四半期報告書-第17期第3四半期(2022/10/01-2022/12/31)

【提出】
2023/02/09 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という)による経済社会活動の制限が緩和される中、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられました。一方で、物価上昇や為替相場での円安の進展などのほか、消費者マインドに弱い動きがみられるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。世界に目を向けると、インフレの進行や地政学リスクの拡大、金融引き締めなどを背景に一部で景気後退が懸念されるなど、不確実性がより高まっております。
物流業界におきましては、コロナ禍を契機とした新たな生活様式の定着化が進み、eコマース(以下「EC」という)市場規模の拡大ペースは落ち着いてきたものの引き続き成長しており、小型貨物を中心に宅配便に対する高い需要は継続しております。一方で、国際物流市場では、世界経済の減速などに伴い、海上・航空貨物の需要は縮小傾向にあり、海上・航空運賃については前第3四半期連結会計期間をピークに正常化が進行する中で、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループにおきましては、2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2024」の初年度として、総合物流ソリューションの高度化を推し進め、グループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL(GO Advanced Logistics)」(以下「GOAL」という)を中心に、脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスや、宅配便以外の付加価値を提供するソリューション「TMS(Transportation Management System)」(以下「TMS」という)などの提案営業を積極的に行ってまいりました。また、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーの活用や環境に配慮した物流施設の開発等、当社グループのCO₂排出量を削減することにとどまらず、効率的な物流サービスの提供によりお客さまの環境負荷低減に貢献するなど、サプライチェーン全体を見据えた環境負荷低減の取組みを進めてまいりました。その結果、当第3四半期連結会計期間において、国際環境非営利団体CDPから、気候変動対応における世界の先進企業として最高評価である「Aリスト」に2年連続で選定されました。
このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、当第3四半期連結会計期間の前半は経済社会活動の制限緩和やEC市場規模の拡大等を背景に、宅配便の取扱個数は堅調に推移しておりましたが、後半にかけては荷動きが鈍化いたしました。他方で、「GOAL」を中心とした積極的な営業活動により、「TMS」は堅調に推移いたしました。また、コスト上昇については、取扱量に応じた人員配置や継続的な生産性向上の取組みにより、現時点では業績に大きな影響を与えない範囲でコントロールできておりますが、燃料・電力等のエネルギーに関連する費用や人件費、外注費など様々な費用の上昇圧力は高まっております。ロジスティクス事業におきましては、物価上昇や金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、米国での消費財を中心とした在庫過多等の影響を受けたほか、例年のような米国でのクリスマス商戦に向けたフォワーディング需要の盛り上がりがみられなかったこと等により、海上・航空貨物ともに取扱量が大幅に減少いたしました。このような状況に伴い、海上・航空運賃についても、いずれも下落いたしました。不動産事業におきましては、前連結会計年度に実施した物件売却の影響もあり賃貸料収入は減少いたしましたが、計画どおり進捗しております。その他の事業におきましては、「GOAL」でのトータルロジスティクス提案による物流IT案件の取引が増加したものの、半導体不足等の影響により新車販売が減少いたしました。なお、当第3四半期連結累計期間において特別利益として投資有価証券売却益497億87百万円を計上しておりますが、これは当社が保有していた株式会社日立物流の株式について、2022年11月のHTSK株式会社による公開買付けへの応募などにより全てを売却したことによるものであります。
この結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
イ.財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は4,214億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ317億92百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が540億49百万円増加した一方で、受取手形、営業未収金及び契約資産が175億37百万円、前払金の減少等によりその他流動資産が30億19百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は4,826億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ494億68百万円減少いたしました。主な要因は、株式会社日立物流の株式売却等により投資有価証券が533億3百万円、リース資産(有形固定資産)が20億45百万円減少した一方で、工具、器具及び備品の増加等によりその他有形固定資産が35億47百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は9,041億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ176億76百万円減少いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は2,436億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ342億29百万円減少いたしました。主な要因は、短期借入金が223億16百万円、賞与引当金が141億80百万円、支払手形及び営業未払金が119億57百万円それぞれ減少した一方で、預り金が138億20百万円増加したことによるものであります。固定負債は1,093億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ226億64百万円減少いたしました。主な要因は、長期借入金の返済等により有利子負債が149億96百万円、繰延税金負債の減少等によりその他固定負債が83億7百万円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は3,529億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ568億94百万円減少いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は5,511億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ392億17百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益1,079億80百万円の計上や剰余金の配当349億38百万円の実施等により利益剰余金が659億93百万円増加した一方で、株式会社日立物流の株式売却等によりその他有価証券評価差額金が216億21百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は59.5%となり、前連結会計年度末に比べ5.7ポイント上昇いたしました。
