有価証券報告書-第155期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当期における我が国経済は、異常気象や相次ぐ自然災害による一時的な押下げが見られましたが、企業収益と雇用環境は改善基調で推移し、設備投資や消費などの内需を中心に緩やかな成長が続きました。しかしながら米中貿易摩擦や中国経済の減速の影響で輸出関連が弱含むなど、次第に力強さに欠ける展開となりました。
建設市場については拡大傾向が続き、特に東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設工事は最盛期を迎えました。一方で建設資材の需給がひっ迫し、特に高力ボルトの供給不足の問題が全国に波及したため、当社グループも一部の工事でその影響を受けることになりました。
このような状況の下、当期の受注高は過去最高の1,532億4千万円(前期比45億円増)となりました。業績については、売上高は1,419億2千万円(同108億6千万円増)と5期連続で過去最高を更新し、営業利益は105億円(同32億2千万円減)、経常利益は106億5千万円(同32億1千万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は75億3千万円(同18億4千万円減)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。
(橋梁事業)
国内橋梁事業は、新設橋梁の発注量が低迷し、厳しい事業環境が続きました。一方、当期はODA(政府開発援助)による海外大型案件が比較的多く発注されました。このような状況の下、当社グループは国内新設橋梁・保全工事ともほぼ前期並みの受注量を確保することができ、加えて海外大型工事を受注できたことから、橋梁事業全体の受注高は過去最高の917億4千万円(前期比85億3千万円増)となりました。主な受注工事としましては、新設工事は、北海道開発局・新石狩大橋LB左岸橋、四国地方整備局・新町川橋、九州地方整備局・アイランドシティ地区Ⅳ工区橋梁、東日本高速道路・阿武隈大橋、末続川橋、小名浜跨道橋、中日本高速道路・春田野第二高架橋他7橋、梅之郷北第三高架橋他6橋、西日本高速道路・猿目橋他1橋、鉄道・運輸機構・福井橋りょう、宮城県・新定川大橋、鳥取県・浦富高架橋2工区など、保全工事は西日本高速道路・大豊インターチェンジ~南国インターチェンジ間耐震補強Ⅰ、関門橋中央径間補剛桁補修、名古屋高速道路公社・烏森工区床版等修繕など、海外工事はミャンマー政府建設省・バゴー橋(CP1-CP2)、バングラデシュ道路交通橋梁省・カルナ橋などです。
業績については、売上高は733億9千万円(同5億6千万円減)、営業利益は60億3千万円(同24億7千万円減)となりました。複数の大型工事の竣工時精算の獲得が重なった前期からは減益となりましたが、全体的な工事採算の改善により過去2番目に高い水準の業績となりました。主な売上工事としましては、国内新設工事は、東北地方整備局・気仙沼湾横断橋川口地区、関東地方整備局・舞浜立体海側、北陸地方整備局・猪谷橋、中部地方整備局・飛島大橋右岸、中国地方整備局・倉敷立体高梁川大橋、東日本高速道路・高畠深沼橋、中日本高速道路・高森第二高架橋他4橋、阪神高速道路・西船場ジャンクション、東京都・中防内5号線橋りょう、川崎市・羽田連絡道路橋など、保全工事は、東日本高速道路・幸魂橋(内回り)鋼床版補修、首都高速道路・上部工補強工事2-204、東海旅客鉄道・東海道新幹線大規模改修などが売上に立ちました。
(エンジニアリング関連事業)
エンジニアリング関連事業については、システム建築事業の受注高は8期連続で増加しましたが、事業全体の受注高は超高層ビル関連等の減少により573億円(前期比30億9千万円減)と前期を下回りました。
業績については、売上高は633億9千万円(同124億6千万円増)と大幅に増加しましたが、営業利益は43億7千万円(同5億円減)に止まりました。増収減益となりました主な要因は、システム建築事業において、生産能力以上の受注が続いたことによる外注比率の上昇、工程の混乱による手戻りの発生、台風21号上陸後の復旧需要に伴う板金工を中心とする労務費の高騰などが重なり、採算が大幅に悪化したことによるものです。そのため下期には価格の見直しと受注の抑制を行いました。来期は、価格見直し効果の実現と新工場稼動開始により、利益率の回復と事業拡大を目指していきます。
(先端技術事業)
先端技術事業については、精密機器製造事業の需要が伸び悩んだため、受注高は41億9千万円(前期比9億4千万円減)と減少しました。業績については、受注の減少により売上高は44億4千万円(同9億5千万円減)、営業利益は8億6千万円(同1億2千万円減)と、何れも前期を下回りました。
(不動産事業)
不動産事業については、売上高は6億9千万円(前期比8千万円減)、営業利益は4億2千万円(同6千万円増)となり、当期も安定的な収入と利益を確保しました。
b.財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ46億9千万円増加し、1,496億9千万円となりました。流動資産は941億8千万円となり、20億円増加しました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したものの、売上高の増加により工事収入も増加したことにより、「現金預金」が増加しました。固定資産については、555億1千万円となり、26億9千万円増加しました。その主な要因は、投資有価証券の売却等により投資その他の資産が減少したものの、新工場の用地取得・建設などで有形固定資産が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ11億8千万円減少し、631億1千万円となりました。