有価証券報告書-第160期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当期における我が国経済は、経済活動の正常化や雇用環境の改善によって国内需要に緩やかな回復の動きが見られる一方で、世界的な金融引締めや物価高騰により依然として不透明な状況が続いています。
建設市場につきましては、土木分野は公共投資に支えられ堅調に推移し、建築分野も高水準の企業収益を背景に底堅く推移しました。
このような状況の下、当期の受注高は1,457億円(前期比112億8千万円減)となりました。業績につきましては、売上高は1,640億7千万円(同8億9千万円減)となり前期比横ばいとなりましたが、営業利益は159億4千万円(同7億2千万円増)、経常利益は158億5千万円(同4億円増)と高水準で推移し、投資有価証券の売却益等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高の118億5千万円(同6億1千万円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。
(橋梁事業)
国内橋梁事業は、計画の後ろ倒しにより発注量が伸び悩む中、当社グループは国内新設橋梁、保全工事ともに複数の大型工事を受注するなど堅調に推移し、橋梁事業全体の受注高は862億4千万円(前期比43億4千万円増)となり、年度計画を概ね達成いたしました。
業績につきましては、豊富な受注残に支えられ、売上高は過去最高を更新し974億1千万円(同103億9千万円増)となり、営業利益は前期比横ばいの88億1千万円(同1億3千万円減)となりました。
(エンジニアリング関連事業)
エンジニアリング関連事業につきましては、システム建築事業において、建設コスト上昇等による設備投資計画の延期や見直しの動きが散見され受注は伸び悩みました。通期の事業全体の受注高は566億2千万円(前期比147億6千万円減)となりました。なお、システム建築の受注面積につきましては、59万㎡(前年同期86万㎡)となりました。
業績につきましては、通期の事業全体の売上高は631億3千万円(同98億円減)となりました。また、営業利益はシステム建築事業を中心に損益が改善したことにより、過去最高を更新し83億9千万円(同16億1千万円増)となりました。
(先端技術事業)
先端技術事業につきましては、精密機器製造事業の受注が伸び悩み、受注高は28億4千万円(前期比8億7千万円減)となりました。業績につきましても、受注の減少により売上高は29億4千万円(同14億4千万円減)、営業利益は1億円(同5億2千万円減)に止まりました。
(不動産事業)
不動産事業につきましては、売上高は前期とほぼ同額の5億9千万円、営業利益は3億8千万円(前期比1千万円増)となり、当期も安定的な収入と利益を確保いたしました。
当期におけるセグメント別の連結売上高・受注高・受注残高 (億円)
(注)金額は単位未満を切捨てて記載しています。
橋梁事業の主な受注工事
橋梁事業の主な売上工事
b.財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ163億8千万円増加し、2,108億4千万円となりました。流動資産は、「受取手形・完成工事未収入金等」が増加したこと等により129億円増加し、1,462億5千万円となりました。固定資産は、投資有価証券の売却があったものの、株価の上昇等により「投資その他の資産」が増加したこと等により34億8千万円増加し、645億9千万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ60億1千万円増加し、828億2千万円となりました。その主な要因は、「支払手形・工事未払金等」や「短期借入金」が減少し、「長期借入金」が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ103億7千万円増加し、1,280億2千万円となりました。その主な要因は、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上、配当金の支払等によるものです。この結果、自己資本比率は59.0%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1億5千万円減少し、249億8千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は16億3千万円(前連結会計年度は43億5千万円の使用)となりました。これは、主に売上高の増加により「受取手形・完成工事未収入金等」の売上債権が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は9億7千万円(前連結会計年度は18億4千万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は25億1千万円(前連結会計年度は78億5千万円の獲得)となりました。これは、主に長期借入れによる収入があったことによるものです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
a.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