ロ.経営成績
(営業収益)
デリバリー事業におきましては、当第3四半期連結会計期間の前半は経済社会活動の制限緩和やEC市場規模の拡大等を背景に、宅配便の取扱個数は堅調に推移しておりましたが、後半にかけては荷動きが鈍化いたしました。他方で、「GOAL」を中心とした積極的な営業活動により、「TMS」は堅調に推移いたしました。ロジスティクス事業におきましては、物価上昇や金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、米国での消費財を中心とした在庫過多等の影響を受けたほか、例年のような米国でのクリスマス商戦に向けたフォワーディング需要の盛り上がりがみられなかったこと等により、海上・航空貨物ともに取扱量が大幅に減少いたしました。
この結果、営業収益は1兆1,155億67百万円となり、前年同四半期に比べ4.4%の減少となりました。
(営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
デリバリー事業を中心に、取扱量に連動した適切なコストコントロールや生産性の向上に向けた取組みを継続して行ってまいりました。
この結果、営業原価は9,631億40百万円(前年同四半期比4.9%減)、販売費及び一般管理費は458億37百万円(同16.0%増)、営業利益は1,065億88百万円(同7.2%減)となり、営業利益率は9.6%となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、為替差益の計上等により49億54百万円(前年同四半期比54.7%増)となりました。営業外費用は、支払利息の計上等により13億60百万円(同3.7%減)となりました。
この結果、経常利益は1,101億82百万円となり、前年同四半期に比べ5.5%の減少となりました。
(特別損益、税金等調整前四半期純利益)
特別利益は、投資有価証券売却益の計上等により498億32百万円(前年同四半期は30億31百万円)となりました。特別損失は、固定資産除却損の計上等により1億89百万円(前年同四半期比65.1%減)となりました。
この結果、税金等調整前四半期純利益は1,598億26百万円となり、前年同四半期に比べ34.2%の増加となりました。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
法人税等486億62百万円(前年同四半期比46.1%増)、非支配株主に帰属する四半期純利益31億83百万円(同45.3%減)を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,079億80百万円となり、前年同四半期に比べ35.0%の増加となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・デリバリー事業
主要な商品の取扱個数は、次のとおりであります。
商品の名称前第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
増減増減率
(%)
取扱個数(百万個)1,0741,07620.2
飛脚宅配便(百万個)1,0321,03740.5
その他(百万個)4139△2△5.9

(注)1.取扱個数は、当社グループの主要商品の取扱個数であります。
2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。
3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便及びその他の会社の取扱個数であります。
デリバリー事業におきましては、当第3四半期連結会計期間の前半は経済社会活動の制限緩和やEC市場規模の拡大等を背景に、BtoB・BtoCの荷物はともに堅調に推移いたしましたが、後半にかけてはいずれも荷動きが鈍化いたしました。平均単価は、適正運賃収受の取組みを継続しているものの、大型荷物の取扱いが減少した影響により、わずかに低下いたしました。他方で、「TMS」は「GOAL」による提案営業の成果として、引き続き堅調に推移いたしました。また、コスト上昇については、取扱量に応じた人員配置や継続的な生産性向上の取組みにより、現時点では業績に大きな影響を与えない範囲でコントロールできておりますが、燃料・電力等のエネルギーに関連する費用や人件費、外注費など様々な費用の上昇圧力は高まっております。
この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は8,023億47百万円(前年同四半期比1.5%増)、営業利益は807億43百万円(同8.2%増)となりました。
・ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、海上・航空運賃ともに前年同四半期をピークに下落しております。海上・航空貨物の取扱量につきましては、物価上昇や金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念や、米国での消費財を中心とした在庫過多等の影響を受けたほか、例年のような米国でのクリスマス商戦に向けたフォワーディング需要の盛り上がりがみられなかったこと等により、大幅に減少いたしました。一方、国内におきましては、「GOAL」による包括的なソリューション提案等により、新規案件を受託するなど堅調に推移いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は2,689億6百万円(前年同四半期比17.7%減)、営業利益は179億48百万円(同42.4%減)となりました。
・不動産事業
不動産事業におきましては、前連結会計年度に実施した物件売却の影響もあり賃貸料収入は減少いたしましたが、計画どおり進捗しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は54億68百万円(前年同四半期比3.2%減)、営業利益は30億59百万円(同11.7%減)となりました。
・その他
その他の事業におきましては、「GOAL」でのトータルロジスティクス提案による物流IT案件の取引が増加したものの、半導体不足等の影響により新車販売が減少いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は388億45百万円(前年同四半期比11.4%減)、営業利益は34億23百万円(同2.6%減)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスを勘案し、必要に応じて長期借入金で調達しております。
当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。
海外子会社においては、当社が、投資計画・資金計画に基づいて貸付又は増資引受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。また、各種外貨への対応として、金融機関からの外貨建貸越極度枠を設定しております。なお、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLC及び上海虹迪物流科技有限公司においては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。