その主な要因は、借入金が増加したものの、「未払法人税等」および「未成工事受入金」などが減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ58億8千万円増加し、865億8千万円となりました。その主な要因は、投資有価証券の売却等により「その他有価証券評価差額金」が減少したものの、「親会社株主に帰属する当期純利益」を計上したことによるものです。この結果、自己資本比率は56.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて11億9千万円増加し、244億1千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は44億4千万円(前連結会計年度は192億5千万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が減少したことに加え、支払手形及び工事未払金等の支払いおよび法人税等の支払いが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は58億4千万円(前連結会計年度は66億2千万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が増加したことおよび投資有価証券の売却による収入があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は25億8千万円(前連結会計年度は58億4千万円の使用)となりました。これは、主に短期借入金の返済が減少したことおよび長期借入れによる収入が増加したことによるものです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
a.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しています。
c.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
d.2015年3月期および2017年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」および「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載していません。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
3.輸出について特記すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
3.輸出について特記すべき事項はありません。
4.前連結会計年度および当連結会計年度において、主要な販売先に該当するものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。詳細は、第5『経理の状況』をご参照下さい。前連結会計年度からの変更はありません。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高を5期連続で過去最高を更新することができました。受注高につきましても海外大型橋梁の受注などによりに過去最高となりました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、それぞれ過去2番目の成績となりました。当連結会計年度は3ヵ年の第4次中期経営計画の最終年度であり、その数値目標と当期実績を比較しますと、売上高は1,250億円に対し1,419億円、営業利益は75億円に対し105億円、1株当たり当期純利益は125円に対し182円となり、何れも目標値を大きく上回ることができました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える最大の要因は重大事故の発生です。過去に発生した重大事故を決して風化させず、工事の安全が何よりも優先するということを常に強く認識し、全国すべての現場において安全施工を徹底します。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備投資等資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。当連結会計年度は売上が拡大する中でも工事代金の回収が進み、一定の営業キャッシュ・フローを獲得することができましたが、システム建築事業の新工場建設着手などで設備投資額が増加しておりますため、第4四半期に金融機関からの長期借入金を追加しました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは3ヵ年の中期経営計画を策定しており、2019年2月25日に2019年度を初年度とする第5次中期経営計画の概要を公表しております。その内容については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)会社の対処すべき課題、中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標」に記載しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
橋梁事業について、まず受注については、手持ち工事量の増大で、入札時に登録が必要な配置予定技術者が不足し、応札案件の絞り込みを余儀なくされたものの、総合評価方式における技術評価点を高い状態で維持することができ、国内橋梁の受注高は前期に次ぐ結果となりました。加えて海外大型工事の受注ができましたため、橋梁事業全体の受注高は2年連続で過去最高を更新しました。一方橋梁事業の業績は約1%の減収、約29%の減益となりました。当期の利益は概ね計画通りの水準であり、大きな減益要因は、前期に長期大型工事の竣工が集中し、それら工事の最終変更契約における想定以上の追加工事費の獲得により群を抜く利益水準となった反動によるものです。