c.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
d.2023年3月期および2024年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」および「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しています。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりです。
(財政状態)
流動資産は主に「受取手形・完成工事未収入金等」の増加により129億円増加し、固定資産は投資有価証券の売却があったものの、株価の上昇等により34億8千万円増加しました。その結果、総資産は2,108億4千万円(前期末比163億8千万円増)となり、初めて2,000億円を超えました。負債合計は主に「長期借入金」の増加により828億2千万円(同60億1千万円増)となりました。純資産は利益の獲得により過去最高の1,280億2千万円(同103億7千万円増)となりました。自己資本比率は59.0%(前期末は58.8%)となり、十分な水準にあると考えています。
(経営成績)
受注高は1,457億円(前期比112億8千万円減)、売上高は1,640億7千万円(同8億9千万円減)、営業利益は159億4千万円(同7億2千万円増)、経常利益は158億5千万円(同4億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は118億5千万円(同6億1千万円増)となりました。
受注高についてはエンジニアリング関連事業と先端技術事業の減少を橋梁事業の増加で補いきれず、前期を若干下回りました。売上高については橋梁事業が過去最高を更新する一方、エンジニアリング関連事業と先端技術事業が伸び悩み、結果として前期比横這いとなりました。各利益についてはいずれも前期を上回り、営業利益と経常利益は過去2番目の成績、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
<橋梁事業>当初の計画は受注高900億円、売上高980億円、営業利益97億円です。
受注高については、新設橋梁の発注量が伸び悩む中、新設橋梁事業は前期比減少しましたが、保全事業は床版取替や耐震補強など複数工事の受注により前期比増加し、全体として前期を上回りました。その結果、受注高は862億4千万円(前期比43億4千万円増)となり、年度計画をほぼ達成することができました。
売上高については手持ち工事が順調に進捗したため、過去最高の974億1千万円(同103億9千万円増)となりました。一方、営業利益は設計変更の期ずれや新規受注に伴う工事損失引当金の計上により前期比横這いの88億1千万円(同1億3千万減)となりました。
<エンジニアリング関連事業>当初の計画はエンジニアリング関連事業全体の受注高800億円、売上高720億円、営業利益71億円であり、そのうちシステム建築事業は受注高626億円、売上高545億円です。
それに対し、エンジニアリング関連事業の受注高は566億2千万円(前期比147億6千万円減)、売上高は631億3千万円(同98億円減)、そのうちシステム建築事業の受注高は384億1千万円(前期比142億4千万円減)、売上高は469億円(同76億8千万円減)となりました。受注高については、システム建築事業において建設コスト上昇等により設備投資計画の延期や見直しが生じ伸び悩みました。採算面については、システム建築事業の受注単価上昇により利益率が上昇したことに加えて、海外の特殊建築工事の円安効果等の要因が重なったことにより、想定以上の利益率となりました。その結果、エンジニアリング関連事業の営業利益は当初計画を上回る83億9千万円(同16億1千万円増)となり、過去最高を更新しました。
<先端技術事業>当初の計画は受注高57億円、売上高52億円、営業利益4億円です。先端技術事業のうち精密機器製造事業の受注が振るわず、受注高は28億4千万円(前期比8億7千万円減)となりました。業績についても精密機器製造事業の受注の減少により売上高は29億4千万円(同14億4千万円減)、営業利益は1億円(同5億2千万円減)と、何れも計画を下回りました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主な資金需要は材料費、外注費、労務費、工場並びに現場の直接経費・間接経費などの運転資金と工場生産設備を中心とする設備投資資金です。資金調達はフリー・キャッシュフロー及び間接調達で確保しております。また、長期大型工事の竣工間際など一時的に立替額が大きくなる場合に備え、コミットメントライン契約と当座貸越契約により財務の安定性及び流動性を補完しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当期における我が国経済は、経済活動の正常化や雇用環境の改善によって国内需要に緩やかな回復の動きが見られる一方で、世界的な金融引締めや物価高騰により依然として不透明な状況が続いています。
建設市場につきましては、土木分野は公共投資に支えられ堅調に推移し、建築分野も高水準の企業収益を背景に底堅く推移しました。
