。
翌連結会計年度につきましては、物流事業に関連する付加価値サービスの拡大や、次代を見据えたビジネスモデルの構築・新技術導入等に取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、極めて緩和的な金融環境と政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に景気の拡大が続きました。
物流業界におきましては、eコマース市場の成長に伴う個人宅向け荷物の増加及び顧客のニーズが多様化する中、雇用情勢の改善に伴う労働需給の逼迫、賃金上昇の懸念は継続し、厳しい経営環境で推移いたしました。
当社グループにおきましては、中期経営計画「First Stage 2018」(平成29年3月期から平成31年3月期)の2年目として、グループ横断の営業戦略チーム「GOAL」を基軸としたソリューション力の強化及びグローバル物流ネットワークの拡大等に取り組んでまいりました。また、株式会社日立物流との資本業務提携のもと、営業連携による提案力強化及び事業拡大を推進してまいりました。
このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、適正運賃収受の継続的な取組み、「GOAL」による営業の推進、及び宅配便以外の付加価値を提供するソリューション「TMS」の強化を図ってまいりました。ロジスティクス事業におきましては、越境通販貨物やフレイトフォワーディングの物量増加により、好調に推移いたしました。不動産事業におきましては、所有する不動産を信託受益権化し継続的に売却いたしましたが、前連結会計年度から売却規模を縮小いたしました。その他の事業におきましても、当社グループが有する物流ネットワーク及びグループ経営資源の活用により、事業領域の拡充を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
イ.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は7,106億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ597億75百万円増加いたしました。
流動資産は3,101億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ395億20百万円増加いたしました。主な要因は、決算日の変更に伴い、現金及び預金が375億59百万円増加したことによるものであります。
固定資産は4,004億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ202億97百万円増加いたしました。主な要因は、「SGリアルティ和光」の竣工に伴い建物及び構築物が88億58百万円、減価償却方法の変更及び耐用年数の見直しにより車両運搬具が55億59百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は3,524億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ113億38百万円増加いたしました。
流動負債は1,951億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ230億9百万円増加いたしました。主な要因は、決算日の変更に伴う仕入債務の支払時期の変更により支払手形及び営業未払金が250億91百万円増加したことによるものであります。
固定負債は1,572億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ116億71百万円減少いたしました。主な要因は、流動負債への振替により長期借入金が98億54百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は3,582億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ484億37百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益が360億21百万円となったことに加え、自己株式の処分等により資本剰余金が71億84百万円増加した一方で、剰余金の配当37億24百万円を実施したことであります。
ロ.経営成績
(営業収益)
デリバリー事業におきましては、eコマース市場の伸長による取扱個数の増加に加え適正運賃収受の取組みを継続的に行い、ロジスティクス事業におきましては、取引規模の増加や海外新倉庫稼働による事業拡大に努めました。また、決算日の変更に伴い、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ国内で11日分、海外で3か月分の営業収益が多く計上されました。この結果、営業収益は1兆450億32百万円となり、前連結会計年度に比べ12.3%増加となりました。
(営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
デリバリー事業を中心とした働き方改革・輸送インフラの強化に向けた従業員の採用強化及び定着率向上を目的とした給与体系の見直し等により人件費が増加、また、時間品質向上を目的とした路線便の増強及び委託先との単価の見直し等により、外注費が増加いたしました。一方、有形固定資産の減価償却方法の変更及び耐用年数の見直しを実施したことにより減価償却費が77億60百万円減少いたしました。
この結果、営業原価は9,370億2百万円(前期比11.1%増)、販売費及び一般管理費は453億20百万円(同22.2%増)となりました。一方、営業収益が増加したことにより、営業利益は627億9百万円(同26.8%増)となり、営業利益率は6.0%と前連結会計年度に比べ0.7ポイント上昇いたしました。
(営業外損益、経常利益)
持分法による投資利益が前連結会計年度に比べ6億88百万円増加したことなどにより営業外収益は59億34百万円となり、前連結会計年度に比べ21.8%増加となりました。営業外費用は、支払利息や為替差損の計上により37億73百万円となり、前連結会計年度に比べ20.3%増加となりました。
この結果、経常利益は648億70百万円(前期比26.7%増)となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
買収当初の計画遂行の遅れに伴い、SG SAGAWA EXPRESS VIETNAM.,LLCに帰属するのれんの一部について減損処理を実施するなど減損損失17億31百万円を計上したため、特別損失は22億85百万円(前期比4.8%減)となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は630億52百万円(同27.7%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等202億82百万円(前期比19.8%増)、非支配株主に帰属する当期純利益67億47百万円(同68.5%増)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は360億21百万円となり、前連結会計年度に比べ26.6%増加となりました。