エンジニアリング関連事業について、まずシステム建築事業については右肩上がりの受注を続けた結果、受注残高が大きく積み上がり、生産能力を超えた部分の外注費負担が増加し、さらに台風上陸で現場外注費が更に高騰したため第2四半期後半から採算が悪化しました。工事件数の急増で工程に混乱も生じ、それらを沈静化させるため、下期には受注の抑制と価格の見直しに取組みましたが、期中に回復を果たすことはできませんでした。工程管理・損益管理をはじめとして、管理手法を一から見直すと共に組織も再編し、更なる成長に対応出来るような体制にしてまいります。また、生産能力拡大を図るため、千葉県茂原市に新工場の建設を2019年8月下旬完成の予定で進めております。土木関連事業と建築機鉄事業については大きな問題はなく、業績も概ね計画通りとなりました。エンジニアリング関連事業全体の業績は約24%の増収、約10%の減益となりました。
先端技術事業について、まず精密機器製造事業については、液晶パネル関連と有機ELパネル関連の需要が伸び悩んだため、受注が計画の3分の2程度に止まりました。情報処理事業については道路橋示方書改定に伴う橋梁設計関連の需要増等により好調に推移しました。先端技術事業全体の業績は約18%の減収、約13%の減益となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当期における我が国経済は、異常気象や相次ぐ自然災害による一時的な押下げが見られましたが、企業収益と雇用環境は改善基調で推移し、設備投資や消費などの内需を中心に緩やかな成長が続きました。しかしながら米中貿易摩擦や中国経済の減速の影響で輸出関連が弱含むなど、次第に力強さに欠ける展開となりました。
建設市場については拡大傾向が続き、特に東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設工事は最盛期を迎えました。一方で建設資材の需給がひっ迫し、特に高力ボルトの供給不足の問題が全国に波及したため、当社グループも一部の工事でその影響を受けることになりました。
このような状況の下、当期の受注高は過去最高の1,532億4千万円(前期比45億円増)となりました。業績については、売上高は1,419億2千万円(同108億6千万円増)と5期連続で過去最高を更新し、営業利益は105億円(同32億2千万円減)、経常利益は106億5千万円(同32億1千万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は75億3千万円(同18億4千万円減)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。
(橋梁事業)
国内橋梁事業は、新設橋梁の発注量が低迷し、厳しい事業環境が続きました。一方、当期はODA(政府開発援助)による海外大型案件が比較的多く発注されました。このような状況の下、当社グループは国内新設橋梁・保全工事ともほぼ前期並みの受注量を確保することができ、加えて海外大型工事を受注できたことから、橋梁事業全体の受注高は過去最高の917億4千万円(前期比85億3千万円増)となりました。主な受注工事としましては、新設工事は、北海道開発局・新石狩大橋LB左岸橋、四国地方整備局・新町川橋、九州地方整備局・アイランドシティ地区Ⅳ工区橋梁、東日本高速道路・阿武隈大橋、末続川橋、小名浜跨道橋、中日本高速道路・春田野第二高架橋他7橋、梅之郷北第三高架橋他6橋、西日本高速道路・猿目橋他1橋、鉄道・運輸機構・福井橋りょう、宮城県・新定川大橋、鳥取県・浦富高架橋2工区など、保全工事は西日本高速道路・大豊インターチェンジ~南国インターチェンジ間耐震補強Ⅰ、関門橋中央径間補剛桁補修、名古屋高速道路公社・烏森工区床版等修繕など、海外工事はミャンマー政府建設省・バゴー橋(CP1-CP2)、バングラデシュ道路交通橋梁省・カルナ橋などです。
業績については、売上高は733億9千万円(同5億6千万円減)、営業利益は60億3千万円(同24億7千万円減)となりました。複数の大型工事の竣工時精算の獲得が重なった前期からは減益となりましたが、全体的な工事採算の改善により過去2番目に高い水準の業績となりました。主な売上工事としましては、国内新設工事は、東北地方整備局・気仙沼湾横断橋川口地区、関東地方整備局・舞浜立体海側、北陸地方整備局・猪谷橋、中部地方整備局・飛島大橋右岸、中国地方整備局・倉敷立体高梁川大橋、東日本高速道路・高畠深沼橋、中日本高速道路・高森第二高架橋他4橋、阪神高速道路・西船場ジャンクション、東京都・中防内5号線橋りょう、川崎市・羽田連絡道路橋など、保全工事は、東日本高速道路・幸魂橋(内回り)鋼床版補修、首都高速道路・上部工補強工事2-204、東海旅客鉄道・東海道新幹線大規模改修などが売上に立ちました。
(エンジニアリング関連事業)
エンジニアリング関連事業については、システム建築事業の受注高は8期連続で増加しましたが、事業全体の受注高は超高層ビル関連等の減少により573億円(前期比30億9千万円減)と前期を下回りました。
業績については、売上高は633億9千万円(同124億6千万円増)と大幅に増加しましたが、営業利益は43億7千万円(同5億円減)に止まりました。増収減益となりました主な要因は、システム建築事業において、生産能力以上の受注が続いたことによる外注比率の上昇、工程の混乱による手戻りの発生、台風21号上陸後の復旧需要に伴う板金工を中心とする労務費の高騰などが重なり、採算が大幅に悪化したことによるものです。そのため下期には価格の見直しと受注の抑制を行いました。来期は、価格見直し効果の実現と新工場稼動開始により、利益率の回復と事業拡大を目指していきます。
(先端技術事業)