このような状況の下、当期の受注高は1,457億円(前期比112億8千万円減)となりました。業績につきましては、売上高は1,640億7千万円(同8億9千万円減)となり前期比横ばいとなりましたが、営業利益は159億4千万円(同7億2千万円増)、経常利益は158億5千万円(同4億円増)と高水準で推移し、投資有価証券の売却益等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高の118億5千万円(同6億1千万円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。
(橋梁事業)
国内橋梁事業は、計画の後ろ倒しにより発注量が伸び悩む中、当社グループは国内新設橋梁、保全工事ともに複数の大型工事を受注するなど堅調に推移し、橋梁事業全体の受注高は862億4千万円(前期比43億4千万円増)となり、年度計画を概ね達成いたしました。
業績につきましては、豊富な受注残に支えられ、売上高は過去最高を更新し974億1千万円(同103億9千万円増)となり、営業利益は前期比横ばいの88億1千万円(同1億3千万円減)となりました。
(エンジニアリング関連事業)
エンジニアリング関連事業につきましては、システム建築事業において、建設コスト上昇等による設備投資計画の延期や見直しの動きが散見され受注は伸び悩みました。通期の事業全体の受注高は566億2千万円(前期比147億6千万円減)となりました。なお、システム建築の受注面積につきましては、59万㎡(前年同期86万㎡)となりました。
業績につきましては、通期の事業全体の売上高は631億3千万円(同98億円減)となりました。また、営業利益はシステム建築事業を中心に損益が改善したことにより、過去最高を更新し83億9千万円(同16億1千万円増)となりました。
(先端技術事業)
先端技術事業につきましては、精密機器製造事業の受注が伸び悩み、受注高は28億4千万円(前期比8億7千万円減)となりました。業績につきましても、受注の減少により売上高は29億4千万円(同14億4千万円減)、営業利益は1億円(同5億2千万円減)に止まりました。
(不動産事業)
不動産事業につきましては、売上高は前期とほぼ同額の5億9千万円、営業利益は3億8千万円(前期比1千万円増)となり、当期も安定的な収入と利益を確保いたしました。
当期におけるセグメント別の連結売上高・受注高・受注残高 (億円)
前 期 | 当 期 | |||
売上高 | 橋梁事業 | 新設橋梁事業 | 576 | 649 |
保全事業 | 267 | 274 | ||
海外事業 | 26 | 50 | ||
小 計 | 870 | 974 | ||
エンジニアリング 関連事業 | システム建築事業 | 545 | 469 | |
土木関連事業 | 101 | 87 | ||
建築・機械鉄構事業 | 81 | 75 | ||
小 計 | 729 | 631 | ||
先端技術事業 | 精密機器製造事業 | 35 | 21 | |
情報処理事業 | 8 | 7 | ||
小 計 | 43 | 29 | ||
不動産事業 | 6 | 5 | ||
合 計 | 1,649 | 1,640 | ||
受注高 | 橋梁事業 | 新設橋梁事業 | 688 | 590 |
保全事業 | 132 | 248 | ||
海外事業 | △1 | 23 | ||
小 計 | 818 | 862 | ||
エンジニアリング 関連事業 | システム建築事業 | 526 | 384 | |
土木関連事業 | 94 | 116 | ||
建築・機械鉄構事業 | 93 | 65 | ||
小 計 | 713 | 566 | ||
先端技術事業 | 精密機器製造事業 | 28 | 21 | |
情報処理事業 | 8 | 7 | ||
小 計 | 37 | 28 | ||
合 計 | 1,569 | 1,457 | ||
受注残高 | 橋梁事業 | 新設橋梁事業 | 964 | 905 |
保全事業 | 528 | 502 | ||
海外事業 | 32 | 5 | ||
小 計 | 1,526 | 1,414 | ||
エンジニアリング 関連事業 | システム建築事業 | 260 | 176 | |
土木関連事業 | 300 | 330 | ||
建築・機械鉄構事業 | 55 | 45 | ||
小 計 | 617 | 552 | ||
先端技術事業 | 精密機器製造事業 | 7 | 7 | |
情報処理事業 | 4 | 3 | ||
小 計 | 12 | 11 | ||
合 計 | 2,155 | 1,977 |
(注)金額は単位未満を切捨てて記載しています。
橋梁事業の主な受注工事
区分 | 発注者 | 工事名 | 場所 |
新設 | 東日本高速道路 | 八潮パーキングエリアランプ橋南 | 埼玉県 |
新設 | 中日本高速道路 | 養老海津高架橋 | 岐阜県 |
新設 | 九州地方整備局 | 日南油津大橋 | 宮崎県 |
新設 | 西日本高速道路 | 伊豆七条第二高架橋他2橋 | 奈良県 |
保全 | 西日本高速道路 | 関門橋門司側径間床組連続化 | 福岡県 |
橋梁事業の主な売上工事
区分 | 発注者 | 工事名 | 場所 |
保全 | 西日本高速道路 | 中国池田インターチェンジ~宝塚インターチェンジ間橋梁更新(その2) | 大阪府 |
新設 | 東日本高速道路 | 牛久高架橋 | 茨城県 |
