有価証券報告書-第17期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/26 15:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、感染症による経済社会活動の制限が緩和される中、景気は緩やかに持ち直してきましたが、物価上昇や為替相場での円安の継続等のほか、消費者マインドに弱い動きがみられるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。世界に目を向けると、インフレの進行とこれに対応した金融引き締め政策の継続、地政学リスクの拡大などを背景に一部で景気後退が懸念されるなど、不確実性がより高まっております。
物流業界におきましては、国内では、インフレの進行等を背景に足元の宅配便需要は不安定な状況にありますが、コロナ禍を契機に新たな生活様式として幅広い世代でEC利用が定着し、宅配便に対するニーズは多様化しております。また、「2024年問題」に向けた対応や、急激なインフレの進行等を背景に、当社グループを含む大手事業者を中心に価格改定の動きが加速しております。国際物流市場では、世界経済の減速等に伴い、海上・航空貨物の需要は縮小傾向にあり、海上・航空運賃については前第3四半期連結会計期間をピークに平常化が進行する中で、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループにおきましては、2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画の初年度として、総合物流ソリューションの高度化を推し進め、グループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム 「GOAL」を中心に、脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスや、宅配便以外の付加価値を提供するソリューション「TMS」等の提案営業を積極的に行ってまいりました。また、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーの活用や環境に配慮した物流施設の開発等、当社グループの温室効果ガス排出量を削減することにとどまらず、効率的な物流サービスの提供によりお客様の環境負荷低減に貢献するなど、サプライチェーン全体を見据えた環境負荷低減の取組みを進めてまいりました。その結果、国際環境非営利団体CDPから、気候変動対応における世界の先進企業として最高評価である「気候変動Aリスト」に2年連続で選定されました。
このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、第3四半期連結会計期間の前半頃までは経済社会活動の制限緩和やEC市場規模の拡大等を背景に、宅配便の取扱個数は堅調に推移しておりましたが、物価調整後の家計消費支出の弱まり等も影響し、第3四半期連結会計期間の後半頃からは荷動きが鈍化いたしました。他方で、「GOAL」を中心とした積極的な営業活動により、「TMS」は前期を上回って推移いたしました。また、コスト上昇については、当連結会計年度においては取扱量に応じた人員配置や継続的な生産性向上の取組みにより、業績に大きな影響を与えない範囲でコントロールしてまいりました。しかしながら、燃料・電力等のエネルギーに関連する費用や人件費、外注費など様々な費用の上昇圧力が高まっていることを踏まえ、宅配便の輸送インフラとその品質を維持・向上することを目的に、2023年4月1日からの宅配便届出運賃等の改定を公表いたしました。ロジスティクス事業におきましては、物価上昇と金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、米国での消費財を中心とした在庫過多等の影響を受け、海上・航空貨物ともに取扱量が大幅に減少いたしました。また、海上・航空運賃についても下落いたしました。不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。その他の事業におきましては、「GOAL」でのトータルロジスティクス提案による物流IT案件の取引が増加したものの、半導体不足等の影響により新車販売が減少いたしました。なお、当連結会計年度において特別利益として投資有価証券売却益を497億87百万円計上しておりますが、これは当社が保有していたロジスティード株式会社の株式について、2022年11月のHTSK株式会社による公開買付けへの応募等により全てを売却したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
イ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,065億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ168億60百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が908億51百万円増加した一方で、受取手形、営業未収金及び契約資産が624億61百万円、販売用不動産が76億77百万円、前払金の減少等によりその他流動資産が27億78百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は4,984億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ336億97百万円減少いたしました。主な要因は、ロジスティード株式会社の株式売却等により投資有価証券が523億7百万円減少した一方で、ロジスティクス事業における子会社株式の取得に伴うのれんの計上等によりのれんが97億28百万円、その他有形固定資産が52億96百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、総資産は9,049億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ168億37百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,289億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ489億30百万円減少いたしました。主な要因は、支払手形及び営業未払金が172億8百万円、短期借入金が150億9百万円、1年内返済予定の長期借入金が76億35百万円、賞与引当金が69億98百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定負債は1,086億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ234億9百万円減少いたしました。