先端技術事業については、精密機器製造事業の需要が伸び悩んだため、受注高は41億9千万円(前期比9億4千万円減)と減少しました。業績については、受注の減少により売上高は44億4千万円(同9億5千万円減)、営業利益は8億6千万円(同1億2千万円減)と、何れも前期を下回りました。
(不動産事業)
不動産事業については、売上高は6億9千万円(前期比8千万円減)、営業利益は4億2千万円(同6千万円増)となり、当期も安定的な収入と利益を確保しました。
b.財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ46億9千万円増加し、1,496億9千万円となりました。流動資産は941億8千万円となり、20億円増加しました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したものの、売上高の増加により工事収入も増加したことにより、「現金預金」が増加しました。固定資産については、555億1千万円となり、26億9千万円増加しました。その主な要因は、投資有価証券の売却等により投資その他の資産が減少したものの、新工場の用地取得・建設などで有形固定資産が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ11億8千万円減少し、631億1千万円となりました。その主な要因は、借入金が増加したものの、「未払法人税等」および「未成工事受入金」などが減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ58億8千万円増加し、865億8千万円となりました。その主な要因は、投資有価証券の売却等により「その他有価証券評価差額金」が減少したものの、「親会社株主に帰属する当期純利益」を計上したことによるものです。この結果、自己資本比率は56.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて11億9千万円増加し、244億1千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は44億4千万円(前連結会計年度は192億5千万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が減少したことに加え、支払手形及び工事未払金等の支払いおよび法人税等の支払いが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は58億4千万円(前連結会計年度は66億2千万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が増加したことおよび投資有価証券の売却による収入があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は25億8千万円(前連結会計年度は58億4千万円の使用)となりました。これは、主に短期借入金の返済が減少したことおよび長期借入れによる収入が増加したことによるものです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
回次 | 第151期 | 第152期 | 第153期 | 第154期 | 第155期 |
決算年月 | 2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 |
自己資本比率 | 54.1% | 56.0% | 53.3% | 54.4% | 56.3% |
時価ベースの 自己資本比率 | 47.1% | 44.2% | 41.7% | 64.2% | 52.6% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | -年 | 1.2年 | -年 | 0.5年 | 2.8年 |
インタレスト・ カバレッジ・レシオ | -倍 | 86.4倍 | -倍 | 263.9倍 | 56.9倍 |
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
a.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しています。
c.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
d.2015年3月期および2017年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」および「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載していません。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 数 量 (トン) | 前年同期比 (%) | 金 額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
橋梁事業 | 50,898 | 98.1 | 73,396 | 99.2 |
エンジニアリング関連事業 | 104,638 | 122.4 | 63,395 | 124.5 |
先端技術事業 | - | - | 4,442 | 82.3 |
合計 | 155,536 | 113.2 | 141,233 | 108.4 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高 | 受注残高 | ||||
数量 (トン) | 前年同期比 (%) | 金額 (百万円) | 前年同期比(%) | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) | |
橋梁事業 | 78,235 | 139.8 | 91,743 | 110.3 | 113,367 | 119.3 |