なお、当連結会計年度から決算日を変更しているため、対前期増減率は単純比較による比率を記載しており(以下「② キャッシュ・フローの状況」、「③ 生産、受注及び販売の実績」においても同じ)、「決算日の変更」及び「有形固定資産の減価償却方法の変更及び耐用年数の見直し」による影響は次のとおりであります。
・決算日の変更
当社は、平成29年6月9日開催の第11回定時株主総会決議において定款を一部変更し、決算日を3月20日から3月31日に変更いたしました。これに伴い、すべての連結子会社について、決算日又は仮決算日を本変更後の連結決算日に統一しております。
この結果、決算日統一の経過期間となる当連結会計年度は、次の内容を反映しております。
会社 | 従来連結財務諸表作成 に当たって使用してい た財務諸表 | 統一後の決算日 | 当連結会計年度への 反映期間 |
当社及び国内連結子会社 | 3月20日の決算に基づく財務諸表 | 3月31日 | 平成29年3月21日から 平成30年3月31日まで |
海外連結子会社 (従来の決算日が12月31日で 現地法令上決算日の変更ができる会社) | 12月31日の決算に基づく財務諸表 | 3月31日 | 平成29年1月1日から 平成30年3月31日まで |
海外連結子会社 (従来の決算日が12月31日で 現地法令上決算日の変更ができない会社) | 12月31日の決算に基づく財務諸表 | 12月31日 | 平成29年1月1日から 平成30年3月31日まで (仮決算) |
海外連結子会社 (従来の決算日が3月31日の会社) | 12月31日の仮決算に基づく財務諸表 | 3月31日 | 平成29年1月1日から 平成30年3月31日まで |
以上の変更に伴う影響額は、営業収益489億円、営業利益30億円、経常利益29億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、それぞれ増加となりました。
・有形固定資産の減価償却方法の変更及び耐用年数の見直し
当社及び国内連結子会社は、従来、有形固定資産の減価償却方法については、主として定率法を採用しておりましたが、当連結会計年度から定額法に変更いたしました。また、デリバリー事業における車両の耐用年数を実態に即した耐用年数に変更いたしました。これにより、減価償却費が77億60百万円減少しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、eコマース市場の伸長により取扱個数が増加したことに加え、適正運賃収受による取組みを継続的に行いました。また、「GOAL」によるソリューション提供の拡大、「TMS」の強化及び株式会社日立物流との協業による付加価値の高い輸送サービスの拡大に努めてまいりました。
この結果、決算日変更に伴う影響もあり、当セグメントの営業収益は8,241億74百万円(前期比11.6%増)、営業利益は513億69百万円(同29.6%増)となりました。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、国内では既存顧客の取引量や越境通販貨物が増加したことに加え、大型物流受注案件のコスト改善に取り組みました。
海外では、フレイトフォワーディング等の物量の増加及び新倉庫稼働による事業拡大により、増収となりました。
この結果、決算日変更に伴う影響もあり、当セグメントの営業収益は1,404億16百万円(前期比27.1%増)、営業利益は16億27百万円(同106.9%増)となりました。
・不動産事業
不動産事業におきましては、平成30年2月にグループシナジーの創出を目的に佐川急便株式会社の営業所を併設した大型物流施設「SGリアルティ和光」(埼玉県和光市)が竣工いたしました。一方、所有する不動産を信託受益権化し継続的に売却いたしましたが、前連結会計年度から売却規模を縮小いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は106億71百万円(前期比39.1%減)、営業利益は55億97百万円(同8.8%増)となりました。
・その他
その他の事業におきましては、グループ連携によるソリューション事業の拡大、新車販売増加のほか、自動車整備事業や燃料販売、人材サービス等が好調に推移いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は697億70百万円(前期比8.8%増)、営業利益は57億37百万円(同0.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ375億65百万円増加し1,085億56百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は1,010億49百万円(前期比130.1%増)となりました。
主な要因は、収入要因として税金等調整前当期純利益の計上630億52百万円、仕入債務の増加260億28百万円、減価償却費の計上178億60百万円があった一方で、支出要因として法人税等の支払額104億7百万円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は346億98百万円(前期は1,118億26百万円の支出)となりました。
主な要因は、支出要因として有形固定資産の取得による支出247億48百万円、無形固定資産の取得による支出66億30百万円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は284億24百万円(前期は510億9百万円の獲得)となりました。
主な要因は、支出要因として長期借入金の返済による支出386億66百万円、リース債務の返済による支出48億11百万円を計上し、収入要因として自己株式の処分による収入111億4百万円、長期借入れによる収入100億47百万円計上をしたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメント別の営業収益及び当社グループの中核事業であるデリバリー事業の商品別取扱個数は次のとおりであります。
なお、当社グループは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業を中心とするサービス提供を主たる業務としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。
イ.セグメント別の営業収益
当連結会計年度のセグメント別の営業収益は、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成28年3月21日 至 平成29年3月20日) | 当連結会計年度 (自 平成29年3月21日 至 平成30年3月31日) | ||
金額(百万円) | 前期比(%) | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
デリバリー事業 | 738,186 | 102.3 | 824,174 | 111.6 |
ロジスティクス事業 | 110,471 | 96.8 | 140,416 | 127.1 |
不動産事業 | 17,513 | 36.8 | 10,671 | 60.9 |
その他 | 64,134 | 106.8 | 69,770 | 108.8 |
合計 | 930,305 | 98.6 | 1,045,032 | 112.3 |
(注)1.営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度から決算日を変更しているため、対前期増減率は単純比較による比率を記載しております。