主な要因は、長期借入金の返済等により有利子負債が151億53百万円、繰延税金負債の減少等によりその他固定負債が86億62百万円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は3,375億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ723億40百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,674億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ555億3百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,265億11百万円を計上した一方で、剰余金の配当349億38百万円の実施、ロジスティード株式会社の株式売却等によりその他有価証券評価差額金が211億46百万円減少したことに加え、自己株式の取得により自己株式が100億円増加(純資産への影響は減少)したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は61.2%となり、前連結会計年度末に比べ7.4ポイント上昇いたしました。
ロ.経営成績
(営業収益)
デリバリー事業におきましては、第3四半期連結会計期間の前半頃までは経済社会活動の制限緩和やEC市場規模の拡大等を背景に、宅配便の取扱個数は堅調に推移しておりましたが、物価調整後の家計消費支出の弱まり等も影響し、第3四半期連結会計期間の後半頃からは荷動きが鈍化いたしました。他方で、「GOAL」を中心とした積極的な営業活動により、「TMS」は前期を上回って推移いたしました。ロジスティクス事業におきましては、物価上昇と金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、米国での消費財を中心とした在庫過多等の影響を受け、海上・航空貨物ともに取扱量が大幅に減少いたしました。不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。その他の事業におきましては、「GOAL」でのトータルロジスティクス提案による物流IT案件の取引が増加したものの、半導体不足等の影響により新車販売が減少いたしました。
この結果、営業収益は1兆4,346億9百万円となり、前連結会計年度に比べ9.7%の減少となりました。
(営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
デリバリー事業を中心に、取扱量に応じた人員配置や継続的な生産性向上の取組みにより、業績に大きな影響を与えない範囲でコントロールしてまいりました。
この結果、営業原価は1兆2,375億66百万円(前期比10.1%減)、販売費及び一般管理費は617億67百万円(同9.6%増)となりました。営業利益は1,352億75百万円(同13.1%減)となり、営業利益率は9.4%と前連結会計年度に比べ0.4%ポイント低下いたしました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、受取保険配当金や為替差益の計上等により45億79百万円(前期比31.4%減)となりました。営業外費用は、支払利息の計上等により19億13百万円(同8.7%減)となりました。
この結果、経常利益は1,379億41百万円となり、前連結会計年度に比べ13.9%の減少となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
特別利益は、投資有価証券売却益の計上等により498億40百万円(前期は30億40百万円)となりました。特別損失は、減損損失の計上等により3億23百万円(前期比88.1%減)となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は1,874億58百万円となり、前連結会計年度に比べ16.7%の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等577億36百万円(前期比30.9%増)、非支配株主に帰属する当期純利益32億10百万円(同67.1%減)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,265億11百万円となり、前連結会計年度に比べ18.5%の増加となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、第3四半期連結会計期間の前半頃までは経済社会活動の制限緩和やEC市場規模の拡大等を背景に、BtoB・BtoCの荷物はともに堅調に推移いたしました。第3四半期連結会計期間の後半頃からは物価調整後の家計消費支出の弱まり等も影響し、いずれも荷動きが鈍化いたしました。平均単価は、適正運賃収受の取組みを継続しているものの、大型荷物の取扱いが減少した影響等により、わずかに低下いたしました。他方で、「TMS」は「GOAL」による提案営業の成果として、前期を上回って推移いたしました。2022年10月には、当社の連結子会社である佐川急便株式会社の大型中継センター新設計画(兵庫県尼崎市、2026年7月稼働予定)を公表するなど、宅配便市場の中長期的な成長等を見据えた宅配便ネットワークの維持・向上のための投資も継続しております。また、コスト上昇については、当連結会計年度においては取扱量に応じた人員配置や継続的な生産性向上の取組みにより、業績に大きな影響を与えない範囲でコントロールしてまいりました。しかしながら、燃料・電力等のエネルギーに関連する費用や人件費、外注費など様々な費用の上昇圧力が高まっていることを踏まえ、宅配便の輸送インフラとその品質を維持・向上することを目的に、2023年4月1日からの宅配便届出運賃等の改定を公表いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は1兆473億64百万円(前期比0.4%増)、営業利益は997億74百万円(同7.0%増)となりました。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、海上・航空運賃ともに前第3四半期連結会計期間をピークに下落しております。海上・航空貨物の取扱量につきましては、物価上昇と金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、米国での消費財を中心とした在庫過多等の影響等により、大幅に減少いたしました。中長期的な成長に向けては、当社の連結子会社であるEFL GLOBAL LLCがアメリカの通関事業者を、同EFL GLOBAL LOGISTICS (PTE.) LTD.がカナダのフォワーディングを中心とした物流事業者を子会社化するなど、国際輸送サービス強化のための取組みを実施してまいりました。国内におきましては、「GOAL」による包括的なソリューション提案等により、新規案件を受託するなど堅調に推移いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は3,148億77百万円(前期比34.0%減)、営業利益は192億39百万円(同60.3%減)となりました。