エンジニアリング関連事業 | 90,643 | 101.2 | 57,305 | 94.9 | 45,557 | 88.2 |
先端技術事業 | - | - | 4,197 | 81.7 | 1,047 | 81.0 |
合計 | 168,878 | 116.1 | 153,245 | 103.0 | 159,971 | 108.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
3.輸出について特記すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 金 額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
橋梁事業 | 73,396 | 99.2 |
エンジニアリング関連事業 | 63,395 | 124.5 |
先端技術事業 | 4,442 | 82.3 |
不動産事業 | 691 | 89.2 |
合計 | 141,924 | 108.3 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.金額は、消費税等を除いて記載しています。
3.輸出について特記すべき事項はありません。
4.前連結会計年度および当連結会計年度において、主要な販売先に該当するものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。詳細は、第5『経理の状況』をご参照下さい。前連結会計年度からの変更はありません。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高を5期連続で過去最高を更新することができました。受注高につきましても海外大型橋梁の受注などによりに過去最高となりました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、それぞれ過去2番目の成績となりました。当連結会計年度は3ヵ年の第4次中期経営計画の最終年度であり、その数値目標と当期実績を比較しますと、売上高は1,250億円に対し1,419億円、営業利益は75億円に対し105億円、1株当たり当期純利益は125円に対し182円となり、何れも目標値を大きく上回ることができました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える最大の要因は重大事故の発生です。過去に発生した重大事故を決して風化させず、工事の安全が何よりも優先するということを常に強く認識し、全国すべての現場において安全施工を徹底します。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備投資等資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。当連結会計年度は売上が拡大する中でも工事代金の回収が進み、一定の営業キャッシュ・フローを獲得することができましたが、システム建築事業の新工場建設着手などで設備投資額が増加しておりますため、第4四半期に金融機関からの長期借入金を追加しました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは3ヵ年の中期経営計画を策定しており、2019年2月25日に2019年度を初年度とする第5次中期経営計画の概要を公表しております。その内容については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)会社の対処すべき課題、中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標」に記載しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
橋梁事業について、まず受注については、手持ち工事量の増大で、入札時に登録が必要な配置予定技術者が不足し、応札案件の絞り込みを余儀なくされたものの、総合評価方式における技術評価点を高い状態で維持することができ、国内橋梁の受注高は前期に次ぐ結果となりました。加えて海外大型工事の受注ができましたため、橋梁事業全体の受注高は2年連続で過去最高を更新しました。一方橋梁事業の業績は約1%の減収、約29%の減益となりました。当期の利益は概ね計画通りの水準であり、大きな減益要因は、前期に長期大型工事の竣工が集中し、それら工事の最終変更契約における想定以上の追加工事費の獲得により群を抜く利益水準となった反動によるものです。
エンジニアリング関連事業について、まずシステム建築事業については右肩上がりの受注を続けた結果、受注残高が大きく積み上がり、生産能力を超えた部分の外注費負担が増加し、さらに台風上陸で現場外注費が更に高騰したため第2四半期後半から採算が悪化しました。工事件数の急増で工程に混乱も生じ、それらを沈静化させるため、下期には受注の抑制と価格の見直しに取組みましたが、期中に回復を果たすことはできませんでした。工程管理・損益管理をはじめとして、管理手法を一から見直すと共に組織も再編し、更なる成長に対応出来るような体制にしてまいります。また、生産能力拡大を図るため、千葉県茂原市に新工場の建設を2019年8月下旬完成の予定で進めております。土木関連事業と建築機鉄事業については大きな問題はなく、業績も概ね計画通りとなりました。エンジニアリング関連事業全体の業績は約24%の増収、約10%の減益となりました。
先端技術事業について、まず精密機器製造事業については、液晶パネル関連と有機ELパネル関連の需要が伸び悩んだため、受注が計画の3分の2程度に止まりました。情報処理事業については道路橋示方書改定に伴う橋梁設計関連の需要増等により好調に推移しました。先端技術事業全体の業績は約18%の減収、約13%の減益となりました。