新設 | 東日本高速道路 | 境高架橋 | 茨城県 |
保全 | 東日本高速道路 | 阿能川橋床版取替 | 群馬県~ 新潟県 |
保全 | 首都高速道路 | 上部工補強3-213 | 神奈川県 |
b.財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ163億8千万円増加し、2,108億4千万円となりました。流動資産は、「受取手形・完成工事未収入金等」が増加したこと等により129億円増加し、1,462億5千万円となりました。固定資産は、投資有価証券の売却があったものの、株価の上昇等により「投資その他の資産」が増加したこと等により34億8千万円増加し、645億9千万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ60億1千万円増加し、828億2千万円となりました。その主な要因は、「支払手形・工事未払金等」や「短期借入金」が減少し、「長期借入金」が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ103億7千万円増加し、1,280億2千万円となりました。その主な要因は、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上、配当金の支払等によるものです。この結果、自己資本比率は59.0%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1億5千万円減少し、249億8千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は16億3千万円(前連結会計年度は43億5千万円の使用)となりました。これは、主に売上高の増加により「受取手形・完成工事未収入金等」の売上債権が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は9億7千万円(前連結会計年度は18億4千万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は25億1千万円(前連結会計年度は78億5千万円の獲得)となりました。これは、主に長期借入れによる収入があったことによるものです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
回次 | 第156期 | 第157期 | 第158期 | 第159期 | 第160期 |
決算年月 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 |
自己資本比率 | 58.6% | 59.6% | 62.5% | 58.8% | 59.0% |
時価ベースの 自己資本比率 | 53.4% | 49.8% | 46.5% | 45.5% | 56.9% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 1.3年 | 85.0年 | 0.6年 | -年 | -年 |
インタレスト・ カバレッジ・レシオ | 138.1倍 | 1.9倍 | 236.7倍 | -倍 | -倍 |
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
a.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
c.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
d.2023年3月期および2024年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」および「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 数 量 (トン) | 前年同期比 (%) | 金 額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
橋梁事業 | 50,182 | 99.7 | 97,411 | 111.9 |
エンジニアリング関連事業 | 63,732 | 74.4 | 63,132 | 86.6 |
先端技術事業 | - | - | 2,941 | 67.0 |
合計 | 113,914 | 83.8 | 163,484 | 99.5 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しています。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高 | 受注残高 | ||||
数量 (トン) | 前年同期比 (%) | 金額 (百万円) | 前年同期比(%) | 金額 (百万円) | 前年同期比 (%) | |
橋梁事業 | 38,622 | 75.0 | 86,245 | 105.3 | 141,440 | 92.7 |
エンジニアリング関連事業 | 54,759 | 81.5 | 56,621 | 79.3 | 55,223 | 89.5 |
先端技術事業 | - | - | 2,843 | 76.5 | 1,102 | 91.8 |