・不動産事業
不動産事業におきましては、計画的に保有不動産を売却いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は195億49百万円(前期比73.1%増)、営業利益は99億38百万円(同50.3%増)となりました。
・その他
その他の事業におきましては、「GOAL」でのトータルロジスティクス提案による物流IT案件の取引が増加したものの、半導体不足等の影響により新車販売が減少いたしました。
この結果、当セグメントの営業収益は528億18百万円(前期比7.1%減)、営業利益は42億94百万円(同7.8%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ908億51百万円増加し1,782億49百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は1,653億85百万円(前期比102.1%増)となりました。
主な要因は、収入要因として税金等調整前当期純利益1,874億58百万円、売上債権の減少額686億43百万円をそれぞれ計上した一方で、支出要因として法人税等の支払額530億55百万円、投資有価証券売却益497億87百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得た資金は280億28百万円(前期は452億70百万円の支出)となりました。
主な要因は、収入要因として投資有価証券の売却による収入720億68百万円を計上した一方で、支出要因として有形固定資産の取得による支出246億42百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出120億52百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は1,054億69百万円(前期は253億72百万円の支出)となりました。
主な要因は、支出要因として配当金の支払額349億40百万円、長期借入金の返済による支出264億42百万円、短期借入金の純減額179億7百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出112億38百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
セグメント別の営業収益及び当社グループの中核事業であるデリバリー事業の商品別取扱個数は次のとおりであります。
なお、当社グループは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業を中心とするサービス提供を主たる業務としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。
イ.セグメント別の営業収益
当連結会計年度のセグメント別の営業収益は、次のとおりであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)
デリバリー事業1,043,186102.81,047,364100.4
ロジスティクス事業477,031229.6314,87766.0
不動産事業11,29249.419,549173.1
その他56,86485.552,81892.9
合計1,588,375121.11,434,60990.3

(注)営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。
ロ.デリバリー事業の商品別取扱個数
当連結会計年度のデリバリー事業の商品別取扱個数は、次のとおりであります。
商品の名称前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
取扱個数(百万個)1,4231,410
飛脚宅配便(百万個)1,3691,359
その他(百万個)5450

(注)1.取扱個数は、当社グループの主要商品の取扱個数であります。
2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。
3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便及びその他の会社の取扱個数であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの事業セグメントは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、不動産事業とその他で構成され、主要セグメントであるデリバリー事業が、当連結会計年度において営業収益の7割程度を占めております。
・デリバリー事業
デリバリー事業におきましては、主力の宅配便に加え、あらゆる「運ぶ」で付加価値を提供する「TMS」をはじめとした、「GOAL」による付加価値の高い物流ソリューションの開発・提供を行っております。また、これらの物流ソリューションの提供は、自社のセールスドライバーや外部輸送業者を通じて行うことから、営業費用の80%以上を人件費と外注費が占めております。そのため、働き方改革の推進、輸送品質の維持・向上や輸送インフラの強化、デジタライゼーションによる生産性向上等に継続的に取り組み、人件費・外注費の適切なコストコントロールに注力しております。
当連結会計年度の宅配便の取扱個数は、第3四半期連結会計期間の前半頃までは経済社会活動の制限緩和やEC市場規模の拡大等を背景に堅調に推移しておりましたが、物価調整後の家計消費支出の弱まり等も影響し、第3四半期連結会計期間の後半頃からは荷動きが鈍化したことにより、通期で1,410百万個(前期比0.9%減)となりました。一方、平均単価は、適正運賃収受の取組みを継続しているものの、大型荷物の取扱いが減少した影響等により、643円(同0.5%減)とわずかに低下いたしました。また、「TMS」は、「GOAL」による提案営業の成果として、通期で営業収益1,197億44百万円(同16.9%増)となりました(前連結会計年度のTMSの営業収益には一部グループ内取引が含まれていたため、当連結会計年度では当該取引を除いた金額で算出し、前期比を算出しております)。この結果、当セグメントの営業収益は1兆473億64百万円(同0.4%増)となりました。