ロ.デリバリー事業の商品別取扱個数
当連結会計年度のデリバリー事業の商品別取扱個数は、次のとおりであります。
商品の名称 | 前連結会計年度 (自 平成28年3月21日 至 平成29年3月20日) | 当連結会計年度 (自 平成29年3月21日 至 平成30年3月31日) | ||
取扱個数 | (百万個) | 1,276 | 1,326 | |
飛脚宅配便 | (百万個) | 1,218 | 1,262 | |
その他 | (百万個) | 58 | 63 |
(注)1.取扱個数は、当社グループの主要商品の取扱個数であります。
2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。
3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便及びその他の会社の取扱個数であります。
4.決算日変更による影響として、平成30年3月21日から平成30年3月31日までの取扱個数は40百万個(飛脚宅配便38百万個、その他2百万個)であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するに当たり、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積りを行い、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるためこれらの見積りとは異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
物流業界では雇用情勢の改善に伴う労働需給の逼迫、賃金上昇の懸念は継続し、また、政府主導のもと、長時間労働の是正及び同一労働同一賃金等の働き方改革に対する改正法案の施行が見込まれております。このような環境の中、当社グループにおきましては、デリバリー事業及びロジスティクス事業で労働力の確保が重要となっております。また、eコマース市場の成長に伴う個人向け荷物の増加、荷物の多品種小ロット化など、顧客の物流に対するニーズもますます多様化しております。
このような状況のもと、輸送品質の向上、安定的な輸送ネットワークを提供できる体制を構築するために、人員の増強、路線便の拡充、委託先との良好な関係の構築など、輸送インフラの強化に継続的に取り組んでおります。また、平成32年8月には大型中継センター「(仮称)SGリアルティ新砂」(東京都江東区)が竣工予定であり、高品質な輸送インフラによる顧客満足度の向上、労働環境の改善及び輸送能力の向上に努めてまいります。一方で、輸送コストが増加する中、当社グループでは収益の維持・向上のために取引先別・貨物別等の原価管理に基づいた適正運賃収受の取組みや、「GOAL」及び「TMS」による付加価値サービスの提供を行っております。
この結果、当連結会計年度の営業利益率は6.0%となり、前連結会計年度に比べ0.7ポイント上昇いたしました。
また、当社グループにおきましては、競争力のある物流施設の投資を実施するとともに、財務健全性の観点から不動産の流動化を実施しております。
この結果、利益剰余金の増加の影響もあり、自己資本比率は46.4%となり、前連結会計年度末に比べ2.5ポイント上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましても、働き方改革及び輸送インフラ強化による事業基盤の構築、継続的な適正運賃収受の取組み及び「GOAL」の推進等に取り組んでまいります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスも勘案し、必要に応じて長期借入金で調達しております。
当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。
また、海外子会社においては、当社が海外事業の統括会社であるSG HOLDINGS GLOBAL PTE. LTD.に対して、投資計画・資金計画に基づいて長期貸付または増資引き受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。なお、EXPOLANKA HOLDINGS PLCにおいては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。
翌連結会計年度につきましても、上記の方針に基づき資金調達を行う予定であります。なお、重要な設備の新設計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
ハ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
前連結会計年度からスタートした中期経営計画「First Stage 2018」(平成29年3月期から平成31年3月期)は、2年が経過し次のように進捗しております。当連結会計年度の営業収益は1兆450億32百万円(計画比4.5%増)、営業利益は627億9百万円(計画比8.1%増)、経常利益は648億70百万円(計画比8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益360億21百万円(計画比9.2%増)となりました。また、営業利益率は6.0%となり、計画に対して0.2ポイント上昇いたしました。
ニ.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、付加価値の高いサービス提供及び適正運賃収受の継続的な取組みにより、当連結会計年度の平均単価は549円(前期比7.4%増)、また決算日変更の影響により1,326百万個(同3.9%増)となりました。一方、輸送インフラの強化により人件費・外注費が増加いたしましたが、営業利益率は前連結会計年度に比べ上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましても、働き方改革及び輸送インフラの強化に一層注力するとともに、適正運賃の収受、付加価値サービスの提供に継続的に取り組んでまいります。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、国内の大型物流受注案件のコスト改善の取組み、海外のフレイトフォワーディングの強化等により、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度に比べ上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましては、「GOAL」の推進による3PL、国際物流の拡大や、引き続き越境通販貨物の拡販などを推進してまいります。
・不動産事業
不動産事業におきましては、利益率の高い不動産を売却したことから、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度に比べ上昇いたしました。
翌連結会計年度につきましても、継続的に流動化を実施するとともに、競争力のある物流施設の投資を実施してまいります。
・その他
その他の事業におきましては、比較的利益率の低い新車販売や燃料販売が増加し、当連結会計年度の営業利益率は前連結会計年度に比べ下降いたしました。
翌連結会計年度につきましては、物流事業に関連する付加価値サービスの拡大や、次代を見据えたビジネスモデルの構築・新技術導入等に取り組んでまいります。