合計 | 93,381 | 78.7 | 145,709 | 92.8 | 197,766 | 91.8 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称 | 金 額 (百万円) | 前年同期比 (%) |
橋梁事業 | 97,411 | 111.9 |
エンジニアリング関連事業 | 63,132 | 86.6 |
先端技術事業 | 2,941 | 67.0 |
不動産事業 | 591 | 94.2 |
合計 | 164,076 | 99.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
東日本高速道路株式会社 | 13,718 | 8.3 | 21,147 | 12.9 |
西日本高速道路株式会社 | 15,533 | 9.4 | 17,917 | 10.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりです。
(財政状態)
流動資産は主に「受取手形・完成工事未収入金等」の増加により129億円増加し、固定資産は投資有価証券の売却があったものの、株価の上昇等により34億8千万円増加しました。その結果、総資産は2,108億4千万円(前期末比163億8千万円増)となり、初めて2,000億円を超えました。負債合計は主に「長期借入金」の増加により828億2千万円(同60億1千万円増)となりました。純資産は利益の獲得により過去最高の1,280億2千万円(同103億7千万円増)となりました。自己資本比率は59.0%(前期末は58.8%)となり、十分な水準にあると考えています。
(経営成績)
受注高は1,457億円(前期比112億8千万円減)、売上高は1,640億7千万円(同8億9千万円減)、営業利益は159億4千万円(同7億2千万円増)、経常利益は158億5千万円(同4億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は118億5千万円(同6億1千万円増)となりました。
受注高についてはエンジニアリング関連事業と先端技術事業の減少を橋梁事業の増加で補いきれず、前期を若干下回りました。売上高については橋梁事業が過去最高を更新する一方、エンジニアリング関連事業と先端技術事業が伸び悩み、結果として前期比横這いとなりました。各利益についてはいずれも前期を上回り、営業利益と経常利益は過去2番目の成績、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
<橋梁事業>当初の計画は受注高900億円、売上高980億円、営業利益97億円です。
受注高については、新設橋梁の発注量が伸び悩む中、新設橋梁事業は前期比減少しましたが、保全事業は床版取替や耐震補強など複数工事の受注により前期比増加し、全体として前期を上回りました。その結果、受注高は862億4千万円(前期比43億4千万円増)となり、年度計画をほぼ達成することができました。
売上高については手持ち工事が順調に進捗したため、過去最高の974億1千万円(同103億9千万円増)となりました。一方、営業利益は設計変更の期ずれや新規受注に伴う工事損失引当金の計上により前期比横這いの88億1千万円(同1億3千万減)となりました。
<エンジニアリング関連事業>当初の計画はエンジニアリング関連事業全体の受注高800億円、売上高720億円、営業利益71億円であり、そのうちシステム建築事業は受注高626億円、売上高545億円です。
それに対し、エンジニアリング関連事業の受注高は566億2千万円(前期比147億6千万円減)、売上高は631億3千万円(同98億円減)、そのうちシステム建築事業の受注高は384億1千万円(前期比142億4千万円減)、売上高は469億円(同76億8千万円減)となりました。受注高については、システム建築事業において建設コスト上昇等により設備投資計画の延期や見直しが生じ伸び悩みました。採算面については、システム建築事業の受注単価上昇により利益率が上昇したことに加えて、海外の特殊建築工事の円安効果等の要因が重なったことにより、想定以上の利益率となりました。その結果、エンジニアリング関連事業の営業利益は当初計画を上回る83億9千万円(同16億1千万円増)となり、過去最高を更新しました。
<先端技術事業>当初の計画は受注高57億円、売上高52億円、営業利益4億円です。先端技術事業のうち精密機器製造事業の受注が振るわず、受注高は28億4千万円(前期比8億7千万円減)となりました。業績についても精密機器製造事業の受注の減少により売上高は29億4千万円(同14億4千万円減)、営業利益は1億円(同5億2千万円減)と、何れも計画を下回りました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主な資金需要は材料費、外注費、労務費、工場並びに現場の直接経費・間接経費などの運転資金と工場生産設備を中心とする設備投資資金です。資金調達はフリー・キャッシュフロー及び間接調達で確保しております。また、長期大型工事の竣工間際など一時的に立替額が大きくなる場合に備え、コミットメントライン契約と当座貸越契約により財務の安定性及び流動性を補完しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。