人件費及び外注費につきましては、それぞれ3,578億83百万円(同4.5%減)、4,968億41百万円(同3.0%増)となりました。人件費減少の主な要因は、取扱量に応じた人員配置や継続的な生産性向上の取組みの効果であります。また、前連結会計年度の特殊要因であった一時金支給が当連結会計年度では発生しなかったことも影響しております。一方、外注費増加の主な要因は、「TMS」の売上が増加したことに伴う費用の増加であります。この結果、営業利益は997億74百万円(同7.0%増)となり、営業利益率は9.5%と前連結会計年度から0.6ポイント上昇いたしました。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、主に当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLCを中心に海外で展開するフレイトフォワーディングに加え、デリバリー事業と連携した3PLや日本発着の国際輸送を展開しております。当セグメントは、フレイトフォワーディングを中心とする国際物流事業と3PLを中心とする国内物流事業とに区分しており、営業収益の構成比は、それぞれおおよそ7割程度、3割程度となっております。
当連結会計年度におきましては、物価上昇と金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、米国での消費財を中心とした在庫過多等の影響を受け、海上・航空貨物ともに取扱量が大幅に減少いたしました。また、海上・航空運賃についても下落いたしました。一方、国内におきましては、「GOAL」による包括的なソリューション提案等により、新規案件を受託するなど堅調に推移いたしました。これらにより、営業収益は3,148億77百万円(前期比34.0%減)、営業利益は192億39百万円(同60.3%減)となりました。この結果、営業利益率は6.1%と前連結会計年度から4.1ポイント低下いたしました。
・不動産事業
不動産事業におきましては、当社グループの物流施設を中心に不動産の開発、賃貸、管理を行っております。
当連結会計年度におきましては、物流施設にかかる保有不動産の売却額が前連結会計年度に比べ約80億円増加したことを主因に、営業収益は195億49百万円(前期比73.1%増)となりました。また、保有不動産の売却額増加を主因に、営業利益は99億38百万円(同50.3%増)となりましたが、営業利益率は50.8%と前連結会計年度から7.8ポイント低下いたしました。
・その他
その他の事業におきましては、人材派遣・請負、宅配便の代金引換サービスや物流システムの開発・運用等の物流附帯サービスを提供しております。
当連結会計年度におきましては、「GOAL」でのトータルロジスティクス提案による物流IT案件の取引が増加したものの、半導体不足等の影響により新車販売が減少し、営業収益は528億18百万円(前期比7.1%減)、営業利益は42億94百万円(同7.8%減)となり、営業利益率は8.1%と前連結会計年度から0.1ポイント低下いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、高い財務健全性と資本効率を両立しつつ、中長期的な企業価値向上のための成長投資の実施と株主還元の充実を図ることを財務戦略の基本方針としております。
・財務健全性の状況
当社グループは、中長期的な企業価値向上のための成長投資を支える強固な財務基盤が必要と考えております。当連結会計年度末の自己資本比率は61.2%となり、前連結会計年度末に比べ7.4%ポイント上昇いたしました。今後も財務健全性の維持に努めてまいります。
・資本効率の向上
当社グループは資本コストを重視し、投資において投下資本利益率が資本コストを上回るよう管理し、ROEの維持・向上を意識した経営を実施しております。当連結会計年度のROEは24.1%と、前連結会計年度から0.2ポイント上昇いたしました。今後も成長が期待される分野へ規律ある投資を行うことで、企業価値の最大化に努めてまいります。
・フリーキャッシュ・フローの状況
当社グループは、フリーキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義し、成長投資、内部留保や株主還元などを検討する際の指標の一つとして重視しております。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー81,822165,38583,562
投資活動によるキャッシュ・フロー△45,27028,02873,298
フリーキャッシュ・フロー36,552193,413156,861

・株主還元
当社グループは、株主へ配当金による利益還元を実施しております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。また、当連結会計年度におきましては、株主還元の強化と資本効率の向上を図ることを目的として、2022年10月3日から2023年3月24日までの間に自己株式5,036,600株(取得価額100億円)を取得いたしました。
・流動性の状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、1,782億49百万円となりました。当連結会計年度末の短期借入金153億96百万円と、1年内返済予定の長期借入金186億66百万円の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
・資金調達手段
当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスを勘案し、必要に応じて外部から長期借入金で調達しております。
当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。
海外子会社においては、当社が、投資計画・資金計画に基づいて貸付又は増資引受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。また、外貨資金需要への機動的な対応と調達手段の多様化を目的として、金融機関との間に外貨建貸越極度枠を設定しております。なお、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLC及び上海虹迪物流科技有限公司においては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。
翌連結会計年度につきましても、上記の方針に基づき資金調達を行う予定であります。なお、重要な設備の新設計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するに当たり、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積りを行い、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるためこれらの見積りとは異なる場合があります。